JP4354320B2 - 凹面鏡付きレーザ装置を備えたレーザ着火式エンジン - Google Patents
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Description
特許文献1の技術においては、レーザ発振装置から発信されたレーザ光を反射する反射鏡をエンジンの各シリンダに対応して設け、反射鏡の向きを制御する鏡制御装置によって、該レーザ発振装置から発信されたレーザ光が各シリンダに装着されたレーザ光ガイドに向けて正確に投入されるように該反射鏡を方向制御している。
特許文献2の技術においては、メタノール等の低セタン価の燃料を使用するエンジンにおいて、燃料噴射弁と噴射燃料に点火するための標的流体を噴射する標的噴射弁を、燃料噴射方向と標的流体の噴射方向とが交叉するように設置し、前記燃料の噴霧と標的流体の噴霧との交叉部近傍域にレーザ光を照射するパルスレーザ装置を備えて、大型エンジンのように点火点の多いエンジンにおいても、自由に点火点を選定可能として、確実な着火と高い燃焼性能が得られるように構成している。
即ち、かかる従来技術においては、図8(A)に示されるように、レーザ発振装置1から発信されたレーザ光2を、回転するミラー円盤11に所定の取付角(例えば30°)で取り付けられたミラー3で反射して、各シリンダのレーザ光照射装置(図示省略)へのレーザ光2伝送用の光ファイバー7(図4(B)参照)の入口に投入する際において、該レーザ光2を複数パルス発信する場合には、1回目のパルス発信時に3aの位置にあったミラー3が、2回目のパルス発信時には該ミラー円盤11の回転により3bの位置に来る。
このため、かかる従来技術にあっては、前記ずれxの形成により複数パルスのレーザ光2が光ファイバー7に投入される段階で、レーザエネルギーの損失が生ずる。
尚、図8(A)において、Taは1回目のパルス発信時におけるミラー3aの法線、Tbは1回目のパルス発信時におけるミラー3bの法線である。
従って、かかる従来技術にあっては、前記のようなレーザエネルギーの損失を補填するためレーザ光供給システムを大型化することを要し、これに伴いレーザ光供給システムの装置コストが増大する。
スターターモータ付きのエンジンにおいては、該スターターモータの回転数150〜200rpm程度からエンジンの定格回転数までは10倍程度の隔たりがあるため、妥当な着火タイミングで着火燃焼されないと、起動時に失火が発生したり不完全燃焼が発生して、円滑な起動がなされないという事態が発生しやすい。
また、エンジンにおいては、定格回転数での運転時において、エンジン性能を改善するため着火タイミングを自在に変更可能となることが要求される。
然るに、かかる発明においては、前記各凹面鏡に入光される複数パルスのレーザ光にパルス毎のずれが形成されていても、該凹面鏡から反射されるレーザ光は該凹面鏡の一点(焦点)に集光されるので、該焦点に前記レーザ伝送通路の入口を配置することにより、前記複数パルスのレーザ光のずれ、つまり前記入光位置のずれあるいは入光角のずれが消滅して、凹面鏡にて集光された1本のレーザ光となって、各シリンダへのレーザ伝送通路の入口に投入することが可能となる。
さらには、各凹面鏡に入光される複数パルスのレーザ光にパルス毎のずれが形成されていても、かかるずれを該凹面鏡で吸収出来るので、エンジンの運転中においても各反射ミラーと各シリンダの凹面鏡とで設定した範囲でレーザ光の発射タイミングを変更できる。
そして、この集光レーザ光を前記焦点に開口する1本のレーザ集合伝送通路を通して伝送し、回転駆動される凹面鏡支持体にシリンダ数と同数固定された分配凹面鏡で前記集光レーザ光をシリンダ毎に分けて反射し、各分配凹面鏡の集光部に各シリンダに接続されるレーザ光伝送通路のレーザ光入口を接続して前記各シリンダ毎のレーザ光を該レーザ光伝送通路を通して各シリンダに分配する。
さらに前記集合凹面鏡にて集光されて前記ずれが消滅した1本のレーザ光を、該集合凹面鏡の焦点に入口が開口された1本のレーザ集合伝送通路を通してシリンダへのレーザ光を伝送するので、多シリンダのレーザ光を1本のレーザ集合伝送通路で伝送でき、光ファイバー等のレーザ光伝送手段の構造が簡単となって、取扱性、整備性が良好となるとともに低コストとなる。
これにより、前記レーザ光のずれに伴うレーザエネルギーの損失の発生を回避可能となり、かかるレーザエネルギーの損失を補填するためのレーザ光供給システムの大型化を回避でき、これに伴いレーザ光供給システムの装置コストを低減できる。
1はレーザ光(レーザパルス)2を発信するレーザ発振装置、4は該レーザ光2を後述する4個の反射ミラー3上に集光する集光レンズであり、該レーザ発振装置1及び集光レンズ4は、エンジン1台あるいは複数シリンダに付き1組設けられている。
11は前記カム軸101により回転駆動される該ミラー回転軸13に固定されたミラー円盤で、前記反射ミラー3は該ミラー円盤11の外周部に取付角α、つまり#1シリンダ用の反射ミラー3aが取付角α1、#4シリンダ用の反射ミラー3dが取付角α4、#3シリンダ用の反射ミラー3cが取付角α3、#2シリンダ用の反射ミラー3bが取付角α2のように、エンジンの組立時に設定して固定されている。
5aは#1シリンダ用の凹面鏡、5dは#4シリンダ用の凹面鏡、5cは#3シリンダ用の凹面鏡、5bは#2シリンダ用の凹面鏡で、前記それぞれの凹面鏡5a、5d、5c、5bは、後述するような前記反射ミラー3との取付関係で以ってエンジンの組立時に該エンジンに固定されている。
20はエンジンの回転数を検出する回転数検出器である。21はタイミング円板等からなるクランク角検出器で、エンジン100のクランク角を検出している。前記レーザコントローラ22には、前記回転数検出器20からエンジン回転数の検出値が、前記クランク角検出器21からエンジンのクランク角の検出値が夫々入力され、該エンジン回転数の検出値及びクランク角の検出値に基づき、前記レーザ発振装置1から発信されるレーザ光2のパルス間隔、レーザ光エネルギー等を該レーザコントローラ22で制御している。
7(7a、7d、7c、7b)は、前記凹面鏡5a、5d、5c、5bと各シリンダのシリンダヘッドに装着された集合レンズ6a、6d、6c、6bとを接続する光ファイバーである。
該レーザコントローラ22においては、前記エンジン回転数の検出値に対応するレーザパルス発信間隔を算出し、前記反射ミラー3(3a、3d、3c、3b)の回転と同期させて、前記レーザ発振装置1からレーザ光を発射せしめる。
そして、前記各凹面鏡5a、5d、5c、5bにおける反射光は、該凹面鏡5a、5d、5c、5bの焦点S1、S4、S3、S2に集光し、該集光部(焦点S1、S4、S3、S2)に開口している前記光ファイバー7(7a、7d、7c、7b)内を伝送されて、各シリンダの集合レンズ6a、6d、6c、6bから各シリンダの燃焼室内に照射される。
また、図3、4は6シリンダエンジンにおける反射ミラー3のレーザ光反射状態を示し、図3(A)は#1シリンダで前記取付角α1=10°の場合、図3(B)は#6シリンダで前記取付角α6=20°の場合、図3(C)は#2シリンダで前記取付角α2=30°の場合であり、図4(D)は#4シリンダで前記取付角α4=10°の場合、図4(E)は#5シリンダで前記取付角α5=30°の場合、図4(F)は#3シリンダで前記取付角α3=20°の場合である。
さらに、図2、3、4において、B(0)はクランク角0°(上死点)、B(10)はクランク角10°(上死点後10°)、B(−10)はクランク角−10°(上死点前10°)のときの反射光を示す。
これにより、前記のようなレーザ光2のずれに伴うレーザエネルギーの損失の発生を回避できることとなる。
また、エンジンに連動して回転駆動されるミラー円盤11の外周部にシリンダ数と同数取り付けられる各シリンダ毎の反射ミラー3(3a、3d、3c、3b)を、該反射ミラー3のそれぞれからの反射光を入光可能な位置に固定された各シリンダ毎の凹面鏡5a、5d、5c、5bに入光後、該凹面鏡5a、5d、5c、5bで反射したレーザ光2が一点(焦点S1、S4、S3、S2)に集光せしめ得るような取付角取付角α1、α4、α3、α2で以って、エンジンへの組み付け時に前記ミラー円盤11に固定しておけば、エンジン運転中に前記各反射ミラー3(3a、3d、3c、3b)及び各凹面鏡5a、5d、5c、5bの位置調整は不要となる。
52は入口が前記集合凹面鏡50の焦点C1に開口する1本の光ファイバーで、前記焦点C1に集光せしめられたレーザ光2は該光ファイバー52を通して、後述する凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)に伝送される。
該分配凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)は、前記回転円板54の回転により、前記1本の光ファイバー52の出口C2からのレーザ光2を、エンジンの着火順序で順次反射し、前記分配凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)における反射光は、該分配凹面鏡55a、55d、55c、55bの焦点S1、S4、S3、S2に集光し、該集光部(焦点S1、S4、S3、S2)に開口している前記光ファイバー7(7a、7d、7c、7b)を伝送されて、各シリンダの集合レンズ6a、6d、6c、6bから各シリンダの燃焼室内に照射されるようになっている。
23は凹面鏡回転コントローラで、回転数検出器20から入力されるエンジン回転数の検出値、及びクランク角検出器21から入力されるクランク角の検出値に基づき、前記回転円板54の間歇的な回転制御(図7参照)するものである。
そして集合凹面鏡50の単一の焦点C1に集光したレーザ光2は、入口が前記焦点C1に開口する1本の光ファイバー52を通して、凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)に伝送される。
図6において、該分配凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)は、凹面鏡回転コントローラ23に制御される回転円板54の回転、つまり図7に示されるような間歇的な回転により、前記1本の光ファイバー52の出口C2からのレーザ光2を、エンジンの着火順序で順次反射する。
そして、前記分配凹面鏡55(55a、55d、55c、55b)における反射光は、該分配凹面鏡55a、55d、55c、55bの焦点S1、S4、S3、S2に集光し、該集光部(焦点S1、S4、S3、S2)に開口している前記光ファイバー7(7a、7d、7c、7b)を伝送されて、各シリンダの集合レンズ6a、6d、6c、6bから各シリンダの燃焼室内に照射される。
さらに前記集合凹面鏡50にて集光されて前記ずれが消滅した1本のレーザ光2を、該集合凹面鏡50の焦点Cに入口が開口された1本の光ファイバー52を通してシリンダへのレーザ光を伝送するので、多シリンダのレーザ光を1本の光ファイバー52で伝送でき、レーザ光伝送手段の構造が簡単となって、取扱性、整備性が良好となる。
2 レーザ光
3 反射ミラー
4 集光レンズ
5a、5d、5c、5b 凹面鏡
7、7a、7b、7c、7d 光ファイバー
11 ミラー円盤
13 ミラー回転軸
20 回転数検出器
21 クランク角検出器
22 レーザコントローラ
50 集合凹面鏡
55 分配凹面鏡
100 エンジン
101 カム軸
Claims (3)
- レーザ発振装置から発信されたレーザ光を光ファイバー、レーザ伝送管等のレーザ伝送通路を通して各シリンダの燃焼室内に設けられたターゲットに照射して発生するプラズマにより、該燃焼室内に充填されたガスに着火するように構成されたレーザ着火式エンジンにおいて、エンジンの回転軸に連動して回転駆動されるミラー支持体に円周方向に沿って異なる取付角で以ってシリンダ数と同数取り付けられて前記レーザ発振装置からのレーザ光を前記ミラー支持体の回転に従い反射する反射ミラーと、前記各反射ミラーに対応して設けられ該反射ミラーから入光されるレーザ光を反射して該反射ミラー毎に一点に集光せしめる複数の凹面鏡とを備え、前記各シリンダのレーザ伝送通路の入口を前記各凹面鏡の集光部に配置し、前記各反射ミラーは反射ミラーの幅に相当する一定回転角の間において、該反射ミラーからの反射光が当該反射ミラーに対応するシリンダの前記凹面鏡に入光可能な角度に取付角を設定されて前記ミラー支持体に固定されるとともに、前記複数の凹面鏡は前記エンジンの各反射ミラーのそれぞれからの反射光を受光可能な位置に固定されてなることを特徴とする凹面鏡付きレーザ装置を備えたレーザ着火式エンジン。
- レーザ発振装置から発信されたレーザ光を光ファイバー、レーザ伝送管等のレーザ伝送通路を通して各シリンダの燃焼室内に設けられたターゲットに照射して発生するプラズマにより、該燃焼室内に充填されたガスに着火するように構成されたレーザ着火式エンジンにおいて、エンジンの回転軸に連動して回転駆動されるミラー支持体に円周方向に沿って異なる取付角で以ってシリンダ数と同数取り付けられて前記レーザ発振装置からのレーザ光を前記ミラー支持体の回転に従い反射する反射ミラーと、前記各反射ミラーから入光される前記レーザ光を反射して単一の焦点に集光する複数のシリンダに付き1個設置された集合凹面鏡と、前記レーザ伝送通路を構成し前記集合凹面鏡で集光された複数シリンダ分のレーザ光を伝送する1本のレーザ集合伝送通路と、回転駆動される凹面鏡支持体に円周方向に沿ってシリンダ数と同数取り付けられ前記レーザ集合伝送通路からのレーザ光を前記凹面鏡支持体の回転に従い反射する複数の分配凹面鏡とを備え、前記各シリンダのレーザ光入口を前記各分配凹面鏡の集光部に配置し、前記各反射ミラーは反射ミラーの幅に相当する一定回転角の間において、該反射ミラーからの反射光が前記集合凹面鏡に入光可能な角度に取付角を設定されて前記ミラー支持体に固定され、前記複数の分配凹面鏡は前記凹面鏡支持体の、前記レーザ集合伝送通路からのレーザ光を受光可能な位置に固定されてなることを特徴とする凹面鏡付きレーザ装置を備えたレーザ着火式エンジン。
- 前記エンジンの回転数を検出する回転数検出器と、該エンジンのクランク角を検出するクランク角検出器とを設けるとともに、前記回転数検出器から入力されるエンジン回転数の検出値と前記クランク角検出器から入力されるクランク角の検出値とに基づき該エンジン回転数及びクランク角に対応して前記レーザ発振装置から前記反射ミラーの回転位置に対応してレーザ光を発信せしめるコントローラとを備えたことを特徴とする請求項1または2の何れかの項に記載の凹面鏡付きレーザ装置を備えたレーザ着火式エンジン。
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