JP4352362B2 - 毛髪用染毛料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、有機溶剤の使用量が少なく、すすぎ時から仕上がりにかけての感触、風合いにすぐれ、かつ染色性も良好な毛髪用染毛料組成物に係わる。
【0002】
【従来技術】
従来、毛髪を好みの色調に染める染毛剤としては酸化染料を用いた二液性のタイプのものが主として使用されていた。アルカリ性でパラフェニレンジアミン等の酸化染料の中間体を含んだ第1剤と、過酸化水素等の酸化剤を含んだ第2剤とからなり、染毛にあたっては第1剤と第2剤をミックス後、毛髪に塗布して染毛する方法が極めて一般的であった。
【0003】
第1剤には一般的にはアンモニアが配合されており、毛髪を膨潤にするとともに、第2剤を混ぜた時、過酸化水素からの酸素の放出を盛んにし、酸化染料の反応をさせて毛髪を染色するものである。酸化染料の場合、その種類によってはアレルギー反応を起こす例もあるので事前のチェックが必要であり、そのために使用対象が限定される場合もあって、その使用にあたっての煩雑さは否定できないものであった。さらに、染毛直後の毛髪のガサつき、あるいは毛髪の損傷という弊害も指摘されていた。これらは美容室等で使用される場合は加温して使用される場合があり、染色直後のガサつき、毛髪の損傷等が、さらに助長されることもある。
【0004】
また、この他にタール色素を用いた毛髪、頭皮に対して影響の少ない酸性染毛料がある。この染毛料はタール色素、有機溶剤、pH調整剤用の酸を主成分とし、増粘剤として水溶性高分子が配合されているものである。一般的に有機溶剤を比較的多量に含むため、使用時の感触と風合いが満足され難いという欠点があった。これらの欠点を是正するために少量のシリコンオイル等を添加する試みもなされているが、十分なものではない。
【0005】
また、家庭で近年使用される染毛料としては、シャンプー後のリンス時に施与されるカラーリンスがある。これは油分を比較的多く含むクリーム状のものであるが、ヘアリンスと同様の使い方をするため、使用時の感触と風合いが重要なポイントとなり、現行のものでは性能的に十分なものではなく、より高いコンディショニング効果を有するものが、求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、既存の染毛料がもつ上述の問題点に鑑み、鋭意研究を行なった結果、タール色素を用い、多糖類あるいはその誘導体及び有機溶剤を必須成分として含む従来の酸性染毛料において、キトサンを適量加えることにより上述の問題が解決されることを見出して本発明を完成させたものであり、その目的とする所は、有機溶剤の使用量が少なく、すすぎ時から仕上がりにかけての感触、風合がよく、染色性もすぐれた1液性の酸性染毛料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、タール色素、天然多糖類及び/またはその誘導体、および0.5〜20.0重量%の有機溶剤を含有する組成物中に、添加物としてのキトサンが添加されてなり、天然多糖類がキサンタンガム、グアガム及びアラビアゴムの少なくとも何れかであり、その誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも何れかであり、更に、その組成物全体としてのpHが3.5〜4.5であることを特徴とする毛髪用染毛料組成物。更に、その組成物全体としてのpHが3.5〜4.5であることを特徴とする毛髪用染毛料組成物にて達成される。上述の毛髪用染毛料組成物に含まれるキトサンはその平均分子量が50万〜500万の範囲内にあるものであることが好ましく、また、その添加量は毛髪用染毛料組成物全体に対して0.01重量%から5重量%の範囲にあることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するキトサンとは、甲殻類や昆虫の外骨格等から抽出される天然高分子であるキチンを脱アセチル化したポリグルコサミンを総称していうものであって、高温や強アルカリにも安定な塩基性多糖類である。これを酸性の組成物中に添加することにより、カチオン性高分子コロイドとなって分散し、それによって毛髪用染毛料組成物の使用感(コンディショニング性)が顕著に改善されるものである。したがって、すすぎ時から仕上がりにかけての感触と風合に優れた酸性の毛髪用染毛料組成物が得られる。すなわち、天然の高分子化合物に属するキトサンよりなる高分子コロイドの添加により、染毛用の組成物に適度なコンディショニング性と毛髪に対する親和性が付与され、均質な染毛仕上がりと好ましい使用感が得られるものである。
【0009】
添加するのに適したキトサンはその平均分子量が50万〜500万の範囲にあるものが好適である。平均分子量が50万未満のものであると、そのコンディショニング効果が十分でなく、また500万をこえるものはゲル化して良好なカチオン性高分子コロイドを形成し難い。さらにその添加量は毛髪用染毛料組成物全体に対して0.01重量%から5重量%の範囲にあることが好ましい。添加量が0.01重量%以下であるとそのコンディショニング効果は十分でなく、また、その添加量が5重量%を超えると安定した良好な毛髪用染毛料組成物を形成することが難しくなる他、均染性に問題がでることもある。
【0010】
本発明に用いるタール色素としては、従来公知のものを任意に使用することができ、所望する毛髪の色に応じて適宜選択され、一種あるいはそれ以上を必要に応じて併用することができる。具体的には赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等を挙げることができる。タール色素の好ましい配合量は0.02〜5.0重量%である。0.02重量%未満であると染毛効果が十分でなく、また5.0重量%を超えると、色落ちが目立つようになるだけでなく、経済的な面からも不利である。特に素手で使用するリンスタイプの形態とする場合には、染毛力と手肌への汚染を抑制を両立させるという観点から0.02〜0.1重量%の範囲が特に好ましい。
【0011】
本発明にいう天然多糖類とは、水溶性のものであり、キサンタンガム、グアガム、及びアラビアゴムの少なくも何れかである。またその誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも何れかである。これらは増粘剤として使用されるが、一種あるいはそれ以上を必要に応じて併用することができる。その配合量は染毛料としての適度の粘性を保てる程度であれば特に制限されないが、0.05〜5.0重量%程度とすることが好ましい。
【0012】
本発明で使用する有機溶剤としては、N−メチルピロリドン、エチルアルコール等の低級アルコール、エチルカルビトール等の多価アルコール類、ベンジルアルコール、フェニールエチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンベンジルエーテル、乳酸低級アルコールエステル、フェノキシイソプロパノール等があげられ、これらの1種または2種以上の混合物を0.5〜0.0重量%の範囲で使用する。0.5重量%未満であると染毛効果が弱く、また0.0重量%を超えてもその効果の向上は認められない。
【0013】
本発明の毛髪用染毛料組成物は酸性染料であるタール色素を使用するものであるから、系全体を酸性に保つことが必要である。本発明においてはそのpHの範囲を3.5〜4.5の酸性領域に保つことが必要である.pHの緩衝剤としては、有機酸又は無機酸及び/又はその塩を用いることができる。有機酸としては、例えばクエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、レプリン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等を挙げることができ、無機酸としては、例えば、リン酸、硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、これらの酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、カリウム塩等を挙げることができる。pHが3.5未満であると染毛効果は弱く、安定性もわるい、また、4.5を超えると染着力が弱くなるし、また素手で使用する形態(カラーリンスタイプ)とした場合は、塗布後の放置時間が実用的でなくなる。
【0014】
さらに、本発明の毛髪用染毛料組成物に対しては、染毛料としての効果を損なわない範囲で油性成分、アニオン、カチオン、ノニオン、あるいは両性の界面活性剤やその他の添加剤を加えることができる。油性成分としては具体的に、脂肪酸エステル類、直鎖又は分岐鎖のアルキルグリセリルエーテル、直鎖または分岐の高級アルコール、ロウ類、油脂類、シリコン油、シリコン誘導体等が挙げられる。また界面活性剤としては、具体的には、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルメチルタウリン等のアニオン界面活性剤、アミドベタイン、カルボキシベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、モノもしくはジアルキル第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤のいずれも用いることができる。その他、添加剤として香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0015】
以下、実施例、比較例に従い本発明の毛髪用染毛料組成物について具体的に説明を行なうが、これにより特に限定を行なうものではない。
なお、以下に述べる実施例、比較例において各々の性能の評価は20人の専門パネラーによって、次に記す基準に従って行なった。
【0016】
〔コンディショニング効果〕
a)すすぎ時の指通り
◎:きしみがなく、指通りが非常によい
○:きしみ弱く、指通りがよい
△:きしみがやや強く、指が通りづらい
×:きしみが強く、指が通りづらい
b)すすぎ時、乾燥時の髪の柔らかさ
○:非常に柔らかくしなやか
△:柔らかい
×:柔らかさに欠ける
c)乾燥時の櫛通り
○:櫛通りがよく滑らか
△:櫛を通すのに多少引っ掛かる
×:毛先等の櫛通りが悪く引っ掛かる
〔染着性の評価〕(表1、2)
◎:白髪が暗褐色に着色しており、白髪が目立たない
○:白髪が褐色に着色しており、白髪がやや目立ちにくい
△:白髪が褐色に着色しているが、白髪は明らかに目立つ
×:白髪には着色は見られない
〔染着性の評価〕(表3、4、5)
◎:白髪が褐色に着色しており、白髪が目立たちにくい
○:白髪が褐色に着色しており、白髪がやや目立ちにくい
△:白髪が褐色に着色しているが、白髪は明らかに目立つ
×:白髪には着色は見られない
〔安定性テスト〕
染毛料を室温および40℃にて保存し、安定性をチェックした。
○:1年以上、室温、40℃ともに安定
△:1ヶ月以内にて、室温、40℃ともに析出あり
×:1ヶ月以内にて、室温、40℃ともに分離
【0017】
実施例1〜3、比較例1〜6
重さ10g、長さ20cm、幅5cmの毛束(白髪まじりの人毛)をシャンプーした後水を切り、これに表1及び表2に示す各組成物8gを櫛で均一に塗布する。45℃で15分間加温処理した後、温水にて十分にすすぎ、しかる後乾燥させた。すすぎ時、および乾燥時の毛髪に対しては、コンディショニング効果を、乾燥時の毛髪に対しては染着性を前述の基準に従って評価した。得られた結果を表1および表2に併記する。更に、上記で使用した染毛料の安定性も評価し、得られた結果を表1および表2に併記した。
【0018】
【表1】
Figure 0004352362
【0019】
【表2】
Figure 0004352362
【0020】
実施例4〜6、比較例7〜12
重さ10g、長さ20cm、幅5cmの毛束(白髪まじりの人毛)をシャンプーした後に水を切り、これに表3、表4および表5に示す各組成物4gを櫛で均一に塗布する。35℃で30秒間放置した後、温水にて十分すすぎ、ついで乾燥させた。すすぎ時、および乾燥時の毛髪に対するコンディショニング効果を前述の基準に従って評価した。更に同様の操作を4回繰り返して行ない(合計で5回の繰返しとなる)乾燥時の毛髪に対して染着性を前述の基準に従って評価した。得られた結果を表3、表4および表5に併記する。更に、上記で使用した染毛料の安定性も評価し、得られた結果を表3、表4および表5に併記した。
【0021】
【表3】
Figure 0004352362
【0022】
【表4】
Figure 0004352362
【0023】
【表5】
Figure 0004352362
【0024】
実施例7
着色効果及び感触の実用テスト−1
白髪まじりのパネラー20名に対して、シャンプーした後、美容師が実施例7(表−6)の組成物を塗布し、45℃で15分加温した後、すすぎ、更にドライヤーで乾燥させた。白髪染め効果については18人が、処理中処理後の感触については19人が、良好という評価を得た。
【0025】
【表6】
Figure 0004352362
【0026】
実施例8
着色効果及び感触の実用テスト−2
白髪まじりのパネラー20名に対して、シャンプーした後、パネラーが実施例8(表−7)の組成物を塗布し、室温に30秒放置した後、すすぎ、更にドライヤーで乾燥させた。同様な操作を更に4回繰り返した。
白髪隠し効果については18人が、処理中処理後の感触については18人が、良好という評価を得た。
【0027】
【表7】
Figure 0004352362
【0028】
【発明の効果】
前述の実施例、比較例の結果から明らかな通り、本発明の毛髪用染毛料組成物は、従来の酸化染料を用いた2液性の染毛剤や、酸性染料を用いた染毛料の持つ問題点を解決したものであり、1液性であるため取り扱いが容易でかつ、有機溶剤の使用量が少なく、風合や感触においてもまたその染着性においても抜群の性能を示すことは明らかである。これにより、従来の白髪染めにおける問題点をなくしたのみならず、近年若年層から中高年層にいたるまで幅広く普及しているカラー染毛分野においても、その施術を容易にし、爽快な仕上がり感を得ることができるようになった。

Claims (3)

  1. タール色素、天然多糖類及び/またはその誘導体、および0.5〜20.0重量%の有機溶剤を含有する組成物中に、添加物としてのキトサンが添加されてなり、天然多糖類がキサンタンガム、グアガム及びアラビアゴムの少なくとも何れかであり、その誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも何れかであり、更に、その組成物全体としてのpHが3.5〜4.5であることを特徴とする毛髪用染毛料組成物。
  2. キトサンの平均分子量が50万〜500万の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項に記載の毛髪用染毛料組成物。
  3. キトサンの添加量が毛髪用染毛料組成物全体に対して0.01重量%〜5重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第2項に記載の毛髪用染毛料組成物。
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