JP4344491B2 - 熱安定性の向上した濃縮乳及びその製造方法 - Google Patents

熱安定性の向上した濃縮乳及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱処理に安定な濃縮乳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から製造されている濃縮乳は、生乳あるいは脱脂乳や無水脂肪乳等の乳製品を原料として濃縮処理又は加水希釈した後、殺菌あるいは滅菌のために低温長時間殺菌(LTLT法)、高温短時間殺菌(HTST法)又は超高温殺菌(UHT法)などの加熱処理を行った後に缶や紙容器等に充填することにより製造されている。
【0003】
一般に未濃縮乳は殺菌や滅菌のための加熱処理に比較的安定であるのに対して濃縮乳は加工中にしばしば凝固することがあるため、商業的な見地から極めて重要な問題点として把握されているところである。従って、濃縮乳の熱安定性はその品質に大きな影響を与える性質であり、解決すべき重要な課題の一つとなっている。
【0004】
乳業界では濃縮乳の凝固すなわち熱安定性を改善するために20世紀初頭から経験的に濃縮前に予熱(プレヒート)処理を行ったり、クエン酸塩やリン酸塩等を添加することが行われていた。最近では凝固防止等乳の安定化のための技術開発が加速しカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の乳蛋白質安定剤を使用する技術が開示されている(特公昭45―36143号公報、特公昭59―41709号公報、特開昭60―12930号公報、特公平1―16130号公報、特公平7―79615号公報等)。
【0005】
これらの安定化剤の作用機作としては、pH約4.6の等電点以下ではプラスに荷電している乳中のカゼイン粒子が、マイナスに荷電しているアルギン酸プロピレングリコ−ルエステル等の安定剤の電気的影響で、カゼイン粒子は全体としてマイナスに荷電することとなり、電気的な反発により、分離、沈降、凝集することなく安定な状態となることが考えられる。しかし、安定化剤等の乳への添加は技術的には有効な手段と位置づけられるものであるが、昨今の天然志向の飲食品を求める趨勢からすれば添加物の使用を極力排した乳製品が望まれているところである。
【0006】
こうした実情によりまた経験的にも生乳又は脱脂乳を原料とする濃縮乳又は還元濃縮乳の製造は50〜60℃での予熱処理(プレヒーティング)を効率的に利用することで行われてきた。濃縮前の予熱はその結果できる濃縮乳の熱安定性を著しく向上させることが古くから知られている(Webb.B.H. J. Dairy Sci. 15. 345-366 (1932))からである。
【0007】
次に必要に応じていわゆる荒煮を行い乳中のホエイタンパク質を熱変性させ、その後真空蒸留又は限外濾過等により乳を濃縮後均質化処理(ホモゲナイズ)により粘性の高くなった乳を構成する乳粒子を微小化し、そして殺菌し容器に充填するか容器に充填後殺菌する方法がとられている。
【0008】
濃縮乳の熱安定性に寄与する要素としては安定化剤等の添加物以外に、従来から
1) 乳中のホエイタンパク質濃度と乳のpH
2) 乳のミネラル含量
3) 予熱処理の有無
4) 均質化処理
等が主たるものとして示されてきた。
【0009】
1)については、ホエイタンパク質を含まないカゼインミセル分散液の熱安定性はpHが増加するに従って増加するという知見からホエイタンパク質が熱安定性のpH依存性に主要な影響を及ぼすことが示された。 またほとんどの乳はpH6.7でシャープな安定性を示し、pH6.9で不安定でありそれ以上で再び安定性がよくなることが知られている。濃縮乳はpH6.2〜7.2で熱安定性が減少する。
【0010】
2)については、乳の塩基(リン酸塩)や酸(カルシウム、マグネシウム)のイオン平衡がくずれると熱安定性が減少すること、特にカルシウムとリン酸塩が濃縮乳の熱安定性に寄与していることが知られている。
3)については熱安定性に対する予熱の真の効果は最良の安定性を示すpHの移動によるものであるとする説がある。
【0011】
4)については、未濃縮の脱脂乳の均質化はその熱安定性にほとんど影響はないが、未濃縮の全乳の安定性は通常均質化により減少すること(Sweetsur, A.W.M J. Dairy Res. 50. 291-300. (1983))が知られており、通常の乳では、均質化は予熱及び濃縮前に行なうと濃縮全脂クリーム、あるいは濃縮還元乳の熱安定性を減少させ、予熱前に乳を濃縮しその後に均質化することあるいは予熱前に濃縮と均質化の両方を行なうことも、還元濃縮乳の熱安定性を減少させることが知られている(Newstead, D.F. J. Dairy Res. 46. 387-391. (1979))。
【0012】
このように牛乳の均質化は多くの出版物および論文に記載されている。ドイツ、Duesseldorf,VDI−Verlag 1987年発行、H.Eibel著、「種々の段階の脂肪含有量をもつ乳脂製品の高圧均質化に関する研究」と題するFortschr.−Ber,VDI series 3 No.136 記載の論文は、この分野における従来法の広範な総説となっている。
【0013】
これら均質化処理は良質な濃縮乳を製造する上では不可欠な処理方法といえる。すなわち均質化処理を行わないと予熱処理や濃縮処理の結果乳粒子が再凝集してしまうために濃縮乳を口中に含んだ時に味わえる良質な風味やまろやかな舌触りを損ねてしまい著しく品質の低下したものとなり商業的には満足いかないものとなる。しかし、一方で均質化処理は濃縮乳の熱安定性を低下させてしまう可能性が高いために長期保存中に、脂肪浮上によるクリームラインの形成および蛋白質や脂肪の凝集による凝集物の発生が見られる等の問題を生じてしまうことから良質で熱安定性の高い濃縮乳を目的とする場合は技術的に背反性を有してしまうことになる。
このように濃縮乳を均質化処理すると熱安定性が低下し良質な風味やまろやかな舌触りを有する熱安定性の高い全脂濃縮乳が得られないという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良質な風味やまろやかな舌触りを有する熱安定性の高い全脂濃縮乳を得ることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者はこの点に着目し種々な検討を行った結果、驚くべきことに原料乳を濃縮処理する前と後に均質化処理を行うことでこの問題点を解決するに至り、そして熱安定性の高い良質な濃縮乳を得る上でホエイタンパク質濃度の臨界的意義を見出し更にその製造方法を確立することで本発明に到達した。
【0016】
すなわち本発明は、
(1) 濃縮処理前及び濃縮処理後で均質化処理された乳の、420nmにおける透過率が少なくとも93%以上である濃縮乳、
(2) 濃縮処理前の均質化処理は予熱処理中に行うことを特徴とする(1)記載の濃縮乳、
(3) (1)又は(2)に記載の濃縮乳を含有することを特徴とする乳入り飲料、
(4) 濃縮乳の製造において、濃縮処理前及び濃縮処理後で均質化処理することを特徴とする、乳の420nmにおける透過率が少なくとも93%以上である濃縮乳の製造方法、
(5) 濃縮処理前の均質化処理は予熱処理中に行うことを特徴とする(4)記載の濃縮乳の製造方法
に関するものである。
【0017】
まず、濃縮乳に関する発明において均質化処理とは、未濃縮の原料乳である生乳等を、真空蒸留等による濃縮処理の前と濃縮後に少なくともそれぞれ1回以上均質機(ホモゲナイザー)により処理されたものをいう。また、濃縮処理前の均質化処理は原料乳を予熱処理や荒煮処理を行う前、中、後で少なくとも1回以上行えば良い。濃縮後の均質化処理は容器に充填する前のいずれの工程で行っても良い。
【0018】
次に、濃縮乳の420nmにおける透過率とは、ホエイタンパク指数測定法(日本医学会編、乳製品試験法注解)に準拠して、製造工程で所定の加熱処理を施した濃縮乳の前処理液における波長420nmにおける透過率をいい、透過率が少なくとも93%以上とは加熱を受けた濃縮乳前処理液の透過率が93%以上であることをいう。これは未変性ホエイタンパクの量を相対的に示すものである。従って、本発明の構成は、濃縮の前及び濃縮の後で均質化処理すること及びホエイタンパク指数測定法に準拠した透過率の測定において少なくとも93%以上の透過率を有する濃縮乳である。
【0019】
本発明に係る濃縮乳は従来から知られている濃縮乳に比べて良質な風味と口中でのまろやかな舌触りを有する点で優れた性質をもつ。更に長期保存中に、脂肪浮上によるクリームラインの形成や蛋白質や脂肪の凝集による凝集物の発生は生ずることがなくかなりの熱安定性、すなわち透過率93%以上を有するものである。
【0020】
それゆえに、この濃縮乳は数ある用途の一つとして乳入り飲料の乳成分としての使用が挙げられる。たとえば、缶入りミルクコーヒーやミルク入り紅茶、ココア、スープ等は、殺菌時の熱負荷による製造直後の乳の沈殿、加温状態で長期に自動販売機中で保存され、その過程で乳の沈殿を生じる等の問題があったが、本発明に係る濃縮乳を使用することで乳成分に起因する凝集・沈殿等の問題は解消される。すなわち、本発明に係る濃縮乳を使用して製造された乳入り飲料も本発明の範疇である。
【0021】
次に、濃縮乳の製造方法に関する発明において、濃縮乳の製造とは、従前から知られ又は実施されている濃縮乳の製造方法をいう。たとえば原料乳として生乳を使用する場合は、貯乳、予熱処理、荒煮処理、真空蒸留法により濃縮、必要に応じて均質化処理を行い殺菌、保持、冷却、充填等の製造方法をいい、原料乳として脱脂粉乳や無水脂肪乳等を使用する場合は適宜濃縮度合いを考慮した加水を行い、必要に応じて均質化処理を行い殺菌、保持、冷却、充填等の製造方法をいう。
【0022】
次に、原料乳を濃縮の前及び後で均質化処理するとは、未濃縮の原料乳である生乳又は脱脂粉乳や無水脂肪乳等の加水液を真空蒸留等による濃縮処理の前のいずれかの工程及び濃縮処理後の少なくともそれぞれ1回以上均質機(ホモゲナイザー)により処理することをいう。
【0023】
濃縮処理前の均質化処理は原料乳を予熱処理や荒煮処理を行う前、中、後で少なくと1回以上行ってもよいが、貯乳から予熱処理の工程の際に行うのが好ましく、より好ましくは予熱処理中に行うのが良い。濃縮後の均質化処理は容器に充填する前のいずれの工程で行っても良いが操作の点から濃縮後直に行うのが好ましい。
【0024】
このように濃縮処理前及び濃縮処理後で均質化処理することを特徴とする濃縮乳の製造方法で製造された濃縮乳は前記記載のごとくホエイタンパク指数測定法に準拠した透過率の測定において少なくとも93%以上の透過率を有する濃縮乳である。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に本発明について詳細に説明する。
本発明でいう濃縮乳とは全固形分(TS)23%〜40%、脂肪7〜12%、無脂固形乳(SFN)16〜28%を有する乳をいう。また、原料乳とは搾乳後の生乳、脱脂粉乳や無水脂肪乳等の加工乳をいい、既に濃縮された乳又は粉乳を使用する場合は最終的に得られる濃縮乳より希釈された状態の乳を用いる。
【0026】
次に均質化処理とは、未濃縮の原料乳である生乳等を真空蒸留等による濃縮処理の前と濃縮後に少なくともそれぞれ1回以上均質機(ホモゲナイザー)により処理することをいい、2段式均質機、1段2連式、アセプティク式等現在市販されているものであるならいずれのものも使用可能である。また、均質バルブの性能の良し悪しで均質化処理に要する時間、スペース、労力が大きく左右されるが各種市販品ともに牛乳の流れを絞り高圧で破砕する構造になっているから技術的には問題はない。
【0027】
この処理で乳脂肪球の粒子径は1μm以下に調製される。尚、この処理でカゼインミセル粒子径の減少はほとんど生ぜず0.01〜0.5μmであるが粒子径の小さくなった脂肪球にカゼインミセル或いはサブミセルが疎水的に表面に吸着すると考えられる。
【0028】
従って、乳中のカゼインミセル或いはサブミセルの疎水性表面がそのままでは不安定で加熱等の作用で凝集・不溶化し不安定化するところ、濃縮の前後に均質化処理することで脂肪球の疎水性界面に吸着或いは取り込まれることで吸着・凝集化が激減し加熱等に安定化すると考えられる。
【0029】
濃縮処理前に行う均質化処理は原料乳を予熱処理や荒煮処理を行う前、中、後で少なくと1回以上行うが、濃縮乳製造の作業性・効率性の観点から貯乳から予熱処理の工程の際に行うのが良い。予熱処理は通常40℃〜70℃で行われ、予熱による乳の熱安定化と均質化処理による粒子径の微小化による更なる安定化が奏される。
【0030】
次に乳の濃縮は減圧下( 50 〜 200 Torr)で蒸留することで行い得る。濃縮後の均質化処理は容器に充填する前のいずれの工程で行っても良いが作業効率の点から濃縮直後から殺菌処理前の間に行うのが好ましい。濃縮により再凝集した粒子を微小化するためである。このように本発明は濃縮処理前及び濃縮処理後で均質化処理することを特徴とするものである。
【0031】
均質化処理回数は濃縮前及び後で少なくとも1回行えばよいが、2回又は3回と回数を重ねるほど効果的である。特に濃縮後の均質化においてそれは顕著に見出せる。圧力条件は100kgf/cm2〜200kgf/cm2が好ましい。温度は40〜70℃が好ましく、60℃付近がより好ましい。2段式均質機の場合圧力条件が100kgf/cm2〜200kgf/cm2なら1段で十分であり、もし脂肪のクランピングを解消する必要がある場合は2段目処理する必要がある。この際圧力条件は1段目の半分以下が好ましい。
次に、420nmにおける透過率が少なくとも93%以上である濃縮乳とは、ホエイタンパク指数測定法(日本医学会編、乳製品試験法注解)に準拠して波長420nmにおける透過率が少なくとも93%以上である濃縮乳をいう。
【0032】
従って、濃縮処理前及び濃縮処理後で均質化処理され、且、少なくとも93%以上の透過率を有する本発明の濃縮乳は、良質な風味と口中でのまろやかな舌触りをもち、長期保存中に脂肪浮上によるクリームラインの形成や蛋白質や脂肪の凝集による凝集物の発生は生ずることがない、という性質を有するから透過率が93%を下回るものは本発明に係る濃縮乳の性質を具備しない。
以下実施例により更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
実施例で使用する濃縮乳を、以下の表1に示す工程及び条件で製造した。
すなわち、原料乳をプレートヒーターで60℃まで予熱した後、高圧ホモゲナイザーで100kg/cm2の圧力で均質化する(濃縮前ホモゲナイズ)。次に加熱処理して未変性ホエイタンパクの熱変性を行う。二重〜三重連続濃縮缶で減圧条件(160Torr)で所定の濃度まで濃縮する。その後に高圧ホモゲナイザーで100kg/cm2の圧力で均質化する(濃縮後ホモゲナイズ)。殺菌、冷却、充填して目的の濃縮乳を得た。表1には、濃縮前、後の均質化及び熱変性の各段階における処理の組み合わせによる試験区(計8区)及び各区濃縮乳の420nm透過率の値を示した。
なお、420nm透過率は熱変性の加熱温度及び加熱時間によって調整する。
【0034】
【表1】
Figure 0004344491
【0035】
[実施例2]
実施例1で作製した各濃縮乳について直接に加熱試験を行い、沈殿及び浮遊状況を観察して熱安定性を評価した。試験方法は下記の通りである。
試験方法
(オイルバス120℃で濃縮乳を加熱)
▲1▼ 各試験区サンプルを蒸留水で2倍(w/w)に希釈
▲2▼ ガラスチューブ(外径9mm、内径7mm)に2mlずつ分注、溶封
▲3▼ オイルバスで120℃加熱(10、20、30、60分)
▲4▼ 冷却
【0036】
判定方法
沈殿、浮遊の状態を観察し熱安定性を評価する。
表2に加熱後チューブの沈殿状況を観察した結果を示す。
記号は、−;凝集物なし、±;若干凝集物あり、+;凝集物あり である。その結果、4,7,8区は60分でも沈殿は見られず、均一な状態である。
【0037】
【表2】
Figure 0004344491
【0038】
次に、遠心分離した結果の沈降物を測定し、その結果を表3に示す。手順は次の通りである。
▲1▼ 蒸留水で20倍(w/w)に希釈
▲2▼ 10mlをガラス遠心チューブに分注
▲3▼ 3000rpm×5min遠心分離
▲4▼ 沈殿物の量を読み取り、%換算して表記(10mlあたりの体積%)
その結果、3,5、6、7、8区が沈降物が少ないことがわかる。
【0039】
【表3】
Figure 0004344491
【0040】
油浮きについて、遠心分離後の液表面の油浮き状況を観察し、その結果を表4に示す。記号は、−;油浮きなし、±;若干油浮きあり、+;油浮きあり である。
その結果、4,5、6,7,8区が油浮きが少ないことが分かる。
【0041】
【表4】
Figure 0004344491
【0042】
沈殿外観、沈降物及び油浮きの評価全体として、7,8試験区の熱安定性が向上している様子が確認された。すなわち、420nm透過率が93%以上であること、また均質化処理を濃縮前後で行っていることが効果として挙げられる。
【0043】
[実施例3]
実施例1で作製した各濃縮乳のうち、実施例1で熱安定性の向上が確認された試験区(3〜8区)を使用して、表5のコーヒー処方での熱安定性試験を行い、沈殿発生の有無及び香味を評価した。
また、対照として実施例1で示す前後の均質化及び熱変性を全く施さない(未処理)濃縮乳についても同様に試験を行った。
【0044】
【表5】
Figure 0004344491
【0045】
コーヒーの試作方法は、以下の通りである。
▲1▼ コーヒー豆を粉砕し、定法により抽出する。
▲2▼ 抽出液、砂糖、重曹、濃縮乳、香料の順に調合する。
▲3▼ 60℃に予熱の後、均質化(150kg/cm2)する。
▲4▼ 缶に充填後、レトルト殺菌(120℃以上の設定温度に達温後所定のF0値 まで)
*F値:121.1℃で、一定濃度の微生物を死滅させるのに要する時間(耐熱パラメーターが10℃)
【0046】
コーヒーの判定方法は、試作後すぐに開缶し、沈殿発生の有無、香味を評価した。
判定結果は表6に示す通りであり、試験区7及び8が、沈殿の発生もなく、香味も良好であることがわかる。
【0047】
【表6】
Figure 0004344491
【0048】
〔総合評価〕
実施例2の濃縮乳の熱安定性試験、実施例3のコーヒー処方での熱安定性試験・香味評価から、試験区7,8(濃縮前後に均質化処理、420nm透過率93%以上)が好ましいことが判明した。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、熱に安定で良質な風味を有する濃縮乳を提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. 未濃縮の原料乳を濃縮処理することによって得られる濃縮乳であって、均質化処理、熱変性、濃縮処理、均質化処理、殺菌の順で処理された濃縮乳。
  2. 請求項記載の濃縮乳を含有することを特徴とする乳入り飲料。
  3. 未濃縮の原料乳を濃縮処理することによって得られる濃縮乳の製造法において、均質化処理を行った後、熱変性させその後濃縮処理をし、かつ濃縮処理後も均質化処理を行い、その後に殺菌を行うことを特徴とする濃縮乳の製造方法。
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