JP4350295B2 - 半導体装置および半導体装置モジュール - Google Patents

半導体装置および半導体装置モジュール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に関し、特に、自己消弧形半導体素子を過電圧から保護する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10に、3相2レベルインバータの出力部の構成を示す。図10において、電源ラインであるP−N線間には、自己消弧形半導体素子である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)が、複数直列に接続されたトランジスタ列が3列設けられている。
【0003】
そして、各トランジスタ列には、その中間部分に出力ノードU、VおよびWが設けられ、図示しない負荷に接続される構成となっている。この、出力ノードU、VおよびWを境にして、各トランジスタ列は、電源ラインP側である高電位側と、電源ラインN側である低電位側とに分けられる。
【0004】
すなわち、出力ノードU、VおよびWの電位を基準電位とし、電源ラインPの電位との間でスイッチング動作する高電位側のトランジスタ列と、電源ラインNの電位を基準電位とし、出力ノードU、VおよびWの電位との間でスイッチング動作する低高電位側のトランジスタ列とに分けられる。
【0005】
なお、各IGBTには還流ダイオードが逆並列に接続され、また、P−N線間には、平滑コンデンサ2が接続されている。
【0006】
以下においては、図10に示すトランジスタ列のうち、出力ノードUに対して高電位側のトランジスタ列HTL1に着目して説明する。
【0007】
図10に示すように、トランジスタ列HTL1は、直列に接続されたn個のIGBTQ1〜Qnと、それぞれ逆並列に接続さたダイオードD1〜Dnを有している。このような構成とするのは、複数のIGBTで電圧を分担することで高い耐電圧特性を得るためである。
【0008】
IGBTを直列接続した場合に問題となるのは、IGBTの陽極(以後、コレクタと呼称)−陰極(以後、エミッタと呼称)間に、コレクタ−エミッタ間電圧(以後、単にVceと表記する場合あり)の最大定格以上の電圧(以後、過電圧と呼称)が加わることである。
【0009】
IGBTでは降伏電圧に対して、コレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格は余裕を持たせない設計になっている。そのため、コレクタ−エミッタ間に最大定格以上の電圧がかからないように注意しなければならない。コレクタ−エミッタ間に最大定格以上の電圧が加わる要因の最たるものは、ターンオンもしくはターンオフ時に、直列接続したIGBT間で、コレクタ−エミッタ間電圧の立下り開始時間もしくは立ち上がり開始時間にずれ(以後、スイッチング時のタイミングずれと呼称)が生じることである。
【0010】
ターンオフ時を例に挙げると、最も顕著な場合には、直列接続した1つのIGBTのみがオフ動作に入り、残りのIGBTがオン状態のままの場合が考えられる。
【0011】
この場合、オフ動作に入った1つのIGBTに、本来は、直列接続した全てのIGBTで負担すべき直流電圧が印加され当該IGBTが破壊される。
【0012】
なお、このときの電圧の立ち上がり速度は、スイッチング時のタイミングずれが全くない場合に比べて、直列接続されたIGBTの個数の2分の1乗倍(ルート倍)に速くなる。
【0013】
すなわち、ターンオフ時には、IGBT内部の電荷が電界によって移動し、空乏層が広がることでIGBTのコレクタ−エミッタ間電圧が上昇する。電荷の移動に際しては、距離が同じであれば、電界がN倍になれば移動時間は1/N1/2になるので、電圧の立ち上がり速度は、直列接続されたIGBTの個数の2分の1乗倍になるものと概算するものである。
【0014】
従って、従来からIGBTに過電圧が印加されないようにするための工夫がなされている。
【0015】
図11に、自己消弧形半導体素子の従来の過電圧抑制回路の一例として、”Switching Voltage Transient Protection Schemes For High Current IGBT Modules”,IEEE 1994で開示されている構成を示す。
【0016】
図11においては、図10に示すトランジスタ列HTL1のうちの1つのIGBTQkを例に採り、IGBTQkに過電圧抑制回路4が接続された構成を示している。
【0017】
図11に示すように、過電圧抑制回路4は、IGBTQkのコレクタにカソードが接続されたツェナーダイオード5と、IGBTQkのゲートにカソードが接続され、アノードがツェナーダイオード5のアノードに接続されたダイオード6とで構成されている。
【0018】
なお、IGBTQkには、そのゲートのオン・オフ動作を制御するゲートドライブ回路7が接続され、また、ダイオードDkが逆並列に接続されている。
【0019】
以下、過電圧抑制回路4の回路の動作について説明する。ツェナーダイオード5のツェナー電圧はIGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格よりも小さい値に設定されている。従って、IGBTQkのVceがツェナーダイオード5のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオード5が導通する。
【0020】
そして、IGBTQkのコレクタから過電圧抑制回路4を流れる電流はIGBTQkのゲートとゲートドライブ回路7に分流し、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧を越えると、IGBTQkを一時的にオンさせることで、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの上昇を抑える。
【0021】
そして、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード5のツェナー電圧以下になるとツェナーダイオード5はオフし、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧以下に低下するのでIGBTQkはオフしVceは上昇する。
【0022】
このようにスイッチングのタイミングずれ等のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを上昇させる要因が続く間はIGBTQkのオンとオフが繰り返され、Vceが最大定格以上に上昇することを抑える。Vceを上昇させる要因がなくなるとVceはツェナーダイオードのツェナー電圧以下に収まる。
【0023】
なお、過電圧抑制回路4、IGBTQkの主端子間電圧をツェナー電圧以上には上昇させないのでクランプ回路と呼称でき、ツェナーダイオード5のツェナー電圧はクランプ電圧と呼称できる。
【0024】
次に、図12に自己消弧形半導体素子の従来の過電圧抑制回路の一例として、米国特許US5946178(PCT Filed : Mar. 1, 1996)に示された構成を示す。
【0025】
なお、図12においても、図10に示すトランジスタ列HTL1のうちの1つのIGBTQkを例に採り、IGBTQkに過電圧抑制回路としてアクティブスナバ8、および動作電圧レベル限定アクティブスナバ9が接続された構成を示している。また、IGBTQkには、そのゲートのオン・オフ動作を制御するゲートドライブ回路7が接続されている。
【0026】
図12に示すように、アクティブスナバ8は、IGBTQkのコレクタとゲートとの間に直列に接続された抵抗81とコンデンサ82とで構成されている。
【0027】
動作電圧レベル限定アクティブスナバ9は、あらかじめ設定された電圧以上から機能するアクティブスナバであり、IGBTQkのコレクタと増幅回路10を構成するトランジスタ104のゲートとの間に直列に接続されたダイオード92とコンデンサ93、およびダイオード92に並列に接続されたツェナーダイオード91を有している。なお、ダイオード91および92のアノードはIGBTQkのコレクタに接続されている。
【0028】
また、トランジスタ104のゲートはコンデンサ93とともに、コンデンサ93は抵抗12を介してIGBTQkのゲートに接続されている。
【0029】
増幅回路10は、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9からの過電圧抑制信号を増幅する回路であり、トランジスタ104の他に、トランジスタ104のドレインとIGBTQkのエミッタとの間に並列に接続されたコンデンサ102と、トランジスタ104のソースとIGBTQkのゲートとの間に接続された抵抗103と、トランジスタ104のドレインに正極が接続されIGBTQkのエミッタに負極が接続された直流電源101とを有して構成されている。
【0030】
以下、過電圧抑制回路の動作について説明する。アクティブスナバ8にはIGBTQkがターンオフ動作に入った直後からIGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの上昇率(以後、単にdVce/dtと表記する場合あり)に比例した電流が流れる。
【0031】
この電流がIGBTQkのゲートとゲートドライブ回路7に分流し、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧を越えるとIGBTQkは一時的にオンする。そうするとdVce/dtは小さくなるので、アクティブスナバ8を流れる電流は小さくなり、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧よりも小さくなり、IGBTQkはオフする。その結果、IGBTQkのdVce/dtが回路パラメータで決まる値に抑えられる。
【0032】
次に動作電圧レベル限定アクティブスナバ9の動作を説明する。コンデンサ93が充電されていないときは、アクティブスナバ8と同様にIGBTQkがターンオフ動作に入った直後からdVce/dtに比例した電流が動作電圧レベル限定アクティブスナバ9を流れ、この電流が増幅回路10で増幅され、増幅された電流がIGBTQkのゲートとゲートドライブ回路7に分流する。
【0033】
IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧を越えると、IGBTQkが一時的にオンしIGBTQkのdVce/dtが小さくなる。そうすると、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9を流れる電流は小さくなり、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧よりも小さくなるので、IGBTQkはオフする。その結果IGBTQkのdVce/dtは回路パラメータで決定される値に抑えられる。
【0034】
次に、コンデンサ93が充電されている場合の動作を説明する。IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceがコンデンサ93の充電電圧以下のとき、コンデンサ93に電流は流れ込まないため動作電圧レベル限定アクティブスナバ9は動作しない。
【0035】
しかし、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間の電圧がコンデンサ93の充電電圧以上になるとIGBTQkのdVce/dtに比例した電流が動作電圧レベル限定アクティブスナバ9に流れ、コンデンサ93が充電されていない場合と同様に動作する。
【0036】
なお、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9の動作中は、コンデンサ93の充電電圧は上昇を続けるが、充電電圧がツェナーダイオード91のツェナー電圧よりも高くなった場合には、コンデンサ93に充電された電荷がIGBTQkがオン状態のときにツェナーダイオード12を通って放電されるので、コンデンサ93の充電電圧はツェナーダイオード12のツェナー電圧に等しくなり、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9の動作開始電圧はツェナーダイオード12のツェナー電圧と等しくなる。従って、ターンオフ開始時にはコンデンサ93の充電電圧がツェナー電圧を越えていることはない。
【0037】
なお、IGBTQkがオフ状態である場合、直列接続されたIGBT間の電圧はIGBTQkに並列に接続された抵抗13によって分圧される。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示した過電圧抑制回路4では、ツェナーダイオード5に並列に存在する寄生キャパシタンスの影響で、ターンオフ動作に入った直後から流れるdVce/dtに比例した電流が、IGBTQkのコレクタからツェナーダイオード5、ダイオード6を通り、IGBTQkのゲート端子とゲートドライブ回路7に分流する。そして、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧を越えるとIGBTQkが一時的にオンしIGBTQkのdVce/dtを抑えるため、意に反しターンオフ速度が遅くなる。
【0039】
図13は、モータなどのインダクタンス成分を持つ負荷を動作させるためにIGBTを用いる装置において、過電圧抑制回路4を使用する構成を示している。
【0040】
図13において、IGBTQ1〜Qnが直列に接続され、それぞれには過電圧抑制回路4とゲートドライバ7が接続されている。また、またIGBTQ1〜Qnには、ダイオードD1〜Dnがそれぞれ逆並列に接続されている。
【0041】
そして、IGBTQ1〜Qnに並列に負荷14および直流電源16が配設され、負荷14に並列にダイオード1が配設されている。なお直流電源16の負極はIGBTQnのエミッタに接続され、両者は接地されている。
【0042】
図13に示すように、負荷14がインダクタンス成分を持つ場合、IGBTのターンオフ時の損失を小さくするためには、ツェナーダイオード5(図11参照)のツェナー電圧を大きく設定する必要がある。
【0043】
すなわち、ターンオフ時の損失はコレクタ−とエミッタ間を流れる主電流のターンオフ下降時間(以後、単にTfと表記する場合あり)に依存するが、Tfは主回路の寄生インダクタンス(以後、単にLsと表記する場合あり)17に蓄えられているエネルギーが、IGBT列で消費され尽くすまで続く。
【0044】
ここで、IGBTQkを例に採り、図14にターンオフ時のIGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceとコレクタ電流(以後、単にIcと表記する場合あり)の概略特性を示す。
【0045】
ターンオフ開始後、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceが直流電源16の直流電圧を、直列接続されたIGBTの個数で割った均等分担電圧(以後、単にVdcと表記する場合あり)を越えた時点からIGBTQkのIcは減少し始め、それによりサージ電圧(Ls・dIc/dt)が発生し、IGBTQkのVceはさらに上昇する。
【0046】
コレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード5のツェナー電圧で規定されるクランプ電圧(以後、単にVclampと表記する)に達したところで、クランプ回路(過電圧抑制回路4)は動作し、VceはVclampにクランプされる。
【0047】
コレクタ電流Icがゼロになる、すなわち寄生インダクタンス17に蓄えられたエネルギーが全てIGBTQkで消費されるとサージ電圧はなくなり、コレクタ−エミッタ間電圧Vceは均等分担電圧Vdcまで下がり、IGBTQkはオフ状態になる。寄生インダクタンス17に蓄えられたエネルギーはIGBTQkで単位時間あたり(Vclamp−Vdc)×Icだけ消費される。
【0048】
寄生インダクタンス17に蓄えられたエネルギーはIcが一定ならば変わらないので、ターンオフ下降時間Tfはクランプ電圧Vclampが大きい程短くなる。寄生インダクタンス17に蓄えられていて、IGBTQkで消費されるエネルギーは一定であるが、電源から供給されるエネルギーがターンオフ中に常に単位時間あたりVdc×IcだけIGBTQkで消費されており、ターンオフ下降時間Tfが長いほどターンオフ時のエネルギー損失は大きくなる。
【0049】
以上の理由からクランプ電圧Vclampはできる限り大きく設定した方がターンオフ時の損失は小さくなる。しかし、ターンオフ時の損失を小さくするために、クランプ電圧Vclampを大きく設定すると、クランプ動作後、オフ状態のときに、クランプをしたIGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceはクランプ電圧Vclampと等しくなり、残りのIGBTのVceはその分小さくなり、直列接続されたIGBT間の電圧分担が不均一になるので電圧分担を等しくするための分圧抵抗が必要となる。
【0050】
また、IGBTQkのコレクタからツェナーダイオード5、ダイオード6、IGBTQkのゲートまでの回路には寄生インダクタンス、寄生キャパシタンスがあるので、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナー電圧を越えてからツェナーダイオード5が導通し、IGBTQkが一時的にオンしVceが下がり始めるまでに時間遅れが生じる。
【0051】
dVce/dtが高い場合、上記の時間遅れのためにクランプ動作が遅れ、IGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceが最大定格よりも高くなる。それを防ぐためにツェナーダイオード5のツェナー電圧を小さくすると、過電圧防止回路の遅れ時間は変わらないので、dVce/dtが低い場合にはクランプ電圧も低くなり、前述の理由により、ターンオフ時の損失が大きくなる。
【0052】
一方、図12に示す過電圧抑制回路では、アクティブスナバ8はIGBTQkのターンオフ直後から電圧の立ち上がりを制限するため、スイッチング時間が遅くなる。
【0053】
また、アクティブスナバ8、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9は、ともにIGBTQkのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの変化に応じた制御を行うため、直列接続されたIGBT間の分担されたコレクタ−エミッタ間電圧Vceにばらつきがあっても、それぞれのVceの時間変化がなければアクティブスナバ8、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9は働かず、直列接続された複数のIGBTにおいて、オフ状態のときの電圧分担を等しくすることはできない。そのためオフ状態のときの電圧分担を等しくするために分圧抵抗13が必要になる。
【0054】
また、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9はツェナーダイオード12のツェナー電圧を均等分担電圧Vdc以下の任意の電圧に設定することができない。
【0055】
すなわち、オフ状態のときゲートドライブ回路7は常にIGBTQkのゲートから電荷を取り除く動作をする。コンデンサ93は過電圧抑制動作中は、常にオフ信号を受けており、ゲートドライブ回路7が抜き去る分の電流を流し続けなければならないため、考えられ得るターンオフ時間に応じた容量が必要になる。
【0056】
ツェナーダイオード12のツェナー電圧を均等分担電圧Vdc以下に設定すると、電源電圧の変動に応じてコンデンサ93からIGBTQkのゲートおよびゲートドライブ回路7に電流が流れる。コンデンサ93の容量が大きいと上記の電流が大きくなり、IGBTQkのゲート−エミッタ間電圧がしきい値電圧まで上昇し、一時的オン動作が必要でないときにIGBTQkがオンする。そのため、ツェナーダイオード12のツェナー電圧は均等分担電圧Vdcよりも大きく設定しなければならず、IGBTQkのdVce/dtが高い場合は、動作電圧レベル限定アクティブスナバ9の遅れ時間のために過電圧抑制動作が遅れ、コレクタ−エミッタ間電圧Vceがその最大定格以上になるため、アクティブスナバ8でターンオフ直後からdVce/dtを抑える必要があり、スイッチングが遅くなる。
【0057】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、自己消弧形半導体素子のコレクタ−エミッタ間電圧が素子の最大定格値を越えることを防止するとともに、ターンオフ時間の増大によるエネルギー損失の増大を防止した半導体装置を提供することを目的とする。
【0061】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項記載の半導体装置は、自己消弧形半導体素子を制御する半導体装置であって、前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記自己消弧形半導体素子のゲートを制御するゲートドライブ回路に接続された入力トランジスタの制御電極および第1の主電極との間に接続された分圧均等化回路を備え、前記入力トランジスタの前記第1の主電極は、前記自己消弧形半導体素子の第2の主電極に接続され、第2の主電極は、前記ゲートドライブ回路入力端子に接続され、前記分圧均等化回路は、ツェナーダイオードと周波数フィルタとを有し、前記周波数フィルタは、スイッチング時に前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分の電流を主に通過させるようにカットオフ周波数が設定され、前記ツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、前記周波数フィルタは、前記ツェナーダイオードのアノードと、前記入力トランジスタの前記制御電極および前記第1の主電極との間に接続され、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定される。
【0062】
本発明に係る請求項記載の半導体装置は、前記周波数フィルタが、第1および第2の抵抗素子とインダクタとを有し、前記ツェナーダイオードのアノードが前記第1の抵抗素子の第1の端部に接続され、前記第1の抵抗素子の第2の端部が前記インダクタおよび前記第2の抵抗素子の第1の端部に接続され、前記インダクタの第2の端部は、前記入力トランジスタの前記制御電極に接続され、前記第2の抵抗素子の第2の端部は、前記入力トランジスタの前記第1の主電極に接続される。
【0063】
本発明に係る請求項記載の半導体装置は、前記周波数フィルタは、抵抗素子とコンデンサとを有し、前記ツェナーダイオードのアノードが前記抵抗素子の第1の端部に接続され、前記抵抗素子の第2の端部が前記コンデンサの第1の電極および前記入力トランジスタの前記制御電極に接続され、前記コンデンサの第2の電極が、前記入力トランジスタの前記第1の主電極に接続される。
【0064】
本発明に係る請求項記載の半導体装置は、自己消弧形半導体素子を制御する半導体装置であって、前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記自己消弧形半導体素子のゲートを制御するゲートドライブ回路に並列に接続された第1および第2の入力トランジスタの制御電極との間にそれぞれ接続された過電圧防止回路および電圧上昇率抑制回路と、前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記第1および第2の入力トランジスタに並列に接続された、第3の入力トランジスタの制御電極および第1の主電極との間に接続された分圧均等化回路とを備え、前記第1ないし第3の入力トランジスタの第1の主電極は、前記自己消弧形半導体素子の第2の主電極に接続され、第2の主電極は、前記ゲートドライブ回路入力端子に接続され、前記過電圧防止回路は、第1のツェナーダイオードと、抵抗素子と、コンデンサとを有し、前記第1のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、アノードが前記抵抗素子の第1の端部に接続され、前記抵抗素子の第2の端部が前記第1の入力トランジスタの前記制御電極に接続され、前記コンデンサが前記抵抗素子に並列に接続され、前記電圧上昇率抑制回路は、第2のツェナーダイオードとコンデンサとを有し、前記第2のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、アノードが前記コンデンサの第1の電極に接続され、前記コンデンサの第2の電極が前記第2の入力トランジスタの前記制御電極に接続され、前記分圧均等化回路は、第3のツェナーダイオードと周波数フィルタとを有し、前記周波数フィルタは、スイッチング時に前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分の電流を主に通過させるようにカットオフ周波数が設定され、前記第3のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、前記周波数フィルタは、前記第3のツェナーダイオードのアノードと、前記第3の入力トランジスタの前記制御電極および前記第1の主電極との間に接続され、前記第2のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記第1のツェナーダイオードのツェナー電圧より小さく、前記第1のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の最大定格値より小さく設定し、前記第3のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定される。
【0065】
本発明に係る請求項記載の半導体装置モジュールは、複数直列に接続された前記自己消弧形半導体素子と、複数の前記自己消弧形半導体素子のそれぞれに接続された、請求項1ないし請求項記載の何れかの前記半導体装置とを備え、複数の前記自己消弧形半導体素子および複数の前記半導体装置がパッケージ化されている。
【0066】
【発明の実施の形態】
<A.実施の形態1>
<A−1.装置構成>
図1は、本発明に係る実施の形態1の過電圧防止回路100を有するIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)3のゲートを制御するゲート回路40の構成を示す図である。なお、IGBT3は、3相2レベルインバータ等の出力部を構成する直列接続された複数IGBTのうちの1つであり、ダイオード33が逆並列に接続されている。
【0067】
過電圧防止回路100は、IGBT3のコレクタにカソードが接続されたツェナーダイオード20と、ツェナーダイオード20のアノードとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続された、クランプ信号を増幅するトランジスタ(以後、入力トランジスタと呼称)19のベースとの間に、並列に接続された抵抗21およびコンデンサ22とで構成されている。
【0068】
IGBT3のゲートのゲートのオン・オフ動作を制御するゲートドライブ回路18は、定電圧源VcとIGBT3のエミッタとの間に直列に接続されたトランジスタ181および182を有し、トランジスタ181および182のコレクタが出力ノードとなって、IGBT3のゲートにスイッチング時間を調節するゲート抵抗23を介して接続されている。
【0069】
トランジスタ181のベースには入力トランジスタ19のコレクタが接続され、入力トランジスタ19のエミッタはIGBT3のエミッタに接続されている。
【0070】
また、トランジスタ181のベースには、IGBT3のオン・オフを指令するゲート指令信号出力素子24の出力が接続されている。なお、トランジスタ181および182のベースは電気的に接続され、この部分にゲート指令信号出力素子24の出力が接続されるので、この部分がゲートドライブ回路18の入力端子と言うことができる。
【0071】
<A−2.動作および効果>
IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード20のツェナー電圧を越えるとツェナーダイオード20が導通し、入力トランジスタ19のベースに電流が流れ、ゲートドライブ回路18にオンの制御信号を入力する。その結果、IGBT3のゲート−エミッタ間電圧をしきい値電圧まで上昇させて、IGBT3を一時的にオンさせ、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを下げることができる。
【0072】
ここで、抵抗21はクランプ動作を長時間に渡って維持するために配設されている。すなわち、長時間に渡ってツェナーダイオード20のツェナー電圧を越える電圧がコレクタ−エミッタ間電圧Vceとして印加され、コンデンサ22が充電されて充電電圧がVceを越えると、抵抗21を有さない場合にはコンデンサ22には電流が流れなくなる。しかし、抵抗21を配設することで、入力トランジスタ19のベースに電流を流し続けることができ、長時間のクランプ動作が可能となる。
【0073】
なお、ツェナーダイオード20および抵抗21だけでもクランプ動作は可能であるが、抵抗21はツェナーダイオード20のアノードの電圧に応じた電流を流すため、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナー電圧を越えた直後は僅かな電流しか流さない。一方、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの立ち上がりが一定とした場合、コンデンサ22を流れる電流はVceがツェナーダイオード20のツェナー電圧を越えた直後から、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの上昇率(dVce/dt)に応じた一定の電流を流すので、コンデンサ22を配設することで高速応答性を有することができる。
【0074】
また、ツェナーダイオード20に寄生キャパシタンスがある場合でも、入力トランジスタ19のゲインを調節することで、その影響を解消し、IGBT3を高速にスイッチングすることができる。
【0075】
なお、入力トランジスタ19のゲイン調節の方法としては、入力トランジスタ19のベース−エミッタ間に抵抗を介挿し、ベースに流れ込んでいた電流を分流する方法を採れば良い。
【0076】
ここで、ツェナーダイオード20のツェナー電圧の設定について説明する。前述のように、クランプ電圧が高いほどIGBT3のターンオフ時のエネルギー損失は小さくなるので、ツェナー電圧はできるだけ大きく設定する。
【0077】
しかし、過電圧防止回路100の閉ループには時間遅れがあるため、実際のクランプ電圧はツェナー電圧よりもTd(遅れ時間)×(dVce/dt)だけ大きくなる。従って、ツェナー電圧は、遅れ時間により増大したクランプ電圧がIGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格を越えない範囲で大きく設定する。
【0078】
<B.実施の形態2>
<B−1.装置構成>
図2は、本発明に係る実施の形態2の電圧上昇率抑制回路200を有するゲート回路40の構成を示す図である。なお、図1を用いて説明した過電圧防止回路100と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
電圧上昇率抑制回路200は、IGBT3のコレクタにカソードが接続されたツェナーダイオード25と、ツェナーダイオード25のアノードとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続された入力トランジスタ19のベースとの間に接続されたコンデンサ26とで構成されている。コンデンサ26はIGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの上昇率(dVce/dt)を検出し、その大きさに応じた信号をゲートドライブ回路7に送る機能を有している。
【0080】
<B−2.動作および効果>
IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード25のツェナー電圧を越えるとツェナーダイオード25が導通し、IGBT3のVceの上昇率(dVce/dt)に応じた電流が入力トランジスタ19のベースに流れ、ゲートドライブ回路18にオンの制御信号を入力する。その結果、IGBT3のゲート−エミッタ間電圧をしきい値電圧まで上昇させ、IGBT3を一時的にオンさせ、IGBT3のVceの上昇率を抑制することができる。
【0081】
すなわち、電圧上昇率抑制回路200においては、dVce/dtに応じてコンデンサ26に流れる電流でIGBT3がオンするように容量が調整されているので、dVce/dtが小さくなるとIGBT3はオフすることになる。この結果、コレクタ−エミッタ間電圧VceはIGBT3のオン・オフの繰り返しにより、微視的には鋸波状の波形となるが、巨視的にはdVce/dtが緩やかになる。
【0082】
従って、直列接続された複数のIGBTのコレクタ−エミッタ間に過電圧が印加される原因が、IGBTのスイッチングのタイミングずれにある場合、例えば、1つのIGBTがターンオフ動作に入り、その他のIGBTがオン状態にあってターンオフが遅れているような場合、dVce/dtが緩やかであれば先にターンオフ動作に入ったIGBTが完全にオフする前に、遅れてターンオフするIGBTもターンオフ動作に入ることができ、各IGBTがオフするタイミングの同期を取ることができるので、IGBTのコレクタ−エミッタ間に最大定格以上の電圧が印加されることを防止できる。
【0083】
なお、図1を用いて説明した過電圧防止回路100においても、コンデンサ22にはdVce/dtに応じた電流が流れるが、過電圧防止回路100では、コンデンサ22に流れる電流だけではIGBT3がオンしないように、容量が調整され、抵抗21に流れる電流が重畳されることでIGBT3がオンするように抵抗値が調整されている。
【0084】
また、電圧上昇率抑制回路200においては、ツェナーダイオード25を用いることで、電圧上昇率の抑制はコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード25のツェナー電圧以上のときのみ行われる。従って、図12を用いて説明した従来の過電圧抑制回路のように、ターンオフ直後からdVce/dtを抑える必要がなく、スイッチング速度が低下することはない。
【0085】
<C.実施の形態3>
<C−1.装置構成>
図3は、本発明に係る実施の形態3の定常分圧均等化回路300を有するゲート回路40の構成を示す図である。なお、図1を用いて説明した過電圧防止回路100と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
定常分圧均等化回路300は、IGBT3のコレクタにカソードが接続されたツェナーダイオード27と、ツェナーダイオード27のアノードとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続された入力トランジスタ19のベースとの間に直列に接続された抵抗281およびインダクタ282、抵抗281とインダクタ282との接続点と入力トランジスタ19のエミッタとの間に接続された抵抗283で構成されるローパスフィルタ28とを有している。
【0087】
ここで、ツェナーダイオード27のツェナー電圧は、IGBT3がオフ状態のときに保持すべきコレクタ−エミッタ間電圧Vceに設定する。すなわち、ツェナーダイオード27のツェナー電圧は、直列接続された複数のIGBTの全てがオフ状態のときに、通常、IGBT列の全体に加わる直流電圧を、直列接続されたIGBTの個数で割った値に設定する。
【0088】
<C−2.動作および効果>
IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード27のツェナー電圧を越えると、ツェナーダイオード27が導通し、ローパスフィルタ28で規定されるカットオフ周波数以下の周波数成分だけ入力トランジスタ19のベースに流れる。
【0089】
ここで、ローパスフィルタ28のカットオフ周波数はターンオフ時のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの主な周波数成分よりも低い周波数に設定することで、IGBT3のスイッチング直後の高速な過渡的な信号が多い場合には、IGBT3のコレクタから入力トランジスタ19のベースまではハイインピーダンスとし、IGBT3のコレクタから入力トランジスタ19のエミッタまではローインピーダンスとすることで、入力トランジスタ19のベースに電流が流れないようにし、IGBT3のスイッチング動作後、完全にオフ状態になって、カットオフ周波数以下の、低速なほぼ一定の信号が多くなった場合には、IGBT3のコレクタから入力トランジスタ19のベースまではローインピーダンスとし、IGBT3のコレクタから入力トランジスタ19のエミッタまではハイインピーダンスとすることができる。
【0090】
換言すれば、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがツェナーダイオード27のツェナー電圧以上になった場合のみ、入力トランジスタ19のベースにカットオフ周波数以下の周波数成分を有する電流を流し、ゲートドライブ回路18にオンの制御信号を入力することができる。
【0091】
その結果、IGBT3のゲート−エミッタ間電圧をしきい値電圧まで上昇させ、IGBT3を一時的にオンさせ、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceをツェナーダイオード27のツェナー電圧に抑え、オフ状態のときの直列接続した複数のIGBTにおける電圧分担を均等にすることができる。
【0092】
従って、図12を用いて説明した従来の過電圧抑制回路のように、オフ状態の電圧分担を均等にする分圧抵抗を別個に設けることが不要になる。
【0093】
<C−3.変形例>
なお、ローパスフィルタ28の代わりに、図4に示すローパスフィルタ29(インピーダンス素子)を有した定常分圧均等化回路300Aを用いても良い。
【0094】
ローパスフィルタ29は、ツェナーダイオード27のアノードとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続された入力トランジスタ19のベースとの間に接続された抵抗291と、入力トランジスタ19のエミッタとベースとの間に接続されたコンデンサ292とで構成されている。
【0095】
ローパスフィルタ29の動作はローパスフィルタ28と同様であるが、ローパスフィルタ29にはインタダクタを有さないので、製造においては、インタダクタの発生する電磁界の影響を考慮しての配置等に留意する必要がなく、製造が容易であるという利点を有している。
【0096】
<D.実施の形態4>
以上説明した本発明に係る実施の形態1〜3においては、IGBT3に過電圧防止回路100、電圧上昇率抑制回路200、定常分圧均等化回路300をそれぞれ単独で接続する構成を示したが、以下に説明する実施の形態4においては、IGBT3に上記の3つの回路を接続した構成を示す。
【0097】
<D−1.装置構成>
図5に、過電圧防止回路100、電圧上昇率抑制回路200、定常分圧均等化回路300で構成される過電圧保護回路500を有するゲート回路40の構成を示す。
【0098】
図5において、過電圧防止回路100は、IGBT3のコレクタとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続されたトランジスタ32のベースとの間に配設され、電圧上昇率抑制回路200は、IGBT3のコレクタとゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続されたトランジスタ31のベースとの間に配設され、定常分圧均等化回路300のインダクタ282は、ゲートドライブ回路18の制御信号入力段に接続されたトランジスタ30のベースに接続され、また、抵抗283は、抵抗281とインダクタ282との接続点とトランジスタ30のエミッタとの間に接続されている。
【0099】
なお、トランジスタ30〜32のコレクタは、トランジスタ181のベースに接続され、トランジスタ30〜32のエミッタはIGBT3のエミッタに接続されている。
【0100】
なお、その他、図1を用いて説明した過電圧防止回路100と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0101】
<D−2.動作および効果>
前述したようにクランプ電圧は高い方がターンオフ時のエネルギー損失は小さくなるので、クランプ電圧がIGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格を越えない範囲で、できるだけ大きくなるように、回路パラメータを設定する。
【0102】
しかし、実施の形態1において説明したように、過電圧防止回路100の閉ループには時間遅れがあるため、実際のクランプ電圧はツェナー電圧よりもTd(遅れ時間)×(dVce/dt)だけ大きくなる。従って、ツェナーダイオード20のツェナー電圧は、遅れ時間により増大したクランプ電圧がIGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格を越えない範囲で大きく設定する必要がある。
【0103】
一方で、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが最大定格を越えないようにdVce/dtの最大値に合わせてツェナーダイオード20のツェナー電圧を小さくすると、dVce/dtが小さい場合にクランプ電圧が小さくなり、ターンオフ時のエネルギー損失が大きくなる。
【0104】
しかし、電圧上昇率抑制回路200を併せて備えることで、コレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格を越えないように確実にクランプすること、およびターンオフ時のエネルギー損失を小さくすることが実現できる。
【0105】
電圧上昇率抑制回路200は実施の形態2において説明したように、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの上昇率(dVce/dt)を抑制する機能を有している。
【0106】
そこで、過電圧防止回路100が制御できる範囲まで電圧上昇率抑制回路200によってdVce/dtを抑制することで、dVce/dtが大きい場合と、dVce/dtが小さい場合とで極端な差が生じないようにして、ツェナーダイオード20のツェナー電圧を、IGBT3においてVceの最大定格を越えることなく、またターンオフ時のエネルギー損失を小さくできる値に容易に設定することが可能となる。
【0107】
また、電圧上昇率抑制回路200はdVce/dtに応じた制御を行うので、dVce/dtが小さいときは有効な制御(IGBT3を一時的にオンする制御)を行わず、dVce/dtは低下しない。
【0108】
また、電圧上昇率抑制回路200はツェナーダイオード25によって動作電圧が限定されるので、ターンオフ直後からdVce/dtを抑えることがないようにツェナーダイオード25のツェナー電圧を設定することで、スイッチング速度が低下することを防止できる。従って、ツェナーダイオード25のツェナー電圧は過電圧防止回路100のツェナーダイオード20のツェナー電圧よりも小さい値に設定する。
【0109】
なお、電圧上昇率抑制回路200は、dVce/dtを過電圧防止回路100が制御できる範囲まで抑制することが役割であるため、過電圧防止回路100がクランプ動作に入った後は、コンデンサ26は電流を流し続ける必要はない。
【0110】
従って、コンデンサ26の容量を大きく設定する必要はなく、ツェナーダイオード25のツェナー電圧を均等分担電圧Vdc以下にした場合でも、均等分担電圧Vdcの変動によってコンデンサ26を流れる電流を小さくでき、当該電流によって誤ってクランプ動作を起こすことが防止できる。
【0111】
よって、ツェナーダイオード25のツェナー電圧を任意の値に設定することができ、例えばツェナー電圧を低く設定し、低いコレクタ−エミッタ間電圧Vceから電圧上昇dVce/dtを制御するといった利用法が可能になる。
【0112】
実施の形態3において説明したように、定常分圧均等化回路300を用いると、個々のIGBTに分圧抵抗を配設せずとも、直列接続されたIGBT列において、分圧の均等化ができる。もちろん、定常分圧均等化回路300と分圧抵抗とを併用しても良く、また、図5に示す過電圧保護回路500において定常分圧均等化回路300の代わりにIGBT3に並列に分圧抵抗を配設した構成としても良い。
【0113】
図6に、図5に示す過電圧保護回路500を用いた場合の、IGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceとコレクタ電流Icの特性を示す。
【0114】
図6において、スイッチングのタイミングずれにより、先にターンオフしたIGBT3のコレクタ−エミッタ間電圧Vceは、高い電圧上昇率dVce/dtで立ち上がる。この電圧Vceが電圧上昇率抑制回路200のツェナーダイオード25ツェナー電圧(Vbreak)を越えると電圧上昇率抑制回路200が動作し、dVce/dtが抑制される。その結果、コレクタ−エミッタ間電圧Vceの最大定格を越えないように過電圧防止回路100で制御できる範囲までdVce/dtが抑えられる。
【0115】
その後、過電圧防止回路100のツェナー電圧に達すると、過電圧防止回路100が動作し、コレクタ−エミッタ間電圧Vceはクランプ電圧Vclampの値でクランプされる。
【0116】
ターンオフが完了した後、定常分圧均等化回路300が動作し、直列接続されたIGBT3は等しく均等分担電圧Vdcに収まる。
【0117】
なお、図6においては遅れてターンオフしたIGBTのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの特性についても示しており、当該特性においては階段状の特性となっているが、これは先にターンオフしたIGBTのVceと、遅れてターンオフIGBTのVceとで電源ライン間(P−N線間)の電圧となるので、先にターンオフしたIGBTのVceがクランプ電圧Vclampで規制されるほど高い分だけ、遅れてターンオフIGBTのVceが低くなっていることを示している。なお、完全にオフ状態になると両者のVceは均等分担電圧Vdcに一致する。
【0118】
<D−3.変形例>
図5を用いて説明した過電圧保護回路500は、過電圧防止回路100、電圧上昇率抑制回路200、定常分圧均等化回路300で構成されていたが、図7に示すように、定常分圧均等化回路300の代わりに、定常分圧均等化回路300Aを用いた構成としても良い。
【0119】
定常分圧均等化回路300Aは、定常分圧均等化回路300と同様の機能を有しているが、先に説明したようにローパスフィルタ29にはインタダクタを有さないので、製造においては、インタダクタの発生する電磁界の影響を考慮しての配置等に留意する必要がなく、製造が容易であるという利点を有している。
【0120】
<E.実施の形態5>
図8は、実施の形態1〜4において説明した、過電圧防止回路100、電圧上昇率抑制回路200、定常分圧均等化回路300、およびこれらを含んで構成される過電圧保護回路500の何れかを含むゲート回路40により制御される自己消弧形半導体素子が複数直列に接続された半導体装置モジュール600を示す図である。
【0121】
図8において、自己消弧形半導体素子として、IGBTQ1〜Qnまでのn個のIGBTが直列に接続され、そのそれぞれにゲート回路40が接続されている。なお、IGBTQ1〜QnのそれぞれにはダイオードD1〜Dnが逆並列に接続されている。
【0122】
そして、半導体装置モジュール600には自己消弧形半導体素子の接続点NDがモジュール外部に引き出され、外部回路との接続が可能な構成となっている。
【0123】
このように、過電圧保護回路等を含んだゲート回路40と直列接続された自己消弧形半導体素子とをモジュール化することで、装置を小型化でき、不具合が生じた場合にはモジュール単位で交換できるなど、メンテナンスを容易にすることができる。
【0124】
なお、過電圧保護回路500や、電圧上昇率抑制回路200を用いる場合は、ローパスフィルタ28(あるいは29)のカットオフ周波数、または入力トランジスタ19、31〜33のゲインなどをモジュール外で変更できるようにしても良い。
【0125】
例えば、ローパスフィルタ28あるいは29のカットオフ周波数を変更するには、ローパスフィルタ28中にインダクタを複数種類備え、またローパスフィルタ29中にコンデンサを複数種類備え、それらを外部スイッチで切り替える構成とすれば良い。
【0126】
また、トランジスタのゲインを変更するには、ベース−エミッタ間に複数種類の抵抗を備え、それらを外部スイッチで切り替える構成とすれば良い。
【0127】
<F.実施の形態1〜5の変形例>
なお、以上説明した実施の形態1〜5においては、ゲートドライブ回路18の構成として、IGBT3のターンオン時にはpnpバイポーラトランジスタ181を、ターンオフ時にはnpnバイポーラトランジスタ182を用いる構成を示したが、図10に示すようにIGBT3のターンオン動作にnpnバイポーラトランジスタ182を、ターンオフ動作にpnpバイポーラトランジスタ181を用いる構成としても、入力トランジスタ19(30、31、32)のコレクタを定電圧源Vcに、エミッタをゲートドライブ回路18の信号出力ノードに接続すれば同様の効果が得られる。
【0128】
図10において、ゲートドライブ回路18のトランジスタ182のベースには、入力トランジスタ19のエミッタが接続され、トランジスタ182よび181のエミッタが出力ノードとなって、IGBT3のゲートにスイッチング時間を調節するゲート抵抗23を介して接続されている。また、トランジスタ181のベースには、IGBT3のオン・オフを指令するゲート指令信号出力素子24の出力が接続され、トランジスタ181および182のベースは電気的に接続されている。
【0129】
また、以上の説明においてはとして自己消弧形半導体素子としてIGBTを例に挙げたが、本発明はMOSFETなどの他の自己消弧形半導体素子に対しても適用可能であり、また、インバータへの適用に限定されず、自己消弧形半導体素子を直列に接続した構成に適用することで、同様の効果を得られる。
【0133】
【発明の効果】
本発明に係る請求項記載の半導体装置によれば、周波数フィルタは、スイッチング時に自己消弧形半導体素子の第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分を主に通過させるようにカットオフ周波数が設定され、ツェナーダイオードのカソードが自己消弧形半導体素子の第1の主電極に接続され、周波数フィルタは、ツェナーダイオードのアノードと、入力トランジスタの制御電極および第1の主電極との間に接続され、ツェナーダイオードのツェナー電圧は、自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定された分圧均等化回路を備えるので、自己消弧形半導体素子の第1の主電極と第2の主電極間の電圧がツェナーダイオードのツェナー電圧を越えたところで、ツェナーダイオードが導通し、スイッチング時に自己消弧形半導体素子の第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分の電流が入力トランジスタの制御電極に流れ、ゲートドライブ回路にオンの制御信号を入力する。その結果、自己消弧形半導体素子の制御電極と第2の主電極間の電圧をしきい値電圧まで上昇させて、自己消弧形半導体素子を一時的にオンさせ、自己消弧形半導体素子の第1および第2の主電極間の電圧をツェナーダイオードのツェナー電圧に抑えることができ、自己消弧形半導体素子を複数直列に接続した構成において、複数の自己消弧形半導体素子における電圧分担を均等にすることができる。
【0134】
本発明に係る請求項および記載の半導体装置によれば、周波数フィルタの第1の抵抗素子の第2の端部がインダクタおよび第2の抵抗素子の第1の端部に接続され、インダクタの第2の端部が、入力トランジスタの制御電極に接続され、第2の抵抗素子の第2の端部が、入力トランジスタの第1の主電極に接続されているので、スイッチング直後の過渡的な信号が多い場合には、自己消弧形半導体素子の第1の主電極から入力トランジスタの制御電極まではハイインピーダンスとし、自己消弧形半導体素子の第1の主電極から入力トランジスタのエミッタまではローインピーダンスとすることで、入力トランジスタの制御電極に電流が流れないようにし、自己消弧形半導体素子のスイッチング動作後、完全にオフ状態になって、カットオフ周波数以下の、低速なほぼ一定の信号が多くなった場合には、自己消弧形半導体素子の第1の主電極から入力トランジスタの制御電極まではローインピーダンスとし、自己消弧形半導体素子の第1の主電極から入力トランジスタの第1の主電極まではハイインピーダンスとすることができる。
【0135】
本発明に係る請求項記載の半導体装置によれば、過電圧防止回路、電圧上昇率抑制回路、分圧均等化回路を備え、第2のツェナーダイオードのツェナー電圧は、第1のツェナーダイオードのツェナー電圧より小さく、第1のツェナーダイオードのツェナー電圧は、自己消弧形半導体素子の第1および第2の主電極間電圧の最大定格値より小さく設定し、第3のツェナーダイオードのツェナー電圧は、自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定することで、自己消弧形半導体素子のターンオフ、ターンオンおよび、オフ時に自己消弧形半導体素子の第1および第2の主電極間に最大定格値以上の電圧が印加されることを防止でき、自己消弧形半導体素子を複数直列に接続した構成において、複数の自己消弧形半導体素子における電圧分担を均等にすることができる。
【0136】
本発明に係る請求項記載の半導体装置モジュールによれば、複数の自己消弧形半導体素子および過電圧防止回路、電圧上昇率抑制回路、分圧均等化回路の何れか、または全てを有した複数の半導体装置がパッケージ化されているので、装置を小型化でき、不具合が生じた場合にはモジュール単位で交換できるなど、メンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態1の半導体装置の構成を示す回路図である。
【図2】 本発明に係る実施の形態2の半導体装置の構成を示す回路図である。
【図3】 本発明に係る実施の形態3の半導体装置の構成を示す回路図である。
【図4】 本発明に係る実施の形態3の半導体装置の変形例の構成を示す回路図である。
【図5】 本発明に係る実施の形態4の半導体装置の構成を示す回路図である。
【図6】 本発明に係る実施の形態4の半導体装置の動作を説明する図である。
【図7】 本発明に係る実施の形態4の半導体装置の変形例の構成を示す回路図である。
【図8】 本発明に係る実施の形態5の半導体装置モジュールの構成を示す図である。
【図9】 ゲートドライブ回路のバイポーラトランジスタの構成を変えた場合の実施の形態1の半導体装置に対応する回路図である。
【図10】 3相2レベルインバータの出力部の構成を示す図である。
【図11】 自己消弧形半導体素子の従来の過電圧抑制回路を示す回路図である。
【図12】 自己消弧形半導体素子の従来の過電圧抑制回路を示す回路図である。
【図13】 インダクタンス成分を有する負荷に接続されたインバータの構成を説明する概略図である。
【図14】 従来の過電圧抑制回路を用いた場合のターンオフ時の自己消弧形半導体素子でのエネルギー損失を説明する図である。
【符号の説明】
3 IGBT、18 ゲートドライブ回路、19,30〜32 入力トランジスタ、20,25,27 ツェナーダイオード、28,29 ローパスフィルタ、100 過電圧防止回路、200 電圧上昇率抑制回路、300,300A 分圧均等化回路、600 半導体装置モジュール。

Claims (5)

  1. 自己消弧形半導体素子を制御する半導体装置であって、
    前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記自己消弧形半導体素子のゲートを制御するゲートドライブ回路に接続された入力トランジスタの制御電極および第1の主電極との間に接続された分圧均等化回路を備え、
    前記入力トランジスタの前記第1の主電極は、前記自己消弧形半導体素子の第2の主電極に接続され、第2の主電極は、前記ゲートドライブ回路入力端子に接続され、
    前記分圧均等化回路は、
    ツェナーダイオードと周波数フィルタとを有し、
    前記周波数フィルタは、スイッチング時に前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分の電流を主に通過させるようにカットオフ周波数が設定され、
    前記ツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、前記周波数フィルタは、前記ツェナーダイオードのアノードと、前記入力トランジスタの前記制御電極および前記第1の主電極との間に接続され、
    前記ツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定する、半導体装置。
  2. 前記周波数フィルタは、
    第1および第2の抵抗素子とインダクタとを有し、
    前記ツェナーダイオードのアノードが前記第1の抵抗素子の第1の端部に接続され、
    前記第1の抵抗素子の第2の端部が前記インダクタおよび前記第2の抵抗素子の第1の端部に接続され、
    前記インダクタの第2の端部は、前記入力トランジスタの前記制御電極に接続され、
    前記第2の抵抗素子の第2の端部は、前記入力トランジスタの前記第1の主電極に接続される、請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記周波数フィルタは、
    抵抗素子とコンデンサとを有し、
    前記ツェナーダイオードのアノードが前記抵抗素子の第1の端部に接続され、
    前記抵抗素子の第2の端部が前記コンデンサの第1の電極および前記入力トランジスタの前記制御電極に接続され、
    前記コンデンサの第2の電極が、前記入力トランジスタの前記第1の主電極に接続される、請求項1記載の半導体装置。
  4. 自己消弧形半導体素子を制御する半導体装置であって、
    前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記自己消弧形半導体素子のゲートを制御するゲートドライブ回路に並列に接続された第1および第2の入力トランジスタの制御電極との間にそれぞれ接続された過電圧防止回路および電圧上昇率抑制回路と、
    前記自己消弧形半導体素子の第1の主電極と、前記第1および第2の入力トランジスタに並列に接続された、第3の入力トランジスタの制御電極および第1の主電極との間に接続された分圧均等化回路とを備え、
    前記第1ないし第3の入力トランジスタの第1の主電極は、前記自己消弧形半導体素子の第2の主電極に接続され、第2の主電極は、前記ゲートドライブ回路入力端子に接続され、
    前記過電圧防止回路は、
    第1のツェナーダイオードと、抵抗素子と、コンデンサとを有し、
    前記第1のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、アノードが前記抵抗素子の第1の端部に接続され、
    前記抵抗素子の第2の端部が前記第1の入力トランジスタの前記制御電極に接続され、
    前記コンデンサが前記抵抗素子に並列に接続され、
    前記電圧上昇率抑制回路は、
    第2のツェナーダイオードとコンデンサとを有し、
    前記第2のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、アノードが前記コンデンサの第1の電極に接続され、
    前記コンデンサの第2の電極が前記第2の入力トランジスタの前記制御電極に接続され、
    前記分圧均等化回路は、第3のツェナーダイオードと周波数フィルタとを有し、
    前記周波数フィルタは、スイッチング時に前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の主な周波数成分よりも低い周波数成分の電流を主に通過させるようにカットオフ周波数が設定され、
    前記第3のツェナーダイオードのカソードが前記自己消弧形半導体素子の前記第1の主電極に接続され、前記周波数フィルタは、前記第3のツェナーダイオードのアノードと、前記第3の入力トランジスタの前記制御電極および前記第1の主電極との間に接続され、
    前記第2のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記第1のツェナーダイオードのツェナー電圧より小さく、前記第1のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子の前記第1および第2の主電極間電圧の最大定格値より小さく設定し、
    前記第3のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記自己消弧形半導体素子がオフ状態のときに負担する電圧に等しい値に設定する、半導体装置。
  5. 複数直列に接続された前記自己消弧形半導体素子と、
    複数の前記自己消弧形半導体素子のそれぞれに接続された、請求項1ないし請求項4記載の何れかの前記半導体装置とを備え、
    複数の前記自己消弧形半導体素子および複数の前記半導体装置がパッケージ化された、半導体装置モジュール。
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