JP4348000B2 - 潤滑油用基油 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエーテル系潤滑油用基油に関する。さらに詳しくは、水溶性、潤滑性に優れたポリエーテル系潤滑油用基油に関する。
【0002】
【従来の技術】
切削油、摺動面潤滑油、圧延油、引き抜き油、プレス油、鍛造油、アルミディスクおよびシリコンウエハの研磨、切断などの加工に用いる金属加工油、並びに水−グリコール系作動油等の水系潤滑油に用いられる基油は、水溶性、潤滑性が要求される。従来、水系潤滑油の基油としては、ポリエーテル系基油が用いられてきた。
しかしながら水溶性が良好とされる多くのポリエーテル系基油は潤滑性が不足している。また、多くのポリエーテル系基油は、熱や酸素により、劣化しやすい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は水溶性、潤滑性および熱安定性に優れた潤滑油用基油を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表され、HLBが8.5以上であり、かつ重量平均分子量が500〜10,000であるポリエーテル(E)を含有する水系潤滑油用基油;ならびにこの水系潤滑油用基油と、水、酸化防止剤、極圧添加剤、防錆剤、消泡剤、乳化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなる潤滑油組成物である。
R1−[{(O−CH2CH2CH2CH2)m/(O−A)n}−OR2]p (1)
[式中R1は炭素数1〜24の1〜3価の炭化水素基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Aは1,4−ブチレン基を除く炭素数1〜4のアルキレン基から選ばれる1種以上であり、pは1〜3の整数、mおよびnは(E)の重量平均分子量が500〜10,000を満たす1以上の整数であり、複数ある場合は同じでも異なっていてもよい。{(O−CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 ) m /(O−A) n }の部分は、オキシテトラメチレン基(O−CH2CH2CH2CH2基)とオキシアルキレン基(O−A基)のランダム結合部分を有する。]
【0005】
【発明の実施の形態】
前記一般式(1)におけるR1は炭素数1〜24の1〜3価の炭化水素基であり、直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基が挙げられる。
炭素数が25以上であると水溶性が悪くなる。
直鎖もしくは分岐の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、n−およびi−のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、へプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基およびテトラコシル基、ならびに2−エチルヘキシル基など);cis−もしくはtrans−の不飽和炭化水素基(アルケニル基もしくはアルキニル基、例えば、エテニル基、1−、2−およびiso−プロペニル基、ブテニル基、ペンチニル基、ヘキセニル基、ペプテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基など)などが挙げられる。
【0006】
直鎖もしくは分岐の2価の脂肪族炭化水素基としては脂肪族ジオールから2個の水酸基を除いた残基が挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−および1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオールなど)、不飽和脂肪族ジオール(2−ブテン−1,4−ジオール、3−メチル−3−ブテン−1,2−ジオールなど)などが挙げられる。
【0007】
直鎖もしくは分岐の3価の脂肪族炭化水素基としては脂肪族トリオールから3個の水酸基を除いた残基が挙げられる。
脂肪族トリオールとしては、例えば、飽和脂肪族トリオール(グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなど)、不飽和脂肪族トリオール(2−ヘキセン−1,4,5−トリオール、3−ヘキセン−1,2,5−トリオールなど)などが挙げられる。
【0008】
1価の芳香族炭化水素基としては炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、アルキルアリール基(o−、m−またはp−メチルフェニル基、m−またはp−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、o−、m−またはp−エチルフェニル基、p−n−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基およびp−ノニルフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基およびフェネチル基など)、置換アラルキル基(o−、m−またはp−メチルベンジル基、p−n−ブチルフェネチル基など)、スチリルフェニル基(モノおよびジスチリルフェニル基など)およびベンジルフェニル基(モノおよびジベンジルフェニル基など)などが挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては炭素数6〜24の2価フェノールから2個の水酸基を除いた残基が挙げられる。
2価フェノールとしては、例えば、単環ジオール(カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFなど)などが挙げられる。
3価の芳香族炭化水素基としては炭素数6〜24の3価フェノールから3個の水酸基を除いた残基が挙げられる。
3価フェノールとしては、例えば、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
【0009】
脂環式炭化水素基としては、1〜3価の脂環式アルコールからすべての水酸基を除いた残基が挙げられる。
1〜3価の脂環式アルコールとしては、例えばモノオール(シクロペンタノール、シクロヘキサノールなど)、ジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなど)、トリオール(1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリメタノールなど)などが挙げられる。
【0010】
これらのうち好ましいのは、炭素数1〜20の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、さらに炭素数1〜13の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、特に脂肪族炭化水素基である。
【0011】
前記一般式(1)におけるR2は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−およびiso−プロピル基、n−、iso−、sec−およびtert−ブチル基が挙げられる。これらのうち好ましいのは炭素数3以下のものであり、さらに好ましくはエチル基およびn−プロピル基、および特にメチル基である。
炭素数が5以上であると水溶性が悪くなる。
【0012】
一般式(1)におけるAは1,4−ブチレン基を除く炭素数1〜4のアルキレン基から選ばれる1種以上である。
該アルキレン基としては、炭素数が1〜4、好ましくは2〜4のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、1,2−および1,3−プロピレン基、1,2−、2,3−、1,3−およびiso−ブチレン基が挙げられる。これらのうち好ましいのは1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、および特にエチレン基である。
一般式(1)におけるpは1〜3の整数であり、R1の価数に相当する。好ましいのは1または2である。
【0013】
本発明における(E)のHLB値は、通常8.5以上である。好ましくは9〜17であり、さらに好ましくは10〜15である。(E)のHLB値が8.5より小さいと水溶性が悪くなる。
なお、HLB値は有機概念図に基づく小田式による値であり、その計算方法は、例えば「乳化・可溶化の技術」〔昭和51年、工学図書(株)〕に記載されている。またHLB値を導き出すための有機性値および無機性値については「有機概念図−基礎と応用−」〔昭和59年 三共出版(株)〕記載の無機性基表(昭和49年、藤田らの報告値)を用いて算出できる。
【0014】
(E)の重量平均分子量(Mw)[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による。以下も同様とする。]は、500〜10,000であり、好ましくは600〜6,000、さらに好ましくは700〜5,000である。500未満では潤滑性が不良であり、10,000を超えると動粘度が高くなりすぎる。
【0015】
一般式(1)におけるmおよびnは、上記の(E)の分子量を満たす範囲の1以上の整数であればよいが、潤滑性、水溶性の点から、ポリオキシアルキレン鎖[(O−CH2CH2CH2CH2)mと(O−A)nの合計]中のオキシテトラメチレン基(O−CH2CH2CH2CH2基)の含量が5〜45モル%、特に10〜40モル%となる値であるのが好ましい。
【0016】
また、(E)がオキシテトラメチレン基(O−CH2CH2CH2CH2基)と他のオキシアルキレン基(O−A基)のランダム結合部分を有することが低温での流動特性が優れるという点で好ましい。(E)を構成するオキシテトラメチレン基の内、80質量%以上がランダム結合部分に存在するのが好ましい。
【0017】
本発明のポリエーテル系潤滑油は(E)を必須成分とするが、他のポリエーテル[一般式(1)におけるR1、R2のうちの1つ、あるいは両方が水素原子であるポリエーテル等]を含有していてもよい。その含有量は20質量%以下が好ましい。
【0018】
(E)の好ましいものとしては、例えば下記一般式(2)で示されるものが挙げられる。
R1−[{(O−CH2CH2CH2CH2)m/(O−A1)n}−OR2]p (2)
R1、R2、p、m、nは一般式(1)におけるものと同じ、A1は1,4−ブチレン基以外の炭素数2〜4のアルキレン基である。
これはR1[−OH]pで示される1〜3価のアルコールもしくはフェノール(e)に触媒の存在下でテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)および1種または2種以上のTHF以外の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(以下、A1Oと略記)を付加し(ランダムおよび/またはブロック付加)、得られたポリエーテル(b)の末端の水酸基をアルキルエーテル化して製造できる。
付加するA1Oとしては、例えば、エチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド等が挙げられる。これらのうち好ましいのはPO、1,2−ブチレンオキシド、および特にEOである。これらは併用してもよく、重合形式はランダムでもブロックでもよい。
THFの付加モル数(p個のmの合計)は1〜100、A1Oの付加モル数(p個のnの合計)は、5〜150が好ましい。
【0019】
THFを単独付加あるいはA1Oと付加共重合する場合の触媒としては例えば、BF3、BCl3、AlCl3、FeCl3、SnCl3等のルイス酸、およびそれらの錯体[例えばBF3エーテル錯体、BF3テトラヒドロフラン錯体(BF3・THF)];H2SO4、HClO4等のプロトン酸;KClO4、NaClO4等のアルカリ金属の過塩素酸塩;Ca(ClO4)2、Mg(ClO4)2等のアルカリ土類金属の過塩素酸塩;Al(ClO4)3等の前記以外の金属の過塩素酸塩等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、BF3エーテル錯体およびBF3テトラヒドロフラン錯体(BF3・THF)である。
A1Oを単独付加する場合の触媒としては、通常用いられる公知の触媒でよく、上記の触媒のほかアルカリ触媒、例えば、水酸化物[KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH)2等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物等];酸化物(K2O 、CaO、BaO等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物等);アルカリ金属(Na、K等)、およびその水素化物(NaH、KH等);トリエチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類等が挙げられる。これらのうち好ましくはKOH、NaOH、CsOH、BF3エーテル錯体およびBF3テトラヒドロフラン錯体(BF3・THF)である。
【0020】
上記アルキルエーテルは、(b)をアルカリ(KOH、NaOHおよびCsOH等のアルカリ金属の水酸化物等)の存在下にハロゲン化アルキル(炭素数1〜4)と反応させることで製造できる。炭素数1〜4のアルキル基は前記R2と同じものである。
ハロゲン化アルキルの量は、(b)の水酸基に対し当量比で1/1〜5/1、特に1.2/1〜4/1が好ましい。
アルカリの添加量は、(b)の水酸基に対し当量比で1/1〜10/1、特に1.2/1〜5/1が好ましい。
(E)の他の例には、一般式(3)で示されるものが含まれる。
【0021】
【化1】
【0022】
[式中A1、R1、R2およびpは一般式(1)、(2)におけると同じ、A2は炭素数1〜4のアルキレン基、m1およびm2は式m1+m2=mを満たす0または1以上の整数、n1およびn2は式n1+n2=n−1を満たす0または1以上の整数を表す。]
一般式(3)で示される(E)は、式R1[{(O−CH2CH2CH2CH2)m1/(O−A1)n1}OH]pで示される1〜3価のアルコール(e1)(R1[OH]pまたはそのTHFおよび/またはA1O付加物)と式R2{(O−CH2CH2CH2CH2)m2/(O−A1)n2}OHで示されるモノオール(e2)(R2OHまたはそのTHFおよび/またはA1O付加物)[(e1)と(e2)は同一でも異なっていてもよい]をアルカリの存在下に炭素数1〜4のジハロアルカンと反応させてエーテル化(ジョイント)することにより製造することができる。
A1O付加および/またはTHF付加に用いる触媒およびエーテル化に用いるアルカリは上記と同様のものが使用できる。
上記ジハロアルカンとしては、例えばジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、1,2−および1,3−ジクロルプロパン、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ジクロルブタン、およびこれらに相当するジブロムアルカンが挙げられる。ジハロアルカン/[(e1)および(e2)の水酸基の合計]の当量比は、0.5/1〜0.4/1が好ましい。
【0023】
本発明の潤滑油用基油は、潤滑性が良好であり単独でも使用可能であるが、必要により、酸化防止剤、極圧添加剤、防錆剤、消泡剤および乳化剤などの添加剤を加え、水で希釈して、エマルション型、ソリュブル型およびソリューション型の潤滑油組成物として使用することができる。これらの添加剤は2種以上を併用してもよい。
【0024】
酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤〔例えば2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチルメタクレゾール)等〕;アミン系酸化防止剤(例えばフェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等);ジアルキル(炭素数1〜36)ジチオリン酸亜鉛;ジアリル(炭素数2〜36)ジチオリン酸亜鉛;有機硫化物;有機セレナイド等が挙げられる。
【0025】
極圧添加剤としては鉛石けん(ナフテン酸鉛等);硫黄化合物(硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、硫化脂肪酸エステル、硫化スパーム油、硫化テルペン、ジベンジルダイサルファイド、炭素数8〜24のアルキルチオプロピオン酸のアミン塩またはアルカリ金属塩、炭素数8〜24のアルキルチオグリコール酸のアミン塩またはアルカリ金属塩等);塩素化合物(塩素化ステアリン酸、塩素化パラフィン、クロロナフサザンテート等);リン化合物(トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスファイト、n−ブチルジ−n−オクチルホスフィネート、ジ−n−ブチルジヘキシルホスホネート、ジ−n−ブチルフェニルホスホネート、ジブチルホスホロアミデート、アミンジブチルホスフェート等)が挙げられる。
【0026】
防錆剤としては例えば、炭素数2〜36の有機アミン(脂肪族アミン、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン;脂環式アミン、例えばシクロヘキシルアミン;複素環式アミン、例えばモルホリン;アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−ジメチルアミノエタノールアミン、イソプロパノールアミン;など);有機アミンのアルキレンオキサイド(アルキレン基の炭素数2〜4)付加体(上記アミンのPOもしくはEO1〜10モル付加物など);炭素数6〜36の脂肪族カルボン酸とそのアミド(カプリル酸、ラウリル酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、オレイルアミドなど);炭素数6〜24の二塩基酸(アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸など);炭素数6〜36のアルケニルコハク酸とそのアミド(オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸アミドなど);芳香族カルボン酸(安息香酸、p−tertブチル安息香酸、ニトロ安息香酸など);これらのカルボン酸のアミン塩またはアルカリ金属塩(カプリル酸セシウム、セバシン酸カリウムなど);シクロヘキシルアミンナイトライト、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、アリザリンなどが挙げられる。なお、炭素数6〜36の脂肪族カルボン酸とそのアミドおよび炭素数6〜36のアルケニルコハク酸とそのアミドは、油性向上剤としての機能も有する。
【0027】
消泡剤としてはポリオルガノシロキサン(例えばポリジメチルシロキサン等)等が挙げられる。
【0028】
乳化剤としては、ポリオキシエチレン(重合度4〜20)モノアルキルエーテル(アルキル基の炭素数8〜22)などのノニオン界面活性剤;石油スルフォネート、アルキル(炭素数5〜36)ベンゼンスルフォン酸アルカリ金属塩などのようなアニオン活性剤が挙げられる。
【0029】
本発明の潤滑油組成物中、(E)からなる潤滑油用基油の含量は、好ましくは5〜90質量%、さらに好ましくは10〜50質量%である。
水の含量は、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。
酸化防止剤を使用する場合の含量は、好ましくは0.0001〜2質量%、特に0.001〜1%である。
極圧添加剤を使用する場合の含量は、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
防錆剤を使用する場合の含量は、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは5〜20質量%である。
消泡剤を使用する場合の含量は、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは10〜500ppmである。
乳化剤を使用する場合の含量は、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0030】
本発明の潤滑油用基油または潤滑油組成物は、切削油、摺動面潤滑油、圧延油、引き抜き油、プレス油、鍛造油、アルミディスクおよびシリコンウエハの研磨、切断などの加工に用いる金属加工油、並びに水−グリコール系作動油等の潤滑油に用いられる基油として好適に用いることができる。
【0031】
本発明の潤滑油用基油または潤滑油組成物は、金属加工油および潤滑剤として使用する場合、必要により水で希釈(例えば、質量基準で10〜100倍)して使用する。特に(E)の含量が0.5〜3質量%(特に1〜2質量%)、防錆剤の含量が0.2〜2質量%(特に0.5〜1質量%)となるように希釈して用いるのが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、文中の部は質量部を表す。
(1)水溶性
水溶性は、基油の2%水溶液の25℃における外観を観察することにより、外観が均一透明であれば、水溶性○、それ以外であれば×と判断した。
(2)潤滑性
潤滑性は振動摩擦摩耗試験機(オプチモール社製 SRV試験器)を用い、鋼球と平面の鋼円盤との点接触(荷重200N、300N)における摩擦係数および鋼球上の摩耗痕径を観察することにより、評価した。試験条件を下記に示す。
<潤滑性試験条件>
振幅:2mm
振動数:50Hz
温度:30℃
時間:10分間
摩擦係数:時間10分間の平均
油膜切れ:摩擦係数(μ)が立ち上がる状態を見た。
○:なし(μ安定)、△:あり(μやや変動)、×:あり(μ変動大)
摩耗痕:10mm鋼球(SUJ−2)の摩耗直径(mm)
(3)熱安定性
熱安定性は、鉄、アルミ、銅存在下、175℃で5日間保持した後の試料油の外観を観察することにより、評価した。外観が試験前後で変化がなければ熱安定性○、試験前後で変色、凝集等の変化があれば変化ありと判断した。
【0033】
製造例1
ガラス製オートクレーブにメタノール64部(2モル)とKOH0.6部を仕を仕込み、耐圧滴下ロートからPO522部(9モル)を110℃で10時間かけて滴下した。その後、130℃で7時間反応させ、冷却した。冷却後、吸着処理剤〔協和化学工業(株)製キョーワード600およびキョーワード1000。以下同様とする。〕で処理し、濾過し、減圧脱水後、メタノールのPO4.5モル付加物を得た。ガラス製オートクレーブに得られたメタノールPO4.5モル付加物のうち293部とTHF483.2部(6.7モル)およびBF3・THFを18.4部仕込み、耐圧滴下ロートからEO1936部(44モル)を35〜50℃で5時間かけて滴下した。
その後、50℃で5時間反応させ、さらにPO290部(5モル)を50℃で5時間かけて滴下し、冷却した。さらに、粉末状NaOH80部(2モル)を加え、80℃で塩化メチル60.6部(1.2モル)を滴下した。その後、減圧(圧力1〜50mmHg。以下の例の減圧度も同様である。)として未反応の塩化メチルを除去し、過剰のNaOHと生成した塩を水洗により分液除去した。有機層を吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、メタノールのPO4.5モルブロック・THF6.7モル/EO44モルランダム・PO5モルブロック付加物の末端メチルエーテル化物2700部(E1)を得た。
【0034】
製造例2
ガラス製オートクレーブにイソトリデカノール[協和発酵工業(株)製トリデカノール。]200部(1モル)とTHF940.3部(13.1モル)およびBF3・THFを15.7部仕込み、耐圧滴下ロートからEO1320部(30モル)を35〜50℃で10時間かけて滴下した。その後、50℃で5時間反応させ、冷却した。さらに、粉末状NaOH80部(2モル)を加え、80℃で塩化メチル60.6部(1.2モル)を滴下した。その後、減圧として未反応の塩化メチルを除去し、過剰のNaOHと生成した塩を水洗により分液除去した。有機層を吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、イソトリデカノールのTHF13.1モル/EO30モルランダム付加物の末端メチルエーテル化物2200部(E2)を得た。
【0035】
製造例3
ガラス製オートクレーブに2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール146部(1モル)とTHF1008部(14モル)およびBF3・THFを15.8部仕込み、耐圧滴下ロートからEO1320部(30モル)を35〜50℃で10時間かけて滴下した。その後、50℃で5時間反応させ、冷却した。さらに、粉末状NaOH160部(4モル)を加え、80℃で塩化メチル121.2部(2.4モル)を滴下した。その後、減圧として未反応の塩化メチルを除去し、過剰のNaOHと生成した塩を水洗により分液除去した。有機層を吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、2,2,4−トリメチルペンタンジオールのTHF14モル/EO30モルランダム付加物の末端メチルエーテル化物1300部(E3)を得た。
【0036】
比較製造例1
ガラス製オートクレーブに1,4−ブタンジオール25部(0.277モル)とTHF811.1部(11.3モル)およびBF3・THFを6.2部仕込み、耐圧滴下ロートからEO154.2部(3.5モル)を35〜50℃で10時間かけて滴下した。その後、50℃で5時間反応させ、冷却した。さらに48%NaOH水溶液を3.6部添加した後、減圧下、80℃まで昇温し、未反応THFを回収した。さらに、吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水した。得られた上記反応生成物の内810部と水酸化カリウム1.5部をガラス製オートクレーブに仕込み、耐圧滴下ロートからEO188.8部(4.3モル)を105℃で10時間かけて滴下した。その後、130℃で5時間反応させ、冷却した。さらに粉末状NaOH69.6部(1.74モル)を加え、80℃で塩化メチル52.7部(1.04モル)を滴下した。その後、減圧(圧力1〜50mmHg。以下の例の減圧度も同様である。)として未反応の塩化メチルを除去し、過剰のNaOHと生成した塩を水洗により分液除去した。有機層を吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、1,4−ブタンジオールのTHF19.8モル/EO19.9モルランダム・ブロック付加物の末端メチルエーテル化物930部(E’1)を得た。
【0037】
比較製造例2
ガラス製オートクレーブにn−ブタノール74部(1モル)とKOH4.8部を仕込み、耐圧滴下ロートからEO915.2部(20.8モル)とPO916.4部(15.8モル)の混合物を110℃で15時間かけて滴下した。その後、130℃で10時間反応させ、冷却した。冷却後、吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、n−ブタノールのEO20.8モル/PO15.8モルランダム付加物1810部(E’2)を得た。
【0038】
比較製造例3
ガラス製オートクレーブにn−ブタノール74部(1モル)とKOH3.4部を仕込み、耐圧滴下ロートからPO1281.8部(22.1モル)を110℃で15時間かけて滴下した。その後、130℃で10時間反応させ、冷却した。冷却後、吸着処理剤で処理し、濾過し、減圧脱水後、n−ブタノールのPO22.1モル付加物1290部(E’3)を得た。
【0039】
実施例1〜3、比較例1〜3
(E1)〜(E3)を実施例1〜3、(E’1)〜(E’3)を比較例1〜3の潤滑油用基油とした。
Mw、HLB、200N(原液および20質量%水溶液)、300Nの荷重下における油膜切れ、摩擦係数および摩耗痕径、熱安定性試験、水溶性試験の結果を表1、2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
本発明のポリエーテル系潤滑油を用いた実施例1〜3のいずれも、水溶性であり、潤滑性(原液および20質量%水溶液)、熱安定性の点で優れている。
それに対して、比較例1および3は水溶性が不十分である。また、比較例2および3は熱安定性が不十分であり、潤滑性が実施例に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の潤滑油用基油は水溶性、潤滑性、熱安定性に優れているため、切削油、摺動面潤滑油、圧延油、引き抜き油、プレス油、鍛造油、アルミディスクおよびシリコンウエハの研磨、切断などの加工に用いる金属加工油、並びに水−グリコール系作動油等の水系潤滑油に用いられる潤滑油用基油として極めて好適である。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表され、HLBが8.5以上であり、かつ重量平均分子量が500〜10,000であるポリエーテル(E)を含有する水系潤滑油用基油。
R1−[{(O−CH2CH2CH2CH2)m/(O−A)n}−OR2]p (1)
[式中R1は炭素数1〜24の1〜3価の炭化水素基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Aは1,4−ブチレン基を除く炭素数1〜4のアルキレン基から選ばれる1種以上であり、pは1〜3の整数、mおよびnは(E)の重量平均分子量が500〜10,000を満たす1以上の整数であり、複数ある場合は同じでも異なっていてもよい。{(O−CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 ) m /(O−A) n }の部分は、オキシテトラメチレン基(O−CH2CH2CH2CH2基)とオキシアルキレン基(O−A基)のランダム結合部分を有する。] - ポリオキシアルキレン鎖中のオキシテトラメチレン基(O−CH2CH2CH2CH2基)の含量が5〜45モル%である請求項1記載の潤滑油用基油。
- 請求項1又は2記載の潤滑油用基油と、水、酸化防止剤、極圧添加剤、防錆剤、消泡剤、乳化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなる潤滑油組成物。
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