JP4352314B2 - チルトステアリング装置 - Google Patents
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Description
このチルトステアリング装置は、ロック機構により固定ブラケットとコラムブラケットとが挟持されることでチルトロックが達成され、この挟持を解除することでチルトロックが解除される。
また、ステアリングコラムは軸方向に収縮可能に構成されており、2次衝突時、ステアリングコラムに軸方向の荷重が作用すると、ステアリングコラムが収縮して運転者に与える衝撃を緩衝するようになっている。
そこで、ボルトを中心とする曲げモーメントがステアリングコラムに発生することを防止するために、ステアリングコラムの軸中心の左右両側方に一対のボルトを配置するステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。これら各ステアリング装置には、ステアリングコラムの左右両側方の一方に、上記一対のボルトの一方を含むロック機構が設けられている。このロック機構によって、ステアリングコラムの左右両側方にそれぞれ配置される両ブラケットの側板同士の挟持および挟持の解除を行うようになっている。
一方、ロック機構のボルトを中心とする曲げモーメントの影響を低減するために、固定ブラケットやコラムブラケットの剛性を高めることも考えられるが、この場合、装置が大型化すると共に、部品コストおよび組立コストの増加により製造コストが高くなってしまい、現実的ではない。
本発明では、上記一対のナット、連結部材およびチルトレバーが単一の部材により一体のユニットに構成される場合がある。この場合、よりコスト安価に本発明を実施することが可能である。
本発明によれば、各ボルトをステアリングコラムの軸中心近傍の両側方に配置することで、2次衝突時にボルトを中心としてステアリングコラムに発生する曲げモーメントを最小限にすることができ、ステアリングコラムを軸方向に確実に収縮させることが可能である。さらに、ステアリングコラムの両側方のそれぞれに両ブラケットの対応する側板同士をロックするための機構を有しているので、両ブラケットを強固に挟持でき、2次衝突時にコラムブラケットの側板が固定ブラケットの側板に対して動くことを確実に防止できる。その結果、ステアリングコラムの振れを防止してより確実に軸方向に収縮させることができる。さらに、ボルトを配置するためのスペースをステアリングコラムの上方または下方に設ける必要がないので、装置の上下方向の厚さをより薄くして小型化できる。その結果、2次衝突時、運転者の膝に装置が衝突する虞を低減することができる。また、剛性を確保するために固定ブラケットやコラムブラケットを大型化する必要がないので、コスト安価に本発明を実施することが可能である。
また、横長案内孔を設ける簡易な構成で、コスト安価にテレスコピック調節を可能にすることができる。
さらに、係合凸部を対応する案内孔に収容することで装置をより小型化することができる。
図1は、本発明の一実施の形態におけるチルトステアリング装置の概略構成を示す一部破断側面図である。図1を参照して、チルトステアリング装置1は、ステアリングホイール2と、ステアリングシャフト3とを有している。ステアリングホイール2は、ステアリングシャフト3の一端4に、ステアリングシャフト3と一体回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフト3の他端5には、ステアリングシャフト3と一体回転可能に連結される中間軸(図示せず)が連結されている。これにより、ステアリングホイール2の回転操作による回転力がステアリングシャフト3およびこの中間軸を介して、ピニオン、ラック軸等を含む舵取機構(図示せず)に伝達され、車輪を操向することが可能である。
アッパ固定ブラケット14の一対の側板13は、互いに対応する形状の挿通孔としての縦長案内孔17(図1では一方の縦長案内孔17のみ図示)をそれぞれ有している。縦長案内孔17は、円弧状の縦長に形成されている。また、ロア固定ブラケット16の一対の側板15は、互いに対応する形状の挿通孔18(図1では一方の挿通孔18のみ図示)を有している。
アッパコラムブラケット8の一方の側板7のボルト挿通孔11と、アッパ固定ブラケット14の対応する一方の側板13の縦長案内孔17には、例えば六角ボルトからなる互いに逆ねじの一対のボルト20(図1では一方のボルト20の断面のみ図示)の一方が挿通されており、このボルト20によって各側板7,13が互いに連結されている。同様に、アッパコラムブラケット8の他方の側板7のボルト挿通孔11と、アッパ固定ブラケット14の対応する他方の側板13の縦長案内孔17には、一対のボルト20の他方(図1では図示を省略)が挿通され、このボルト20によって各側板7,13が互いに連結されている。
また、各ボルト20の先端には操作レバーユニット21がそれぞれ結合されており、操作レバーユニット21を回動操作することで、側板7および側板13の挟持または挟持の解除が行われる。
図2を参照して、アッパコラムブラケット8は、一対の側板7の一端間を接続する天板部22を有している。天板部22の中央部に設けられる固定部23が、例えば溶接によりステアリングコラム6に固定されている。アッパコラムブラケット8の一対の側板7は、ステアリングコラム6の両側方に離隔して相対向するように配置されている。前述の一対のボルト挿通孔11は、ステアリングコラム6の軸の略中心の両側方に配置されて各ボルト20が、ステアリングコラム6の軸中心近傍の左右両側方に配置される。
操作レバーユニット21は、単一の部材により一体のユニットに構成され、一対のボルト20の対応する先端32にそれぞれねじ結合する一対のナット28と、一対のナット28を一体回動可能に連結する連結部材29と、連結部材29を介して各ボルト20と対応するナット28を相対回動させて、各ボルト20と対応するナット28との間にアッパコラムブラケット8およびアッパ固定ブラケット14の対応する側板7,13を解除可能に挟持させることのできるチルトレバー30とを備えている。
座部40のもう一方の表面46(図2では、他方の座部40のもう一方の表面46のみ図示)は、ボルト挿通孔38に挿通されたボルト20の頭部36と当接しており、この表面46と頭部36の周縁とを例えば溶接して固定することにより、ガイド39とボルト20とは一体にされて相対回動不能となる。
図3および図4は、チルトステアリング装置1をステアリングホイール2側からみた一部破断正面図である。なお、ステアリングホイール2やステアリングシャフト3等は適宜省略して示している。図3は、チルトステアリング装置1がチルトロックされた状態を示しており、図4は、チルトステアリング装置1のチルトロックが解除された状態を示している。
図3の右側から順に、ボルト挿通孔38,縦長案内孔17およびボルト挿通孔11にボルト20が挿通されており、ボルト20の先端32がナット28と結合している。同様に、図3の左側から順に、他方のボルト挿通孔38,縦長案内孔17およびボルト挿通孔11に他方のボルト20が挿通されており、この先端32が他方のナット28と結合している。これにより、各ナット28と対応するボルト20の頭部36との間に、両ブラケット8,14の対応する側板7,13および対応するガイド39の座部40が挟持されている。
図4を参照して、チルトロックを解除するために、操作者がチルトレバー30を一方向(図1において時計回り)に回動操作すると、一対のナット28が一体回動し、対応するボルト20に対してそれぞれ相対回転する。これにより、各ボルト20の頭部36と、対応するナット28との間隔がそれぞれ拡がり、両ブラケット8,14の対応する側板7,13の挟持が解除され、側板7,13同士が相対移動可能となる。
なお、上記ステアリングコラム6の軸中心近傍は、一対のボルト20の軸心がステアリングコラム6と交叉する範囲を含む。
図5(a)は、本発明の他の実施の形態の回り止め部材41の斜視図であり、図5(b)は、回り止め部材41を取り付けた状態のチルトステアリング装置1の要部の斜視図であり、図6は、図5(b)のII−II線に沿う断面図である。以下では、図1〜図4に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
第1の部分50および第2の部分51は、互いに平行な板状に形成されており、第1の部分50の一側面がガイド39の座部40の表面46に、第2の部分51の一側面がアッパコラムブラケット8の側板7の外側面に、それぞれ沿うようになっている。第2の部分51の他端には、固定ねじ42を挿通するためのねじ挿通孔43が形成されている。また、第1の部分50の他端には、ボルト20の頭部36の外形(六角形形状)に対応する形状の係合孔44が形成されている。係合孔44の形状は、ボルト20の頭部36の全周に対応する形状に限らず、頭部36の少なくとも一対の相対向する平坦面にそれぞれ係合できるものであれば良い。また、係合孔44の一部を切り欠いていても良い。
なお、図1〜図4および図5〜図6に示す上記各実施の形態において、アッパ固定ブラケット14の一対の側板13の内側にアッパコラムブラケット8を配置し、アッパコラムブラケット8の内側に操作レバーユニット21を配置する構成として説明したが、これに限定されない。
さらに、図8に示すように、アッパコラムブラケット8の天板部22をステアリングコラム6の下方に配置して、操作レバーユニット21をステアリングコラム6の上方に配置する構成であっても良い。
図9および図10を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、ステアリングホイール2の位置をステアリングコラム6の長手方向に調節するテレスコピック調節が可能とされている点にある。
図11は、本発明のさらに他の実施の形態のチルトステアリング装置の要部の分解斜視図であり、図12は、チルトステアリング装置をステアリングホイール2側からみた一部破断正面図である。以下では、図9および図10に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
例えば、図1〜図8に示す各実施の形態において、ボルト挿通孔11および縦長案内孔17をアッパコラムブラケット8およびアッパ固定ブラケット14の各側板7,13の何れに形成しても良い。また、図9〜図12に示す各実施の形態において、縦長案内孔17および横長案内孔55をアッパコラムブラケット8およびアッパ固定ブラケット14の各側板7,13の何れに形成しても良い。
6 ステアリングコラム
7 側板
11 ボルト挿通孔
12 車体
13 側板
17 縦長案内孔(挿通孔)
20 ボルト
21 操作レバーユニット
28 ナット
29 連結部材
30 チルトレバー
32 先端
37 係合凸部
39 ガイド(回動規制部材)
53 コラムブラケット(第1のブラケット)
54 固定ブラケット(第2のブラケット)
55 横長案内孔(挿通孔)
56 回動規制部材
57 係合凸部
Claims (4)
- 何れか一方が車体に固定されると共に他方がステアリングコラムに固定される第1および第2のブラケットを備えるチルトステアリング装置において、
上記第1および第2のブラケットの各側板にそれぞれ形成される挿通孔と、
第1および第2のブラケットの対応する側板の挿通孔にそれぞれ挿通され、ステアリングコラムの軸中心近傍の左右両側方に配置されステアリングコラムを挟んで相対向する互いに逆ねじの一対のボルトと、
一対のボルトの先端にそれぞれねじ結合する一対のナットと、
上記一対のボルトおよび一対のナットの何れか一方を一体回動可能に連結するU字状の連結部材、並びに他方の回動を規制する回動規制部材と、
上記連結部材を介して各ボルトと対応するナットを相対回動させて、各ボルトと対応するナットとの間に第1および第2のブラケットの対応する側板を解除可能に挟持させることのできるチルトレバーとをさらに備え、
第1および第2のブラケットの何れか一方の各側板の挿通孔は円弧状の縦長に形成されて、チルト調節時に対応するボルトを案内可能な縦長案内孔を含むことを特徴とするチルトステアリング装置。 - 請求項1において、上記第1および第2のブラケットの他方の各側板の挿通孔は、ステアリングコラムの長手方向に沿って延び、テレスコピック調節時に対応するボルトを案内可能な横長案内孔を含むことを特徴とするチルトステアリング装置。
- 請求項1または2において、上記一対のナット、連結部材およびチルトレバーが単一の部材により一体のユニットに構成されることを特徴とするチルトステアリング装置。
- 何れか一方が車体に固定されると共に他方がステアリングコラムに固定される第1および第2のブラケットを備えるチルトステアリング装置において、
上記第1および第2のブラケットの各側板にそれぞれ形成される挿通孔と、
第1および第2のブラケットの対応する側板の挿通孔にそれぞれ挿通され、ステアリングコラムの軸中心近傍の両側方に配置される互いに逆ねじの一対のボルトと、
一対のボルトの先端にそれぞれねじ結合する一対のナットと、
上記一対のボルトおよび一対のナットの何れか一方を一体回動可能に連結するU字状の連結部材、並びに他方の回動を規制する回動規制部材と、
上記連結部材を介して各ボルトと対応するナットを相対回動させて、各ボルトと対応するナットとの間に第1および第2のブラケットの対応する側板を解除可能に挟持させることのできるチルトレバーとをさらに備え、
第1および第2のブラケットの何れか一方の各側板の挿通孔は円弧状の縦長に形成されて、チルト調節時に対応するボルトを案内可能な縦長案内孔を含み、
上記第1および第2のブラケットの他方の各側板の挿通孔は、ステアリングコラムの長手方向に沿って延び、テレスコピック調節時に対応するボルトを案内可能な横長案内孔を含み、
上記回動規制部材は、対応するナットと一体の係合凸部を含み、この係合凸部は、縦長案内孔および横長案内孔の何れか一方に相対摺動可能に嵌め合わされることを特徴とするチルトステアリング装置。
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