JP4347140B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents
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ここで、前記水系ウレタン樹脂(a)は、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールおよびポリカーボネート系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたものであってもよい。
また、前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は、0.7〜1.5の範囲であることが望ましい。
ここで、前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記水系ポリオール樹脂(e)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は、0.7〜1.5の範囲であることが望ましい。
また、前記ウレタンビーズ(c)の平均粒径は、6〜10μmであることが望ましい。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は、グリセリンの平均重合度が4〜6のポリグリセリンと、炭素数が18の脂肪酸とをエステル化して得られたものであり、エステル化度が1であるものであることが望ましい。
ここで、前記水系ウレタン樹脂(a)が、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールおよびポリカーボネート系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたものであれば、塗膜の耐久性とソフトな触感がより向上する。
また、前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.7〜1.5の範囲であれば、塗膜の耐久性と触感とのバランスとがよくなる。
ここで、前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記水系ポリオール樹脂(e)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.7〜1.5の範囲であれば、塗膜の耐久性と触感とのバランスとがよくなる。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)が、グリセリンの平均重合度が4〜6のポリグリセリンと、炭素数が18の脂肪酸とをエステル化して得られたものであり、エステル化度の平均値が1であるものであれば、塗膜の耐久性、耐水性と、触感とのバランスがよくなる。
<水系ウレタン樹脂(a)>
本発明における水系ウレタン樹脂(a)は、ウレタン樹脂を水中に安定に分散させたものである。水中に安定に分散できるウレタン樹脂としては、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるポリウレタンを、ジオール、ジアミン、ジカルボン酸等のような2個以上の活性水素をもつ低分子量化合物により鎖伸長したウレタン樹脂;酸性基を有するポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂、などが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。
また、これらポリオールは単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
本発明におけるポリイソシアネート(b)としては、上記水系ウレタン樹脂(a)の原料であるポリイソシアネート(a2)と同様のものが挙げられる。
ウレタンビーズ(c)は、架橋ウレタン樹脂からなるウレタン樹脂粒子である。
ウレタンビーズ(c)の平均粒径は、6〜10μmであることが好ましい。平均粒径が6μm未満では、艶消し効果が得られず、高触感の塗膜が得られなくなるおそれがあり、平均粒径が10μmを超えると、塗膜にざらつきが生じ、また、磨耗接点が大きくなることから、磨耗時に塗膜から削り取られやすくなる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は、ポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化して得られたものであり、下記一般式で表されるものである(式中、Rは水素原子または脂肪酸残基(アシル基)であり、nはグリセリンの平均重合度である)。
本発明の水性塗料組成物においては、前記水系ウレタン樹脂(a)の代わりに、水系ポリオール樹脂(e)を用いることもできる。水系ポリオール樹脂(e)は、前記ポリイソシアネート(b)と、塗膜を形成する際に反応することにより、水系ウレタン樹脂(a)と同等のウレタン樹脂を形成する。
水系ポリオール樹脂(e)は、ポリオール樹脂を水中に安定に分散させたものである。ポリオール樹脂としては、上述のポリオール(a1)と同様のものが挙げられる。具体例としては、住化バイエルウレタン(株)製の水系ポリエステル−ポリウレタンポリオール樹脂である「バイヒドロールPT241」などが挙げられる。
本発明の水性塗料組成物は、水系ウレタン樹脂(a)または水系ポリオール樹脂(e)と、ポリイソシアネート(b)と、ウレタンビーズ(c)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)とを含有するものである。
なお、本発明における固形分とは、水性塗料組成物から水、造膜助剤(有機溶剤)等、塗膜を形成する際に蒸発する成分を除いたものである。
以上説明した本発明の水性塗料組成物にあっては、保湿性の高いポリグリセリン脂肪酸エステル(d)を含んでいるので、得られる塗膜は従来のスリップ効果によるしっとりとした触感とは異なる、真にみずみずしくしっとりとした触感を発揮することができる。
また、バインダー樹脂成分として水系ウレタン樹脂(a)またはポリオール樹脂(e)と、ポリイソシアネート(b)とを含み、しかもウレタンビーズ(c)を含んでいるので、得られる塗膜はウレタン樹脂特有の弾性により、ソフトな触感を発揮する。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)が塗膜表面に偏在することなく、塗膜全体に存在しているので、耐水性に優れている。
[実施例1]
水系ウレタン樹脂(a)としてHUX−561(旭電化工業(株)製、ポリオールとしてポリカーボネート系ポリオールを使用)67質量部(固形分40質量部)、ポリイソシアネート(b)としてバイヒジュール3100(住友バイエル社製、固形分100質量%)6.8質量部、ウレタンビーズ(c)としてアートパールC800(根上工業(株)製、平均粒径8μm)24質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)としてIS−601P(阪本薬品工業(株)製、平均重合度6、脂肪酸の炭素数18、エステル化度の平均値1)3質量部、増粘剤としてレオレート350(エレメンティス社製)1質量部、加工顔料としてアクアファイン ブラックE−2B(大日精化工業(株)製)5質量部を混合し、十分に攪拌し、水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は50.1質量%、ポリイソシアネート(b)は8.5質量%、ウレタンビーズ(c)は30.0質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は3.8質量%であった。
この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
塗膜を手で触り、その触感を以下の基準で評価した。
○:従来の触感塗料以上のみずみずしいしっとりとした触感。
△:従来の触感塗料と同等のしっとりとした触感。
×:従来の触感塗料以下のザラザラとした触感。
塗膜に対し約45度の角度で鉛筆(三菱鉛筆(株)製、ハイユニ)を持ち、芯が折れない程度に塗膜に押しつけて、均一な速さで押し終わるまで動かした後、鉛筆の跡がはっきりと見えるときの鉛筆芯の硬さから評価した。
塗膜上に1平方センチメートルあたり100gの荷重をかけて、ガーゼを敷き、ガーゼを10cm/秒の速度で200往復させた後、色落ち性をグレースケールを用いて等級評価した。
50℃温水中に4時間浸漬後、色差計CR−300を用いて色差測定を行い、初期塗料との色差測定値との差から評価した。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)としてIS−401P(阪本薬品工業(株)製、平均重合度4、脂肪酸の炭素数18、エステル化度の平均値1)を用い、ポリイソシアネート(b)の量を6.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は50.6質量%、ポリイソシアネート(b)は7.7質量%、ウレタンビーズ(c)は30.3質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は3.8質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例1と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
水系ポリウレタン樹脂(a)の量を69質量部に変更し、ポリイソシアネート(b)の量を2.0質量部に変更し、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)の量を1質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は55.5質量%、ポリイソシアネート(b)は2.6質量%、ウレタンビーズ(c)は32.3質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は1.3質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例2と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
水系ポリウレタン樹脂(a)の量を65質量部に変更し、ポリイソシアネート(b)の量を10.2質量部に変更し、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)の量を5質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は46.2質量%、ポリイソシアネート(b)は12.1質量%、ウレタンビーズ(c)は28.6質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は6.0質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例2と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリイソシアネート(b)の量を4.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)を0.7に変更した以外は、実施例2と同様にして水性塗料を得た。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は51.7質量%、ポリイソシアネート(b)は5.6質量%、ウレタンビーズ(c)は31.0質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は3.9質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例2と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリイソシアネート(b)の量を9.2質量部に変更し、ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)を1.5に変更した以外は、実施例2と同様にして水性塗料を得た。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は48.7質量%、ポリイソシアネート(b)は11.2質量%、ウレタンビーズ(c)は29.2質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は3.6質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例2と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
水系ウレタン樹脂(a)の代わりに水系ポリオール樹脂(e)としてバイヒドロールPT241(住化バイエルウレタン(株)製、水系ポリエステル−ポリウレタンポリオール樹脂)67質量部(固形分40質量部)、ポリイソシアネート(b)としてバイヒジュール3100(住友バイエル社製、固形分100質量%)10.6質量部、ウレタンビーズ(c)としてアートパールC800(根上工業(株)製)24質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)としてIS−401P(阪本薬品工業(株)製、平均重合度4、脂肪酸の炭素数18、エステル化度の平均値1)3質量部、増粘剤としてレオレート350(エレメンティス社製)1質量部、加工顔料としてアクアファイン ブラックE−2B(大日精化工業(株)製)5質量部を混合し、十分に攪拌し、水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ポリオール樹脂(e)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ポリオール樹脂(a)の固形分は47.8質量%、ポリイソシアネート(b)は12.7質量%、ウレタンビーズ(c)は28.7質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)は3.6質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例1と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリイソシアネート(b)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)を配合しない以外は、実施例1と同様にして水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は0であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は57.1質量%、ウレタンビーズ(c)は34.3質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例1と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリイソシアネート(b)の量を13.3質量部に変更し、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)をポリグリセリン(阪本薬品工業(株)製、ポリグリセリン#310、平均重合度4、エステル化度0)に変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗料を得た。ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリンに含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)は1であった。また、水性塗料の固形分(100質量%)中、水系ウレタン樹脂(a)の固形分は46.3質量%、ポリイソシアネート(b)は15.4質量%、ウレタンビーズ(c)は27.8質量%、ポリグリセリンは3.5質量%であった。
この水性塗料を用いて、実施例1と同様にして塗膜を形成した。この塗膜について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2の水性塗料から形成された塗膜は、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)の代わりにポリグリセリンを含んでいたため、みずみずしくしっとりとした触感を有していたものの、鉛筆硬度、耐摩耗性および耐水性が著しく劣っていた。
Claims (8)
- 水系ウレタン樹脂(a)と、ポリイソシアネート(b)と、ウレタンビーズ(c)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物。
- 前記水系ウレタン樹脂(a)が、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールおよびポリカーボネート系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1記載の水性塗料組成物。
- 前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記水系ウレタン樹脂(a)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.7〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水性塗料組成物。
- 水系ポリオール樹脂(e)と、ポリイソシアネート(b)と、ウレタンビーズ(c)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物。
- 前記ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基の数(NCO)と前記水系ポリオール樹脂(e)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(d)に含まれる水酸基の数(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.7〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項4記載の水性塗料組成物。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)の含有率が、水性塗料組成物の固形分(100質量%)中、1〜6質量%であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- 前記ウレタンビーズ(c)の平均粒径が、6〜10μmであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(d)が、グリセリンの平均重合度が4〜6のポリグリセリンと、炭素数が18の脂肪酸とをエステル化して得られたものであり、エステル化度の平均値が1であるものであることを特徴とする請求項1ないし7いずれか一項に記載の水性塗料組成物。
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