JP4350860B2 - ディジタル通信システムにおける切り換え制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロホンから入力された音声信号等のアナログ信号をディジタル形式へ変換して送信するディジタル通信システムに使用する切り換え制御方法に関する。特に、この発明は、コントロール・ビットを用いて送信機と受信機との切り換えの同期を取るようにした切り換え制御方法に関するものであって、ビットレートを小さくして使用周波数帯域幅を小さくしたディジタル通信システムに適用して有効なものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、ディジタル無線通信システムの一つであるワイヤレスマイクロホン・システムの構成の概要を示しており、必要なダイナミックレンジを確保するため、それに応じた精度のA/Dコンバータ及びD/Aコンバータを使用している。図10において、送信側では、マイクロホン1から入力された音声信号を低周波増幅器2によってA/D変換に必要なだけ増幅し、分解能が例えば20ビットのA/Dコンバータ3によってディジタル信号に変換した後、ディジタル信号処理部4によって所要の信号処理を行い、信号処理されたディジタル信号を変調器5によって変調して20ビットのディジタル信号として受信側へ送信する。受信側では、受信したディジタル信号を増幅器6によって増幅してから復調器7によって元のディジタル信号へ復調し、これを信号処理部8によって処理した後、A/Dコンバータ3と同じ分解能を持つD/Aコンバータ9によってアナログ信号へ変換し、更に低周波増幅器10によって増幅してからスピーカ11から出力させる。
【0003】
理論的には、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータに分解能が16ビットのものを使用すると、ダイナミックレンジは96dB程度となり、同様に、18ビットで108dB、20ビットで120dB、24ビットで144dBのダイナミックレンジを確保することができる。
【0004】
しかし、実際には、ノイズ等の影響で、理論どおりのダイナミックレンジを確保することができず、分解能が16ビットのA/Dコンバータ及びD/Aコンバータでは90dB程度のダイナミックレンジしか得られないため、充分なダイナミックレンジを確保するためには、一層高精度のA/Dコンバータ及びD/Aコンバータを使用する必要があった。一方、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータのビット数を上げると精度は向上するものの、同時に、そのコストも上昇してしまう。そこで、特に量産向けのCDプレーヤ等に用いられるD/Aコンバータを使用できれば、コストの低減に極めて有利である。
【0005】
さらに、こうした無線通信システムにおいては、ビット数の増加はビットレートの増加に直結し、広い帯域幅を占有することになるので、充分なチャンネル数を確保することができないという重大な欠点を生じてしまう。したがって、限られた資源である周波数帯域を有効に利用するため、通信に使用し得るビットレートを可能な限り小さくし、使用周波数帯域幅を狭くすることが重要になる。
【0006】
高精度のA/Dコンバータの使用によるコストの上昇を回避する対策として、この出願の出願人は平成10年5月29日に「高精度A/D変換器」という名称の発明について特許出願を行い、精度の低い従って安価なA/Dコンバータを使用してもダイナミックレンジを拡張することができる手法を提案した(特開平11−340831号公報参照)。
【0007】
図11は、上記「高精度A/D変換器」の構成の一例を示しており、マイクロホンからのアナログ入力信号を2系統に分け、その一方の信号はA/Dコンバータ12でディジタル信号に変換してから切り換え器13に加えられ、他方の信号は増幅率が2mの増幅器14で増幅された後、A/Dコンバータ15でディジタル信号へ変換され、更に、増幅率が2-mの増幅器16で増幅されて切り換え器13に加えられる。A/Dコンバータ12の出力レベルはレベル検出器17にも印加されてA/Dコンバータ12からの出力電力を検出する。これにより、予め決められたレベルを境として、切り換え器13により、アナログ入力信号が大きいときにはA/Dコンバータ12の出力を、アナログ入力信号が小さいときにはアナログ増幅器16の出力をディジタル信号として取り出すようにする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、従来の通信システムの持つ上記の課題に鑑みて提案されたものであり、この発明の目的は、送信機でのアナログ入力信号のレベルに応じた切り換えに同期して受信機での切り換えを行わせる切り換え制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、
マイクロホンに入力される原アナログ信号をディジタル変換して送信ディジタル信号を生成する送信機と、前記送信ディジタル信号を受信して生成される受信ディジタル信号から原アナログ信号を再生する受信機とを含むディジタル通信システムにおける切り換え制御方法であって、
前記送信機から、前記送信ディジタル信号のレベルと所定のレベルとの比較結果に対応した情報を示す制御信号を含む前記送信ディジタル信号を送出するステップであって、前記原アナログ信号を二分し、二分された前記原アナログ信号の一方をディジタル変換して第一のディジタル信号を得る第一のディジタル化ステップと、二分された前記原アナログ信号の他方をアナログ増幅した後にディジタル変換して第二のディジタル信号を得る第二のディジタル化ステップとを含み、前記制御信号が、前記比較結果に基づいて前記第一のディジタル信号又は前記第二のディジタル信号を選択したことを示す信号であるステップと、
前記受信機において、前記送信ディジタル信号信号を受信して前記制御信号を抽出すると共に、前記受信ディジタル信号から原アナログ信号を再生するステップと、
を備え、
前記受信機が、抽出された前記制御信号に基づいて、前記受信ディジタル信号から再生された前記アナログ信号をアナログ増幅する径路とアナログ増幅しない径路とを選択的に切り換えるよう動作することを特徴とする切り換え制御方法、
を提供する。
【0010】
請求項2の発明は、選択する前記ステップが、前記制御信号に応じて、前記受信ディジタル信号をアナログ信号へ変換する径路と、前記受信ディジタル信号をアナログ信号へ変換した後にアナログ増幅する径路とのいずれかに前記受信ディジタル信号を選択的に供給するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、選択する前記ステップが、前記制御信号に応じて、前記受信ディジタル信号をディジタル増幅する径路とディジタル増幅しない径路とのいずれかを選択するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、
マイクロホンに入力される原アナログ信号をディジタル変換して送信ディジタル信号を生成する送信機と、前記送信ディジタル信号を受信して生成される受信ディジタル信号から原アナログ信号を再生する受信機とからなるディジタル通信システムにおける切り換え制御方法であって、
前記送信機から、前記送信ディジタル信号のレベルと所定のレベルとの比較結果に対応した情報を示す制御信号を含む前記送信ディジタル信号を送出するステップであって、前記制御信号が、前記送信ディジタル信号と、前記送信ディジタル信号をディジタル増幅した後のディジタル信号とのいずれが選択されたかを示すステップと、
前記受信機において、前記受信ディジタル信号を受信して前記制御信号を抽出し、抽出された前記制御信号に基づいて、前記受信ディジタル信号をディジタル増幅する径路とディジタル増幅しない径路とのいずれかを選択するステップと、
を備える
ことを特徴とする切り換え制御方法、
を提供する。
【0013】
請求項5の発明は、前記ディジタル通信システムがディジタル無線通信システムであることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記制御信号が誤り検出ビットを含み、前記受信機において誤りを検出した際に、誤った前記制御信号を含む前記受信ディジタル信号を使用せず、直近の前記受信ディジタル信号を再度使用することを特徴とする。
【0014】
この発明に係る切り換え制御方法はワイヤレスマイクロホン等のディジタル無線通信システムに適用して有効である。また、前記制御信号に誤り検出ビットを含ませることにより、受信機において誤りを検出した際には、誤った制御信号を含む受信ディジタル信号を使用せず、直近の受信ディジタル信号を再度使用するようにして、大きなノイズの発生を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図9を参照しながら、この発明に係る切り換え制御方法の若干の実施の形態を説明する。まず、図1〜図3を用いて、この発明に係る切り換え制御方法の第一の実施の形態を説明する。この第一の実施の形態は、図1に示す送信機と図2又は図3に示す受信機とからなるディジタル通信システムにおいて使用される。図1において、アナログ入力信号が加えられるマイクロホン21の出力はアナログ増幅器22によって増幅された後に二分され、その一方は第一のA/Dコンバータ23へ、他方はアナログ増幅器24を介して第二のA/Dコンバータ25へそれぞれ印加される。アナログ増幅器24の増幅率はiデシベル(例えば24dB)であり、第一のA/Dコンバータ23及び第二のA/Dコンバータ25の分解能はjビット(例えば16ビット)である。
【0016】
なお、A/Dコンバータとしてステレオ信号処理のために製造されたものが入手可能なので、ステレオ用のA/Dコンバータの左チャンネルを第一のA/Dコンバータ23に、右チャンネルを第二のA/Dコンバータ25に使用すると、効率的に部品を使用することが可能になる。
【0017】
第一のA/Dコンバータ23及び第二のA/Dコンバータ25の出力は電力レベル検出器26にそれぞれ加えられると共に、第一のA/Dコンバータ23の出力は切り換え器27の第一の固定接点271に接続され、第2のA/Dコンバータ25の出力は切り換え器27の第二の固定接点272に接続される。切り換え器27の可動接点273は送信信号処理部28に接続され、送信信号処理部28の出力はディジタル変調器29により変調された後、アンテナから送信される。第一のA/Dコンバータ23及び第二のA/Dコンバータ25はそれぞれjビット(例えば16ビット)の分解能を有する。
【0018】
電力レベル検出器26は第一のA/Dコンバータ23の出力電力レベルを検出して切り換え器27の動作を制御する制御データを出力する。即ち、電力レベル検出器26は、第一のA/Dコンバータ23の出力電力が所定の電力レベルよりも高いときには切り換え器27の第一の固定接点271を可動接点273に接続させ、第一のA/Dコンバータ23の出力電力が所定の電力レベルよりも低くなったときには切り換え器27の第二の固定接点272を可動接点273に接続させるように、制御データによって切り換え器27の動作を制御する。こうして、アナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも小さいときには、アナログ増幅器24で増幅してレベルアップされた信号をA/D変換する。
【0019】
電力レベル検出器26は、上記のように切り換え器27の切り換え動作を制御すると共に、送信信号処理部28に対して、マイクロホン21に加えられたアナログ入力信号が所定のレベルよりも大きいか小さいかを示す信号、換言すれば、第一のA/Dコンバータ23と第二のA/Dコンバータ25のいずれが選択されたかを示す選択信号を送る。この選択信号に応答して、送信信号処理部28は第一のA/Dコンバータ23の出力又は第二のA/Dコンバータ25の出力であるディジタル信号に、上記選択信号に対応したコントロール・ビットを付加するように動作する。
【0020】
図2は、送信信号処理部28から出力される送信ディジタル信号の構成の一例を示している。送信ディジタル信号は、データの同期を取るために付加されていてデータの先頭とみなされる部分であるフレーム部UWと、コントロール・ビットCと、少なくとも一つのデータD1、D2、・・・・と、データ部間に配置されたパリティ・ビットPとからなる。
【0021】
フレーム部UWと先頭のデータD1との間に挿入されるコントロール・ビットCは、実際に通信径路上で発生するビット誤りを考慮して信頼性を向上させるために、2ビットとすることが望ましい。したがって、例えば、コントロール・ビットCは、電力レベル検出器26が第一のA/Dコンバータ23の出力を選択するため可動接点273を第一の固定接点271と接続させるよう切り換え器27を動作させたときには論理「11」であり、逆に、電力レベル検出器26が第二のA/Dコンバータ25の出力を選択するため可動接点273を第二の固定接点272と接続させるよう切り換え器27を動作させたときには論理「00」である。
【0022】
送信信号受信部28においてコントロール・ビットCが付加されて図2の信号フォーマットを持つように処理された送信ディジタル信号は、ディジタル変調器29によって所定のディジタル変調方式にしたがって変調されて送信アンテナから送信される。
【0023】
、図3は、この発明に係る切り換え制御方法の第一の実施の形態が使用される受信機の構成を概略的に示している。図1の送信機から送信された信号は受信アンテナで受信されてディジタル復調器31に入力され、送信ディジタル信号に対応する受信ディジタル信号に復調されて受信信号処理部32に加えられる。受信信号処理部32は受信ディジタル信号の中のコントロール・ビットCを検出して切り換え器34(後述する)の動作を制御すると共に、フレーム部UW,コントロール・ビットC及びパリティ・ビットPが除去された受信ディジタル信号をD/Aコンバータ33に加える。これによりD/Aコンバータ33は図1の送信機のマイクロホン21に加えられたアナログ入力信号に対応するアナログ信号を出力して切り換え器34に加える。D/Aコンバータ33の分解能は、送信側のA/Dコンバータ23、25と同じjビット(例えば16ビット)である。
【0024】
切り換え器34はD/Aコンバータ33の出力に接続された可動接点341と、第一の固定接点342と、−iデシベル(例えば−24dB)の増幅率を有するアナログ増幅器35の入力に接続された第二の固定接点343とを有する。そこで、受信信号処理部32は、受信ディジタル信号の中のコントロール・ビットCが論理「11」であることを検出したときには、可動接点341を第一の固定接点342と接続させ、受信ディジタル信号中のコントロール・ビットCが論理「00」であることを検出したときには、可動接点341を第二の固定接点343と接続させるように切り換え器34を制御する制御データを切り換え器34に対して送る。
【0025】
こうして、送信機から送られたコントロール・ビットCに応じて、D/Aコンバータ33から出力されたアナログ信号は直接に又はアナログ増幅器35を介してアナログ増幅器36に供給され、そこで更に増幅されてスピーカ37から出力される。
【0026】
以上のように、マイクロホン21に加えられるアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかを電力レベル検出器26で検出する。アナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも大きいときには、第一のA/Dコンバータ23から出力されるディジタル信号と論理「11」のコントロール・ビットCとを含むディジタル信号が受信側へ送信され、受信側では、受信信号処理部32がコントロール・ビットCが論理「11」であることを検出して切り換え器34の可動接点341を第一の固定接点342と接続させる。
【0027】
一方、送信側の電力レベル検出器26がアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも小さいことを検出したときには、増幅率がiデシベルのアナログ増幅器24によってアナログ入力信号を増幅してレベルを上げた後で第二のA/Dコンバータ25によってA/D変換してから送信する。同時に、レベルを上げたアナログ信号をディジタル化して送信したことを示す論理「00」のコントロール・ビットCを受信側へ送信する。受信側では、受信ディジタル信号に含まれるコントロール・ビットCが論理「00」であることを受信信号処理部32で検出し、切り換え器34の可動接点341を第二の固定接点343と接続させる。これにより、D/Aコンバータ33から出力されたアナログ信号を増幅率−iデシベルのアナログ増幅器35で増幅して元のアナログ入力信号のレベルに対応するレベルに戻す。
【0028】
こうして、例えば、分解能が16ビットのA/Dコンバータ及びD/Aコンバータを使用したときには、分解能が20ビットのA/Dコンバータ及びD/Aコンバータを使用したときと同じ効果を得ることができる。したがって、通常の20ビットのコンバータを使用するときに占有する広い帯域に比較して、16ビット分の帯域+コントロール・ビット分の帯域を占有するだけで済むので、この発明は周波数帯域の効率的利用に極めて有効である。
【0029】
以上、説明したように、この発明に係る切り換え制御方法の第一の実施の形態においては、送信機から、マイクロホン21に入力されるアナログ信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかに応じて、二つのA/Dコンバータのうちのどちらが選択されたかを示すコントロール・ビットC、換言すると、マイクロホンに入力されたアナログ信号を増幅した信号であるか否かを示すコントロール・ビットCを、アナログ信号をディジタル信号へ変換した信号と共に送出する。受信機においては、復調されたディジタル信号からコントロール・ビットを抽出し、このコントロール・ビットを用いて、再生されたアナログ信号を増幅する径路と増幅しない回路のいずれかを選択するよう切り換え器を制御する。
【0030】
図3に示す受信機においては、送信機の切り換え器27の切り換え動作に連動して受信機の切り換え器34を切り替えるタイミングが重要である。送信側ではアナログ入力信号をディジタル変換したディジタル信号とコントロール・ビットとが同じタイミングで出力されるが、受信機においては、D/Aコンバータ33で発生する遅延のために、D/Aコンバータ33からアナログ信号が出力されるタイミングと受信信号処理部32から制御データが出力されるタイミングとがずれることがある。こうしたタイミングのずれが生じると、タイミングのずれに起因する大きなノイズがD/Aコンバータ33の出力アナログ信号に発生することになる。また、図3の受信機においてはアナログ信号の領域で切り換えを行っているので、スイッチング・ノイズの発生は避けられない。
【0031】
図4の(a)は、切り換え器34の可動接点341が第二の固定接点343から第一の固定接点342へ切り換わる場合の、(b)は、切り換え器34の可動接点341が第一の固定接点342から第二の固定接点343へ切り換わる場合の、上記のタイミングのずれに起因するノイズの発生を示す図である。同図の(a)及び(b)において、t1は受信信号処理部32から制御データが出力されるタイミング、t2はD/Aコンバータ33からアナログ信号が出力されるタイミング、tはこうしたタイミングのずれを生じるD/Aコンバータ33における遅延時間を示している。これは、切り換え器34が受信信号処理部32からの制御データに応じて切り換え動作を行うとき、D/Aコンバータ33において遅延時間tだけの遅延が生じると、制御データによって切り換え器34が行う切り換え動作の方が、D/Aコンバータ33の出力アナログ信号が切り換え器34に到着する時点よりの遅延時間tだけ早く生じることを意味する。したがって、図4の(a)の場合には、タイミングt1とタイミングt2との間の遅延時間tの期間には、アナログ増幅器35によって増幅されるべきアナログ信号が存在したにも拘わらず、そうした信号は増幅されないままに出力されてしまうことになる。そのため、図4の(a)に示すように、適正レベルよりも小さな出力が瞬間的に発生してしまい、ノイズを生じる結果となる。
【0032】
図4の(b)の場合の同様であって、遅延時間tの期間には、アナログ増幅器35によって増幅されてはならない信号がD/Aコンバータ33から出力されるが、切り換え器34がそれよりも遅延時間tだけ早く動作してしまうので、実際にはアナログ増幅器35によって増幅され、適正なレベルよりも大きな出力が瞬間的に生じてしまい、ノイズを生じる。
【0033】
こうした切り換えノイズの発生は、受信機での切り換えをディジタル信号の領域で行うようにした、この発明に係る切り換え制御方法の第二の実施の形態によって解消される。この第二の実施の形態は、図1に示す送信機と図5に示す受信機とからなるディジタル通信システムにおいて使用される。なお、図1の送信機の構成及び動作については既に説明したので、重ねて説明しないこととし、以下、図5の受信機の構成と動作について詳述する。
図5に示す受信機において、送信機から送出されたディジタル信号は受信アンテナで受信されてディジタル復調器41に入力され、送信ディジタル信号に対応する受信ディジタル信号に復調されて受信信号処理部42に加えられる。受信信号処理部42は受信ディジタル信号の中のフレーム部UW、コントロール・ビットC及びパリティ・ビットPを除去して受信ディジタル信号を切り換え器43の可動接点431に供給される。切り換え器43の第一の固定接点432は第一のD/Aコンバータ44の入力と接続され、第二の固定接点433は第二のD/Aコンバータ45の入力と接続される。こうして、切り換えをディジタル信号の領域で行う構成とする。第一のD/Aコンバータ44の出力は結合器46を介して、また、第二のD/Aコンバータ45の出力はアナログ増幅器47によって増幅された後に結合器46を経て、それぞれアナログ増幅器48の入力に印加され、そこで増幅されてからスピーカ49から出力される。
【0034】
図5の受信機の受信信号処理部42は、図1の送信機から送られたコントロール・ビットCがアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも大きくて第一のA/Dコンバータ23の出力を選択したことを示すとき、可動接点431を第一の固定接点432と接続するよう切り換え器43の動作を制御する。そこで、第一のD/Aコンバータ44の出力が結合器46を介してアナログ増幅器48に印加される。一方、図1の送信機から送られたコントロール・ビットCがアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも小さくて第二のA/Dコンバータ25の出力を選択したことを示すとき、受信信号処理部42は可動接点431を第二の固定接点433と接続するよう切り換え器43の動作を制御する。そこで、第二のD/Aコンバータ45の出力がアナログ増幅器45及び結合器46を介してアナログ増幅器48に印加される。
【0035】
図5の受信機はこのように構成されているため、図3の受信機におけるD/Aコンバータ33による遅延に起因するタイミングのずれの問題は解消されるので、タイミングのずれが原因となってノイズが発生することはなくなる。その代り、受信機に二つのD/Aコンバータを使用することが必要になるが、ステレオ方式用のD/Aコンバータを採用してそのLチャンネルとRチャンネルとを利用することにより、コスト的に不利になることは実際にはない。
【0036】
以上説明したように、この発明に係る切り換え制御方法の第二の実施の形態においては、送信機から、マイクロホン21に入力されるアナログ信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかに応じて、二つのA/Dコンバータのうちのどちらが選択されたかを示すコントロール・ビットC、換言すると、マイクロホンに入力されたアナログ信号を増幅した信号であるか否かを示すコントロール・ビットCを、アナログ信号をディジタル信号へ変換した信号と共に送出する。受信機においては、コントロール・ビットを抽出し、このコントロール・ビットを用いて、復調されたディジタル信号をアナログ信号に変換した後に増幅して出力する径路とアナログ信号へ変換した後にそのまま出力する径路のいずれかを選択するよう切り換え器を制御する。
【0037】
上で説明した第二の実施の形態においては、図1に示す送信機におけるアナログ増幅器24の増幅率(iデシベル)と図3及び図5に示す受信機におけるアナログ増幅器35、47の減衰率(iデシベル)とが一致すること、換言すると、送信機のアナログ増幅器24で増幅した分だけ受信機のアナログ増幅器35、47で減衰させすることを前提としている。しかし、実際には、こうした送信機及び受信機のアナログ増幅器の精度にはばらつきがあり、送信機のアナログ増幅器の増幅率と受信機のアナログ増幅器の減衰率とが正確に対応していない。このため、受信機で切り換えノイズが発生することは回避できない。
【0038】
例えば、図1の送信機と図3の受信機とを考察すると、送信機のアナログ増幅器24の増幅率の方が受信機のアナログ増幅器35の減衰率よりも大きい場合には、アナログ増幅器35の出力側即ち図3の径路xにおけるアナログ信号の振幅は正規の値よりも小さくなる。一方、切り換え器34の第一の固定接点342からアナログ増幅器36へ到る径路yではこうした問題は生じないため、径路yでの正規の値が出力される。従って、こうした場合には、径路xと径路yとのアナログ信号の振幅に差が生じることになる。しかも、こうした振幅の差は切り換え時に瞬時に発生するため、出力レベルの急激な変化を生じさせる。図6の(a)はこうした場合に生じるレベル変化を概略的に示しており、時点tに受信機の切り換え器34の可動接点341が第二の固定接点343から第一の固定接点342へ切り換わったとして、時点tまでは径路xにおけるアナログ信号を、時点t以後は径路yにおけるアナログ信号を示しており、時点tにアナログ信号の振幅がmボルトだけ上昇したことを示している。同様に、図6の(b)は、送信機のアナログ増幅器24の増幅率の方が受信機のアナログ増幅器35の減衰率よりも小さい場合にも、切り換え器34の動作時点tにアナログ信号の振幅にnボルトの変化が生じて切り換えノイズが発生することを示している。
【0039】
こうした切り換えノイズの発生という問題は、送信機のアナログ増幅器24と受信機のアナログ増幅器35、47として、増幅率と減衰率が正確に対応したものを使用することにより解消されるが、これは現実には不可能であり、増幅率の減衰率とをできるだけ正確に対応させようとすると、精度の高いアナログ増幅器を設計する必要があるため、実現が困難だったり、高価な部品を採用せざるを得なかったりする。
【0040】
上記の切り換えノイズの発生は、切り換えにクロスフェード特性を持たせることによって或る程度は解決される。これは受信信号処理部32、42でのディジタル信号処理によってソフトウェア的に実現することができる。しかし、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)等のハードウェアを用いてクロスフェード特性を実現する場合には、多くの論理演算(積和演算)が含まれるため、回路規模が極めて大きくなってしまう。
【0041】
こうした問題は、この発明に係る切り換え制御方法の第三の実施の形態によって解決される。この第三の実施の形態は、図1に示す送信機と図7に示す受信機とディジタル通信システムにおいて使用される。なお、図1に示す送信機の構成と動作については既に説明したので、ここで重複して説明しないこととし、以下、図7の受信機の構成と図1の送信機からの信号を受信したときの動作について詳細に説明する。
【0042】
図1の送信機から送信された信号は受信アンテナで受信されてディジタル復調器51に入力され、送信ディジタル信号に対応する受信ディジタル信号に復調されて受信信号処理部52に加えられる。受信信号処理部52は、切り換え器53の動作を制御するため受信ディジタル信号の中のコントロール・ビットCを取り出すと共に、受信ディジタル信号に含まれるフレーム部UW、コントロール・ビットC及びパリティ・ビットPを除去したディジタル信号を出力する。
【0043】
受信信号処理部52の出力は切り換え器53の可動接点531に接続される。切り換え器53の第一の固定接点532はD/Aコンバータ54の入力に接続され、切り換え器53の第二の固定接点533はディジタル増幅器55の入力に接続される。D/Aコンバータ54は印加されたディジタル信号を送信機のマイクロホン21に加えられたアナログ入力信号に対応するアナログ信号へ変換し、これをアナログ増幅器56に加える。アナログ増幅器56によって増幅されたアナログ信号はスピーカ57から出力される。
【0044】
図7の受信機におけるディジタル増幅器55の増幅率は−iデシベル、即ち減衰率はiデシベルであり、したがって、送信機のアナログ増幅器24の増幅率の受信機のディジタル増幅器14の減衰率とは同じ値である。D/Aコンバータ54の分解能は、送信側のA/Dコンバータ23、25よりも精度の高いkビット(例えば20ビット)である。
【0045】
受信信号処理部52は、受信ディジタル信号の中のコントロール・ビットCが論理「11」であることを検出したときには、可動接点531を第一の固定接点532と接続させ、受信ディジタル信号中のコントロール・ビットCが論理「00」であることを検出したときには、可動接点531を第二の固定接点533と接続させるように切り換え器53を制御する制御データを切り換え器53に対して送る。
【0046】
こうして、送信機から送られたコントロール・ビットCに応じて、受信信号処理部52から出力されたディジタル信号は直接に又はディジタル増幅器55を介してD/Aコンバータ54に供給され、そこでアナログ信号へ変換される。
【0047】
以上のように、マイクロホン21に加えられるアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかを電力レベル検出器26で検出する。アナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも大きいときには、第一のA/Dコンバータ23から出力されるディジタル信号と論理「11」のコントロール・ビットCとを含むディジタル信号が受信側へ送信され、受信側では、受信信号処理部52がコントロール・ビットCが論理「11」であることを検出して切り換え器53の可動接点531を第一の固定接点532と接続させる。
【0048】
一方、送信側の電力レベル検出器26がアナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも小さいことを検出したときには、増幅率がiデシベルのアナログ増幅器24によってアナログ入力信号を増幅してレベルを上げた後で第二のA/Dコンバータ25によってA/D変換してから送信する。同時に、レベルを上げたアナログ信号をディジタル化して送信したことを示す論理「00」のコントロール・ビットCを受信側へ送信する。受信側では、受信ディジタル信号に含まれるコントロール・ビットCが論理「00」であることを受信信号処理部52で検出し、切り換え器53の可動接点531を第二の固定接点533と接続させる。これにより、受信信号処理部52から出力されたディジタル信号を減衰率iデシベルのディジタル増幅器55で減衰させてからD/Aコンバータ54によって元のアナログ信号へ変換する。
【0049】
以上説明したように、この発明に係る切り換え制御方法の第三の実施の形態においては、送信機から、マイクロホン21に入力されるアナログ信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかに応じて、二つのA/Dコンバータのうちのどちらが選択されたかを示すコントロール・ビットC、換言すると、マイクロホンに入力されたアナログ信号を増幅した信号であるか否かを示すコントロール・ビットCを、アナログ信号をディジタル信号へ変換した信号と共に送出する。受信機においては、コントロール・ビットを抽出し、このコントロール・ビットを用いて、復調されたディジタル信号を増幅してからアナログ信号へ変換する径路と復調されたディジタル信号をそのままアナログ信号へ変換する径路のいずれかを選択するよう切り換え器を制御する。
【0050】
このように、この第三の実施の形態においては、受信機での切り換えをディジタル領域で行うようにしたので、受信機のディジタル増幅器55の減衰率にばらつきが生じることがない。しかも、例えば、送信機におけるA/Dコンバータ及びD/Aコンバータは受信機のD/Aコンバータよりも精度の低いものを使用するので、システム全体としてはコストが低減される。しかも、無線通信径路においては、jビット分の帯域+コントロール・ビット分の帯域を占有するだけで済むので、jビットのA/Dコンバータ及びD/Aコンバータを使用したときに近いビットレートで通信を行うことができ、占有する周波数帯域を狭くすることができる。
【0051】
しかしながら、送信機においてはアナログ増幅器24を使用する以上、規定どおりの増幅率を有するアナログ増幅器を採用することは困難である。したがって、線路損失を無視することができるとしても、送信機において、アナログ増幅器24に例えば24dBの増幅器を使用した場合、A/Dコンバータ23の入力とA/Dコンバータ25の入力との信号レベルの差は、厳密には24dBにならず、これらA/Dコンバータからの出力間にアンバランスが生じる。
【0052】
したがって、受信機の側で単に24dBの減衰を行うだけでは、こうした送信機側で生じたアンバランスがそのまま受信機側に反映され、切り換え器53の動作時に信号レベルが大きく変動する。例えば、送信機のアナログ増幅器の増幅率が規定の24dBよりも大きい場合、受信機の切り換え器53の可動接点531が第一の固定接点532から第二の固定接点533へ切り換わった時点tには、図8の(a)に示すような信号レベルの上昇が現れ、逆に、送信機のアナログ増幅器の増幅率が規定の24dBよりも小さい場合には、受信機の切り換え器53の可動接点531が第一の固定接点532から第二の固定接点533へ切り換わった時点tには、図8の(b)に示すような信号レベルの下降が現れる。いずれにしても、こうした信号レベルの急変は、受信機にノイズを発生させる。
【0053】
更に、送信機のマイクロホン21からA/Dコンバータ23に到る径路とマイクロホン21からA/Dコンバータ25に到る径路との間に位相差が生じるので、この位相差に起因して受信機にノイズが発生するという問題もある。
【0054】
この問題は、この発明に係る切り換え制御方法の第四の実施の形態によって解決される。この第四の実施の形態は、図9に示す送信機と図7に示す受信機とからなるディジタル通信システムにおいて使用される。図7に示した受信機の構成と動作については既に説明したので、ここで重複して説明しないこととし、以下、図9の送信機の構成と動作について詳細に説明する。
【0055】
図9の送信機において、マイクロホン61はアナログ増幅器62に接続され、アナログ増幅器62の出力はA/Dコンバータ63に与えられる。A/Dコンバータ63の分解能は図7の受信機で使用されるD/Aコンバータ54と同じであって、例えば20ビットである。A/Dコンバータ63の出力は切り換え器64の固定接点641及び電力レベル検出器65に与えられる。切り換え器64の第一の固定接点642は送信信号処理部66に接続され、切り換え器64の第二の固定接点643はディジタル増幅器67を介して送信信号処理部66接続される。ディジタル増幅器67の増幅率は受信機のディジタル増幅器55の減衰率と同じ値である。送信信号処理部66の出力は変調器68によってディジタル変調され、アンテナから送信される。こうして送信されたディジタル信号を図7の受信機で受信する。
【0056】
電力レベル検出器65はA/Dコンバータ63の出力電力レベルを検出して切り換え器64の動作を制御する制御データを出力する。即ち、電力レベル検出器65は、A/Dコンバータ63の出力電力が所定の電力レベルよりも高いときには切り換え器64の可動接点641を第一の固定接点642に接続させ、A/Dコンバータ63の出力電力が所定の電力レベルよりも低くなったときには切り換え器64の可動接点641を第二の固定接点643に接続させるように、制御データによって切り換え器64の動作を制御する。こうして、アナログ入力信号のレベルが所定のレベルよりも小さいときには、ディジタル増幅器67で増幅してレベルアップされた信号を送信信号処理部66に供給する。
【0057】
電力レベル検出器65は、上記のように切り換え器64の切り換え動作を制御すると共に、送信信号処理部7に対して、マイクロホン1に加えられたアナログ入力信号が所定のレベルよりも大きいか小さいかを示す信号、換言すれば、第一の固定接点642と第二の固定接点643のいずれが選択されたかを示す選択信号を送る。この選択信号に応答して、送信信号処理部66はA/Dコンバータ63からの直接の出力又はA/Dコンバータ63の出力をディジタル増幅した信号に、上記選択信号に対応したコントロール・ビットCを付加して送信ディジタル信号を作成するように動作する。
【0058】
このように、図9の送信機と図7の受信機とからなる通信システムは、アナログ入力信号のレベルに応じた切り換えや信号増幅をディジタル信号の領域で行うので、送信機と受信機とで増幅器の増幅率のずれや、増幅器における位相ずれに起因するノイズが発生することがなくなる。
【0059】
以上説明したように、この発明に係る切り換え制御方法の第四の実施の形態においては、送信機から、マイクロホンに入力されたアナログ信号をディジタル変換して得たディジタル信号のレベルが所定のレベルよりも大きいか小さいかを示すコントロール・ビットを、このディジタル信号と共に送出する。受信機においては、コントロール・ビットを抽出し、このコントロール・ビットを用いて、復調されたディジタル信号を増幅してからアナログ信号へ変換する径路と復調されたディジタル信号をそのままアナログ信号へ変換する径路のいずれかを選択するよう切り換え器を制御する。
【0060】
上で説明した第四の実施の形態においては、送信機のA/Dコンバータ63に内部ノイズが発生するため、実際に確保することができるダイナミックレンジが理論上実現可能なダイナミックレンジよりも狭くなってしまうことが考えられる。例えば、16ビットの分解能のコンバータを使うと、理論上は96dBのダイナミックレンジを確保できるが、実際には90dB程度である。同様に、分解能が20ビットのコンバータで、理論上のダイナミックレンジは120dBであるが、実際のダイナミックレンジは108dB程度であり、24ビットのもので理論上は144dBであるが実際のダイナミックレンジは120dB程度になってしまう。一方、受信機のD/Aコンバータ54によるダイナミックレンジに対する影響は少ない。
【0061】
そこで、送信機のA/Dコンバータ63の方が受信機のD/Aコンバータ54よりも精度を高くすることにより、所望のダイナミックレンジを確保することができる。例えば、受信機のD/Aコンバータ54の分解能を20ビットとしたとき、送信機のA/Dコンバータ63に24ビットの分解能を持つものを使用することによって120dBのダイナミックレンジを実現することが可能になる。
【0062】
以上、この発明に係る切り換え制御方法の若干の実施の形態を無線通信システムにおいて実現する場合について説明してきたが、無線に限られる訳ではなく、この発明は有線通信システムにおいても実現可能である。
【0063】
また、この発明に係る切り換え制御方法において、送信機において送信ディジタル信号のレベルが比較される所定のレベルは一つの値である必要はない。例えば、送信ディジタル信号が或るレベルの付近を上下するような場合には、頻繁に切り換えが行われる。これを防止するために、切り換えレベルにヒステリスを持たせることができる。例えば、図1において、切り換え器27の可動接点273が第一の固定接点271から第二の固定接点272へ切り換わる際の第一のレベルと、可動接点273が第二の固定接点273から第一の固定接点272へ切り換わる際の第二のレベルとを別個の値に設定することにより、送信ディジタル信号の変動による頻繁な切り換えを防止することができる。
【0064】
更に、コントロール・ビットCが「10」又は「01」のように誤りを含む場合には、受信機において、増幅してはならないのに増幅したり、逆に、増幅すべきである信号を増幅しなかったりする不都合が発生する。その結果、急激なレベル変化が生じ、大きなノイズが発生することになりかねない。これを防止するため、この発明に係る切り換え制御方法においては、受信機においてコントロール・ビットに誤りがあることを検出した際には、その直近の受信ディジタル信号を使用するようにすることが望ましい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなとおり、この発明は、送信機でのアナログ入力信号に応じた切り換えに同期して受信機での切り換えを正確に制御し、且つ、切り換えの際にノイズが発生することがないという格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る切り換え制御方法の第一の実施の形態に使用される送信機の構成を概略的に示す図である。
【図2】 図1に示す送信機から送出されるディジタル信号のフォーマットを示す図である。
【図3】 この発明に係る切り換え制御方法の第一の実施の形態に使用される受信機の構成を概略的に示す図である。
【図4】 (a)及び(b)は、図3に示す受信機における切り換えノイズの発生を説明するための図である。
【図5】 この発明に係る切り換え制御方法の第二の実施の形態に使用される受信機の構成を概略的に示す図である。
【図6】 (a)及び(b)は、図5に示す受信機における切り換えノイズの発生を説明するための図である。
【図7】 この発明に係る切り換え制御方法の第三の実施の形態に使用される受信機の構成を概略的に示す図である。
【図8】 (a)及び(b)は、図7に示す受信機における切り換えノイズの発生を説明するための図である。
【図9】 この発明に係る切り換え制御方法の第四の実施の形態に使用される送信機の構成を概略的に示す図である。
【図10】 従来の無線通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図11】 この出願の出願人が既に提案したA/Dコンバータの構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
21:マイクロホン、 24:アナログ増幅器、 23、25:A/Dコンバータ、 26:電力レベル検出器、 27:切り換え器、 28:送信信号処理部、 32:受信信号処理部、 33:切り換え器、 34:切り換え器、 35:アナログ増幅器、 42:受信信号処理部、 43:切り換え器、 44、45D/Aコンバータ、 46:結合器、 47:アナログ増幅器、 52:受信信号処理部、 53:切り換え器、 54:D/Aコンバータ、 55:ディジタル増幅器、 63:A/Dコンバータ、 64:切り換え器、 65:電力レベル検出器、 6:送信信号処理部
Claims (4)
- マイクロホンに入力される原アナログ信号をA/Dコンバータによりディジタル変換して送信ディジタル信号を生成する送信機と、前記送信ディジタル信号を受信して生成される受信ディジタル信号をD/Aコンバータによりアナログ変換して原アナログ信号を再生する受信機とを含むディジタル通信システムにおける切り換え制御方法であって、
前記送信機のレベル検出器が、前記送信ディジタル信号のレベルと所定のレベルとの比較結果に対応した情報を示す制御信号を生成するステップと、
前記送信機の切り換え部が、前記制御信号に基づいて、前記原アナログ信号をディジタル変換して得た第一のディジタル信号と、前記原アナログ信号をアナログ増幅した後にディジタル変換して得た第二のディジタル信号とのうちのいずれか一方を選択するステップと、
前記送信機の信号処理部が、前記第一のディジタル信号と前記第二のディジタル信号とのうちの選択された方のディジタル信号に前記制御信号を付加して前記送信ディジタル信号を生成して送出するステップと、
前記受信機の信号処理部が、前記送信ディジタル信号を受信して前記制御信号を抽出するステップと、
前記受信機の切り換え器が、抽出された前記制御信号に基づいて、前記受信ディジタル信号を前記原アナログ信号へ変換する径路と、前記受信ディジタル信号を前記原アナログ信号へ変換した後にアナログ増幅する径路とのうちのいずれか一方を選択するステップと、
を備えることを特徴とする切り換え制御方法。 - マイクロホンに入力される原アナログ信号をA/Dコンバータによりディジタル変換して送信ディジタル信号を生成する送信機と、前記送信ディジタル信号を受信して生成される受信ディジタル信号をD/Aコンバータによりアナログ変換して原アナログ信号を再生する受信機とを含むディジタル通信システムにおける切り換え制御方法であって、
前記送信機のレベル検出器が、前記第一のディジタル信号のレベルと所定のレベルとの比較結果に対応した情報を示す制御信号を生成するステップと、
前記送信機の切り換え部が、前記制御信号に基づいて、前記原アナログ信号をディジタル変換して得た第一のディジタル信号と、前記原アナログ信号をアナログ増幅した後にディジタル変換して得た第二のディジタル信号とのうちのいずれか一方を選択するステップと、
前記送信機の信号処理部が、前記第一のディジタル信号と前記第二のディジタル信号とのうちの選択された方のディジタル信号に前記制御信号を付加して前記送信ディジタル信号を生成して送出するステップと、
前記受信機の信号処理部が、前記送信ディジタル信号信号を受信して前記制御信号を抽出するステップと、
前記受信機の切り換え器が、抽出された前記制御信号に基づいて、前記受信ディジタル信号をディジタル増幅する径路とディジタル増幅しない径路とのうちのいずれか一方を選択するステップと、
ディジタル増幅する前記径路とディジタル増幅しない前記径路とのうちの選択された方の経路からの前記受信ディジタル信号をアナログ変換して前記原アナログ信号を生成するステップと、
を備えることを特徴とする切り換え制御方法。 - 前記ディジタル通信システムがディジタル無線通信システムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の切り換え制御方法。
- 前記制御信号が誤り検出ビットを含み、前記受信機において誤りを検出した際に、誤った前記制御信号を含む前記受信ディジタル信号を使用せず、直近の前記受信ディジタル信号を再度使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の切り換え制御方法。
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