JP4348027B2 - 混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法 - Google Patents

混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス混焼式石炭焚きボイラの火炉のような混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば製鉄所に設置されている自家発電設備のボイラ火炉においては、安価な石炭をベースとし、転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスなどの副生ガスを混焼する方式が採用されている。このような石炭−ガスの混焼炉では、排ガス中の酸素濃度を測定し、その値が設定値に保たれるようバーナに供給される全体空気量を制御する燃焼制御が行なわれている。
【0003】
この混焼炉で発生するフライアッシュは、セメント会社等に有料で引き取られているため、処理コストの削減のためにはフライアッシュの発生量を抑制することが好ましい。従って製鉄所としてはできるだけ低灰分の石炭を使用することにより、フライアッシュの発生量を抑制することが望まれる。
【0004】
しかし図2に示すように、石炭中の灰分を低下させて行くと、フライアッシュ中の未燃カーボン含有率が増加して行く。これは未燃カーボン含有率を算出する際に分母となるフライアッシュの絶対量が小さくなるためである。セメント会社等では、未燃カーボン含有率が多いフライアッシュはキルン手前のプレヒータ内で焼き付くおそれがあることから、引き取り条件としてフライアッシュ中の未燃カーボン含有率を15%未満としている。このため、従来はこの引き取り条件を守るために、図2に示すように石炭中の灰分を9%までしか低下させることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、低灰分の石炭を使用してもフライアッシュ中の未燃カーボン含有率を低く抑えることができる混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためには、未燃カーボンの発生量自体を減少させねばならない。本発明者はこの課題を解決するために検討した結果、ガス混焼率がゼロである石炭専焼炉では混焼炉に比較して未燃カーボンの発生量が少ないことに着目し、ガス混焼率が増加した場合における石炭バーナの燃焼性を改善することがこの課題を解決するために必要であることを見出した。
【0007】
このようにしてなされた本発明は、石炭バーナとガスバーナとを備えた混焼炉の排ガス中酸素濃度がガス混焼率に応じて決定される設定値に保たれるようバーナに供給される全体空気量を制御しながら、ガス混焼率の増加につれて石炭バーナへの空気配分がより大きくなるよう、石炭バーナとガスバーナとの空気配分比を変えつつ燃焼を行なわせることを特徴とするものである。なお、空気配分比の変更を、石炭バーナ前ダンパとガスバーナ前ダンパとの開度調整により行なうことが好ましい。また混焼炉として、ガス混焼式石炭焚きボイラの火炉を挙げることができる。
【0008】
一般にガスバーナは石炭バーナよりも必要空気量が少ないため、従来のようにこの制御のみを行なうとガス混焼率の増加に連れて全体空気量が減少し、特に石炭バーナの燃焼性が低下するものと考えられる。しかし本発明によれば、ガス混焼率の増加につれて石炭バーナへの空気配分がより大きくなるよう、石炭バーナとガスバーナとの空気配分比を変えつつ燃焼を行なわせるため、石炭バーナの燃焼性が改善され、未燃カーボンの発生量が減少する。その結果、低灰分の石炭を使用してもフライアッシュ中の未燃カーボン含有率を低く抑えることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に図1を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において1は混焼炉であり、この実施形態ではガス混焼式石炭焚きボイラの火炉である。この混焼炉1には石炭バーナ2とガスバーナ3とが適当数ずつ設けられているとともに、空気供給口4が設けられている。ファン5から供給される燃焼用の空気はこれらの各バーナ2,3及び空気供給口4に送られている。また石炭供給源6から供給される石炭は石炭バーナ2に、ガス供給源7から供給される転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスなどの副生ガスガスバーナ3にそれぞれ送られている。
【0010】
混焼炉1の排ガス出口8には酸素センサ9が設置されており、排ガス中酸素濃度を常に測定している。そしてその測定値が設定値に保たれるようバルブ10を開閉し、各バーナ2,3及び空気供給口4に供給される全体空気量を制御している。排ガス中酸素濃度の設定値はガス混焼率に応じて決定されるものであり、石炭専焼の場合(ガス混焼率=0)には例えば3.3%、ガス専焼の場合(ガス混焼率=100)には例えば1.3%である。従ってガス混焼率が50%の場合には、2.3%に設定される。このようにガス混焼率が増加すると排ガス中酸素濃度の設定値を下げるのは、ガスの方が石炭よりも燃焼性が良いためである。なお、空気供給量を増して排ガス中酸素濃度を必要以上に高めることは、高温の排ガスによる持ち出し熱量の増加を招くので好ましくない。
【0011】
以上の構成は従来と同様であるが、本発明では石炭供給源6から供給される石炭の総量と、ガス供給源7から供給されるガスの総量とをそれぞれ流量計11,12により測定してガス混焼率を常に演算し、それによって石炭バーナ2とガスバーナ3とに供給される空気配分比を変える。
【0012】
すなわち、ガス混焼率が増加につれて石炭バーナ2への空気配分がより大きくなるよう、石炭バーナ前ダンパ13の開度を大きくし、同時にガスバーナ前ダンパ14の開度を小さくする。図1ではこの制御内容を+k,-kとして示した。実際の流量は流量センサ15,16により測定され、フィードバック制御が行なわれる。このようにして、ガス混焼率が増加につれて石炭バーナ2への空気配分がより大きくなるよう、逆にガスバーナ3への空気配分がより小さくなるように空気配分比を変えつつ燃焼を行なわせる。
【0013】
この結果、ガス混焼率が増加した場合には全体空気量は減少するが、空気配分比の変更により各石炭バーナ2への空気供給量は減少しない。従って、各石炭バーナ2では石炭専焼の場合と同様に良好な燃焼条件が確保され、未燃カーボンの発生が抑制される。その具体的な数値は個々の混焼炉1の特性に左右されるため、実際に応じて修正すべきである。
【0014】
上記のように、本発明によれば混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボンの発生量自体が抑制できるので、低灰分の石炭を使用した場合にもフライアッシュ中の未燃カーボン含有率を15%以下に低く抑えることが可能となる。すなわち、図2に示したように混焼炉における未燃カーボン含有率のカーブを、燃焼条件の改善によって石炭専焼炉における未燃カーボン含有率のカーブに近付けることができ、従来は石炭中の灰分を9%までしか低下させることができなかったのに対し、本発明によれば6%にまで低下させることが可能となった。その結果、フライアッシュの発生量を従来の2/3とすることができ、フライアッシュ処理コストの大幅な削減が可能となる。
【0015】
【実施例】
図1に示したガス混焼式石炭焚きボイラの火炉において、ガス混焼率を0%から50%にまで変化させて、フライアッシュ中の未燃カーボン含有率を測定した。ガス混焼率0%の場合には排ガス中酸素濃度を3.3%と設定し、ガス混焼率50%の場合には排ガス中酸素濃度を2.3%と設定して全体空気量を制御した。なお使用した石炭は灰分が6%のものである。
【0016】
従来のように石炭バーナ2とガスバーナ3との空気配分比を固定したまま燃焼させた場合には、ガス混焼率が0%のときのフライアッシュ中の未燃カーボン含有率は15%であったが、ガス混焼率50%の場合には未燃カーボン含有率は24%となり、セメント会社の引き取り条件である15%を超過した。
【0017】
これに対して本発明により石炭バーナ2とガスバーナ3との空気配分比を変え、石炭バーナ2への空気配分を増加させた場合には、ガス混焼率が50%の場合にも未燃カーボン含有率は15%にとどまり、セメント会社の引き取り条件である15%を超過することはなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によればガス混焼率に応じて決定される設定値に保たれるようバーナに供給される全体空気量を制御しながら、ガス混焼率に応じて石炭バーナとガスバーナとの空気配分比を変えつつ燃焼を行なわせることにより、未燃カーボンの発生量を抑制できるので、低灰分の石炭を使用してもフライアッシュ中の未燃カーボン含有率を低く抑えることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明する制御系統図である。
【図2】石炭中の灰分とフライアッシュ中の未燃カーボン含有率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 混焼炉
2 石炭バーナ
3 ガスバーナ
4 空気供給口
5 ファン
6 石炭供給源
7 ガス供給源
8 混焼炉の排ガス出口
9 酸素センサ
10 バルブ
11 流量計
12 流量計
13 石炭バーナ前ダンパ
14 ガスバーナ前ダンパ
15 流量センサ
16 流量センサ

Claims (3)

  1. 石炭バーナとガスバーナとを備えた混焼炉の排ガス中酸素濃度がガス混焼率に応じて決定される設定値に保たれるようバーナに供給される全体空気量を制御しながら、ガス混焼率の増加につれて石炭バーナへの空気配分がより大きくなるよう、石炭バーナとガスバーナとの空気配分比を変えつつ燃焼を行なわせることを特徴とする混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法。
  2. 空気配分比の変更を、石炭バーナ前ダンパとガスバーナ前ダンパとの開度調整により行なう請求項1記載のフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法。
  3. 混焼炉が、ガス混焼式石炭焚きボイラの火炉である請求項1記載の混焼炉におけるフライアッシュ中の未燃カーボン制御方法。
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