JP4345160B2 - 高強度鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の足回り部材、フレーム部材などの使途に好適な高強度鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の素材分野では、燃費向上や衝突安全性確保の上から、高強度鋼の使用が推進されており、特に最近になり、自動車の足回り部材やフレーム部材などに用いられる鋼管の高強度化も検討されている。
鋼管を高強度化させるために、従来から用いられてきた方法には、鋼中に強化元素を添加したり、鋼管素材である熱延鋼板を冷間にて加工して熱延鋼板の強度を増加したのち造管する方法がある。しかし、造管前の鋼板強度を上昇させると、造管時の曲げ加工が困難になり、また縮径加工などでの負荷も大きくなる。このほかに、造管後に熱処理を施すことにより強度増加を図る方法もあるが、この方法では工程の増加を伴うので効率の悪化やコストの上昇を招くことになる。また、造管後に引き抜き加工などの冷間加工を付加する方法もあるが、この方法では大きな強度上昇が望めない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の鋼管の高強度化技術では、造管前の強度が高いために造管性が悪化したり、熱処理のために工程の複雑化や製品コストの上昇を招くといった問題があった。また、造管後に引き抜き加工などの冷間加工を施す従来技術では、効果的な高強度化が行えないという問題もあった。
この発明は、上述した従来技術が抱えていた問題を解消し、熱延鋼板を素材とした鋼管とくに電縫鋼管の製造において、造管時の加工性を阻害することなく、効率的に強度を上昇させる技術を提供することを目的とする。なお、本発明においては、強度上昇の指標を、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpと、熱延鋼板の板厚中央部の硬さHvsの比で表し、このHvp/Hvsが1.6 以上であることを目標とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題の解決に向けて、鋭意研究を重ねた結果、熱間圧延に次いで電気抵抗溶接の工程を経て製造される電縫鋼管について、フェライト粒の平均結晶粒径および固溶N量を適正範囲に調整し、この電縫鋼管を所定条件で縮径加工または拡径加工することにより、熱延鋼板の強度に比して極めて高い強度を有する鋼管を製造しうること見いだした。本発明はこのような知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
【0005】
(1)熱延鋼板を電気抵抗溶接して、固溶状態のN量が0.003〜0.01%、かつフェライトの平均結晶粒径が8μm以下である電縫鋼管とし、この電縫鋼管を、100〜375℃の温度域において、断面積比(=加工後の鋼管断面積Aと加工前の鋼管断面積Aoとの比、A/Ao)が0.8以下となる縮径または拡径の加工を行って製造された鋼管であって、鋼組成が、C:0.01〜0.16%、Si:0.003〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.005〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.003〜0.02%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpが、前記熱延鋼板の板厚中央部硬さHvsの1.6倍以上であることを特徴とする高強度鋼管。
【0006】
(2)上記 (1)において、鋼組成が、上記成分のほかに、さらに、Ti:0.001 〜0.10%およびNb:0.001 〜0.10%の1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼管。
【0007】
(3)上記 (1)または (2)において、鋼組成が、上記成分のほかに、さらに、Ni:0.1 〜1.5 %、Cr:0.1 〜1.5 %およびMo:0.1 〜1.5 %の1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼管。
【0008】
(4)鋼組織が、フェライト単相またはフェライトとパーライト、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの少なくとも1種を含む第2相とからなることを特徴とする上記 (1)〜 (3)のいずれか1つに記載の高強度鋼管。
【0009】
(5)C:0.01〜0.16%、Si:0.003 〜2.0 %、
Mn:0.01〜3.0 %、P:0.005 〜0.2 %、
Al:0.001 〜0.1 %、N:0.003 〜0.02%
を含み、必要により、下記A群および/またはB群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、得られた熱延鋼板を電気抵抗溶接して、固溶状態のN量が0.003 〜0.01%、かつフェライトの平均結晶粒径が8μm以下である電縫鋼管とし、この電縫鋼管を、100 〜375 ℃の温度域において、断面積比(=加工後の鋼管断面積Aと加工前の鋼管断面積Aoとの比、A/Ao)が 0.8以下となる縮径または拡径の加工を行うことを特徴とする高強度鋼管の製造方法。

A群…Ti:0.001 〜0.10%およびNb:0.001 〜0.10%
B群…Ni:0.1 〜1.5 %、Cr:0.1 〜1.5 %およびMo:0.1 〜1.5 %
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の根拠となった実験事実について述べる。
C:0.07%、Si:0.12%、Mn:1.2 %、P:0.02%、Al:O.015 %、N:0.008 %を主成分とする鋼を溶製し、熱間圧延条件を変えることにより、フェライト粒の平均結晶粒径( 以下、単に「結晶粒径」と略記)および固溶状態で存在するN(以下、単に「固溶N」と略記)の量が異なる種々の熱延鋼板を製造した。これらの熱延鋼板を用いて、外径40mm、肉厚は3.2 mmの電縫鋼管とし、加工条件を変化させて縮径圧延を行い、固溶N、フェライト結晶粒径、縮径加工の条件が縮径後の強度上昇に及ぼす影響を、以下に示す実験1〜4により調査した。
なお、強度上昇の程度は板厚(肉厚)中央部の硬さの上昇により示し、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpと、熱延鋼板の板厚中央部の硬さHvsの比、Hvp/Hvsで表すこととした。また、予め、フェライト結晶粒径および固溶N量を、熱延鋼板と溶接したまま(縮径加工前)の電縫鋼管とについて調べたところ、いずれの値とも、両者の間には差がなく、どちらの値を用いてもよいことを確認した。
【0011】
実験1
フェライト結晶粒径が 5.0〜7.0 μmで、固溶N量が10〜20 ppmと60〜70 ppmの電縫鋼管を造管した。次いで、これらの電縫鋼管を、室温〜500 ℃までの温度域において縮径圧延して、外径30mm、肉厚 3.Omm(A/Aoにして0.70)の鋼管とした。その結果を図1に示す。図1から、固溶N量が60〜70 ppmの鋼管を用い、かつ縮径圧延の温度域が 100〜375 ℃の場合に、Hvp/Hvsの値が1.6 以上となり著しい強度上昇が得られる。一方、固溶N量が10〜20 ppmの場合には、加工温度域にかかわらず強度の上昇程度は小さい。
【0012】
実験2
上記実験と同様、フェライト結晶粒径が 5.0〜7.0 μmで、固溶N量が10〜20 ppmと60〜70 ppmの電縫鋼管を造管した。これらの電縫鋼管を、圧延温度250 ℃において種々の断面積比で縮径加工した。その結果を図2に示す。図2から、固溶N量が60〜70 ppmの電縫鋼管を、断面積比すなわちA/Aoを0.8 以下として加工することにより、Hvp/Hvsの値が1.6 以上となり著しく強度が上昇する。一方、固溶N量が10〜20 ppmの場合には、Hvp/Hvsの上昇量が小ささい。
【0013】
実験3
同様に、固溶N量が10〜20 ppmと60〜70 ppmの2水準で、フェライト結晶粒径を 3.0〜20.0μmの範囲で変化させた電縫鋼管を造管した。これらを、圧延温度250 ℃で縮径加工して、外径30mm、肉厚 3.Omm(A/Aoにして0.70)の鋼管とした。その結果を図3に示す。図3から、固溶N量が60〜70 ppmの場合には結晶粒径を8μm以下とすることにより、Hvp/Hvsの値が1.6 以上となり著しく強度が上昇する。しかし、固溶N量が10〜20 ppmと低い場合には結晶粒径の如何にかかわらず、このようなHvp/Hvsの上昇はみられない。
【0014】
実験4
フェライト結晶粒径が 5.0〜7.0 μmのもので、固溶N量を5〜100 ppm の広い範囲で変化させた電縫鋼管を造管した。これらを、圧延温度250 ℃、A/Ao=0.70で縮径圧延して、外径30mm、肉厚 3.Ommの鋼管とした。その結果を図4に示す。図4から、固溶N量を30 ppm以上とすることにより、Hvp/Hvsの値が1.6 以上となり強度上昇が大きいことがわかる。
【0015】
以上の各実験から、適正なフェライト結晶粒径および固溶N量を有する電縫鋼管を、適正な加工比(A/Ao)と加工温度で縮径圧延することにより、鋼管の高強度化を極めて効果的に達成できることが判明した。発明者らは、その後の実験により、高強度化の実現のための圧延加工は、必ずしも縮径圧延に限るものでなく、断面積比A/Aoが適正な範囲であれば、拡径圧延においても同様な効果が得られることを確認した。
【0016】
以上の知見に基づいて、本発明者らは、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpと造管素材である熱延鋼板の板厚中央部硬さHvsとが、Hvp/Hvs≧1.6 となるように、造管後に鋼管を高強度化する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高強度鋼管は、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpが、造管素材である熱延鋼板の板厚中央部硬さHvsの1.6 倍以上である必要がある。鋼管の肉厚中央部の硬さHvpが、素材である熱延鋼板の板厚中央部硬さHvsの1.6 倍に満たないと、高強度鋼管に造管するには高強度の素材を選択しなければならなくなり、造管性が悪くなり造管が困難となる。
【0017】
そして、Hvp/Hvs≧1.6 を達成するためには、0.003 %以上の固溶Nが加工前の電縫鋼管中に残存していることが必要である。かかる範囲で固溶N量を含む鋼管に適正な加工を施した場合に、縮径加工または拡径加工中に動的歪み時効が生じ、加工時に導入された可動転位が逐次固着されるため、新たな可動転位が随時導入されると、実質的な転位密度が増加して加工硬化能が向上するためであると考えられる。ただし、固溶N量が0.01%を超えて存在すると、室温での時効劣化が大きくなり降伏点が大きく上昇したり、降伏伸びが顕著になるなど、造管時の成形に耐えられなくなる。したがって、本発明において、鋼管中の固溶N量は0.003 〜0.01%とする。
【0018】
また、縮径または拡径加工に供する電縫鋼管は、フェライト結晶粒径が8μm以下である必要がある。フェライト結晶粒径が微細であると、縮径または拡径加工時に導入される可動転位が高密度かつ均一に分布するため動的歪時効後には図3に示すように高い強度上昇を示す。さらに、結晶粒が微細であると、固溶Nの安定な存在位置である結晶粒界の面積が大きくなるため、常温時効劣化が抑制され、縮径または拡径加工時の加工性の劣化を防止できる。このような効果はフェライト結晶粒径が8μmを超えると十分に得られなくなる。
また、フェライト結晶粒径が8μm以下である電縫鋼管は、フェライト結晶粒径が8μm以下である鋼板を造管して電縫鋼管とすることにより得られるが、鋼板の結晶粒が微細であると、固溶Nの安定な存在位置である結晶粒界の面積が大きくなり、常温時効劣化が抑制されるため、造管時の加工性の劣化を防止できるという効果も有する。
さらに、電縫鋼管を縮径または拡径加工する必要があるが、この加工に当たっては、加工温度を 100〜375 ℃として、縮径または拡径加工前の電縫鋼管の断面積Ao と縮径または拡径加工後の電縫鋼管の断面積Aとの比A/Ao が0.8 以下となるように行う。加工温度が 375℃を超えると、転位の易動度が上がり加工時の転位が増殖し難くなり、また、固溶Nが粗大な析出物となる。一方、加工温度が 100℃に満たないと加工時に固溶Nが十分に拡散しないため、強度が上昇しない。また、A/Ao が0.8 を超えると、導入される転位の量が少ないため、強度の上昇が期待できない。
【0019】
本発明における金属組織は、電縫鋼管製造時の加工性や、縮径または拡径時の加工性の理由から、フェライト組織が存在していることが必要である。そして、本発明技術は、フェライト単相のもののほか、フェライトとパーライト、ベーナイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトのうちから選ばれる1種以上の第2相とからなるものに適用できる。第2相を上記組織とすることで、高価な元素を添加することなく高強度を得るために有利である。この第2相の体積率が50%を超えると、電縫鋼管製造時の加工性や縮径または拡径時の加工性を低下させるので、第2相の体積率は50%以下とするのがよい。
【0020】
なお、固溶N量が0.003 〜0.01%で、かつフェライト結晶粒径が8μm以下の鋼管(電縫鋼管)を製造するためには、鋼管の素材である熱延鋼板の固溶N量とフェライト結晶粒径を前記範囲を満足するようにして製造することが重要である。かかる熱延鋼板を製造するための条件としては、本発明の成分組成を満たすスラブを、熱間粗圧延し、仕上げ圧延終了温度を(Ar変態点+100 ℃)〜(Ar変態点+10℃)の範囲内とした熱間仕上げ圧延を行い、圧延終了後0.5 秒以内に50℃/秒以上の冷却速度で冷却し、 600〜350 ℃の温度範囲で巻き取ることが望ましい。
また、縮径加工または拡管加工に供される電縫鋼管の造管法については、特に規定する必要はないが、例えばCBR成形法(チャンスフリー張出しロール成形法)のような、加工歪みが小さく、また電縫溶接後は速やかに冷却される方法であることが好ましい。
【0021】
次に、この発明における鋼成分の限定理由について説明する。
C:0.01〜0.16%
Cは、鋼を強化するうえで重要な元素であり、高い固溶強化能を有するとともに組織強化を利用する際には不可欠な元素である。また、歪み時効硬化にも有効な元素である。その含有量が0.01%未満では十分な強度が得られず、一方0.16%を超えると溶接性が劣化する。したがって、C含有量は0.01〜0.16%とする。
【0022】
Si:0.003 〜2.0 %
Siは、所望の強度に応じて添加する元素であるが、0.003 %未満の含有量ではその効果に乏しく、2.0 %を超えると加工性の劣化を招く。したがって、Si含有量は0.003 〜2.0 %とする。
【0023】
Mn:0.01〜3.0 %
Mnは、熱間における脆化の防止ならびに強度確保のため添加する元素であるが、0.01%未満ではその効果に乏しく、3.0 %を超えると加工性の劣化を招く。したがって、Mn含有量は0.01〜3.0 %とする。
【0024】
P:0.005 〜0.2 %
Pは、所望の強度に応じて必要量を添加する元素であるが、0.005 %未満ではその効果に乏しく、0.2 %を超えると粒界に偏析して粒界割れを引き起こすとともに溶接性の劣化をも招く。したがって、P含有量は0.005 〜0.2 %とする。
【0025】
Al:0.001 〜0.1 %
Alは、鋼の脱酸に必要な元素であるが、0.001 %未満ではその効果に乏しく、0.1 %を超えて多量に添加してもそれ以上の効果は望めないばかりか、表面性状を劣化させる。したがって、Al含有量は0.001 〜0.1 %とする。
【0026】
N:0.003 〜0.02%
Nは、前述した固溶Nのもととなる極めて重要な元素である。歪み時効硬化特性を向上させるためには、0.003 %以上の固溶Nが熱延鋼板中に残存することが必須であることから、Nも0.003 %以上の含有量が必要である。一方N量が0.02%を超えると成形性が劣化してしまう。したがって、N含有量は 0.003〜0.02%とする。
【0027】
Ti:0.001 〜0.10%、Nb:0.001 〜0.10%
TiおよびNbはいずれも、C、N、Sとそれぞれ炭化物、窒化物、硫化物を形成して強度および靱性の向上に有効に寄与するが、いずれも含有量が0.001 %未満では十分な効果が得られず、一方、0.10%を超えて含有すると歪み時効効果に必要なC、N量を確保できなくなる。したがって、これらの元素の含有量はいずれも 0.001〜0.10%とする。
【0028】
Ni:0.1 〜1.5 %、Cr:0.1 〜1.5 %、Mo:0.1 〜1.5 %
これらの元素は、固溶強化のみならず、特に組織強化の利用に重要な役割を果たす元素であり、鋼管素材である熱延鋼板を製造する際に、熱間圧延後の冷却過程におけるオーステナイトを安定化させて、二相組織を得やすくする作用を有している。いずれの元素とも、その添加量が0.1 %未満では十分な効果が得られず、一方1.5 %を超えると、成形性および溶接性を劣化させる。したがって、これらの元素の含有量はそれぞれ0.1 〜1.5 %とする。
【0029】
【実施例】
表1に示す化学成分の鋼を溶製し、仕上げ圧延終了温度:820 〜910 ℃、圧延終了後0.5 秒以内の冷却速度:50℃/秒以上、巻取温度:450 〜600 ℃の条件で熱間圧延して熱延鋼板としたのち、これら熱延鋼板をCBR法により表2に示すサイズの電縫鋼管に加工した。この鋼管より試片を切り出し、鋼組織、フェライト結晶粒径、固溶N量を測定するとともに、鋼管の肉厚中心部のビッカース硬さを測定した。これらを表2に示す加工温度において種々の断面積比にて縮径加工を行った。得られた鋼管の肉厚中心部のビッカース硬さを測定し、Hvp/Hvsを求めた。またこの鋼管からも試片を切り出し、鋼組織を調べた。
【0030】
【表1】
Figure 0004345160
【0031】
【表2】
Figure 0004345160
【0032】
表1および表2から、本発明を適用した縮径加工後の鋼管は、金属組織に依存することなくHvp/Hvsが1.6 以上になり、高強度化が極めて有効に達成できることがわかる。これに対し、縮径加工前の電縫鋼管における固溶N量、電縫鋼管の加工温度や加工時の断面積比などの条件が適正でない比較例は、Hvp/Hvsの値が低く効果的な高強度化が行えなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造時の加工性が阻害されることなく、鋼管の高強度化の達成が可能になる。しかも本発明によれば、複雑な工程を必要とせず、安価に高強度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Hvp/Hvsに及ぼす縮径加工温度の影響を示したグラフである。
【図2】Hvp/Hvsに及ぼす縮径加工前後の断面積比の影響を示したグラフである。
【図3】Hvp/Hvsに及ぼす縮径加工前の鋼管のフェライト結晶粒径の影響を示したグラフである。
【図4】Hvp/Hvsに及ぼす縮径加工前の鋼管の固溶N量の影響を示したグラフである。

Claims (5)

  1. 熱延鋼板を電気抵抗溶接して、固溶状態のN量が0.003〜0.01%、かつフェライトの平均結晶粒径が8μm以下である電縫鋼管とし、この電縫鋼管を、100〜375℃の温度域において、断面積比(=加工後の鋼管断面積Aと加工前の鋼管断面積Aoとの比、A/Ao)が0.8以下となる縮径または拡径の加工を行って製造された鋼管であって、鋼組成が、C:0.01〜0.16%、Si:0.003〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.005〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.003〜0.02%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼管の肉厚中央部の硬さHvpが、前記熱延鋼板の板厚中央部硬さHvsの1.6倍以上であることを特徴とする高強度鋼管。
  2. 請求項1において、鋼組成が、上記成分のほかに、さらに、Ti:0.001〜0.10%およびNb:0.001〜0.10%の1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼管。
  3. 請求項1または2において、鋼組成が、上記成分のほかに、さらに、Ni:0.1〜1.5%、Cr:0.1〜1.5%およびMo:0.1〜1.5%の1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼管。
  4. 鋼組織が、フェライト単相またはフェライトとパーライト、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの少なくとも1種を含む第2相とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度鋼管。
  5. C:0.01〜0.16%、Si:0.003〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.005〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.003〜0.02%を含み、必要により、下記A群および/またはB群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、得られた熱延鋼板を電気抵抗溶接して、固溶状態のN量が0.003〜0.01%、かつフェライトの平均結晶粒径が8μm以下である電縫鋼管とし、この電縫鋼管を、100〜375℃の温度域において、断面積比(=加工後の鋼管断面積Aと加工前の鋼管断面積Aoとの比、A/Ao)が0.8以下となる縮径または拡径の加工を行うことを特徴とする高強度鋼管の製造方法。

    A群・・・Ti:0.001〜0.10%およびNb:0.001〜0.10%
    B群・・・Ni:0.1〜1.5%、Cr:0.1〜1.5%およびMo:0.1〜1.5%
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