JP4348418B2 - 圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッド Download PDF

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淳 廣田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な変位を発生させることにより、各種デバイスの位置決めや加圧などに用いられる圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドに関し、特に広がり振動、伸び振動、厚みたて振動を利用したインクジェット記録ヘッドに好適に用いられる圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、圧電セラミックスを利用した製品としては、例えば圧電アクチュエータ、フィルタ、圧電共振子(発信子を含む)、超音波振動子、超音波モーター、圧電センサ等がある。これらの中で、圧電アクチュエータは、電気信号に対する応答速度が10-6秒台と非常に高速であるため、半導体製造装置のXYステージの位置決め用圧電アクチュエータやインクジェットプリンタの印刷ヘッドに用いられる圧電アクチュエータ等に応用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の個別電極がそれぞれ電気的に絶縁されて配列された複数の圧電セラミック層と、共通電極が形成された複数の圧電セラミック層とが交互に積層されて形成された圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドが提案されている。この圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッドにおいて、厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極はそれぞれ長尺状の形状であり、圧電アクチュエータの側面で電気的に接続されている(特許文献1の図5,6参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−225269号公報の図5,図6
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の圧電アクチュエータは、複数の個別電極を圧電アクチュエータの側面でのみ電気的に接続しているため、縦横に複数の個別電極を配置することができないので、個別電極を高集積化するのが困難であるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、個別電極を高集積化することができる圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッドは、以下の構成からなる。
(1) 複数の個別電極がそれぞれ電気的に絶縁されて配列された複数の圧電セラミック層と、共通電極が形成された複数の圧電セラミック層とが交互に積層されて形成された圧電アクチュエータであって、厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極がビア電極を介して電気的に接続され、前記共通電極には、該共通電極が前記ビア電極と電気的に絶縁されるように、前記ビア電極が形成されている位置に電極のない非電極部が設けられ、この非電極部の長さが、これと同方向の前記ビア電極の長さよりも20μm以上大きく、かつ前記個別電極は、圧電駆動に寄与する駆動部と、前記ビア電極に接続するために前記駆動部の一端から延設された非駆動部とを備え、前記非電極部が前記非駆動部と対向する位置に配置されているとともに、前記非駆動部における前記非電極部との対向部分の面積が、非駆動部の面積の50%以上であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
(2)前記複数の個別電極および前記共通電極のうち、最下層が前記共通電極であるとともに、該共通電極の前記ビア電極と厚み方向に重なる位置には、前記非電極部が設けられている(1)記載の圧電アクチュエータ。
) 前記非電極部が前記駆動部と実質的に対向していない位置に配置されている()または()記載の圧電アクチュエータ。
) 複数の前記圧電セラミック層に形成された各共通電極が、前記個別電極とは電気的に絶縁された部位において、共通電極用ビア電極を介して電気的に接続されている(1)〜()のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
) 前記(1)〜()のいずれかに記載の圧電アクチュエータを、インク吐出口を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【0008】
前記(1)に記載の圧電アクチュエータによれば、厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極間における電気的接続が、ビア電極を介して施されているので、従来のように圧電アクチュエータの側面に露出した箇所だけでなく、圧電アクチュエータ内部においても個別電極を厚み方向に接続することができる。これにより、圧電セラミック層の表面において縦横に多数の個別電極を設けて、個別電極を高集積化することができる。また、共通電極には、複数の個別電極を接続するビア電極が形成されている位置に、電極のない非電極部が設けられていることにより共通電極が上記ビア電極と電気的に絶縁されているので、複数の個別電極を接続するビア電極と、共通電極とが短絡(ショート)するのを防止することができる。しかも、非電極部の長さが、これと同方向のビア電極の長さよりも20μm以上大きいので、たとえ電極の印刷位置が少しずれた場合であっても、ビア電極と共通電極とが短絡するのを確実に防止することができる。ここで、「非電極部の長さ、ビア電極の長さ」とは、厚みを除く任意方向(縦方向、横方向)の寸法、円形の場合には径を意味するものである。
【0009】
前記(1)に記載の圧電アクチュエータによれば、非電極部が非駆動部と対向する位置に配置されているので、非駆動部直下の圧電セラミック層の不必要な圧電駆動を抑制することができる。これにより、駆動部と該駆動部直下の圧電セラミック層と共通電極とにより形成される圧電変位部の変位に対して非駆動部が与える影響を低減することができ、しかも隣接する圧電変位部に与える影響(いわゆるクロストーク)をも低減することができるので、圧電変位部の変位量が低下するのを抑制するとともに圧電変位部の変位を安定化することができる。
【0010】
前記()に記載の圧電アクチュエータによれば、非電極部が駆動部と実質的に対向していない位置に配置されているので、駆動部を効率的に圧電駆動に寄与させることができる。ここで、前記()に記載の「実質的に対向していない」とは、非電極部が駆動部の大部分または全領域と対向していないことを意味する。すなわち、非電極部を、圧電アクチュエータの厚み方向から駆動部が存在する平面に投影したときに、非電極部が駆動部の大部分または全領域と重なり合わないことをいう。
【0011】
前記()記載の圧電アクチュエータによれば、共通電極がビア電極を介して電気的に接続されているので、複数の個別電極を接続するビア電極を形成する際に、共通電極用ビア電極をも同時に形成することができる。これにより、共通電極を接続するために製造工程を別途増やす必要がなくなり、工程の簡略化、生産効率の向上、コストアップ防止等を図ることができる。
【0012】
前記()によれば、上記のような個別電極が高集積化された圧電アクチュエータを備えているので、縦横に多数配列され高集積化されたインク吐出孔を有するインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドについて図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は本実施形態の圧電アクチュエータを示す断面図であり、図2はその平面図である。また、図3は、該圧電アクチュエータを示す拡大断面図である。図1〜図3に示すように、圧電アクチュエータ11は、複数の個別電極12がそれぞれ電気的に絶縁されて配列された複数の圧電セラミック層13,13,13と、共通電極14が形成された複数の圧電セラミック層15,15,15とが交互に積層されて形成されている。最下層の圧電セラミック層15の下部には振動板19が積層されている。
【0015】
個別電極12は、圧電駆動に寄与する駆動部12aと、この駆動部12aの一端から延設された非駆動部12bとを備えている。厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極12は、上記した非駆動部12bにおいてビア電極17を介して電気的に接続されている。そして、最上層の非駆動部12bには、図示しない配線基板を介して振動電圧信号を供給するドライブ回路が接続されている。
【0016】
共通電極14には、複数の個別電極12を接続するビア電極17が形成されている位置に、電極のない非電極部14aが設けられている。これにより、共通電極14がビア電極17と電気的に絶縁されている。複数の共通電極14は、個別電極12とは電気的に絶縁された部位である圧電アクチュエータ11の端部において、共通電極用ビア電極18を介して電気的に接続されている。このビア電極18は、最上層の圧電セラミック層13に形成された引出電極20に電気的に接続され、さらにグランド電位に接続されている。これにより、個別電極12の駆動部12aと共通電極14との間に電圧を印加することができる。このようにして電圧を印加することにより、上記駆動部12aと、該駆動部12a直下の圧電セラミック層13と、共通電極14とにより形成された複数の圧電変位部を圧電振動させることができる。
【0017】
図4は共通電極14、非電極部14aおよびビア電極17の配置状態を示す概略図である。図4に示すように、非電極部14aの長さL1は、これと同方向のビア電極17の長さL2よりも20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40〜300μm大きくするのがよい。L1とL2との差(L1−L2)が20μm未満になると、共通電極14とビア電極17とが短絡するおそれがある。ビア電極17,18の長さは、非電極部14a、駆動部12a、引出電極20などの大きさに応じて設定すればよく、特に限定されないが、通常、100〜400μm、好ましくは150〜250μmであるのがよい。
【0018】
非電極部14aは、駆動部12aと実質的に対向していない位置、すなわち駆動部12aの大部分または全領域と対向していない位置に配置されているのがよい。具体的には、非電極部14aは、好ましくは駆動部12aの面積の70%以上を占める部分、より好ましくは駆動部12aの面積の90%以上を占める部分、さらに好ましくは駆動部12aの全領域と対向していない位置に配置されているのがよい。これにより、駆動部12aを効率的に圧電駆動に寄与させることができる。
【0019】
また、非電極部14aは、非駆動部12bと対向する位置に配置されている非駆動部12bにおける非電極部14aとの対向部分の面積が、非駆動部12bの面積の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。これにより、駆動部12aと、該駆動部12a直下の圧電セラミック層13と、共通電極14とにより形成されている圧電変位部の変位に対して、非駆動部12bが与える影響を低減することができる。しかも、非駆動部12bが隣接する圧電変位部に与える影響(クロストーク)をも低減することができる。
【0020】
圧電セラミック層13,15としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛化合物、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト結晶構造型の材料が好適に用いられる。これらの中でも、特にPbZrTiO3系化合物(PZT)が大きな変位を得られる点で好ましい。圧電セラミック層13,15の厚みは、特に限定されないが、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは8〜15μmであるのがよい。
【0021】
振動板19は、絶縁性の高いものであれば良いが、圧電体であること、特に圧電セラミック層13,15と略同一の熱膨張率を有するものであることが好ましく、圧電セラミック層13,15と略同一の組成であることがより好ましい。これにより、同時焼成が可能となり、熱膨張差に起因して焼成時に発生する熱応力によって反りや歪みが生じるのを防止することが容易となる。振動板19の厚みは、特に限定されないが、80μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20〜50μmであるのがよい。圧電アクチュエータ11の総厚みは400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは60〜150μmであるのがよい。
【0022】
また、圧電セラミック層13,15および振動板19は気孔率が1%以下、特に0.8%以下、更には0.5%以下であることが、インク等の液体の染み込みを効果的に防止でき、インク漏れを低減することができるので好ましい。
【0023】
個別電極12、共通電極14、ビア電極17,18および引出電極20の材質としては、導電性を有するものならばいずれでもよく、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Al、Rh、Ni系材料の単独または2種以上を組み合わせた合金などが用いられる。特に、共通電極14としてはAg−Pd系合金を使用するのが好ましく、個別電極12としては電気抵抗および耐食性に優れるという点でAuを使用するのが好ましい。なお、個別電極12の駆動部12aと非駆動部12bとは、同じ材質で同時に形成するのがよい。
【0024】
共通電極14の厚みは、導電性を有しかつ変位を妨げない程度であるのがよく、0.5〜8μm、好ましくは1〜3μmであるのがよい。個別電極12の厚みは0.3〜5μm、好ましくは0.5〜2μmであるのがよい。
【0025】
本発明における非電極部14aの材質は、個別電極12と共通電極14との間に電圧を印加した際に、非電極部14aの上下に位置する圧電セラミック層が圧電振動しない非電極材料であれば特に限定されない。例えば、非電極材料としては、アルミナ、窒化珪素などの絶縁材料や、チタン酸ジルコン酸鉛化合物、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などの圧電材料が挙げられる。特に、焼成時の収縮を均一にするという点で、非電極部14aを圧電セラミック層13,15と同一の圧電材料で形成するのが好ましい。
【0026】
次に、圧電アクチュエータ11の製造方法について説明する。まず、前記した圧電セラミックスの粉末を用いてグリーンシートを必要枚数形成した後、このグリーンシートにビア電極17,18用の貫通孔を形成する。
【0027】
ついで、貫通孔が形成されたグリーンシートにスクリーン印刷によりビア電極となる導体を充填するとともに、対応するグリーンシートに共通電極パターン、個別電極パターン、引出電極パターンをそれぞれ形成する。このとき、共通電極パターンには、図3に示す非駆動部12bに対向する位置に、非電極部14aを形成するための開口部を形成しておく。開口部を形成するには、共通電極パターンを形成するためのスクリーン製版における開口部に該当する個所に開口を設けずに共通電極ペーストを印刷すればよい。これにより、開口部に該当する箇所には、共通電極ペーストが印刷されない。
【0028】
ついで、上記のようにして得られた各グリーンシートを図1に示す構成となるように積層して積層体を作製する。得られた積層体には、電極のない非電極部14aが形成されている。この非電極部14aは、前記したように圧電材料などの非電極材料が充填されていてもよいが、特に圧電セラミック層13,15と同一の圧電材料が充填されているのが好ましい。非電極部14aに非電極材料を充填する方法としては、以下の2通りの方法を例示できる。
【0029】
第1の方法では、非電極部14aは、焼成後に圧電セラミック層13となる圧電材料が、前記開口部に入り込んで充填されることにより形成される。したがって、非電極部14aは圧電セラミック層13と連続した一体化物となる。
【0030】
第2の方法では、非電極部14aは、圧電セラミック層15の表面に共通電極パターンを形成した後、共通電極パターンとほぼ同じ厚みの非電極材料を前記開口部にスクリーン印刷などにより予め充填しておき、その後、各圧電セラミック層を積層する。
【0031】
上記のようにして得られた積層体を所定の形状に切断した後、900〜1100℃程度で焼成することにより圧電アクチュエータ11を得ることができる。
【0032】
次に、本発明のインクジェット記録ヘッドについて説明する。図5に示すインクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータ11を、インク吐出口52を有する複数のインク流路53が配列された流路部材51上に、インク流路53と個別電極12の駆動部12aとの位置を揃えて取り付けたものである。
【0033】
流路部材51は圧延法等によって得られ、インク吐出孔52およびインク流路53はエッチングにより所定の形状に加工されて設けられる。この流路部材51は、Fe−Cr系、Fe−Ni系、WC−TiC系の群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましく、特にインクに対する耐食性の優れた材質からなることが望ましく、Fe−Cr系がより好ましい。
【0034】
圧電アクチュエータ11と流路部材51とは、例えば接着層を介して積層接着することができる。接着層としては、周知のものを使用することができるが、圧電アクチュエータ11や流路部材51への影響を及ぼさないために、熱硬化温度が130〜250℃のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂系の接着剤を用いるのがよい。このような接着層を用いて熱硬化温度にまで加熱することによって、圧電アクチュエータ11と流路部材51とを加熱接合することができ、これによりインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
【0035】
<他の実施形態>
図6は、本発明の他の実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す断面図である。図6に示すように、この圧電アクチュエータ11’では、最下層の共通電極14’には非電極部が設けられていない。複数の個別電極12を接続するビア電極17は、最下層の共通電極14’までは延設されていないので、この共通電極14’には非電極部を設けなくても共通電極と個別電極とが短絡することはない。ただし、図1に示す圧電アクチュエータ11のように最下層の共通電極14にも、最上層および2層目の共通電極14と同様の位置に、非電極部14aを設けることによって、最下層においても非駆動部12b直下の圧電セラミック層13の不必要な圧電駆動を抑制することができる。
【0036】
なお、以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。
【0037】
例えば、駆動部、非駆動部、非電極部、ビア電極などの形状、圧電セラミック層、共通電極などの積層枚数等は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜調整すればよい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
実施例
Auからなる厚み1μmの個別電極が配列された、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする複数の圧電セラミック層と、Ag−Pd合金からなる厚み2μmの共通電極が形成された、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする複数の圧電セラミック層とを交互に積層した、図1に示すような構成の圧電アクチュエータ11を作製した(試料No.1〜8)。ビア電極17,18の材料としては、Ag−Pdを用い、引出電極20の材料としては、Auを用いた。
【0040】
図7は、試料No.1〜8の圧電アクチュエータ11に設けた個別電極12を示す平面図である。この個別電極12は、非駆動部12bの横の長さL3を250μm、縦の長さL4を800μmとした。また、ビア電極17の長さ(直径)L2は200μmとした。
【0041】
各試料の非電極部14aの長さは表1に示す値とした。試料No.1〜4の非電極部14aは平面形状を円形とし、試料No.5〜8の非電極部14aは平面形状を長方形とした。これらの長さを表1にそれぞれ示す。非駆動部12bにおける非電極部との対向部分が占める面積割合も表1に併せて示す。なお、この面積割合は、共通電極14を形成する際に、非電極部14aの形成位置を調節することによって変化させた。
【0042】
<性能確認試験>
各試料の共通電極14および個別電極12に電圧を印加して非電極部14aと個別電極12に接続されたビア電極17とが短絡(ショート)するか否か確認した。その結果、非電極部14aの長さがビア電極17の長さよりも20μm以上大きい試料3〜8では短絡することはなかったが、非電極部14aの長さとビア電極17の長さとの差が20μm未満の試料1,2では短絡した。
【0043】
次に、試料1〜8の共通電極14および個別電極12に電圧を印加したときの変位量をレーザードップラー振動計により測定した。なお、表1に示す変位量Aとは、変位量計測の対象である圧電変位部のみを駆動させたときの変位量であり、変位量Bとは、計測対象の圧電変位部だけでなく、その周囲に配置された8つの圧電変位部も同時に駆動させたときの変位量である。表1に示す変位量の低下率は、変位量Aと変位量Bとの差を変位量Aで割り100倍することにより算出した。その結果、各試料とも変位量の低下は比較的少ないが、特に、前記面積割合が50%以上であれば、変位量の低下は非常に少なく、クロストークの影響をより受けにくいことが確認できた。
【表1】
Figure 0004348418
【0044】
【発明の効果】
本発明の前記圧電アクチュエータによれば、厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極間における電気的接続がビア電極を介して施されているので、圧電セラミック層に多数の個別電極を設けて、個別電極を高集積化することができる。また、共通電極には、複数の個別電極を接続するビア電極が形成されている位置に、電極のない非電極部が設けられていることにより共通電極が上記ビア電極と電気的に絶縁されているので、複数の個別電極を接続するビア電極と、共通電極とが短絡(ショート)するのを防止することができる。しかも、非電極部の長さが、これと同方向のビア電極の長さよりも20μm以上大きいので、たとえ電極の印刷位置が少しずれた場合であっても、ビア電極と共通電極とが短絡するのを確実に防止することができる。これにより、高集積化された高品質の圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す平面図である。
【図3】図1の一部を拡大した拡大断面図である。
【図4】本発明の圧電アクチュエータにおける共通電極、非電極部およびビア電極の配置状態を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図7】実施例において作製した圧電アクチュエータにおける個別電極を示す平面図である。
【符号の説明】
11 圧電アクチュエータ
12 個別電極
12a 駆動部
12b 非駆動部
13 圧電セラミック層
14 共通電極
14a 非電極部
15 圧電セラミック層
17 ビア電極
18 共通電極用ビア電極
19 振動板
20 引出電極

Claims (5)

  1. 複数の個別電極がそれぞれ電気的に絶縁されて配列された複数の圧電セラミック層と、共通電極が形成された複数の圧電セラミック層とが交互に積層されて形成された圧電アクチュエータであって、
    厚み方向に略同一の位置に配置された複数の個別電極がビア電極を介して電気的に接続され、前記共通電極には、該共通電極が前記ビア電極と電気的に絶縁されるように、前記ビア電極が形成されている位置に電極のない非電極部が設けられ、この非電極部の長さが、これと同方向の前記ビア電極の長さよりも20μm以上大きく、かつ前記個別電極は、圧電駆動に寄与する駆動部と、前記ビア電極に接続するために前記駆動部の一端から延設された非駆動部とを備え、前記非電極部が前記非駆動部と対向する位置に配置されているとともに、前記非駆動部における前記非電極部との対向部分の面積が、非駆動部の面積の50%以上であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記複数の個別電極および前記共通電極のうち、最下層が前記共通電極であるとともに、該共通電極の前記ビア電極と厚み方向に重なる位置には、前記非電極部が設けられている請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記非電極部が前記駆動部と実質的に対向していない位置に配置されている請求項または記載の圧電アクチュエータ。
  4. 複数の前記圧電セラミック層に形成された各共通電極が、前記個別電極とは電気的に絶縁された部位において、共通電極用ビア電極を介して電気的に接続されている請求項1〜のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の圧電アクチュエータを、インク吐出口を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
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