JP4350478B2 - 前滑り防止手段付き車両用シート - Google Patents
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Description
なお前滑りとは、車両が正面衝撃等によって衝撃を受けた際に、乗員の下半身が前方へ移動する現象をいい、通常、サブマリン現象と呼ばれるものをいう。
特許文献1に記載の車両用シートは、シート座部とシートバックを有する。そしてシート座部は、クッションパッドと、クッションパッドの下面を支持する支持パネルを有して構成されていた。そして支持パネルの上面に、前滑り防止手段を構成するエアバッグとインフレータが取付けられていた。
そこで本発明は、インフレータを容易に支持パネルに取付けることのできる構造を備える前滑り防止手段付き車両用シートを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によると、支持パネルには、インフレータが嵌め込まれる嵌め込み部が形成されている。そして支持パネル又はインフレータには、嵌め込み部にインフレータを嵌め込むことで弾性変形し、かつ弾性戻りすることでインフレータが嵌め込み部から抜け出ることを防止する抜止構造が設けられている。
したがってインフレータは、抜止構造を利用することで容易に嵌め込み部内に抜け止めされる。かくしてインフレータは、容易に支持パネルに取付けられる。
すなわち抜止構造は、支持パネル側に設けられた張出爪を有し、支持パネルの一部または全部が弾性変形する構成になっている。したがって抜止構造は、支持パネルの弾性変形を利用することで、インフレータを嵌め込み部に対して抜け止めする。
したがってインフレータは、ガタ付き抑制部材によって嵌め込む部に対してガタ付くことが抑制される。
仮に、嵌め込み部の開口部が開口されたままであるとすると、シート座部の座り心地が悪くなる。すなわちシート座部に着座した乗員が開口部を感触にて認識し得る。これに対して本発明は、嵌め込み部の開口部がエアバッグによって覆い塞がれている。したがって乗員が開口部を認識することが困難となり、シート座部の座り心地が向上する。
したがってインフレータは、嵌め込み部によって上面以外が覆われる。そのためインフレータから吐出されたガスは、確実に上方に向けて吐出され、エアバッグ内に吐出される。かくしてエアバッグが確実に膨らむ。
またインフレータは、全体が嵌め込み部内に嵌め込まれているため、支持パネルから上方に突出しない。これによりシート座部の座り心地が向上する。
したがってエアバッグは、支持パネルが傾動した場合に支持パネルとともに傾動する。そのためエアバッグは、シート座部に着座した乗員の姿勢が支持パネルによって変わった場合でも、容易に乗員の姿勢に対応して乗員の前滑りを好適に防止し得る。
実施の形態1を図1〜3にしたがって説明する。
シート1は、図1に示すようにシート座部2とシートバック3を有する。
シート座部2は、ポリウレタン等から形成されるクッションパッド20と、シート座部2を下側から支持する骨枠体22と、クッションパッド20の表面を覆う表皮材21とを有する。
骨枠体22は、図1,2に示すようにシート座部2の側面に沿って延出する金属または樹脂からなる一対のアーム12と、前縁に沿って延出する支持パネル(フロントチルトパネル)4と、後縁に沿って延出するレインフォース13とを有する。そして支持パネル4に、前滑り防止手段5のエアバッグ50とインフレータ51が取付けられている。
そして一対のアーム12間には、複数のスプリング(14)が車幅方向に張設され、図3に示すようにスプリング14によってクッションパッド20の下面が支持される。
また支持パネル4は、図2に示すように左右両端がアーム12の前端に傾動可能に取付けられている。したがって支持パネル4は、A−A線を中心に傾動し、シート座部2の前端高さを調整する。すなわち支持パネル4は、チルト機構を構成する部材である。
また支持パネル4は、図3に示すようにインフレータ51が嵌め込まれる嵌め込み部40と、インフレータ51が嵌め込み部40から抜け出ることを防止する抜止構造(42)とを有する。
また抜止構造は、開口部41へ張出す張出爪42を有する。張出爪42は、嵌め込み部40の上端から開口部41へ張出し、開口部41の車両前側の一部と後側の一部を覆うことで開口部41の開口幅を狭くしている。
なお張出爪42は、嵌め込み部40の成形と同時にまたは成形後に成形されるビード(突状部)であってもよいし、あるいは嵌め込み部40の成形後に嵌め込み部40の開口部近傍を切起こした切起し片であってもよい。
したがってインフレータ51は、インフレータ51を嵌め込み部40に嵌め込むことで、抜止構造によって抜け止めされる。かくしてインフレータ51は、抜止構造によって支持パネル4に対してワンタッチで取付けられる。
ガタ付き抑制部材6は、弾性変形可能なシートであって、フェルト等の不織布またはゴム製のシート材などによって成形されている。そしてガタ付き抑制部材6は、インフレータ51が嵌め込み部40内に差込まれることで嵌め込み部40とインフレータ51に挟まれ、嵌め込み部40とインフレータ51の隙間を埋める。かくしてガタ付き抑制部材6は、インフレータ51の嵌め込み部40に対するガタ付きを抑制する。
また支持パネル4の上面には、図3に示すようにエアバッグ50が配設されている。そして開口部41がエアバッグ50によって覆い塞がれる。そしてエアバッグ50は、図2に示すように支持パネル4の後側半分のほぼ全領域をも覆う。
すなわち支持パネル4には、図3に示すように嵌め込み部40が形成されている。また支持パネル4には、嵌め込み部40にインフレータ51を嵌め込むことで弾性変形し、かつ弾性戻りすることでインフレータ51が嵌め込み部40から抜け出ることを防止する抜止構造(張出爪42)が設けられている。
したがってインフレータ51は、抜止構造を利用することで容易に嵌め込み部40内に抜け止めされる。かくしてインフレータ51は、容易に支持パネル4に取付けられる。
また張出爪42は、開口部41に向けて張出し、開口部41の開口面積を小さくしている。そのため張出爪42は、エアバッグ50が嵌め込み部40内に入ることを防止する。
また嵌め込み部40とインフレータ51の間には、ガタ付き抑制部材6が設けられている。したがってインフレータ51は、ガタ付き抑制部材6によって嵌め込む部40に対してガタ付くことが抑制される。
また開口部41は、膨らむ前のエアバッグ50によって覆い塞がれる。好ましくは、開口部41の全領域がエアバッグ50によって覆い塞がれる構成になっている。仮に、開口部41が開口されたままであるとすると、シート座部2の座り心地が悪くなる。すなわちシート座部2に着座した乗員が開口部41を感触にて認識し得る。これに対して本形態は、開口部41がエアバッグ50によって覆い塞がれている。したがって乗員が開口部41を認識することが困難となり、シート座部2の座り心地が向上する。
また嵌め込み部40は、図3に示すように支持パネル4の下方に窪む凹状に形成されている。そしてインフレータ51の全体が、嵌め込み部40内に嵌め込まれている。したがってインフレータ40は、嵌め込み部40によって上面以外が覆われる。そのためインフレータ51から吐出されたガスは、確実に上方に向けて吐出され、エアバッグ50内に吐出される。かくしてエアバッグ50が確実に膨らむ。
またインフレータ51は、全体が嵌め込み部40内に嵌め込まれているため、支持パネル4から上方に突出しない。これによりシート座部2の座り心地が向上する。
したがってエアバッグ50は、チルトパネル(4)が傾動した場合にチルトパネル(4)とともに傾動する。そのためエアバッグ50は、シート座部2に着座した乗員の姿勢がチルトパネル(4)によって変わった場合でも、容易に乗員の姿勢に対応して乗員の前滑りを好適に防止し得る。
尚、インフレータ51は、図3に示すようにチルトパネル(4)に設けられていてもよいが、チルトパネル(4)以外の場所、例えばアーム12の側面に固定される形態であってもよい。そしてこのような場合であっても、エアバッグ50によって乗員の前滑りを好適に防止し得る。
またエアバッグ50とインフレータ51は、どちらもチルトパネル(4)に装着されている。そのためエアバッグ50をチルトパネル(4)に取付け、インフレータ51をチルトパネル(4)以外の場所に取付けた形態と比べると、エアバッグ50とインフレータ51間の距離が短くなる。そしてこれらを繋ぐ配管等の長さが短くなる。かくして前滑り防止手段5の構造が容易になる。あるいは前滑り防止手段5の取付構造等が簡便になる。
また本形態によると、エアバッグ50の下側にインフレータ51が設けられている。そのためエアバッグ50とインフレータ51間の距離がとりわけ短く、配管等の長さがとりわけ短くなっている。
実施の形態2を図4にしたがって説明する。
実施の形態2は、実施の形態1とほぼ同様に形成されている。しかし実施の形態2は、実施の形態1と抜止構造が相違している。すなわち実施の形態1に係る抜止構造は、図3に示すように支持パネル4に張出爪42を有する構成であったが、実施の形態2に係る抜止構造は、図4に示す構成になっている。以下、実施の形態1と相違する点を中心に実施の形態2について説明する。
係止片52は、インフレータ51の外周面の一部から外方へ突出しており、先端部に爪52aを有する。一方、取付部43は、嵌め込み部40の外壁面を貫通する孔状に構成されている。
あるいはインフレータ51側の係止片52が弾性変形し、係止片52が取付部43を貫通する。そして係止片52が弾性戻りすることで爪52aが嵌め込み部40の裏側面に係止する。
かくして本形態によると、インフレータ51が係止片52と取付部43によって嵌め込み部40から抜け出ることが防止される。そしてインフレータ51が支持パネル4に取付けられる。
実施の形態3を図5にしたがって説明する。
実施の形態3は、実施の形態1とほぼ同様に形成されている。しかし実施の形態3に係る支持パネル4は、図5に示す嵌め込み部44と張出爪46を有する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態3について説明する。
かくしてインフレータ51は、開口部45を介してガスを斜め上後方に吐出し、エアバッグ50を斜め上後方に膨らませる。したがってクッションパッド20の一部が斜め上後方に持上げられ、乗員の前滑りがより効果的に防止される。
実施の形態4は、実施の形態1とほぼ同様に形成されている。しかし実施の形態4は、実施の形態1の骨枠体22(図2参照)に代えて支持パネル7(図6参照)を有する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態4について説明する。
本発明は、実施の形態1〜4に限定されず、以下の形態であってもよい。
(1)すなわち実施の形態1〜4のシートは、車両前後方向に移動可能な前列シート等であった。しかしシートが車両に対し固定されるリヤシート等であってもよい。そしてそのシートのクッションパッドの下面を支持する支持パネルに実施の形態1〜4のいずれかに記載の抜止構造が設けられる形態であってもよい。そして支持パネルが車室のフロアを兼ねる構成であってもよい。
(2)また実施の形態1,3,4に係る支持パネルは、一対の張出爪を有していた。しかし支持パネルが一つの張出爪を有する形態であってもよいし、あるいはインフレータの長手方向に点在する複数の張出爪を有する形態であってもよい。
2…シート座部
4,7…支持パネル
5…前滑り防止手段
6…ガタ付き抑制部材
10…スライド装置
12…アーム
13…レインフォース
14…スプリング
20…クッションパッド
21…表皮材
22…骨枠体
40,44,70…嵌め込み部
41,45,71…開口部
42,46,72…張出爪(抜止構造)
43…取付部
50…エアバッグ
51…インフレータ
52…係止片
Claims (5)
- エアバッグとそのエアバッグにガスを吐出するインフレータが、シート座部に設けられ、前記エアバッグが所要時に膨らむことで前記シート座部の一部が膨らんで前記シート座部に着座した乗員の前滑りを防止する前滑り防止手段を有する前滑り防止手段付き車両用シートであって、
前記シート座部のクッションパッドの前下面を支持しかつ前記シート座部の前下側において左右両端部が傾動可能に保持される支持パネルを有し、前記支持パネルの傾動によって前記シート座部の前側の高さが調整され、前記支持パネルに前記インフレータと前記エアバッグが装着され、
前記支持パネルには、前記インフレータが嵌め込まれる嵌め込み部が形成され、
前記支持パネル又は前記インフレータには、前記嵌め込み部に前記インフレータを嵌め込むことで弾性変形し、かつ弾性戻りすることで前記インフレータが前記嵌め込み部から抜け出ることを防止する抜止構造が設けられていることを特徴とする前滑り防止手段付き車両用シート。 - 請求項1に記載の前滑り防止手段付き車両用シートであって、
抜止構造は、嵌め込み部の開口部に張出す張出爪を有し、前記嵌め込み部にインフレータを嵌め込む際に前記張出爪が前記インフレータによって押され、支持パネルの一部または全部が弾性変形し、前記インフレータが前記張出爪を通過して前記嵌め込み部内に差込まれ、かつ前記支持パネルの一部または全部が弾性戻りをすることで前記インフレータが前記張出爪によって前記嵌め込み部から抜け出ることが防止される構成になっていることを特徴とする前滑り防止手段付き車両用シート。 - 請求項1または2に記載の前滑り防止手段付き車両用シートであって、
嵌め込み部とインフレータの間には、前記インフレータの前記嵌め込み部に対するガタ付きを抑制するガタ付き抑制部材が設けられていることを特徴とする前滑り防止手段付き車両用シート。 - 請求項1から3のいずれかに記載の前滑り防止手段付き車両用シートであって、
嵌め込み部の開口部は、膨らむ前のエアバッグによって覆い塞がれる構成になっていることを特徴とする前滑り防止手段付き車両用シート。 - 請求項1に記載の前滑り防止手段付き車両用シートであって、
嵌め込み部は、支持パネルの下方に窪む凹状に形成されており、インフレータの全体が、前記嵌め込み部内に嵌め込まれていることを特徴とする前滑り防止手段付き車両用シート。
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