JP4342777B2 - 紙幣搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技台に対応して設けられた遊技媒体貸出装置に、遊技媒体と交換するために投入された紙幣を回収するために搬送する紙幣搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ店などの遊技店では、パチンコ台やスロットマシンなどの遊技台を横方向に直線状に配置して遊技島を形成しているのが一般的である。図8には、遊技台2を複数台配列した遊技島1の例が示されている。図8において、遊技台2はスロットマシンとして例示されている。遊技台2の間には、遊技台2の2台に1台の割合で、遊技媒体貸出機3が配設されている。図示するスロットマシンに対応する遊技媒体は、メダルであるので、この貸出機3はメダル貸出機である。遊技台がパチンコ台であれば、遊技媒体貸出機は、パチンコ玉貸出機となる。遊技島1には、さらに各遊技台の上方に設けられた呼び出しランプなどの遊技島設備品5およびその上方にストック箱などを置いておく玉箱収納部6が設けられている。
【0003】
上記した遊技島1は、図示しない柱部材と水平部材により構築された支持枠体内に、上述した各遊技台2及び遊技媒体貸出機3を組み込むと共に、各遊技台2の上方に上記遊技島設備品5及びストック箱等を置いておく玉箱収納部6を配置することにより、組み立てられる。
【0004】
一般的に遊技島に設置された遊技媒体貸出機3は、投入した紙幣を紙幣識別した後、内部の収納装置付紙幣識別装置に収納するように構成されており、遊技媒体貸出機3に投入された紙幣で満杯になった時は、遊技店の店員が遊技媒体貸出機3の前面扉を開いて内方側の収納装置付紙幣識別装置に収納された満杯になった紙幣を手作業にて回収する必要があった。
【0005】
これに対して、紙幣の手作業による回収を排除するために昨今は、各遊技媒体貸出機3の遊技島の内部の背面側に、紙幣搬送装置を備えた遊技島が提案されており、例えば実開平4−90389号公報に開示されている。
【0006】
この遊技島においては、図9及び図10に示すように、遊技媒体の貸出のために投入された紙幣が、各遊技媒体貸出機3の上方に設けられた紙幣投入口3aから紙幣識別装置3bを介して紙幣を起立姿勢で搬送する紙幣搬送装置4により、遊技島1の端部に設けた島管理装置内に搬送し、内方側の紙幣収納装置にて、整列・収納されるようになっている。
【0007】
このような構成の遊技島1によれば、各遊技台2に、遊技媒体貸出機3が設けられており、遊技者は、遊技台2に隣接した遊技媒体貸出機3の紙幣投入口3aから紙幣を投入することにより、遊技媒体の貸出を受けることができるようになっている。また、店員は従来のように各遊技媒体貸出機3の内方側の収納装置付紙幣識別装置に収納された紙幣をわざわざ巡回して回収する手作業がなくなる。
【0008】
また、特開平5−68747号公報には、遊技島の遊技台上部に適用される紙幣搬送装置の例が示されている。この装置においては、遊技者が投入した紙幣の真偽をまず識別し、真正な紙幣のみ待機位置へと送り、上流から紙幣が送られてこないタイミングで、待機位置より紙幣を合流させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平5−68747号公報の装置では、受入搬送部材、待機搬送部材から待機経路に導く各機構となっており、各機構が複雑となり、この間で紙幣詰まりが生じやすく、さらにこのような構成とするため、遊技台の上方の前面側から突出してしまい、本体部を薄くすることができなかった。
【0010】
また、前記二つの公報の装置を、既存の遊技島に後付けで設置しようとすると、各遊技台および遊技媒体貸出機の上部を改築する必要があり、大きなコストと時間を要するという問題があった。
【0011】
また、紙幣の搬送過程において発生した詰まりなどの不具合に迅速に対応できることが望まれていた。
【0012】
本発明は、前述の問題点を考慮してなされたものであり、遊技者により投入された紙幣を、上流から流れてくる紙幣が通過するまで待機させることができ、装置の厚さを薄くして、遊技台の上方の前面側に配置したとしても、遊技者側に突出しない、レイアウトの自由度を高めることができる紙幣搬送装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
また、本発明にかかる他の紙幣搬送装置は、横方向に配列される遊技台の上方前面側に、個々の遊技台に対応して設けられた紙幣搬送ユニットにて構成される。紙幣搬送ユニットは、遊技台が配列された方向に紙幣が搬送される搬送経路を構成する主搬送経路と、投入された紙幣を前記主搬送路に送り込む識別用搬送路とを有する。識別用搬送路においては、投入された紙幣は、奥へと送られつつ、識別部によってその真偽が識別される。この場合の真偽の識別とは、あらかじめ登録された紙幣に対し、投入された紙幣が真正なものかを判定するものであり、さらに登録された紙幣が複数種ある場合は、その種類も判別するものである。真正な紙幣が、識別完了後、識別用搬送路から主搬送路へと送られる。主搬送路と識別用搬送路は、これらの一部が並行に配置され、主搬送路の、前記識別用搬送路に並行に配置される部分は、識別用搬送路が配置された反対側へ屈曲し、識別用搬送路を避けるようにしている。言い換えれば、主搬送路を屈曲させて、このへこんだ部分に識別用搬送路の一部が入り込むように構成される。このへこんだ部分に、上流の紙幣搬送ユニットから搬送されてくる紙幣が通過する主搬送路と識別用搬送路とを分離し、識別用搬送路と主搬送路から搬送される紙幣の合流部における接触を避けるための分離ガイドを設けると共に、分離ガイドに対して前記識別用搬送路の長さを、識別中の紙幣の先端が主搬送路に到達しない距離長に設定したしている。これにより、紙幣識別が終わるまで紙幣を主搬送路から分離しておくことができ、さらに上流から流れてくる紙幣が通過するまで待機させることができ、しかも二つの搬送路が並列した部分を奥行き方向に薄くすることができる。これによって、遊技台の上方の前面側に取り付けた場合であっても、前方への突出量を抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、本発明にかかる紙幣搬送装置が適用される遊技島10の概略構成を示す図である。遊技島10は、複数の遊技台12を横方向に配列して構成される。図示する遊技台12はスロットマシンとして示されているが、他の種類、例えばパチンコ台であってもよい。また、店内のレイアウトにより遊技台12を図の背面側に、図示する遊技台と背中合わせとなるように配列することも可能である。各遊技台12の間には、遊技媒体貸出機14が配置される。また、各遊技台12の上方の前面側には、遊技台12の配列ピッチと略同じ長さを有する紙幣搬送ユニット16が配置され、各紙幣搬送ユニット16が横方向に連結されて紙幣搬送装置18を構成している。紙幣搬送ユニット16が配置されたさらに上方には、ストック箱を置いておく玉箱収納部20が設けられている。
【0015】
紙幣搬送ユニット16は、紙幣を投入する投入部22と、投入された紙幣を搬送する搬送部24を含む。投入部22に投入された紙幣は、同じ紙幣搬送ユニット16に属する搬送部24に送られ、さらに、この搬送部24によって図中左隣の紙幣搬送ユニット16に送られる。紙幣は、搬送部24内を横長の状態、すなわち紙幣の長辺が搬送方向に一致する姿勢にて搬送される。搬送される紙幣は、遊技島10の端(図中左端)の紙幣搬送ユニット16においては、遊技島10の端に設けられた島管理装置26に重なることなく1枚ずつ送られ、ここに揃えて収容される。このとき、回収した紙幣の枚数が正確に数えられ、売り上げカウントされる。また、搬送部24には、遊技島に関する設備品である遊技島設備品28が設けられている。この遊技島設備品28は、図において、呼び出しランプとして示している。前述のように、紙幣搬送ユニット16の長さは、遊技台12配列ピッチに略等しく、例えば投入部22が100mm、搬送部24のみの部分の長さが480mmとし、全長を580mmとすることができる。後述するように、紙幣搬送ユニット16は、配列ピッチに関して許容幅を有しており、これより長い遊技台の配列ピッチ(例えば600mm)にも対応することができる。また、搬送部24の厚さは、例えば約30mmとなっている。
【0016】
投入部22に起立姿勢で紙幣が投入されると、これに対応した数の遊技媒体が遊技媒体貸出機14内部の遊技媒体払出し機(不図示)から払出し口29に払出される。遊技媒体は、遊技台12の種類によって異なり、スロットマシンであればメダルであり、パチンコ台であればパチンコ玉である。
【0017】
図2は、一つの紙幣搬送ユニット16の外観を示す斜視図である。紙幣搬送ユニット16は、前述のように紙幣を投入する縦型の投入口30が設けられた投入部22と、投入された紙幣または隣接する紙幣搬送ユニット16から送られて来た紙幣を搬送する搬送部24を含む。図示される紙幣搬送ユニット16の場合、紙幣は右下から左上へと向けて送られる。搬送部24の前面には、遊技島設備品28である呼び出しランプが取り付けられている。以下、遊技島設備品28を呼び出しランプ28と記して説明する。
【0018】
図3〜6は、紙幣搬送ユニット16の蓋部32を開放し、内部の構造が見える状態を示した図である。また、各図においては、図3から図5へと段階的に内部機構を取り外した状態が示されている。図6は、図5と同等に内部機構を取り外し、視点を図5と異なる位置にした状態を示す図である。図5に示されるように、蓋部32は、二つの支持具34にて回動可能に支持されている。また、これらの支持具34は、不図示ではあるが、ボルトなどによって遊技台の上方の前面側の幕板付近の所定位置に固定されている。
【0019】
図3は、投入部の内部構造を覆っている投入部カバー36を外し、更に蓋部32を開放した状態を示している。投入部カバー36にはキー穴38が備えられ、ここに所定のキーを差し込んで回すことにより、投入部カバー36内に設けられたロック機構(不図示)のロックが解除され、紙幣搬送ユニット16より取り外すことができる。投入部カバー36を外すと、図示するように蓋部32を手前、下方に回動させ、搬送部24の内部を開放することができる。呼び出しランプ28は、蓋部32に固定されており、蓋部32の開放動作においても一体となって回動する。なお、上記においては手動によるキーを差し込んでのロック解除操作としたが、リモコン操作による解除操作としてもよい。
【0020】
蓋部32で覆われる内部には、紙幣を送る平ベルト状の駆動ベルト40を備えた搬送駆動部42が配置されている。また、駆動ベルト40の下側に略平行に上方を開放したコの字型の下部案内レール44が配置されている。蓋部32の内側には、駆動ベルト40に対向する位置に押さえローラ46が、さらに蓋部32を閉じたときに、駆動ベルト40の上方となる位置に上部案内レール48が配置されている。紙幣は、駆動ベルト40と押さえローラ46に挟まれ、駆動ベルト40の移動により駆動されて上部および下部案内レール48,44により形成される主搬送路76(図7参照)に沿って移動する。
【0021】
投入部カバー36の内部には、投入された紙幣を真正なものか識別し、正規のもののみ搬送路に向けて送り出す識別搬送部50が配置されている。識別搬送部50には、紙幣の表面に描かれた図柄を識別する光学センサ96(図7参照)および磁気センサ98(図7参照)が配置され、登録された紙幣の図柄による検出パターンと、投入された紙幣のパターンとを比較して不正紙幣の判定を行う。本実施形態においては、昨今流通紙幣として使用されている千円、二千円、五千円、一万円の4金種の検出パターンを内部記憶し、投入を受け付けることができ、判別可能となっている。
【0022】
識別中の紙幣は、もしそれが不正な紙幣であれば受け付けることができないので、主搬送路76へ送ることができない。言い換えれば、紙幣の真偽の確認が終わるまで、紙幣を主搬送路76から分離しておく必要がある。紙幣搬送ユニット16においては、識別中の紙幣は、前述の主搬送路76に並行して配置された識別用搬送路92(図7参照)内に留まるようになっており、真正なものと判断された後、上流側から送られる紙幣と重ならないタイミングで主搬送路76へと送り出される。この新たに投入された紙幣の搬送は、識別搬送部50内に備えられたモータ(図7参照)の駆動力により、行われる。なお、主搬送路76と識別用搬送路92の詳細については後述する。
【0023】
図4は、図3の状態から、更に識別搬送部50を取り外した状態を示している。図3、図4を比べて判るように、識別搬送部50は、搬送駆動部42に対して取り付けられている。識別搬送部50の取り付けられていた位置の下側には、主搬送路モータ52が位置し、これが駆動ベルト40を回転させる。また、識別搬送部50が取り付けられた位置から、ここより離れる方向に、主搬送路76と識別用搬送路92を分ける分離ガイド54が設けられている。この分離ガイド54の図面において奥側を、隣接する紙幣搬送ユニット16から送られてくる紙幣が搬送され(主搬送路)、手前側を新たに投入された紙幣が搬送される(識別用搬送路)。
【0024】
搬送駆動部42の両端には、隣接する搬送駆動部42と主搬送路76の結合を行うためのジョイントが設けられている。図中右端には雌ジョイント56、左端には雄ジョイント58が設けられている。隣接する搬送駆動部42の雌雄のジョイント56,58が嵌りあって主搬送路76が連結される。また、雌雄のジョイント56,58が重なりの量、言い換えれば雌ジョイント56に雄ジョイント58を差し込む深さを調節することによって、紙幣搬送ユニット16の配列ピッチを調整することができる。すなわち、紙幣搬送ユニット16は、遊技台12の配列のピッチが異なる場合でも、ある程度対応することができる。
【0025】
図5および図6は、図4の状態から、更に搬送駆動部42を取り外した状態を示している。また、左側に隣接する紙幣搬送ユニット16を合わせて表示し、取り外された搬送駆動部42は雌雄のジョイント56,58が取り外された状態が示されている。
【0026】
前述のように支持具34は、ボルトやタッピングねじなどの締結部品によって遊技台12の上方の前面側の所定位置に固定されている。より詳しくは、支持具34に形成された取り付け穴60にボルトなどの締結部品を貫通させて、遊技台12との締結を行っている。図中、その下端には、蝶番が形成されており、この蝶番片62に蓋部32が取り付けられている。この結果、蓋部32は、その下辺付近を軸として回動可能に遊技台12の上方の前面側に取り付けられ、この回動により開閉動作が達成される。支持具34は、図示するように全体として略L字形に構成され、図中上端と、下端部において前面側に延びるL字の先端付近に固定片64が設けられている。ここには、ボルトまたはタッピングねじに対応した穴が設けられており、ここに搬送駆動部42がボルトなどにより固定される。
【0027】
図7は、搬送駆動部42の、二つの搬送路が並行する部分および合流する部分と、識別搬送部50の断面を示す図である。断面は一つではなく、部分によって異なっている。この図7と、これまでの図、特に図6を用いて二つの搬送路、すなわち主搬送路76と識別用搬送路92について説明する。
【0028】
主搬送路モータ52の軸に取り付けられたピニオン65はギア66と噛み合っている。ギア66にはプーリ68が同軸に固定され、駆動ベルト40が巻き渡されている一端の主搬送路ローラ70にもプーリ72が同軸に固定されている。二つのプーリ68,72には、伝達ベルト74が巻き渡されており、主搬送路モータ52は、ピニオン65、ギア66、伝達ベルト74を介して駆動ベルト40を駆動する。この駆動ベルト40に沿った部分が主搬送路76となる。識別搬送部50には、識別用搬送路モータ78が備えられ、伝達ベルト80を介して、識別用搬送路ローラ82に伝達される。識別用搬送路92には、分離ガイド54に、はまり込むように位置する駆動機構81に、二つのローラ84,86が備えられている(図6参照)。ローラ82と84に識別用搬送路ベルト88が、ローラ84と86にもう一つの識別用搬送路ベルト90が巻き渡されている。これらの識別用搬送路ベルト88,90は、図示するように、互いに、ほぼ直交する方向に巻き渡されており、これらのベルトに沿った部分が識別用搬送路92となる。識別用搬送路92は、更に分離ガイド54に沿って、主搬送路76との合流点93(次のローラの配置されている直前)まで延びている。
【0029】
投入口30から、識別用搬送路92に沿って両側に、識別用搬送路ガイド94が、識別用搬送路92が略直角に曲がった部分の下流へと延びている。識別用搬送路92の主搬送路76に略直交する部分92a(以下、識別用搬送路直交部分92aと記す)には、投入された紙幣の真偽の判定および種類の識別をするための光学センサ96と磁気センサ98が配置されている。これらのセンサ96,98は、識別用搬送路92の図中左側のものを図に示しているが、これらの図示されたセンサの識別用搬送路92を挟んだ反対側にも同様のセンサが配置されている。識別用搬送路モータ78により、投入された紙幣は所定の速度で送られ、その表面に印刷された図柄や、紙幣の長さが、光学センサ96、磁気センサ98で検出される。これらのセンサの出力する電気信号の波形パターンによって、紙幣の真偽、種類が識別される。
【0030】
識別用搬送路92の、主搬送路76と並行する部分92b(以下、識別用搬送路並行部分92bと記す)は、分離ガイド54により主搬送路76と分離されている。分離ガイド54には、押さえローラ100が設けられている。この押さえローラ100は、蓋部32に配置された既出の押さえローラ46より奥側に位置し、駆動ベルト40を図示するように、ヘの字状に屈曲させている。したがって、分離ガイド54に沿う部分において、主搬送路76は、への字状に屈曲し、搬送部24内で他の部分より奥側に位置する。識別搬送部50内の駆動機構81は、分離ガイド54の内側にはまり込むように位置し、識別搬送部50を取り付けた状態では、分離ガイド54と一体となったように見える。また、駆動機構81には、識別搬送ベルト90が設けられており、これは識別用搬送路並行部92bの略半分にわたって延びている。主搬送路76を屈曲させて、これにより空いた空間に識別搬送部50の駆動機構81を位置させることによって、二つの搬送路が設けられる部分の外形寸法を奥行き方向に薄くすることができる。特に、合流点93より下流、すなわち主搬送路76のみ配置されている部分と、二つの搬送路76,92が配置されている部分の搬送部24の厚さ、すなわち蓋部32の厚さ(奥行きの寸法)が等しくなれば、美観上も好ましい。
【0031】
紙幣は投入されると、識別用搬送路ベルト88により奥に送り込まれ、その過程において真偽の判定、種別の判別が行われる。一方で、主搬送路76の上流側、雌ジョイント56内に配置される上流側検知センサ110により、当該センサ110の位置を紙幣が通過中であるかが検知される。この位置で紙幣が検出された時点を基準に所定の期間、投入された紙幣が主搬送路76へ合流しないように識別用搬送路モータ78が停止される。この合流禁止期間は、紙幣が、上流側検知センサ110の位置から合流点93の位置に到達してから、通過するまでの期間が含まれるように、搬送速度などに基づきあらかじめ設定されている。投入された紙幣は、識別用搬送路モータ78により、識別用搬送路92内を送られるが、前記の合流禁止期間においては、合流点93において、またはその少し手前で停止され、識別用搬送路92内に留まり、主搬送路76内の紙幣の通過を待つ。投入された紙幣の先端が合流点93付近に達する時点では、紙幣の識別は終了しており、主搬送路76に送り出されるか否かにかかわらず、遊技媒体の払い出しが行われる。このために、識別用搬送路92の長さ、特に識別用の光学センサ96、磁気センサ98より下流側、合流点93までの長さは、紙幣の識別中においては、紙幣の先端が主搬送路76に入らない長さに決定されている。紙幣が真正なものとされれば、前記合流禁止期間が終了した後、紙幣は主搬送路76内へ送り出される。このようにして、主搬送路76を上流から送られてきた紙幣と、新たに投入された紙幣が、主搬送路76内で重なることを防止している。紙幣が重ならないので、遊技島10の端に設けられた島管理装置26において、紙幣の計数を正確に行うことができる。また、投入された紙幣が真正なものであると判定されれば、この紙幣が待機している状態であっても、メダルなどの遊技媒体が払い出され、遊技者を待たせることがなくなる。一方、紙幣が不正なものであるとされると、識別用搬送路モータ78は逆転し、不正紙幣を投入口30より排出する。真偽の判定前に、紙幣の一部が主搬送路76に送り出されてしまうと、不正と判定された後、これを投入口30より戻すことが難しくなるので、この点からも、識別用搬送路92の長さは、前述のように決定されている。
【0032】
搬送ユニット16は、紙幣の投入口30の近傍に紙幣識別用のセンサ96,98を設けることによって、紙幣を投入口30より投入している間に、紙幣の識別を始める。これによって、投入口30から紙幣識別用のセンサ96、98までの経路長を紙幣の長さより十分短く、特に本実施形態では、紙幣の長辺の4分の1から3分の1程度とすることができる。そして、紙幣識別用のセンサ96,98の下流の搬送路は、識別対象となる紙幣の長さ(複数種が対象である場合は最長のもの)とほぼ同程度の長さが確保されている。結果として識別用搬送路92の全長は、紙幣の長さの2倍未満、さらには、紙幣の長さよりやや長い程度(2〜3割程度長い程度)とすることができ、装置を小形とすることができる。
【0033】
また、識別用搬送路92の、主搬送路76に送りだされる前の紙幣が位置する部分においては、紙幣の大部分が主搬送路76に並行して位置するように、識別用搬送路92が設けられている。特に、二つの搬送路76,92が並行する部分において、主搬送路76は、識別用搬送路92の反対側に突出するように屈曲されて配置されたことにより、搬送部24の厚みを薄くすることができる。
【0034】
また、紙幣の投入部22は、遊技台12の2台に一つ設けるようにしてもよい。すなわち、投入部22を有する紙幣搬送ユニット16と、内部構造を持たずカバーのみ同形状のダミー投入部を有する紙幣搬送ユニットを交互に並べて紙幣搬送装置を形成することもできる。
【0035】
以上のように、紙幣搬送ユニット16は、蓋部32が遊技台12の上方の前面側に支持された状態で、これを開閉することができる。蓋部32取り外し、どこかに置く必要がないので、紙詰まりの除去などのメンテナンス作業を容易にする。蓋部32には呼び出しランプ28が取り付けられており、この呼び出しランプの様々な表示を制御するため、多数の配線が呼び出しランプ28と遊技台12の間を結んでいる。前記のように、蓋部32を開くときに、蓋部32は遊技台12の上方の前面側に支持されているので、前記配線を取り外す必要がなく、紙詰まりなどに対応するメンテナンス作業を容易なものとしている。また、蓋部32が遊技台の上方の前面側に支持された状態で、搬送駆動部42および識別搬送部50を取り外すことができる。この場合においても、配線の取り外しを行う必要がなく、搬送駆動部42や識別搬送部50のメンテナンス、修理、交換など作業を容易なものとする。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明において、主搬送路と識別用搬送路が並行して配置された部分において、主搬送路を、識別用搬送路の反対側へと屈曲されることにより、識別用搬送路に係る駆動機構を配置するスペースを確保することで、装置を薄くすることができる。これにより、遊技台の上方の前面側に紙幣搬送装置を配置した場合でも、前方への突出を少なくすることができ、遊技者に圧迫感を感じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遊技島の概略構成を示す図である。
【図2】 搬送ユニット16の外観図である。
【図3】 搬送ユニット16の蓋部32および投入部カバー36を開いた状態を示す図である。
【図4】 搬送ユニット16より更に識別搬送部50を取り外した状態を示す図である。
【図5】 搬送ユニット16より更に搬送駆動部42を取り外した状態を示した図である。
【図6】 搬送ユニット16より、識別搬送部50、搬送駆動部42を取り外し、別の向きから見た状態を示し図である。
【図7】 識別搬送部50の近傍の断面図である。
【図8】 従来の遊技島の概略構成を示す図である。
【図9】 従来の紙幣搬送装置および遊技媒体貸出機の例を示す図である。
【図10】 図9の装置の側面図である。
【符号の説明】
10 遊技島、12 遊技台、14 遊技媒体貸出機、16 紙幣搬送ユニット、22 投入部、24 搬送部、28 遊技島設備品(呼び出しランプ)、32 蓋部、34 支持具、40 駆動ベルト、42 搬送駆動部、50 識別搬送部、54 分離ガイド、76 主搬送路、88,90 識別用搬送ベルト、92 識別用搬送路、96 光学センサ、98 磁気センサ。
Claims (1)
- 横方向に配列された遊技台の上方の前面側に設置され、遊技台配列方向に沿って紙幣を搬送する紙幣搬送装置を構成し、前記個々の遊技台に対応して設けられた紙幣搬送ユニットであって、
前記遊技台配列方向に紙幣が搬送される搬送経路を構成する主搬送路と、
前記遊技台の前面側から投入された紙幣が送られている状態でその真偽を識別する識別部が設けられ、前記識別完了後、前記主搬送路へと当該紙幣を合流させる識別用搬送路と、
を有し、
前記主搬送路と前記識別用搬送路は、これらの一部が並行に配置され、上流の紙幣搬送ユニットから搬送されてくる紙幣が通過する主搬送路と識別用搬送路とを分離し、識別用搬送路と主搬送路から搬送される紙幣の合流部における接触を避けるための分離ガイドを設けると共に、分離ガイドに対して前記識別用搬送路の長さを、識別中の紙幣の先端が主搬送路に到達しない距離長に設定し、
主搬送路においては、駆動ベルトとこれに対向するローラによって紙幣を挟持し、駆動ベルトにより紙幣が搬送され、
識別用搬送路においては、識別用搬送路に沿って設けられる識別用搬送路ベルトにより紙幣が搬送され、
分離ガイドには、主搬送路の駆動ベルトに対向する前記ローラのうちの一つであって、この駆動ベルトを押して、これを屈曲させ、分離ガイドの位置でへの字形に屈曲した主搬送路を形成する押さえローラが設けられ、
識別用搬送路ベルトが巻き渡されたローラのうち、識別用搬送路の最も下流に位置するローラが、前記主搬送路の屈曲した部分にはまり込むように位置する、
ことを特徴とする紙幣搬送ユニット。
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