JP5391803B2 - フッ素系潤滑剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素系潤滑剤組成物に関する。さらに詳しくは、金または銀メッキ表面を含む貴金属表面、銅表面、銅合金表面を有する摺動部に有効に適用されるフッ素系潤滑剤組成物に関する。
金メッキ表面、銀メッキ表面を含む貴金属表面、銅表面または銅合金表面を有する電気接点等の摺動部材の摩耗を低減させる潤滑剤として、有機亜鉛化合物およびチアゾール系化合物なる群から選ばれた少くとも一種と、チタネート系カップリング剤およびアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ばれた少くとも一種とを含むグリース組成物が提案されている。また、添加剤としてヘクトライトの第4級アンモニウム塩を含有するグリース組成物も提案されている(特許文献1〜2参照)。
しかしながら、これらの提案で用いられている基油は合成炭化水素油であって、含フッ素油への適用は考慮されておらず、耐熱性など近年益々高まる潤滑剤への要求には対応できていない。
耐摩耗性などの改善に有効であることが知られている含フッ素系潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル基を含フッ素基とするホスホン酸化合物を含む潤滑剤やペルフルオロポリエーテル基を有するリン酸エステルを含む潤滑剤などがあるが、これらの耐摩耗性効果の確認は相手材である鋼材について行われているだけであって、貴金属表面、銅表面、銅合金表面等に対しては有効ではない(特許文献3〜4参照)。
特開2007−186609号公報 特開2007−204547号公報 特開2007−027079号公報 特開平06−136379号公報
本発明の目的は、金または銀メッキ表面を含む貴金属表面、銅表面、銅合金表面を有する電気接点等の摺動部材の摩耗を低減させるフッ素系潤滑剤組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、基油中に、増稠剤および一般式
CF3(CF2)nO(CF2O)p(C2F4O)q(C3F6O)rRfCONHAr 〔I〕
(ここで、Arは2-ベンゾイミダゾール基であり、Rfは炭素数1〜2のフルオロカーボン基であり、nは0、1または2であり、p+q+r≦100である整数で、p、q、rの内の1個または2個は0であり得、CF2O基、C2F4O基およびC3F6O基は主鎖中にランダムに結合している基である)で表わされる含フッ素化合物を添加剤として含有するフッ素系潤滑剤組成物によって達成される。
本発明に係るフッ素系潤滑剤組成物は、一方の末端に2-ベンゾイミダゾール基を有する含フッ素化合物を添加することにより、その低温特性、耐熱性、酸化安定性、温度-粘度特性、潤滑性、耐剥離性、低トルク性、低騒音性、初期なじみ性、漏れ・飛散防止性、にじみ防止性、せん断安定性、耐腐食性、耐スラッジ性、気孔内流通性、洗浄性、導電性、低蒸気圧性、低発塵性、低アウトガス性、耐汚染性、生分解性、耐ゴム性、耐樹脂性、耐侯性、耐水性、耐薬品性、高強度性、密着性、離型性、非粘着性等、高温耐久性を損なうことなく、耐摩耗性を大幅に改善せしめることができる。
フッ素系潤滑油組成物の添加剤成分として用いられる含フッ素化合物は、窒素原子を有するため、分子構造中に非共役電子対を持ち、金属表面に適正な配位能を発揮する。また、分子骨格中にアミド結合を持つことにより、金属表面との配位能をより安定化させるといった働きも併せ持っている。これらの高い配位能により、金属表面への吸着が強くなり、金表面、銀表面、金メッキ表面、銀メッキ表面等の貴金属表面、銅表面、少量の添加元素、例えばAg、Cd、Cr、Be、Be-CoTe、Zn、Sn、Al、Ni、Si、Pb等との銅合金の表面に対しすぐれた耐摩擦摩耗性を発揮することができる。
耐摩耗性添加剤として用いられる含フッ素化合物としては、一方の分子末端が化学的に不活性なパーフルオロアルキル基であり、他方の分子末端は窒素原子を含有する複素環式化合物基である2-ベンゾイミダゾール基によって修飾された含フッ素化合物、具体的には一般式
CF3(CF2)nO(CF2O)p(C2F4O)q(C3F6O)rRfCONHAr 〔I〕
(ここで、Arは2-ベンゾイミダゾール基であり、Rfは炭素数1〜2のフルオロカーボン基であり、nは0、1または2であり、p+q+r≦100である整数で、ある程度の分布をとることが許容されるものであり、p、q、rの内の1個または2個は0であり得、CF2O基、C2F4O基およびC3F6O基は主鎖中にランダムに結合している基である)で表わされるものが用いられる。これらの含フッ素化合物添加剤は、基油、増稠剤および含フッ素化合物添加剤よりなる潤滑剤組成物中約0.1〜99重量%、好ましくは約0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜20重量%の割合で用いられる。これより少ない割合で用いられると、耐摩耗性添加剤としての十分な効果が得られず、一方これ以上の割合で用いられるとコストパフォーマンスに見合った性能が発揮できないばかりではなく、粘性抵抗の増加など消費動力やトルクが大きくなる不具合を生じる可能性がある。
この含フッ素化合物は、一般式
CF3(CF2)nO(CF2O)p(C2F4O)q(C3F6O)rRfCOF 〔II〕
で表わされる含フッ素ポリエーテルカルボン酸フロライドを、2-アミノベンゾイミダゾールと反応させることによって製造される。
含フッ素化合物の製造に用いられるパーフルオロポリエーテル酸フロライドは、公知の方法で容易に得ることができ、一般的にはヘキサフルオロプロピレンオキサイドをフッ化セシウム触媒およびテトラグライム溶媒の存在下でオリゴマー化反応させると、一般式〔IV〕に示されるようなパーフルオロポリエーテルが得られる。
Figure 0005391803
調製が容易であるといった観点からは、ヘキサフルオロプロピレンオキサイドの数平均重合度(r)は10≦r≦25程度が好ましく、さらに好ましくはr=15程度が好ましい。また、重合度はある程度の分布を持っていてもよい。このヘキサフルオロプロピレンオキサイドオリゴマーを用いる製造方法が、最も効率よく含フッ素ポリエーテル化合物を得ることができる。
また、分岐構造を持たないパーフルオロポリエーテル酸フロライドも、公知の方法で得ることができる。その一例として、一般式〔V〕に示されるようなテトラフルオロエチレンオキサイドの光酸化重合によりテトラフルオロエチレンオキサイド単位とジフルオロメトキシ単位が不規則に結合したものが挙げられる。
CF3O(CF2O)p(CF2CF2O)qCF2COF 〔V〕
なお、分岐構造を持たないパーフルオロポリエーテル酸フロライドの他の製法として、テトラフルオロオキセタンを金属フッ化物で開環重合した後、直接フッ素化により繰り返し単位部分の炭化水素メチレン基をフッ素化し、パーフルオロポリエーテル酸フロライドを得る方法もある。ただし、工程は長くなる。
Figure 0005391803
以上例に示される如く、フルオロカーボン基Rfは炭素数1〜2のパーフルオロアルキレン基または分岐パーフルオロアルキレン基であり、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、-CF(CF3)-基示される。
パーフルオロポリエーテルカルボン酸フロライドの変性に使用される2-アミノベンゾイミダゾール
Figure 0005391803
としては、実際にはこれらは市販品をそのまま用いることができる。2-アミノベンゾイミダゾールは、少なくとも1個のアルキル基、ハロゲン基等で置換されていてもよい。
これらの含フッ素ポリエーテル化合物と2-アミノベンゾイミダゾールとは、加熱撹拌しながら反応させることにより、目的物である含フッ素化合物を得ることができる。反応に際しては、反応により生じるHFを捕捉するため、主反応には関与しない三級アミンを共存させることが好ましい。反応後の除去し易さといった観点からは、好ましくはトリアルキルアミン(アルキル基は炭素数1〜12、好ましくは1〜3)、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類が用いられ、反応後の除去し易さに加えて反応性、取り扱いの容易性、価格などの観点からは、さらに好ましくはトリエチルアミン、ピリジンが用いられる。
反応は、特に溶媒を用いなくとも目的物を得ることが可能であるが、パーフルオロポリエーテルの粘度などの理由により撹拌し難い場合などには、有機溶剤を使用して粘度を下げることもできる。有機溶剤としては、各反応成分の溶解性などを考慮して、好ましくはハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系有機溶剤が用いられ、実際には旭硝子製品AK-225、3M社製品ノベックHFEなどの市販品が用いられる。
反応温度は特に制限されないが、含フッ素ポリエーテル化合物に2-アミノベンゾイミダゾールおよびHF捕捉剤を滴下した後、好ましくは約80〜100℃、さらに好ましくは約90〜100℃に設定される。反応時にアミン化合物の酸化により反応混合物に著しい着色が生じる場合があり、そのような現象を避けるためには、滴下終了後の反応温度を段階的に昇温させる、具体的には例えば3〜5℃程度の昇温幅で48時間ごとに昇温させることが好ましい。また、不必要に長時間の反応も着色を引き起こす原因となるため、反応は24〜100時間、好ましくは48〜72時間程度行われる。
反応後は、抽出処理により反応中に生じたアミンのHF塩などを除去するが、反応に溶媒を用いなかった場合には、抽出溶媒としてフッ素系有機溶剤が用いられる。このフッ素系有機溶剤としては、前記市販品がそのまま用いられる。なお、水溶性物質を溶解させる抽出溶媒としては、水、食塩水、低級アルコールなどが使用されるが、これらの内不純物の抽出能力、層分離能の観点からは、好ましくはメタノールが用いられる。
含フッ素化合物添加剤を含有する基油として用いられるフッ素油としては、一般にパーフルオロポリエーテル油が用いられる。かかるパーフルオロポリエーテルとしては、一般式
RfO(CF2O)x(C2F4O)y(C3F6O)zRf
で表わされるものが用いられ、CF2O基、C2F4O基およびC3F6O基は主鎖中にランダムに結合した基である。具体的には、例えば下記一般式(1)〜(3)で表わされるようなものが用いられ、この他一般式(4)で表わされるようなものも用いられる。なお、Rfはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜3のパーフルオロ低級アルキル基である。
(1) RfO[CF(CF3)CF2O]zRf
ここで、z=2〜200であり、ヘキサフルオロプロピレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより、あるいはフッ化セシウム触媒下にヘキサフルオロプロピレンをアニオン重合させ、得られた末端CF(CF3)COF基を有する酸フルオライド化合物フッ素ガスで処理することにより得られる。
(2) RfO(CF2O)x(CF2CF2O)yRf
ここで、x+y=3〜200、x:y=10〜90:90〜10であり、またCF2O基およびCF2CF2O基は主鎖中にランダムに結合しているものであり、テトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することによって得られる。
(3) RfO(CF2O)x[CF(CF3)CF2O]zRf
ここで、x+z=3〜200であり、x:z=10〜90:90〜10であり、またCF2O基およびCF(CF3)CF2O基は主鎖中にランダムに結合しているものであり、ヘキサフルオロプロペンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより得られる。
(4) F(CF2CF2CF2O)2〜100C2F5
これは、フッ化セシウム触媒の存在下に2,2,3,3-テトラフルオロオキセタンをアニオン重合させ、得られた含フッ素ポリエーテル(CH2CF2CF2O)nを紫外線照射下に約160〜300℃でフッ素ガスで処理することによって得られる。
これらのパーフルオロポリエーテル基油は、単独であるいは混合して用いることができるが、潤滑油として用いる場合には、その動粘度(40℃)が約5〜2000mm2/秒、好ましくは約10〜1500mm2/秒であることが望ましい。動粘度がこれ以下のものは蒸発量が多く、耐熱用のグリースとして用いる場合には、JIS転がり軸受用グリース3種で規定されている蒸発量1.5%以下という条件を満さなくなり、一方これ以上の粘度を有するものは、流動点(ASTM D5853に対応するJIS K-2269準拠)が10℃以上となり、通常の方法では低温時にベアリング、ギャ、チェーン等が起動せず、それを使用可能とするには加熱する必要があり、一般的なグリースとしては使用適格を欠くようになる。
増稠剤としては、粉末状のポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体〔FEP〕、パーフルオロアルキレン樹脂等が用いられる。ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンの乳化重合、けん濁重合、溶液重合などの方法によってポリテトラフルオロエチレンを製造し、それを熱分解、電子線照射分解、物理的粉砕などの方法によって処理して、数平均分子量Mnを約1000〜1000000から約1000〜500000程度に低下させたものが用いられる。また、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合反応および低分子量化処理も、ポリテトラフルオロエチレンの場合と同様にして行われ、数平均分子量Mnを約1000〜600000程度としたものが用いられる。なお、分子量の制御は、共重合反応時に連鎖移動剤を用いても行うことができる。得られた粉末状のフッ素樹脂の内、一般に約500μm以下、好ましくは約0.1〜30μmの平均一次粒径を有するものが用いられる。
また、これらの粉末状フッ素樹脂以外の増稠剤を用いることもでき、かかる増稠剤としては、Li石けん等の金属石けん、ウレア樹脂、ベントナイト等の鉱物、有機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドも使用できるが、耐熱性、潤滑性の面から考えると、好ましくは脂肪族ジカルボン酸金属塩、モノアミドモノカルボン酸金属塩、モノエステルカルボン酸金属塩、ジウレア、トリウレア、テトラウレアなどが用いられる。
これらの増稠剤は、基油、増稠剤および含フッ素化合物添加剤よりなる潤滑剤組成物中約0.1〜50重量%、好ましくは約10〜40重量%の割合で添加されて用いられる。増稠剤がこれ以上の割合で用いられると、組成物が硬くなりすぎるようになり、一方これ以下の割合で用いられると、フッ素樹脂等の増稠能力が発揮されず、離油の悪化を招き、耐飛散・漏洩性の向上が十分期待できなくなる。
グリース組成物中には、以上の成分の他にさらに本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて一般的な合成油を基油とした潤滑剤に使用される流動点降下剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の耐摩耗剤、油性剤等の公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。ただし、最終製品の耐熱性、低温流動性、軸受材との相性を阻害しないために、これらの添加剤は、必要最少限とすることが望ましい。
流動点降下剤としては、例えばジ(テトラパラフィンフェノール)フタレート、テトラパラフィンフェノールの縮合生成物、アルキルナフタレンの縮合生成物、塩素化パラフィン-ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどを挙げることができる。
無灰系分散剤としては、例えばコハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系無灰分散剤などを挙げることができる。
金属系清浄剤としては、例えばジノニルナフタレンスルホン酸に代表されるスルホン酸金属塩、アルキルフェノールの金属塩、サリチル酸金属塩などを挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノール、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ第3ブチルフェノール)等のフェノール系の酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン(アルキル基の炭素数は4〜20)、トリフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、アルキル化フェノチアジン等のアミン系の酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。
防錆剤としては、例えば脂肪酸、脂肪酸石けん、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えばベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。
消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリアクリル酸、金属石けん、脂肪酸エステル、リン酸エステルなどを挙げることができる。
他の耐摩耗剤としては、例えばリン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等のリン系化合物、スルフィド類、ジスルフイド類等のイオウ系化合物、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル等の塩素系化合物およびジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン等の有機金属化合物等を挙げることができる。
油性剤としては、例えば脂肪酸またはそのエステル、高級アルコール、多価アルコールまたはそのエステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライド等が挙げられる。
潤滑剤組成物の調製は、パーフルオロポリエーテル基油に増稠剤、含フッ素化合物添加剤および他の必要な添加剤を所定量添加し、攪拌釜等で十分攪拌した後、3本ロールまたは高圧ホモジナイザで均一化処理する方法によって行われる。
次に、実施例について本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例
窒素シール用T字形コネクター、撹拌翼、コンデンサー、滴下ロート、温度計および加熱用マントルヒーターを取り付けたフラスコに、パーフルオロポリエーテルカルボニルフロライド
CF3CF2CF2O〔CF(CF3)CF2O〕rCF(CF3)COF
r:12(ある程度の分布を有する)
500gを導入して撹拌した。そこに、2-アミノベンゾイミダゾール18.8g(137ミリモル)とトリエチルアミン3.3gとの混合物を室温でゆっくりと滴下し、滴下終了後に内温が92±1℃となるようにマントルヒーターの温度を調整し、さらに48時間後に内温が96±1℃となるように再調整をして、さらに24時間加熱撹拌を行った。IRスペクトルで1880cm-1のCOFのシグナルが消失したことを確認し、反応混合物にフッ素系有機溶剤(旭硝子製品AK-225)100mLを加えて撹拌して十分に溶解させた後、メンブランフィルターを用いてアミンのフッ酸塩等の不溶性成分を除去した。
ろ液に上記フッ素系有機溶剤(AK-225)100mLおよびメタノール600gを加えて十分に混合し、下層を抽出する作業を合計3回実施し、最後にエバボレーターを用いてフッ素系有機溶剤(AK−225)を滅圧下で除去し、着色のない下記の含フッ素化合物A(回収量:482g)を得た。
Figure 0005391803
r:12 (F-NMRから求めたヘキサフルオロプロピレン
オキサイドの数平均重合度であり、ある程度の分布を有している)
F-NMR(acetone-d6,CFCl3)
-145.9 〜 -145.2ppm ; -OCF(CF3)CF2O-
-132.6ppm ; -CF(CF3)CONH-
-131.0ppm ; CF3CF 2 CF2O-
-86.1 〜 -74.9ppm ; -OCF(CF3)CF 2 O-,CF3CF2CF 2 O-
-84.1ppm ; CF 3 CF2CF2O-
-81.3ppm ; -OCF(CF 3 )CF2O-
-81.2ppm ; -CF(CF 3 )CONH-
H-NMR(acetone-d6,TMS)
δ7.20 ; =N-C(C)-CH=CH-
δ7.61 ; =N-C(C)-CH=CH-
実施例1〜15、比較例1〜5
〔基油〕
A:RfO(CF2O)x(CF2CF2O)yRf 動粘度(40℃) 17mm2/秒
B:RfO(CF2O)x(CF2CF2O)yRf 動粘度(40℃) 33mm2/秒
C:RfO(CF2O)x(CF2CF2O)yRf 動粘度(40℃)160mm2/秒
D:RfO〔CF(CF3)CF2O〕zRf 動粘度(40℃)100mm2/秒
〔増稠剤〕
A:溶液重合法PTFE(融点323℃、平均一次粒子径0.1μm)
B:乳化重合法PTFE(融点327℃、平均一次粒子径0.1μm)
C:乳化重合法PTFE(融点325℃、平均一次粒子径0.2μm)
D:けん濁重合法PTFE(融点325℃、平均一次粒子径9μm)
上記基油および増稠剤と参考例で得られた含フッ素化合物添加剤との所定量(単位:重量%)を混合してグリースを調製した。
調製されたグリースを、いずれも厚さ2mmの銀メッキプレート〔Ag〕、銅合金(C1100)プレート〔Cu〕、金メッキプレート〔Au〕およびステンレス鋼S45Cプレート〔Fe〕上に0.25mmの厚さで塗布し、トライボギア表面性測定機(新東化学製)にグリース塗布各金属プレートおよび用いられた金属と同材質のボールをセットし、次の測定条件下で摩擦摩耗試験を行って、試験後の各金属プレートの摩耗深さ(単位:μm)を測定した。
荷重:80gf
試験温度:80℃または140℃
摺動速度:50mm/秒
摺動距離(片道):20mm
摺動回数:20,000回
得られた結果は、次の表に示される。表中には、用いられた各グリースの室温時における稠度(JIS K2220.7準拠)の値も併記される。

基油 PTFE 添加剤 Ag Cu Cu Au Fe
種類 種類 80℃ 80℃ 140℃ 80℃ 80℃ 稠度
実施例1 B 75.9 B 24 0.1 3.2 305
〃 2 B 75.5 B 24 0.5 2.1 310
〃 3 B 75 B 24 1 1.5 305
〃 4 A 75.5 A 21.5 3 0.43 328
〃 5 A 73 B 24 3 0.3 5.4 313
〃 6 B 73 B 24 3 0.3 4.3 3 0.3 0.3 305
〃 7 A 67.5 C 29.5 3 0.4 301
〃 8 A 61 D 36 3 0.53 333
〃 9 C 73 B 24 3 0.3 283
〃 10 D 73 B 24 3 0.3 279
〃 11 B 71 B 24 5 0.3 4.3 307
〃 12 B 69 B 24 7 0.3 3.75 301
〃 13 B 66 B 24 10 0.3 2.8 0.9 0.3 303
〃 14 B 56 B 24 20 0.3 310
〃 15 B 0.1 B 0.9 99 0.3 4.3 <粘稠>
比較例1 A 78.5 A 21.5 − 7.05 343
〃 2 A 76 B 24 − 8 6.5 298
〃 3 B 76 B 24 − 10 9.5 9.5 2.5 0.3 301
〃 4 A 70.5 C 29.5 − 6.17 298
〃 5 A 64 D 36 − 8.17 328
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1) 特定の含フッ素化合物を添加した各実施例では、銀メッキプレート、銅合金プレート、金メッキプレートのいずれかにおいてもすぐれた耐摩耗特性を示しているが、鋼材プレートに対しては耐摩耗特性の発現がみられない。
(2) 特定の含フッ素化合物を添加されない各比較例では、銀メッキプレート、銅合金プレート、金メッキプレートのいずれにおいても、摩耗抑制効果が殆どみられない。
(3) 基油B、PTFE Bの組合せにおいて、添加剤量を種々変化させると、Ag摩耗深さは0.1重量%の添加で急激に低下し始め、3〜99重量%ではほぼ一定の0.3μmとなる(実施例1〜3、6、11〜15)。
(4) 基油Aを用い、種々の平均一次粒子径のPTFEを増稠剤として用いたとき、Ag摩耗深さは含フッ素化合物を添加された場合には安定した耐摩耗性を示すが、含フッ素化合物が添加されない場合には、PTFEの製法や粒径とは無関係に、大きな摩耗が生じている(実施例4〜5、7〜8-比較例1〜2、4〜5)。
(5) PTFE Bおよび3重量%の含フッ素化合物添加剤を用い、種々の構造および動粘度の基油についてAg摩耗深さを測定すると、基油の構造や動粘度とは無関係に、ほぼ一定の0.3μmという値が得られた(実施例5〜6、9〜10)。
(6) 基油B、PTFE Bを用いた場合の各材質別の摩耗深さを、3重量%の含フッ素化合物添加剤を用いた場合と用いない場合とで比較すると、Agメッキプレート、銅合金プレート、金メッキプレートの場合には顕著な差がみられたが、鋼材プレートについては殆ど差が認められなかった(実施例6-比較例3)。
本発明に係るフッ素系潤滑剤組成物は、貴金属表面、銅表面、銅合金表面を有する摺動部に対して潤滑剤を使用する分野において、特に好適には電気接点材料用の潤滑剤として、スロットル、電子制御スロットル、トロリー線、燃料電池、リニアガイド、一般家電用電気接点、ATスイッチ、コンビネーションスイッチ、パワーウィンドウスイッチ、ブレーキスイッチ、エンジンスタータスイッチ等の各種スイッチを使用する装置または部品に有効に用いられる。
本発明の潤滑剤組成物は、貴金属表面、銅表面、銅合金表面以外の材料に対しても、潤滑剤を使用する分野に用いることができる。具体的には、自動車補機、電気機器、建設機械、情報機器、産業機械、工作機械、音響映像機器、LBP等の精密/電機・電子機器、事務機器用、PC、HDD等の記録媒体、遮断機、電気接点、半導体製造装置、家電製品、クリーンルーム、ダンバー、金属加工、搬送設備、自動車工業OEM、鉄道・船舶・航空機産業、食品・薬品工業、鉄鋼、鉱業・ガラス・セメント工業、化学・ゴム・樹脂工業、フィルムテンター、製紙工業、印刷工業、木材工業、繊維・アパレル、相対運動する機械部品、内燃機関、ポンプ等の各種機械及びそれらを構成する各部品などが、この潤滑剤が適用可能なものとして例示される。
さらに具体的には、転がり軸受、玉軸受、ローラー軸受、アンギュラ軸受、スラスト軸受、含浸軸受、鉄系軸受、銅系軸受、動圧軸受、樹脂軸受、内輪回転軸受、外輪回転軸受等の軸受、またボールネジ、直動軸受等の直動装置、減速機・増速機、ギヤ、チェーン、チェーンブッシュ、モーター等の動力伝達部品、真空ポンプ、バルブ、シール空圧機器等の油・空圧/バルブ・タップ/シール、電動工具等の工作機械、定着ローラー、スピンドル、トルクリミッター、エンジン、オルタネータ、テンションプーリー、アイドラプーリー、燃料ポンプ、オイルポンプ、吸気系・燃料、(排ガス循環装置等の)排気系部品、冷却系、電動ファンモータ、ファンカップリング、ウォーターポンプ、空調系、コンプレッサー、走行系、ハブベアリング、制動系、ABS、ブレーキ、操舵系、パワーステアリング、懸架系、駆動系、ボールジョイント、変速機、内・外装系(パワーウィンドゥ、ヘッドライト、ドアミラの光軸調整)等を使用する産業分野で、グリースとして有効に用いられる。

Claims (6)

  1. 基油中に、増稠剤および一般式
    CF3(CF2)nO(CF2O)p(C2F4O)q(C3F6O)rRfCONHAr 〔I〕
    (ここで、Arは2-ベンゾイミダゾール基であり、Rfは炭素数1〜2のフルオロカーボン基であり、nは0、1または2であり、p+q+r≦100である整数で、p、q、rの内の1個または2個は0であり得、CF2O基、C2F4O基およびC3F6O基は主鎖中にランダムに結合している基である)で表わされる含フッ素化合物を添加剤として含有するフッ素系潤滑剤組成物。
  2. 基油がパーフルオロポリエーテル油である請求項1記載のフッ素系潤滑剤組成物。
  3. 増稠剤を0.1〜50重量%の割合で含有する請求項1記載のフッ素系潤滑剤組成物。
  4. 含フッ素化合物添加剤を0.1〜99重量%の割合で含有する請求項1記載のフッ素系潤滑剤組成物。
  5. 貴金属表面、銅表面または銅合金表面を有する摺動部材に適用される請求項1、2、3または4記載のフッ素系潤滑剤組成物。
  6. 電気接点材料に適用される請求項5記載のフッ素系潤滑剤組成物。
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