JP4345339B2 - 制動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緊急時における車両の制動力を増加させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、緊急時における運転者によるブレーキペダルの踏み込み量が十分でない場合に、車両の制動力を増加させるようにした制動制御装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ブレーキ操作検出時における物体との接触可能性に基づきその物体との接触を回避するための接触回避減速度を算出し、車両の減速度がその算出した接触回避減速度となるように車両の制動力を増加させるようにしたものが開示されている。
【0003】
しかし、この構成では、運転者によるブレーキ操作量とは無関係に車両の減速度が決まるため、運転者に与える違和感が大きくなってしまう。
一方、特許文献2には、ブレーキ操作検出時における運転者の状態や車両の周辺状態に基づき緊急度を判定し、その緊急度に応じた割合で運転者のブレーキ操作により発生する制動力を増幅させるようにしたものが開示されている。
【0004】
この構成によれば、運転者のブレーキ操作量に応じた分のアシストがされることとなり、上記特許文献1の構成に比べ、運転者に与える違和感を抑えることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−118368号公報(第3−6頁、第4図)
【特許文献2】
特開平11−48952号公報(第3−5頁、第5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に記載の構成では、単にブレーキ操作検出時に判定した緊急度に応じた割合で制動力を増幅させているだけであり、運転者に与える違和感を抑えるのに十分とはいえない。このため、運転者に与える違和感を一層低減することが望まれる。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、制動力を増幅することにより運転者に与える違和感を低減することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の制動制御装置では、衝突危険度判断手段が、車両の衝突危険度を判断し、制動力制御手段が、運転者のブレーキ操作により発生する制動力を所定のアシスト率に応じて増幅した制動力を制動装置に発生させる制動力増幅制御を、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づいて行う。ここで、上記アシスト率は、制動力増幅制御中の状況に応じて値が変化するフィードバック成分を含んでおり、制動力制御手段は、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御中のブレーキ操作量、及び、衝突危険度判断手段により判断される制動力増幅制御中の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づき、フィードバック成分を算出する。なお、ブレーキ操作量は、例えばマスタシリンダ圧やブレーキストローク量に基づき検出することができる。
【0009】
このような請求項1の制動制御装置によれば、制動力増幅制御中のブレーキ操作量や衝突危険度の変化に応じてアシスト率を変化させることができる。このため、状況に応じた適切な制動力増幅制御を行うことが可能となり、運転者に与える違和感を低減することができるとともに、安全性を向上させることができる。
さらに、請求項1の制動制御装置によれば、制動力制御手段は、衝突危険度判断手段により衝突危険度が高いと判断されている状態で制動力増幅制御を開始するためのブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量のしきい値を、制動力増幅制御開始前のブレーキ操作量に基づいて変更するときに、ブレーキ操作がされている状態からブレーキ操作量が増加することにより制動力増幅制御を開始する場合の上記しきい値を、ブレーキ操作がされていない状態からブレーキ操作がされることにより制動力増幅制御を開始する場合のしきい値に比べ、大きい値に設定する。
この構成によれば、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始前のブレーキ操作量に基いて上記しきい値を変更するので、制動力増幅制御を行うべき状況であるにもかかわらず制動力増幅制御が開始されなかったり、逆に、制動力増幅制御を行うべき状況でないにもかかわらず制動力増幅制御が開始されたりすることを低減することができる。
具体的には、制動力制御手段が、ブレーキ操作がされている状態からブレーキ操作量が増加することにより制動力増幅制御を開始する場合の上記しきい値を、ブレーキ操作がされていない状態からブレーキ操作がされることにより制動力増幅制御を開始する場合の上記しきい値に比べ、大きい値に設定する。ブレーキ操作がされている状態においては、運転者自身が危険を認知している可能性が高いと考えられるため、ブレーキ操作がされていない状態に比べ制動力増幅制御が開始されにくくすることで、運転者の意に反した制動力が発生してしまうことを防ぐことができるからである。
【0010】
次に、請求項2および5に記載の制動制御装置では、制動力制御手段が、衝突危険度判断手段により衝突危険度が高いと判断されている状態で、ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量の増加速度が所定のしきい値を越えた場合に、制動力増幅制御を開始する。この構成によれば、ブレーキ操作量が増加したタイミングで制動力増幅制御が開始されるため、制動力増幅制御開始時に運転者に与える違和感を低減することができる。
【0011】
次に、請求項3および4に記載の制動制御装置では、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御中のブレーキ操作量の制動力増幅制御開始時の値に対する変化量、及び、衝突危険度判断手段により判断される制動力増幅制御中の衝突危険度の制動力増幅制御開始時の値に対する変化量のうちの少なくとも一方に基づき、フィードバック成分を算出する。この構成によれば、制動力増幅制御開始時におけるフィードバック成分の増加を滑らかにすることができ、その結果、運転者に与える違和感を抑えることができる。
【0012】
次に、請求項6に記載の制動制御装置では、上記請求項5の装置において、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始前のブレーキ操作量に基づき、上記しきい値を変更するようにすれば、制動力増幅制御を行うべき状況であるにもかかわらず制動力増幅制御が開始されなかったり、逆に、制動力増幅制御を行うべき状況でないにもかかわらず制動力増幅制御が開始されたりすることを低減することができる。
【0013】
次に、請求項7に記載によれば、請求項3〜6の何れかの装置において、フィードバック成分が、上記変化量の比例項及び微分項を含んでいれば、絶対量と変化量との両方が加味された適切なフィードバック成分を算出することができる。
【0014】
ところで、車両の衝突危険度は、例えば、ブレーキ操作量の増加速度に基づき判断したり、また、特開平11−48952号公報に記載のように、運転者の状態(居眠り状態や脇見状態等)に基づき判断したりすることが可能であるが、衝突危険度の信頼性をより高くするには、例えば請求項8のように構成するとよい。
【0015】
すなわち、請求項8に記載の制動制御装置では、上記請求項1〜7の何れかの装置において、衝突危険度判断手段が、車両の周辺状態を検出する周辺状態検出手段を備えており、この周辺状態検出手段により検出した周辺状態に基づき衝突危険度を判断する。この構成によれば、衝突危険度を直接的に判断することとなるため、ブレーキ操作量や運転者状態に基づき衝突危険度を間接的に判断する構成に比べ、衝突危険度の信頼性を高くすることができる。
【0016】
次に、請求項9に記載の制動制御装置では、上記請求項1〜8の何れかの装置において、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量に基づき算出したブレーキ操作量成分と、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づき算出した衝突危険度成分とから、フィードバック成分を算出する。この構成によれば、運転者により行われるブレーキ操作と車両の衝突危険度とを加味した適切な値のフィードバック成分を算出することができる。
【0017】
ここで、フィードバック成分は、例えば請求項10に記載のように、ブレーキ操作量成分と衝突危険度成分との和として算出することができる。
次に、請求項11に記載の制動制御装置では、上記請求項9又は10の装置において、正確度判断手段が、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度の正確度を判断し、制動力制御手段が、正確度判断手段により判断される正確度が高いほど、フィードバック成分の衝突危険度成分に対する依存度を大きくする。つまり、車両の衝突危険度は、ブレーキ操作量に比べあいまいな値となりやすく、衝突危険度の正確度が低い場合にその衝突危険度に基づき算出した衝突危険度成分を加味し過ぎると、フィードバック成分の値の信頼性が低下してしまうが、本装置によれば、衝突危険度の正確度が低い場合にはその正確度が高い場合に比べ衝突危険度成分が加味されないようになるため、適切なフィードバック成分を算出することができる。
【0018】
次に、請求項12に記載の制動制御装置では、上記請求項9〜11の何れかの装置において、制動力制御手段が、衝突危険度判断手段により判断される制動力増幅制御中の衝突危険度の値が大きくなるほど衝突危険度成分の値を増加させる。この構成によれば、制動力増幅制御中に衝突危険度の値が大きくなった場合にも、それに応じてアシスト率が大きくなるため、安全性を向上させることができる。
【0019】
次に、請求項13に記載の制動制御装置では、上記請求項12の装置において、制動力制御手段が、制動力増幅制御中の衝突危険度の値に対する衝突危険度成分の値の増加度合いを、制動力増幅制御開始時に衝突危険度判断手段により判断された衝突危険度が大きいほど大きくする。この構成によれば、運転者の減速動作を反映したフィードバック成分を算出することができる。すなわち、一般に、ブレーキタイミングの遅い運転者は、衝突の危険性が高くなると急激にブレーキ力を強め、逆に、ブレーキタイミングの早い運転者は、衝突の危険性が高まるのに伴い緩やかにブレーキ力を強める傾向がある。このため、制動力増幅制御開始時の衝突危険度が大きいほど衝突危険度成分の値の増加度合いを大きくすることで、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0020】
具体的には、例えば請求項14に記載のように、制動力制御手段が、衝突危険度成分の最大値が一定となるように上記増加度合いを設定するようにしてもよい。
次に、請求項15に記載の制動制御装置では、上記請求項12〜14の何れかの装置において、制動力制御手段が、制動力増幅制御中に衝突危険度成分の値を減少させないようにしている。この構成によれば、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度が急変した場合に、制動力が急変してしまうことを防ぐことができる。
【0021】
次に、請求項16に記載の制動制御装置では、上記請求項12〜15の何れかの装置において、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御中のブレーキ操作量に応じてブレーキ操作量成分の値を変化させるようになっており、ブレーキ操作量が増加していない状態では衝突危険度成分の値を増加させないようにしている。この構成によれば、運転者が制動力を増加させようとしていない場合には、フィードバック成分を増加させないようにすることができる。このため、運転者の意思を反映した制御を実現することができる。
【0022】
次に、請求項17に記載の制動制御装置は、上記請求項1〜16の何れかの装置において、報知手段が、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づき運転者に報知動作を行う。この構成によれば、衝突危険度が高いにもかかわらずブレーキ操作がされていないような場合に、運転者にブレーキ操作を促すことができる。このため、運転者がブレーキ操作を行っていないにもかかわらず強制的に制動力を発生させる構成(いわゆる自動ブレーキ)に比べ、運転者に与える違和感を小さくすることができる。
【0023】
そして特に、請求項18に記載のように、制動力制御手段が、ブレーキ操作がされていない状態で報知手段により報知動作が行われた場合のアシスト率を、ブレーキ操作がされている状態で報知手段により報知動作が行われた場合のアシスト率に比べ、大きい値となるように算出するとよい。つまり、ブレーキ操作がされていない状態で報知動作が行われた場合には、運転者が危険を認知していない可能性が高いことから、ブレーキ操作がされている状態で報知動作が行われた場合に比べ、アシスト率を大きくするのである。この構成によれば、安全性を向上させることができる。
【0024】
ところで、アシスト率は、フィードバック成分のみによる値であってもよいが、例えば、請求項19のようにしてもよい。
すなわち、請求項19に記載の制動制御装置は、上記請求項1〜18の何れかの装置において、アシスト率が、制御力増幅制御開始時の状況に応じて値が決定されるフィードフォワード成分を含んでおり、制動力制御手段が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量、及び、衝突危険度判断手段により判断される制動力増幅制御開始時の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づき、フィードフォワード成分を算出する。この構成によれば、制動力増幅制御開始時のアシスト率の応答性や、制動力増幅制御中のアシスト率の安定性を向上させることができる。
【0025】
そして特に、請求項20に記載のように、フィードフォワード成分が、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量の増加速度に応じた勾配で立ち上がるようになっていれば、制動力増幅制御開始時に運転者に与える違和感を低減することができる。
【0026】
次に、請求項21に記載の制動制御装置では、衝突危険度判断手段が、車両の衝突危険度を判断し、制動力制御手段が、運転者のブレーキ操作により発生する制動力を所定のアシスト率に応じて増幅した制動力を制動装置に発生させる制動力増幅制御を、衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づいて行う。ここで、上記アシスト率は、制御力増幅制御開始時の状況に応じて値が決定されるフィードフォワード成分を含んでおり、制動力制御手段は、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量、及び、衝突危険度判断手段により判断される制動力増幅制御開始時の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づき、フィードフォワード成分を算出するように構成されており、フィードフォワード成分は、ブレーキ操作量検出手段により検出される制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量の増加速度に応じた勾配で立ち上がる。この構成によれば、制動力増幅制御開始時に運転者に与える違和感を低減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、実施形態の制動制御装置1の概略構成を表すブロック図である。
この制動制御装置1は、当該装置1を搭載した車両(自車両)の制動力を必要に応じて増幅するためのものであり、図1に示すように、自車両前方へレーザ光をスキャンしてその反射光を検出することで前方物体(物標)の位置、速度、形状等を求めるレーザレーダ12と、ホイールシリンダ圧(以下「W/C圧」という。)を検出するW/C圧センサ14と、マスタシリンダ圧(以下「M/C圧」という。)を検出するM/C圧センサ16と、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ18と、走行中に自車両の重心軸周りに加わる角速度を検出するヨーレートセンサ20と、ブレーキ操作のオン/オフを検出するブレーキペダルスイッチ(以下「ブレーキペダルSW」という。)22と、自車両の制動力を発生するブレーキアクチュエータ(以下「ブレーキACT」という。)24と、運転者に対しブザーによる報知動作を行う警報ブザー26と、これらを制御するブレーキアシスト制御装置(以下「BA−ECU」という。)28とを備えている。
【0028】
ブレーキACT24は、図2に示すように、マスタシリンダ32と、調圧弁34と、オイルリザーバ36と、ポンプ38と、リニアソレノイド40と、ホイールシリンダ42とを備えている。
マスタシリンダ32は、図示しないブレーキペダルの踏み込み操作により、その踏み込み量に応じたM/C圧を発生させる。
【0029】
ポンプ38は、BA−ECU28からの駆動電流により作動し、オイルリザーバ36からのブレーキオイルを昇圧してリニアソレノイド40へ供給する。なお、ポンプ38の作動によりオイルリザーバ36内のオイル量が一定量以下となると、調圧弁34が開いてマスタシリンダ32内のブレーキオイルがオイルリザーバ36へ誘導されることにより、オイルリザーバ36内のオイル量が調整される。
【0030】
リニアソレノイド40は、ポンプ38により昇圧されたブレーキオイルを、BA−ECU28からの駆動電流に応じた分配比で、ホイールシリンダ42側に繋がる第1経路とオイルリザーバ36側に繋がる第2経路とに分配する。
そして、BA−ECU28は、後述するようにW/C圧の目標値である目標W/C圧を算出すると、W/C圧センサ14により検出されるW/C圧がその目標W/C圧となるように、ポンプ38を作動させつつリニアソレノイド40によるブレーキオイルの分配比を制御する。こうして、運転者のブレーキ操作による制動力が所望の大きさに増幅される。
【0031】
次に、BA−ECU28が行うメイン処理の概要について、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、本メイン処理は、定期的に実行される。
このメイン処理が開始されると、まずS110にて、レーザレーダ12から、自車両の前方に存在する物標(前方車両等)の位置、速度、形状等のデータを受信する。
【0032】
続いて、S120では、自車両についてのデータを受信する。具体的には、W/C圧センサ14、M/C圧センサ16、車輪速センサ18、ヨーレートセンサ20、ブレーキペダルSW22による各検出値を受信する。
続いて、S130では、自車両が前方の物体と衝突する危険の度合いを表す衝突確率を演算する。
【0033】
続いて、S140では、自車両が物体と衝突する危険性が高い場合にその旨を運転者に報知するための警報処理を行う。
続いて、S150では、BA−ECU28の自車両に対する制御状態であるBA制御状態を判定する。
【0034】
続いて、S160では、運転者のブレーキ操作による制動力を増幅する割合であるアシスト率を演算する。
続いて、S170では、自車両の目標減速度を演算する。
続いて、S180では、S170で算出した目標減速度を得るための前後輪の目標W/C圧を演算する。
【0035】
続いて、S190では、W/C圧センサ14により検出されるW/C圧がS180にて求めた前後輪の目標W/C圧となるようにブレーキACT24を制御するブレーキACT駆動処理を行う。
最後に、S200で、車輪速センサ18の検出値に基づき算出した自車両の速度と、ヨーレートセンサ20の検出値とをレーザレーダ12へ送信する周知の処理を行い、本メイン処理を終了する。
【0036】
以下、各処理の内容について具体的に説明する。
まず、図3におけるS130にて行う衝突確率の演算について説明する。
衝突確率とは、自車両の前方に存在する各物体について、自車両がその物体と衝突する危険の度合いを表す値である。本実施形態においては、物体との衝突を回避するのに必要な減速度に基づき、必要な減速度が大きいほど衝突確率が高いと判定し、必要な減速度が小さいほど衝突確率が低いと判定する。つまり、自車両が物体と衝突する危険の度合いが小さいほど、その物体についての衝突確率が低い値となり、自車両が物体と衝突する危険の度合いが大きいほど、その物体についての衝突確率が高い値となる。具体的には、衝突確率を0%〜100%の1%刻みで算出するようにしており、第1の減速度で減速した場合にその物体との衝突を回避できる状態を衝突確率0%、第1の減速度よりも大きい第2の減速度で減速した場合にもその物体との衝突を回避できない状態を衝突確率100%としている。なお、第1の減速度は、ブレーキが軽く踏み込まれた際の減速度のような小さい値に設定され、第2の減速度は、フルブレーキ時における減速度のような大きい値に設定される。
【0037】
衝突確率は、レーザレーダ12により得られる物体の位置や速度等の幾何学的情報と、車輪速センサ18及びヨーレートセンサ20により得られる自車両の情報とに基づき算出することができる。ここで、こうした情報から自車両が物体と衝突する危険性を判断する手法としては、従来から種々の手法が提案されており、本実施形態においてもこうした手法を利用して衝突確率を算出することができる。例えば、特開平7−262499号公報や特開平9−175295号公報には、衝突危険性が高い警報領域を設定し、その警報領域と物体との位置関係に基づき衝突危険性が高いか否かを判断する手法が開示されており、この手法を用いて衝突危険度に応じた複数の警報領域を設定するようにすれば、その警報領域と物体との位置関係に基づき衝突確率を判断することができる。
【0038】
次に、図3におけるS140にて行われる警報処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
この警報処理が開始されると、まずS310では、図3のS130にて自車両前方の各物体について求めた衝突確率のうちの最大値である衝突確率最大値を選択する。
【0039】
続いて、S320では、S310にて選択した衝突確率最大値がしきい値Rt以上であるか否かを判定する。つまり、自車両が物体と衝突する危険性が高いか否かを判断している。
そして、S320で、衝突確率最大値がしきい値Rt以上であると判定した場合には、S330へ移行し、警報ブザー26を駆動して、本警報処理を終了する。これにより、自車両が物体と衝突する危険性が高いことが運転者に報知される。
【0040】
一方、S320で、衝突確率最大値がしきい値Rt以上ではない(しきい値Rt未満である)と判定した場合には、S340へ移行し、警報ブザー26を停止して、本警報処理を終了する。
次に、図3におけるS150にて行われるBA制御状態判定処理について説明する。
【0041】
図5の状態遷移図に示すように、BA−ECU28の自車両に対するBA制御状態は、待機モード、第1準備モード、第2準備モード、第1アシストモード及び第2アシストモードの5つに大別され、これらのBA制御状態は、複数のフラグの値に基づき切り替えられるようになっている。
【0042】
ここで、BA制御状態を切り替えるためのフラグについて説明する。
▲1▼BA開始エリア進入フラグfR
BA開始エリア進入フラグ(以下「進入フラグ」という。)fRは、衝突確率最大値がしきい値Rt以上の場合に「1」となり、しきい値Rt未満の場合に「0」となる。つまり、進入フラグfRは、自車両が物体と衝突する危険性が高い場合に「1」となる。なお、本実施形態において、しきい値Rtは、前述した警報ブザー26を駆動する判定しきい値Rtと同じ値に設定されている。
【0043】
▲2▼ブレーキ踏み込みフラグfP1
ブレーキ踏み込みフラグ(以下「踏込フラグ」という。)fP1は、ブレーキが踏まれていない状態からブレーキの踏み込み操作が行われ、かつ、その際のM/C圧勾配がしきい値Pt1以上の場合に「1」となり、それ以外の状態では「0」となる。つまり、踏込フラグfP1は、ある程度の速さでブレーキが踏み込まれた場合に「1」となる。なお、しきい値Pt1は、ブレーキに足を載せる程度の軽いブレーキ操作では踏込フラグfP1が「1」とならず、通常のブレーキ操作では踏込フラグfP1が「1」となる程度の小さい値に設定される。
【0044】
▲3▼ブレーキ踏み増しフラグfP2
ブレーキ踏み増しフラグ(以下「踏増フラグ」という。)fP2は、ブレーキが踏まれている状態からブレーキの踏み増し操作が行われ、かつ、その際のM/C圧勾配がしきい値Pt2以上の場合に「1」となり、それ以外の状態では「0」となる。つまり、踏増フラグfP2は、ある程度の速さでブレーキが踏み増された場合に「1」となる。なお、しきい値Pt2は、通常のブレーキ踏み増し操作では踏込フラグfP2が「1」とならず、緊急時の強い踏み増し操作では踏込フラグfP2が「1」となる程度の大きい値(Pt2≫Pt1)に設定される。
【0045】
▲4▼ブレーキランプ点灯フラグfb
ブレーキランプ点灯フラグ(以下「点灯フラグ」という。)fbは、ブレーキランプが点灯している場合(すなわち、ブレーキペダルSW22がオンしている場合)に「1」となり、それ以外の状態では「0」となる。つまり、点灯フラグfbは、ブレーキが踏まれた場合に「1」となる。
【0046】
▲5▼自車停止状態フラグfst
自車停止状態フラグ(以下「停止フラグ」という。)fstは、自車両の速度がしきい値Vtを下回った状態が一定時間継続することにより「1」となり、それ以外の状態では「0」となる。つまり、停止フラグfstは、自車両が停止状態又はそれに近い状態となってる場合に「1」となる。
【0047】
次に、これらのフラグの値に基づくBA制御状態の切り替えについて説明する。
自車両が停止状態又はそれに近い状態では、停止フラグfstが「1」となっており、BA制御状態が待機モードになっている。この待機モードにおいて、自車両が通常走行を開始することにより停止フラグfstが「0」となり、かつ、自車両が物体と衝突する危険性が高くなることにより進入フラグfRが「1」となると、BA制御状態が第1準備モード及び第2準備モードの何れか一方に切り替わる。具体的には、点灯フラグfbが「0」となっている場合(ブレーキが踏まれていない状態)には第1準備モードに切り替わり、点灯フラグfbが「1」となっている場合(ブレーキが踏まれている状態)には第2準備モードに切り替わる。なお、待機モードから第1準備モード又は第2準備モードへ切り替わるタイミングで、警報ブザー26による報知(図4)が行われることとなる。
【0048】
第1準備モードにおいて、ブレーキが踏み込まれることにより点灯フラグfbが「1」となり、かつ、その際のブレーキ踏み込み操作が極めて緩やかに行われることにより踏込フラグfP1が「0」となっている場合に、第2準備モードに切り替わる。
【0049】
また、第2準備モードにおいて、ブレーキから足が離されることにより点灯フラグfbが「0」となると、第1準備モードに切り替わる。
一方、第1準備モードにおいて、ブレーキが踏み込まれることにより点灯フラグfbが「1」となり、かつ、その際のブレーキ踏み込み操作が極めて緩やかなものでないことにより踏込フラグfP1が「1」となると、第1アシストモードに切り替わる。
【0050】
そして、第1アシストモードにおいて、ブレーキから足が離されることにより点灯フラグfbが「0」となると、第1準備モードに切り替わる。
また、第2準備モードにおいて、ブレーキの強い踏み増し操作が行われることにより踏増フラグfP2が「1」となると、第2アシストモードに切り替わる。
【0051】
そして、第2アシストモードにおいて、ブレーキから足が離されることにより点灯フラグfbが「0」となると、第1準備モードに切り替わる。
一方また、第1準備モード、第2準備モード、第1アシストモード及び第2アシストモードの何れのBA制御状態においても、自車両が停止状態又はそれに近い状態となることにより停止フラグfstが「1」となると、待機モードに切り替わる。また、停止フラグfstが「0」であっても、ブレーキから足が離されることにより点灯フラグfbが「0」となり、かつ、自車両が物体と衝突する危険性が低くなることで進入フラグfRが「0」となると、待機モードに切り替わる。
【0052】
このように、複数種類のフラグの値に基づきBA制御状態が切り替わるようになっている。そして、図3におけるS150にて行われるBA制御状態判定処理では、現在のBA制御状態がどのモードになっているかを判定するのである。
そして、BA−ECU28は、BA制御状態が第1アシストモード又は第2アシストモードとなっている場合に、運転者のブレーキ操作による制動力を所定のアシスト率に応じて増幅する制動力増幅制御を行う。なお、本実施形態においては、後述するように、BA制御状態が第1アシストモード又は第2アシストモードとなっている場合にのみアシスト率を0より大きい値に設定することで、制動力増幅制御を行うようにしている。
【0053】
ここで、第1アシストモードにおける制動力増幅制御は、当該制動制御装置1において衝突危険度が大きいと判断しているにもかかわらずブレーキが踏まれていない状態から、ブレーキが踏み込まれることにより開始される。このような状況は、例えば、脇見運転や居眠り運転等により運転者が危険に気付いていなかった場合や、運転者が危険と判断していない場合が考えられる。したがって、警報により危険を認知した運転者によってブレーキが踏み込まれた時点で制動力増幅制御を開始するようにしているのである。
【0054】
一方、第2アシストモードにおける制動力増幅制御は、当該制動制御装置1において衝突危険度が大きいと判断している際にブレーキが踏まれている状態から、ブレーキが更に踏み込まれることにより開始される。このような状況は、運転者が既に危険を認知している場合が考えられる。したがって、ブレーキが踏まれていても基本的にはブレーキ介入を控え、ブレーキが急激に踏み増しされた時点で制動力増幅制御を開始するようにしているのである。
【0055】
次に、図3におけるS160にて行われるアシスト率演算処理について説明する。
制動力増幅制御においては、運転者のブレーキ操作による自車両の減速度(以下「運転者減速度」という。)を、所定のアシスト率に応じて増幅する。
【0056】
ここで、アシスト率とは、運転者減速度に対するアシスト量(アシストする減速度)の割合であり、次の式(1)で表わされる。
アシスト率=(目標減速度−運転者減速度)/運転者減速度 …式(1)
そして、本実施形態では、図6に示すように、M/C圧及び衝突確率からフィードフォワード項(以下「アシスト率F/F項」という。)とフィードバック項(以下「アシスト率F/B項」という。)とを算出し、アシスト率をこれらの和として算出するようにしている。
【0057】
ここで、アシスト率F/F項は、制動力増幅制御開始時(すなわち、BA制御状態が第1アシストモード又は第2アシストモードに切り替わった時)のM/C圧及び衝突確率から算出する。このため、制動力増幅制御開始時のアシスト量の応答性を確保することができ、また、制動力増幅制御中のアシスト率の安定性を向上させることができる。
【0058】
一方、アシスト率F/B項は、制動力増幅制御中(すなわち、BA制御状態が第1アシストモード又は第2アシストモードとなっている間)のM/C圧及び衝突確率から算出する。このため、制動力増幅制御中の衝突危険度の変化や運転者によるブレーキ操作の変化に応じたアシスト量の調整を行うことができる。
【0059】
次に、アシスト率F/F項の演算方法について説明する。
アシスト率F/F項は、図7に示す演算ブロック図に従い算出する。なお、図7中の値が示す内容は次の通りである。
fBA:制動力増幅制御が開始されることにより立ち上がるBA要求フラグ
Pm:M/C圧[MPa]
△Pm:M/C圧勾配[MPa/sec]
Rm:衝突確率最大値[%]
△Rm:衝突確率最大値勾配[%/sec]
Pm0:制動力増幅制御開始時のM/C圧[MPa]
△Pm0:制動力増幅制御開始時のM/C圧勾配[MPa/sec]
Rm0:制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値[%]
△Rm0:制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値勾配[%/sec]
U(z):1次遅れへの入力
Y(z):1次遅れからの出力
Kff:1次遅れのゲイン
図7に示すように、BA要求フラグfBAが立ち上がった時点(制動力増幅制御が開始された時点)でのM/C圧Pm0、M/C圧勾配△Pm0、衝突確率最大値Rm0、衝突確率最大値勾配△Rm0をPDコントローラに入力することで、1次遅れのゲインKffを算出する。
【0060】
ここで、パルス伝達関数G(z)は、次の式(2)で表わされる。なお、Tsはサンプリング時間、Tcは時定数である。
【0061】
【数1】
【0062】
この式(2)について、時定数Tc=U(z)/△Pm0を代入し、G(z)=Y(z)/U(z)の関係で式変形することにより、次の式(3)が導かれる。
【0063】
【数2】
【0064】
さらに、これを逆z変換により漸化式に変換することで、次の式(4)が導かれる。
【0065】
【数3】
【0066】
そして、アシスト率F/F項を算出するプログラムにおいては、この式(4)を用いてアシスト率F/F項を算出するようになっている。
このように、アシスト率F/F項の算出に1次遅れを採用し、1次遅れの時定数をM/C圧勾配△Pm0に応じて変更することで、図8に示すように、制動力増幅制御開始時のアシスト率F/F項の勾配が、制動力増幅制御開始時のM/C圧勾配△Pm0と一致する(点線a部分)。このため、制動力増幅制御を開始した瞬間に運転者に与える違和感を抑えることができる。
【0067】
また、制動力増幅制御開始時のM/C圧Pm0及び衝突確率最大値Rm0に応じてアシスト率F/F項の値が変化するため(点線b部分)、制動力増幅制御開始時の状況に応じたアシスト率を算出することができる。
次に、アシスト率F/B項の演算方法について説明する。
【0068】
アシスト率F/B項は、図9に示す演算ブロックに従い算出する。
図9に示すように、アシスト率F/B項は、M/C圧Pmに基づき算出されるアシスト率M/C圧成分と、衝突確率最大値Rmに基づき算出されるアシスト率衝突確率成分との和として算出される。このようにブレーキ操作量と衝突確率とからアシスト率を算出することで、ドライバビリティと危険回避性能との両立を図ることができる。
【0069】
アシスト率M/C圧成分は、制動力増幅制御中のM/C圧Pmと制動力増幅制御開始時のM/C圧Pm0との差、すなわち、M/C圧Pmの制動力増幅制御開始時の値Pm0に対する変化量に基づき算出される。また同様に、アシスト率衝突確率成分は、制動力増幅制御中の衝突確率最大値Rmと制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0との差、すなわち、衝突確率最大値Rmの制動力増幅制御開始時の値に対する変化量に基づき算出される。このため、制動力増幅制御を開始した瞬間のアシスト率F/B項の値は0となり、制動力増幅制御開始時に制動力が急激に増加することによるショックが低減される。
【0070】
そして、アシスト率M/C圧成分は、制動力増幅制御中のM/C圧Pmと制動力増幅制御開始時のM/C圧Pm0との差がPDコントローラに入力されることにより算出される。
一方、アシスト率衝突確率成分も、制動力増幅制御中の衝突確率最大値Rmと制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0との差がPDコントローラに入力されることにより算出されるが、アシスト率衝突確率成分の算出に用いられるPDコントローラでは、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0に応じて比例ゲインが変更されるようになっている。
【0071】
具体的には、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0が100[%]の場合のアシスト率衝突確率成分であるアシスト率衝突確率成分最大値をKRとすると、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0が0〜99[%]の場合の比例ゲインKRvは、次の式(5)により算出される。
【0072】
KRv=KR/(100−Rm0) …式(5)
つまり、本実施形態においては、図10に示すように、アシスト率衝突確率成分が、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0によらず一定の最大値KRとなるような可変則を用いており(点線c部分)、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0が小さければ、制動力増幅制御中の衝突確率最大値Rmの増加に対するアシスト率衝突確率成分の増加度合いが小さくなり(点線d部分)、逆に、制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値Rm0が大きければ、制動力増幅制御中の衝突確率最大値Rmの増加に対するアシスト率衝突確率成分の増加度合いが大きくなるようにしている(点線e部分)。この結果、運転者の減速動作を模擬したアシスト率の算出が可能となる。すなわち、一般に、ブレーキタイミングの遅い運転者は衝突危険度がある程度高まってから急激にブレーキ力を強め、ブレーキタイミングの早い運転者は衝突危険度が高まるにつれて徐々にブレーキ力を強める傾向があることから、こうした傾向に合わせてアシスト率を増加させることができるのである。
【0073】
また、アシスト率衝突確率成分については、図9に示すように、PDコントローラにより算出された値の最大値を制動力増幅制御中は保持するようにしている。すなわち、図11に示すように、制動力増幅制御中の衝突確率最大値Rmは、レーザレーダ12による物標ロストや操舵回避等により急激に減少することが考えられるため、このような場合にアシスト率衝突確率成分が減少しないようにすることでロバスト性を向上するようにしているのである(点線f,g部分)。なお、アシスト率M/C圧成分については最大値を保持しないようにしているため、運転者のブレーキ操作に対応してアシスト率が増減することとなり、操作性を向上させることができる。
【0074】
またさらに、アシスト率衝突確率成分については、図9に示すように、制動力増幅制御中のM/C圧Pmの値に応じて増大制限を行うようにしている。すなわち、図12に示すように、制動力増幅制御中のM/C圧Pmの値が増大していない状態(M/C圧Pmの値が減少している状態や一定の状態)では、衝突確率最大値Rmが増大することによりPDコントローラにより算出される値が増大しても、アシスト率衝突確率成分を増大させないようにするのである(点線h,i部分)。このようにすることで、例えば制動制御装置1が算出した衝突確率と運転者の危険感覚とが一致しないような場合に、アシスト率衝突確率成分が運転者のブレーキ操作とは無関係に増大してしまうことを防ぐことができる。
【0075】
ところで、図9において、アシスト率M/C圧成分の算出に用いるPDコントローラの比例ゲインKPの値、及び、アシスト率衝突確率成分の算出に用いるPDコントローラの比例ゲインKRvの値(正確には、比例ゲインKRvの算出に用いられるアシスト率衝突確率成分最大値KRの値)は、前述したBA制御状態と、衝突確率の正確度(信頼度)を表す衝突確率正確度とに応じた値に設定されるようになっている。
【0076】
ここで、比例ゲインKP及びアシスト率衝突確率成分最大値KRを設定するために行う比例ゲイン設定処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、本比例ゲイン設定処理は、制動力増幅制御開始時に開始される。
この比例ゲイン設定処理が開始されると、まずS410にて、衝突確率正確度が高いか低いかを判定するための衝突確率正確度判定処理を行う。なお、この衝突確率正確度判定処理の具体的内容については後述する。
【0077】
続いて、S420では、図3におけるS150にて判定したBA制御状態が第1アシストモードであるか否かを判定する。
そして、S420で、第1アシストモードであると判定した場合には、S430へ移行し、S410で判定した衝突確率正確度が「高」であるか否かを判定する。
【0078】
このS430で、衝突確率正確度が「高」であると判定した場合には、S440へ移行し、比例ゲインKPの値を固定値A1Hに設定するとともに、アシスト率衝突確率成分最大値KRの値を固定値B1Hに設定して、本比例ゲイン設定処理を終了する。
【0079】
一方、S430で、衝突確率正確度が「高」でない(「低」である)と判定した場合には、S450へ移行し、比例ゲインKPの値を上記固定値A1Hよりも小さい固定値A1Lに設定するとともに、アシスト率衝突確率成分最大値KRの値を上記固定値B1Hよりも小さい固定値B1Lに設定して、本比例ゲイン設定処理を終了する。
【0080】
一方また、S420で、第1アシストモードでないと判定した場合には、S460へ移行し、BA制御状態が第2アシストモードであるか否かを判定する。
そして、S460で、第2アシストモードであると判定した場合には、S470へ移行し、S410で判定した衝突確率正確度が「高」であるか否かを判定する。
【0081】
このS470で、衝突確率正確度が「高」であると判定した場合には、S480へ移行し、比例ゲインKPの値を上記固定値A1Hよりも小さい固定値A2Hに設定するとともに、アシスト率衝突確率成分最大値KRの値を上記固定値B1Hよりも小さい固定値B2Hに設定して、本比例ゲイン設定処理を終了する。
【0082】
一方、S470で、衝突確率正確度が「低」であると判定した場合には、S490へ移行し、比例ゲインKPの値を上記固定値A2Hよりも小さい固定値A2Lに設定するとともに、アシスト率衝突確率成分最大値KRの値を上記固定値B2Hよりも小さい固定値B2Lに設定して、本比例ゲイン設定処理を終了する。
【0083】
一方また、S460で、第2アシストモードでないと判定した場合には、S500へ移行し、比例ゲインKPの値及びアシスト率衝突確率成分最大値KRの値を共に0にして、本比例ゲイン設定処理を終了する。
このように、本比例ゲイン設定処理では、第1アシストモードにおける比例ゲインKP及びアシスト率衝突確率成分最大値KRを、第2アシストモードにおける比例ゲインKP及びアシスト率衝突確率成分最大値KRに比べ、大きい値に設定する。また、衝突確率正確度が高い場合の比例ゲインKP及びアシスト率衝突確率成分最大値KRを、衝突確率正確度が低い場合の比例ゲインKP及びアシスト率衝突確率成分最大値KRに比べ、大きい値に設定する。つまり、第1アシストモードでは第2アシストモードに比べアシスト率が大きくなるようにするとともに、衝突確率正確度が高い場合には衝突確率正確度が低い場合に比べアシスト率が大きくなるようにしているのである。
【0084】
さらに、本比例ゲイン設定処理では、衝突確率正確度が高いか低いかによるアシスト率衝突確率成分最大値KRの値の変化量(B1H−B1L,B2H−B2L)を、比例ゲインKPの値の変化量(A1H−A1L,A2H−A2L)に比べ、大きくなるようにしている。つまり、衝突確率正確度が高い場合には、衝突確率正確度が低い場合に比べ、アシスト率F/B項のアシスト率衝突確率成分に対する依存度を大きくするようにしているのである。
【0085】
次に、図13のS410で実行される衝突確率正確度判定処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。
この衝突確率正確度判定処理が開始されると、まずS610にて、レーザレーダ12による車両検知状態を判定するための車両検知状態判定処理を行う。なお、この車両検知状態判定処理の具体的内容については後述する。
【0086】
続いて、S620では、S610にて判定した車両検知状態が正常であるか否かを判定する。
そして、S620で、車両検知状態が正常であると判定した場合には、S630へ移行し、衝突確率正確度を「高」と判定して、本衝突確率正確度判定処理を終了する。
【0087】
一方、S620で、車両検知状態が正常でないと判定した場合には、S640へ移行し、衝突確率正確度を「低」と判定して、本衝突確率正確度判定処理を終了する。
このように、本衝突確率正確度判定処理では、レーザレーダ12による車両検知状態に基づき、衝突確率正確度を判定するようにしている。
【0088】
次に、図14のS610で実行される車両検知状態判定処理について、図15のフローチャートを用いて説明する。
この車両検知状態判定処理が開始されると、まずS710にて、レーザレーダ12により物標を発見してから1秒以上経過したか否かを判定する。
【0089】
そして、S710で、1秒以上経過していないと判定した場合には、S720へ移行し、車両検知状態が異常であると判定して本車両検知状態判定処理を終了する。物体を発見した直後は、その検知状態が正確でなく、衝突確率を正確に演算できない可能性が高いからである。
【0090】
一方、S710で、1秒以上経過したと判定した場合には、S730へ移行し、物標の形状を判定するための物標形状判定処理を行う。なお、この物標形状判定処理の具体的内容については後述する。
続いて、S740では、S730にて判定した物標形状が正常であるか否かを判定する。
【0091】
そして、S740で、物標形状が正常でないと判定した場合には、S720へ移行し、車両検知状態が異常であると判定して本車両検知状態判定処理を終了する。
一方、S740で、物標形状が正常であると判定した場合には、S750へ移行し、物標の形状変化を判定するための物標形状変化判定処理を行う。なお、この物標形状変化判定処理の具体的内容については後述する。
【0092】
続いて、S760では、S750にて判定した物標形状変化が正常であるか否かを判定する。
そして、S760で、物標形状変化が正常でないと判定した場合には、S720へ移行し、車両検知状態が異常であると判定して本車両検知状態判定処理を終了する。
【0093】
一方、S760で、物標形状変化が正常であると判定した場合には、S770へ移行し、物標データの妥当性を判定するための物標データ妥当性判定処理を行う。なお、この物標データ妥当性判定処理の具体的内容については後述する。
続いて、S780では、S770にて判定した物標データが正常であるか否かを判定する。
【0094】
そして、S780で、物標データが正常でないと判定した場合には、S720へ移行し、車両検知状態が異常であると判定して本車両検知状態判定処理を終了する。
一方、S780で、物標データが正常であると判定した場合には、S790へ移行し、車両検知状態が正常であると判定して本車両検知状態判定処理を終了する。
【0095】
次に、図15のS730で実行される物標形状判定処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。
この物標形状判定処理が開始されると、まずS810にて、物標の横幅WがαW1以上αW2未満であるか否かを判定する。
【0096】
そして、S810で、物標の横幅WがαW1以上αW2未満であると判定した場合には、S820へ移行し、物標の奥行きDがαD未満であるか否かを判定する。
そして、S820で、物標の奥行きDがαD未満であると判定した場合には、S830へ移行し、物標の縦横比D/WがαR未満であるか否かを判定する。
【0097】
そして、S830で、物標の縦横比D/WがαR未満であると判定した場合には、S840へ移行し、物標形状が正常であると判定して、本物標形状判定処理を終了する。
一方、S810で物標の横幅WがαW1以上αW2未満でないと判定した場合、S820で物標の奥行きDがαD未満でないと判定した場合、及び、S830で物標の縦横比D/WがαR未満でないと判定した場合には、S850へ移行し、物標形状が異常であると判定して、本物標形状判定処理を終了する。
【0098】
このように、物標形状判定処理では、物標の形状が正常と認められる形状(例えば、通常の車両の形状)からかけ離れている場合には、誤った検出がなされている可能性が高いため、物標形状を異常と判定するようにしている。
次に、図15のS750で実行される物標形状変化判定処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0099】
この物標形状変化判定処理が開始されると、まずS910にて、物標の横幅Wの変化がαWC未満であるか否かを判定する。なお、物標の横幅Wの変化は、横幅Wの今回の検出値から前回の検出値を差し引いた値の絶対値として算出される。そして、S910で、物標の横幅Wの変化がαWC未満であると判定した場合には、S920へ移行し、物標の奥行きDの変化がαDC未満であるか否かを判定する。なお、物標の奥行きDの変化は、物標の奥行きDの今回の検出値から前回の検出値を差し引いた値の絶対値として算出される。
【0100】
そして、S920で、物標の奥行きDの変化がαDC未満であると判定した場合には、S930へ移行し、物標形状変化が正常であると判定して、本物標形状変化判定処理を終了する。
一方、S910で物標の横幅Wの変化がαWC未満でないと判定した場合、及び、S920で物標の奥行きDの変化がαDC未満でないと判定した場合には、S940へ移行し、物標形状変化が異常であると判定して、本物標形状変化判定処理を終了する。
【0101】
このように、物標形状変化判定処理では、物標の形状が時系列的に安定しているか否かを判断し、物標の形状変化が大きい場合には、誤った検出がなされている可能性が高いため、物標形状変化を異常と判定するようにしている。
次に、図15のS770で実行される物標データ妥当性判定処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。
【0102】
この物標データ妥当性判定処理が開始されると、まずS1010にて、物標との相対加速度の絶対値がαG未満であるか否かを判定する。
そして、S1010で、物標との相対加速度の絶対値がαG未満であると判定した場合には、S1020へ移行し、物標データが正常であると判定して、本物標データ妥当性判定処理を終了する。
【0103】
一方、S1010で、物標との相対加速度の絶対値がαG未満でないと判定した場合には、S1030へ移行し、物標データが異常であると判定して、本物標データ妥当性判定処理を終了する。
つまり、通常の車両では、発生する加減速度は車両の加減速特定により制限されるため、相対加速度がその範囲より大きい場合には、その物標データは正確でない可能性が高いため、物標データが異常であると判定するようにしている。
【0104】
次に、図3におけるS170にて行われる目標G演算について説明する。
本S170では、S120にて受信した自車両についてのデータと、S160にて演算したアシスト率とに基づき、減速度の目標値である要求減速度(目標減速度)を演算する。ここで、要求減速度は、次の式(6)に示す値となる。
【0105】
要求減速度=(1+アシスト率)×運転者減速度 …式(6)
具体的には、要求減速度は、図19に示す演算ブロック図に従い算出される。
すなわち、M/C圧→G変換係数KPGを用いてM/C圧を減速度に変換した値と、アシスト率(この場合、100%を1としている。)に1を加えた値とを掛け合わせ、ローパスフィルタを通すことにより算出する。なお、ローパスフィルタは、ブレーキペダルの振動防止のために用いられている。
【0106】
次に、図3におけるS180にて行われる前後輪目標W/C圧演算について説明する。本S180では、S120にて受信した自車両についてのデータと、S170にて演算した要求減速度とに基づき、自車両の状態に応じて前後輪の制動力配分が最適となるような前後輪の目標W/C圧を演算する。
【0107】
具体的には、前後輪目標W/C圧は、図20に示す演算ブロック図に従い算出される。
すなわち、G→トルク変換係数KGTを用いて要求減速度をトルクに変換した値である要求トルクを、ホイールベースWB及び重心位置に基づき前後輪にトルク配分して、前後輪の静的トルクを求める。また、要求減速度と、Gセンサにより検出される自車両減速度とに基づき静的トルク補正を行い、トルク補正値を求める。そして、前後輪静的トルクとトルク補正値とを加えた前後輪動的トルクを、トルク→油圧変換係数KTPを用いて変換することで、前後輪の目標W/C圧を算出する。
【0108】
こうして算出された目標W/C圧に基づき、図3のS190にてブレーキACT駆動処理が行われる。その結果、運転者のブレーキ操作により発生する制動力がアシスト率に応じて増幅されることとなる。
なお、本実施形態の制動制御装置1では、レーザレーダ12が、周辺状態検出手段に相当し、レーザレーダ12と、車輪速センサ18と、ヨーレートセンサ20と、図3におけるS130の処理とが、衝突危険度判断手段に相当し、警報ブザー26と、S140の処理とが、報知手段に相当し、M/C圧センサ16と、ブレーキペダルSW22とが、ブレーキ操作量検出手段に相当し、ブレーキACT24が、制動装置に相当し、S150〜S190の処理が、制動力制御手段に相当し、図14の衝突確率正確度判定処理が、正確度判断手段に相当している。
【0109】
以上のように、本実施形態の制動制御装置1によれば、制動力増幅制御中のブレーキ操作量や衝突確率の変化に応じてアシスト率が変化するため、状況に応じた適切な制動力を発生させることができる。このため、運転者に与える違和感を低減することができるとともに、安全性を向上させることができる。
【0110】
また、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれたタイミングで制動力増幅制御を開始するようにしているため、制動力増幅制御開始時に運転者に与える違和感を低減することができる。
さらに、ブレーキペダルが踏まれていない状態からブレーキペダルが踏み込まれた場合と、ブレーキペダルが踏まれている状態からブレーキペダルが踏み増しされた場合とで、制動力増幅制御の開始条件を変更するようにしているため、運転者の意に反した制御がなされてしまうことを防ぐことができる。
【0111】
一方、制動力増幅制御開始時において、アシスト率F/F項とアシスト率F/B項とが滑らかに立ち上がるため、制動力が急激に増加することによるショックの発生を防ぐことができる。特に、アシスト率F/F項は、運転者のブレーキ操作に応じた勾配で立ち上がることから、運転者に与える違和感を低減する効果が高い。
【0112】
加えて、衝突確率が高い場合には報知動作を行うようにしているため、運転者がブレーキ操作を行っていないにもかかわらず強制的に制動力を発生させる構成に比べ、運転者に与える違和感を小さくすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0113】
例えば、上記実施形態の制動制御装置1では、第1準備モードにおいて、ブレーキ踏み込み操作が極めて緩やかに行われた場合には第2準備モードに切り替わるようにしているが、これに限ったものではなく、第1準備モードから第2準備モードへは切り替わらないようにしてもよい。このようにすれば、ブレーキ操作がされていない状態で報知動作が行われた場合には必ず第1アシストモードで制動力増幅制御が行われることとなる。そして、前述したように第1アシストモードでは第2アシストモードに比べアシスト率F/B項が大きい値となるため、安全性を向上させることができる。
【0114】
また、上記実施形態の制動制御装置1では、ブレーキ操作量をM/C圧に基づき検出しているが、これに限ったものではなく、例えばブレーキストローク量に基づき検出してもよい。
また、上記実施形態の制動制御装置1では、衝突確率をレーザレーダ12の検出値に基づき算出するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、ブレーキ操作量の増加速度に基づき判断したり、運転者の状態に基づき判断したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の制動制御装置の概略構成を表すブロック図である。
【図2】 ブレーキACTの構成を表すブロック図である。
【図3】 メイン処理のフローチャートである。
【図4】 警報処理のフローチャートである。
【図5】 BA制御状態の状態遷移図である。
【図6】 アシスト率算出の演算ブロック図である。
【図7】 アシスト率F/F項算出の演算ブロック図である。
【図8】 制動力増幅制御開始時のM/C圧とアシスト率F/F項との関係を説明する説明図である。
【図9】 アシスト率F/B項算出の演算ブロック図である。
【図10】 制動力増幅制御開始時の衝突確率最大値とアシスト率衝突確率成分との関係を説明する説明図である。
【図11】 制動力増幅制御中の衝突確率最大値とアシスト率衝突確率成分との関係を説明する説明図である。
【図12】 制動力増幅制御中のM/C圧とアシスト率衝突確率成分との関係を説明する説明図である。
【図13】 比例ゲイン設定処理のフローチャートである。
【図14】 衝突確率正確度判定処理のフローチャートである。
【図15】 車両検知状態判定処理のフローチャートである。
【図16】 物標形状判定処理のフローチャートである。
【図17】 物標形状変化判定処理のフローチャートである。
【図18】 物標データ妥当性判定処理のフローチャートである。
【図19】 要求減速度算出の演算ブロック図である。
【図20】 前後輪目標W/C圧算出の演算ブロック図である。
【符号の説明】
1…制動制御装置、12…レーザレーダ、14…W/C圧センサ、16…M/C圧センサ、18…車輪速センサ、20…ヨーレートセンサ、22…ブレーキペダルSW、24…ブレーキACT、26…警報ブザー、28…BA−ECU、32…マスタシリンダ、34…調圧弁、36…オイルリザーバ、38…ポンプ、40…リニアソレノイド、42…ホイールシリンダ
Claims (21)
- 車両の衝突危険度を判断する衝突危険度判断手段と、
運転者のブレーキ操作により発生する制動力を所定のアシスト率に応じて増幅した制動力を制動装置に発生させる制動力増幅制御を、前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づいて行う制動力制御手段と、
を備えた制動制御装置であって、
前記アシスト率は、前記制動力増幅制御中の状況に応じて値が変化するフィードバック成分を含んでおり、
前記制動力制御手段は、ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御中のブレーキ操作量、及び、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御中の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づいて前記フィードバック成分を算出し、前記衝突危険度判断手段により前記衝突危険度が高いと判断されている状態で前記制動力増幅制御を開始するための前記ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量のしきい値を、前記制動力増幅制御開始前のブレーキ操作量に基づいて変更するときに、ブレーキ操作がされている状態からブレーキ操作量が増加することにより前記制動力増幅制御を開始する場合の前記しきい値を、ブレーキ操作がされていない状態からブレーキ操作がされることにより前記制動力増幅制御を開始する場合の前記しきい値に比べ、大きい値に設定すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記衝突危険度判断手段により前記衝突危険度が高いと判断されている状態で、前記ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量の増加速度が所定の前記しきい値を越えた場合に、前記制動力増幅制御を開始すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御中のブレーキ操作量の該制動力増幅制御開始時の値に対する変化量、及び、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御中の衝突危険度の該制動力増幅制御開始時の値に対する変化量のうちの少なくとも一方に基づき、前記フィードバック成分を算出すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 車両の衝突危険度を判断する衝突危険度判断手段と、
運転者のブレーキ操作により発生する制動力を所定のアシスト率に応じて増幅した制動力を制動装置に発生させる制動力増幅制御を、前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づいて行う制動力制御手段と、
を備えた制動制御装置であって、
前記アシスト率は、前記制動力増幅制御中の状況に応じて値が変化するフィードバック成分を含んでおり、
前記制動力制御手段は、ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御中のブレーキ操作量の該制動力増幅制御開始時の値に対する変化量、及び、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御中の衝突危険度の該制動力増幅制御開始時の値に対する変化量のうちの少なくとも一方に基づき、前記フィードバック成分を算出すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項4に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記衝突危険度判断手段により前記衝突危険度が高いと判断されている状態で、前記ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量の増加速度が所定のしきい値を越えた場合に、前記制動力増幅制御を開始すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項5に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御開始前のブレーキ操作量に基づき、前記しきい値を変更すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項3ないし請求項6の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記フィードバック成分は、前記変化量の比例項及び微分項を含んでいること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記衝突危険度判断手段は、前記車両の周辺状態を検出する周辺状態検出手段を備えており、該周辺状態検出手段により検出した周辺状態に基づき前記衝突危険度を判断すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出されるブレーキ操作量に基づき算出したブレーキ操作量成分と、前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づき算出した衝突危険度成分とから、前記フィードバック成分を算出すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項9に記載の制動制御装置において、
前記フィードバック成分は、前記ブレーキ操作量成分と、前記衝突危険度成分との和であること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項9又は請求項10に記載の制動制御装置において、
前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度の正確度を判断する正確度判断手段を備え、
前記制動力制御手段は、該正確度判断手段により判断される前記正確度が高いほど、前記フィードバック成分の前記衝突危険度成分に対する依存度を大きくすること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項9ないし請求項11の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御中の衝突危険度の値が大きくなるほど前記衝突危険度成分の値を増加させること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項12に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記制動力増幅制御中の衝突危険度の値に対する前記衝突危険度成分の値の増加度合いを、前記制動力増幅制御開始時に前記衝突危険度判断手段により判断された衝突危険度が大きいほど大きくすること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項13に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記衝突危険度成分の最大値が一定となるように前記増加度合いを設定すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項12ないし請求項14の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記制動力増幅制御中に前記衝突危険度成分の値を減少させないこと、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項12ないし請求項15の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御中のブレーキ操作量に応じて前記ブレーキ操作量成分の値を変化させるようになっており、前記ブレーキ操作量が増加していない状態では前記衝突危険度成分の値を増加させないこと、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1ないし請求項16の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づき運転者に報知動作を行う報知手段を備えたこと、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項17に記載の制動制御装置において、
前記制動力制御手段は、ブレーキ操作がされていない状態で前記報知手段により前記報知動作が行われた場合のアシスト率を、ブレーキ操作がされている状態で前記報知手段により前記報知動作が行われた場合のアシスト率に比べ、大きい値となるように算出すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1ないし請求項18の何れか1項に記載の制動制御装置において、
前記アシスト率は、前記制御力増幅制御開始時の状況に応じて値が決定されるフィードフォワード成分を含んでおり、
前記制動力制御手段は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量、及び、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御開始時の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づき、前記フィードフォワード成分を算出すること、
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項19に記載の制動制御装置において、
前記フィードフォワード成分は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量の増加速度に応じた勾配で立ち上がること、
を特徴とする制動制御装置。 - 車両の衝突危険度を判断する衝突危険度判断手段と、
運転者のブレーキ操作により発生する制動力を所定のアシスト率に応じて増幅した制動力を制動装置に発生させる制動力増幅制御を、前記衝突危険度判断手段により判断される衝突危険度に基づいて行う制動力制御手段と、
を備えた制動制御装置であって、
前記アシスト率は、前記制御力増幅制御開始時の状況に応じて値が決定されるフィードフォワード成分を含んでおり、
前記制動力制御手段は、ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量、及び、前記衝突危険度判断手段により判断される前記制動力増幅制御開始時の衝突危険度のうちの少なくとも一方に基づき、前記フィードフォワード成分を算出するように構成されており、
前記フィードフォワード成分は、前記ブレーキ操作量検出手段により検出される前記制動力増幅制御開始時のブレーキ操作量の増加速度に応じた勾配で立ち上がること、
を特徴とする制動制御装置。
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