以下、本発明の実施形態の一つについて、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、自動車のフロントシートを車体から取り外した後、このフロントシート1を被洗浄物として、洗浄装置により洗浄する場合を例に、以下説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る洗浄装置の構成から説明する。この洗浄装置は、図1に示されるように、複数の洗浄機器10、20等よりなる洗浄機器群Aを収容可能な収容部41を有する基台40と、基台40の上に回転自在に保持され、フロントシート1が自己の上に置かれる回転洗浄台50と、基台40に対して回転洗浄台50を回転不能状態に保持するストッパ手段60とを備えている。
基台40は、略正方形状の天井面42及び底面43を有し、これら天井面42及び底面43のそれぞれの四隅部分に垂直に延びる4本の棒状辺部44が結合されている。これにより、天井面42及び底面43間に前記収容部41が形成されている。また、基台40の側面部分には、垂直に延びて天井面42及び底面43に結合された棒状の側面補強部45が適宜設けられている。さらに基台40の正面(図1の右側面)には、洗浄作業に用いるブラシや布等を収容可能な2個の収容棚部46が設けられいる。また、底面43の下面の四隅には、基台40を移動自在とする4個のキャスタ47が取り付けられている。
回転洗浄台50は、天井面42と略同一形状(略正方形)の板材よりなり、ベアリング(図示せず)等よりなる回転機構51を介して天井面42の上面に回転自在に保持されている。この回転洗浄台50を回転不能に保持するストッパ手段60は、回転洗浄台50の下面に当接することによりストッパ機能を果たすストッパ部61と、作業者が踏むことでストッパ部61のストッパ機能を解除可能な足踏みレバー部62と、上下方向に垂直に延びてストッパ部61に結合されるとともに下端が足踏みレバー部62に結合された連結棒63とを有している。そして、連結棒63の上端部分には、連結棒63と共にストッパ部61を上方に付勢するばね部材(図示せず)が介装されている。この構成により、足踏みレバー部62が踏まれていない通常状態では、ばね部材のばね力によりストッパ部61が回転洗浄台50の下面に当接して押圧されており、これにより回転洗浄台50が回転不能状態とされる。そして、足踏みレバー部62が踏まれると、それに応じて連結棒63と共にストッパ部61がばね部材のばね力に抗して下降し、その結果ストッパ部61が回転洗浄台50の下面から離れることによりストッパ部61のストッパ機能が解除され、回転洗浄台50が回転自在とされる。
前記洗浄機器群Aは、第1洗浄機器10と、第2洗浄機器20と、第3洗浄機器30とから構成されている。
第1洗浄機器10は、図2に示されるように、スチーム及び洗浄剤の両者を同時に吐出可能であるとともに両者のうちの一方を選択的に吐出可能である第1ノズル11を有している。
この第1ノズル11は、第1握り部11aと第1ノズル部11bとを有しており、第1ノズル部11bの先端にはスチーム及び洗浄剤のうちの少なくとも一方を噴霧可能な単一の第1噴霧口11cが設けられている。そして、第1ノズル11の第1握り部11aには、第1ノズル部11bにスチーム及び洗浄剤のうちの少なくとも一方を供給するための第1ホース12の先端部が連結されている。この第1ホース12の基端側は二股に枝分かれして一方の基端部12aがボイラ13に連結され、他方の基端部12bが洗浄剤タンク14に連結されている。ボイラ13は連結ホース15を介して第1清水タンク16に連結されている。こうして、ボイラ13の作動により、第1清水タンク16内の水は連結ホース15を介してボイラ13内に導かれてスチームとされ、このスチームは基端部12a、第1ホース12及び第1握り部11aを介して第1ノズル部11bに圧送され第1噴霧口11cから噴霧されるようになっている。また、洗浄剤タンク14には、洗浄剤用ポンプ17が連結されており、洗浄剤用ポンプ17の作動により、洗浄剤タンク14内の洗浄剤は基端部12b、第1ホース12及び第1握り部11aを介して第1ノズル11bに圧送されて第1噴霧口11cから噴霧されるようになっている。
また、第1ノズル11には、スチームの吐出をオン状態又はオフ状態に切り替え制御可能な第1切替スイッチ18と、洗浄剤の吐出を作業者による操作時にオン状態にし非操作時にオフ状態にする自動復帰可能な押圧式の第1復帰スイッチ19とが、第1握り部11aに近い第1ノズル部11bに設けられている。
すなわち、第1切替スイッチ18がオン側に切り替えられると、ボイラ13が作動して、第1ホース12を介してスチームが第1ノズル11に供給され、スチームの噴霧がオン状態とされる。一方、第1切替スイッチ18がオフ側に切り替えられると、ボイラ13が停止して第1ノズル11へのスチームの供給が止まり、スチームの噴霧がオフ状態とされる。また、作業者が第1復帰スイッチ19を押圧操作すると、洗浄剤用ポンプ17が作動して、第1ホース12を介して洗浄剤が第1ノズル11に供給され、洗浄剤の噴霧がオン状態とされる。この洗浄剤の噴霧は作業者が第1復帰スイッチ19を押圧操作している間はずっとオン状態とされる。一方、作業者が第1復帰スイッチ19の押圧操作を止めると(非操作状態にすると)、第1復帰スイッチ19が自動的に復帰する。これにより、洗浄剤用ポンプ17が停止して第1ノズル11への洗浄剤の供給が止まり、洗浄剤の噴霧がオフ状態とされる。
第2洗浄機器20は、図3に示されるように、水気の吸引及び水の噴霧の両者を同時に実行可能であるとともに両者のうちの一方を選択的に実行可能である第2ノズル21を有している。
この第2ノズル21は、第2握り部21aと第2ノズル部21bとを有しており、第2握り部21aの先端には水気を吸引するための吸引口21cが設けられ、第2ノズル部21bの先端には水を噴霧するための第2噴霧口21dが設けられている。そして、第2握り部21aには、吸引用ホース22aの先端部が連結されている。この吸引用ホース22aの基端部は汚水タンク23に連結されている。汚水タンク23は連結ホース23aを介して吸引ポンプ24に連結されている。こうして、吸引ポンプ24の作動により、汚水タンク23内及び吸引用ホース22a内が吸引されて、吸引口21cから水気を吸引することができるようになっており、また吸引口21cから吸引した水気は第2握り部21a、吸引用ホース22aを介して汚水タンク23に導かれて汚水タンク23内に貯まるようになっている。一方、第2ノズル部21bには、第2ノズル部21bに水を供給するための水噴霧用ホース22bの先端部が連結されている。この水噴霧用ホース22bの基端部は第2清水タンク25に連結されている。第2清水タンク25には、清水用ポンプ26が連結されており、清水用ポンプ26の作動により、第2清水タンク25内の水は水噴霧用ホース22bを介して第2ノズル部21bに圧送されて第2噴霧口21dから噴霧されるようになっている。
また、第2ノズル21には、水気の吸引をオン状態又はオフ状態に切り替え制御可能な第2切替スイッチ28と、水の噴霧を作業者による操作時にオン状態にし非操作時にオフ状態にする自動復帰可能な握りレバー式の第2復帰スイッチ29とが、第2握り部21aに設けられている。
すなわち、第2切替スイッチ28がオン側に切り替えられると、吸引ポンプ24が作動して、汚水タンク23内及び吸引用ホース22a内が吸引され、水気の吸引がオン状態とされる。一方、第2切替スイッチ28がオフ側に切り替えられると、吸引ポンプ24が停止して水気の吸引がオフ状態とされる。また、作業者が第2復帰スイッチ29を握り操作すると、清水用ポンプ26が作動して、水噴霧用ホース22bを介して水が第2ノズル部21bに供給され、水の噴霧がオン状態とされる。この水の噴霧は作業者が第2復帰スイッチ29を握り操作している間はずっとオン状態とされる。一方、作業者が第2復帰スイッチ29の握り操作を止めると(非操作状態にすると)、第2復帰スイッチ29が自動的に復帰する。これにより、清水用ポンプ26が停止して第2ノズル部21bへの水の供給が止まり、水の噴霧がオフ状態とされる。
第3洗浄機器30は、図4に示されるように、エアーを噴射可能な第3ノズル31を有している。この第3ノズル31は、第3握り部31aと第3ノズル部31bとを有しており、第3ノズル部31bの先端にはエアーを噴射するためのエアー噴射口31cが設けられている。そして、第3握り部31aにはエアー供給ホース32の先端部が連結されている。このエアー供給ホース32の基端部はエアーポンプ(図示せず)に連結されている。こうして、エアーポンプの作動により、エアー供給ホース32及び第3握り部31aを介して第3ノズル部31bにエアーが圧送されてエアー噴射口31cから噴射されるようになっている。
また、第3ノズル31は、エアーの噴射を作業者による操作時にオン状態にし非操作時にオフ状態にする自動復帰可能な握りレバー式の第3復帰スイッチ33を具備している。すなわち、作業者が第3復帰スイッチ33を握り操作すると、エアーポンプが作動して、エアー供給ホース32を介してエアーが第3ノズル31に圧送され、エアーの噴射がオン状態とされる。このエアーの噴射は作業者が第3復帰スイッチ33を握り操作している間はずっとオン状態とされる。一方、作業者が第3復帰スイッチ33の握り操作を止めると(非操作状態にすると)、第3復帰スイッチ33が自動的に復帰する。これにより、エアーポンプ7が停止して第3ノズル11へのエアーの供給が止まり、エアーの噴射がオフ状態とされる。
次に、この洗浄装置を用いたフロントシート1の洗浄方法の一例について説明する。なお、以下に示す洗浄方法はあくまでも好ましい態様における一例であり、工程の順序や、各工程で用いる洗浄機器の操作(スイッチ操作等)の仕方等は何ら限定されるものではない。
まず、洗浄作業に必要な洗浄機器は全て基台40の収容部41内に予め収容しておく。そして、車体から取り外されたフロントシート1を回転洗浄台50の上に載せる。このとき、予めフロントシート1が車体から取り外されているなら、このフロントシート1が置かれた場所まで、この洗浄装置をキャスタ47を介して移動させれば、作業者が重いフロントシート1を運ぶ必要がなくなり、作業者の負担が軽減される。一方、フロントシート1が未だ車体から取り外されていないときは、車体からのフロントシート1の取り外し、移動及び回転洗浄台50への載置は、後述するように、車両用シートの着脱補助装置を用いれば容易に行うことができる。
フロントシート1の洗浄作業は、まず、エアーの噴射から行う。すなわち、作業者は収容部41内に収容された第3ノズル31を手に取り、手元にある第3復帰スイッチ33を握り操作する。これにより、エアーポンプが作動して、第3ノズル部31bにエアーが圧送されるので、エアー噴射口31cからこのエアーをフロントシート1に向かって噴射する。こうして、まずフロントシート1に付いている埃や塵等を吹き払う。このように、エアー噴射を洗浄剤洗浄等の前に行ってフロントシート1に付いた埃や塵等を予め除去しておけば、洗浄剤等による洗浄効果を一層高めることができる。また、このエアー噴射中に、作業者は、必要に応じて、第3復帰スイッチ33の握り操作を止めて(非操作状態にして)、第3復帰スイッチ33を自動復帰させれば、エアーの噴射をオフ状態にすることができる。
次に、作業者は第3ノズル31の代わりに第1ノズル11を手に取り、スチーム洗浄及び洗浄剤洗浄を行う。まず、手元にある第1切替スイッチ18を切り替えてスチームの吐出をオン状態にする。これにより、ボイラ13が作動して、基端部12b及び第1ホース12を介して第1ノズル部11bにスチームが供給されるので、第1噴霧口11cからこのスチームをフロントシート1に向かって噴射する。こうして、フロントシート1をスチーム洗浄する。このスチーム洗浄と同時に、又はこのスチーム洗浄をしながら、適宜、手元にある第1復帰スイッチ19を押圧操作する。これにより、洗浄剤用ポンプ17が作動して、洗浄剤タンク14から基端部12bを介して第1ホース12内に洗浄剤が供給されるので、第1噴霧口11cからスチームと共に洗浄剤をフロントシート1に向かって噴霧する。こうして、スチーム洗浄と同時に洗浄剤洗浄を行う。このように、スチーム洗浄及び洗浄剤洗浄を同時に行えば、双方の洗浄作用によりフロントシート1に対する洗浄効果を増大させることができる。また、スチームの熱により洗浄剤による洗浄効果を向上させることもできるので、洗浄時間の短縮化のみならず洗浄効果のさらなる増大も期待できる。そして、この洗浄作業中に、作業者は、必要に応じて、第1復帰スイッチ19の押圧操作を止めて(非操作状態にして)、第1復帰スイッチ19を自動復帰させれば、洗浄剤の噴霧をオフ状態にして、スチーム洗浄のみを行うことができる。なお、この洗浄作業は、ブラシを用いてブラッシングしながら行うとよい。
次に、作業者は第1ノズル11の代わりに第2ノズル21を手に取り、水気の吸引及び水の噴霧を行う。まず、手元にある第2切替スイッチ28を切り替えて水気の吸引をオン状態にする。これにより、吸引ポンプ24が作動して、吸引用ホース22a及び第2握り部21a内等が吸引されるので、吸引口21cをフロントシート1に押さえつけながら移動させることにより、フロントシート1に付いた水気を吸引口21cから吸引する。この水気の吸引と同時に、又はこの水気の吸引をしながら、適宜、手元にある第2復帰スイッチ29を握り操作する。これにより、清水用ポンプ26が作動して、第2清水タンク25から水噴霧用ホース22bを介して第2ノズル部21b内に水が供給されるので、第2噴霧口21dから水をフロントシート1に向かって噴霧する。こうして、水気の吸引をしながら水の噴霧による濯ぎ洗いをする。このように、水気を吸引しながら濯ぎ洗いをすることにより、洗浄作業の効率化を図れるとともに、フロントシート1が水で冒されるようなことを防ぐことができる。そして、この作業中に、作業者は、必要に応じて、第2復帰スイッチ29の握り操作を止めて(非操作状態にして)、第2復帰スイッチ29を自動復帰させれば、水の噴霧をオフ状態にして、水気の吸引のみを行うことができる。
以上の作業でフロントシート1の洗浄を終えることができるが、こうした作業中に、作業者は、適宜、足踏みレバー部62を踏むことにより、ストッパ部61のストッパ機能を解除すれば、回転洗浄台50を回転自在とすることができるので、回転洗浄台50と共にフロントシート1を回転させることが可能である。したがって、例えば、フロントシート1の正面のみならず背面や側面等を洗浄する際に、作業者がフロントシート1の周囲を回る必要がなく、片方の手で洗浄機器を持ちながら足踏みレバー部62を踏んでストッパ機能を解除することにより、洗浄機器を持っていない方の手で回転洗浄台50と共にフロントシート1を容易に回転させることができる。よって、洗浄作業の効率化を図ることができる。
また、この洗浄装置では、3つの洗浄機器10、20及び30よりなる洗浄機器群Aを全て基台40の収容部41に収容しているので、洗浄機器を取り替える際に他の場所へ移動する必要がない。したがって、洗浄作業の効率化を一層図ることができる。
さらに、この洗浄装置は、キャスタ47により移動自在とされているので、複数の洗浄機器を収容部41に収容したまま、被洗浄物を回転洗浄台50の上に載せた状態又は載せない状態で任意の場所に移動することができる。このため、洗浄作業のし易い場所に移動することにより洗浄作業の効率化に寄与しうる。また、洗浄作業に用いる複数の洗浄機器を全て収容部41に収容しておけば、それらをまとめて移動させることができるとともに、移動した場所ですぐに洗浄作業に取り掛かることができる。さらに、場合によっては、移動不可能又は困難な被洗浄物に対しても効率的な洗浄が可能となる。すなわち、例えば車室内を洗浄する際、具体的にはインストルメントパネル、天井部や床部等の他、取り外しが困難なリアシート等を洗浄する際にもこの洗浄装置を利用することができる。
(第2実施形態)
この実施形態は、車両用シートの着脱補助装置を用いて車体からフロントシート1を取り外した後、同車両用シートの着脱補助装置を用いて、車体から外したフロントシート1をそのまま前記第1実施形態で説明した洗浄装置まで移動させるとともに、前記回転洗浄台50の上にフロントシート1を載せて、同洗浄装置で洗浄するものである。
したがって、この実施形態によれば、車体からのフロントシート1の取り外し、このフロントシート1の移動、前記回転洗浄台50への搭載及び洗浄の一連の工程を、車両用シートの着脱補助装置及び前記洗浄装置を用いて連続的に行うことができ、フロントシート1の取り外しから洗浄に至るまでの作業において、作業者の負担を一層軽減できるとともに、作業効率を一層向上させることができる。
以下、この実施形態で用いる車両用シートの着脱補助装置について、説明する。
この車両用シートの脱着補助装置は、その全体構成を図5及び図6に模式的に示すように、台車110と、アーム120と、昇降手段130と、保持手段140とから構成されている。
台車110は、基台111と、この基台111を移動自在とするように基台111の下面の四隅に取り付けられた4個のキャスタ112と、基台111に立設された支柱113とを有している。なお、支柱113には、後述するスライダ131を昇降可能に保持する昇降案内部(図示せず)がほぼ全長にわたって設けられている。また、この支柱113の高さは、ワンボックスカー等のように車高が比較的高い乗用車であっても、シート1を所定の高さに持ち上げて車体に対するシート1の取り外し又は取り付けが可能となるように、調整されている。
さらに、台車110の基台111の幅(図6の左右方向幅)は、前記洗浄装置における基台40に取り付けられた隣り合うキャスタ47、47間の距離よりも小さく設定されている。これにより、台車110の基台111は、基台40のキャスタ47、47間を通過して、基台40の下方に入り込むことが可能となっている。
昇降手段130は、支柱113に対してアーム120を昇降させるもので、アーム120の基端が固定されるとともに支柱113の前記昇降案内部に昇降可能に保持されたスライダ131と、支柱113の上端部に固定された滑車132と、この滑車132に掛けられるとともに、一端がスライダ131に固定されたワイヤ133と、支柱113に取り付けられるとともにワイヤ133の他端が連結された巻き取り手段134とから構成されている。こうして、巻き取り手段134によりワイヤ133を巻き取ったり又は巻き戻したりすることにより、スライダ131を上昇させたり又は下降させたりすることができるようになっている。なお、このスライダ131は、支柱113の下端部付近から上端部付近までの範囲、すなわち支柱113のほぼ全長にわたって、昇降が可能とされている。また、巻き取り手段134によるワイヤ133の巻き取り又は巻き戻しは、巻き取り手段134の巻き取りレバー134aを作業者が手で操作することにより行ってもよいし、巻き取りレバー134aの代わりに電動ドリル等に用いられる電動機を利用して行ってもよい。
スライダ131に基端が固定されたアーム120は、略水平に延在した状態を維持しつつスライダ131と共に昇降自在となっている。アーム120の自由端側には座板121が固定されている。この座板121は、アーム120の自由端から横方向(図6の右方向)に略水平に延びており、延びた先端部の上面には、被吊り下げ部としての係合溝部122が座板121の幅方向に貫通するように設けられている(図9参照)。そして、この係合溝部122は、座板121の長さ方向に互いに対向する一対の対向内壁面122a、122aを有している。また、座板121には、アーム120と対応する位置に、係合孔(図示せず)をもつ、被取り付け部としての管状支柱部123が立設されている。
前記保持手段140は、被吊り下げ部としての係合溝部122に着脱自在に吊り下げられた吊り下げ治具141と、姿勢保持具142とを有している。
吊り下げ治具141は、図7及び図8に示されるように、基端バー部411と、この基端バー部411の両端からそれぞれ下方(図3及び図4の下方)に延びる一対の縦棒部412、412と、各縦棒部412、412からそれぞれ斜め下方に延びる一対の斜棒部413、413と、各斜棒部413、413からそれぞれ略水平方向だがやや斜め上方に延びる水平棒部414、414と、各水平棒部414、414の先端を連結する先端バー部415とを有している。そして、両水平棒部414、414と、先端バー部415とにより、先端支持部416が構成されている。なお、各縦棒部412、412の略中央部同士が第1中間バー部417により連結されるとともに、各縦棒部412、412各斜棒部413、413との境界部同士が第2中間バー部418により連結されている。
図9に示されるように、吊り下げ治具141の基端バー部411は、係合溝部122内に挿嵌可能とされている。そして、この基端バー部411は、基端バー部411が係合溝部122内に挿嵌された状態で、係合溝部122の各対向内壁面122a、122aにそれぞれが当接しうる一対の規制面411a、411aを有している。こうして、基端バー部411が係合溝部122内に挿嵌された状態で、各規制面411a、411aがそれぞれ各対向内壁面122a、122aに当接することにより、アーム120の座板121に対する吊り下げ治具141の揺動を規制しうるようになっている。また、吊り下げ治具141の先端支持部416は、シート1の座面部2及び背もたれ部3間の隙間に差し込まれて背もたれ部3を下から支持可能とされている。
なお、基端バー部411が係合溝部122内に挿嵌されて各規制面411a、411aがそれぞれ各対向内壁面122a、122aに当接した状態で、両縦棒部412は上下方向に略垂直に延びており、この両縦棒部412から斜め下方に延びる斜棒部413を介して設けられた両水平棒部414は略水平方向だがやや斜め上方に延びている。
姿勢保持具142は、座板121の管状支柱部123の前記係合孔内に回転可能に挿嵌された軸部421と、この軸部421の上端に固定され該上端から略水平に延びる腕部422と、この腕部422の先端に自己の略中央部が固定され該先端から両横方向(図1の左右方向)に略水平に延びる先端当接部としての当接バー部423とを有している。姿勢保持具142は、管状支柱部123の前記係合孔内に軸部421が回転可能に挿嵌されることにより、当接バー部423が腕部422と共に略水平方向に旋回自在となされている。そして、シート1の座面部2及び背もたれ部3間の隙間に差し込まれた先端支持部416により背もたれ部3を下から支持しながらシート1を持ち上げた状態で、姿勢保持具142の当接バー部423が背もたれ部3の前面に当接可能とされており、こうして当接バー部423が背もたれ部3に当接することにより、吊り下げ治具141に対するシート1の揺動(図6における反時計回り方向への揺動)を規制し得るようになっている。
ここに、フロントドアを全開させた自動車のドア開口部付近に台車110を移動させた状態で、シート1の幅方向の略中心部に差し込まれた吊り下げ治具141の基端バー部411に対して座板121の係合溝部122が係合可能となるように、アーム120の長さが調整されている。また、シート1の幅方向の略中心部に差し込まれた吊り下げ治具141の基端バー部411に対して座板121の係合溝部122を係合させた状態においては、アーム120の管状支柱部123に軸部421が挿嵌された姿勢保持具142の当接バー部423は、背もたれ部3の幅方向の略中心部に当接可能となっている。さらに、吊り下げ治具141の先端支持部416で背もたれ部3を下から支持しながらシート1を持ち上げた状態においては、当接バー部423が背もたれ部3の前面に確実に当接するように、姿勢保持具142の腕部422の長さが調整されている。
この車両用シートの脱着補助装置の使用方法について、自動車のフロントシートを車体から取り外したり又は車体に取り付けたりする場合を例に、以下説明する
まず、作業者は、車体側の取付座(図示せず)とシート1のブラケット(図示せず)との結合状態を予め解除しておき、シート1を持ち上げ可能な状態にする。そして、座板121の係合溝部122から脱着した吊り下げ治具141を手で持ち、この吊り下げ治具141の先端支持部416をシート1の座面部2及び背もたれ部3間の隙間に差し込む。このとき、シート1の幅方向の略中心部に吊り下げ治具141を装着する。これにより、シート1を持ち上げた際に、シート1の姿勢をより安定に維持することが可能となる。また、吊り下げ治具141は、縦棒部412と先端支持部416との間に縦棒部412から斜め下方に延びる斜棒部413を有していることから、座面部2及び背もたれ部3間の隙間に先端支持部416を差し込みやすくなっており、作業者はこの差し込み作業を容易に行うことができる。なお、先端支持部416の先端部分(先端バー部415)は、背もたれ部3の背面付近まで到達している。
一方、巻き取り手段134の操作により支柱113に対してスライダ131と共にアーム120を昇降させ、シート1の座面部2及び背もたれ部3間の隙間に先端支持部416が差し込まれた吊り下げ治具141の基端バー部411よりも、係合溝部122が少し下方に位置するように、アーム120の高さを予め調整しておく。
そして、吊り下げ治具141の基端バー部411の真下に座板121の係合溝部122が位置するように位置合わせしながら台車110を移動させる。このとき、姿勢保持具142が基端バー部411と係合溝部122との位置合わせ作業の邪魔になるようなら、この作業の妨げとならない位置に姿勢保持具142を旋回させて逃がしておけばよい。いずれにせよ、この位置合わせ作業が終わった後は、当接バー部423を背もたれ部3の前面に当接又は近接させた状態にしておく。
この状態で、巻き取り手段134を操作してワイヤ133を巻き取り、スライダ131と共にアーム120を上昇させる。これにより、アーム120の上昇途中(上昇の初期段階)で、座板121の係合溝部122内に吊り下げ治具141の基端バー部411を挿嵌させることができる。こうして基端バー部411が係合溝部122内に挿嵌された状態では、係合溝部122の各対向内壁面122a、122aに基端バー部411の各規制面411a、411aがそれぞれ当接するので、これによりアーム120に対して吊り下げ治具141が揺動することを規制することができる。したがって、吊り下げ治具141の先端支持部416で支持されたシート1の揺動も抑えることができ、シート1を安定に保持することが可能となる。また、基端バー部411が係合溝部122内に挿嵌されて各規制面411a、411aがそれぞれ各対向内壁面122a、122aに当接した状態では、上下方向に略垂直に延びた両縦棒部412から斜め下方に延びる斜棒部413を介して設けられた両水平棒部414がやや斜め上方に延びているため、この両水平棒部414及び先端バー部415よりなる先端支持部416で下から支持される背もたれ部3には、背もたれ部3を起こす方向(図6における反時計回り方向で背もたれ部3を姿勢保持具142の当接バー部423に近づける方向)に力が作用し、背もたれ部3と当接バー部423との当接力(当接バー部423に対する背もたれ部3の押圧力)を強くすることができる。したがって、先端支持部416で背もたれ部3を下から支持するとする力と、背もたれ部3と当接バー部423との当接力とにより、シート1を安定した姿勢に確実に保持することが可能となる。
こうして吊り下げ治具141及び姿勢保持具142によりシート1を確実に保持した状態で、巻き取り手段134の操作によりワイヤ133をさらに巻き取ってスライダ131と共にアーム120を上昇させて、シート1を所定の高さまで持ち上げる。そして、このままの状態(図6に示す状態)でキャスタ112を介して台車110をドア開口部から離れる方向に移動させれば、シート1を容易に車外へ取り出すことができる。
なお、シート1を車体に取り付ける際には、上述した取り外し作業を逆から実行すればよい。
このように、この車両用シートの脱着補助装置によれば、アーム120に装着された吊り下げ治具141及び姿勢保持具142によりシート1を安定した姿勢で確実に保持した状態で、巻き取り手段134の操作によりこのアーム120を昇降させたり、キャスタ112を介して台車110を任意の方向に移動させたりすることができる。このため、車体にシート1を取り付ける際又は車体からシートを取り外す際、重いシート1を持ち上げて運ぶ作業から作業者を解放することができ、作業者の負担軽減及び作業効率の向上に寄与しうる。
また、この車両用シートの脱着補助装置は、ロボット制御を備えた従来の前記自動装着装置と比べても、構造が簡単で、安価である。
そして、図6に示すようにシート1を持ち上げて車外へ取り出した後、前記洗浄装置まで運び、図1に示すように台車110の基台111を前記洗浄装置の基台40の下方に入り込ませて、シート1を回転洗浄台50上の所定の位置に配置させる。この状態で巻き取り手段134の操作により、ワイヤ133を所定量巻き戻してスライダ131と共にアーム120を下降させれば、シート1を回転洗浄台50の上に載せることができる。
こうして、シート1を回転洗浄台50の上に載せた後は、台車110を後退させてから、前記洗浄装置を使って、シート1を洗浄することができる。
したがって、この実施形態によれば、車体からのシート1の取り外し作業、シート1の前記洗浄装置までの移動及び前記回転洗浄台50上への載置作業を、この脱着補助装置により極めて容易にかつ効率的に行うことができ、作業者の負担軽減及び作業効率の向上を一層図ることが可能となる。
(その他の実施形態)
吊り下げ治具141の形状については、前述の実施形態で示したものに限られず、アームの被吊り下げ部に着脱自在に装着され、かつ、座面部2及び背もたれ部3間の隙間に差し込まれて背もたれ部3を下から支持可能な先端支持部を有するものであれば特に限定されない。例えば、図10に示されるように、座面部2及び背もたれ部3間の隙間に差し込まれて背もたれ部3を下から支持可能な先端支持部416の先端からさらに屈曲して延び、座面部2の背面に当接可能な座面支持部417を有するような形状とすることもできる。
また、前述の実施形態では、アーム120の被吊り下げ部に対して吊り下げ治具141を着脱自在に装着する手段として、被吊り下げ部としての係合溝部122に吊り下げ治具141の基端バー部411を挿嵌させる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被吊り下げ部としてフック等の被引っ掛け部を採用するとともに、この被引っ掛け部に引っ掛けることのできるチェーン等の引っ掛け部材を吊り下げ治具に取り付ける態様としてもよい。
さらに、スライダ131を昇降させるための昇降手段130として、図11に示されるように、ギア機構を採用することも可能である。すなわち、この昇降手段130は、アーム120の基端が固定されるとともに、支柱113に昇降可能に保持されたスライダ131と、上下方向に延設されるとともに自己の下端がスライダ131に固定され、上方部にラック部135aを有するラック部材135と、支柱113の上端部に取り付けられ、ラック部135aと噛み合い係合可能なピニオン136と、ピニオン136を回転操作するためのレバー137とを備えている。この昇降手段130では、スライダ131に固体されたラック部材135のラック部135aと噛み合い係合するピニオン136をレバー137で回転操作することにより、スライダ131と共にアーム120を昇降させることができる。
加えて、前述の実施形態では、姿勢保持具142を旋回自在とする例について説明したが、この姿勢保持具はアームの被取り付け部に固定状態で取り付けてもよい。
また、前述の実施形態では、自動車のフロントシートを車体から取り外す等する場合を例に説明したが、この車両用シートの脱着補助装置は、自動車以外の車両、例えばトラック等のフロントシートを車体から取り外す等する場合や、車両のリアシートを車体から取り外す等する場合にも適用しうることは勿論である。
(付記)
前述した実施形態から、以下に示す発明を把握することも可能である。
(第1項)基台、該基台を移動自在とするキャスタ及び該基台に立設された支柱を有する台車と、
略水平に延在した状態を維持しつつ昇降自在となるように前記支柱に取り付けられたアームと、
前記支柱に対して前記アームを昇降させる昇降手段と、
前記アームの自由端側に装着され、シートを保持可能な保持手段と、
を備えることを特徴とする車両用シートの脱着補助装置。
この車両用シートの脱着補助装置では、アームに装着された保持手段にシートを保持させた状態で、昇降手段によりこのアームを昇降させたり、キャスタを介して台車を任意の方向に移動させたりすることができる。このため、車体にシートを取り付ける際又は車体からシートを取り外す際、重いシートを持ち上げて運ぶ作業から作業者を解放することができ、作業者の負担軽減及び作業効率の向上に寄与しうる。
また、この車両用シートの脱着補助装置は、ロボット制御を備えた従来の前記自動装着装置と比べても、構造が簡単で、安価である。
(第2項) 前記アームは被吊り下げ部を前記自由端側に有する一方、前記保持手段は該被吊り下げ部に着脱自在に吊り下げられた吊り下げ治具を有し、かつ、
前記吊り下げ治具は、前記シートの座面部及び背もたれ部間の隙間に差し込まれて該背もたれ部を下から支持可能な先端支持部を有していることを特徴とする前記第1項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、車体にシートを取り付ける際又は車体からシートを取り外す際、作業者が以下の手順で作業することにより、作業者の負担軽減及び作業効率の向上を一層図ることができるとともに、シートを確実に保持することができる。
まず、作業者は吊り下げ治具を手で持って吊り下げ治具の先端支持部をシートの座面部及び背もたれ部間の隙間に差し込む。そして、この吊り下げ治具がアームの被吊り下げ部に装着可能となる位置まで台車を移動させる。そして、アームの被吊り下げ部に吊り下げ治具を装着した後、昇降手段によりアームを上昇させる。なお、後述するように吊り下げ治具及び被吊り下げ部の態様によっては、アームの上昇途中(上昇の初期段階)で、被吊り下げ部に吊り下げ治具を装着することもできる。こうしてアームを上昇させれば、座面部及び背もたれ部の隙間に差し込まれた吊り下げ治具の先端支持部で背もたれ部を下から支持しながら、シートを確実に保持して持ち上げることができる。
(第3項) 前記被吊り下げ部は、前記アームの自由端から略水平に延びる座板の上面に設けられた係合溝部よりなり、該係合溝部は、該座板の幅方向に貫通し、かつ、該座板の長さ方向に互いに対向する一対の対向内壁面をもつ一方、
前記吊り下げ治具は前記係合溝部内に挿嵌可能な基端バー部を有し、該基端バー部は、該基端バー部が該係合溝部内に挿嵌された状態で各前記対向内壁面にそれぞれが当接することにより前記アームに対する該吊り下げ治具の揺動を規制しうる一対の規制面をもっていることを特徴とする前記第2項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、車体にシートを取り付ける際又は車体からシートを取り外す際、作業者が以下の手順で作業することにより、作業者の負担軽減及び作業効率の向上を一層図ることができるとともに、シートをより確実に保持することができる。
すなわち、吊り下げ治具の先端支持部をシートの座面部及び背もたれ部間の隙間に差し込んだ後、この吊り下げ治具の基端バー部の真下に座板の係合溝部が位置するように位置合わせしながら台車を移動させる。この状態でアームを上昇させれば、アームの上昇途中(上昇の初期段階)で、座板の係合溝部内に吊り下げ治具の基端バー部を挿嵌させることができる。また、こうして基端バー部が係合溝部内に挿嵌された状態では、係合溝部の各対向内壁面に基端バー部の各規制面がそれぞれ当接するので、これによりアームに対して吊り下げ治具が揺動することを規制することができる。したがって、吊り下げ治具の先端支持部で支持されたシートの揺動も抑えることができ、シートを安定に保持することが可能となる。
(第4項) 前記保持手段は、前記背もたれ部の前面に自己の先端当接部が当接することにより前記吊り下げ治具に対する前記シートの揺動を規制して該シートの姿勢を安定に保持しうる姿勢保持具をさらに有していることを特徴とする前記第2項又は第3項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、座面部及び背もたれ部の隙間に差し込まれた吊り下げ治具の先端支持部で背もたれ部を下から支持しながら、背もたれ部の前面に姿勢保持具の先端当接部が当接することにより吊り下げ治具に対するシートの揺動を規制してシートの姿勢を安定に保持することができる。したがって、シートをより安定に保持することが可能となる。
(第5項) 前記アームは前記姿勢保持具が取り付けられる被取り付け部を前記自由端側に有する一方、該姿勢保持具は前記先端当接部が略水平方向に旋回自在となるように該被取り付け部に取り付けられていることを特徴とする前記第4項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、姿勢保持具の先端当接部が旋回自在となるように、アームの被取り付け部に該姿勢保持具が取り付けられているので、作業効率の向上を一層図ることができる。すなわち、座面部及び背もたれ部の隙間に差し込まれた吊り下げ治具に対してアームの被吊り下げ部を位置合わせする際に、この作業の妨げとならない位置に姿勢保持具の先端当接部を旋回させて逃がしておくことができる。
(第6項) 前記昇降手段は、
前記アームの基端が固定されるとともに、前記支柱に昇降可能に保持されたスライダと、
前記支柱の上端部に固定された滑車と、
前記滑車に掛けられるとともに、一端が前記スライダに固定されたワイヤと、
前記支柱に取り付けられるとともに前記ワイヤの他端が連結され、該ワイヤの巻き取り又は巻き戻しにより前記スライダを上昇又は下降させうる巻き取り手段とから構成されていることを特徴とする前記第1項、第2項、第3項、第4項又は第5項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、支柱の上端部に固定された滑車に掛けられたワイヤを巻き取り手段により巻き取ったり又は巻き戻したりすることにより、スライダとともにアームを上昇させたり又は下降させたりすることができる。このため、支柱の高さ(滑車の固定位置)やワイヤの長さ等の調整次第で、アームやアームと共に昇降するシートの昇降位置(最大上昇位置や最大下降位置)を任意に調整する可能となる。また、このとき、支柱を高くしてシートの最大上昇位置を高くした場合であっても、巻き取り手段の取り付け位置(高さ)を作業者が操作可能な範囲におさめることができる。
(第7項) 前記昇降手段は、
前記アームの基端が固定されるとともに、前記支柱に昇降可能に保持されたスライダと、
上下方向に延設されるとともに自己の下端が前記スライダに固定され、少なくとも上方部にラック部を有するラック部材と、
前記支柱の上端部に取り付けられ、前記ラック部と噛み合い係合可能なピニオンとを備えていることを特徴とする前記第1項、第2項、第3項、第4項又は第5項記載の車両用シートの脱着補助装置。
この態様によれば、スライダに固体されたラック部材のラック部と噛み合い係合するピニオンを回転操作することにより、スライダと共にアームを昇降させることができる。このようなギア機構を利用すれば、スライダと共にアームを昇降させる際に昇降位置の微調整がし易くなるとともに昇降手段の耐久性の点で有利となる。
(第8項) 前記第1乃至第7項記載のいずれかの車両用シートの脱着補助装置と、請求項1乃至9記載のいずれかの洗浄装置とからなることを特徴とする車両用シートの洗浄装置。
(第9項) 前記洗浄装置の基台の下方に前記脱着補助装置の台車の基台を入り込ませることができるように設定されていることを特徴とする前記第8項記載の車両用シートの洗浄装置。
(第10項) 前記第1乃至第7項記載のいずれかの車両用シートの脱着補助装置を用いて車体からシートを取り外す取り外し工程と、請求項1乃至9記載のいずれかの洗浄装置を用いて該シートを洗浄する洗浄工程とからなることを特徴とする車両用シートの洗浄方法。