JP4354301B2 - 二種のターゲット部材を備えたレーザ着火式エンジン - Google Patents
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Description
このような条件下においてもある程度安定した着火が可能な雰囲気を作り出すことが求められる。レーザ着火式エンジンにおいて着火可能な雰囲気を形成する主要な因子の1つはパルスレーザ照射により生成するプラズマの強度を増大することである。プラズマの強度は照射するレーザのエネルギーが大きいほど増大する。従って一般には、強いエネルギーのレーザを照射することで起動時の着火安定性の確保が図られる。
しかしながら、電気抵抗が大きく、且つ高温耐久性が大きいセラミック材の大半はレーザ照射による損耗が大きいという欠点があり、長時間の使用には耐えられない。これらのセラミック材はある時間までは大きな強度のプラズマを発生するが、その後レーザ照射による損耗が進むため急激にプラズマ強度が低下する。チタン合金もセラミック材ほどの急激なプラズマ強度の低下はないが、セラミック材と同様な傾向を示す。
前記起動時用ターゲット部材の材質は電気抵抗が150μΩ・cm以上のチタン合金或はセラミック材とし、通常運転時用ターゲット部材の材質は電気抵抗が70μΩ・cm以上のステンレス鋼或は耐熱合金鋼とすることを特徴とする。
また、通常運転時間に対して起動運転時間は少ないので、起動用ターゲット部材のプラズマ光照射に対する有効寿命が短くても、全体として長時間の寿命を確保することができる。
前記プリズム装置は、エンジンの回転数により起動時か通常運転時かが前記コントローラにより判断されて該コントローラから発信される信号によりレーザ光の光路を変換するか或は変換しないかの位置に切り替えられる。前記コントローラはクランク角検出信号に応じてレーザ光の発射時期を、即ち点火時期を制御する。勿論、前記コントローラにエンジン負荷の検出信号を入力して、エンジン回転数と負荷に応じて着火時期が制御されるようにしてもよい。
前記両レーザ光ガイド7、8は同じ構成であり、光ファイバー7a、8a で導かれてきたレーザ光が集光ガラス7b、8bを通って前記ピストン3の表面に配設されたターゲット部材9、10に夫々照射されように前記シリンダヘッド3に装着されている。前記ターゲット部材9、10のうち、片方、例えば9は通常運転時用のターゲット部材であり、10は起動時用のターゲット部材である。
前記起動時用ターゲット部材10は電気抵抗が150μΩ・cm以上のチタン合金或はセラミック材で製作されており、前記通常運転時用ターゲット部材9は電気抵抗が70μΩ・cm以上のステンレス鋼或は耐熱合金鋼で製作されている。
16はパルスレーザ発射装置、17はプリズム装置である。該プリズム装置は、起動時と通常運転時とで前記パルスレーザ発射装置16から発射されたレーザ光の光路を切り替える装置を含んでいる。18、19は夫々通常運転時用及び起動時用の集光レンズであり、20はコントローラである。
なお、FK1、FK4は起動時にレーザ光を夫々No.1、No.4シリンダの起動時用レーザ光ガイド(図3の8)に導く光ファイバーであり、FS1、FS4は通常運転時にレーザ光を夫々No.1、No.4シリンダの通常運転時用レーザ光ガイド(図3の7)に導く光ファイバーである。No.2及びNo.3シリンダのレーザ光ガイドに導く光ファイバーFK2,FS2,FK3,FS3は図示を省略してある。
前記集光レンズ18、19は前記回転ミラー保持体15の回転軸15a方向に平行してずらして配置されている。そして、レーザ光は前記回転ミラー保持体15の回転中心を通って回転軸15aに直交する方向に発射される。前記プリズム装置17を通ったレーザ光は、通常運転時には通常運転時用集光レンズ18の中心を通り、起動時には起動時用集光レンズ19の中心を通るように、切り替えられる。この切替えは、カム軸(或はクランク軸)回転数により通常運転時か起動時かを判定する前記コントローラ20からの判定信号により行われる。
また、該コントローラ20は、前記の回転センサ13からの信号により通常運転時か起動時かを判断した判断信号を電線17aで前記プリズム装置17に送る。前記プリズム装置17では該判断信号に応じて前記レーザ発射装置16から発射されたレーザ光の光路変更を行う。前記コントローラ20にエンジン負荷を入力して、エンジン負荷と回転数に応じてレーザ発射時期を制御するようにしてもよいことは勿論である。
これは、レーザ光を各シリンダに装着されたレーザ光ガイドに導く光ファイバーの中心位置が各光ファイバーによって異なるのに対応するためである。これらの光ファイバーのレーザ光入射点は、図2(A)に示されるように、回転ミラー保持体15の回転中心を通り回転軸15aに直交する線上に重ねて配置してある。
これら光ファイバーへのレーザ光入射点が、起動時用のレーザ光についてはK(添え字は気筒No.を示す。)で、通常運転時用のレーザ光についてはS(同様に添え字は気筒No.を示す。)で示してある。図2(A)の例では、上からK3、K2、K4、K1、S3、S2、S4、S1の順に配置されている。
そして、前記プリズム装置17におけるレーザ光路の回転ミラー保持体15の回転軸15aに平行方向への光路変更は、K1とS1との間隔(K2とS2、K3とS3、K4とS4との間隔も同じにされる。)に応じた量だけずらされる。従ってK1とS1とは平行光線となる(K2とS2、K3とS3、K4とS4についても同じ。)。
2 シリンダ
3 ピストン
4 吸気弁
5 排気弁
6 燃焼室
7 通常運転時用レーザ光ガイド
8 起動時用レーザ光ガイド
9 通常運転時用ターゲット部材
10 起動時用ターゲット部材
11 シリンダヘッド
12 カムシャフト
13 回転センサ
14 クランク角センサ
15 回転ミラー保持体
16 レーザ発射装置
17 プリズム装置
18 通常運転時用集光レンズ
19 起動時用集光レンズ
20 コントローラ
100 4気筒エンジン
Claims (4)
- 燃焼室にターゲット部材を設けて該ターゲット部材にレーザ光を照射して発生するプラズマにより燃焼室内の混合気を着火させるレーザ着火式エンジンにおいて、エンジン起動時にレーザ光を照射する起動時用ターゲット部材とシリンダヘッドに装着された起動時用レーザ光ガイドとを備えるとともに、通常運転時にレーザを照射する通常運転時用ターゲット部材とシリンダヘッドに装着された通常運転時用レーザ光ガイドとを備え、
前記起動時用ターゲット部材の材質は電気抵抗が150μΩ・cm以上のチタン合金或はセラミック材とし、通常運転時用ターゲット部材の材質は電気抵抗が70μΩ・cm以上のステンレス鋼或は耐熱合金鋼とすることを特徴とする二種のターゲット部材を備えたレーザ着火式エンジン。 - レーザ発射装置と、該レーザ発射装置からのレーザ光の光路を変換できるプリズム装置と、該プリズム装置で光路を変換されたレーザ光と光路を変換されないレーザ光を夫々集光する集光レンズと、集光されたレーザ光を反射する鏡面を有しエンジンのカム軸に同期して回転される回転ミラー保持体と、該回転ミラー保持体の鏡面から反射されたレーザ光を前記起動時用レーザ光ガイド及び通常運転時用レーザ光ガイドに導く光ファイバーと、エンジン回転数を検出する回転センサと、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサと、前記回転センサとクランク角センサの検出信号を受けて前記レーザ発射装置のレーザ発射時期及び前記プリズム装置の光路切替えを制御するコントローラとを備えたことを特徴とする請求項1記載の二種のターゲット部材を備えたレーザ着火式エンジン。
- 前記コントローラは前記回転センサからの信号によって起動時を判断し、前記プリズム装置は前記コントローラからの判断信号により前記レーザ発射装置から発射されたレーザ光の光路を切り替えることを特徴とする請求項2記載の二種のターゲット部材を備えたレーザ着火式エンジン。
- 前記回転ミラー保持体はエンジン気筒数と同数の鏡面を有し、各鏡面は各気筒へレーザ光を導く各光ファイバーの中心部にレーザ光が入光するように各光ファイバーの位置に応じて前記レーザ発射装置から発射されたレーザ光の光路方向に対する夫々の傾斜角が設定されていることを特徴とする請求項3記載のレーザ着火式エンジン。
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