JP4345165B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波磁界による誘導加熱を利用して調理を行う誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の誘導加熱調理器について図面を参照しながら説明する。図13は従来から使用されている誘導加熱調理器の一例の構成を示す回路図である。
【0003】
電源1は商用電源を整流した直流電源であり、商用電源周波数の2倍の脈流または平滑された電圧である。電源1はチョークコイル2および平滑コンデンサ3を通して、第一のスイッチング素子6と第二のスイッチング素子7のスイッチング動作に従い、高周波電力を加熱コイル5に供給することになる。加熱コイル5に供給された高周波電力は高周波磁界として鍋8に供給され、この高周波磁界により発生する渦電流により鍋自体が発熱することになる。ここで鍋8は通常磁性ステンレスや鉄等の固有抵抗が大きい材質でできており、アルミニウム鍋等は加熱できないものとして通常除外される。また、加熱コイル5に流れる電流は加熱コイル5と共振コンデンサ4で決まる共振電流である。電流モニタ9はカレントトランス等で構成され、電源1から供給される入力電流をモニタしている。制御手段10は電流モニタ9で検出された電流が所定の電流値となるように第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7のスイッチング時間を制御している。通常、第一のスイッチング素子6と第二のスイッチング素子7のオン時間は同一であり、交互にスイッチング動作を繰り返すことになる。また第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7には電力回生のためのダイオードが内蔵されており、第一のスイッチング素子6と第二のスイッチング素子7のスイッチング動作が切り替わる際に電流が流れることになる。
【0004】
図12は第一のスイッチング素子6と第二のスイッチング素子7の動作時の波形を示す。制御手段10は、第一のスイッチング素子6を導通させるため第一のスイッチング素子6のゲートに駆動信号を入力しオン状態とする。すると、電流Ic1は平滑コンデンサ3から第一のスイッチング素子6、加熱コイル5、共振コンデンサ4を流れ共振電流となる。制御手段10は所定のオン時間を経過した後、第一のスイッチング素子6をオフさせ、引き続き第二のスイッチング素子7のゲートに駆動信号を入力しオンさせ、第二のスイッチング素子7を導通状態にする。すると、電流Ic2は共振コンデンサ4から加熱コイル5、第二のスイッチング素子7を流れ共振電流となる。
【0005】
以上の動作を繰り返すことにより加熱コイル5には共振電流が供給されることになる。ここで、各スイッチング素子6、7のオン時間は共振コンデンサ4の容量と加熱コイル5のインダクタンスで決まる共振電流の周期より短い領域で制御されることになる。また、共振電流の周期と各スイッチング素子6、7の周期が一致するとき最大の電力を発生することになる。また、この方式は各スイッチング素子6、7の最大電圧が電源1の電圧と一致することが大きな特徴である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の誘導加熱調理器においては、アルミニウム鍋やアルミニウムが鍋厚の多くを占める多層鍋等は、鍋自体の固有抵抗が低いために加熱が困難であった。
【0007】
また、アルミニウム鍋を加熱する方法として、(1)加熱コイルのアンペアターンを大きくする、つまり加熱コイルの巻き数を多くする方法、(2)加熱周波数を更に高周波化する方法等があるが、加熱コイルの巻き数を大きくした場合には調理器が大きくなること、更に高周波化した場合にはスイッチング素子の損失が増大し、スイッチング素子の冷却が困難になる等の課題が生じることになる。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するもので、アルミニウム鍋および多層鍋を加熱できる誘導加熱調理器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、互いに直列接続して平滑コンデンサに並列に接続した第一のスイッチング素子および第二のスイッチング素子と、互いに直列接続して前記第二のスイッチング素子へ並列に接続した誘導加熱用の加熱コイルおよび共振コンデンサと、前記第一のスイッチング素子を駆動しオン状態のときオフした後、前記第二のスイッチング素子を駆動する制御手段を備え、前記加熱コイルによりアルミニウム鍋を加熱する場合に、前記制御手段が前記第一のスイッチング素子と前記第二のスイッチング素子を駆動する駆動信号の周波数に比べ、前記加熱コイルに流れる共振電流の周波数を2倍以上に設定するとともに、前記制御手段は、前記第一のスイッチング素子のオン時間を替えて入力電力を制御する誘導加熱調理器である。
【0010】
これにより、スイッチング素子のスイッチング損失を増加させずに高周波電力を鍋に供給することが可能になり、アルミニウム鍋や多層鍋の加熱が可能な誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
また、請求項に係わる発明は、互いに直列接続して平滑コンデンサに並列に接続した第一のスイッチング素子および第二のスイッチング素子と、互いに直列接続して前記第二のスイッチング素子に並列に接続した誘導加熱用の加熱コイルおよび共振コンデンサと、前記第一のスイッチング素子を駆動しオン状態のときオフした後、前記第二のスイッチング素子を駆動する制御手段を備え、前記加熱コイルによりアルミニウム鍋を加熱する場合に、前記制御手段が前記第一のスイッチング素子と前記第二のスイッチング素子を駆動する駆動信号の周波数に比べ、前記加熱コイルに流れる共振電流の周波数を2倍以上に設定するとともに、前記制御手段は前記第一のスイッチング素子のオン時間を替えて入力電力を制御する誘導加熱調理器である。
【0022】
上記実施形態において、アルミニウム鍋等の加熱を行う場合に鍋の表皮抵抗が周波数の平方根に比例する特長を用いて表皮抵抗を上昇させ、かつスイッチング損失を増加させないものである。また、この構成により、通常行われるアンペアターン、すなわち加熱コイルの径を大きくすることで、鍋に入る磁束を増やし、加熱を行う方式で問題となる加熱コイル径の増大を抑えることも可能になるものである。
【0023】
また、制御手段は第一のスイッチング素子のオン時間を替えて入力電力を制御することにより、細かい入力電力の制御が可能であり、制御性に優れた誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0025】
また、請求項に係わる発明は、請求項の記載において、加熱コイルによりアルミニウム鍋を加熱する場合に、共振電流周波数を100kHz以上に設定した誘導加熱調理器である。
【0026】
上記実施形態において、アルミニウム鍋等の重量が軽い場合でも鍋浮きが生じにくくなるものである。
【0027】
【実施例】
以下本発明の誘導加熱調理器につき、図1〜図11を参照して説明する。
【0028】
参考例1)
図1は参考を示す誘導加熱調理器の回路構成図で、図2は同誘導加熱調理器における回路の各部の波形図である。この発明は、スイッチング素子を制御している制御手段が、第一のスイッチング素子と第二のスイッチング素子の駆動信号の周波数に比べ、加熱コイルと共振コンデンサで形成される共振電流の周波数を2倍以上に設定した点が図13に示した従来例の誘導加熱調理器と異なるだけで、それ以外の同一構造および作用効果を奏する部分には従来例と同一符号を付して詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0029】
電源1は商用電源を整流したものであり、非平滑で用いることや電解コンデンサ等で平滑した形で用いることがある。電源1の正極に接続したチョークコイル2とこのチョークコイル2の他端と電源1の負極間に接続した平滑コンデンサ3は、高周波電流を供給する供給源として働く。共振コンデンサ4と誘導加熱用の加熱コイル5は互いに直列接続して、前記平滑コンデンサ3に並列接続した第一のスイッチング素子6と第2のスイッチング素子7の互いに直列接続した共通接続点に加熱コイル5の一端を接続し、第2のスイッチング素子7の他端に共振コンデンサ4の一端を接続している。鍋8は、加熱コイル5の高周波磁界を受けて発生する渦電流により発熱する。電流モニタ9は電源1から供給される入力電流をモニタしている。制御手段20は、第一のスイッチング素子6を導通させるため第一のスイッチング素子6のゲートに図2に示す駆動信号を入力しオン状態とする。すると、図2に示す電流Ic1は平滑コンデンサ3から第一のスイッチング素子6、加熱コイル5、共振コンデンサ4を共振電流となり流れる。次に、制御手段20は前記共振電流が零電流に達すると、第一のスイッチング素子6をオフさせ、引き続き第二のスイッチング素子7のゲートに図2に示す駆動信号を入力しオンさせ、第二のスイッチング素子7を導通状態にする。すると、図2に示す電流Ic2は共振コンデンサ4から加熱コイル5、第二のスイッチング素子7を共振電流となり流れることになる。この際、第二のスイッチング素子7の導通時間は共振電流の周期より1/2以下の周期であるため、共振コンデンサ4から加熱コイル5、第二のスイッチング素子7を通る電路と、共振コンデンサ4から第二のスイッチング素子7に内蔵されたダイオードを通って加熱コイル5に電力を供給する電路を交互に繰り返すことになる。制御手段20はこの動作を電流モニタ9で検出される電流値が所定の値となるまで続けた後、第二のスイッチング素子7の零電流を検知し第二のスイッチング素子7をオフ状態にする。この動作を繰り返すことにより加熱コイル5には共振電流が供給され、鍋8には加熱コイル5から高周波磁界が供給されることになる。また制御手段20は、マイクロコンピュータ等を用いて入力電力に応じた制御を第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7に行わせている。ここで、第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の駆動信号はスイッチング損失等を考慮して通常20〜30kHzで行われている。これに対して鍋8と結合した加熱コイル5のインダクタンスと共振コンデンサ4の容量で決まる共振周波数を、第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の動作周波数の2倍以上、すなわち2波形以上の共振電流が第二のスイッチング素子7に一回のスイッチング動作で流れるような定数としている。これは、アルミニウム鍋等の加熱を行う場合に鍋の表皮抵抗が周波数の平方根に比例する特長を用いて発熱を起こすことを目的としているものであり、表皮抵抗を上昇させ、かつスイッチング損失を増加させないものである。また、この方式を用いることで、通常行われるアンペアターン、すなわち加熱コイル5の径を大きくすることで、鍋に入る磁束を増やし、加熱を行う方式で問題となる加熱コイル径の増大を抑えることも可能になる。
【0030】
上記構成における動作について説明する。図2は本参考例における各部波形示す図である。(a)は第一のスイッチング素子6に流れる電流波形Ic1を、(b)は第二のスイッチング素子7に流れる電流波形Ic2を、(c)は制御手段20から第一のスイッチング素子6のゲートに与えられる駆動信号の波形を、(d)は制御手段20から第二のスイッチング素子7のゲートに与えられる駆動信号の波形をそれぞれ示している。この駆動信号の波形により各スイッチング素子の駆動周波数は従来と変わらないままで、加熱コイル5には駆動信号の周波数の数倍の周波数を持つ共振電流が供給されていることが分かる。
【0031】
以上のように本参考例によれば、第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7のスイッチング損失を増加させずに高周波電力を鍋8に供給することが可能になり、アルミニウム鍋や多層鍋の加熱が可能な誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0032】
参考例2)
図3は参考を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図、図4は同誘導加熱調理器における加熱コイルへ供給される高周波磁界の周波数を示す図である。この発明は、制御手段が加熱コイルと共振コンデンサで決まる共振電流の周波数を100kHz以上に設定している点が、図1に示した参考例1の誘導加熱調理器と異なり、図1の回路構成そして図3は図2と同じで詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0033】
制御手段20は、加熱コイル5のインダクタンスと共振コンデンサ4の容量で決まる共振電流の共振周波数を100kHz以上に設定している。
【0034】
上記参考例において、加熱コイル5と共振コンデンサ4で決まる共振電流の周波数を100kHz以上に設定しているので、アルミニウム鍋等の重量の軽い場合でも鍋浮きが生じにくくなる。すなわち、アルミニウム鍋等の加熱を行う際、鍋で生じる逆位相の磁界と加熱コイル5からの磁界から反発力が生じ、これに鍋自体の軽さの要素が加わって起こる現象であり、図4に示すように加熱コイル5へ供給される高周波磁界の周波数を上げるに従って、浮力が減少する性質がある。そこで、本参考例では共振電流の共振周波数を100kHz以上に設定することにより、鍋浮きの問題を解決するものである。
【0035】
以上のように本参考例によれば、アルミニウム鍋等の重量が軽い場合でも鍋浮きが生じにくくなり、安全性の高い誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0036】
参考例3)
図5は参考を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図である。この発明は、制御手段が第二のスイッチング素子の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御することで、入力電力を制御する点が、図1に示した参考例1の誘導加熱調理器と異なり、図1の回路構成は同じで詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0037】
制御手段20は、電流モニタ9が検出した第二のスイッチング素子7の導通時に流れる電流信号を受け、第二のスイッチング素子7の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御することで、入力電力を制御する構成にしている。
【0038】
上記参考例において、制御手段20は電流モニタ9が検出した第二のスイッチング素子7の導通時に流れる電流信号を受け、第二のスイッチング素子7の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御することにより入力電力を制御するので、図5<電力大>に示すように共振電流の零電流を通過する数が少ないこと、すなわち駆動信号の周波数が高い程入力電力は大きくなることになる。また、この構成では図5<電力小>に示すように定格電力での共振電流の零電流を通過する数が多いほど制御性が良くなるため、共振電流が100kHzを越えるような場合に有効な制御方式である。すなわち、調理物の調理に合わせて入力電力を変える制御ができるようになる。
【0039】
以上の様に本参考例によれば、入力電力の調整の範囲が広くなり、制御性の優れた誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0040】
参考例4)
図6は参考を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図である。この発明は、制御手段が第一のスイッチング素子の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御することで、入力電力を制御する点が、図1に示した参考例1の誘導加熱調理器と異なり、図1の回路構成は同じで詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0041】
制御手段20は、電流モニタ9が検出した第一のスイッチング素子6の導通時に流れる電流信号を受け、第一のスイッチング素子6の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御することで、入力電力を制御する構成にしている。
【0042】
上記参考例において、制御手段20は電流モニタ9が検出した第一のスイッチング素子6の導通時に流れる電流信号を受け、第一のスイッチング素子6の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御して入力電力を制御するので、図6<電力大>に示すように第一のスイッチング素子6を流れる電流による共振電流の数が少ない程、すなわち第一のスイッチング素子6の駆動信号の周波数が高いほど、入力電力は大きくなることになる。また、この構成では図6<電力小>に示すように定格電力での共振電流の零電流を通過する数が多いほど入力電力は小さくなり制御性が良くなるため、共振電流が100kHzを越えるような場合に有効な制御方式である。すなわち、調理物の調理に合わせて入力電力を変える制御ができるようになる。
【0043】
以上の様に本参考例によれば、入力電力の調整の範囲が広くなり、制御性の優れた誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0044】
参考例5)
図7は参考を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図である。この発明は、制御手段が第一のスイッチング素子と第二のスイッチング素子の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を同時に制御し、かつ前記スイッチング素子の駆動信号の周波数を一定に保ったまま入力電力を制御する点が、図1に示した参考例1の誘導加熱調理器と異なり、図1の回路構成は同じで詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0045】
制御手段20は、電流モニタ9が検出した第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の導通時に流れる電流信号を受け、第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御し、かつ前記スイッチング素子の駆動信号の周波数を一定に保ったまま入力電力を制御する構成にしている。
【0046】
上記参考例において、制御手段20は電流モニタ9が検出した第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の導通時に流れる電流信号を受け、第一のスイッチング素子6および第二のスイッチング素子7の導通時に流れる共振電流の零電流を通過する数を制御して、前記スイッチング素子の駆動信号の周波数を一定に保ったまま入力電力を制御するので、入力電力は主に第二のスイッチング素子7の導通時間により決まるため、図7<電力大>に示すように第二のスイッチング素子7を通過する共振電流の零電流を通過する数が少ないほど入力電力が大きくなることになる。また、この構成では図7<電力小>に示すように定格電力での共振電流の零電流を通過する数が多いほど入力電力は小さくなり制御性が良くなる。以上の様に本参考例によれば、スイッチング素子の駆動信号の一定周波数での入力電力の調整が可能になり、隣り合った誘導加熱調理器(1台の調理器本体に加熱コイルを隣接して並設した形態)の駆動信号の周波数の違いによる干渉音の発生を抑えることが可能になり、騒音の少ない誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0047】
(実施例
図8は請求項の発明に対応する一実施例を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図である。この発明は、制御手段が第一のスイッチング素子のオン時間を替えて入力電力を制御する点が、図1に示した参考例1の誘導加熱調理器と異なり、図1の回路構成は同じで詳細な説明を省き、異なる点を中心に説明する。
【0048】
制御手段20は第一のスイッチング素子6のオン時間を替えて入力電力を制御する構成にしている。
【0049】
上記実施例において、制御手段20は第一のスイッチング素子6の導通時間を替えて入力電力を制御しているので、すなわち第一のスイッチング素子6が導通状態の時に共振コンデンサ4に蓄えられる電荷量を制御することにより、第二のスイッチング素子7が導通状態になったときに電力量が制御されることになる。この構成による入力電力の制御は、図8<電力小>に示すように第一のスイッチング素子6をオフする際の制限がなく細かい入力電力の制御が可能であり、制御性に優れている。また、図8<電力大>に示すように第一のスイッチング素子6の導通時間が長くなるほど入力電力が大きくなる。
【0050】
以上の様に本実施例によれば、入力電力の調整の範囲が広くなり、制御性の優れた誘導加熱調理器を実現できるものである。
【0051】
(参考例
図9は、参考例を示す誘導加熱調理器の回路構成図で、図10は同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図である。この発明は、鍋の種類に応じて共振電流の周波数を変化させるために、加熱コイルと直列接続した共振コンデンサの容量を切り替えるようにした点が、参考例1の誘導加熱調理器と異なり、それ以外の同一構造および作用効果を奏する部分には図1と同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0052】
共振コンデンサ4は3個を並列に接続して共通接続点を加熱コイル5に結線している。そして、11は前記共振コンデンサ4の2個に接続し、容量を切り替えるスイッチ等の切り替え手段である。12は鍋の種類を検知する鍋判別手段で、検知した判別信号を制御手段20aに送信する。前記制御手段20aは前記鍋判別手段12により判別された信号に応じて前記切り替え手段11を制御し共振コンデンサ4の容量を切り替えて共振電流の周波数を変化させ入力電力を制御するものである。
【0053】
上記参考例において、鍋8が磁性ステンレスや鉄の場合には共振電流の周波数は従来例と同じくスイッチング素子の駆動信号の周波数より低いことが望まれる。これは高周波電流を流した場合に、加熱コイル5で発生する損失が表皮効果のため増加するためで、鍋8が鉄等の場合、前記駆動信号の周波数での固有抵抗で十分鍋を発熱させることが可能である。
【0054】
一方、鍋8がアルミニウム鍋や多層鍋の場合は、参考例1で述べたように前記駆動信号の周波数に比べ数倍の共振電流を流す必要がある。そのため、鍋の材質により、共振電流の周波数を変えてやり、鍋8に応じた共振電流を作ることが効果的である。また、この構成の場合は従来のアルミニウム鍋の加熱で行っていた加熱コイル5の切り替えがいらないことになる。なお、鍋8が鉄鍋等の場合は共振周波数が低くなることから共振コンデンサ4の値は大きくなり、アルミニウム鍋の場合は共振コンデンサ4の値は小さくなることになる。このように、図10<鍋1>、<鍋2>は、鍋が変わった場合のスイッチング素子に流れる電流の波形を示している。鍋の種類の応じて最適な共振コンデンサ4を選択することで、最も有効な共振電流を選択することができる。
【0055】
なお、上記参考例における鍋判別手段12は、鍋の加熱コイル5からみたインピーダンスや共振電流の周波数の変化等から検出する等様々な方式が考えられるが、初期の目的を達成するなら、いずれの方式でも良い。
【0056】
以上の様に本参考例によれば、一種類の加熱コイルで様々な鍋を有効に加熱することが可能になり、従来のアルミニウム鍋の加熱兼用の誘導加熱調理器に比べ小型の誘導加熱調理器を実現するものである。
【0057】
(参考例
図11は、参考例を示す誘導加熱調理器の回路構成図である。この参考例は、鍋の重量に応じて共振電流の周波数を変化させるために、加熱コイルと直列接続した共振コンデンサの容量を切り替えるようにした点が、参考例1並びに参考例の誘導加熱調理器と異なり、それ以外の同一構造および作用効果を奏する部分には図1および図9と同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0058】
13は鍋の重量を検出する鍋重量判別手段で、検出した重量判別の信号を制御手段20bへ送信する。そして、制御手段20bは前記鍋重量判別手段13により判別された信号に応じて前記切り替え手段11を制御し共振コンデンサ4を切り替えて共振電流の周波数を変化させるものである。
【0059】
上記参考例において、鍋8がアルミニウム鍋の場合には鍋で生じる逆位相の磁界と加熱コイル5からの磁界から反発力が生じ、これに鍋自体の軽さの要素が加わって鍋浮き現象が生じる。これには図4に示すように加熱コイル5へ供給される高周波磁界の周波数を上げて浮力を減少させる構成が有効である。しかし、共振電流の周波数を上げることは加熱コイル5の損失を増加させることにつながる。そこで、本参考例では鍋重量判別手段13により鍋の重量を検出し、一定以下の重量になった場合のみ、切り替え手段11により共振コンデンサ4の容量を切り替え、共振電流の周波数を上げてやり、鍋浮きを防止するものである。
【0060】
なお、鍋重量判別手段13は、重量センサや鍋浮きの瞬間の検出など様々な方式が考えられ、初期の目的を達成するなら、いずれの方式でも良い。
【0061】
以上の様に本参考例によれば、鍋の軽さに起因する鍋浮きを必要な時だけ抑えることが可能になり、安全性の高い誘導加熱調理器を実現するものである。
【0066】
【発明の効果】
求項の発明によれば、アルミニウム鍋等の加熱を行う場合に鍋の表皮抵抗を上昇させ、かつスイッチング損失を増加させず、通常行われるアンペアターン、すなわち加熱コイル5の径を大きくすることで、鍋に入る磁束を増やし、加熱を行う方式で問題となる加熱コイル径の増大を抑えることも可能な誘導加熱調理器を実現できる。
【0067】
また、細かい入力電力の制御が可能であり、制御性に優れている
【0068】
また、請求項の発明によれば、アルミニウム鍋等の重量が軽い場合でも鍋浮きが生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1を示す誘導加熱調理器の回路構成図
【図2】 同誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図
【図3】 本発明の参考例2を示す誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図
【図4】 同誘導加熱調理器における加熱コイルへ供給される高周波磁界の周波数特性を示す図
【図5】 <電力小>本発明の参考例3を示す誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
<電力大>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
【図6】 <電力大>本発明の参考例4を示す誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
<電力小>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
【図7】 <電力小>本発明の参考例5を示す誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
<電力大>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
【図8】 <電力大>本発明の実施例を示す誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
<電力小>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
【図9】 本発明の参考例を示す誘導加熱調理器における回路構成図
【図10】 <鍋1>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
<鍋2>同誘導加熱調理器におけるスイッチング素子に流れる電流の波形図
【図11】 本発明の参考例を示す誘導加熱調理器における回路構成図
【図12】 従来の誘導加熱調理器における回路構成の各部の波形図
【図13】 同誘導加熱調理器を示す回路構成図
【符号の説明】
4 共振コンデンサ
5 加熱コイル
6 第一のスイッチング素子
7 第二のスイッチング素子
9 電流モニタ
11 切り替え手段
12 鍋判別手段
13 鍋重量判別手段
20、20a、20b 制御手段

Claims (2)

  1. 互いに直列接続して平滑コンデンサに並列に接続した第一のスイッチング素子および第二のスイッチング素子と、互いに直列接続して前記第二のスイッチング素子へ並列に接続した誘導加熱用の加熱コイルおよび共振コンデンサと、前記第一のスイッチング素子を駆動しオン状態のときオフした後、前記第二のスイッチング素子を駆動する制御手段を備え、前記加熱コイルによりアルミニウム鍋を加熱する場合に、前記制御手段が前記第一のスイッチング素子と前記第二のスイッチング素子を駆動する駆動信号の周波数に比べ、前記加熱コイルに流れる共振電流の周波数を2倍以上に設定するとともに、前記制御手段は、前記第一のスイッチング素子のオン時間を替えて入力電力を制御する誘導加熱調理器。
  2. 加熱コイルによりアルミニウム鍋を加熱する場合に、共振電流の周波数を100kHz以上に設定した請求項記載の誘導加熱調理器。
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