JP4349363B2 - 動きベクトル検出方法、画像処理装置、画像表示装置およびプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑み、安定した精度で効率よく動きベクトルを検出することができる動きベクトル検出方法、画像処理装置、画像表示装置およびプログラムを提供することを解決課題としている。
従来の技術において動きベクトルの検出精度がばらつくのは、被写体が動く方向が任意であるのに対して、フレームの走査において対象のブロックが互いに隣接するブロック間で遷移する向き(以降、「隣接遷移方向」)が一様であるからである。詳しくは、以下に述べる通りである。
動きベクトルは、被写体が数フレームにわたって動くことによって生ずることが多い。ここで、動きベクトルの検出の対象となるブロックを含むフレームを「現在フレーム」とし、その直前のフレームを「前フレーム」とする。この場合、対象のブロックと空間的に隣接する現在フレームのブロック、及び時間的に隣接する前フレームのブロックにおける動きベクトルは、対象のブロックの動きベクトルと近似している可能性が高い。したがって、対象のブロックに隣接するブロック(隣接ブロック)の既に検出された動きベクトルを用いれば、限られた処理負荷の中であっても、正しい動きベクトルを精度良く検出することができる。
ここで、対象のブロックに、動く被写体が含まれているものとする。この場合、隣接ブロックのうち、対象のブロックに含まれている被写体を含む前フレームのブロック(「前寄与大ブロック」と称する)について、既に動きベクトルが検出されていれば、この動きベクトルを用いて、対象のブロックの動きベクトルを精度良く検出することができる。また、前寄与大ブロックに相当する現在フレームのブロック(「現在寄与大ブロック」と称する)について、既に動きベクトルが検出されていれば、この動きベクトルを用いて、対象のブロックの動きベクトルを精度良く検出することができる。
このように、隣接ブロックの中には、対象のブロックの動きベクトルを検出するに際して、利用価値の高い、前寄与大ブロックと現在寄与大ブロックとがあり、これらのブロックの動きベクトルを利用して動きベクトルを検出すべきである。しかし、前フレームのブロックの動きベクトルが未検出となる場合がある。前フレームの前にフレームが存在しない場合である。この場合には、前寄与大ブロックの動きベクトルを利用することはできない。一方、現在フレームのブロックの動きベクトルは、前フレームの前にフレームが存在しなくても検出される。しかし、現在寄与大ブロックの動きベクトルが前もって検出されるとは限らない。現在寄与大ブロックの動きベクトルが前もって検出されるのは、対象のブロックに含まれる被写体が動く方向と、現在寄与大ブロックと対象のブロックとの走査順序(対象のブロックとなる順序)とが合致しているときのみである。
現在寄与大ブロックは1つに限らず、むしろ複数となるのが普通である。そして、いずれか1つでも現在寄与大ブロックの動きベクトルが前もって検出されていれば、動きベクトルの検出精度は高くなる。テニスボールの例を想定すれば明らかなように、現在寄与大ブロックは密集して存在することが多く、その存在位置は、対象のブロックから或る向きに進んだ位置となる。したがって、隣接遷移方向が一様の場合には、現在寄与大ブロックの動きベクトルが1つも前もって検出されない確率が高くなる。その結果、動きベクトルの検出精度が大きくばらついてしまう。
これに対し、上記の動きベクトル検出方法によれば、対象のブロックが第2ブロックへ移ってくる向きと、第2ブロックに隣接する第4ブロックへ移ってくる向きとが異なる。したがって、第1〜第4ブロックを含む領域で隣接遷移方向が一様ではなくなる。したがって、現在寄与大ブロックの動きベクトルが1つも前もって検出されない確率が低くなる。よって、動きベクトルの検出精度のばらつきが抑えられ、動きベクトルの検出精度が安定する。この効果は、特に、対象のブロックの動きベクトルの検出に用いられる動きベクトルが現在フレーム内のブロックの動きベクトルに限られる場合に顕著となる。また、上記の動きベクトル検出方法によれば、対象のブロックの動きベクトルの検出には、当該ブロックに隣接するブロックの既に検出された動きベクトルが用いられるから、正しい動きベクトルを効率よく検出することができる。
以上より、上記の動きベクトル検出方法によれば、安定した精度で効率よく動きベクトルを検出することができる。
動きベクトルの検出に隣接ブロックの既に検出された動きベクトルを用いる場合、あるブロックの動きベクトルが低い精度で検出されると、当該動きベクトルを用いる隣接ブロックの動きベクトルの検出に悪影響が及ぶ虞がある。この悪影響の及ぶ空間的および時間的な範囲は、検出精度が低いほど大きくなる。上記の動きベクトル検出方法によれば、現在寄与大ブロックの動きベクトルが1つも前もって検出されない確率を低くすること、すなわち動きベクトルの検出精度が著しく低下する確率を低くすることができるから、低い精度での動きベクトルの検出の悪影響が及ぶ空間的および時間的な範囲を狭くすることができる。この効果は、例えば、全てのブロックについて正しい動きベクトルが検出されるフレームが現れるまでに消費されるフレームの数の低減に結び付く。
走査方向を一様ではなくならせる手法としては、1枚のフレームに対して走査方向を異ならせて複数回の走査を行い、ブロック毎に、検出された複数の動きベクトルを合成して動きベクトルを求めることも考えられる。しかし、この手法では、行うべき検出の回数が著しく増えてしまう。これに対し、上記の動きベクトル検出方法によれば、1枚のフレームに対する走査の回数を1回とすることができるから、検出の回数を増やさずに済む。つまり、上記の動きベクトル検出方法には、現実的な演算量で済むという利点もある。
この画像処理装置によれば、上記の動きベクトル検出方法について述べた理由と同様の理由により、安定した精度で効率よく動きベクトルを検出すること、および全てのブロックについて正しい動きベクトルが検出されるフレームが現れるまでに消費されるフレームの数を少なくすることができる。また、この画像処理装置には、上記の動きベクトル検出方法について述べた理由と同様の理由に基づく利点、つまり現実的な演算量で済むという利点もある。以上より、この画像処理装置によれば、現実的な演算量で、補間画像の生成の開始から間もなく高品質の補間画像を生成することができる。
電気光学素子のうち、与えられた電気エネルギにより発光特性が変化する素子としては、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子や無機EL(Electro Luminescent)素子、フィールド・エミッション(FE)素子、表面導電型エミッション(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子、LED(Light Emitting Diode)素子など様々な発光素子を例示することができる。与えられた電気エネルギにより光の透過特性が変化する素子としては、液晶の画素や電気泳動ディスプレイの画素など様々な、電気的エネルギにより光の透過率が変化するライトバルブ画素を例示することができる。
この画像表示装置によれば、上記の画像処理装置を有するから、現実的な演算量で、補間画像の表示の開始から間もなく高品質の補間画像を表示することができる。
このプログラムによれば、上記の動きベクトル検出方法について述べた理由と同様の理由により、安定した精度で効率よく動きベクトルを検出すること、および全てのブロックについて正しい動きベクトルが検出されるフレームが現れるまでに消費されるフレームの数を少なくすることができる。また、このプログラムには、上記の動きベクトル検出方法について述べた理由と同様の理由に基づく利点、つまり現実的な演算量で済むという利点もある。以上より、このプログラムによれば、現実的な演算量で、補間画像の生成の開始から間もなく高品質の補間画像を生成することができる。
図1は本発明の各実施の形態に係る画像表示装置1(1A,1B)の構成を示す図である。画像表示装置1は、フレームレートが60Hzの低レート映像を入力し、この低レート映像をフレーム補間によってフレームレートが120Hzの高レート映像に変換して表示する装置であり、画像処理装置10(10A,10B)および電気光学装置20を備える。画像処理装置10は、低レート映像の映像データD1を入力し、映像データD1をフレーム補間により高レート映像の映像データD2に変換し、これを出力する。映像データD1およびD2のフレームは同一サイズである。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る動きベクトル演算回路14Aによる走査経路を示す図である。この図から明らかなように、本実施の形態では、フレームは6行7列のブロックに分割される。この図に示す走査経路は、フレーム内の全てのブロックを一筆で辿るように定められており、対象ブロックの遷移先のブロックは遷移元のブロックに必ず隣接している、また、この走査経路において、最初のブロック、第2行第7列のブロック、第3行第7列のブロック、第4行第1列のブロック、第5行第1列のブロックおよび最後のブロックを除く36個のブロックにおいて、対象ブロックが遷移してくる向きと遷移して行く向きとが異なっている。具体的には、これらのブロック上で走査経路が直角に折れ曲がっている。
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る動きベクトル演算回路14Bによる走査経路を示す図である。この図から明らかなように、ベクトル演算回路14Bによる走査経路は、偶数番目に現在フレームとなる偶数フレームと、奇数番目に現在フレームとなる奇数フレームとで異なる。偶数フレームでの走査経路は、第1の実施の形態に係るベクトル演算回路14Aによる走査経路と同一であるが、奇数フレームでの走査経路は、偶数フレームでの走査経路と逆向きになっている。以降、偶数フレームでの走査経路の向きを「順方向」、奇数フレームでの走査経路の向きを「逆方向」と呼ぶ。
次に、画像表示装置1を適用した電子機器について説明する。
図15は、上述した画像表示装置1を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、画像表示装置1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この画像表示装置1の表示パネル30は電気光学素子にOLED素子を利用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
Claims (8)
- 時間軸上に並んで映像を構成する複数のフレームの各々を複数のブロックに分割して順に走査しつつ、対象のブロックの動きベクトルを当該ブロックに隣接する他のブロックの既に検出された動きベクトルを用いて検出する方法であって、前記複数のフレームの各々では前記対象のブロックを或るブロックから別のブロックへ順に遷移させることにより当該フレームに対する走査を行う動きベクトル検出方法において、
前記対象のブロックを、第1ブロックから、当該ブロックに第1の向きで後続する第2ブロックへ遷移させるステップと、
前記対象のブロックを、第3ブロックから、当該ブロックに前記第1の向きと異なる第2の向きで後続し、前記第2ブロックに隣接する第4ブロックへ遷移させるステップとを有する、
ことを特徴とする動きベクトル検出方法。 - 前記対象のブロックの遷移は、前記走査が一筆で進むように行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の動きベクトル検出方法。 - 各フレームの分割は、ブロックを一列に並べて構成されるラインが複数列にわたって隣接するように行われ、
各フレームに対する走査は、前記第2ブロックおよび前記第4ブロックを通るように前記ラインを横切り、前記対象のブロックが前記第1の向きで遷移してくるブロックと前記第1の向きと異なる向きで遷移してくるブロックとが隣接して交互に並ぶ直線が存在するように行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の動きベクトル検出方法。 - 前記第1および第2ブロックは第1フレームのブロックであり、
前記第3および第4ブロックは前記第1フレームに隣接して後続する第2フレームのブロックであり、
各フレームに対する走査は、前記第2ブロックおよび前記第4ブロックを通るようにフレームを貫通し、前記対象のブロックが前記第1の向きで遷移してくるブロックと前記第1の向きと異なる向きで遷移してくるブロックとが隣接して交互に並ぶ直線が存在するように行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の動きベクトル検出方法。 - 前記第1ブロックと前記第4ブロックは同一のブロックである、
ことを特徴とする請求項1に記載の動きベクトル検出方法。 - 隣接するフレーム間の画像の動きを補う補間画像を生成する画像処理装置において、
時間軸上に並んで映像を構成する複数のフレームの各々を複数のブロックに分割して順に走査しつつ、対象のブロックの動きベクトルを当該ブロックに隣接する他のブロックの既に検出された動きベクトルを用いて検出する方法であって、前記複数のフレームの各々では前記対象のブロックを或るブロックから別のブロックへ順に遷移させることにより当該フレームに対する走査を行う検出回路と、
前記検出回路により検出された動きベクトルを用いて前記補間画像を生成する生成回路とを有し、
前記検出回路は、
前記対象のブロックを、第1ブロックから、当該ブロックに第1の向きで後続する第2ブロックへ遷移させる手段と、
前記対象のブロックを、第3ブロックから、当該ブロックに前記第1の向きと異なる第2の向きで後続し、前記第2ブロックに隣接する第4ブロックへ遷移させる手段とを有する、
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項6に記載の画像処理装置と、
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子が面状に配列された電気光学装置とを有し、
前記複数の電気光学素子の発光特性または光の透過特性を、前記画像処理装置により生成された前記補間画像に応じて変化させ、前記画像とともに当該補間画像を表示する、
ことを特徴とする画像表示装置。 - 隣接するフレーム間の画像の動きを補う補間画像を生成する画像処理装置に、
時間軸上に並んで映像を構成する複数のフレームの各々を複数のブロックに分割して順に走査しつつ、対象のブロックの動きベクトルを当該ブロックに隣接する他のブロックの既に検出された動きベクトルを用いて検出する方法であって、前記複数のフレームの各々では前記対象のブロックを或るブロックから別のブロックへ順に遷移させることにより当該フレームに対する走査を行う検出ステップと、
前記検出ステップで検出された動きベクトルを用いて前記補間画像を生成する生成ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記検出ステップは、
前記対象のブロックを、第1ブロックから、当該ブロックに第1の向きで後続する第2ブロックへ遷移させるステップと、
前記対象のブロックを、第3ブロックから、当該ブロックに前記第1の向きと異なる第2の向きで後続し、前記第2ブロックに隣接する第4ブロックへ遷移させるステップとを含む、
ことを特徴とするプログラム。
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