JP4345284B2 - 薄膜製膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応生成物による電極の汚れを抑えることができる薄膜製膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや表示、記録、光電変換のための各種のデバイスには、基材上に高機能性の薄膜を設けた、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、反射防止膜、光学干渉膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜等の各種の材料が用いられている。
【0003】
このような高機能性の薄膜形成においては、従来、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法が用いられてきた。
【0004】
このような製膜方法は、真空設備を必要とする為、設備費用が高額となる。更に、連続生産が出来ず、製膜速度が低いことから、生産性が低いという課題を有していた。
【0005】
これらの真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧下で放電プラズマを発生させ、該放電プラズマにより高い処理効果を得る大気圧プラズマ処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
大気圧プラズマ処理方法は、基材の表面に、均一な組成、物性、分布で製膜することができ、大気圧又は大気圧近傍下で電極間に高周波電圧を印加して放電プラズマを発生させ、反応性ガスを活性化させて基材上に製膜処理等を行うことができる(例えば特許文献2、3参照)。従って、真空装置を用いる製膜方法に比べ、真空設備を必要とせず、設備費用を抑えることができ、連続生産にも対応でき、製膜速度を速くすることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61−238961号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2000−147209号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−121804号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の大気圧プラズマ法による薄膜製膜装置は、連続して生産する際に反応生成物による電極の汚れが発生するという課題を有している。汚れた電極をそのまま使用し続けると、基材への薄膜の形成性が著しく劣って来て、薄膜の品質の劣化、または膜厚のムラ、薄膜の強度の低下等の現象が見られることがわかった。
【0011】
生産中にこのような状態になると、生産を一時中断して、電極等の清掃をし、更に生産を開始するための条件出しやウォームアップによるロス時間が多くなり生産効率が低下してしまう。また、薄膜形成装置の放電ガスには主としてアルゴンガス等の希ガスが用いられていたが、これらを用いると薄膜形成にコストがかかるという課題を有している。薄膜形成においては、低コスト化の課題も重要である。
【0012】
本発明は、係る課題を鑑みなされたもので、本発明の目的は、電極部の汚れを抑制し、長時間安定して高品位で低コストに製膜を行うことができる薄膜製膜装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0014】
(1) 第1電極と第2電極とを対向させて配置した放電空間と、
前記第1電極及び第2電極間に高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
前記放電空間に反応性ガス及び放電ガスを導入するガス導入手段と、
を備え、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記電圧印加手段から電圧を印加することにより、前記放電空間に導入された前記反応性ガスを活性化させて前記第2電極上に配置された基材に製膜を施す薄膜製膜装置であって、
前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有し、
前記ガス導入手段が、前記放電ガスを第1電極側に、前記反応性ガスを第2電極側に夫々別々に前記放電空間に導入し、前記放電ガスが前記放電空間の第1電極に沿って流れ、前記反応性ガスが前記放電空間の前記第2電極上の基材に沿って流れるように構成されて、前記反応性ガスが前記第1電極に実質的に接触しないことを特徴とする薄膜製膜装置。
【0015】
(2) 前記ガス導入手段が、前記放電空間に放電ガスを供給するための放電ガス通路と前記放電空間に反応性ガスを供給するための反応性ガス通路とを有し、前記放電ガス通路は前記第1電極に隣接して配置され、前記反応性ガス通路は前記第1電極に対し前記放電ガス通路を挟んで配置されるとともに、前記放電ガス通路と前記反応性ガス通路は前記第2電極に向けて開口していることを特徴とする(1)に記載の薄膜製膜装置。
【0016】
(3) 前記反応性ガス及び前記放電ガスが前記放電空間内を通過する時間を0.1sec以内としたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の薄膜製膜装置。
【0017】
(4) 前記高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
【0018】
(5) 前記第1の周波数ω1の電圧波形及び前記第2の周波数ω2の電圧波形がサイン波であることを特徴とする(4)に記載の薄膜製膜装置。
【0019】
(6) 前記第1の周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする(4)又は(5)に記載の薄膜製膜装置。
【0020】
(7) 前記第2の周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
【0021】
(8) 前記高周波電圧が、第1の高周波電圧V1 、及び第1の高周波電圧V 1 より低い第2の高周波電圧V2を重畳したものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
【0022】
(9) 前記第1の高周波電圧V1、前記第2の高周波電圧V2 、及び放電開始電圧IVとの関係が、V1≧IV>V2、又は、V1>IV≧V2を満たすことを特徴とする(8)に記載の薄膜製膜装置。
【0023】
(10) 前記第1の高周波電圧を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電圧を前記第2電極に印加することを特徴とする(8)又は(9)に記載の薄膜製膜装置。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の薄膜製膜装置について、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0026】
本発明の薄膜製膜装置は、基材上に高機能の各種薄膜を形成することができ、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、エレクトロクロミック膜、蛍光膜、超伝導膜、誘電体膜、太陽電池膜、反射防止膜、耐摩耗性膜、光学干渉膜、反射膜、帯電防止膜、導電膜、防汚膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜、電磁波遮蔽膜、赤外線遮蔽膜、紫外線吸収膜、潤滑膜、形状記憶膜、磁気記録膜、発光素子膜、生体適合膜、耐食性膜、触媒膜、ガスセンサ膜、装飾膜等の形成に用いることができる。
【0027】
図1は、本発明の薄膜製膜装置のガス導入部及び電極部の一例を示す断面図である。
【0028】
図1において、1は薄膜を形成する基材である。
本発明で用いることができる基材としては、フィルム状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。
【0029】
基材の材質も特に限られるものではなく、ガラスや樹脂等を使用できる。
基材の材質は特に限られないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のプラズマ放電であることから、樹脂も用いることができる。
【0030】
例えば、本発明に係る薄膜が反射防止膜である場合、基材として好ましくはフィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上にエチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層等を塗装した防眩層やクリアハードコート層を有するもの、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
【0031】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0032】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0033】
本発明において、基材上に設ける薄膜が、反射防止膜である場合には、本発明に係る支持体としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが低い反射率の積層体が得られる為、好ましい。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0034】
図1において、2a、2bは、各々第1電極であり、第1電極2aと第1電極2bは、金属母材3a、3bの表面を誘電体4a、4bで被覆した誘電体被覆電極である。放電中は、図示しないが、その内部を冷却水等を流通させることにより、電極表面温度を一定に制御することができる構成となっている。
【0035】
一方、上記第1電極2a、2bに対向する位置には、第2電極5が配置されており放電空間を形成している。放電空間は、対向した第1電極、第2電極で形成される空間であり実際に放電が行われる領域である。
【0036】
第2電極5の第1電極2a、2b側表面には、基材1が接触して図中矢印方向に搬送される。第2電極5は、第1電極2a、2b同様に、金属母材7上に、誘電体6を被覆した誘電体被覆電極である。第2電極5も同様に、その内部に冷却水等を流通し、電極表面温度を制御することができる構造となっている。
【0037】
上記各電極において、金属母材(3a、3b、7)としては、例えば、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスやチタンであることが好ましい。
【0038】
誘電体4a、4b、6は、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、アルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0039】
誘電体被覆電極において、ハイパワーの電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることを本発明者らは見いだした。好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。尚、誘電体の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属母材に被覆された誘電体の空隙率を測定した。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0040】
また、誘電体被覆電極の他の好ましい仕様としては、誘電体を、溶融法により得られるガラスを用いてガラスライニング法で形成したものである。このときの誘電体は、泡混入量の異なる2層以上の層からなることがより耐久性を高める。前記泡混入量としては、金属母材に接する最下層が20〜30体積%であり、次層以降が5体積%以下であることが好ましい。泡混入量は、ガラス自体の固有密度と、ガラスライニング層の密度との関係から算出することが出来る。ガラスへの泡混入量の制御方法としては、もともとガラスの溶融物には泡が混入しているため、脱気を行うが、該脱気度合いを変化させることによって所望の値とできる。このような泡混入量をコントロールし、層状に設けたガラスライニング法による誘電体も、耐久性の高い電極が得られる。また、このときの誘電体層のトータル厚みは0.5mm以上2.0mm以下であり、更に最下層の膜厚が、0.1mm以上あり次層以降のトータル膜厚が0.3mm以上あることが好ましい。
【0041】
また、本発明の誘電体被覆電極において、他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。尚、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射で設けた誘電体を適用したり、下記導電性母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0042】
また、本発明の誘電体被覆電極において、別の好ましい仕様としては、誘電体と金属母材との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、さらに好ましくは5×10-6/℃以下、さらに好ましくは2×10-6/℃以下である。尚、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0043】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある金属母材と誘電体との組み合わせとしては、
1) 金属母材が純チタンで、誘電体がセラミックス溶射被膜
2) 金属母材が純チタンで、誘電体がガラスライニング
3) 金属母材がチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
4) 金属母材がチタン合金で、誘電体がガラスライニング
5) 金属母材がステンレスで、誘電体がセラミックス溶射被膜
6) 金属母材がステンレスで、誘電体がガラスライニング
7) 金属母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
8) 金属母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
9) 金属母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
10) 金属母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1)〜4)および7)〜10)が好ましい。
【0044】
また、本発明の誘電体被覆電極において、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0045】
上記、金属母材に対し、セラミックスを誘電体として高密度に、高密着に溶射する方法としては、大気プラズマ溶射法が挙げられる。大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655号公報に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法によれば、被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率を10体積%以下、さらには8体積%以下とすることが可能である。
【0046】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、セラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0047】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0048】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、UV照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0049】
本発明の誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X−ray Photoelectoron Spectroscopy)により誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0050】
また、誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0051】
図1の薄膜製膜装置は、第1電極2a、2bに周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する高周波電源20(第1電源20ともいう)が接続され、第2電極5に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧21(第2電源21ともいう)を印加する高周波電源が接続されている。
【0052】
本発明においては、高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
【0053】
本発明において、大気圧又は大気圧近傍の圧力下とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0054】
本発明の薄膜製膜装置に用いる第1電源(高周波電源)としては、
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0055】
また、第2電源(高周波電源)としては、
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
【0056】
本発明の薄膜製膜装置では、第1電極と第2電極間に印加する高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有することが好ましい。
【0057】
これにより、放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0058】
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、サイン波でもパルス波でもよいが好ましくはサイン波である。下限は1kHz程度が望ましい。これにより、放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0059】
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。またこの電界波形としては、サイン波でもパルス波でもよいが好ましくはサイン波である。これにより、放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0060】
第1電源の周波数ω1と、第1の周波数ω1より高い第2電源の周波数ω2をともにサイン波とすると、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。
【0061】
サイン波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
【0062】
このような二つの電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成するのに必要であるということが重要な点である。
【0063】
また、本発明の薄膜製膜装置では、第1電極と第2電極間に印加する高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
V1≧IV>V2
または V1>IV≧V2
を満たすことが好ましい。更に好ましくは、
V1>IV>V2
を満たすことである。これにより、放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0064】
本発明において、放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種などによって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
【0065】
また、本発明の薄膜製膜装置では、第1電極に第1の高周波電圧を印加し、第2電極に第2の高周波電圧を印加することが好ましい。これにより、放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0066】
第1電極2a、2bと第1電源20との間には、第1電源20からの電流が第1電極2a、2bに向かって流れるように第1フィルター22が設置されており、第1電源20からの電流を通過しにくくし、第2電源21からの電流が通過し易くするように設計されている。
【0067】
また、第2電極5と第2電源21との間には、第2電源21からの電流が第2電極5に向かって流れるように第2フィルター23が設置されており、第2電源21からの電流を通過しにくくし、第1電源20からの電流を通過し易くするように設計されている。
【0068】
本発明において、かかる性質のある第1フィルター22、第2フィルター23であれば制限無く使用することができる。例えば、第1フィルター22としては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルター23としては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
【0069】
本発明の薄膜製膜装置は、また、第1電極、第1電源又はそれらの間の何れかには第1フィルターを、また第2電極、第2電源又はそれらの間の何れかには第2フィルターを接続することが好ましく、第1フィルターは該第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第2電源からの周波数の電流を通過し易くし、また、第2フィルターはその逆で、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第1電源からの周波数の電流を通過し易くするものを使用するのが好ましい。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過し易いとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
【0070】
また、24a、24bは高周波プロープであり、25a、25bはオシロスコープである。高周波プロープ24a、24b、オシロスコープ25a、25bは、第1電源20及び第2電源21の印加電圧と、放電開始電圧を測定するためのものである。
【0071】
高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定することができる。
【0072】
高周波電圧V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
【0073】
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
【0074】
上記の測定により放電ガスに大気(窒素;約80体積%、酸素:約20体積%)を用いた場合、その放電開始電圧IVは3.4kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.4kV/mmとして印加することによってより一層高密度で安定に放電空間内にプラズマ放電状態を維持することができる。
【0075】
ここで重要なのは、このような高周波電圧が対向する電極それぞれに印加され、すなわち、同じ放電空間に両方から印加されることである。特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる周波数の高周波電圧を印加する方法とは異なる。
【0076】
26はアースである。また、電極間(放電空間)に導入する電圧の放電出力が、1W/cm2以上であることが同様に高品位な膜を形成する上で好ましく、より好ましくは1〜50W/cm2である。これにより、本発明で用いる放電ガスでも放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0077】
図1において、10は、本発明に係るガス導入手段であるガス導入部である。ガス導入部10は、その中心部に薄膜を形成するための反応性ガス通路11を有し、その周囲に実質的に薄膜を形成しない放電ガス通路12a、12bを有している。反応性ガス通路11は、反応性ガスが、直接、第1電極2a、2bの放電面に接触しないように、その出口は、第1電極2a、2bの底部よりも突出した位置に設けられている。反応性ガス通路11と放電ガス通路12a、12bは、ガス通路壁14a、14bで隔離され、また放電ガス通路12a、12bは外部とガス通路壁15a、15bにより隔離されている。
【0078】
図中、黒矢印で示す反応性ガスが、白矢印で示す不活性ガス(放電ガス)に挟まれ、第2電極5の放電面上に設置された基材1上に流入される。基材1に衝突した反応性ガスは第2電極5の放電面上に設置された基材1表面に沿って放電空間内を移動し、その後、外側に排出される。また、白矢印で示す放電ガス、即ち不活性ガスは第1電極2a、2bの放電面に沿って放電空間内を移動し、その後、外側に排出される。
【0079】
ガス導入部をこのような構成とすることによって、第1電極2a、2bの表面は、薄膜を形成するための反応性ガスに直接接触せず電極汚れを抑えることができる。また、第2電極5は基材1に覆われているために反応生成物による電極汚れ等の問題が発生しない。従って、生産効率を低下させることなく低コストで長時間安定して高品位で製膜を行うことができる。
【0080】
また、基材1側に反応性ガスを局在化させているので、原料ガスによる基材1への薄膜形成の反応効率を向上させることができる。従って、より少ない原料ガス量で製膜を行うことが可能となるので、低コスト化が図れる。
【0081】
図1に示す薄膜製膜装置では、基材1がガラス板等の平板状の基材や、立体的な形を有する基材である場合の製膜処理に好適である。
【0082】
反応性ガス導入手段である反応性ガス通路11及び放電ガス導入手段である放電ガス通路12a、12bの構造としては、反応性ガスが電極の放電面と直接接しないように構成されていれば特に限定はない。例えば、直線的なガス通路壁14a、14b、15a、15bで分離されたスリット状の形態でも、あるいは、それぞれ内径の異なる円筒を組み合わせた構造でも良いが、簡便性及び温度制御の容易性からは、前者が好ましい。
【0083】
本発明においては、反応性ガスを加温し、コンデンスの問題が起きないようにガス通路壁14a、14bの温度を制御する温度制御手段を有することが好ましい。図中13a、13bは、反応性ガスを導入する内部配管部(ガス通路壁14a、14b)の温度を、加温する加温手段としての保温制御システムである。反応性ガスの放電空間への導入時の温度を、前記反応性ガス導入時の濃度における飽和蒸気圧を示す温度より高い温度とすることが好ましい。
【0084】
尚、反応性ガス通路11、あるいは放電ガス通路12a、12bを構成するガス通路壁14a、14b、15a、15bの材料は、各ガスに対する耐腐食性と強度を有し、かつ熱伝導率の高い材料であれば、その材質に特に制限はないが、セラミックが好ましい。
【0085】
図示しないが、保温制御システム13a、13bは、温度センサ部、加熱部及び制御部からなり、温度センサで検知した温度を基にして、所望の温度となるようにガス通路壁に組み込まれた加熱媒体により昇温を行うことができる。
【0086】
本発明に用いる放電ガスと反応性ガスについて説明する。
本発明に係る反応性ガスは、薄膜の原料となる元素が含まれる原料ガスを含有するガスである。
【0087】
原料ガスとしては、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、例えば、有機フッ素化合物を用いることにより反射防止層等に有用な低屈折率層や防汚層を形成することが出来、珪素化合物を用いることにより、反射防止層等に有用な低屈折率層やガスバリア層を形成することも出来る。また、Ti、Zr、Sn、SiあるいはZnのような金属を含有する有機金属化合物を用いることにより、金属酸化物層または金属窒化物層等を形成することが出来、これらは反射防止層等に有用な中屈折率層や高屈折率層を形成することが出来、更には導電層や帯電防止層を形成することも出来る。原料ガスの物質として、有機フッ素化合物及び金属化合物を好ましく挙げることが出来る。
【0088】
原料ガスの有機フッ素化合物としては、フッ化炭素やフッ化炭化水素等のガスが好ましく、例えば、テトラフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロペン等のフッ化炭素化合物;1,1−ジフルオロエチレン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のフッ化炭化水素化合物;ジフルオロジクロロメタン、トリフルオロクロロメタン等のフッ化塩化炭化水素化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、パーフルオロブタノール等のフッ化アルコール;ビニルトリフルオロアセテート、1,1,1−トリフルオロエチルトリフルオロアセテート等のフッ化カルボン酸エステル;アセチルフルオライド、ヘキサフルオロアセトン、1,1,1−トリフルオロアセトン等のフッ化ケトン等を挙げることが出来る。
【0089】
また原料ガスの金属化合物としては、Al、As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、W、Y、ZnまたはZr等の金属化合物または有機金属化合物を挙げることが出来る。
【0090】
これらのうち珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等のアルキルシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の珪素アルコキシド等の有機珪素化合物;モノシラン、ジシラン等の珪素水素化合物;ジクロルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化珪素化合物;その他オルガノシラン等を挙げることが出来る。
【0091】
原料ガスとしての珪素以外の金属化合物としては、有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物、金属水素化合物等を挙げることが出来る。有機金属化合物の有機成分としてはアルキル基、アルコキシド基、アミノ基が好ましく、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラジメチルアミノチタン等を好ましく挙げることが出来る。またハロゲン化金属化合物としては、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等を挙げることが出来、更に金属水素化合物としては、モノチタン、ジチタン等を挙げることが出来る。
【0092】
本発明に係る反応性ガスは、反応性ガスに含有される原料ガスの種類に応じて反応促進ガスを含有してもよい。反応促進ガスとしては、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、過酸化水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、オゾンガス、アンモニア、窒素酸化物等が挙げられる。
【0093】
本発明に用いる放電ガスは、50〜100体積%の窒素ガスを含有するガスであり、原料ガスは含有しない。
【0094】
本発明は放電ガスに安価な窒素ガスを主として含有させることにより、薄膜形成での低コスト化を図ることができる。
【0095】
さらに好ましくは、放電ガスが、75〜100体積%の窒素ガスを含有するガスを用いることが好ましい。また、放電ガスとして、大気を用いることも好ましい。これにより、より一層低コスト化を図ることができる。
【0096】
本発明に係る放電ガスは、不活性ガスを含有していてもよく、不活性ガスには、周期表の第18属元素であるヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる。
【0097】
本発明に係る放電ガスは、反応性ガスに含有される原料ガスの種類に応じて前述した反応促進ガスを含有してもよい。
【0098】
本発明に係る反応性ガスは、不活性ガスを含有していてもよく、通常不活性ガスを含有させて放電空間に供給する。
【0099】
本発明に係る放電ガスは、露点が−40℃以下であることが好ましい。このような放電ガスを用いることで、本発明で用いる放電ガスでも放電空間内でより一層高密度で安定なプラズマ放電が行われ、高品位な薄膜を形成することができる。
【0100】
反応性ガスは、放電ガスに対し、0.01〜50体積%で放電空間に供給することが好ましい。
【0101】
次に、図1で示した薄膜製膜装置を用いた薄膜製膜方法について説明する。
基材1は、ベルトコンベア(不図示)等の搬送手段により、第1電極2a、2bと第2電極5間の放電空間に搬送される。基材1はベルトコンベアにより放電空間内を矢印方向に反復移動することができる。
【0102】
一方、反応性ガス通路11に反応性ガスを、放電ガス通路12a、12bに放電ガスを導入する。この際、必要に応じて、保温制御システム13a、13bにより、ガス通路壁14a、14bを加温してもよい。反応性ガスの温度は、該反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高いことが好ましい。各ガスは、第1電極2a、2bと第2電極5間、すなわち放電空間に導入され、大気圧近傍の圧力下で、第1電極2a、2bと第2電極5間に高周波電源20、21にて高周波電圧を印加し、放電プラズマを発生させる。発生した放電プラズマにて、ベルトコンベアにて運搬されてきた基材1の薄膜形成を行う。このとき基材1はベルトコンベアにより反復運動をして均一に薄膜を形成させる。薄膜形成を終えた基材1はベルトコンベアにて、第1電極2a、2bと第2電極5間の外へと運搬される。
【0103】
図2は、本発明の薄膜製膜装置のガス導入部及び電極部の別の一例を示す断面図である。図中の参照符号を有する部材は、図1で説明した同じ参照符号の部材と同様であるので特に説明がない場合は、前述の図1の説明と同じである。
【0104】
図2において、基材1は、ベルトコンベア(不図示)等の搬送手段により、第1電極2aと第2電極5間に一方方向(矢印方向)に搬送される。
【0105】
一方、導入用の反応性ガス通路11には反応性ガス(黒矢印)を、導入用の放電ガス通路12に放電ガス(白矢印)を導入する。
【0106】
図中、黒矢印で示す反応性ガスが、第2電極5の放電面上に設置された基材1上に流入される。基材1に衝突した反応性ガスは基材1表面に沿って放電空間内を移動し、その後、外側に排出される。また、白矢印で示す放電ガスは、第1電極2aの放電面に沿って放電空間内を移動し、その後、外側に排出される。このような構造とすることによって、第1電極2aの表面は、薄膜を形成するための反応性ガスに直接接触せず電極汚れを抑えることができる。また、第2電極5は基材1に覆われているために反応生成物による電極汚れ等の問題が発生しない。従って、生産効率を低下させることなく低コストで長時間安定して高品位で製膜を行うことができる。
【0107】
また、基材1側に反応性ガスを局在化させているので、原料ガスによる基材1への薄膜形成の反応効率を向上させることができる。従って、より少ない原料ガス量で製膜を行うことが可能となるので、低コスト化が図れる。
【0108】
図2に示すような薄膜製膜装置は、基材を一方方向に移動させながら製膜を行うことから、ロール上に巻かれた基材の表面の製膜処理に好適であり、放電空間の一方の基材1を送り込み、放電空間内で製膜処理が行われ、放電空間の他方で製膜処理が行われた基材1を巻き取っていく形態で用いられるのが好ましい。また、図2に示す薄膜製膜装置は、放電空間が直線状となっている実施形態であるが、ロール状の巻かれた基材の製膜処理を行う場合は、例えば、第2電極5を円柱状の電極とし、その周囲に第1電極2a、ガス導入部10を複数を配置して放電空間を形成した薄膜製膜装置を用いてもよい。この場合、薄膜製膜装置をよりコンパクトにすることができる。
【0109】
図2で示した薄膜製膜装置を用いた薄膜製膜方法について説明する。
基材1は、ベルトコンベア(不図示)等の搬送手段により、第1電極2aと第2電極5間の放電空間に搬送される。基材1はベルトコンベアにより放電空間内を一方方向に運搬される。
【0110】
一方、反応性ガス通路11に反応性ガスを、放電ガス通路12に放電ガスを導入する。この際、必要に応じて、保温制御システム13a、13bにより、ガス通路壁14a、14bを加温してもよい。反応性ガスの温度は、該反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高いことが好ましい。各ガスは、第1電極2aと第2電極5間、すなわち放電空間内に導入され、大気圧近傍の圧力下で、第1電極2aと第2電極5間に高周波電源20、21にて高周波電圧を印加し、放電プラズマを発生させる。発生した放電プラズマにて、ベルトコンベアにて運搬されてきた基材1の薄膜形成を行う。薄膜形成を終えた基材1はベルトコンベアにて、第1電極2a、2bと第2電極5間の外へと運搬される。
【0111】
本発明の薄膜製膜装置は、反応性ガス及び放電ガスが放電空間内を通過する時間を0.1sec以内とすることが好ましい。これは、放電空間に導入される反応性ガスと放電ガスが導入されてから排出されるまでの放電空間内に存在している時間を0.1sec以内と非常に短い時間にすることを意味する(置換回数10回/sec以上に相当する)。これにより薄膜の形成に寄与せずに活性化した原料ガスが電極に付着して電極を汚染するという事態をより一層抑えることができる。本発明の薄膜製膜装置では、反応性ガス及び放電ガスとが放電空間を通過する時間を0.03sec以内とすることがさらに好ましく、0.005sec以内とすることが特に好ましい。これにより、電極汚れを特に抑えることができる。
【0112】
反応性ガス及び放電ガスが放電空間を通過する時間をTとすると、Tは、例えば、放電空間の体積v(cm3)と、放電空間内に供給される反応性ガスの流量v1(cm3/sec)、放電ガスの流量v2(cm3/sec)とすると下式から求めることができる。
【0113】
T(sec)=v/(v1+v2)
このとき、Tが0.1sec以下となるように、v、v1、v2、を調整すればよい。
【0114】
【実施例】
本発明を実施例により詳述するが、これらに限定されない。
【0115】
実施例1
(1−1)薄膜製膜装置1での製膜
図1に示す薄膜製膜装置において、第1電極2a、2bには、20×20mmで長さ120mmのステンレスに保温用の穴を貫通させ、角をR3に加工したステンレス材を2本用い、第2電極5には、100×500×20mmの平板のステンレスに保温用の穴を100×20mmの面に3カ所貫通させたステンレス材を用い、さらに、電極の表面にアルミナセラミックを1mmになるまで溶射被覆させた後、アルコキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液をアルミナセラミック被膜に塗布し、乾燥させた後に、150℃で加熱し封孔処理を行って誘電体を形成した。最終的な誘電体の空隙率は5体積%であった。この時の誘電体層のSiOX含有率は75mol%であった。また、最終的な誘電体の膜厚は、1mm(膜厚変動±1%以内)、誘電体の比誘電率は8であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は、1.6×10-6/℃であり、また耐熱温度は250℃であった。
【0116】
ガス導入部10の放電空間付近の第1電極2a、2bを除く部分の素材には2mm厚のロスナボード板を用い、この板2枚を用いて3mmのスリット状間隔をサイドプレートを用いて幅100mmとなるように作り、反応性ガス通路11とした。また、このロスナボード板の両側に5mmの間隔で隣接するように第1電極2a、2bを配置し、さらに、ロスナボード板を用いて放電ガス通路12a、12bを形成した。保温制御システム13a、13bで反応性ガス温度は80℃となるように設定した。
【0117】
第1電極2a、2b、第2電極5の誘電体を被覆していない部分に高周波電源20、21の接続を行った。高周波電源20には、ハイデン研究所製高周波電源(ω1:100kHz、V1:8kV/mm)、高周波電源21には、パール工業製高周波電源(ω2:13.56MHz、V2:0.8kV/mm)を用い、第1電極2a、2bの出力密度を10W/cm2、第2電極の出力密度を10W/cm2の放電出力を印加するように設定した。さらに第1電極2a、2b、第2電極5内には貫通穴に保温水を循環させ、製膜処理中の第1電極2a、2b、第2電極5の温度を80℃となるように設定した。
【0118】
第1電極2a、2bと、第2電極5との距離Dは、1.0mmとした。なお、第1電極2a、2bと第2電極5間の放電空間体積は第1電極の放電面面積(20mm×100mm×2)×電極間距離D(1.0mm)=4.0cm3であった。
【0119】
ガス導入部10の反応性ガス通路11から導入される反応性ガスに下記ガス種A、放電ガス通路12a、12bから導入される放電ガスに下記ガス種Bを用いた。
【0120】
ガス種A:N2:98%、H2:1.9%、チタニウムテトライソプロポキシド0.1%(リンテックス製気化器により気化させて混合)
ガス種B:N2:100%
なお、ガス種Aとガス種Bは、2:1の割合で導入した。
【0121】
ガス種BのN2は液化窒素(太陽東洋酸素社製)を用いた(露点−40℃以下)。
【0122】
放電空間内に導入させるガス種A及びガス種Bの流量は1000cm3/secとなるようにした(25℃、1気圧)。
【0123】
上述のように設定した薄膜製膜装置を薄膜製膜装置1とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用いた。基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置1で、すべてのガラス板に100nmのTiO2膜の製膜を施した。
(1−2)薄膜製膜装置2での製膜
(1−1)の薄膜製膜装置1において、放電空間内に導入させるガス種A及びガス種Bの流量を160cm3/secとなるようにした以外は、(1−1)の薄膜製膜装置1とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置2とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置2で、すべてのガラス板に100nmのTiO2膜の製膜を施した。
【0124】
(1−3)薄膜製膜装置3での製膜
(1−1)の薄膜製膜装置1において、放電空間内に導入させるガス種A及びガス種Bの流量を50cm3/secとなるようにした以外は、(1−1)の薄膜製膜装置1とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置3とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置3で、すべてのガラス板に100nmのTiO2膜の製膜を施した。
【0125】
(1−4)薄膜製膜装置4での製膜
(1−1)の薄膜製膜装置1において、放電空間内に導入させるガス種A及びガス種Bの流量を25cm3/secとなるようにした以外は、(1−1)の薄膜製膜装置1とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置4とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置4で、すべてのガラス板に100nmのTiO2膜の製膜を施した。
【0126】
(1−5)薄膜製膜装置5での製膜
(1−1)の薄膜製膜装置1において、ガス導入部10の反応性ガス通路11から供給される反応性ガスにガス種Aとガス種Bを2:1で混合したガス、さらに、放電ガス通路12a、12bから供給される放電ガスも同様にガス種Aとガス種Bを2:1で混合した混合ガスを用いた以外は、(1−1)の薄膜製膜装置1とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置5とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置5で、すべてのガラス板に100nmのTiO2膜の製膜を施した。
【0127】
〈薄膜製膜装置1〜5の付着物汚れの評価及び基材の製膜評価〉
それぞれシート材20枚に製膜を行った後の薄膜製膜装置1〜5の第1電極2a、2bの付着物汚れを評価した。
【0128】
なお付着物汚れの評価は下記の電極汚れ評価で行った。
〈電極汚れ評価〉
A:全く汚れが観察されない
B:何となくうっすらと膜のようなものが観察されるが、ハッキリと汚れとは見えない
C:薄膜のような汚れがうっすらと観察される
D:粉状の汚れがうっすらと観察される
E:粉状及び膜状の汚れが多く観察される
さらに薄膜製膜装置1〜5で製膜を行ったガラス板についてのそれぞれの製膜状況の評価を行った。
【0129】
結果を表1に示す。なお、表中の反応性ガス及び放電ガスが放電空間内を通過する時間Tは、T=放電空間体積(4.0cm3)/放電空間に導入される反応性ガス及び放電ガスの流量(cm3/sec)で求めた。
【0130】
【表1】
【0131】
表1より、本発明の薄膜製膜装置は、多数の基材にTiO2膜を施す作業を行っても電極の放電面の汚れが抑えられていることが分かった。
【0132】
本発明の薄膜製膜装置は電極等の汚れにより電極等の清掃を行うことによる生産効率が低下が抑えられ、生産性の向上を図ることができることが分かった。
【0133】
実施例2
(2−1)薄膜製膜装置6での製膜
(1−1)の薄膜製膜装置1において、ガス種Aを下記のガス種Cに変更し、ガス種Bを下記のガス種Dに変更した以外は(1−1)の薄膜製膜装置1とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置6とした。
【0134】
ガス種C:N2:97%、O2:2.7%、テトラエトキシシラン0.3%(リンテックス製気化器により気化させて混合)
ガス種D:N2:79%、O2:21%
(ガス種Dには、大気を日本ポール社製のガスクリーンを用いてろ過した後、リキッドガス社製ファインピュアーを用いて、露点を−43℃に調整したものを用いた。)
基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置6で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0135】
(2−2)薄膜製膜装置7での製膜
(2−1)の薄膜製膜装置6において、放電空間内に導入させるガス種C及びガス種Dの流量を160cm3/secとなるようにした以外は、(2−1)の薄膜製膜装置6とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置7とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置7で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0136】
(2−3)薄膜製膜装置8での製膜
(2−1)の薄膜製膜装置6において、放電空間内に導入させるガス種C及びガス種Dの流量を50cm3/secとなるようにした以外は、(2−1)の薄膜製膜装置6とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置8とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置8で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0137】
(2−4)薄膜製膜装置9での製膜
(2−1)の薄膜製膜装置6において、放電空間内に導入させるガス種C及びガス種Dの流量を25cm3/secとなるようにした以外は、(2−1)の薄膜製膜装置6とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置9とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置9で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0138】
(2−5)薄膜製膜装置10での製膜
(2−1)の薄膜製膜装置6において、ガス種Dを下記のガス種Eに変更した以外は、(2−1)の薄膜製膜装置6とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置10とした。
【0139】
ガス種E:N2:79%、O2:21%
(ガス種Eには、大気を日本ポール社製のガスクリーンを用いてろ過したものを用いた。露点は−20℃であった。)
基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置10で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0140】
(2−6)薄膜製膜装置11での製膜
(2−1)の薄膜製膜装置6において、ガス導入部10の反応性ガス通路11から供給される反応性ガスにガス種Cとガス種Dを2:1で混合したガス、さらに、放電ガス通路12a、12bから供給される放電ガスも同様にガス種Cとガス種Dを2:1で混合した混合ガスを用いた以外は、(2−1)の薄膜製膜装置6とすべて同じ設定にした薄膜製膜装置を薄膜製膜装置11とした。基材1として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板20枚を用い、基材1の搬送速度を0.1m/secとして反復移動させ、薄膜製膜装置11で、すべてのガラス板に100nmのSiO2膜の製膜を施した。
【0141】
〈薄膜製膜装置6〜11の付着物汚れの評価及び基材の製膜評価〉
それぞれシート材20枚に製膜を行った後の薄膜製膜装置6〜11の第1電極2a、2bの付着物汚れを評価した。
【0142】
なお付着物汚れの評価は前記の電極汚れ評価で行った。
結果を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】
表2より、本発明の薄膜製膜装置は、多数の基材にSiO2膜を施す作業を行っても電極の放電面の汚れが抑えられていることが分かった。
【0145】
本発明の薄膜製膜装置は電極等の汚れにより電極等の清掃を行うことによる生産効率が低下が抑えられ、生産性の向上を図ることができることが分かった。
【0146】
【発明の効果】
本発明により、電極部の汚れを抑制し、長時間安定して高品位で低コストに製膜を行うことができる薄膜製膜装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜製膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の薄膜製膜装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2a、2b 第1電極
3a、3b、7 金属母材
4a、4b、6 誘電体
5 第2電極
10 ガス導入部
11 反応性ガス通路
12、12a、12b 放電ガス通路
13a、13b 保温制御システム
14a、14b、14c、14d、15a、15b、15c ガス通路壁
20、21 高周波電源
22 第1フィルター
23 第2フィルター
24a、24b 高周波プロープ
25a、25b オシロスコープ
26 アース
Claims (10)
- 第1電極と第2電極とを対向させて配置した放電空間と、
前記第1電極及び第2電極間に高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
前記放電空間に反応性ガス及び放電ガスを導入するガス導入手段と、
を備え、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記電圧印加手段から電圧を印加することにより、前記放電空間に導入された前記反応性ガスを活性化させて前記第2電極上に配置された基材に製膜を施す薄膜製膜装置であって、
前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有し、
前記ガス導入手段が、前記放電ガスを第1電極側に、前記反応性ガスを第2電極側に夫々別々に前記放電空間に導入し、前記放電ガスが前記放電空間の第1電極に沿って流れ、前記反応性ガスが前記放電空間の前記第2電極上の基材に沿って流れるように構成されて、前記反応性ガスが前記第1電極に実質的に接触しないことを特徴とする薄膜製膜装置。 - 前記ガス導入手段が、前記放電空間に放電ガスを供給するための放電ガス通路と前記放電空間に反応性ガスを供給するための反応性ガス通路とを有し、前記放電ガス通路は前記第1電極に隣接して配置され、前記反応性ガス通路は前記第1電極に対し前記放電ガス通路を挟んで配置されるとともに、前記放電ガス通路と前記反応性ガス通路は前記第2電極に向けて開口していることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製膜装置。
- 前記反応性ガス及び前記放電ガスが前記放電空間内を通過する時間を0.1sec以内としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜製膜装置。
- 前記高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
- 前記第1の周波数ω1の電圧波形及び前記第2の周波数ω2の電圧波形がサイン波であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜製膜装置。
- 前記第1の周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の薄膜製膜装置。
- 前記第2の周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
- 前記高周波電圧が、第1の高周波電圧V1 、及び第1の高周波電圧V 1 より低い第2の高周波電圧V2を重畳したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜製膜装置。
- 前記第1の高周波電圧V1、前記第2の高周波電圧V2 、及び放電開始電圧IVとの関係が、
V1≧IV>V2
又は V1>IV≧V2
を満たすことを特徴とする請求項8に記載の薄膜製膜装置。 - 前記第1の高周波電圧を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電圧を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項8又は9に記載の薄膜製膜装置。
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