JP4343334B2 - 医用画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医用画像処理装置に係り、特に三次元原画像内の対象点が関心領域の点としての拡張条件を満足するか否かを判定しながら関心領域を拡張抽出する医用画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置やMRI装置、超音波診断装置などの医用画像診断装置により得られた断層像が複数枚積み上げられてなる三次元原画像は、三次元的に知覚できる二次元データに変換され、医療診断などで用いられている。その中で領域拡張法により特定の臓器などの領域を抽出する画像処理方法がある。この領域拡張法による画像処理方法では、まず、関心領域のある一点を選び、ついでそれに連結している点を隣接画素の中から探し出し、その連結点を取り込んで領域を拡張することにより関心領域を抽出するものである。一般的にはリージョングローイング法と呼ばれている。
【0003】
しかし、このような領域拡張法による画像処理方法では所望の抽出領域以上に拡張してしまうといった問題点があり、この問題点に対処すべく、抽出過程をモニタで確認しながら人間が対話方式で拡張の停止等を指示する領域拡張法が採用されている(特許番号第2834318号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した領域拡張法では、不適当な拡張が始まる画素をポインティングデバイスを用いて指定し、その指定した画素の値を領域拡張の対象とならない値に設定し、その画素からの領域拡張を停止させるようにしているため、非常に手間や時間が掛かるといった問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、所望の領域を越えて関心領域が拡張されないようにすることができ、これにより特定の方向にだけ関心領域を拡張することもできる医用画像処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、三次元原画像内の対象点があって、該対象点の周囲の画素点を関心領域の点として拡張する拡張条件を満足するか否かを判定して関心領域を拡張抽出する医用画像処理装置において、あらかじめ前記拡張抽出を停止する制御領域を入力設定する手段と、該入力設定した制御領域に基いて前記対象点が前記拡張条件を満足しても拡張を停止させる手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
即ち、前記制御領域設定手段は、前記対象点の拡張条件の1つとして制御領域を設定する。そして、関心領域の拡張時に前記制御領域を越えないようにしている。また、前記制御領域設定手段は、前記制御領域を領域拡張によって設定するもので、拡張が等方的でないこと(拡張の異方性)を制御領域の拡張の終了条件としている。具体的には、制御領域の各軸方向の長さの比が一定値より大きい時に拡張を停止すること、制御領域の短軸長軸方向の長さの比が一定値より大きい時に拡張を停止すること、制御領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時に拡張を停止すること、制御領域の各軸方向の長さの比が一定値より大きい時及び成長領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時に拡張を停止すること、制御領域の短軸長軸方向の長さの比が一定値より大きい時及び成長領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時に拡張を停止すること等が考えられる。
【0008】
また、前記制御領域の形を球形、平面、多角形、又は曲線の選別領域によって設定する。
【0009】
また、前記選別領域を通過して拡張した関心領域と通過せずに拡張した関心領域とに分割する分割手段とを備える。
【0010】
更に、本発明は拡張条件を厳しくし、所望の抽出領域以上に拡張しないようにする。
【0011】
即ち、各対象点の標準偏差値を求め、該標準偏差値が拡張条件を満足するか否かを判定しながら関心領域を拡張するようにしている。また、前記標準偏差値の代わりに分散値を使用してもよい。
【0012】
また、対象点の画素値と該対象点の標準偏差値とがそれぞれ拡張条件を満足していることを条件に拡張してもよい。同様に、対象点の画素値と該対象点の分散値とがそれぞれ拡張条件を満足していることを条件に拡張してもよい。更に、画素値と該画素値の上限値と下限値(拡張条件)とを表示する表示部を有する範囲選択手段と、標準偏差値又は分散値と該標準偏差値又は分散値の上限値と下限値とを表示する表示部を有する範囲選択手段の各表示部を並べて表示するようにしている。
【0013】
更にまた、拡張した対象点の画素値はそのまま保存し、又は変換して保存するようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る領域拡張装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は本発明に係る領域拡張方法の全体的手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに従って説明する。
【0016】
〔ステップS1〕
三次元の原画像は、例えば512×512ピクセルの断層像が512枚積み上げられた画像データであり、このような原画像に対して、まず、マウスやキーボードなどの外部入力装置により指定された点を最初の拡張点とする。
【0017】
〔ステップS2〕
図2(a)のように、三次元の原画像のある1点の周りには26点の画素点が存在するが、拡張点の周りの26点の中から最初の点(図2(a)の番号1)を指定し、対象点とする。
【0018】
〔ステップS3〕
前記対象点が拡張条件を満たすかどうか判断する。拡張条件を満たせばステップS4に、満たさなければステップS7に跳ぶ。
【0019】
図3は拡張条件を入力するための表示画面である。図3のように拡張条件は、画素値(CT値)の上限、下限の範囲によって設定してもよいが、本発明のように周囲の26点の画素点の値を用いて標準偏差値を計算し、その標準偏差値の上限、下限の範囲によって設定してもよい。尚、計算を簡単にするために、標準偏差値の一部である分散値を使用してもよい。
【0020】
画素値の範囲と標準偏差値の範囲などを組み合わせることにより拡張条件がきつくなり、拡張範囲が狭くなる。例えば、図4(a)は拡張条件として画素値の範囲だけを指定した場合であり、図4(b)は画素値の範囲と標準偏差値の範囲などを組み合わせて指定した場合である。
即ち、対象点の画素値の代わりに、対象点の標準偏差値、分散値、画素値と標準偏差値の組合せ、又は画素値と分散値の組合せを適宜使用することができる。
【0021】
図5は本発明に係る拡張条件の一つであるストッパー(栓)としての制御領域を説明するためのフローチャートであり、図6は制御領域の拡張の様子を示す図である。
【0022】
〔ステップS40〕
まず、図6(a)のように制御領域の拡張開始点Sを指定し、拡張条件として領域全体の平均濃度と候補点との濃度差が生じたら拡張を停止し、そうでなければ拡張を継続し、図6(b)のように最長距離とその最長距離を与える2点を求める。
【0023】
〔ステップS41〕
図6(c)に示すように、前記最長距離を与える2点の中心を求め、中心から活性点(拡張領域の境界)までの最短距離を求める。
【0024】
〔ステップS42〕
最長距離と最短距離の比が一定値(最長距離/最短距離>一定値)となったら拡張を停止する。
【0025】
即ち、図6(b)に示すように拡張領域が血管に接しなければ拡張は停止しないが、図6(c)に示すように血管に接して拡張が等方的でなくなったら拡張を停止させる。そして、この停止時の拡張領域をストッパーとしての制御領域とする。
【0026】
尚、前記制御領域の拡張の停止条件の他の例としては、拡張領域の各軸方向の長さの比が一定値より大きい時、拡張領域の短軸長軸方向の長さの比が一定値より大きい時、拡張領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時、拡張領域の各軸方向の長さの比が一定値より大きく且つ成長領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時、成長領域の短軸長軸方向の長さの比が一定値より大きく且つ成長領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい時などが考えられる。
【0027】
また、上述したストッパーを利用した領域拡張法を図7のフローチャートに従って説明する。
【0028】
〔ステップS60〕
図8(a)及び図9(a)に示すように、ストッパーなしの領域拡張法で作成した画像を表示する。
【0029】
〔ステップS61〕
ストッパーなしの領域拡張法で作成した画像を用いて、ストッパー(栓)位置を指定する(図8(b)のa、図9(b)のa、b、c、d)。
【0030】
〔ステップS62〕
ストッパー(栓)部分での領域拡張を、前述した図5及び図6で説明した方法で行い、これによりストッパーとしての制御領域を設定する。
【0031】
〔ステップS63〕
上記のようにして設定されたストッパーによって限定された限定部の領域拡張を行う。これにより、図8(c)に示すようにストッパーaで拡張が停止した関心領域を抽出することができ、また、図9(c)に示すようにストッパーa、b、c、dで領域拡張が停止した関心領域を抽出することができる。
【0032】
次に、図1のフローチャートに戻る。
【0033】
〔ステップS4〕
対象点が拡張条件を満たすと、その対象点を拡張点としてx,y,z座標を拡張テーブルに追加する(図2(c))。
【0034】
〔ステップS5〕
前記拡張点の濃度値をそのまま、或いは変換して濃度値保存メモリに保存する(図2(b))。
【0035】
〔ステップS6〕
拡張する前の点、すなわち親点の配列番号、拡張した点(子の数)を拡張テーブルに追加する(図2(c))。
〔ステップS7〕
図2(a)に示した指定点の周りの26点のうちの次の点を対象点として指定する。
【0036】
〔ステップS8〕
図2(a)に示した指定点の周りの26点すべてを指定したかどうかを判定し、指定終了ならステップS9に跳び、指定終了でなければステップS3を跳ぶ。
【0037】
〔ステップS9〕
次の画素点を指定する。即ち、拡張した子の点のいずれかを図2(a)の中心に移す。
【0038】
〔ステップS10〕
すべての拡張した画素点の指定が終了したかどうかを判定する。終了していない場合には、ステップS2に跳び、ステップS9で指定した指定点の回りの点について、上記ステップS3〜ステップS8の処理を行う。ただし、すでに拡張済の点は再び拡張点とはしない。
【0039】
すべての拡張した画素点の指定が終了すると、領域拡張が終了する。
これにより、図8(c)又は図9(c)に示したようにストッパーa、b、c、dを越えて関心領域が拡張されないようにし、特定の方向にだけ関心領域を拡張することができる。
【0040】
次に、図10に示すフローチャートにより拡張した領域を分割する手順について説明する。
まず、拡張された関心領域を選別するための選別手段としての制御領域を指定する。例えば、図11(a)のように球型制御領域を指定する。図11(b)のように面型制御領域を指定してもよい。その後の手順は以下の通りである。
【0041】
〔ステップS90〕
テーブル末端(配列番号はextMAX)を指定する(図2(c))。
【0042】
〔ステップS91〕
拡張末端かどうかを判定する。拡張末端(子の数=0)でないならステップS96に跳ぶ。末端(子の数=0で、図10のe1,e2等)ならステップS92に進む。
【0043】
〔ステップS92〕
チェーンを1ステップバックする(親方向に戻る)。
【0044】
〔ステップS93〕
元祖親(最初にマウスなどで指定した点で、図11(b)ならs点)かどうかを判定し、元祖親なら終了し、そうでないならステップS94に進む。
【0045】
〔ステップS94〕
チェーンが制御領域を通過したかどうかを判定し、通過しない場合にはステップS92に跳び、通過した場合にはステップS95に進む。図11(b)の場合には、elから制御領域までのチェーンは制御領域を通過せず、制御領域からe2までのチェーンは制御領域を通過する。選別手段としての制御領域を通過するチェーンは切断対象になる。視線がz軸に平行な場合、x、y座標だけでの選別も可能である。この場合、z座標は任意でよい。他の軸についても同様である。制御領域の形は球形、平面などに限定されず多角形、曲線その他でよい。
【0046】
〔ステップS95〕
拡張末端(例えば図11(b)のe2)から制御領域までを消去する。ただし、消去するのではなく特定の値を代入したり、符号を反転してもよい。
【0047】
〔ステップS96〕
テーブルをバックする(ステップ96)。
【0048】
〔ステップS97〕
テーブル終了かどうか判定し、終了でなければステップ91に戻る(ステップ97)。
【0049】
以上のようにして図11(b)のように面型制御領域を指定すると、抽出された領域を図11(c)と図11(d)のように分割することができる。
【0050】
図12は本発明に係る領域拡張装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
図12に示すように領域拡張装置2は、X線CT装置、コーンビームCT装置、MRI装置等の画像診断装置によって取得された三次元の原画像が格納された磁気ディスク4と、演算処理に必要なソフトウェアが収納された主メモリ6と、演算処理を行なう中央処理装置(以下CPUと称す)8と、処理結果の表示データを記録する表示メモリ10と、その表示データを表示するCRTディスプレイ等の表示装置12と、画面上のソフトスイッチを操作するマウス14の外部入力コントローラ16と、キーボード18と、共通バス20とから構成されている。
【0051】
オペレータはマウス14やキーボード18を利用して各種の入力操作を行い、CPU8はこの入力操作に基づいて主メモリ6のソフトウェアに従って前述した領域拡張や領域の分割等の処理を行う。この処理された表示データは表示メモリ10を介して表示装置12に表示される。表示データは磁気ディスク4に格納され、再表示に利用される。
【0052】
また、図11(a)及び(b)に示した制御領域の指定は、図13及び図14に示すようにステレオ視により立体空間内で指定してもよい。
即ち、図13に示すように右目用の視点(R視点)と左目用の視点(L視点)と投影面との設定に基づいて複数枚の断層像が積み上げられてなる三次元の原画像を投影面に投影し、R投影像とL投影像とを作成する。また、マウス14によって移動指示される立体カーソルの投影像である投影カーソル(R)と(L)も作成する。
【0053】
このようにして作成した投影カーソル(R)を含むR投影像と、投影カーソル(L)を含むL投影像とをそれぞれ図14に示す表示メモリ11に記憶させ、R投影像に基づいて右目用の画像を表示装置13に表示させるとともに、L投影像に基づいて左目用の画像を表示装置13に表示させる。尚、表示装置13に表示される右目用の画像の表示面と、左目用の画像の表示面とはそれぞれ偏光方向が異なる偏光フィルタが設けられている。
【0054】
オペレータは、前記表示装置13の偏光フィルタに対応する偏光眼鏡をかけることにより、右目で右目用の画像だけを見ることができ、左目で左目用の画像だけを見ることができる。これにより投影像とカーソルとをそれぞれ立体視することができ、カーソルによって制御領域を的確に指定することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所望の領域を越えて関心領域が拡張されないようにし、特定の方向にだけ関心領域を拡張できる。
【0056】
また、領域拡張された関心領域を指示通りに分割することできる。
【0057】
更に、拡張条件を厳しくすることにより、所望の抽出領域以上に拡張しないようにすることもでき、更にまた抽出した拡張点は濃度情報をもつなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る領域拡張方法の全体的手順を示すフローチャート。
【図2】拡張候補点、濃度値保存メモリ、及び拡張テーブルを示す図。
【図3】拡張条件を入力するための表示画面を示す図。
【図4】拡張条件として画素値の範囲だけを指定した場合の拡張領域を示す図と、拡張条件として画素値の範囲と標準偏差値の範囲を組み合わせて指定した場合の拡張領域を示す図。
【図5】ストッパーとしての制御領域を説明するフローチャート。
【図6】ストッパーとしての制御領域の拡張の様子を示す図。
【図7】ストッパーを利用した領域拡張法を説明するフローチャート。
【図8】ストッパーを利用した領域拡張法を説明する表示画面を示す図。
【図9】別のストッパーを利用した領域拡張法を説明する表示画面を示す図。
【図10】拡張した領域を分割する手順を示すフローチャート。
【図11】拡張した領域を分割する手順を示す表示画面を示す図。
【図12】本発明に係る領域拡張装置のハードウエア構成を示すブロック図。
【図13】立体空間内での制御領域の指定の例を示す図。
【図14】立体空間内での制御領域の指定を可能にした別のハードウエア構成を示すブロック図。
【符号の説明】
2…領域拡張装置、4…磁気ディスク、6…主メモリ、8…CPU、10、11…表示メモリ、12、13…表示装置、14…マウス、16…外部入力コントローラ、18…キーボード、20…共通バス
Claims (5)
- 三次元原画像内の対象点の周囲の画素点を関心領域の点として拡張する拡張条件を満足するか否かを判定して関心領域を拡張抽出する医用画像処理装置であって、
前記拡張抽出を停止する制御領域を設定する制限領域設定手段と、該設定した制御領域に基いて前記対象点が前記拡張条件を満足しても拡張を停止させる手段とを備えた医用画像処理装置において、
前記制限領域を拡張により設定し、該拡張により設定する際の拡張停止条件は、既に拡張した領域全体の平均濃度と候補点との濃度差が生じたら拡張を停止するようにする条件と、該拡張領域が等方的でなくなったら拡張を停止させるようにする条件を含むことを特徴とする医用画像処理装置。 - 前記拡張により制限領域を設定するために、
前記拡張領域の境界同士の距離が最長距離となる2点と、該2点の中心を求める手段と、前記中心から前記拡張領域の境界までの最短距離を求める手段と、前記最長距離を最短距離で割った比が一定値より大きい場合に、前記拡張を停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。 - 前記拡張により制限領域を設定するために、
前記拡張領域の各軸方向の長さの比が一定値より大きい場合に、前記拡張を停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。 - 前記拡張により制限領域を設定するために、
前記拡張領域の短軸長軸方向の長さの比が一定値より大きい場合に、前記拡張を停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。 - 前記拡張により制限領域を設定するために、
前記拡張領域の中心から成長領域縁までの長さが一定値より大きい場合に、前記拡張を停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
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