JP4353721B2 - 医療用粘着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療分野で使用される粘着シートに関する。特に、有機溶剤を使用せずに形成された粘着剤層を有する医療用粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
サージカルテープや絆創膏、あるいは心電図測定のための電極固定用ベース剤等のように、医療に種々の形態で粘着シートが用いられているが、医療用粘着シートに用いられる粘着剤としてはアクリル系重合体からなるものが多い。アクリル系重合体は、有機溶剤等を用いて粘度を調節してから、例えば基材や剥離紙の上に塗布等されることが一般的である。粘度調節に使用した有機溶剤等は、塗布後、揮発除去される。
しかしながら、有機溶剤の揮発除去が十分に行われず、乾燥不足等によって有機溶剤が粘着剤中に残留してしまうことがある。絆創膏等のように、粘着剤が人体に直接触れる場合には、粘着剤中に残留した有機溶剤が皮膚から体内に吸収されて発疹等の炎症を引き起こすことがある。また、乾燥工程において揮発除去された有機溶剤は、環境汚染の原因となったり、作業者の健康安全面等から問題となっていた。
特開2000−239341号公報、および、特開2002−60456号公報には、有機溶剤を用いないで形成される硬化粘着物が開示されているが、これらは、作業性、コスト、皮膚への粘着力や糊残り等の粘着性能等において問題があった。したがって、絆創膏等の医療用粘着シートに従来の粘着物を用いた場合には、皮膚への粘着特性、皮膚刺激性等の特性について、バランスのとれた特性を有するものは得られなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−239341号公報
【特許文献2】
特開2002−60456号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、有機溶剤を用いないで形成された粘着剤層を有する医療用粘着シートであって、皮膚への粘着性が良好で、皮膚刺激性および角質損傷が極めて軽微な粘着剤層を有する医療用粘着シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の医療用粘着シートは、下記一般式(1)で示されるウレタンオリゴマーを含有する層を有することを特徴とする。
A−J−(Q−J)−M …(1)
但し、式(1)中、Aは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの脱水素残基、Jは、有機ジイソシアネート化合物のウレタン結合残基、Qは、数平均分子量が500〜5,000であるプロピレンオキシド重合体の脱水素残基であり、Mはモノオール化合物の脱水素残基であり、rは1〜10の整数である。
ここで、前記式(1)におけるAは、CH=CRCO(CHO−(式中、Rが水素あるいはメチル基、mが2〜4の整数)で表されることが好ましい。
また、前記式(1)におけるJは、−CONH−R−NHCO− (式中、Rが、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、および芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されることが好ましい。
また、前記式(1)におけるMを構成するモノオール化合物が、アルコキシポリプロピレングリコール、脂肪族アルコール、または、水酸基含有(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、前記ウレタンオリゴマーは、数平均分子量が1×10〜5×10であることができる。
また、前記ウレタンオリゴマーに活性エネルギーを与えて架橋させて生じた硬化物は、有機溶媒不溶分が10〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
また、前記活性エネルギーの付与は、放射線の照射によって行うことができる。
また、前記硬化物は、一定の硬化率を有することができる。
また、さらに基材を有することができる。
また、前記粘着シートは、剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度でフェノール樹脂板から剥離した時の引張応力が、2N/20mm〜7N/20mmであり、かつ、剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度で人体の皮膚から剥離した時の引張応力が、0.4N/20mm〜2N/20mmであることができる。
また、前記粘着シートは、粘着剤層の厚み換算50μm、温度40℃、相対湿度30%の条件下で測定したときの透湿度が、500g/m・24時間〜3,000g/m・24時間であることができる。
また、前記粘着シートは、皮膚に貼付し、6時間後に剥離した時の角質損傷面積率が、50%以下であることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の医療用粘着シートは、粘着剤層を有し、この粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、下記一般式(1)で示されるウレタンオリゴマーを含有する。
A−J―(Q−J)―M …(1)
ただし、式(1)中、Aは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの脱水素残基である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
CH=CRCO(CHO− …(2)
ただし、式(2)中、Rは水素またはメチル基、mは2〜4の整数である。
【0007】
式(1)中、Jは、有機ジイソシアネート化合物のウレタン結合残基である。例えば、下記一般式(3)で表されるものであることが好ましい。
−CONH−R−NHCO− …(3)
ただし、式(3)中、Rは鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、および芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0008】
式(1)におけるJを構成する有機ジイソシアネート化合物としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0009】
式(1)におけるQは、プロピレンオキシド単独重合体の脱水素残基である。例えば、下記一般式(4)で表されるものであることが好ましい。
−(OR−O− …(4)
但し、式(4)中、nは整数であり、プロピレンオキシド単独重合体の数平均分子量が500〜5,000となるようにする数である。また、Rは、−CHCHCH− あるいは、−CHCHCH− である。
【0010】
式(1)におけるMは、モノオール化合物の脱水素残基である。Mを構成するモノオール化合物としては、例えば、アルコキシポリプロピレングリコール、脂肪族アルコール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルコキシポリプロピレングリコールとしては、
−O(CHCH(CH)−O)v−CH …(5)
で表されるものが好ましい。ここで、vは整数であり、アルコキシポリプロピレングリコールの数平均分子量が200〜1,000となるようにする数である。
脂肪族アルコールとしては、−O−(CH)−H (式中、wは1〜30の整数)で表される直鎖脂肪族アルコールが好ましい。
また、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、−O(CH)−OCO−CR=CH で表されるものが好ましい。但し、Rは水素またはメチル基であり、xは2〜4の整数である。
【0011】
式(1)において、rは、1〜10の整数である。また、式(1)で表されるウレタンオリゴマーは、数平均分子量が、1×10〜5×10の範囲内であることが好ましい。ウレタンオリゴマーの数平均分子量がこの範囲内であれば、医療用粘着シートとしての粘着特性を満足することができる。
【0012】
以下に、式(1)で表されるウレタンオリゴマーの製造方法の一例を示す。
まず、プロピレンオキシドの単独重合体と、有機ジイソシアネート化合物とを反応させる。その際、無触媒でもよいが、触媒を使用することが好ましく、例えば、有機金属触媒または塩基性触媒の存在下で、温度が常温〜100℃の範囲内で攪拌し反応させることが好ましい。
有機金属触媒、塩基性触媒等の触媒としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、テトラ−n−ブチル錫、トリ−n−ブチル錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライド、トリメチル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクテン酸錫、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンが挙げられる。
この反応を、下記反応式(6)に示す。
【0013】
【化1】
Figure 0004353721
【0014】
式中、Rは式(3)におけるRと同一であり、Rおよびnは、式(4)におけるRおよびnとそれぞれ同一であり、rは式(1)におけるrと同一である。
【0015】
次に、式(6)に示す反応によって得られた、イソシアネート基を両末端に有する重合体に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物と、モノオール化合物とを加え、例えば、p−メトキシフェノール、およびジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン存在下、55〜90℃で加熱攪拌すると、式(1)で表されるウレタンオリゴマーが得られる。この反応を下記反応式(7)に示す。
【0016】
【化2】
Figure 0004353721
【0017】
式(7)中、Rは式(2)におけるRと同一、Rは式(3)におけるRと同一、Rは式(4)におけるRと同一であり、m、n、および、rは、それぞれ式(6)におけるm、n、rと同一である。
また、Rは、−O−(CHCH(CH)−O)−CH、−O−(CH)−H、または、−O−(CH)−OCOCR=CHである。ここで、Rは、水素またはメチル基であり、vは式(5)におけるvと同一であり、wは1〜30の整数であり、xは2〜4の整数である。
【0018】
本発明においては、ウレタンオリゴマーの製造過程において、必要に応じて、ジ−t−ブチルヒドロキシフェノール等の酸化防止剤、p−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤等を添加することができる。
また、本発明の粘着剤組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、公知の可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤、粘着付与剤、抗菌剤、殺菌剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0019】
式(1)で表されるウレタンオリゴマーは、反応性が高く、活性エネルギーが与えられると、複数のウレタンオリゴマーの分子末端に存在するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの不飽和基同士が迅速に反応して架橋し、硬化物となる。このウレタンオリゴマーは架橋されると凝集力が向上し、硬化物は適度な粘着力を発現することができる。活性エネルギーは、紫外線、電子線、電磁波等の放射線を照射することにより与えることができる。また、場合によっては、活性エネルギーは熱であってもよい。
【0020】
紫外線等を照射してウレタンオリゴマーを硬化する場合には、光重合開始剤を添加することが好ましい。重合開始剤としては、例えば、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドの中から選ばれる少なくとも一種類を用いることができる。
【0021】
熱によりウレタンオリゴマーを架橋させる場合には、熱重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合開始剤としては、ジラウリロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの中から選ばれる少なくとも一種類を用いることができる。
【0022】
電子線を照射してウレタンオリゴマーを架橋させる場合には、重合開始剤を必要としない。したがって、得られた硬化物は、皮膚刺激が一層低減されたものとなる。
【0023】
式(1)で表されるウレタンオリゴマーは、所定量の活性エネルギーが与えられれば、与えられた活性エネルギーの量とは関係なく、一定量の架橋率(硬化率)が達成される。例えば、紫外線の照射量が130mJ/cm〜1300mJ/cmの範囲内であれば、一定量の架橋率(硬化率)の粘着剤層が得られる。したがって、硬化させて形成した粘着剤層に、滅菌処理等のため、1kGy〜30kGy程度のγ線をさらに照射しても粘着剤層の硬化率に変化はなく、皮膚粘着力等の粘着剤特性に変化が生じることもない。
【0024】
式(1)で表されるウレタンオリゴマーは、例えば25℃では粘度が100Pa・sであるが、60℃付近では、粘度が10〜50Pa・sと低くなるので、有機溶剤で粘度を調整する必要がなく、そのまま基材等に塗工して粘着剤層を形成することができる。また、ホットメルト粘着剤では100℃以上に加熱する必要があるが、上記ウレタンオリゴマーを使用すれば、約60℃の温度で粘着剤層を形成することができる。本発明のように粘着剤層の形成において有機溶剤を使用しなければ、有機溶剤による環境汚染を防止することができ、作業上の安全性を確保することができる。また、粘着剤層に有機溶剤が残存することがなく、皮膚に対する刺激も低減することができる。
【0025】
式(1)で表されるウレタンオリゴマーに活性エネルギーを与えて架橋させて生じた硬化物は、溶媒(トルエン)不溶分が10〜60重量%、好ましくは30〜50重量%の範囲内であることが好ましい。溶媒不溶分が10〜60重量%の範囲内であれば、 皮膚面に貼付して剥離する際に皮膚面に粘着剤が残留することなく、適度な皮膚接着力を有するものとなる。
【0026】
本発明の医療用粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に、式(1)で表されるウレタンオリゴマーを含有する粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有することができる。例えば、基材の一方の面に、本発明の粘着剤組成物を塗工した後、活性エネルギーを与えて硬化させて、粘着剤層を有する粘着シートを得ることができる。また、透明な剥離シートを塗工した上に更に設けて、この剥離シートの上から放射線を照射して粘着剤層を形成してもよい。このように粘着剤塗工液の上を剥離シートで覆った形態で活性エネルギーを与えると、電子線等の照射の際に酸素との接触を避けることができる。
【0027】
用いられる基材としては、粘着剤を保持しうるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリエーテルウレタン等のウレタン系ポリマー、ポリエーテルアミド等のアミド系ポリマー、ポリアクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステル等のポリエステル系ポリマー等からなるものが挙げられる。基材は、単層であっても複数の層からなる積層体でもよく、積層体の場合には、各層が、同一材料からなるものでも、異なる種類の材料からなるものでもよい。皮膚貼付中に蒸れ等が生じないように、基材の材料を、不織布、織布等の布、水蒸気透過性のポリマーシートから選択することが好ましい。
基材の厚みは、特に限定されるものではなく、目的や用途に応じて、適宜選択することができるが、一般的には、10μm〜100μmが好ましい。
なお、本発明において、「シート」という場合には、フィルムを含み、「フィルム」という場合には、シートを含む概念とする。
【0028】
本発明の医療用粘着シートは、剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度でフェノール樹脂板から剥離した時の引張応力が、2〜7N/20mm、好ましくは3〜5N/20mmである。フェノール樹脂板から剥離した時の引張応力がこの範囲内であれば、粘着剤層が適度な粘着力を有し、凝集破壊を生じることがない。
剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度で人体の皮膚から剥離した時の引張応力は、0.4〜2N/20mm、好ましくは、0.6〜1.5N/20mmであることが好ましい。皮膚から剥離した時の引張応力がかかる範囲内であれば、充分な皮膚粘着力を有し、かつ、皮膚へ損傷を与えずに剥離することができるからである。
【0029】
医療用に用いられる粘着シートは、皮膚に貼付してから6時間経過後に剥離した時の角質損傷面積率が、50%以下であることが好ましい。本発明の医療用粘着シートは、この条件を満足することができる。
【0030】
本発明の医療用粘着シートは、粘着剤層の厚み換算50μm、温度40℃、相対湿度30%の条件下で測定したときの透湿度が、500g/m・24時間〜3,000g/m・24時間であることが好ましい。粘着シート全体の透湿度がこの範囲内であれば、皮膚に長時間貼付しても、蒸れやかぶれを防ぐことができるからである。
【0031】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、以下において、「部」とあるのは「重量部」を意味するものとする。
【0032】
(実施例1)
数平均分子量が4,000のプロピレンオキシドの単独重合体1,000部、および、有機ジイソシアネート化合物であるイソホロンジイソシアネートを105部、触媒(ジブチル錫ジラウレートを0.2部)の存在下、温度が80℃〜100℃で加熱攪拌し、反応させた。次いで、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物である2−ヒドロキシエチルアクリレートを13部、モノオール化合物である12−ヒドロキシステアリン酸を36部、および、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを0.2部加え、温度が85℃で8時間加熱攪拌して、式(1)で表されるウレタンオリゴマーを得た。
【0033】
得られたウレタンオリゴマー98.5部に、光重合開始剤として4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンを1.5部加えて十分に混合して粘着剤組成物を作製した。この粘着剤組成物を60℃に加温して、粘度を50Pa・s以下に低下させてから、剥離処理したポリエステルフィルム(75μm厚)の剥離処理面上に、硬化後の厚みが50μmになるように塗工した。次に、塗工した粘着剤組成物の上に、基材としてポリエステル系不織布(日本紙業(株)製の「NS3500」(35g/m))を貼り合わせた後、ポリエステルフィルム面側から紫外線(650mJ/cm)を照射して、粘着剤組成物を硬化させた。このようにして、粘着剤層を有する粘着シートを作製した。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、紫外線の照射量を、650mJ/cmから130mJ/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0035】
(実施例3)
実施例1において、紫外線の照射量を、650mJ/cmから1,300mJ/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0036】
(実施例4)
実施例1において、紫外線(650mJ/cm)を照射して粘着剤組成物を硬化させた後、さらに粘着剤層にγ線(25kGy)を照射した以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0037】
(実施例5)
数平均分子量が3,000のプロピレンオキシドの単独重合体1,000部、および、イソホロンジイソシアネートを124部、触媒の存在下、温度が80℃〜100℃で加熱攪拌し、反応させた。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレートを8部、12−ヒドロキシステアリン酸を21部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを0.2部加え、温度が85℃で8時間加熱攪拌して式(1)で表されるウレタンオリゴマー(数平均分子量20,000)を得た。
次に、得られたウレタンオリゴマーを用いて実施例1と同様にして、粘着剤組成物を作製した。また、この粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。
【0038】
(比較例1)
実施例1において、プロピレンオキシドの単独重合体の替わりに、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)との共重合体(ポリオール比がPO:EO=90:10)を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0039】
(比較例2)
実施例1において、プロピレンオキシドの単独重合体の替わりに、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)との共重合体(ポリオール比がPO:EO=40:60)を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0040】
(比較例3)
実施例1において、プロピレンオキシドの単独重合体の替わりに、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)との共重合体(ポリオール比がPO:EO=25:75)を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0041】
(比較例4)
アクリル酸イソノニル65部、アクリル酸2−メトキシエチル30部、および、アクリル酸5部を共重合させてアクリル系共重合物を得た。得られたアクリル系共重合物の100部を、トルエン200部中に溶解させて、均一な粘着剤層用塗布液を作製した。この塗布液を、剥離処理を施したポリエステルフィルム(75μm厚)の剥離処理面に、乾燥後の厚みが50μmになるように塗工して、110℃で、3分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、この粘着剤層を、支持体基材であるポリエステル系不織布(日本紙業(株)製の「NS3500」(35g/m))に転写して、粘着シートを作製した。
【0042】
(評価試験)
実施例1〜5、比較例1〜4で得られた粘着シートについて、下記の評価試験を行った。その結果を表2に示す。なお、評価試験に際しては、粘着シートからポリエステルフィルム(剥離ライナー)を剥がしておいた。
【0043】
▲1▼ 溶媒(トルエン)不溶分
粘着シートの粘着剤層から、粘着剤を0.5g採取し、正確に重量(W)を精秤した。次に、この粘着剤をトルエン50g中に入れ、常温で7日間、可溶分を抽出した。その後、不溶分(トルエン不溶分)をポリテトラフルオロエチレン製の多孔質膜(平均孔径0.2μmのNTF膜、日東電工(株)製)で濾別し、乾燥させた。乾燥後の粘着剤の重量(W)を精秤し、次式により、溶媒(トルエン)不溶分の重量%を求めた。
溶媒不溶分(%)=(W×100)/(W
【0044】
▲2▼ フェノール樹脂板粘着力
幅20mmに切断した粘着シートをフェノール樹脂板に貼付し、重さ2kgのローラーを1往復させて圧着させた。30分経過した後、粘着シートを引き剥がし、その際の剥離力を測定した。ただし、測定には(株)島津製作所製の引張試験機「オートグラフAGS−100D」を用い、温度23℃、相対湿度65%、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、引張応力(N/20mm)を測定した。また、剥離後の粘着剤層の破壊形態が、凝集破壊であるか、界面破壊であるかを、肉眼で観察した。
【0045】
▲3▼ 皮膚粘着力
幅20mmに切断した粘着シートをボランティア5人の背中に貼付し、重さ1kgのローラーを1往復させて圧着した。6時間経過後、粘着シートを引き剥がして、その際の剥離力を測定した。ただし、測定には(株)島津製作所製の引張試験機「オートグラフAGS−100D」を用い、温度23℃、相対湿度65%、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、引張応力(N/20mm)を測定した。ただし、皮膚粘着力は、ボランティア5人の平均値で示した。また、剥離後の粘着剤層の破壊形態が、凝集破壊または界面破壊のどちらであるかを、肉眼で観察した。
【0046】
▲4▼ 透湿度
内径40mm、高さ40mmの円筒状のガラス製容器に10mLの蒸留水を入れ、この容器の口に、直径50mmの円形に裁断した粘着シートを、粘着剤層を下向きにして貼付し、固定した。粘着シートを貼付した容器全体の重量(W)を測定した後、これを温度40℃、相対湿度30%の恒温恒湿器中に入れて、24時間放置した。24時間経過後の重量(W)を測定し、下記式により透湿度を算出した。
透湿度(g/m・24h)=(W−W)/(0.02×0.02×π)
【0047】
▲5▼ 皮膚刺激性
皮膚粘着力の測定において使用した、剥離後の粘着シートを用いて、角質剥離量の測定を行った。すなわち、ボランティアの背中から剥離した粘着シートを、和光純薬工業(株)製の角質染色液(Gentian Violet 1%、Brilliant Green 0.5%、蒸留水 98.5%)に約30分浸漬して皮膚角質の染色を行った。その後、粘着シートを蒸留水で十分に洗浄した後、24時間乾燥させた。乾燥後の粘着シートの粘着剤層表面を、マイクロスコープを用いて観察し、画像解析を行い、角質損傷面積率を求めた。ただし、角質損傷面積率は、ボランティア5人の平均値を求めて、この値を示した。
【0048】
実施例1〜5、および比較例1〜5の各条件等を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004353721
【0050】
【表2】
Figure 0004353721
【0051】
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜5の粘着シートは、溶媒(トルエン)不溶分が10〜60重量%の範囲内であり、フェノール樹脂板粘着力が2〜7N/20mmの範囲内であり、皮膚粘着力が0.4〜2N/20mmの範囲内であった。また、フェノール樹脂板および皮膚から粘着シートをそれぞれ剥離したときの粘着剤層の破壊形態が界面破壊であり、透湿度が500〜3,000(g/m・24h)の範囲内であり、角質損傷面積率が50%以下であった。したがって、皮膚に対して十分な粘着力を有し、かつ皮膚刺激性が少なく、透湿性も良好であることが分かった。また、粘着剤組成物の硬化の際に照射する紫外線の照射量を変えても硬化率が一定の粘着剤層を形成することができた。硬化した粘着剤層に、さらにγ線を照射しても皮膚粘着力、粘着剤硬化率にほとんど変化が認められなかった。実施例1〜5の粘着シートは、皮膚に対する刺激が少なく、充分な皮膚粘着力を有するものであり、かつ、良好な透湿性を有するものであった。
一方、エチレンオキシド成分が含まれているウレタンオリゴマーを用いた比較例1〜3では、皮膚粘着力が低く、実施例1〜5の皮膚粘着力の約1/3以下であった。また、粘着剤組成物としてアクリル系共重合物を用いた比較例4では、角質損傷面積率が高かった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、有機溶剤を用いずに形成された粘着剤層を有する医療用粘着シートを提供することができる。この粘着シートを構成する粘着剤層は、皮膚への粘着性が良好で、皮膚刺激性が低く、角質損傷が極めて軽微である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で示されるウレタンオリゴマーを含有する層を有することを特徴とする医療用粘着シート。
    A−J−(Q−J)−M …(1)
    (式(1)中、Aは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの脱水素残基、Jは、有機ジイソシアネート化合物のウレタン結合残基、Qは、数平均分子量が500〜5,000であるプロピレンオキシド単独重合体の脱水素残基であり、Mはモノオール化合物の脱水素残基であり、rは1〜10の整数である。)
  2. 前記式(1)におけるAが、
    CH=CRCO(CHO−(式中、Rは水素あるいはメチル基、mは2〜4の整数)で表されることを特徴とする請求項1記載の医療用粘着シート。
  3. 前記式(1)におけるJが、−CONH−R−NHCO−(式中、Rは、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、および芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の医療用粘着シート。
  4. 前記式(1)におけるMを構成するモノオール化合物が、アルコキシポリプロピレングリコール、脂肪族アルコール、または、水酸基含有(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  5. 前記ウレタンオリゴマーは、数平均分子量が1×10〜5×10であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  6. 前記ウレタンオリゴマーに活性エネルギーを与えて架橋させて生じた硬化物は、有機溶媒不溶分が10〜60重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  7. 前記活性エネルギーの付与が、放射線の照射によって行われることを特徴とする請求項6記載の医療用粘着シート。
  8. 前記硬化物は、一定の硬化率を有することを特徴とする請求項6または7に記載の医療用粘着シート。
  9. さらに基材を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  10. 剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度でフェノール樹脂板から剥離した時の引張応力が、2N/20mm〜7N/20mmであり、かつ、剥離速度が300mm/分、剥離角度が180度で人体の皮膚から剥離した時の引張応力が、0.4N/20mm〜2N/20mmであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  11. 粘着剤層の厚み換算50μm、温度40℃、相対湿度30%の条件下で測定したときの透湿度が、500g/m・24時間〜3,000g/m・24時間であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
  12. 皮膚に貼付し、6時間後に剥離した時の角質損傷面積率が、50%以下であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の医療用粘着シート。
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