JP4347747B2 - 打抜き刃用鋼板並びに打抜き刃およびその製造法 - Google Patents

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本発明は、段ボール,板紙,樹脂シート,皮革などを打ち抜くための帯状打抜き刃に用いる鋼板、並びに打抜き刃およびその製造法に関する。
上記打抜き刃は、トムソン刃,ルール,ダイなどの称呼を有し、鉄鋼材料からなる帯状薄板の一方の側端部に先端先細りの刃先を形成したものである。図1に、打抜き刃の形状を模式的に示す。打抜き刃は刃付け加工部と胴部からなる。
打抜き刃を使用するときは、予めベニア板等にレーザー加工等で所定の打抜き形状の溝を形成しておき、打抜き刃の刃と反対側の側端部を前記の溝にはめ込んで「木型」と呼ばれる打抜き型を作製する。その際、溝に嵌合するように打抜き刃は所定の形状に曲げ加工される。溝の深さは打抜き刃の幅より浅いため、刃先はベニヤ板の板面から突き出ており、刃の周囲には刃先の突き出し量より少し厚い弾性体ブロックを貼り付ける。そして、この木型の上に被打抜き材を押し当てて切断すると所定形状に打ち抜かれたものが弾性体の反発力で押し戻され、容易に取り出せる。
打抜き刃には、刃物としての「切れ味」および「耐久性」に優れる点以外に、木型作製時に曲げ半径の小さい屈曲加工が容易に行える特性を具備すること、すなわち「曲げ性」に優れることが要求される。
優れた「切れ味」を実現するには刃先部が硬いこと,刃付け加工部全体の剛性が高いことが必要であり、「耐久性」を確保するには刃先部およびその近傍の耐摩耗性が高いことが必要である。このため、打抜き刃の板厚中央部付近はC量の多い鋼で構成される。C量が多いため刃先部分は高周波焼入れ処理により顕著に硬化させることができる。
十分な「曲げ性」を確保するには、胴部(=刃付け加工部以外の部分)の表面付近をC量の少ない軟質な鋼で構成する手法が採られる。これにより屈曲加工時に表面のクラック発生を抑制できる。
このように板厚中央部をC量の多い硬質の鋼で構成し、表層部をC量の少ない軟質の鋼で構成する方法として、特許文献1に開示されるように、C量の多い鋼板の両面をC量の少ない鋼で鋳ぐるみ、これを熱間圧延等で所定厚さにして3層構造の複合材料とする方法が提案されてきた。しかし、その製造中にCの拡散が起こるため、中心層のC濃度が低下してしまうなどの不具合が問題となる。これを解決するために特許文献1では、中心層と外側層の間に中間的なC量の中間層を介在させた5層構造のクラッド材を用いたトムソン刃を提案している。
また、クラッド材ではなく、単一部材からなる鋼板を用いて板厚中心部と表層部にC含有量の差を付ける技術も古くから利用されている。これは、中・高炭素鋼板を脱炭性還元性雰囲気中で熱処理することにより表層部の脱炭を行うものである。鋼種としてはJISに規定されるS55C,SAE1050,SAE1055など、恒温変態処理や焼入れ焼戻し処理で300HV以上の硬度と適度な靱性が付与でき、かつ刃先は高周波焼入れで500HV以上の硬度が得られるものが主として使用されている。
特開平6−190797号公報
上記クラッド材を用いる方法は、そのクラッド材の製造自体が特殊工程を必要とするので、普通鋼板の製造設備を用いて安価に大量生産するのは困難である。また、クラッド各層の接合力が不十分な欠陥部分では所望の曲げ性が得られない問題がある。
他方、中・高炭素鋼板の表層部を脱炭処理する方法は、素材鋼板の製造が比較的容易であり、「切れ味」および「耐久性」を満たすための硬さも十分に得られる。しかし、「切れ味」や「耐久性」は、刃の先端の硬度だけでなく、胴部の脱炭の影響のない部分(基地部)や刃付け加工部全体の硬さも重要な要素となる。そのため従来は、刃先の焼入れ処理の前に、打抜き刃全体に恒温変態処理や焼入れ焼戻し処理を施し、ベイナイトや焼戻しマルテンサイト主体の組織状態を得ていた。
通常、このような恒温変態処理や焼入れ焼戻し処理は打抜き刃メーカーで行われるが、加熱浴や保持浴のエネルギーコスト、浴液(Pb,Pb+Biなど)の維持管理コスト・労力は大きな負担となり、打抜き刃の製造コスト増大を招く要因になっていた。
一方、「曲げ性」に関しては、昨今、更なる性能向上が望まれるようになってきた。すなわち、環境問題などの理由で家電製品などの梱包・緩衝材は発泡スチロールから段ボールに移行しつつあり、また、パッケージの意匠性も向上しつつある。さらに、緩衝材等の設計がコンピュータを用いて迅速かつ容易に行えるようになった。このため、従来にも増して多種多様で複雑形状の打抜きに対応することが必要になり、「曲げ性」の更なる改善が望まれている。この点、従来のベイナイトや焼戻しマルテンサイト主体の打抜き刃では、昨今の厳しい要求に対応できる優れた「曲げ性」を実現することが難しい。
本発明は、以上のような現状に鑑み、中・高炭素鋼板の表層部を脱炭処理した鋼板を用いて、刃先の高周波焼入れ前に恒温変態処理や焼入れ焼戻し処理などの繁雑な熱処理を行うことなく、切れ味・耐久性と優れた曲げ性を具備した打抜き刃を提供しようというものである。
発明者らは中・高炭素鋼を用いて多くの実験を繰り返した結果、脱炭表層を除いた部分をフェライト組織のままで一定以上の硬さにコントロールしてやれば、ベイナイトや焼戻しマルテンサイト主体の組織にしなくても、打抜き刃として必要な切れ味・耐久性が達成できることを発見した。さらに、脱炭表層および脱炭表層を除いた部分の硬さをそれぞれある特定値以下にコントロールすることで優れた曲げ性が実現できることを見出した。つまり、材料硬さの厳密なコントロールによって、切れ味,耐久性および曲げ性を兼備した打抜き刃を実現することができるのである。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
本発明の打抜き刃用鋼板は、板厚の1〜10%厚さの脱炭表層を両面に形成した鋼板であって、脱炭表層が硬さ210HV以下のフェライト組織であり、脱炭の影響のない基地部が質量%でC:0.4〜1.0%,Si:0.2〜2.0%,Mn:0.2〜2.0%,P:0.05%以下,S:0.05%以下,Cr:0.3〜1.6%,Mo:0〜1.0%,V:0〜0.5%,残部Feおよび不可避的不純物の化学組成を有し、硬さ270〜350HVのフェライトと球状炭化物からなる組織である。板厚は例えば0.4〜1.5mmである。
MoおよびVは任意添加元素であり、下限の0%は製鋼過程で行われる通常の分析手段において測定限界以下の場合である。
また、本発明の打抜き刃は、帯状鋼板の側端部に刃付け加工を有し、刃付け加工部を除く部分(胴部)が板厚の1〜10%厚さの脱炭表層を両面に形成した前記鋼板で構成されるものである。
この打抜き刃は、前記の打抜き刃用鋼板に、刃付け加工を施し、その後胴部に熱処理を加えることなく刃先の焼入れ処理行うプロセスで製造される。刃先は焼入れ処理後、適宜焼戻し処理に供される。
本発明によれば、従来の中・高炭素鋼を用いて打抜き刃に必要な切れ味・耐久性と優れた曲げ性が実現できるため、素材コストの上昇が抑えられる。また、刃先の焼入れ前に、恒温変態処理や焼入れ焼戻し処理を施す必要がないため、特に打抜き刃製造メーカーにおける工程が大幅に簡略化され、製造コスト低減が図れる。したがって本発明は、複雑形状に加工しやすい打抜き刃を安価に提供することを可能にし、多様化する梱包緩衝材の需要増に対応し得るものである。
本発明で提供する打抜き刃用鋼板は、以下の成分組成を有する中・高炭素鋼を用いて製造される。
C:0.4〜1.0質量%。
打抜き刃では、刃先の焼入れにより、焼入れ後の硬さ500HV以上が求められる。また、刃付け加工部全体および胴部の強度を確保する必要がある。このため、0.4質量%以上のC含有が必要である。一方、1.0質量%を超えると基地組織の靱性が低下し、優れた曲げ性を安定して実現することが難しくなる。したがってC含有量は0.4〜1.0質量%に規定する。
Si:0.2〜2.0質量%。
Siは焼戻し軟化抵抗を大きくする元素であり、刃先の焼入れ焼戻しにおいて十分な軟化抵抗を発揮させるには0.2質量%以上の含有が望まれる。しかし、過剰なSi含有は曲げ性を劣化させる方向に働く場合があるので、2.0質量%以下の範囲で含有させるべきである。したがってSi含有量は0.2〜2.0質量%に規定する。
Mn:0.2〜2.0質量%。
Mnは焼入れ性を向上させる元素であり、その効果を十分に得るには0.2質量%以上の含有が必要である。しかし、過剰添加は延性や靱性を劣化させるため、2.0質量%以下の範囲とすることが好ましい。したがってMn含有量は0.2〜2.0質量%に規定する。
P:0.05質量%以下、S:0.05質量%以下。
これらの元素は靱性に悪影響を及ぼすので、できるだけ低減することが望ましい。種々検討の結果、本発明の用途ではP,Sとも概ね0.05質量%まで許容できることがわかった。ただし、いずれも0.03質量%以下とすることが一層好ましい。
Cr:0.3〜1.6質量%。
Crは強度向上および焼戻し軟化抵抗の向上に有効であり、本発明では特に後者が重要となる。刃先の焼入れ焼戻しを考慮すると、Cr含有量は0.3質量%以上確保すべきである。ただし、多量のCr含有は鋼の靱性を損なうので1.6質量%以下に制限するのが好ましい。したがってCr含有量は0.3〜1.6質量%に規定する。
Mo:0〜1.0質量%。
Moは焼戻し軟化抵抗を向上させる効果があり、特にCrとともに添加されることでその効果が大きくなる。また、少量の添加でも焼入れ性の向上効果を有するとともに、結晶粒粗大化を抑制する。ただしMoは高価な元素であり、添加する場合は1.0質量%以下の含有量範囲で行う。
V:0〜0.5%。
Vは焼入れ性の向上および結晶粒微細化に有効である。また、強さや靱性の向上にも有効である。ただしVは高価な元素であり、添加する場合は0.5質量%以下の含有量範囲で行う。
以上の組成を有する鋼を溶製し、中・高炭素鋼板を製造する通常の方法で熱間圧延あるいはさらに冷間圧延を施したのち、脱炭焼鈍に供する。ただし、脱炭焼鈍後には後述のように30〜80%の冷間圧延を行うことが好ましいので、そのことを考慮して脱炭焼鈍前の板厚を調整しておく。
脱炭焼鈍は鋼板の両面に脱炭層を形成するための熱処理である。この脱炭層が曲げ加工時の割れ防止に寄与することになる。できるだけ低温,短時間で安定した脱炭深さを実現するためには、脱炭処理前の組織状態をパーライト組織あるいはパーライト組織を冷間圧延した組織とすることが望ましい。炭化物が球状化した組織だと、炭化物が安定に存在するために効率的な脱炭を行うには不利である。また、オーステナイト相ではCを最大約2%程度まで固溶するので、オーステナイト域の温度では脱炭は事実上無理である。このため、加熱温度はA1点未満とする必要がある。
ただし、脱炭はCが拡散して表面近くに移動し、表面から抜ける現象であるから、A1点を大きく下回るような低温では拡散が遅くなり脱炭し難い。したがって脱炭処理温度は(A1−120℃)〜A1未満の温度範囲で行うことが好ましい。
脱炭深さは続く冷間圧延・仕上焼鈍後に片面当たり板厚の1〜10%の脱炭表層が形成されるように調整する必要があるが、例えば、A1点直下の場合で1時間以上、A1−120℃の場合で20時間以上保持することが望ましい。
脱炭焼鈍を終えた鋼板は冷間圧延に供する。この冷間圧延の目的は、板厚を減じることの他、加工硬化により材料を硬化させることにある。冷間圧延率が30%未満では硬さの増加が少なく、打抜き刃に求められる切れ味・耐久性を安定して付与することが難しくなる。一方、冷間圧延率をあまり高くすると冷延設備への負荷が甚大となる。このため、冷間圧延率は30〜80%とすることが好ましい。この冷間圧延によって打抜き刃として使用する鋼板の最終的な板厚に調整される。多くの場合、0.4〜1.5mmの範囲の板厚が採用される。
冷間圧延後には仕上焼鈍を行う。この焼鈍によって、片面当たり板厚の1〜10%の厚さを有する脱炭表層の硬さを210HV以下、かつ、脱炭の影響のない基地部の硬さを270〜350HVにそれぞれコントロールする。冷間圧延率との兼ね合いによるが、概ね400〜650℃の温度範囲において上記の硬さを実現する「解」を見出すことができる。前記の脱炭焼鈍はA1点未満で行われ、この仕上焼鈍も例えば650℃以下とA1点未満で行われることから、仕上焼鈍後の基地部はフェライト組織となる。また、炭化物は球状化して分散させることができる。仕上焼鈍時間は概ね5〜30時間の範囲とすることができる。
この仕上焼鈍後の組織状態は、打抜き刃として使用される際の胴部の構造にそのまま反映される。
上記の硬さの範囲は、発明者らの詳細な実験により定められたものである。すなわち、基地部の硬さが350HVを超えると板厚の1〜10%の脱炭表層厚さでは曲げ性が不十分となる場合がある。また、基地部の硬さが270〜350HVレベルのものにおいて脱炭表層の硬さが210HVを超えると、例えば60°パンチによる突き曲げ試験で割れの発生を安定して防止できなくなる。これに対し、脱炭表層の硬さを210HV以下とし、かつ基地部の硬さを350HV以下とすることにより、打抜き刃として複雑形状への曲げ加工に耐え得る優れた曲げ性が付与されるのである。
一方、基地部の硬さが270HV未満では剛性が低く、打抜き時に胴部が変形するという不具合が発生し得るが、基地部の硬さを270HV以上にすることで打抜き刃としての切れ味や耐久性は通常満足できるレベルとなる。
もし、極めて優れた耐摩耗性を必要とするなら350〜500HVといった高硬度の材料、あるいはベイナイトや焼戻しマルテンサイト主体の組織を有する材料に委ねることが望ましいが、本発明ではそのような高価な打抜き刃を意図していない。むしろ、恒温変態処理等の繁雑な熱処理が省略でき、曲げ加工も容易であるという本発明の利点を活かせば、適度な頻度で新たな打抜き刃に交換することで常に良好な切れ味が確保でき、高いコストメリットが享受できる。
なお、詳細な実験の結果、脱炭表層の厚さが片面当たり板厚の1%に達しない場合は良好な曲げ性を安定して確保することが困難である。他方、脱炭表層の厚さが大きくなるほど曲げ性には有利となるが、反面、胴部の剛性は低下する。このため、脱炭表層の厚さは片面当たり板厚の10%以下とすることが好ましい。
以上のようにして脱炭表層の厚さおよび硬さ、並びに基地部の硬さが調整された鋼板は、必要に応じて所定の幅に裁断されたのち、幅方向側端部に切削等によって刃付け加工が施される。なお、前記仕上焼鈍の前(ただし冷間圧延後)に予め刃付け加工を行っておくこともできる。
その後、胴部には熱処理を加えることなく、刃先の焼入れ処理を実施すればよい。通常、高周波焼入れが採用され、刃先硬度は500HV以上となる。焼入れ後、適宜焼戻し処理を施す。そして、最終的に刃先を鋭利に仕上げて、打抜き刃が完成する。
図2には、当該打抜き刃の断面構造を模式的に示してある。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、板厚2.2mmまで熱間圧延したのち、脱炭焼鈍、冷間圧延、仕上焼鈍を順次施した。
Figure 0004347747
脱炭焼鈍は、露点を45〜55℃に調整した75%H2+25%H2雰囲気で、680〜710℃×0.5〜18時間とし、両面に脱炭層を形成した。なお、比較のため、一部の試料には脱炭焼鈍を施していない。
冷間圧延では板厚を0.7mmまで減じた。
仕上焼鈍は、400〜620℃×16時間とした。
得られた仕上焼鈍後の鋼板について、脱炭表層を削り取って基地部のみとした試料を作り、これから分析サンプルを採取して分析したところ、いずれの鋼板も表1に示した溶製時の分析値とよく一致していた。すなわち、表1の分析値はそのまま基地部の化学組成として捉えることができる。
各鋼板の仕上焼鈍後の断面において、表面近傍の電子顕微鏡観察(倍率200〜2000倍)を行い、その画像からフェライト脱炭層深さを測定し、これを脱炭表層の厚さとした。また、鋼板断面について、マイクロビッカース試験機を用いて表面から4μm位置の硬さを測定し、これを脱炭表層の硬さとした。板厚をマイクロメーターで実測し、脱炭表層の片面厚さ/板厚×100によって脱炭表層率を求めた。
次に、各仕上焼鈍後の鋼板から圧延方向が長手方向となるように長さ100mm、幅25mmの短冊状の試片を切り出し、その一方の側端部に切削により刃付け加工を施した。刃先角度は45°とした。その後、それぞれの刃先部に高周波焼入れ(到達温度950℃→急冷)を施した。刃先焼入れ部の硬さをマイクロビッカース試験機で測定したところ、C含有量が少ないA鋼のものは500HVに達していなかったが、それ以外は500HV以上であった。
A鋼を除く高周波焼入れ後の試験片について、先端半径0.25mm,先端角度60°のポンチによる突き曲げを行い、胴部に割れが認められなかったものを良好(○評価)と判断し、それ以外を不良(×評価)と判断した。
結果を表2に示す。
Figure 0004347747
表2からわかるように、本発明で規定する基地部および脱炭表層の硬さ、並びに脱炭表層厚さを有するもの(本発明例)は、いずれも良好な曲げ性を呈した。
これに対し、比較例であるNo.3,7は脱炭表層を有しておらず、No.4,6,11は脱炭表層の硬さが高すぎ、No.13,15は基地部の硬さが高すぎたため、いずれも曲げ性に劣った。
表3に示す化学組成の鋼を溶製し、板厚2〜3mmまで熱間圧延したのち、脱炭焼鈍、冷間圧延、仕上焼鈍を順次施した。
Figure 0004347747
脱炭焼鈍は、実施例1と同条件とした。
冷間圧延では板厚を0.45〜2.0mmまで減じた。
仕上焼鈍は、400〜650℃×16時間とした。
得られた鋼板を用いて、実施例1と同様の実験を行った。なお、刃先焼入れ部の硬さはいずれも500HV以上であった。
結果を表4に示す。
Figure 0004347747
表4に示すとおり、本発明で規定する基地部および脱炭表層の硬さ、並びに脱炭表層厚さを有するもの(本発明例)は、いずれも良好な曲げ性を呈した。
これに対し、比較例であるNo.25,31は脱炭表層を有しておらず、No.23,29は脱炭表層の硬さが高すぎ、No.27は基地部の硬さが高すぎたため、いずれも曲げ性に劣った。
打抜き刃の形状を模式的に示す斜視図。 本発明の打抜き刃の断面構造を模式的に示す断面図。

Claims (4)

  1. 板厚の1〜10%厚さの脱炭表層を両面に形成した鋼板であって、脱炭表層が硬さ210HV以下のフェライト組織であり、脱炭の影響のない基地部が質量%でC:0.4〜1.0%,Si:0.2〜2.0%,Mn:0.2〜2.0%,P:0.05%以下,S:0.05%以下,Cr:0.3〜1.6%,Mo:0〜1.0%,V:0〜0.5%,残部Feおよび不可避的不純物の化学組成を有し、硬さ270〜350HVのフェライトと球状炭化物からなる組織である打抜き刃用鋼板。
  2. 板厚が0.4〜1.5mmである請求項1に記載の打抜き刃用鋼板。
  3. 帯状鋼板の側端部に刃付け加工部を有する打抜き刃であって、刃付け加工部を除く部分(胴部)が板厚の1〜10%厚さの脱炭表層を両面に形成した鋼板で構成され、当該胴部は、前記脱炭表層が硬さ210HV以下のフェライト組織であり、脱炭の影響のない基地部が質量%でC:0.4〜1.0%,Si:0.2〜2.0%,Mn:0.2〜2.0%,P:0.05%以下,S:0.05%以下,Cr:0.3〜1.6%,Mo:0〜1.0%,V:0〜0.5%,残部Feおよび不可避的不純物の化学組成を有し、硬さ270〜350HVのフェライトと球状炭化物からなる組織である打抜き刃。
  4. 請求項1または2に記載の打抜き刃用鋼板に、刃付け加工を施し、その後刃付け加工部を除く部分(胴部)に熱処理を加えずに刃先の焼入れ処理を行う打抜き刃の製造法。
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