JP4350673B2 - インクジェット記録媒体の製造方法およびそのインクジェット記録媒体 - Google Patents

インクジェット記録媒体の製造方法およびそのインクジェット記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録媒体用塗工組成物、特に高速に乾燥せしめることができ、かつポットライフの長いインクジェット記録媒体用塗工組成物によるインクジェット記録媒体の製造方法と、およびその製造方法で製造されるインクジェット記録媒体に関する。
近年、インクジェットプリンタの技術が急速に進歩し、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物が得られるようになってきた。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真法に用いられるものと同等の質感を有するものが求められている。このような要求を満たすインクジェット記録媒体として、紙やプラスチックフィルム等の基材上に、多孔質のインク吸収層を設けた記録媒体が用いられている。
基材上に多孔質のインク吸収層を設けるためには、粒子径が例えば1μm以下の微細な無機顔料とバインダーを適宜混合した組成物を塗工し、該組成物の溶媒を乾燥除去して無機顔料とバインダーからなる塗工層を形成させることが行われている。しかし、このような方法で塗工層を形成させる場合、乾燥時の体積収縮に起因する内部応力のため乾燥後の塗工層に亀裂が生じてしまう。これを避ける方法として、塗工組成物を基材上に塗工した後、該組成物に含まれるバインダーを架橋することで亀裂を抑制することが提案されており、その一例としては、特許文献1で提案されている、アルミナ水和物、ポリビニルアルコールとホウ酸またはホウ酸塩を含有したインクジェット記録媒体用の塗工組成物が挙げられる。さらに、特許文献2に記載されているように、インクジェット記録媒体用の塗工組成物がアルミナ水和物を含む場合には、解膠剤として酸を添加することで、優れた性能を有するインクジェット記録媒体が得られることが知られている。
しかし、本発明の発明者が試験したところによれば、これらの文献で提案されている塗工組成物は、基材上に塗工後急速に乾燥した場合、乾燥工程で亀裂が生じるものであった。すなわち、各種の記録媒体の製造において、乾燥工程に要する時間は長くても3分を超えないことが望まれ、かかる時間での乾燥を行うために100℃以上の熱風乾燥機が用いられるのに対し、特許文献1の実施例では65℃のオーブン中で乾燥を行っており、このような条件では5分間を超える乾燥時間が必要となる。また特許文献2の実施例では15〜30分間かけて、基材上に塗工された組成物を乾燥させている。すなわち、これら従来の技術によるインクジェット記録媒体の製造は極めて生産性の低いものであった。
本発明の発明者がさらに試験したところによれば、酸として酢酸またはギ酸を用い、かつ塗工組成物の含有するホウ酸の量を多くすることで、急速に乾燥させても亀裂を生じることのない塗工組成物を得ることはできた。しかしこれによって得られた塗工組成物はポットライフが短い、すなわち短時間でゲル化してしまうようなものであった。このような塗工組成物、すなわちポットライフが10分未満であるような塗工組成物を用いて製造を行う場合、塗工装置内部の滞留箇所で塗工組成物がゲル化しやすく、これに起因する塗工欠陥等を回避するためには塗工装置を頻繁に洗浄する必要がある。さらに、塗工組成物のポットライフが極端に短い場合、塗工装置の流路系が閉塞してしまい、洗浄のため長時間にわたり製造を中断しなければならなくなることさえある。
一方、酸として乳酸を用いた場合には、塗工組成物の含有するホウ酸の量を多くしてもポットライフの長い塗工組成物を得ることはできた。しかしこの塗工組成物は、基材上に塗工後急速に乾燥した場合、乾燥工程で亀裂が生じるものであった。また、酸として塩酸、硝酸などを用いた場合には、塗工組成物の含有するホウ酸の量を多くすると、得られた塗工組成物のポットライフが短くなり、しかも基材上に塗工後急速に乾燥した場合、乾燥工程で亀裂が生じるものであった。
特開平7−76161号公報 特開2004−25850号公報
本発明の目的は、実現が従来困難であった、急速乾燥が可能で、かつポットライフの長いインクジェット記録媒体用塗工組成物によるインクジェット記録媒体の製造方法と、およびその製造方法で製造されるインクジェット記録媒体を提供することにある。
この課題に対し検討を行った結果、(1)粒子径1μm以下の無機顔料、(2)ポリビニルアルコール、(3)ホウ酸、(4)酢酸またはギ酸を含有する塗工組成物に、さらに(5)乳酸を、ポリビニルアルコールが無機顔料に対し4〜30質量%、ホウ酸がポリビニルアルコールに対し4〜50質量%、酢酸またはギ酸がホウ酸に対して100mol%以上でかつ塗工組成物の10質量%以下、乳酸がホウ酸に対して10〜100mol%でかつ酢酸またはギ酸の50mol%以下で含有し、ポットライフが10分以上にせしめたインクジェット記録媒体用塗工組成物を乾燥時間180秒以下で乾燥することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法が得られた。
さらに、この製造方法により、表面光沢およびインクジェット記録適性に優れ、高速かつ安定に製造できるインクジェット記録媒体が得られる。
本発明により、従来問題であったインクジェット記録媒体の生産性を向上することができる。
本発明において、粒子径1μm以下の無機顔料とは、その分散液をガラス等の適切な基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察される粒子の個数の90%以上が長辺1μm以下である無機顔料を指す。その種類は特に制限されないが、いくつかの例を挙げると、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、気相法シリカ、コロイダルシリカ、擬ベーマイト、気相法アルミナ等を用いることができる。これらのうち、擬ベーマイト、気相法アルミナ、γ−アルミナ、表面にアルミニウム化合物を吸着させたコロイダルシリカ等、表面に正電荷を有する顔料が、本発明において必須の成分として含有される揮発性の酸の存在下で安定した分散状態を維持できることから好ましく使用される。
また、該無機顔料のBET法による比表面積がある程度以上あると、インクジェットインクに含まれる染料がより強固に定着し、印刷画像の高い耐水性が得られることから好ましい。一方該比表面積が大きすぎると、インクの吸収性が低下することがあるから好ましくない。具体的には、該無機顔料のBET法による比表面積は80〜600m/gであることが好ましく、120〜400m/gであることがより好ましい。
さらに、該無機顔料の粒子径が100nm以上であると、より高速で乾燥しても塗工層に亀裂が生じにくくなることから好ましい。なお、ここで粒子径が100nm以上とは、その分散液をガラス等の適切な基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上の粒子が占める状態を指す。
本発明におけるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できる。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の繰り返し単位をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがある。一方、ポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがある。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量は粒子径1μm以下の無機顔料の2〜60質量%であることが好ましく、4〜30質量%であることがより好ましい。
本発明に使用するポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いもののほうが、塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくくなるので、その添加量を減少させることができ、結果としてインク吸収性を向上させることができることから好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高過ぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が25〜400mPa・秒であることが好ましく、50〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明におけるホウ酸の添加量は、多すぎると塗工組成物のポットライフが短くなることがあり、少なすぎると高速乾燥されたときに塗工斑や亀裂が生じることがあるから好ましくない。具体的には、ポリビニルアルコールに対して2〜100質量%とすることが好ましく、4〜50質量%とすることがより好ましい。
本発明において、酢酸またはギ酸は、その1種を単独で用いても良く、また双方を組み合わせて用いても良い。これらの酸の添加量は、少なすぎると塗工組成物のポットライフが十分に長くならないことがあるから好ましくない。一方、これらの酸の添加量を非常に多くしても、さらなるポットライフの改善は見られず、反面乾燥工程からの排気が臭気の問題を発生させることがあるから好ましくない。具体的には、酢酸またはギ酸の添加量は、ホウ酸の50mol%以上でかつ塗工組成物の20質量%以下であることが好ましく、ホウ酸の100mol%以上でかつ塗工組成物の10質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、乳酸の添加量は、少なすぎると塗工組成物のポットライフが十分に長くならないことがあり、多すぎると形成される塗工層に亀裂が生じることがあるから好ましくない。具体的には、本発明における乳酸の添加量は、ホウ酸の5〜200mol%でかつ酢酸またはギ酸の100mol%以下であることが好ましく、ホウ酸の10〜100mol%でかつ酢酸またはギ酸の50mol%以下であることがより好ましい。
なお、乳酸は濃厚状態で分子間エステルを形成することがあるが、本発明における乳酸のモル量の算出では、乳酸は分子間エステルを形成していない、すなわちその90.08gを1molであるとする。
本発明において、酢酸またはギ酸および乳酸に加え、塩酸、硝酸などの酸を併用することも可能である。
本発明の塗工組成物に、ホウ酸よりも速やかにポリビニルアルコールに作用する架橋剤を、塗工組成物のポットライフが短くなりすぎない程度の少量併用することで、さらに高速にインクジェット記録媒体を製造できる。このような架橋剤の例としては、炭酸ジルコニウムアンモニウム等の錯形成性塩、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン誘導体等が挙げられ、ホウ酸の1/100〜1/2モル量を添加することが好ましい。
本発明の塗工組成物には、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等、ポリビニルアルコール以外のバインダーを併用することもできる。これらの樹脂のうち、カチオン性ないしノニオン性のものが、本発明において必須の成分として含有される揮発性の酸の存在下で安定した分散状態を維持できることから特に好ましく使用される。
本発明の塗工組成物は、通常、各成分を水中に分散ないし溶解させた水性塗工物の形態で用いられる。また本発明の塗工組成物には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種の添加剤を添加することもできる。
本発明の塗工組成物を塗工する基材に特に制限は無く、非塗工紙、塗工紙、樹脂被覆紙、プラスチックフィルムなどを用いることができる。これらのうち、緻密な塗工層を有する塗工紙、樹脂被覆紙、プラスチックフィルムなど塗工組成物中の溶媒を吸収し難いものが、塗工組成物中の成分を不均等に吸収してその組成を変化させることがなく、より高品質の塗工層を形成させることから特に好ましく使用される。ただし、本発明の塗工組成物を塗工した基材を、キャスト装置により処理する場合には、透気性を有する支持体がむしろ好ましく使用される。
本発明の塗工組成物を塗工する方法に特に制限は無く、エアナイフコーター、リバースロールコーター、コンマコーター等の塗工方式を用いることもできるが、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどの前計量コーターが、得られる塗工層の均一性の点から好ましく使用される。本発明の塗工組成物を基材上に塗工する量に特に制限は無いが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として10〜40g/mが塗工される。
本発明の塗工組成物を塗工した後、組成物中の揮発分を揮発させる方法に特に制限は無く、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、シリンダー乾燥機等の種々の乾燥装置を用いることができる。また、基材上の塗工組成物が湿潤状態にある間に加熱された鏡面に圧着し、鏡面を塗工層に転写することで光沢面を得ると同時に乾燥を行う、いわゆるキャスト装置を用いることもできる。
本発明の塗工組成物を塗工し、組成物中の揮発分を乾燥させてインクジェット記録媒体を製造した後、さらに、カレンダー装置、キャスト装置などを用いて表面光沢を向上させることもできる。また、これらの装置を用いた処理に先立って、あらかじめ塗工層に水分を付与することで、これら装置による処理の効果を高めることもできる。なお、これらの装置で表面光沢を向上させる場合には、本発明の塗工組成物に、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ステアリン酸、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール、カプリル酸、ステアリン酸、流動パラフィン、シリコーン油等の油性物質、およびこれらの分散体等を、離型剤として少量添加することで、より面質が良好な記録媒体が得られるので好ましい。
以下本発明の実施例を示す。
水300.00gを攪拌しながら、ホウ酸0.60g(0.0097mol)、酢酸0.30g(0.0050mol)、濃度60質量%の乳酸0.75g(乳酸0.45g=0.0050mol)、アルミナ水和物(強熱残量80.3質量%、比表面積146m/g、結晶型擬ベーマイト)の粉体100部を添加し、そのまま2時間攪拌して分散・解膠し、アルミナ水和物の分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、個数で90%以上の粒子の長辺が400nm以下であり、また長辺100nm以上の粒子が観察野中で全粒子が占める面積の80%以上を占めていた。
このアルミナ水和物の分散液に、けん化度88.0mol%、固形分濃度4質量%の水溶液の粘度44mPa・秒のポリビニルアルコールの固形分濃度10質量%の水溶液80.00g(ポリビニルアルコール8.00g)を添加・混合して塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加後30分でゲル化した。
[インクジェット記録媒体の作製]
表面を易接着処理した白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上で調製した塗工組成物がゲル化する前に乾燥後の塗工量が20g/mになるよう、カーテンコーターを使用して塗工した。これを、熱風乾燥機中で乾燥条件を種々変化させ乾燥したところ、乾燥完了まで90秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
酢酸の添加量を0.60g(0.0100mol)、濃度60質量%の乳酸の添加量を1.50g(乳酸0.90g=0.0100mol)に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後120分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで135秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
酢酸の添加量を1.20g(0.0200mol)に変更した以外は、実施例2と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後300分経過してもゲル化しなかった。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで150秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
ホウ酸の添加量を1.20g(0.0194mol)、酢酸の添加量を3.00g(0.0500mol)、固形分濃度60質量%の乳酸の添加量を1.50g(乳酸0.90g=0.0100mol)に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後90分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで60秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[気相法シリカ分散液の調製]
水400.00gを攪拌しながら、ホウ酸4.00g(0.0647mol)、固形分濃度50質量%で400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体水溶液8.00g(固形分4.00g)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m/g)100.00gを添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20.6質量%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、個数で90%以上の粒子の長辺が500nm以下であり、また長辺150nm以上の粒子が観察野中で全粒子が占める面積の80%以上を占めていた。
この気相法シリカ分散液に、酢酸4.00g(0.0666mol)、濃度60質量%の乳酸2.00g(乳酸1.20g=0.0133mol)、けん化度88.0mol%、固形分濃度4質量%水溶液の粘度44mPa・秒のポリビニルアルコールの固形分濃度10質量%水溶液200.00g(ポリビニルアルコール20.00g)を添加・混合して塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加後90分でゲル化した。
[インクジェット記録媒体の作製]
表面を易接着処理した白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上で調製した塗工組成物がゲル化する前に乾燥後の塗工量が16g/mになるよう、カーテンコーターを使用して塗工した。これを、熱風乾燥機中で乾燥条件を種々変化させ乾燥したところ、乾燥完了まで60秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[比較例1]
乳酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例2]
酢酸の添加量を0.60g(0.0100mol)にした以外は、比較例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例3]
酢酸の添加量を3.00g(0.0500mol)にした以外は、比較例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後3分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで150秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[比較例4]
酢酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後1分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで75秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[比較例5]
濃度60質量%の乳酸の添加量を1.50g(乳酸0.90g=0.0100mol)とした以外は、比較例4と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後5分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで120秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[比較例6]
酢酸および乳酸を添加せず、代わりに濃度60質量%の硝酸1.00g(硝酸0.60g=0.0095mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例7]
濃度60質量%の硝酸の添加量を5.00g(硝酸3.00g=0.0476mol)とした以外は、比較例6と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例8]
酢酸を添加せず、代わりに濃度60質量%の硝酸1.00g(硝酸0.60g=0.0095mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加後10分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したが、乾燥完了まで600秒以上となるような乾燥温度にしても乾燥後の塗工層に亀裂が生じた。
[比較例9]
乳酸を添加せず、代わりに濃度60質量%の硝酸1.00g(硝酸0.60g=0.0095mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例10]
酢酸および乳酸を添加せず、代わりに濃度36質量%の塩酸1.00g(塩酸0.36g=0.0099mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例11]
濃度36質量%の塩酸の添加量を5.00g(塩酸1.80g=0.0494mol)とした以外は、比較例10と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例12]
酢酸を添加せず、代わりに濃度36質量%の塩酸1.00g(塩酸0.36g=0.0099mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加後10分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したが、乾燥完了まで600秒以上となるような乾燥温度にしても乾燥後の塗工層に亀裂が生じた。
[比較例13]
乳酸を添加せず、代わりに濃度36質量%の塩酸1.00g(塩酸0.36g=0.0099mol)を添加した以外は、実施例1と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例14]
乳酸および酢酸を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例15]
乳酸を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして塗工組成物を得たが、この塗工組成物はポリビニルアルコール水溶液の添加直後にゲル化してしまい、インクジェット記録媒体を作製することはできなかった。
[比較例16]
酢酸を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして塗工組成物を得た。この塗工組成物はポリビニルアルコールの添加後3分でゲル化した。またこの塗工組成物から実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製したところ、乾燥完了まで60秒以上となるような乾燥温度であれば、乾燥後の塗工層に亀裂が生じなかった。
[評価]
各実施例および比較例3〜5および16で得られたインクジェット記録媒体は、いずれも良好な表面光沢を有していた。また、これらの記録媒体にインクジェットプリンタで評価画像を印刷したところ、いずれも良好な画像が得られた。
各実施例と比較例3〜5および16の塗工組成物のポットライフと、乾燥後の塗工層に亀裂が生じない最低の乾燥時間の関係を、図1に示す。ポットライフは長い方が好ましく、乾燥時間は短い方が好ましいが、特に各比較例の如くポットライフが非常に短い場合、連続で操業した場合に塗工装置の流路系を閉塞させるおそれがあり、安定した製造は通常困難である。
各実施例により明らかになるように、本発明により、従来公知の配合では困難であった、ポットライフが長く、かつ乾燥後の塗工層に亀裂を生じないインクジェット記録媒体の製造方法およびインクジェット記録媒体を得ることが可能になった。これは本発明の必須要素である、酢酸またはギ酸を乳酸と併用した場合の極めて特異な作用によるものであり、各比較例により明らかになるように、これらの酸や塩酸、硝酸など各種の酸を単独で使用した場合、およびこれらの酸の本発明以外の組み合わせを用いた場合には実現不可能なものであった。
各実施例、比較例の塗工組成物のポットライフおよび乾燥後の塗工層に亀裂が生じない最低乾燥時間。

Claims (2)

  1. (1)粒子径1μm以下の無機顔料、(2)ポリビニルアルコール、(3)ホウ酸、(4)酢酸またはギ酸、および(5)乳酸を、ポリビニルアルコールが無機顔料に対し2〜60質量%、ホウ酸がポリビニルアルコールに対し2〜100質量%、酢酸またはギ酸がホウ酸に対して50mol%以上でかつ塗工組成物の20質量%以下、乳酸がホウ酸に対して5〜200mol%でかつ酢酸またはギ酸の100mol%以下で含有し、ポットライフが10分以上であるインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工し、該塗工組成物中の揮発成分を乾燥時間180秒以下で乾燥することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法
  2. 請求項1に記載の製造方法で製造されるインクジェット記録媒体。
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