JP4302016B2 - レーザ着火装置およびこれを備えたレーザ着火式エンジン - Google Patents
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そこで、予混合希薄燃焼ガスエンジンにおいては、前記点火プラグ着火方式及びパイロット燃料噴射着火方式に代わる着火方式として、レーザ光を燃焼室表面に固定されたターゲットに照射してプラズマ着火を発生させるレーザ着火方式が提案されている。
特許文献1の技術においては、複数シリンダのシリンダヘッドの上方にミラーを設け、レーザ発振装置からクランク角に同期して着火順序で発射されたレーザ光を前記各ミラーに反射させてシリンダヘッドに装着されたレーザ光ガイド内に導入し、該レーザ光ガイド内を通して燃焼室内のターゲットに照射するように構成されている。
また、特許文献2の技術においては、レーザ発振装置とピストン表面上に設けた1個のターゲットとの間のレーザ光の光路内にエンジン回転によってレーザ光を常時ターゲット上に照射できるように焦点可変装置を装備している。
このためかかるレーザ着火装置にあっては、各シリンダの燃焼室内に設けられたターゲットに照射することによりプラズマを発生させ、該プラズマにより前記燃焼室内の混合ガスに着火できる程度までレーザ光の強度を増加すると、前記入光部における単位面積当たりのレーザ光強度つまりレーザ光密度が大きくなって、前記入光部周辺にレーザ光に熱吸収による損傷が発生し易くなり、光ファイバーの耐久性が低下する。
しかしながら、前記特許文献1、2の技術にあっては、かかる問題点についての解決策は提供されていない。
また、前記光ファイバーに入光後のレーザ光は、該光ファイバーの出光部口径をシリンダ側の集光部の径まで縮小しているので、高精度を保持して集光部に集光できる。
従って、かかる発明によれば、光ファイバーのレーザ光入光部近傍におけるレーザ光による損傷の発生を防止することにより光ファイバーの耐久性を向上しつつ、レーザ光の強度増大によるレーザ着火エネルギーの増大を実現したレーザ着火装置およびこれを備えたレーザ着火式エンジンを提供できる。
(1)前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられるプリズムを備え、前記レーザ光を前記プリズムを通して前記各シリンダの前記光ファイバーの入光部に導入するように構成される。
(2)前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられるレンズを備え、前記レーザ光を前記レンズを通して前記各シリンダの前記光ファイバーの入光部に導入するように構成される。
(3)前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられ該回転手段の回転軸に対して傾斜して設けられたミラーを備え、前記レーザ光を前記ミラーに反射させ、該ミラーからの反射レーザ光を該反射レーザ光に対応して配置された前記光ファイバーの入光部に導入するように構成される。
(4)前記分配装置は、前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられて前記レーザ光を反射させ各シリンダに分配する分配ミラーと、該分配ミラーをエンジンの回転に同期して回転せしめる同期装置とを備え、前記レーザ光を前記分配ミラーにより各シリンダ毎に異なる方向に反射させ、該分配ミラーからの反射レーザ光を、該反射レーザ光の方向に対応して配置された前記光ファイバーの入光部に導入するように構成される。
また、前記光ファイバーに入光後のレーザ光は、該光ファイバーの出光部口径をシリンダ側の集光部の径まで縮小しているので、高精度を保持して集光部に集光できる。
従って、本発明によれば、光ファイバーのレーザ光入光部近傍におけるレーザ光による損傷の発生を防止することにより光ファイバーの耐久性を向上しつつ、レーザ光の強度増大によるレーザ着火エネルギーの増大を実現したレーザ着火装置およびこれを備えたレーザ着火式エンジンを提供できる。
図5は、以下に示す本発明の第1〜第4実施例におけるレーザ着火式エンジンの全体構成図である。
図5において、100はエンジン(この実施例では6シリンダのガスエンジンを示す)、101は該エンジン100のシリンダヘッドである。
1はレーザ光(レーザパルス)2aを発信するレーザ発振装置、2は前記レーザ発振装置1から発信されるレーザ光2aのパルス間隔、レーザ光エネルギー(レーザ光の強さ)等を制御するレーザ制御装置である。
9は光ファイバーで、前記レーザ発振装置1から発信され、後述する分配装置4を経たレーザ光2aを各シリンダヘッド101内のレーザ光集光装置(図示省略)に伝播するもので、シリンダ数と同数設けられている。
4aは前記エンジン100のクランク角を検出するクランク角検出器で、たとえば、該エンジン100のクランク軸(図示省略)に連結された回転軸(図示省略)を介してクランク角を検出するタイミング円板(図示省略)からなる。4bは前記エンジン100の回転数を検出するエンジン回転数検出器である。
3は前記クランク角検出器4aからのクランク角検出値及びエンジン回転数検出器4bからのエンジン回転数検出値に基づき後述する制御動作を行うコントローラである。
図1において、1はレーザ光(レーザパルス)2aを発信するレーザ発振装置、2は前記コントローラ3からの制御信号に基づき、前記レーザ発振装置1から発信されるレーザ光2aのパルス間隔、レーザ光エネルギー(レーザ光の強さ)等を制御するレーザ制御装置である。
41はプリズムで、回転軸心43回りに回転するプリズムホルダー42の内部に支持されている。該プリズムホルダー42は外歯歯車に構成されている。5は同期装置で、前記エンジン100の回転数と同一回転数でかつ該エンジン100の着荷順序と同期して回転せしめられる。7は前記同期装置5に連動して回転せしめられる駆動歯車で、前記プリズムホルダー42の外歯歯車と噛み合うことにより、該プリズムホルダー42及びプリズム41を回転駆動している。
具体的には、前記入光部9aの口径d1は、前記プリズム41の回転で各シリンダに分配されたレーザ光2aの入光位置にある程度ずれがあっても入光可能な口径とする。また前記出光部9bの口径d2は、前記シリンダヘッド101内の集光部(図示省略)の径まで縮小している。前記入光部9a(d1)と出光部9b(d2)との間の口径dは、通常前記入光部9aの口径d1を、一定長さでテーパ状にd2まで縮径してから、残りの長さを出光部9b(d2)と同一径に形成する。
また、前記同期装置5においては、各シリンダの着火順序とエンジン回転数の検出値及びクランク角検出値とに従って、前記プリズム41を、該プリズム41から出光されたレーザ光2aが各シリンダの光ファイバー9の前記入光部9aに入射されるような回転角で回転せしめる。
これにより、前記プリズム41からのレーザ光2aを、各シリンダの光ファイバー9の入光部9aに精度良く集光させることができる。
然るにかかる第1実施例においては、前記各シリンダへの光ファイバー9は、前記分配装置4側の入光部9aの口径d1を前記シリンダ側の出光部9bの口径d2よりも大きく形成しているので、該入光部9aにおけるレーザ光2aの通過面積が大きくなって、レーザ光強度を一定とすると、単位面積当たりのレーザ光強度を小さくできる。
一方、前記入光部9aにおけるレーザ光2aの通過面積の拡大により、前記単位面積当たりのレーザ光強度を前記光ファイバー9の損傷の発生限界まで大きくすることによりレーザ光の入射エネルギーを増大することが可能となり、これにより、エンジン100の燃焼室内におけるレーザ着火性能を向上できる。
また、前記光ファイバー9に入光後のレーザ光2aは、該光ファイバー9の出光部9bの口径d2をシリンダ側の集光部の径まで縮小しているので、高精度を保持して集光部に集光できる。
この第2実施例においては、前記分配装置4が前記第1実施例と異なる。
即ち、図2において、51はレンズで、回転軸心43回りに回転するレンズホルダー52の内部に、垂直線に対して所定の角度αで以って傾斜して取り付けられている。該レンズホルダー52は外歯歯車に構成されている。5は同期装置で、前記エンジン100の回転数と同一回転数でかつ該エンジン100の着火順序と同期して回転せしめられる。7は前記同期装置5に連動して回転せしめられる駆動歯車で、前記レンズホルダー52の外歯歯車と噛み合うことにより、該レンズホルダー52及び傾斜して取り付けられたレンズ51を回転駆動している。
また、前記同期装置5においては、各シリンダの着火順序とエンジン回転数の検出値及びクランク角検出値とに従って、前記レンズ51を、該レンズ51から出光されたレーザ光2aが各シリンダの光ファイバー9の前記入光部9a(図1参照)に入射されるような回転角で回転せしめる。
これにより、前記レンズ51からのレーザ光2aを、各シリンダの光ファイバー9の入光部9aに精度良く集光させることができる。
その他の構成、作用効果は前記第1実施例(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
この第3実施例においては、前記分配装置4が前記第1〜第2実施例と異なる。
即ち、図3において、10はミラーで、回転駆動される回転軸11に、その軸心に対して所定角度傾斜して取り付けられている。該回転軸11は、前記第1〜第2実施例と同様な同期装置5によって、エンジン100(図1参照)の回転数と同一回転数でかつ該エンジン100の着火順序と同期して回転せしめられる。
かかる第3実施例において、前記コントローラ3においては、前記クランク角検出器4aからのエンジン100のクランク角検出値とエンジン回転数検出器4からのエンジン回転数検出値に基づき、エンジン着火順序の設定値及びエンジン回転数の検出値に対応するレーザパルス発信間隔を算出し、前記レーザ制御装置2に入力するとともに、シリンダ毎の着火順序に対応するミラー10の回転角と前記レーザパルスの発信間隔とを同期させて前記同期装置5に入力する。
また、前記同期装置5においては、各シリンダの着火順序とエンジン回転数の検出値及びクランク角検出値とに従って、前記ミラー10を、該ミラー10で反射されたレーザ光2aが各シリンダの光ファイバー9の前記入光部9aに入射されるような回転角で回転せしめる。
これにより、前記該ミラー10で反射されたレーザ光2aを、各シリンダの光ファイバー9の入光部9aに精度良く集光させることができる。
その他の構成、作用効果は前記第1実施例(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
この第4実施例においては、前記分配装置4が前記第1〜第3実施例と異なる。
即ち、図4において、16は分配ミラーで、回転装置15により回転駆動されるミラー回転軸17に取り付けられて該ミラー回転軸17と連動して回転せしめられる。該ミラー回転軸17は、前記第1〜第2実施例と同様な同期装置5によって、エンジン100(図1参照)の回転数と同一回転数でかつ該エンジン100の着火順序と同期して回転せしめられる。
かかる第4実施例において、前記コントローラ3においては、前記クランク角検出器4aからのエンジン100のクランク角検出値とエンジン回転数検出器4bからのエンジン回転数検出値に基づき、エンジン着火順序の設定値及びエンジン回転数の検出値に対応するレーザパルス発信間隔を算出し、前記レーザ制御装置2に入力するとともに、シリンダ毎の着火順序に対応する分配ミラー16の回転角と前記レーザパルスの発信間隔とを同期させて前記回転装置15に入力する。
また、前記回転装置15においては、各シリンダの着火順序とエンジン回転数の検出値及びクランク角検出値とに従って、前記回転軸17を介して前記分配ミラー16を、該分配ミラー16で反射されたレーザ光2aが各シリンダの光ファイバー9の前記入光部9aに入射されるような回転角で回転せしめる。
これにより、前記分配ミラー16で反射されたレーザ光2aを、各シリンダの光ファイバー9の入光部9aに精度良く集光させることができる。
その他の構成、作用効果は前記第1実施例(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
尚、本発明は前記各実施例におけるレーザ着火式エンジンに限らず、光ファイバーを用いてレーザ光を伝送するすべてのレーザ着火装置に適用できる。
101 シリンダヘッド
1 レーザ発振装置
2 レーザ制御装置
2a レーザ光
3 コントローラ
4 分配装置
4a クランク角検出器
4b エンジン回転数検出器
5 同期装置
9 光ファイバー
9a 入光部
9b 出光部
10 ミラー
16 分配ミラー
41 プリズム
51 レンズ
Claims (6)
- レーザ発振装置からのレーザ光を分配装置により複数の光ファイバーに分配して該光ファイバーの入光部から光ファイバー内に入光し、該レーザ光を前記光ファイバー内を通してこれの出光部からターゲットに照射することによりプラズマを発生させ、該プラズマにより被燃焼体を燃焼させるように構成されたレーザ着火装置において、前記各光ファイバーは、前記入光部の口径を前記出光部の口径よりも大きく形成してなることを特徴とするレーザ着火装置。
- レーザ発振装置からのレーザ光を分配装置により複数の光ファイバーに分配して該光ファイバーの入光部から光ファイバー内に入光し、該レーザ光を前記光ファイバー内を通してこれの出光部から各シリンダの燃焼室内に設けられたターゲットに照射することによりプラズマを発生させ、該プラズマにより前記燃焼室内の混合ガスに着火するように構成されたレーザ着火式エンジンにおいて、前記各光ファイバーは、前記入光部の口径を前記出光部の口径よりも大きく形成してなることを特徴とするレーザ着火装置を備えたレーザ着火式エンジン。
- 前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられるプリズムを備え、前記レーザ光を前記プリズムを通して前記各シリンダの前記光ファイバーの入光部に導入するように構成されてなることを特徴とする請求項2記載のレーザ着火式エンジン。
- 前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられるレンズを備え、前記レーザ光を前記レンズを通して前記各シリンダの前記光ファイバーの入光部に導入するように構成されてなることを特徴とする請求項2記載のレーザ着火式エンジン。
- 前記分配装置は、回転手段により前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられ該回転手段の回転軸に対して傾斜して設けられたミラーを備え、前記レーザ光を前記ミラーに反射させ、該ミラーからの反射レーザ光を該反射レーザ光に対応して配置された前記光ファイバーの入光部に導入するように構成されてなることを特徴とする請求項2記載のレーザ着火式エンジン。
- 前記分配装置は、前記シリンダの着火順序に従って回転せしめられて前記レーザ光を反射させ各シリンダに分配する分配ミラーと、該分配ミラーをエンジンの回転に同期して回転せしめる同期装置とを備え、前記レーザ光を前記分配ミラーにより各シリンダ毎に異なる方向に反射させ、該分配ミラーからの反射レーザ光を、該反射レーザ光の方向に対応して配置された前記光ファイバーの入光部に導入するように構成されてなることを特徴とする請求項2記載のレーザ着火式エンジン。
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