JP4342815B2 - 新規ベーコンチップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベーコンチップの製造に関するものであり、更に詳細には、水分、油分のいずれもが少なく、カリカリとした状態で、クリスプ性にすぐれ、ベーコンの風味にすぐれ、従来にない全く新しいタイプのベーコンチップの製造に関するものである。
【0002】
本発明によれば、新食感のカリカリした香ばしい食感及びすぐれたベーコン風味を有するベーコンチップを効率的に製造することが可能であって、例えばサラダ等のトッピングに有効に利用できるものである。
【0003】
【従来の技術】
従来のベーコンチップは、ベーコン自体の原料価格が高いこともあり、ベーコンを原料として作られたものは少なく、植物性蛋白質を原料として製造されたベーコン様チップが代替品として多く流通している。
また、代替品ではなく、ベーコンを使用したベーコンチップは、通常のベーコンを常圧条件下で加熱調理して製造されている。
最近、ベーコンチップは、食事の洋風化とも相まって、各種の用途に使用されるようになってきたが、ベーコンの風味が良く、水分含量が少なく、カリカリとした食感を持ち、油のべとつきが少ないベーコンチップが今までになかった。また、サラダの種類が多種になり、トッピング材料もアレンジするための重要な具材となってきた。
【0004】
例えば、直径1.6〜25.4mmの大きさのベーコンを100〜121℃で調理した後、遠心分離して油脂含量を5〜40重量%にコントロールして、均一な脂肪含量、色、粒径、流動性を有するベーコンビットを製造することが知られているが(例えば、特許文献1参照)、本発明のように油分のみでなく水分も低下させたカリカリしたクリスピーな食感を有するベーコンチップを工業生産する方法は知られていない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭52−90659号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
代替品のベーコン様チップを利用しなくても済むように、ベーコンチップをできる限り安価に美味しく製造することが求められている。
従来の方法の中で、フリーズドライでベーコンチップを製造すると、カリカリした状態は得られるが、ぼそぼそとした崩れやすいものになり、また、フライ(常圧、減圧とも)では出来あがり製品の油含量が多く、べとついたベーコンチップが出来あがることから、これらを改良する必要がある。
炒めてベーコンチップを製造する方法において、常圧で調理しても、水分含量を10%以下にする場合、どうしても調理中に焦げついてしまう。焦げ付きは品質低下を招くだけでなく、製造の収量も低くなることから、効率的ではない。焦げ付かずに出来たとしても、ベーコンチップは褐色で、やや焦げ臭があり、固いベーコンであり、見た目、風香味が劣る。また、焦げ付かずにできたとしても、ベーコンの風香味が飛散しやすく、インパクトが弱いものであった。また、上記特許文献1に記載のベーコンビットの製造法は、油含量を調節するだけで、水分量まではコントロールしていないし、真空(減圧)で調理されておらず、本発明とは相違するものである。事実、実施例からすると、ベーコンビット製品の水分含量は34.5%であって、湿っており、したがってカリカリした食感は得られない。これに対して、本発明に係るベーコンチップ(水分含量がわずかに3〜10%であり、カリカリした食感を有する)は、従来得られていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、ベーコンの風味にすぐれ、水分含量が少なく、クリスプ性を有してカリカリした食感を持ち、しかも油のべとつきが少ない、従来未知の全く新しいタイプのベーコンチップを、実験室的規模ではなく工場規模でしかも効率的に工業生産する目的でなされたものであって、本発明者らは、ベーコンの調理方法だけでなく、前処理を含めて総合的に各方面から検討した結果、本発明の完成に遂に至ったものである。
以下、本発明について詳述する。
【0008】
本発明において原料として使用するベーコンとしては、通常のベーコン、冷凍されたベーコン、水分の少ない乾燥させたベーコン、の何れを使用しても良い。冷凍されたベーコンを用いる場合は、均一に熱がかかるように一度解凍してから使用する。また、水分含量の少ない乾燥させたベーコンを用いる場合は、通常のベーコンを乾燥させて、水分含量が10〜35%、好ましくは15〜30%に調整したものを使用する。ベーコンを乾燥させる方法としては、油揚げを除く常法が適宜使用され、例えば、熱風乾燥、真空乾燥、電熱乾燥、ガス加熱による乾燥、マイクロ波乾燥等の常法が1種又は2種以上利用される。油揚げ(つまり、たっぷりの油でのフライ)による乾燥は、ベーコンの風香味をそこなう場合があるので好ましくない。
【0009】
水分含量の少ないベーコンを用いた場合、後に行う真空調理の時間を短縮することが可能である。水分含量は低い方がよいが、上記範囲より低くするとベーコンが焦げ付きやすく、効率的でなく、コストや設備、操作の面で好ましくない。更に、通常ベーコンを常圧下で加熱釜で水分含量を少なくし、それをそのまま次の真空加熱処理することも可能である。
【0010】
続いて、真空加熱調理を行うが、密閉系で加熱処理可能の容器ならばすべてのタイプのものが適宜使用可能であるが、焦げ付き防止のために、油脂を添加したりあるいはふっ素樹脂加工等焦げ付き防止処理した容器等が有利に使用でき、例えば、攪拌羽根付き加熱釜(ニーダー)を用いるのが好適である。
【0011】
ニーダーに上記のベーコンを投入し、油脂(例えば、硬化油:AOMが200以上のものが好ましい)を焦げ付き防止のために適量加える。油脂の添加量は、ベーコン原料の0.1〜8重量%程度、通常は約1重量%添加するが、これは一応の目安であって、適宜増減することができる。
【0012】
ここで、必要に応じて、調味料(食塩、砂糖その他の甘味料等)、香辛料、着色料その他添加成分を加えて調味する。なお、硬化油は、液体油に水素を反応させたもので、酸化されにくく、処理するベーコンの品質も低下させにくい。通常、植物油脂を原料としたものが好適である。
【0013】
このようにして、可及的真空にするのが好ましいが、減圧ないし真空(以下、真空という)にすることにより、低い温度でベーコンを加熱調理する(調味しながら加熱処理する)ことができるため、ベーコンが焦げ付かず、また、加熱調理しながらベーコンの水分を蒸発(気化)させ、水分含量を効率的に減少させる。同時に、真空加熱調理をすることで密閉釜中にベーコンの酸化されやすい脂身を染み出させることにより、このベーコン特有の風味を含んだ油脂で調理することで、油脂を後で除去してもローストした香味は残存させることができ、且つ、酸化されにくいベーコンチップを製造することができる。また、減圧フライのようにたっぷりの油脂で調理した場合、カリカリとした食感は得られるものの、油脂のほうにベーコンの風味が溶け出るため、できあがったベーコンは風香味があまりない。
【0014】
真空攪拌加熱の処理条件としては、ゲージ圧、−0.08〜−0.10MPaとし、加熱媒体としては、蒸気(100℃〜150℃)または熱湯(90〜100℃)を使用するが、熱湯を用いたほうが余分な熱がかからない分、品質の良いものができる。
【0015】
出来あがりの水分量が3〜10%のベーコンチップが得られた。最終的に、水分が10%以下にするとベーコンが独特の乾燥食感が得られ、よりカリカリとした状態を保持する場合は、5%以下が好ましい。
【0016】
遠心分離により、余分な油、ベーコンの脂質を除去する。
出来あがりの油分量は、5〜25%となり、非常に低いものであった。
余分な油、ベーコンの脂質を取り除くことによって、油の酸化劣化が抑えられ、品質を保持する期間を長くすることができる。また、食感もカリカリ感を向上させることができる。
【0017】
以下、本発明の実施例について述べる。
【0018】
【実施例1】
熱風乾燥によって水分21%に調整した半乾燥ベーコンを用い、下記の条件にて、真空攪拌加熱(熱湯加熱)により、ベーコンチップを製造した。得られたベーコンチップは、水分含量が4.3%、油分含量が21%であって、カリカリした軽い食感を有し、特に不快な油っぽさも感じられず、後記するパネルテストの結果からも明らかなように卓越したものであった。
【0019】
(製造条件:真空攪拌加熱(熱湯加熱))
原料;半乾燥ベーコン(水分21%)5.0kg
大きさ10mm×10mm角(厚さ2mm)
油;菜種硬化油を0.7kg使用。
ニーダーにて湯加熱。釜の表面温度98℃、加熱時間40分、真空−0.096〜−0.10MPaで真空調理した後、遠心分離にて油脂を除去。(直径50cm・回転数1200rpm)にて3分間処理
最終製品;収量2.5kg、水分4.3%、油分21%
【0020】
すなわち、攪拌羽根付き加熱釜(ニーダー)にて、半乾燥ベーコンを入れ、調味料、香辛料を添加し、焦げ付き防止のために少量の硬化油を加えて、攪拌しながら真空下で加熱調理した。次いで、遠心分離して余分な油及びベーコンの脂質を除去し、ベーコンチップの最終製品を得た。
【0021】
【実施例2】
下記の条件としたほかは実施例1と同じ処理を行って、後記するパネルテストの結果からも明らかなようにすぐれた品質を有するベーコンチップを製造した。
【0022】
(製造条件:真空攪拌加熱(蒸気加熱))
原料;半乾燥ベーコン(水分21%)80kg、
大きさ10mm×10mm角(厚さ2mm)
油;菜種硬化油を16kg使用。
ニーダーにて蒸気加熱。釜の表面温度130℃、加熱時間50分、真空−0.08〜−0.10MPaで真空調理した後、遠心分離にて油脂を除去。(直径50cm・回転数1200rpm)にて3分間処理
最終製品;収量50kg、水分6.0%、油分21%
【0023】
【比較例1】
(減圧フライ処理)
下記の条件により、ただし真空攪拌加熱にかえてたっぷりの油を用いる減圧フライ処理を行ったほかは実施例と同様に処理して減圧フライベーコンチップを製造した。得られた製品は、後記するパネルテストの結果からも明らかなように、油くどさが強く、ベーコン本来の風香味は認められなかった。
【0024】
(製造条件:減圧フライ処理)
原料;半乾燥ベーコン(水分21%)150g、
大きさ5〜20mm×5〜20mm角(厚さ2mm)
油;菜種硬化油を使用。
減圧フライにて調理。加熱温度90℃、加熱時間30分、真空−0.10MPaにて実施し、その後、遠心分離にて油脂を除去。(直径50cm・回転数1200rpm)にて3分間処理
最終製品;収量45g、水分4.0%、油分30%
【0025】
【官能評価1】
実施例1、2及び比較例1によって製造した各製品(▲1▼、▲2▼、▲3▼)について、12名の熟練した評価パネラーにより、官能評価を実施した。得られた結果を下記表1に示す。
【0026】
(表1)
【0027】
パネラーのコメントは、次のとおりであった。
(1)▲1▼、▲2▼、▲3▼ともにカリカリとした食感は良好。
(2)▲1▼がベーコンらしい食感がある。
(3)▲3▼の減圧フライ品は漬け物様の色をしている。
(4)▲1▼と▲2▼は▲3▼の減圧フライ品と比べてベーコン本来の風香味を有する。
(5)▲3▼の減圧フライ品はベーコンの味が抜けている。
(6)▲3▼はベーコンが油くどく感じられる。
【0028】
【発明の効果】
従来のべーコンチップは水分含量が少ないものは非常に固いチップ状となり、噛むのが大変であったが、本発明により得られるベーコンチップは水分、油脂ともに含有量が少なく、保存性にも優れ、カリカリとした歯ごたえの良い食感が得られた。
サラダのトッピング材としても手軽に利用でき、多様にアレンジすることができる。また、カリカリとした風味の良い食感のベーコンはそのまま食しても良いし、おつまみとしても非常に相性が良い。
Claims (9)
- ベーコンを減圧ないし真空条件下で加熱調理すること、を特徴とする油分含量5〜25%、水分含量3〜10%であって、ベーコン本来の風香味を有するベーコンチップの製造方法。
- ベーコンを撹拌羽根付き加熱釜で減圧ないし真空条件下で加熱調理すること、を特徴とする油分含量5〜25%、水分含量3〜10%であって、ベーコン本来の風香味を有するベーコンチップの製造方法。
- 更に、余分な油及びベーコンの脂質を除去すること、を特徴とする請求項1又は2に記載のベーコンチップの製造方法。
- 減圧条件がゲージ圧で−0.080〜−0.100MPaであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 真空調理開始時に硬化油をベーコン原料の0.05〜10重量%添加すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 使用するベーコンが、通常のベーコン(一般流通品)、半乾燥ベーコン、冷凍ベーコン(解凍後使用)の少なくともひとつを使用すること、更に出来あがり製品が油分含量5〜25%、水分含量3〜10%と、水分、油分のいずれもが少なく、クリスピーな食感を有すること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 予め水分含量を10〜35%に調整したベーコンを用いること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 熱風乾燥、真空乾燥、電熱乾燥、ガス加熱乾燥、マイクロ波乾燥の少なくともひとつにより、予めベーコンの水分含量を調整すること、を特徴とする請求項7に記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で製造してなる、油分含量5〜25%、水分含量3〜10%と、水分、油分のいずれもが少なく、クリスピーな食感を有すること、を特徴とするベーコンチップ。
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