JP4351845B2 - (メタ)アクリル酸アミド類、および硬化性組成物 - Google Patents
(メタ)アクリル酸アミド類、および硬化性組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジカル重合することによって硬化する硬化性組成物に好適に用いられる新規な(メタ)アクリル酸アミド類、および、その製造方法に関する。また、本発明は、この(メタ)アクリル酸アミド類を用いた硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境汚染、省エネルギー、作業環境汚染などの問題により、希釈溶剤などを実質的には必要とせず、また、塗膜を硬化させるのに要するエネルギー量も少ない、紫外線などの活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型組成物が注目を集めている。このような活性エネルギー線硬化型組成物は、プラスチック製のレンズ、光ディスク、シート、フィルム、光ファイバー等のコーティング;回折格子、プリズムシート、フレネルレンズ等の2P法による微細加工;木工合板、床板、家具、楽器等の木工製品のコーティング;インキや接着剤などに多く利用されるようになってきている。
【0003】
このような活性エネルギー線硬化型組成物は、不飽和ポリエステル系重合体、ウレタンアクリレート系重合体、エポキシアクリレート系重合体、ポリエステルアクリレート系重合体などのオリゴマー類を主成分とするため、そのままでは粘度が極めて高く、塗料として扱うことが困難であった。そこで、一般には、このようなオリゴマー類と、ラジカル重合性不飽和結合を有する低粘度の重合性希釈剤とを混合することにより、活性エネルギー線硬化型組成物の塗工操作性が高められている。しかし、一般の重合性希釈剤を使用した場合、活性エネルギー線硬化型組成物の粘度低下は達成されるものの、硬化速度の低下、硬化収縮率の増大、硬化塗膜の機械的強度の低下が起こる傾向があった。
【0004】
硬化収縮率が低く、低粘度である組成物として、特許文献1には、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート等の化合物および光重合開始剤を含有する光ディスク用オーバーコート組成物が開示されている。しかしながら、この組成物は、硬化性および硬化塗膜の機械的強度が必ずしも十分ではない。また、低粘度化の点でも必ずしも十分とはいえない。
【0005】
そのため、希釈性能が良好であり、これを用いた硬化性組成物の硬化性能が良好で、硬化に際しての体積収縮率(硬化収縮率)が小さく、なおかつ得られる硬化塗膜が機械的強度に優れる重合性モノマーが求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開平04−264167号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硬化性組成物、特に紫外線、電子線などの活性エネルギー線照射によりラジカル重合して硬化する硬化性組成物に好適に用いられる新規な(メタ)アクリル酸アミド類を提供することを目的とする。また、本発明は、安全性が高く、効率よく、高収率、高選択率でこの新規(メタ)アクリル酸アミド類を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、粘度が低く、塗工操作性に優れ、かつ、硬化性に優れ、硬化に際しての体積収縮率、すなわち硬化収縮率が小さく、得られる硬化塗膜が機械的特性に優れる硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成できる。
▲1▼下記一般式(1)で表される化合物。
【0009】
【化5】
【0010】
(式(1)中、R1、R2はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Aは酸素原子またはイミノ基(−NH−)を表す。)
▲2▼下記式(2)で表される前記▲1▼の化合物。
【0011】
【化6】
【0012】
▲3▼下記式(3)で表される前記▲1▼の化合物。
【0013】
【化7】
【0016】
4.前記式(1)〜(3)で表されるいずれかの化合物を含有する硬化性組成物。
5.前記式(1)〜(3)で表されるいずれかの化合物と、重合性モノマーおよび/またはオリゴマーとを含有する硬化性組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の新規な(メタ)アクリル酸アミド類は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
【化9】
【0019】
(式(1)中、R1、R2はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Aは酸素原子またはイミノ基(−NH−)を表す。)
この上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類は、金属、プラスチック、木材など各種基材のコーティングに有用な硬化性組成物、特に、紫外線、電子線などの活性エネルギー線照射によりラジカル重合して硬化する活性エネルギー線硬化型組成物に好適に用いられる。
【0020】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類を重合性モノマーとして含有する硬化性組成物は、不飽和ポリエステル系重合体、ウレタンアクリレート系重合体、エポキシアクリレート系重合体、ポリエステルアクリレート系重合体などのオリゴマー類を主成分とする従来の活性エネルギー線硬化型組成物に比べて、硬化速度の低下、硬化収縮率の増大、硬化塗膜の機械的強度の低下がほとんどない。
【0021】
また、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類は、硬化性組成物に用いる重合性希釈剤、中でも活性エネルギー線硬化型組成物に用いる重合性希釈剤として特に有用である。従来用いられているような重合性モノマーおよび/またはオリゴマーと、重合性希釈剤として上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類とを含有する本発明の硬化性組成物は、粘度が低く、塗工操作性に優れ、かつ、硬化性に優れ、硬化に際しての体積収縮率、すなわち硬化収縮率が小さい。しかも、本発明の硬化性組成物により得られる硬化塗膜は、機械的特性に優れている。
【0022】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類は、下記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物を(メタ)アクリロイルオキシ化することにより製造することができる。(メタ)アクリロイルオキシ化は、例えば、(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸無水物により行うことができる。
【0023】
【化10】
【0024】
(式(4)中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Bは水酸基またはアミノ基を表す。)
この方法によれば、安全性が高く、効率よく、高収率、高選択率で上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類を製造することができる。
【0025】
なお、ここで、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド」を意味する。
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0027】
まず、上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類について説明する。
【0028】
一般式(1)中、R1、R2は水素原子またはメチル基を表す。R1、R2は同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。R1、R2は、この(メタ)アクリル酸アミド類を含有する硬化性組成物の硬化速度が速い点から、ともに水素原子であることが好ましい。
【0029】
一般式(1)中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。アルキレン基は直鎖状であっても分岐していてもよいが、直鎖状であることが好ましい。R3の炭素数は、この(メタ)アクリル酸アミド類を含有する硬化性組成物の硬化収縮率が低い点から、1以上である。また、R3の炭素数は、この(メタ)アクリル酸アミド類を含有する硬化性組成物の硬化性が優れている点から、10以下であり、特に3以下であることが好ましい。R3としては、中でも、メチレン基またはエチレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0030】
一般式(1)中、Aは酸素原子またはイミノ基(−NH−)を表す。Aは得られる硬化性組成物が低吸湿性である点から、酸素原子であることが好ましい。
【0031】
また、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類としては、得られる硬化性組成物の硬化性が高い点から、下記一般式(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【化11】
【0033】
(式(1−1)中、R1、R2はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Aは酸素原子またはイミノ基(−NH−)を表す。)
なお、一般式(1−1)中のR1、R2、R3、Aは、それぞれ、一般式(1)中のR1、R2、R3、Aに対応している。したがって、一般式(1−1)中のR1、R2、R3、Aは、一般式(1)中のR1、R2、R3、Aと同様のものであり、好ましいものも同様である。
【0034】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類として、具体的には、R1およびR2が水素原子、R3が炭素数2のアルキレン基(エチレン基)、Aが酸素原子である下記式(2)で表される化合物、あるいは、R1およびR2が水素原子、R3が炭素数1のアルキレン基(メチレン基)、Aがイミノ基(−NH−)である下記式(3)で表される化合物などが好ましい。上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類としては、中でも、この(メタ)アクリル酸アミド類を含有する硬化性組成物の硬化性が高い点から、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
次に、上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類の製造方法について説明する。
【0038】
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類は、例えば、上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物を(メタ)アクリロイルオキシ化することにより製造することができる。
【0039】
一般式(4)中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。一般式(4)中のR3は、一般式(1)中のR3に対応している。したがって、一般式(4)中のR3は、一般式(1)中のR3と同様のものであり、好ましいものも同様である。
【0040】
一般式(4)中、Bは水酸基またはアミノ基を表す。Bは、得られる(メタ)アクリル酸アミド類を含有する硬化性組成物が低吸湿性である点から、水酸基であることが好ましい。
【0041】
上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物として、具体的には、4−ヒドロキシメチルピペリジン、3−ヒドロキシメチルピペリジン、2−ヒドロキシエチルピペリジン、4−ヒドロキシエチルピペリジン、2−アミノメチルピペリジンなどが挙げられる。用いる上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物は、目的生成物に応じて適宜決めればよい。
【0042】
上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物を(メタ)アクリロイルオキシ化する方法としては特に限定されないが、例えば、上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物と(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸無水物とを反応させる方法などが挙げられる。
【0043】
まず、(メタ)アクリル酸ハライドで(メタ)アクリロイルオキシ化する方法について説明する。
【0044】
用いられる(メタ)アクリル酸ハライドとしては、原料入手の点から、(メタ)アクリル酸クロライドが好ましい。なお、目的生成物である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類のR1、R2が水素原子である場合、アクリル酸ハライドを用いる。また、目的生成物である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類のR1、R2がメチル基である場合、メタクリル酸ハライドを用いる。
【0045】
(メタ)アクリル酸ハライドで(メタ)アクリロイルオキシ化する際には、通常、塩基が使用される。ここで用いられる塩基は、生成する酸を中和するものであれば特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0046】
(メタ)アクリル酸ハライドの使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物1モルに対して1.2〜4モルであることが好ましい。
【0047】
塩基の使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物1モルに対して1.3〜4.8モルであることが好ましい。
【0048】
反応温度は、−80℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましい。また、反応温度は、100℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。反応温度が高くなるほど反応速度が速くなる傾向があり、一方、反応温度が低くなるほど副反応が抑制される傾向がある。
【0049】
反応の際、溶媒を使用しなくてもよいが、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、キシレンなどの溶媒を使用することが好ましい。溶媒の使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物に対して2〜50倍質量であることが好ましい。
【0050】
次に、(メタ)アクリル酸無水物で(メタ)アクリロイルオキシ化する方法について説明する。
【0051】
なお、目的生成物である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類のR1、R2が水素原子である場合、アクリル酸無水物を用いる。また、目的生成物である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類のR1、R2がメチル基である場合、メタクリル酸無水物を用いる。
【0052】
(メタ)アクリル酸無水物で(メタ)アクリロイルオキシ化する際には、通常、触媒が使用される。ここで用いられる触媒は特に限定されないが、一般に酸または塩基を使用することができ、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩や(メタ)アクリル酸塩等の有機酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、あるいは、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類などの塩基、また、硫酸や硝酸などの鉱酸、リン酸、あるいは、ギ酸、酢酸、(メタ)アクリル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸などの酸が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
(メタ)アクリル酸無水物の使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物1モルに対して0.8〜4モルであることが好ましい。
【0054】
触媒の使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物1モルに対して0.01〜1モルであることが好ましい。
【0055】
反応温度は、−30℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましい。また、反応温度は、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。反応温度が高くなるほど反応速度が速くなる傾向があり、一方、反応温度が低くなるほど副反応が抑制される傾向がある。
【0056】
反応の際、溶媒を使用しなくてもよいが、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、キシレンなどの溶媒を使用することが好ましい。溶媒の使用量は適宜決めればよいが、通常、ピペリジン環含有化合物に対して2〜50倍質量であることが好ましい。
【0057】
本発明においては、重合を防止するために、上記一般式(4)で表されるピペリジン環含有化合物と(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸無水物とを含有する反応液に重合防止剤を添加することができる。
【0058】
用いられる重合防止剤は特に限定されず、公知のものいずれも用いることができる。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノールなどのフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミンなどのアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、あるいは、下記一般式(6)で示されるN−オキシル系化合物などが挙げられる。重合防止剤は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0059】
【化14】
【0060】
(式(6)中、R11、R12はともに水素原子を表すか、または、R11、R12の一方が水素原子を表し、他方がメチル基を表す。R13、R14、R15、R16はそれぞれ直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。R17は水素原子または(メタ)アクリロイル基を表す。nは1〜18の整数である。)
重合防止剤の使用量は適宜決めればよいが、重合防止の点から、得られる(メタ)アクリル酸アミド類に対して1ppm以上が好ましい。また、重合防止剤の使用量は、精製時の分離の点から、1%以下が好ましい。
【0061】
また、重合防止剤を使用するのと同時に、エアーバブリングを行うことにより相乗効果を得ることもできる。
【0062】
このようにして得られる上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類は、反応後、必要に応じてメタノール等を加え、水等で洗浄した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーや蒸留により精製してもよい。
【0063】
上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類は、硬化性組成物、特に、紫外線などの活性エネルギー線照射によりラジカル重合して硬化する硬化性組成物(活性エネルギー線硬化型組成物)に好適に用いられる。以下、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類を含有する本発明の硬化性組成物について説明する。
【0064】
本発明の第1の硬化性組成物は、重合性モノマーとして上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類を含有するものである。この場合、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類がラジカル重合して硬化する。本発明の(メタ)アクリル酸アミド類は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0065】
本発明の第2の硬化性組成物は、重合性成分である重合性モノマーおよび/またはオリゴマーと、重合性希釈剤として上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類とを含有するものである。この場合、重合性希釈剤である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類と共に、それ以外の重合性成分である重合性モノマーおよび/またはオリゴマーがラジカル重合して硬化する。本発明の(メタ)アクリル酸アミド類は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0066】
なお、重合性モノマーおよび/またはオリゴマーは不飽和結合を1個有するものであってもよい。本発明においては、重合性モノマーおよび/またはオリゴマーが不飽和結合を1個有するものであっても、重合性希釈剤である上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アミド類が不飽和結合を2個有するため、網目構造を生じる。
【0067】
本発明の第2の硬化性組成物において配合可能な重合性モノマーとしては特に限定されず、適用用途の要求性能などを考慮して適宜選択すればよい。
【0068】
不飽和結合を1個有するモノマーとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;
エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エトキシレーテッド2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデシル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラニルメチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキソラニルメチル、(メタ)アクリル酸サイクリックトリメチロールプロパンフォルマール、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
などが挙げられる。
【0069】
不飽和結合を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリテトラメチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールF、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、水添ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル等のジ(メタ)アクリル酸エステル類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性トリメチロールプロパントリアクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
などが挙げられる。
【0070】
本発明の第2の硬化性組成物において配合可能な重合性オリゴマーとしては特に限定されず、適用用途の要求性能などを考慮して適宜選択すればよい。ここで、オリゴマーの分子量は通常500〜20000である。オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどを使用することができる。
【0071】
ポリエステル(メタ)アクリレートとして、具体的には、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸等の多塩基酸類と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA等の多価アルコール類と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0072】
ウレタン(メタ)アクリレートとして、具体的には、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物類と、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のポリオール化合物と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応で得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のイソシアネート化合物の単量体または多量体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやそれらのカプロラクトン付加体等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類を付加して得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
などが挙げられる。
【0073】
エポキシ(メタ)アクリレートとして、具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル化合物に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させて得られるエポキシポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0074】
なお、上記のポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートには、不飽和結合を1個有するものも、2個以上有するものも含まれる。
【0075】
これらの重合性モノマーおよびオリゴマーは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、アクリル系やポリエステル系などの高分子化合物を含有することもできる。
【0076】
本発明の第1の硬化性組成物および本発明の第2の硬化性組成物において、本発明の(メタ)アクリル酸アミド類や、重合性モノマー、オリゴマーなどの重合性成分を工業的に有効な硬化速度で重合硬化させるためには、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を添加することが好ましい。
【0077】
熱重合開始剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;
上記過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン類を組み合わせたレドックス重合開始剤;
などが挙げられる。また、必要に応じて、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ニッケル等の金属石鹸類も使用することができる。
【0078】
光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、tert−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、
2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;
メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン;
などが挙げられる。
【0079】
これらの重合開始剤は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、熱重合開始剤1種以上と光重合開始剤1種以上とを併用することもできる。
【0080】
本発明の第1の硬化性組成物および本発明の第2の硬化性組成物において、硬化性組成物中の重合開始剤の含有量は、硬化速度の点から、合計で、0.01質量%以上であることが好ましい。また、硬化性組成物中の重合開始剤の含有量は、開始剤残渣を原因とする臭気および耐黄変性の点から、合計で、10質量%以下であることが好ましい。
【0081】
また、重合性希釈剤として上記一般式(1)で表される本発明の(メタ)アクリル酸アミド類を含有する本発明の第2の硬化性組成物において、硬化性組成物中の本発明の(メタ)アクリル酸アミド類の含有量は、十分に粘度が低下し、優れた塗工操作性が得られる点から、合計で、5質量%以上であることが好ましい。また本発明の第2の硬化性組成物において、(メタ)アクリル酸アミド類の含有量は、合計で5〜60質量%であることが好ましい。
【0082】
さらに、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等、公知の各種光増感剤を配合してもよい。また、本発明の硬化性組成物には、レベリング剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤等、公知の各種添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。これらの光増感剤および添加剤の配合量は特に限定されず、適宜決めればよい。
【0083】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
実施例および比較例において、分析はガスクロマトグラフィー(以下、GCという。)により行った。生成物の純度は、GCのピーク面積から次式により算出した。
【0085】
純度(%)=(A/B)×100
ここで、Aは目的生成物である(メタ)アクリル酸アミドのピーク面積、Bは全ピークの合計ピーク面積を表す。
【0086】
また、目的生成物である(メタ)アクリル酸アミドの収率は、ピペリジン環含有化合物基準で算出した。
【0087】
<実施例1> 下記式(2)で表される化合物の製造
攪拌装置を備えた3L丸底フラスコに、上記一般式(4)においてR3が炭素数2のアルキレン基(エチレン基)、Bが水酸基である2−ヒドロキシエチルピペリジン201.04g(1.5モル)と、トリエチルアミン318.75g(3.15モル)と、塩化メチレン2.01Lとを仕込み、窒素気流下にアクリル酸クロライド285.11g(3.15モル)を内温10℃で、1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま1時間攪拌した後、メタノール9.61g(0.3モル)を添加した。そして、水2Lで洗浄を2回行い、次いで10質量%食塩水2.01kgで洗浄を1回行った。得られた有機層を無水硫酸マグネシウム100gで乾燥させ、ろ過した後、ろ液にパラメトキシフェノール0.36gを添加し、35℃の水浴で加熱しながらエバポレーターで減圧濃縮して、上記一般式(1)においてR1およびR2が水素原子、R3が炭素数2のアルキレン基(エチレン基)、Aが酸素原子である2−アクリロイルオキシエチル−N−アクリロイルピペリジン(以下、PEDAという。)278.66gを得た。
【0088】
得られたPEDAの純度は89.1%であり、収率は2−ヒドロキシエチルピペリジン基準で69.8%であった。
【0089】
このようにして得られたPEDAの1H−NMRスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に、EI−MSスペクトルを図3に、CI−MSスペクトルを図4に示す。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルからは、得られたPEDAが配座異性体混合物であることを確認した。また、EI−MSスペクトルおよびCI−MSスペクトルからは、得られたPEDAの分子量を確認した。
【0090】
<実施例2> 硬化性組成物の製造
実施例1で得られたPEDAを35質量部、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン1モルとダイセル化学工業(株)製プラクセル205(ポリカプロラクトンジオール)0.5モルと2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルとから合成されたウレタンアクリレート(UA−1)を40質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)を25質量部、光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)を3質量部混合し、硬化性組成物を得た。
【0091】
得られた硬化性組成物の粘度、硬化性、硬化膜の機械的強度および硬化収縮率を以下のようにして測定した。
【0092】
(1)粘度
得られた硬化性組成物の25℃における粘度をE型粘度計で測定した。その結果、この硬化性組成物の25℃における粘度は780mPa・sであった。
【0093】
(2)硬化性
バーコータを用いて、得られた硬化性組成物を膜厚が20μmとなるようにガラス板上に塗装した。そして、コンベア式の紫外線硬化装置(出力80W/cm、ランプ高さ20cmの高圧水銀灯)を用いて塗膜を硬化させ、指触により塗膜表面がタックフリーとなるための必要最低積算光量を測定した。積算光量は、オーク(株)製UV351を用いて測定した。その結果、この硬化性組成物の必要最低積算光量は100mJ/cm2であった。
【0094】
(3)機械的強度(破断強度・破断伸度・引張弾性率)
バーコータを用いて、得られた硬化性組成物を膜厚が100μmとなるようにガラス板上に塗装した。そして、コンベア式の紫外線硬化装置(出力80W/cm、ランプ高さ20cmの高圧水銀灯)を用いて、1パス1000mJ/cm2の積算光量で塗膜を硬化させた。
【0095】
得られた硬化膜をガラス板上から剥離し、幅1cm、長さ5cmの試験片に切断して、オリエンテック社製テンシロンにて20mm/分の引張速度で、長手方向に引っ張り試験を行った。その結果、この硬化膜の破断強度は35MPa、破断伸度は15%、引張弾性率は1500MPaであった。
【0096】
(4)硬化収縮率
得られた硬化性組成物の20℃における液比重d1および硬化物の20℃における固体比重d2から、下記式(1)を用いて硬化収縮率を求めた。
【0097】
硬化収縮率(%)=〔(d2−d1)/d2〕×100 (1)
その結果、d1=1.11およびd2=1.19であり、この硬化性組成物の硬化収縮率は6.7%であった。
【0098】
この硬化性組成物の組成と、粘度、硬化性、硬化膜の機械的強度および硬化収縮率の性能試験結果とを表1に示す。
【0099】
<比較例1>
本発明の(メタ)アクリル酸アミド類であるPEDAを用いず、ビスフェノールAテトラオキシエチレンジアクリレート(BPE4)を用い、表1に記載の質量比で配合した以外は実施例2と同様にして硬化性組成物を得、その粘度、硬化性、硬化膜の機械的強度および硬化収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
本発明の(メタ)アクリル酸アミド類であるPEDAを用いた実施例2の硬化性組成物は、PEDAを用いていない比較例1の硬化性組成物と比べて、硬化収縮率は同等であり、粘度、硬化性および硬化膜の機械的強度に優れていた。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化性組成物、特に紫外線、電子線などの活性エネルギー線照射によりラジカル重合して硬化する硬化性組成物に好適に用いられる新規な(メタ)アクリル酸アミド類を提供することができる。また、本発明によれば、安全性が高く、効率よく、高収率、高選択率でこの新規(メタ)アクリル酸アミド類を製造する方法を提供することができる。
【0103】
さらに、この(メタ)アクリル酸アミド類を用いることにより、粘度が低く、塗工操作性に優れ、かつ、硬化性に優れ、硬化に際しての体積収縮率、すなわち硬化収縮率が小さく、得られる硬化塗膜が機械的特性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたPEDAの1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られたPEDAの13C−NMRスペクトルである。
【図3】実施例1で得られたPEDAのEI−MSスペクトルである。
【図4】実施例1で得られたPEDAのCI−MSスペクトルである。
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