JP4340951B2 - 水性顔料分散液用混練物およびこれを用いた水性顔料分散液とインク組成物の製造方法 - Google Patents
水性顔料分散液用混練物およびこれを用いた水性顔料分散液とインク組成物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散液用混練物及びこれを用いた水性顔料分散液とインク組成物の製造方法に関し、特にインクジェット記録用に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水を主成分とする液媒体中に顔料を分散した水性顔料分散液が提案され、これを希釈してインク組成物が製造されている。
水性顔料分散液を製造するにあたっては、顔料、水、有機溶剤、分散剤、アルカリ剤を混合し、分散機を用いて顔料の分散処理を行うのが一般的である。その結果、粒子状の顔料が樹脂にて被覆された複数の樹脂被覆粒子が水溶性溶剤中に分散した水性顔料分散液が得られる。
【0003】
一方、水性顔料分散液を使用してインクジェット記録用のインク組成物とした場合、従来の染料を用いたものと比べて耐光性、耐水性などが格段にすぐれたものが得られる。
なお、インクジェット記録用のインク組成物においては、インクジェットから吐出されるときの安定性(吐出安定性)、長期保存安定性などが、他の用途に比較して非常に厳しく要求されている。すなわち、できるだけ粒子径の揃った微細な顔料粒子が、分散剤に被覆された状態で、液媒体中に長期にわたって安定に分散している必要がある。そして、これらの要求を満足するためには、水性顔料分散液の段階で、良好な分散安定性と、長期保存可能な分散安定性を有することが必要とされる。
【0004】
そこで、最近では、水性顔料分散液について、インクジェット記録用に適した組成や顔料の分散方法などについて種々検討が行われはじめている。
例えば、水溶性樹脂とアルカリ成分を水に溶解した水溶液を作成し、これに顔料を加えて充分撹拌した後、さらに分散効率の高い高速のサンドミルなどを用いて分散させて水性顔料分散液を得る方法が提案されている。
【0005】
顔料とポリマー分散剤を2-ロールミリング装置によって混練し、分散体を得た後に水性キャリアー媒体中に分散し顔料分散液を得る調整方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。実施例によると顔料、ポリマー分散剤、溶剤を2-ロールミリング装置により処理し顔料分散体を得た後、中和剤である水酸化カリウムと水とに混合し顔料分散液を得る製造方法である。
【特許文献1】
特開平6-157954号
【特許文献2】
特開2000-80299号
【特許文献3】
特開2001-81390号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記製造方法では2-ロールミリング装置であらかじめ混練することで未混練のものよりは顔料の微細化が進み水性キャリアー媒体中への分散性の向上が図れるが,顔料とポリマー分散剤を混練して得た分散体を水性キャリアー媒体中へ分散させる際に生じる顔料凝集体を完全に防止できない問題があった。
また、この方法においては、分散時間が長時間にわたり、製造効率が低いという問題があった。また、この様にして得られた水性顔料分散液においても、分散安定性は未だ不充分であった。
【0007】
一方、サンドミル等のメディアを用いた分散機で水性顔料分散液を製造することは一般的に行われているが、通常顔料、分散剤等の固形分比率の低い低粘度の被分散液を用いて行われる。そのため、顔料に効率良く粉砕エネルギーがかかりにくく、顔料の粒子を粉砕するのに多くの時間がかかるという問題があった。ジルコニア等の比重が大きなメディアを用いるとともに小粒径化することで顔料粉砕効率を上げる等の改良がなされているが、メディア1個の重量減少が生じるため粉砕エネルギーが減少する、分散時の発熱が増大し製品品質へ悪影響を与える等、必ずしも十分な顔料の粉砕・分散効率の向上には至っていないのが現状である。この様にして得られた水性顔料分散液には、分散後にも相当量の粒径1μm以上の粗大粒子が含まれている。そして、このままではインクジェットの吐出安定性が確保できないため、さらに遠心分離、濾過などによってこの粗大粒子を除去する工程が必要であり、さらなる製造効率の低下と収率の低下という問題があった。
【0008】
本発明は前記事情に鑑てなされたもので、従来の方法で作製された顔料分散体より微細でかつ安定に分散し(分散安定性が良好で)、それが長期保存においても維持される、長期保存安定性が良好な水性顔料分散液とインク組成物を得ることができる技術を提供することを課題とする。
また、分散時間などの製造に要する時間が短く、製造効率が高い水性顔料分散液とインク組成物の製造方法を提供することを課題とする。
また、収率の高い水性顔料分散液とインク組成物の製造方法を提供することを課題とする。
特に吐出特性に優れたインクジェット記録用のインク組成物を得ることができる技術を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決し、分散安定性の良好な水性顔料分散液を効率良く作製するためには、分散樹脂、顔料を含む混合物を配合し、高粘度で混練して混練物を作製する際に混練機に付加するエネルギーを調整することが好適であることを見いだし、新規な水性顔料分散液用混練物およびこれを用いた水性顔料分散液とインク組成物の製造方法を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明者らは前記課題を解決するために、少なくとも水に溶解又は自己分散可能な樹脂、顔料を含む混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を製造する方法において、混練機の負荷電流(I)を、混練機の剪断速度(v)で除した値(I/v)が時間と共に増加した後、減少するように混合物が混練されることを特徴とする水性顔料分散液用混練物の製造方法を提供する。
【0011】
また本発明者らは、上記の水性顔料分散液用混練物の製造方法によって、該水性顔料分散液用混練物を製造する工程と、該混練物を水を主成分とする溶液に分散させて水性顔料分散液を製造する工程とを有する水性顔料分散液の製造方法を提供する。
【0012】
なお、本明細書においては、水性顔料分散液用混練物の製造工程において、混練前のものを混合物、混練中あるいは混練後のものを混練物とする。
またさらに本発明者らは、前記水性顔料分散液を製造する工程と、該水性顔料分散液を水溶性溶剤で希釈してインク組成物を得る工程を有するインク組成物の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
少なくとも水に溶解又は自己分散可能な樹脂、及び顔料を含む混合物を必要に応じて加熱、溶剤等を添加した状態で混練機を用いて機械的エネルギーを付与し、混合・混練することにより、樹脂と顔料は効率的に溶融、混合される。このとき顔料は、混練機の機械的エネルギーにより、微細化され、同時に微細化された顔料表面への樹脂吸着が進行し、個々の微細な顔料粒子表面に樹脂が吸着した状態を保持した高粘度の塊状物となる。
【0014】
さらにまた本発明者らは、前記水性顔料分散液用混練物の製造方法において、混練機に付与するエネルギーに少なくとも1回以上の極大値を持つ条件とする様に混練を行うことが混練物における顔料の分散粒径を小さくする上で好ましく、また分散安定性を高める上でも好ましいことを見いだした。さらに、混練物をイオン交換水もしくは水溶性有機溶剤と水との混合液に分散させる際にも、混練機に付与するエネルギーに少なくとも1回以上の極大値を持つ条件とすることが、粗大粒子発生防止に効果的であり、製造効率を高めることに有用であることを見いだした。
【0015】
混練機に供された上記混合物は、混練機によって剪断力、圧力などの様々な力を受けることにより、"混ぜられ、伸ばされ、練られ、切られ"などの作用を受けて混練されていく。混合物が固体もしくは半固体状の混練物となり、十分な力およびエネルギーを混練機から受けられる状態になり、且つこの混練物に十分な力エネルギーを混練機から与えることにより、混練を効果的に進めることができる。
混練物の形態を考えると、混練開始時には水中に樹脂及び顔料が混ぜられた、比較的粘度が低く、混練機からの力やエネルギーが与えられ難い状態となっている。
【0016】
しかし、これらの材料が混練されてくることにより粘度が上昇してくるようにすると、混練機からの力、エネルギーが十分に混練物にかかりやすくなる。この状態で混練機から混練物に十分な力やエネルギーを与えるように混練すれば、"混ぜられ、伸ばされ、練られ、切られ"などの作用を受けて、顔料は微細化され、同時に微細化された顔料表面への樹脂吸着が進行し、個々の微細な顔料粒子表面に樹脂が吸着した状態を保持した高粘度の塊状物となる。
さらに混練が進むと、樹脂が表面に吸着した顔料が水の中で好適に分散され、再び混練物の粘性が下がり、混練物に対する力やエネルギーが掛かりにくくなり、過度の顔料の粉砕が起こりにくくなる。そして混練機からも過度の力やエネルギーをかけないようにすると、分散系は粘度を下げた後、一定の分散状態に到達する。
【0017】
このような混練工程を与える製造方法により、微細で且つ安定に分散し(分散安定性が良好で)、それが長期保存においても維持される、長期保存安定性が良好な水性顔料分散液とインク組成物を得ることができる。
【0018】
混練機が混練物に与える力およびエネルギーは、混練機の負荷電流(I)(単位:A)を、混練機の剪断速度(v)(単位:m/sec)で除した値(I/v)(単位:A・sec/m)を指標にして混練機を制御することができる。具体的には、混練機であるロールや撹拌機の回転速度、剪断速度を制御することにより、上記I/vを制御することができる。また、撹拌機の回転速度を略一定にして撹拌したときは、I/vは負荷電流(I)と比例するため、I/vの増減は負荷電流(I)の増減としてとらえることができる。
【0019】
上記のように混練過程で、混合物及び混練物が好ましい混練挙動を取るように調整することは、水、樹脂、顔料の種類を適宜選んだり、添加量を調整することにより達成することができる。塩基を含めた系でも同様に調整することができる。
【0020】
混練工程を、例えば2本ロールや3本ロールのような開放系の混練機を用いて行う場合、顔料分散が最も効率良く実施される適正粘度で混練が行われる。その際、混練物に水、あるいは水溶性有機溶剤が含まれている場合、混練時の温度上昇で混練物中の水、もしくは水溶性有機溶剤が蒸発し、混練物の固形分比率の上昇が著しい。その結果、混練終了時に固形分比率が著しく上昇するため、混練操作終了後、冷却されたものは混練物表面が乾いた状態となり、堅牢な混合物となる。また、2本ロールや3本ロールのような開放系の混練機での混練の場合、混練物粘度は、混練物温度と固形分濃度により決まり、混練中ほぼ一定もしくは増加していくものと考えられる。従って、通常混練に使用するロール回転数で回転数一定とした場合の混練機の消費電力や混練機に付与するエネルギーは、混練工程中一定、もしくは増加傾向を示すものとなる(混練機に印加する電圧が一定の場合、消費電力の増加は、負荷電流値の増加を意味する。)。
【0021】
しかしながら、混練工程であまりに多くの水が失われると、これに続く分散工程で、水性顔料分散液を作製するとき、さらに該混練物に水、もしくは水溶性有機溶媒を添加して、固形チップの粉砕、溶解と顔料の分散を行わなければならない。従ってロール練肉に続く分散工程に負担がかかり、分散時間が長時間化したり、又たとえ長時間の分散を行ったとしても粗大粒子が残存する可能性が非常に高い。
【0022】
これに対して、混合物の質量が実質的に変化しない様に混練を行うと、混練物の粘度の上昇や固形分比率の増加等の問題を生じずに、水性顔料分散液用混練物を得ることができる。
【0023】
さらに前記水性顔料分散液用混練物の製造方法においては、撹拌槽と撹拌羽根を有する混練機を用いて混練することが好ましい。このような混練機においては上述の様なロール練肉機と異なり、攪拌槽を密閉することが可能であって、混練中の水もしくは水溶性有機溶剤の蒸発を防ぎ、混練中に混合物の質量が実質的に変化しないようにすることができる。
【0024】
このため該混練物の固形分比率が上昇しすぎることがなく、分散工程に移るために添加した希釈用の水、あるいは水溶性溶剤中に容易に混合分散でき、効率的に分散液を作製することができる。
【0025】
さらに前記混練機がプラネタリーミキサーであることが好ましい。プラネタリーミキサーは、互いに自転と公転を行う2軸以上の攪拌羽根を使用して、攪拌槽中の混練物を攪拌、混練する構造を有しており、攪拌槽中に攪拌羽根の到達しないデッドスペースが少ない。また羽根の形状が肉厚で高負荷をかけることができるが、一方では攪拌羽根を攪拌槽中で回す通常の攪拌機の様に使用することもできる。このため高負荷領域から低負荷領域まで、処理対象にできる被混練物の幅が広く、混練終了後の混練物に、そのまま水、もしくは水溶性有機溶剤の一方あるいは両方を添加し、希釈、攪拌、分散する操作の全てを、プラネタリーミキサーから混練物を取り出さずに、該同じミキサーの中で行うことができる。
【0026】
プラネタリーミキサーで使用される羽根は、フック型、枠型、捻り型等、様々な羽根形状が提案されているが、本特許においては、どのような羽根でも使用可能であり、特定されることは無いが、混練物粘度に耐え得る強度を有することが必要であり、枠型が強度、混練性等の面から好ましい。
【0027】
なお、前記水性顔料分散液用混練物を用いて、これに水溶性溶剤に分散させて水性顔料分散液を作製するときは、メディアを用いた分散機で分散させることが好ましい。このような分散機を用いることにより、顔料の粉砕による小粒径化と該顔料表面への樹脂吸着とを同時に進行させることができる。
【0028】
本発明における剪断速度は、混練の際、混練機撹拌羽根(ブレード)によって発生する最大剪断速度とする。ブレードが1枚の場合は、そのブレードの周速であり、ブレードが2枚の場合は、2枚のブレードの回転方向により周速和、又はブレード1枚の周速で示される。
【0029】
以下、剪断速度の例を示す
1. 2本ロールの場合
・ 2本ロールの場合は、2本のロールの周速度差
2. 1軸の回転装置(ヘンシェルミキサー等)
・ ブレードの周速(最大径位置での)
3. 2軸の回転装置(Kneeder等)
・ 2軸同方向回転の場合は、ブレードの周速の2倍
・ 2軸逆方向回転の場合は、ブレードの周速
4. 遊星運動軸がある装置(プラネタリーミキサー等)
・ 公転/自転が同方向の場合は、公転周速に自転周速を加えた速度(最大径位置での)か自転周速の2倍の速度(自転ブレード最大径位置での)の大きい速度
・ 公転/自転が逆方向の場合は、公転周速と自転周速の周速差(最大径位置での)か自転周速の2倍の速度(自転ブレード最大径位置での)の大きい速度
【0030】
水性顔料分散液において、顔料の分散状態は、顔料の粒径、顔料が樹脂に被覆された樹脂被覆粒子の粒径、顔料と樹脂との比率や、樹脂や水溶性溶剤の組成などに影響される。そして、微細な顔料の粒子の表面が樹脂によって薄く均一に被覆された微細な樹脂被覆粒子が、水溶性溶剤中に安定に分散し、且つその分散状態が長期保存後も維持されていることが、インクジェット記録用のインク組成物において、吐出安定性などの効果を得るために、好ましい。
なお本発明において、水溶性溶剤もしくは水性媒体とは、水、もしくは水中に水と容易に混ざり合う水溶性有機溶剤を含んだ水溶液を示すものとする。
【0031】
以下、本発明について、水性顔料分散液用混練物の製造方法、水性顔料分散液の製造方法、インク組成物の製造方法について順に例を挙げて詳細に説明する。
【0032】
(1)水性顔料分散液用混練物の製造方法
水性顔料分散液用混練物の製造においては、少なくとも
▲1▼水に溶解又は自己分散可能な樹脂
▲2▼顔料、
を含む仕込みの混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を製造することを特徴とする。
【0033】
なお、▲1▼樹脂と▲2▼顔料とを合わせた固形分比率は、得られる水性顔料分散液用混練物中、60〜80質量%が好ましい。固形分比率が50質量%未満では混合物の粘度が低下するため、混練が十分に行われず、顔料を解砕させるための十分なエネルギーを混練物に付与されず粗大粒子が多量に残存するため好ましくない。そして、固形分比率をこのように高めることによって混練中の混練物の粘度を適度に高く保ち、混練中の混練機から混練物にかかる剪断力を大きくして、混練物中の顔料の粉砕と顔料の樹脂による被覆を同時に進行させることができる。固形分比率が80質量%を超えると、例え加温して樹脂を充分に軟化させたとしても混練が困難になる。また、水性顔料分散液製造時に水溶性溶剤に溶解、分散させることが困難となったり、水溶性溶剤による低粘度化が困難となるおそれがある。
【0034】
以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
▲1▼樹脂
樹脂は、水に溶解又は自己分散可能なものであって、少なくとも1種以上のアニオン性基を有するモノマー成分、または少なくとも1種以上のカチオン性基を有するモノマー成分を重合させたものであり、両モノマーを併用しても良い。さらに少なくとも1種以上の水酸基を有するモノマー成分を含むモノマーを重合させたものであっても良く、該アニオン性基を含むモノマー、カチオン性基を含むモノマー、水酸基を含むモノマー成分はそれぞれ親水性基として機能する。
【0035】
なお、重合に用いられる他のモノマー中には、疎水性基を有する疎水性モノマーが含有されていることが好ましい。水に溶解又は自己分散可能な樹脂としては、少なくとも1種以上のアニオン性基、カチオン性基、水酸基から選ばれる親水性基を有するモノマー成分と、疎水性基を有するモノマー成分が共存している樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
このような樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリビニール酢酸系樹脂、ポリビニールスルフォン酸系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系、アミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ポリピロリドン樹脂、セルロース系樹脂などを例示することができる。
【0037】
前記、樹脂に用いる疎水基を有する疎水性モノマーとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2,3-エポキシプロピル、アクリル酸2,3-エポキシブチル、アクリル酸2,3-エポキシシクロヘキシル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ビニル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ベンジル、等の不飽和脂肪酸エステル類;
【0038】
アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、N-ジメチルメタクリルアミド、N-ジエチルメタクリルアミド、マレアミド、N,N-ジメチルマレアミド、フマラミド、N,N-ジメチルフマラミド、等の不飽和脂肪酸アミド類;
【0039】
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、等の不飽和ニトリル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ヘキサン酸アリル、デカン酸アリル、等のカルボン酸不飽和エステル類;
エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、等の不飽和エーテル類;
【0040】
スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ビニルシクロヘキサン、4-ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;
【0041】
塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3-クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;
4-ビニルピリジン、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;
上記例示モノマー中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基等活性水素を有する置換基を含有するモノマーとエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シキロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;
【0042】
上記例示モノマー中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有するモノマーと酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等カルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
中でもスチレン系モノマー、さらにはスチレンモノマーが好ましい。
これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタアクリレートを示し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタアクリル酸を示す。
【0043】
アニオン性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。又スルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2-スルホエチル、メタクリル酸4-スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキル又はアリールエステル類;スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン-4-スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
【0044】
特に分散安定性、長期保存安定性の点から、カルボキシル基を含むモノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などのビニルモノマーが挙げられる。
【0045】
カチオン性基を有するモノマーとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミン等を含むモノマーが好ましく、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0046】
水酸基を有するモノマーとしては、分子内に少なくとも1つの水酸基を持つモノマーが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら親水性基としてアニオン性基、カチオン性基、水酸基の内から選ばれるものを適時選択して使用することができ、様々な組み合わせで使用することも可能である。
【0047】
本発明においては、分散安定性、長期保存安定性の点から、特に(メタ)アクリル酸に由来する構造を有している(メタ)アクリル酸系モノマーを用いると好ましい。
さらに、分散安定性、長期保存安定性の点から、アニオン性基を有する樹脂は疎水性モノマー成分であるスチレンモノマー成分とアニオン性基を有するモノマー成分とからなる共重合体樹脂などが好ましい。
なお、このとき、アニオン性基を有するモノマーは親水性モノマーであると好ましい。
【0048】
スチレンモノマー成分とアニオン性基を有するモノマー成分からなる共重合体樹脂においては、分散安定性、長期保存安定性の点から、スチレンモノマー成分が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、好ましくは95質量%以下含まれていると好ましい。
【0049】
共重合体樹脂中のスチレンモノマー成分の含量を50質量%以上とすることにより、共重合樹脂の疎水性が増加し、水系においてはより強固に顔料への樹脂被覆が行われる。その結果、水性顔料分散液を経て作製されたインク組成物をインクジェットに用いたときに、樹脂被覆粒子が加熱されても、その粒径が安定であり、粒径安定性が向上する。そして、吐出安定性が向上し、且つ高い印字濃度が得られる。さらに被記録媒体上の塗膜の耐久性向上にも効果的である。なお、95質量%をこえると分散に寄与するアニオン性基を有するモノマー成分の含有量が低下し、水系での分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。
【0050】
なお本発明において、単にモノマーという場合には、重合前のモノマーを指し、モノマー成分という場合には、樹脂中に含まれるモノマー由来の構造を示すものとする。
また、長期的な保存安定性の点から、樹脂の酸価は60〜300mgKOH/g、好ましくは100〜180mgKOH/g、さらに好ましくは120〜170mgKOH/gの範囲とされる。なお酸価とは、樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数であり、mgKOH/gにて示す量である。
【0051】
酸価が60より小さいと、親水性が小さくなり、顔料の分散安定性が低下するおそれがある。一方、酸価が300より大きいと、顔料の凝集が発生し易くなり、またインク組成物を用いた印字品の耐水性が低下するおそれがある。
【0052】
なお、アニオン性基を有する樹脂の質量平均分子量は3000〜50000、さらに好ましくは4000〜40000、さらに好ましくは5000〜30000とされる。3000以上とされる理由は、低分子量である程初期的な分散性が優れているが、長期的な保存安定性が低下する傾向があるためである。なお、50000をこえると水性顔料分散液の粘度が高くなるだけでなく、樹脂の分散性、溶解性などが低下する傾向にある。
【0053】
上記の好ましい範囲の重量平均分子量を有する樹脂を用いることにより、水溶性溶剤中の顔料の安定性と被記録媒体上に形成された塗膜の耐久性を両立させることができる。
また、樹脂のガラス転移点は90℃以上、好ましくは100℃以上、実質的には150℃以下とされる。
ガラス転移点が90℃以上であると、インク組成物によって形成された画像の耐久性が向上し、又インク組成物の熱安定性が向上する。このため該水性顔料分散液から作製されたインクジェット記録用水性インク組成物をサーマルジェットタイプのインクジェット記録用に用いても、加熱によって吐出不良を起こすような特性変化を生じず、好ましい。なお、樹脂のガラス転移点は分子量などの変更によって調整することができる。
【0054】
▲2▼顔料
顔料は、公知のものを特に制限無く使用することができる。
無機顔料の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンガラ等が挙げられる。
【0055】
有機顔料の例としては、C.I.ピグメント レッド122、同 レッド202、同 レッド207、同 レッド209、同 バイオレット19等のキナクリドン系顔料;
C.I.ピグメント オレンジ48、同 オレンジ49等のキナクリドンキノン系顔料;
C.I.ピグメント バイオレット23、同 バイオレット37等のジオキサジン系顔料;
C.I.ピグメント ブルー15、同 ブルー15:1、同 ブルー15:2、同 ブルー15:3、同 ブルー15:4、同ブルー15:6、同 ブルー16,同 ブルー68、同 グリーン7、同 グリーン36等のフタロシアニン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー108等のアントラピリミジン系顔料;
C.I.ピグメント オレンジ77、同 レッド168等のアンサンスロン系顔料;
C.I.ピグメント ブルー60等のインダンスロン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー24等のフラバンスロン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー196、同 レッド177等のアントラキノン系顔料;
C.I.ピグメント レッド123、同 レッド149、同 レッド178、同 レッド179、同レッド190、同 レッド224等のペリレン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー196、同 オレンジ43等のペリノン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー138等のキノフタロン系顔料;
C.I.ピグメント オレンジ71、同 オレンジ73、同 レッド254、同 レッド255、同 レッド264、同 レッド272等のジケトピロロピロール系顔料;
C.I.ピグメント レッド88、同 レッド181、同 ブラウン27等のチオインジゴ系顔料;
C.I.ピグメント イエロー139、同 イエロー185、同 オレンジ69、同 レッド260等のイソインドリン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー109、同 イエロー110、同 イエロー173等のイソインドリノン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー101、同 イエロー129、同 オレンジ65等のアゾメチン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー151、同 イエロー154、同 イエロー175、同 イエロー180、同イエロー181、同 オレンジ36、同 レッド175、同 レッド176、同レッド185等のベンズイミダゾロン系顔料;
C.I.ピグメント イエロー1、同 イエロー65、同 イエロー73、同 イエロー74、同 イエロー116,同 レッド3、同 レッド48:1、同 レッド48:2、同 レッド48:3、同 レッド53:1、同 レッド57:1、同 レッド115等のモノアゾ系顔料;
C.I.ピグメント イエロー12、同 イエロー13、同 イエロー17、同 イエロー81、同 イエロー83、同 オレンジ13、同 オレンジ16等のジスアゾ系顔料;
C.I.ピグメント イエロー93、同 イエロー95、同 イエロー128、同 レッド144、同 レッド166、同 レッド220、同 レッド221等の縮合アゾ系顔料などが挙げられる。
【0056】
顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でも良く、ウェットケーキやスラリーでも良い。
前記顔料は、混合物中に15〜80質量%配合されることが好ましい。一般に水性顔料分散液を希釈して、一定の顔料濃度のインク組成物を得るため、水性顔料分散液中の濃度を極力上げて生産することは、より多くのインク組成物を製造できることから生産効率上有利となる。しかし、顔料濃度を上げることは、水性顔料分散液の保存安定性が悪化するため、実質的には顔料の分散安定性、水性顔料分散液用混練物等の安定性確保の点から、75質量%以下、好ましくは40〜60質量%とされる。
【0057】
また、顔料分散において通常使用されるように、顔料の分散を安定化させるために、使用顔料の顔料誘導体を併用することができる。これらの誘導体としては、顔料構造の一部にスルフォン基、カルボキシル基、燐酸基、クロロスルフォニル基、フタルイミドメチル基、クロロメチル基、アミノ基及びアミド基等を置換した化合物を挙げることができる。
【0058】
さらに顔料と樹脂(Resin)の質量比率に関しては、樹脂は顔料表面を安定に被覆するのに必要な量、存在していれば十分であり、それをこえる樹脂の含有はむしろ好ましくない。樹脂が過剰量存在すると、水性顔料分散液やインク組成物を作製したときに、顔料に吸着しない遊離の樹脂が増加するため、特にインクジェット記録用インク組成物として使用したときに該樹脂がインクノズルに固着してインク吐出不良の原因となりやすく、特にサーマルジェットプリンターにおいてはこの吐出不良の問題が発生する危険性が高い。
【0059】
そのため、本発明の水性顔料分散液用混練物の製造において、前記水性顔料分散液用混練物中の樹脂/顔料の質量比率は1/20〜2/1であることが好ましく、1/10〜1/1であることがさらに好ましい。
【0060】
水性顔料分散液用混練物においては、顔料の表面を一様に被覆できる量の樹脂が含有されていることが必要とされる。このため、顔料の配合比率が多すぎると顔料が樹脂によって充分に被覆されず、分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。しかしながら、この必要量を超える過剰の樹脂が多量に含有されていると、顔料の表面に付着せずに、水もしくは水溶性有機溶剤中へ粒子状態や溶解状態で存在する樹脂が増加することにより、粘度上昇の原因となり好ましくない。
【0061】
▲3▼塩基性化合物、酸性化合物
本発明の水性顔料分散体中におけるイオン性基含有樹脂は、イオン性基の少なくとも一部がイオン性基と逆のイオン性物質(カウンターイオン)によってイオン化(中和)された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。
【0062】
イオン性基含有樹脂がアニオン性基である場合、アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、用いるアニオン性基含有樹脂の組成、分子量、酸価等により変化するため一意的に限定されるものではないが、所望の分散性、分散安定性が発現される範囲であればよく、通常中和率として20〜200%の範囲に設定されることが好ましい。なお、ここで中和率とは、下記の式によって計算される値である。
中和率(%)=((塩基性化合物の質量(g)×56×1000)/(樹脂酸価×塩基性化合物の当量×樹脂量(g)))×100
中和率(%)が100%以上とは、樹脂が有する酸価を中和するのに理論上必要な塩基以上の過剰な塩基が使用されることを意味する。
このように、アニオン性基含有樹脂の、アニオン性基の少なくとも一部をイオン化するために用いる塩基性化合物としては、無機系塩基性化合物、有機系塩基性化合物のいずれも用いることができる。アルカリ強度を調整し易い点において、無機系塩基性化合物がより好ましい。
【0063】
有機系塩基性化合物としてはアンモニア、有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)などが挙げられる。例えばアンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの一般的なアミンを例示することができる。アミンの場合は一般に液体状であるので、そのままの形態で用いることができる。
【0064】
無機系塩基性化合物としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、カルシム、バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;などを例示することができる。
上記の中でも、アニオン性基を含む樹脂の中和によって該樹脂の分散性を高めるに効果的であるため、強アルカリのものが好ましく、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0065】
塩基性化合物を水性顔料分散液用混練物もしくは水性顔料分散液に添加する場合、a)混練物を製造する段階で添加する方法、b)混練物を水もしくは水溶性溶剤と水との混合液に分散する際に添加する方法がある。
【0066】
a) 混練物を製造する段階で添加する方法
アニオン性基を有する樹脂と塩基性化合物とを混合することにより、前記アニオン性基が中和された水性顔料分散液用混練物が得られる。その結果、水性顔料分散液用混練物と水との親和性が向上し、水性顔料分散液の製造時に、水性顔料分散液用混練物が水中に速やかに分散し、製造効率が向上する。また、水性顔料分散液中の樹脂被覆顔料の分散状態がより安定となり、分散安定性、長期保存安定性も向上する。
【0067】
また、塩基性化合物を配合すると、塩基性化合物とアニオン性基を有する樹脂との相互作用によって、顔料が樹脂に充分に被覆されやすい状態で混練することができる。そのため、混練中に顔料が微粉砕され、粗大粒子が減少しやすくなり、後の工程で粗大粒子を除去する工程を省略でき、収率が向上するという効果も得られる。
【0068】
塩基性化合物は、上記の効果を効率的に得るためには、水溶液として加えることが適している。このため、水溶性の塩基性化合物が好適に用いられる。
なお、無機系塩基性化合物は混合性向上の点などから、通常、20〜50質量%濃度程度の水溶液の形態で用いられる。
【0069】
塩基性化合物の添加方法は、初期に一括して添加してもよく、又、混練中に複数回に分けて添加しても良い。しかし、作業のし易さ、混練条件を安定させる点から、配合初期に一括添加して混練することが好ましい。
【0070】
塩基性化合物の配合量は、前記アニオン性基を有する樹脂の中和率が20%以上となる量の塩基性化合物を用いることが好ましく、実質的には、長期保存時に分散安定性があり、ゲル化しないためにも、200%以下が好ましく、80〜120%が特に好ましい。好ましい範囲に設定することにより、水溶性溶剤中の分散速度の向上、分散安定性、長期保存安定性がより改善される。
【0071】
さらに塩基性化合物は、混練する前に、混合物に配合する他の配合成分とともに一括混合して混合物としておくことが好ましい。
例えば混合物は、予めアニオン性基を含む樹脂と水と塩基性化合物を混合して樹脂水溶液を作製しておき、これを顔料等の他の配合成分に添加するなどして、複数段階に分けて混合し、製造することもできるが、塩基性化合物と他の配合成分を一括配合して混練用の混合物を作製するほうが、該樹脂の顔料の表面への吸着が効率的に進行する点で好ましい。
【0072】
b) 混練物を水もしくは水溶性溶剤と水との混合液に分散する際に添加する方法混練物を水もしくは水溶性溶剤と水との混合液に分散する際、水もしくは水溶性溶剤と水との混合液にあらかじめ必要量の塩基性化合物を溶解しておき、塩基性化合物を含む水溶液中に混練物を混合・撹拌により分散させ、水性顔料分散液を得ることができる。その際、塩基性化合物を含む水溶液を加温することで分散時間の短縮となるため好ましい。
また、混練機より混練終了した混練物を取り出すことをしない場合、混練を継続しながら塩基性化合物を含む水溶液を添加する方法もある。
【0073】
イオン性基含有樹脂がカチオン性基である場合も、上述と同様に実施可能であり、通常適正な中和率は、20〜200%である。その場合の中和率は下記式で計算される数値である。
中和率(%)=((酸性化合物の質量(g)×56×1000)/(樹脂アミン価×酸性化合物の当量×樹脂量(g)))×100
中和率(%)が100%以上とは、樹脂が有するアミン価を中和するのに理論上必要な酸以上の過剰な酸が使用されることを意味する。
このように、カチオン性基含有樹脂の、カチオン性基の少なくとも一部をイオン化するために用いる酸性化合物としては、無機系酸性化合物、有機系酸性化合物のいずれも用いることができる。
【0074】
有機系酸性化合物としては酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、メタアクリル酸等が挙げられる。有機系酸性化合物の場合は一般に液体、固体であり両者ともに使用可能であるが、水に溶解するものが使用するカチオン性基含有樹脂への分散性が良く、好適に用いることができる。
【0075】
無機系酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、などを例示することができる。
中でも、カチオン性基を含む樹脂の中和によって該樹脂の分散性を高めるのに効果的な酸としては酢酸、塩酸、硝酸などの酸性化合物が好ましい。
【0076】
▲4▼水溶性有機溶剤
水性顔料分散液用混練物を製造するにあたっては、ある程度の溶剤存在下で混練することが好ましい。溶剤が存在しないと充分に混練することができなかったり、顔料の表面が濡れないため、樹脂による被覆が不充分となるおそれがある。
【0077】
そこで、水性顔料分散液用混練物に水溶性有機溶剤を配合すると、この水溶性有機溶剤にて前記樹脂を溶解、一部溶解若しくは膨潤させることにより、顔料の粒子の表面に樹脂の均一な被膜を形成することができる。その結果、水性顔料分散液とインク組成物において分散安定性をさらに向上させることができる。
【0078】
なお、塩基性化合物あるいは酸性化合物の水溶液を用いたり、塩基性化合物あるいは酸性化合物がアミン、酢酸の様に有機系化合物で液体状の場合には、これらが上記の溶剤の役割を果たすため、水溶性有機溶剤を敢えて添加する必要がない場合もある。
【0079】
水溶性有機溶剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;
ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、及びこれらと同族のジオールなどのジオール類;
ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;
エチレングリコールモノブチルエーテル、カルビトールなどのジエチレングリコールエーテル類;
ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのモノグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;
あるいは、スルホラン、エステル、ケトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類、グリセリン及びその誘導体など、水溶性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。
【0080】
これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。
水溶性有機溶剤の選択は、使用する樹脂によって決まるが、ある程度の溶解性を持つものが好ましく、樹脂の溶解性によりその添加量が調整される。
【0081】
水溶性有機溶剤は、水性顔料分散液やインク組成物において、乾燥防止剤としての役割も果たすため、高沸点、低揮発性で、高表面張力の多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。グリコール類は一般的にインク組成物に含まれている場合が多く、最終製品中に残留しても問題がない。
【0082】
なお、水溶性有機溶剤は、使用する樹脂によっても異なるが、通常は仕込みの混合物中に10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%配合される。その添加量は、樹脂量の1/2〜5倍程度であり、好ましくは樹脂量の1〜4倍程度である。水溶性有機溶剤の量が樹脂量の1/2未満では樹脂を溶解、部分溶解、又は膨潤させることができず、顔料の分散安定性が低下するおそれがある。又5倍を超えると混練用混合物粘度が低下し、十分な混練が行えないため、顔料の分散性が低下し、インク組成物において、吐出不良等の画質低下を生じさせるおそれがある。なお、上述の様に、有機系化合物などに由来して溶剤の役割を果たすものが他に配合されている場合には、これを考慮して水溶性有機溶剤の配合量を決定すると好ましい。
【0083】
また、水溶性有機溶剤は顔料に対して、質量比で1/5倍以上、好ましくは、1/3〜1倍配合すると好ましい。これにより、樹脂が常に半溶解もしくは膨潤状態となりつつ混練工程が進行し、顔料表面への樹脂被覆が良好に行われる。1/5倍未満では、混練初期に顔料の表面を充分に濡らすことができなかったり、樹脂を溶解、部分溶解、又は膨潤させることができず、その効果を充分に得ることができないおそれがある。
【0084】
▲5▼混練方法
本発明においては、水溶性溶剤に直接顔料を分散させるのではなく、まず、顔料を樹脂などとともに混練した後に水溶性溶剤に分散する。よってこの混練時に顔料が微粉砕されるため、粗大粒子を減少させることができる。
なお、このとき、上述の塩基性化合物又は酸性化合物を添加することが好ましく、その際、塩基性化合物とアニオン性基を有する樹脂あるいは酸性化合物とカチオン性基を有する樹脂との相互作用によっても粗大粒子は著しく減少する。
そのため、この粗大粒子を除去する工程を省略することができ、製造効率が向上するとともに収率を向上させることができる。
【0085】
本発明においては、混練中に水や水溶性有機溶剤などが蒸発しない様に、混合物(混練物)の質量が実質的に変化しない様に混練すると好ましい。そのため、適当な溶剤を使用した場合、混練開始から終了までの間、混合物中に、常に一定量の溶剤が存在し、混練初期に顔料の表面を濡らした溶剤が、当該溶剤によって好ましくは溶解、膨潤あるいは部分溶解した樹脂に置き換えられ、顔料の樹脂による被覆がより効率的に進行し、当該顔料が充分に被覆される。その結果、水性顔料分散液やインク組成物の分散安定性、長期保存安定性が著しく向上する。
【0086】
さらに混練終了後においても溶剤が混練開始時とほぼ同量残っており、混練後の混合物の溶解、分散を極めて短時間に進行させることができる。
そして、このためには、閉鎖系で混練する混練機が好ましく、撹拌槽と、一軸あるいは多軸の撹拌羽根を備えた混練機を用いると好ましい。撹拌羽根の数は特に限定しないが、高い混練作用を得るためには二つ以上の攪拌羽根のものが好ましい。
【0087】
この様な構成の混練機を用いると、水性顔料分散液用混練物を製造した後、これを同一撹拌槽中で混練工程後連続的に直接水溶性溶剤により希釈し、分散させて、水性顔料分散液を製造することができる。
【0088】
なお、実質的に質量が変化しないとは、好ましくは混練前の混合物の仕込み量に対して混練中あるいは混練後の混練物の重さが好ましくは90質量%以上の範囲で維持されていることとする。
【0089】
この様な装置としてはヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、好ましくは顔料濃度と、顔料と樹脂からなる固形分濃度が高い状態で混練を行うため、混練物の混練状態に依存して混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは特に低粘度から高粘度まで広範囲に対応することができるためである。
【0090】
図1〜図3はプラネタリーミキサーの構成の一例を示したものである。図中符号1は撹拌槽であって、この中空円筒形の撹拌槽1は上下に略二分割されている撹拌槽1の上方部材2の上面の内側には図2に拡大図で示した様に、枠型ブレードからなる撹拌羽根4、5が回転自在に設けられている。
【0091】
そして、撹拌時には上方部材2と下方部材3とが一体化し、閉鎖系となる。撹拌槽1の上方部材2の内側には図2に拡大図で示した様に、枠型ブレードからなる撹拌羽根4、5が一つのローター6に保持されている。ローター6が回転(公転)すると、撹拌羽根4、5は同一方向に回転(自転)する。そして、図3に示した様に、ローターの公転運動とともに2本の撹拌羽根4、5がそれぞれ自転運動する、いわゆる遊星運動(プラネタリー運動)しながら撹拌槽1内部に装填された混練対象物の混練が行われる。なお図3に示したのは撹拌槽1の公転1回転における2本の撹拌羽根4、5の先端の軌跡である。
【0092】
プラネタリーミキサーにおいては、この様な撹拌羽根4、5のプラネタリー運動により、撹拌羽根4、5相互間、および撹拌羽根4、5と撹拌槽1内面との間で強力な剪断力が作用し、高度の撹拌、混練、分散作用が得られる。
なお、プラネタリーミキサーなどの閉鎖系の混練機を用いて混練すると、時間とともに負荷電流が徐々に増加し、通常30分以内に極大値に達した後、徐々に減少する。
【0093】
すなわち、混合物を所定の温度(樹脂の種類などにもよるが、例えば40〜70℃)に加温しつつ、混ぜ合わせていると、樹脂が粘ちょうとなり、顔料と混合されることにより、撹拌羽根4、5の回転に大きな負荷がかかる。このとき、撹拌羽根4、5相互間及びこれら撹拌羽根4、5と撹拌槽1との間において、材料に大きな剪断力が印加され、顔料の微粉砕が効率的に行われるとともに、顔料は材料中に、充分に分散、混合され、樹脂にて被覆される。そして、特にプラネタリーミキサーの様に閉鎖系の混練機を用いると、効果的な混練が行われるため通常30分以内に樹脂、顔料、水溶性有機溶剤がほぼ完全に混ざり合い、撹拌羽根4、5にかかる負荷が小さくなる。そのため、負荷電流が徐々に減少する。
【0094】
この様に本発明において、プラネタリーミキサーなどの閉鎖系の混練機を用いて混合を行った場合、混練機(混練羽根)の回転数を略一定にした状態では混練時間と混練機(プラネタリーミキサー)の負荷電流値との関係のグラフにおいて、1つ以上の負荷電流値の極大値が得られるという特徴が見られる。これは、略密閉系の混練機で混練することで、顔料表面に効率良く樹脂が被覆されるために生じており、混練中に樹脂の相構造の変化に起因するものと推定される。さらには、混練中に水、もしくは水と水溶性有機溶剤を添加することでも負荷電流値を調整することも可能であり、樹脂に含まれるアニオン性基もしくはカチオン性基を分散媒体(水あるいは水と水溶性有機溶剤の混合液等)側に配向させるためには効果的である。
【0095】
図4〜図6に、混練時間と負荷電流値の変化の例を示した。図4は、一般的な混練時間と負荷電流値の変化である。Aは原料の仕込みが終了し、ほぼ撹拌槽内の温度が所定の温度に達し、撹拌羽根を混練時の回転数で回転を始めた(混練の開始)点である。その後、負荷電流値は急激に増加し、極大値に達する(B点)。この状態では、樹脂が溶融状態となり、顔料等と一体化し、塊状で混練される。その後、混練が進むと、負荷電流値は減少していく。Cに達した状態で、ほぼ混練工程は終了し、希釈工程(水、水溶性溶剤)を経てDで取り出しとなり、一連の工程の終了となる。ここで、B→Cの間で、適時、水、水溶性溶剤を添加しても構わない。なお、混練機を混練時の回転数で無負荷運転した時の負荷電流値はEの破線で示した。
【0096】
図5は、負荷電流値の極大値が複数回発生するようにした場合の混練時間と負荷電流値の変化を示した図の例である。1回目の極大値B1の後、負荷電流値が低下(F)し、再び極大値B2が発生している。その後、Cまで混練を行い、希釈工程を経て、Dで取り出しを行っている。このような、極大値を複数回得るためには、Fで撹拌槽を開放状態にするか、撹拌槽内を減圧排気を行う等により、混練物内の水、水溶性溶剤を除去することで容易に行うことができる。B2後に負荷電流を低下するためには、再び水、水溶性溶剤を添加することで実施できる。
【0097】
図6は、負荷電流値の極大値が大きく、極大値Bの後、負荷電流の低下が少ない例であり、極大値B後、かなり早い時期Cで水、水溶性溶剤を添加し、混練を継続し、その後希釈工程を経て、Dで取り出しを行っている。
この様に閉鎖系で混練すると、仕込みの混合物の質量に対して混練中に混練物の質量が実質的に変化せず、仕込みと同様の組成を備えた水性顔料分散液用混練物を得ることができ、製造安定性が向上する。
【0098】
また、混練初期から顔料濃度、固形分濃度が高い状態で混練するため、混練によって加えられる剪断力によって顔料が解砕され、未分散の粗大粒子が減少する。その結果、後の工程で粗大粒子を除去する必要がなく、収率が良好となる。
なお、水溶性有機溶剤を除去する場合には、混練後に加熱、乾燥して除去することすることもできる。
【0099】
ここで記載しているエプラネタリーミキサー等での混練中には、混練物に撹拌羽根/撹拌羽根間、撹拌羽根/撹拌槽間等で剪断力が印加された時に大きな負荷電流値が観察され、印加されない場合(撹拌槽の空隙部分に撹拌羽根がある場合)は無負荷時の負荷電流値に近い電流値が観察される。従って負荷電流値は振れを持った形で混練が継続され、特に混練物粘度が高い状態ほど負荷電流値の振れ幅は大きくなる。本発明における負荷電流の極大値は、負荷電流値の振れの最大値の挙動を見て判断するものとし、極大となる負荷電流値も負荷電流の振れの最大値を指すものとする。
【0100】
(2)水性顔料分散液の製造方法
水性顔料分散液用混練物は、通常半固体状あるいは固体状の堅練品である。そこで、この水性顔料分散液用混練物を水あるいは水溶性有機溶剤と水の混合液に分散させて水性顔料分散液を製造する。なお、水性顔料分散液用混練物中の顔料は水性顔料分散液用混練物の製造時に既に解砕され、分散樹脂にて被覆されているので、水性顔料分散液を得るための分散時間が短く、製造効率が向上する。
また、本発明の水性顔料分散液用混練物は、アニオン性基を有する樹脂と塩基性化合物との相互作用により、水に対する溶解性、分散性が良好なので速やかに溶解、分散する。この様に水に速やかに分散、溶解し、これが安定に保持されることが、本発明の水性顔料分散液用混練物の大きな特徴である。
【0101】
本発明において、水溶性溶剤とは、水、あるいは水と容易に混ざり合う水溶性有機溶剤を含むものとする。ここで用いる水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0102】
分散機は、公知のものを用いることができ、例えば、メディアを用いたものでは、超音波ホモジナイザードベイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミルなどを挙げられる。又メディアを用いないものとしては、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機などが挙げられるが、これらの中でもメディアを用いた分散機は分散能力が高いため好ましい。なお分散後に必要に応じて水溶性溶剤で濃度調整を行っても良い。
【0103】
また、必要に応じて水性顔料分散液調整時に、さらにアルカリ剤、酸性剤など各種公知の添加剤を配合することができ、アルカリ剤、酸性剤を添加すると分散安定性などが向上し好ましい。
なお、用いる分散機などの種類によっては、分散機で分散(本分散)を行う前に、必要に応じて水性顔料分散液用混練物に水溶性溶剤を添加し、混合、希釈して、前記分散機で処理するのに適した粘度に調整すると好ましい(以下、この粘度調整されたものを粘度調整物と呼ぶ場合がある)。
例えばサンドミルを用いる時には、固形分濃度で10〜40質量%となる様に希釈し、十〜数百mPa・sの粘度に調整した後にサンドミルを駆動させて分散を行うと好ましい。
【0104】
本発明においては、例えば上述の撹拌槽と撹拌羽根を備えた混練機で混練を行って混練物を得た後、この撹拌槽内の混練物に水溶性溶剤を添加し、混合することにより、粘度調整を行うことができる。したがって、混練物の製造から粘度調整までをひとつの装置で連続的に行うことができ、製造効率を向上させることができる。なお、粘度調整物は、例えば必要に応じて撹拌槽から取り出して、上記分散機による分散を行って水性顔料分散液とする。
なお、撹拌槽内で所定の粘度まで調整した後、さらに撹拌槽から取り出して、水溶性溶剤と混合して粘度調整を行って粘度調整物とし、これをさらに水溶性溶剤にて分散させて水性顔料分散液とすることもできる。
【0105】
(3)インク組成物の製造方法
インク組成物は、上述の様にして得られた水性顔料分散液をさらに水溶性溶剤にて希釈して製造することができる。インク組成物中に含有される顔料濃度は2〜10質量%程度が好ましい。
【0106】
水性顔料分散液を希釈する水溶性溶剤には水溶性有機溶剤が配合されていると、インク組成物において、乾燥防止、粘度調整、濃度調整に寄与するため、好ましい。水溶性有機溶剤としては、上述の水性顔料分散液用混練物を分散するために用いるものと同様のものを例示することができる。
【0107】
また、記録媒体への浸透性を示す水溶性有機溶剤が配合されていると、インク組成物に浸透性を付与することができ、好ましい。インク組成物において、浸透性は、記録媒体へのインク組成物(顔料)の浸透性や記録媒体上でのドット径の調整を行うために必要な特性である。
【0108】
浸透性を示す水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物;プロピレングリコールプロピルエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0109】
インク組成物には、水溶性溶剤と水性顔料分散液用混練物の他に、例えば公知の添加剤などを配合することができる。
配合可能なものとしては、例えばアルカリ剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線硬化性樹脂などを例示することができる。
【0110】
本発明においては、例えば水性顔料分散液、水溶性溶剤、必要に応じて各種添加剤を加えて均一に撹拌することにより、インク組成物を製造することができる。
このインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。適用するインクジェットの方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知のものを例示することができる。
そして、このインク組成物は、これら各種のインクジェット方式に適用した場合に、極めて安定したインク吐出が可能となる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本実施例及び比較例に使用した顔料は以下のものである。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
同様に本実施例及び比較例に使用した樹脂S及びTは以下のものである。
樹脂S (C):モノマー組成比において、
スチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10 (質量比)であり、
質量平均分子量12000、酸価151mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
樹脂T (C):モノマー組成比で
スチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10 (質量比)とし、
分子量が質量平均分子量で7500、酸価150mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
【0115】
(実施例1)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。なお、プラネタリーミキサーPLM-V-50Vにおける高速時((自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)での無負荷運転を行ったときの負荷電流値は5Aであった。
【0116】
【0117】
高速への切替時のプラネタリーミキサー負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が15Aを示した。最大負荷電流値を示してから30分間、混練を継続した後、プラネタリーミキサーの負荷電流値は8Aであった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、イオン交換水を200g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに200gのイオン交換水を加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、イオン交換水を200gづつ加え、総量1000gのイオン交換水を加えながら約2時間混練した。
ついで、混練を継続しながら、イオン交換水を加える量を500g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながら総量5000gのイオン交換水を加えた。
【0118】
イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから混練物を取り出した。この混練物の固形分濃度は、38.1質量%であった。さらに取り出した混練物10kgに、ジエチレングリコール3757g、イオン交換水2380gを分散撹拌機で撹拌しながら30分間で少量づつ添加し、粘度調整物を得た。
この粘度調整物を、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて下記条件で分散を実施し、水性カーボンブラック分散液P1を得た。
【0119】
なお、分散は上記条件で、4回分散機を通す(4パス)ことで行った。
水性カーボンブラック分散液P1は、固形分濃度25.2質量%、カーボンブラック濃度18.2質量%であった。
【0120】
(実施例2)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0121】
高速への切替時のプラネタリーミキサー負荷電流値は7Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が15Aを示した。最大負荷電流値を示してから15分後、プラネタリーミキサーの負荷電流値は7.5Aに低下し安定したこの状態で混練を3時間継続して混練物を得た。
続いて、撹拌槽内の混練物に、イオン交換水を500g加え、混練を継続し、均一に混合されたことを確認し、さらに500gのイオン交換水を加え、同様に均一に混合されるまで混練し、粘度調整を行った。
【0122】
以下同様にして、イオン交換水を500gづつ加え、総量4000gのイオン交換水を加えた。
ついで、混練を継続しながら、イオン交換水を加える量を1000g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながらさらに総量4000gのイオン交換水を加えた。
イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから粘度調整物を取り出した。
取り出した粘度調整物10.00kgに、ジエチレングリコール4.00kg、イオン交換水3.29kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて下記条件で分散を実施し、顔料分散液P2を得た。
【0123】
なお、分散は上記条件で、4回分散機を通す(4パス)ことで行った。
顔料分散液P2は、固形分濃度24質量%、顔料濃度15.2質量%であった。
【0124】
(実施例3)
実施例2において、ファストゲンブルーTGRの代わりに、IRGALITE Blue 8700(Pigment Blue 15:3):チバスペシャリティーケミカルス株式会社製とすること以外は実施例1と同様にして、顔料分散液A2を得た。
このとき、プラネタリーミキサー混練時の負荷電流値は、高速での初期7Aで、その後最大14Aまで達し、混練継続に伴い徐々に低下した。
また、ビーズミルでの分散でも実施例2と同様に、4パスを問題無く実施可能であった。
顔料分散液P3の固形分濃度は23.9%で、顔料濃度は15.1%であった。
【0125】
(実施例4)
実施例3において、IRGALITE Blue 8700の代わりに、IRGALITE Blue GLVO (Pigment Blue 15:4):チバスペシャリティーケミカルス株式会社製とし、樹脂Tを樹脂Sとすること以外は実施例3と同様にして、顔料分散液P4を得た。ただし、34質量%水酸化カリウムの添加量は、1110.3gとした。
このとき、プラネタリーミキサー混練時の負荷電流値は、高速での初期7Aで、その後最大14Aまで達し、混練継続に伴い徐々に低下した。
また、ビーズミルでの分散でも実施例3と同様に、4パスを問題無く実施可能であった。
顔料分散液P4の固形分濃度は23.8質量%で、顔料濃度は15.1質量%であった。
【0126】
(実施例5)
下記組成の混合物を、容量50Lのプラネタリーミキサー PLM-V-50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0127】
プラネタリーミキサーの負荷電流値はスタート時点で6Aであったが、45分後には最大の9Aに到達した。その後徐々に減少し135分以降は5.0〜5.5Aと漸減しつつも安定した。120分後以降混練終了近くまでにジエチレングリコールの追加分6875kgを少量追加し、240分後混練を終了し、粘度調整液を得た。この粘度調整物の固形分濃度は43質量%であった。
この粘度調整物10kg、水7583g、34質量%KOH水溶液632.4gの配合で、分散撹拌機を用いて分散液化した。
この分散液を、実施例3と同様にして分散を行い顔料分散液P5を得た。
このときのビーズミルでの分散作業は良好で、条件通りに作業することが可能であった。顔料分散液P5の固形分濃度は24.9質量%、顔料濃度は15.8質量%であった。
【0128】
(実施例6)
実施例5において、IRGALITE Blue 8700の代わりに、IRGALITE Blue GLVO (Pigment Blue 15:4):チバスペシャリティーケミカルス株式会社製とし、樹脂Tを樹脂Sとすること以外は実施例5と同様にして、顔料分散液P6を得た。ただし、34質量%水酸化カリウムの添加量は、636.5gとした。
このとき、プラネタリーミキサー混練時の状況は、実施例5とほぼ同様な挙動を示し、高速での初期負荷電流値は6Aであり、その後最大値9Aを示した後徐々に減少して、5〜5.5Aで安定した。
また、ビーズミルでの分散状況は、実施例5と同様であった。
顔料分散液P6の固形分濃度は23.7質量%で、顔料濃度は15.7質量%であった。
【0129】
(実施例7)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0130】
高速への切替時のプラネタリーミキサーの負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が20Aを示した。最大負荷電流値を示してから1時間、混練を継続した後、プラネタリーミキサーの負荷電流値は15Aであった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、イオン交換水を200g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに200gのイオン交換水を加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、イオン交換水を200gづつ加え、総量1000gのイオン交換水を加えた。
ついで、混練を継続しながら、イオン交換水を加える量を500g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながら総量4000gのイオン交換水を加えた。
イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから生成物を取り出した。さらに取り出した生成物10kgに、ジエチレングリコール4.39kgイオン交換水5.43kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加し、粘度調整物を得た。
【0131】
なお、分散は上記条件で、4回分散機を通す(4パス)ことで行った。
顔料分散液P7は、固形分濃度20質量%、顔料濃度17質量%であった。
【0132】
(実施例8)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0133】
高速への切替時のプラネタリーミキサーの負荷電流値は7Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が12Aを示した。最大負荷電流値を示してから30分後、プラネタリーミキサーの負荷電流値は8Aに低下し安定したこの状態で混練を3時間継続して混練物を得た。
続いて、撹拌槽内の混練物に、混練を継続しながらイオン交換水を13g/分で1000gのイオン交換水を加えた。その後、混練を継続しながら50g/分で4800gのイオン交換水を加えた。さらに、1500gのイオン交換水を加え、粘度調整物とし、取出した。
取り出した粘度調整物10.00kgに、ジエチレングリコール3514.4g、イオン交換水2184.8gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、ビーズミル (浅田鉄工製ナノミル NM-G2L)にて下記条件で分散を実施し、顔料分散液P8を得た。
【0134】
なお、分散は上記条件で、1回分散機を通す(1パス)ことで行った。
顔料分散液P8は、固形分濃度25.4質量%、顔料濃度16.1質量%であった。
【0135】
(実施例9)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0136】
このとき、プラネタリーミキサー混練時の負荷電流値は、初期7Aで、その後最大14Aまで達し、混練継続に伴い徐々に低下した。
続いて、撹拌槽内の混練物に、混練を継続しながらイオン交換水を20g/分で1000gのイオン交換水を加えた。その後、混練を継続しながら80g/分で8000gのイオン交換水を加えた。さらに、2000gのイオン交換水を加え、粘度調整物とし、取出した。
取り出した粘度調整物10.00kgに、ジエチレングリコール4779g、イオン交換水1051gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、ビーズミル (浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて実施例8と同一条件で分散を実施し、顔料分散液P9を得た。
顔料分散液P9の固形分濃度は25.3%で、顔料濃度は17.3%であった。
【0137】
(実施例10)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0138】
このとき、プラネタリーミキサー混練時の負荷電流値は、初期7Aで、その後最大12Aまで達し、混練継続に伴い徐々に低下した。
続いて、撹拌槽内の混練物に、混練を継続しながらイオン交換水を20g/分で1000gのイオン交換水を加えた。その後、混練を継続しながら80g/分で8000gのイオン交換水を加えた。さらに、2000gのイオン交換水を加え、粘度調整物とし、取出した。
取り出した粘度調整物10.00kgに、ジエチレングリコール3000g、イオン交換水1600gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて実施例8と同一条件で分散を実施し、顔料分散液P10を得た。
顔料分散液P10の固形分濃度は24.9%で、顔料濃度は14.7%であった。
【0139】
(比較例1)
実施例1で34質量%水酸化カリウム水溶液の替わりに、純水を440gとして、実施例1と同様に容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0140】
高速への切替時のプラネタリーミキサー負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続したがプラネタリーミキサーの負荷電流値は5〜6Aであり最大負荷電流値を示すことが無く30分間、混練を継続した。このときの内容物は、塊状とはならず、粉体状であった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、イオン交換水を250g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに250gのイオン交換水を加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、イオン交換水を250gづつ加え、総量1000gのイオン交換水を加えながら約2時間混練した。
混練を継続しながら、イオン交換水を加える量を500g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながらさらに総量5000gのイオン交換水を実施例1とほぼ同じ時間をかけて加えた。
【0141】
イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから内容物を取り出した。内容物は、樹脂、カーボンブラックともに未分散状態で、粒子形状が認められた。また、この内容物の固形分を測定したところ、39.0質量%であった。
取り出した内容物10.00kgに、ジエチレングリコール6000g、イオン交換水5844g、34質量%水酸化カリウム水溶液398.8gを分散撹拌機で撹拌しながら30分間で少量づつ添加して、分散させ分散液を得た。
【0142】
この分散液を、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて実施例1と同一条件で分散の実施を試みたが、1パス目で、分散機への送液圧力が上がり、送液量を低下させても送液圧力が適正圧力まで下げられず本分散できなかった。
また、分散攪拌機で攪拌した分散液を1昼夜放置したところ、容器底部にかなりの量の沈降物が発生していた。
【0143】
(比較例2)
実施例1でカーボンブラックを三菱化学製#45Lの代わりに三菱化学製#960にし、34質量%水酸化カリウム水溶液の替わりに、純水を440gとして、実施例1と同様に容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0144】
高速への切替時のプラネタリーミキサー負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続したがプラネタリーミキサーの負荷電流値は5〜6Aであり最大負荷電流値を示すことが無く30分間、混練を継続した。このときの内容物は、塊状とはならず、粉体状であった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、ジエチレングリコール(DEG)を250g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに250gのDEGを加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、DEGを250gづつ加え、総量1000gのDEGを加えながら約2時間混練した。このときのプラネタリーミキサーの負荷電流値はやや増加し、8Aを示した。
混練を継続しながら、DEGを加える量を500g/回にし上記と同様に均一に混合されたことを確認しながらさらに総量5000gのDEGを実施例2とほぼ同じ時間をかけて加えた。
DEGの添加が終了した後、プラネタリーミキサーから内容物を取り出した。内容物は、樹脂、カーボンブラックともに未分散状態で、粒子形状が認められた。また、この内容物の固形分を測定したところ、38.9質量%であった。
【0145】
取り出した内容物10.00kgに、ジエチレングリコール120g、イオン交換水5828g、34質量%水酸化カリウム水溶液398gを分散撹拌機で撹拌しながら30分間で少量づつ添加して、分散させ分散液を得た。
この分散液を、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて実施例1と同一条件で分散の実施を試みたが、1パス目で、分散機への送液圧力が上がり、送液量を40g/minまで低下させて分散実施した。2パス目以降は、通常の200g/minで分散実施し、水性カーボンブラック分散液R2を得た。
【0146】
(比較例3)
実施例2において、34質量%水酸化カリウム水溶液の替わりにイオン交換水とすること以外は、実施例2と全く同様にしてプラネタリーミキサーを用いて、粘度調整物を得た。
このプラネタリーミキサーでの混練時の状態は、実施例2と異なり、明確な負荷電流値の変化が無く、7〜8Aで推移した。
得られた粘度調整物10kgにジエチレングリコール4kg、34質量%水酸化カリウム水溶液551.5g、イオン交換水2.93kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、実施例2と全く同様にしてビーズミルで分散を実施したが、分散1パス目において、分散機への送液圧力が上昇し、200ml/minでは送液できないため、50ml/minまで送液量を低下させて行った。
2パス目以降からは、200ml/minで送液することが可能であり、4パスまで実施し、顔料分散液R3を得た。
顔料分散液R3の固形分濃度は23.5質量%で、顔料濃度は14.9質量%であった。
【0147】
(比較例4)
実施例7と同様に下記組成の混合物(実施例7で34質量%KOH水溶液をイオン交換水とした)を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0148】
高速への切替時のプラネタリーミキサーの負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が6Aを示した。その後混練を実施してから1時間、混練を継続した後、プラネタリーミキサーの負荷電流値に変化は無かった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、イオン交換水を200g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに200gのイオン交換水を加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、イオン交換水を200gづつ加え、総量1000gのイオン交換水を加えた。
ついで、混練を継続しながら、イオン交換水を加える量を500g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながら総量4000gのイオン交換水を加えた。
【0149】
イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから生成物を取り出した。さらに取り出した生成物10kgに、ジエチレングリコール4390g、イオン交換水5208kg、34質量%水酸化カリウム溶液222.4gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加し、粘度調整物を得た。
この粘度調整物を、実施例7と同様な条件でビーズミル (浅田鉄工製ナノミルNM-G2L)にて分散を実施したところ、1パス目において、ビーズミルへの送液圧力が上昇し200ml/minでは送液できないため、50ml/minまで送液量を低下させて行った。2パス目以降からは、200ml/minで送液することが可能であり、4パスまで実施し、顔料分散液R4を得た。
顔料分散液R4は、固形分濃度19.8質量%、顔料濃度17.1質量%であった。
【0150】
(比較例5)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、実施例7と同様に混練を行った。
【0151】
プラネタリーミキサー回転数を高速へ切替時のプラネタリーミキサーの負荷電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大負荷電流値が8Aを示した。その後混練を実施してから1時間、混練を継続した後、プラネタリーミキサーの負荷電流値に変化は無かった。この様にして得た撹拌槽内の混練物に、ジエチレングリコール(DEG)を200g加えて混練を継続し、均一に混合されたことを確認して、さらに200gのDEGを加え、同様に均一になるまで混合した。以下同様にして、DEGを200gづつ加え、総量1000gDEGを加えた。
【0152】
さらに混練を継続しながら、DEGの加える量を500g/回にし、上記と同様に均一に混合されたことを確認しながら総量4000gのDEGを加えた。
この混練物10kgにDEG1385g、イオン交換水9818g、34質量%水酸化カリウム溶液305.6gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加し、粘度調整物を得た。
この粘度調整物を、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミル NM-G2L)にて実施例7と同一条件で分散を実施し、顔料分散液R5を得た。
顔料分散液R5の固形分濃度は19.9質量%、顔料濃度は16.2質量%であった。
【0153】
(比較例6)
実施例8において、34質量%水酸化カリウム水溶液の替わりにイオン交換水とすること以外は、実施例8と全く同様にしてプラネタリーミキサーを用いて、粘度調整物を得た。
このプラネタリーミキサーでの混練時の状態は、実施例8と異なり、明確な負荷電流値の変化が無く、7〜8Aで推移した。
得られた粘度調整物10kgにジエチレングリコール3514.4g、34質量%水酸化カリウム水溶液561.2g、イオン交換水1749.2gを分散撹拌機で撹拌しながら少量づつ添加して、分散させた。さらに、実施例8と全く同様にしてビーズミルで分散を実施したが、分散機への送液圧力が上昇し、500ml/minでは送液できないため、30ml/minまで送液量を低下させ分散を実施し、顔料分散液R6を得た。
顔料分散液R6の固形分濃度は25.1質量%で、顔料濃度は15.9質量%であった。
【0154】
(比較例7)
下記組成の混合物を、容量50Lのプラネタリーミキサー PLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0155】
プラネタリーミキサーの負荷電流値は高速開始時で6Aであった。高速での混練を30分間実施し、その後ジエチレングリコールを、50g/分で2000g加えた。その間の負荷電流値は、8Aを示し安定した。この状態で1時間混練を継続後、ジエチレングリコール/イオン交換水=3000g/3500gの混合液を100g/分で加えた。混合液の添加終了後、30分間混練を継続し、粘度調整物を取出した。
【0156】
この粘度調整物10kgに、ジエチレングリコール1903.1g、イオン交換水4200g、34質量%KOH水溶液510.6gを、分散撹拌機を用いて少量づつ添加し分散液化した。
得られた分散液を実施例2と全く同様にしてビーズミルで分散を実施したが、分散機への送液圧力が上昇し、500ml/minでは送液できないため、50ml/minまで送液量を低下させ分散を実施し、顔料分散液R7を得た。
顔料分散液R7の固形分濃度は25.3質量%、顔料濃度は17.3質量%であった。
【0157】
(比較例8)
実施例10の34質量%水酸化カリウム水溶液をイオン交換水とした下記組成の混合物を、容量50Lのプラネタリーミキサー PLM-V-50V (株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm,公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm,公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0158】
プラネタリーミキサーの負荷電流値は高速開始時で6Aであった。高速での混練を30分間実施し、その後ジエチレングリコールを、50g/分で2000g加えた。その間の負荷電流値は、8Aを示し安定した。この状態で1時間混練を継続後、ジエチレングリコール/イオン交換水=3000g/3500gの混合液を100g/分で加えた。混合液の添加終了後、30分間混練を継続し、粘度調整物を取出した。
この粘度調整物10kgに、ジエチレングリコール960g、イオン交換水3833g、34質量%KOH水溶液635.6gを、分散撹拌機を用いて少量づつ添加し分散液化した。
【0159】
得られた分散液を実施例10と全く同様にしてビーズミルで分散を実施したが、分散機への送液圧力が上昇し、500ml/minでは送液できないため、50ml/minまで送液量を低下させ分散を実施し、顔料分散液R8を得た。
顔料分散液R8の固形分濃度は26.5質量%で、顔料濃度は15.7質量%であった。
上記実施例、比較例で作製した分散体について、混練時の負荷電流値の極大値、最小値及び混練時の回転数での無負荷電流値を表3に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
(水性顔料分散液の評価)
上述の様にして得られた実施例、比較例の水性顔料分散液について、それぞれ顔料濃度が14.5質量%になるように、イオン交換水を加えて濃度調整を行った。
顔料濃度を調整した水性カーボンブラック分散液について、マイクロトラックUPA粒度分析計(Leeds & Northrup社製)で粒径測定を実施した。その際、粒径測定サンプルは粒径測定可能な濃度となるように、イオン交換水で適宜希釈した。
【0162】
また、調整した水性顔料分散液をスライドグラス上に極少量採取し、スライドグラス上の分散液滴に空気を巻き込まないようにカバーグラスを乗せ、分散液膜厚を一定にした状態で、200倍の倍率で透過光による顕微鏡観察を行い、粗大粒子の観察を行った。
【0163】
顔料濃度の調整を行った分散液について、スクリュー管等のガラス容器に密栓し、60℃の恒温器で1週間の加熱試験を行い、加熱試験前後の粒径変化及び沈殿の有無等の分散液状態を目視で観察することにより、分散安定性の評価を実施した。
結果を表4に示した。
【0164】
【表4】
【0165】
(分散判定方法)
○:顕微鏡観察において1〜5μmの粗大粒子が数個、視野に観察される。
△:顕微鏡観察において1〜5μmのの粗大粒子が数十個以上、5μm以上の粒子が数個、視野に観測される。
×:5μm以上の粗大粒子が数十個以上視野に観察される。
××:分散不可。
【0166】
(沈降物量)
○:沈降物は認められない
△:底部によどみがある(沈降物はない)
× :沈降物がはっきりと確認できる
【0167】
同一顔料種(色)内での分散顔料の平均粒径、顕微鏡観察結果比較より、本発明に係る実施例においては、負荷電流において混練時に明確な極大値を示さない比較例の方法と比較して、顕著に粒径も細かくすることができ、粗大粒子についてはその残存量を少なくすることができることが判った。ただし、シアンの分散粒径では、顔料を同一製品とした場合は前述の通りの結果を示す(実施例2と比較例3の比較)が、顔料が他品番となる場合(実施例3、4、5)は、一見本発明の効果は発揮されていない結果となっているが、これは使用する顔料そのものの粒径によるものと推定される。しかし、粗大粒子の発生は、比較例以上の効果を発揮している。
【0168】
分散液を一定温度で保存し、平均粒径変化、沈降物の有無を観察した結果では同一顔料種(色)内での比較で、本発明に係る実施例においては、負荷電流において混練時に明確な極大値を示さない比較例の方法と比較して、加熱試験後の平均粒径の増加が少ないことは明白であり、また比較例では沈降物の発生が認められることに対し、実施例では沈降物の発生がないことから、本発明の係る実施例ではより分散安定性が良好であることが判った。
【0169】
(インク組成物の調整)
上記実施例、比較例で得られた分散液を下記配合にて調整し、それぞれの色調によりおおよそ3〜5質量%のインク組成物を作製した。配合表を表5に示す。
【0170】
【表5】
【0171】
(印字試験)
得られた表5のインク組成物を、ENCAD社製NOVAJET PROに搭載し、印字試験を実施した。
具体的には、A4の印字用紙(ユポインクジェット専用紙)4枚に、ベタ印字と細線印字を行い、インクの吐出状態を確認した。
結果を表6に示した。
【0172】
【表6】
【0173】
◎:全ての印字サンプルで均一なベタ印字、細線部でも吐出不良、印字位置ズレ無し。
○:全ての印字サンプルで均一なベタ印字、細線部では吐出不良は無いが、印字位置ズレが見られる。
△:初期印字では問題無いが、印字途中より吐出不良発生。
×:初期より吐出不良による濃度ムラがベタ印字見られる。細線部でも初期より吐出不良による印字抜けが顕著。
【0174】
この表6の結果より、本発明の実施例では初期印字では全て問題無い画像が得られており、これに対し比較例では、全て初期印字からインクの吐出が不安定であり、インクの吐出安定性で大きな差が発生していることから、本発明実施例が格段に優れた吐出安定性があることが判る。
【0175】
【発明の効果】
少なくとも水に溶解または自己分散可能な樹脂、及び顔料を含む混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を製造する際、混練機に付与するエネルギーに少なくとも1回以上の極大値を持つ条件とすることを特徴とする水性顔料分散液用混練物の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラネタリーミキサーの構成の一例を示した斜視図。
【図2】 プラネタリーミキサーの一部拡大図。
【図3】 プラネタリーミキサーにおける撹拌羽根の軌跡を示した説明図。
【図4】 混練時間と負荷電流値の変化の例(極大値が一つの場合)
【図5】 混練時間と負荷電流値の変化の例(極大値が複数の場合)
【図6】 混練時間と負荷電流値の変化の例(極大値が一つの場合)
【符号の説明】
1…撹拌槽
2…撹拌槽の上部
3…撹拌槽の下部
4及び5…撹拌羽根
6…ローター
A…混練開始、
B、B1、B2…負荷電流値が極大値を示した位置、
C…水、水溶性溶剤等の添加開始、
D…混練物もしくは顔料分散液取り出し
E…混練時の回転数での無負荷運転時の負荷電流値
F…負荷電流値が極大値が複数ある場合の極小位置
Claims (17)
- 少なくとも水に溶解又は自己分散可能な樹脂、顔料、水性顔料分散液において乾燥防止剤となる水溶性有機溶剤を含む混合物を配合し、混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を製造する方法において、混練機の負荷電流(I)を、混練機の剪断速度(v)で除した値(I/v)が時間と共に増加した後、減少するように混合物が混練されることを特徴とする水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記水性顔料分散液において乾燥防止剤となる水溶性有機溶剤は、多価アルコール類である請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 前記多価アルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオールからなる群から選択される一つまたは二つ以上の化合物である請求項2に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 混練機の負荷電流(I)を、混練機の剪断速度(v)で除した値(I/v)が時間と共に増加した後、30分以内に減少するように混合物が混練される請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記の混練機の負荷電流(I)を、混練機の剪断速度(v)で除した値(I/v)が極大値となるときの混練機のI/v値が、混練機を無負荷状態で作動させたときのI/v値の1.6倍を越える請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記樹脂が少なくともアニオン性基を有する樹脂である請求項1〜5のいずれか1項記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記混練時に、少なくともアニオン性基を有する樹脂、顔料、水性顔料分散液において乾燥防止剤となる水溶性有機溶剤に加えて、塩基性化合物を含む混合物を混練する請求項6に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記塩基性化合物は、混練する前に、混合物に配合する他の配合成分とともに一括混合して混合物としてから、該混合物を混練する請求項7に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 前記水性顔料分散液用混練物中の樹脂/顔料の質量比率が1/20〜2/1である請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記樹脂のガラス転移点が90℃以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載の水性顔料混練物の製造方法。
- 前記混練に用いる混合物の固形分比率は60〜80質量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法において、撹拌槽と撹拌羽根を有し、撹拌槽が略密閉構造となる混練機を用いて混練する、水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 前記混練機がプラネタリーミキサーである請求項12記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法によって水性顔料分散液用混練物を得る工程と、当該水性顔料分散液用混練物を水溶性溶剤中に分散させて、水性顔料分散液を得る工程とを有する水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項12又は13に記載の水性顔料分散液用混練物の製造方法によって、撹拌槽内で水性顔料分散液用混練物を製造する工程と、該撹拌槽内の前記水性顔料分散液用混練物に水溶性溶剤を加えて、該撹拌槽内で前記水性顔料分散液用混練物の粘度を調整する工程とを有する請求項14記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項14又は15に記載の水性顔料分散液の製造方法において、前記水性顔料分散液用混練物を、前記水溶性溶剤中に、メディアを用いた分散機、衝突型分散機及び超音波分散機からなる分散機群から選ばれる少なくとも一つの分散機を用いて分散させることを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項14〜16のいずれか一項に記載の水性顔料分散液の製造方法によって得られた水性顔料分散液を前記水溶性溶剤で希釈してインク組成物を製造するインク組成物の製造方法。
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