JP4339947B2 - 製本方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、セット性が良くて断裁適性もあるため、高速生産性に優れる製本用接着剤を用いた製本方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製本用接着剤としては、にかわ、ゼラチン系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト接着剤等が用いられている。にかわ、ゼラチン系接着剤やエマルション系接着剤は、耐熱性に優れるが、高速生産性に劣る。他方、ホットメルト接着剤は、高速生産性に優れるが、耐熱性に劣る。
【0003】
特開平3−239781号公報には、にかわやゼラチン系接着剤の高速生産性を高めるために、これらと反応する硬化剤を併用するようにした2液反応硬化タイプの製本用接着剤が提案されている。しかし、このものは、断裁適性の点での問題が残っており、高速生産性が未だ十分ではない。
以上に対し、たとえば、特開平4−309515号公報には、反応型ホットメルト接着剤と硬化促進剤とを組み合わせる方法が提案されている。この反応型ホットメルト接着剤は、耐熱性は勿論、耐水性や耐湿性に優れ、しかも、セット性や断裁適性もほどほど有する。しかし、高速生産性についてはより一層の向上が望まれる。また、この反応型ホットメルト接着剤を用いて接着した製品は、湿気硬化が未完結のために、当日出荷の検品時に強度が低いという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、上記反応型ホットメルト接着剤の長所を生かしながら、その高速生産性をより高めた製本用接着剤を用いた製本方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために、反応型ホットメルト接着剤に他の接着剤を組み合わせることによって、高速生産性を高めることを考えた。そして、他の接着剤の種類について鋭意検討し、実験を重ねた結果、水系接着剤を用いると、高速生産性が高まることを確認して、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明にかかる製本方法は、重ね合わせた複数の紙葉と表紙とを貼り合わせて製本するにあたり、製本用接着剤がウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤の組み合わせからなり、これらウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤のうちのいずれか一方を前記複数の紙葉の貼り合わせ面に塗布するとともに、他方を前記表紙の貼り合わせ面に塗布することを特徴とする。
なお、以下では、説明の便宜上、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤の組み合わせからなる製本用接着剤を「本発明にかかる製本用接着剤」あるいは「本発明の製本用接着剤」と称することがある。
【0007】
【発明の実施の形態】
〔製本用接着剤〕
本発明にかかる製本用接着剤は、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤の組み合わせからなり、重ね合わせた複数の紙葉と表紙とを貼り合わせて製本するのに用いられる。
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤は、製本用接着剤の主剤として、紙葉と表紙とを貼り合わせて、高い接着性を発揮するとともに、耐熱性、耐水性等の耐久性を高める成分である。
【0008】
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤については、特に限定はないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリオレフィンポリオールから選ばれた少なくとも1種の末端に水酸基を有するポリオールと、ポリイソシアネートとの反応で得られたウレタンプレポリマーが好ましく、残存するイソシアネート基を有することで、湿気硬化反応を行い、3次元架橋構造が得られるようになる。したがって、上述した耐熱性、耐水性等の耐久性が良好となる。
【0009】
上記ポリオールとしては、特に限定はないが、たとえば、ポリエチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリメチルペンタンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンドデカンジオネート、ポリ−ε−カプロラクトンオール等のポリエステルポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリブタジエンポリオールおよびその水素添加物等の炭化水素鎖ポリオール;グリコール成分とジフェニルカーボネート等のエステル交換反応で製造されるポリオール等のポリカーボネートポリオール等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。これらのうちでも、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールのうちの少なくとも1種は、結晶性を有し、製本用接着剤を使用した時に初期の凝集力が大きく、高速生産性に優れるようになるため、好ましい。
【0010】
上記ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基をポリイソシアネート分子の末端に有するものが好ましく、その種類については特に限定はないが、たとえば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの液状変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0011】
ポリオールとポリイソシアネートの反応については、一般的には、−NCO/−OHの比率が2/1(モル比)が好ましく、通常モル比1.1〜2.5の範囲でコントロールされる。たとえば、ポリイソシアネートの添加量が過剰になると(たとえば、モル比2.5以上)、結晶性が低下し、ホットメルト接着剤としての初期凝集力低下に伴うセット性の低下が著しくなることが多い。さらに、加熱溶融時にミストが発生し、労働安全上好ましくない。また、長時間加熱溶融することが多いホットメルト接着剤では、溶融粘度の挙動が安定せず、ゲル化を引き起こしたりすることがある。他方、ポリオールが過剰になると(たとえば、モル比1.1以下)、使用後の湿気硬化反応が遅くなり、所望の時間以内に反応を完結させることが困難になるおそれがある。また、粘度が高くなって、塗布しづらくなる。このように、モル比1.1〜2.5を外れると、耐熱性、耐水性、接着性等が損なわれるおそれがある。
【0012】
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤は、通常、原料として室温付近では、固体の熱可塑性材料を使用しているため、軟化点以上の温度で溶融させる。したがって、反応に際しては、軟化点以上の温度、好ましくは70〜110℃で、2〜6時間反応させるとよい。
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤は、硬化促進剤を含有していてもよい。このような硬化促進剤としては、第3級アミン等の含窒素化合物を挙げることができ、湿気硬化反応を促進し、加熱安定性を向上させる。第3級アミンとしては、たとえば、下記一般式(1)で示される化合物を挙げることができる。
【0013】
【化1】
【0014】
(但し、X、YおよびZのうちの少なくとも1種は、下記一般式(2)で示される基であり、それ以外の基はアルキル基である。)
【0015】
【化2】
【0016】
(但し、nは、1〜10の整数であり、R1およびR2は、水素原子および/またはアルキル基である。)
上記第3級アミンとしては、特に限定はないが、モルホリン系化合物が好ましく、たとえば、ビス(2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)−(2−(4−モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)−(2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2−(4−モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2−メチル−4−モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2−(2−エチル−4−モルホリノ)エチル)アミン等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0017】
硬化促進剤の配合量については、ウレタンプレポリマー100重量部に対し、好ましくは硬化促進剤0.01〜5.0重量部、さらに好ましくは0.1〜2.0重量部である。硬化促進剤の配合量が0.01重量部未満であると、湿気硬化反応を促進する硬化が十分に得られないおそれがある。他方、硬化促進剤の配合量が5.0重量部を超えると、ゲル化するおそれがある。
水系接着剤
水系接着剤は、主剤であるウレタン系反応型ホットメルト接着剤の湿気硬化反応を促進させてセット性を向上させると同時に、ウレタン系ホットメルト接着剤から得られる接着剤被膜の紙に対する接着性、特に、貼り合わせた直後の接着性を高めて断裁性を大いに向上させることにより、高速生産性を向上させる作用を有する。
【0018】
水系接着剤としては、特に限定はなく、たとえば、カルボキシル基を有する合成樹脂エマルション接着剤、ポリビニルアルコールまたはHEC(ヒドロキシエチルセルロース)等を保護コロイドとする合成樹脂エマルション接着剤、水酸基を有する合成樹脂エマルション接着剤、メチロールアミド基を有する合成樹脂エマルション接着剤、エポキシ基および/またはカルボニル基を有する合成樹脂エマルション接着剤、アミノ基を有する合成樹脂エマルション接着剤等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0019】
上記カルボキシル基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸を、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン等と乳化重合して得られるエマルション接着剤を挙げることができる。これらのうちでも、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とする単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマルション接着剤が好ましく、後述のEVA系エマルション接着剤や、酢酸ビニル系エマルション接着剤と併用してもよい。カルボキシル基を有する合成樹脂エマルション接着剤の市販品としては、たとえば、旭化成工業社製の「ポリトロンA120」、ローム・アンド・ハース社製の「プライマルLC−40」等を挙げることができる。
【0020】
上記ポリビニルアルコールまたはHEC等を保護コロイドとする合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、酢酸ビニル系エマルション接着剤、酢酸ビニル・(メタ)アクリル系エマルション接着剤、エチレン・酢酸ビニル(EVA)系エマルション接着剤等の合成樹脂をポリビニルアルコールの保護コロイドでエマルション化したもの等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。これらのうちでも、酢酸ビニル系エマルション接着剤、EVA系エマルション接着剤が好ましく、前述のアクリル系エマルション接着剤と併用してもよい。ポリビニルアルコールまたはHEC等を保護コロイドとする合成樹脂エマルション接着剤の市販品としては、たとえば、昭和高分子社製の「ポリゾールS−50」等を挙げることができる。
【0021】
上記水酸基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール等の水酸基および炭素−炭素2重結合基を有する単量体を乳化重合させて得られるエマルション接着剤等を挙げることができる。
上記メチロールアミド基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、メチロール化アクリルアミド、アルコキシメチルアクリルアミド等のメチロールアミド基および炭素−炭素2重結合基を有する単量体を乳化重合させて得られるエマルション接着剤等を挙げることができる。
【0022】
上記エポキシ基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシシルエーテル等のエポキシ基および炭素−炭素2重結合基を有する単量体を乳化重合させて得られるエマルション接着剤等を挙げることができる。
上記アミノ基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基および炭素−炭素2重結合基を有する単量体を乳化重合させて得られるエマルション接着剤等を挙げることができる。アミノ基を有する合成樹脂エマルション接着剤の市販品としては、たとえば、ICIレジン社製の「ネオクリルXA−5100」等を挙げることができる。
【0023】
上記カルボニル基を有する合成樹脂エマルション接着剤としては、たとえば、特開平1−234416号公報に記載のジアセトンアクリルアミドやアクロレイン等のカルボニル化合物をビニルモノマーを共重合させて、ヒドラジン化合物を含むものが挙げられる。カルボニル基を有する合成樹脂エマルション接着剤の市販品としては、たとえば、三菱油化バーディッシュ社製の「アクロナール2741D」等を挙げることができる。
【0024】
水系接着剤は、上記ホットメルト接着剤の硬化促進剤を含有してもよい。水系接着剤に含まれるホットメルト接着剤の硬化促進剤としては特に限定はないが、たとえば、上述の第3級アミン等のアミン化合物、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、ヒドラジン化合物等の含窒素化合物を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0025】
上記アミン化合物としては、上記一般式(1)で示される化合物、ポリエチレンイミン等を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。上記アミン化合物の市販品としては、日本触媒社製の「エポミシSP−018」を挙げることができる。
上記オキサゾリン基含有化合物としては、たとえば、2−オキサゾリン基を分子内に有するポリマー等を挙げることができ、その市販品としては、たとえば、日本触媒社製の「エポクロスWS−500」等を挙げることができる。
【0026】
上記カルボジイミド基含有化合物としては、たとえば、カルボジイミド基を分子内に有するポリマー等を挙げることができ、その市販品としては、たとえば、日清紡社製の「カルボジライトV−02−L2」等を挙げることができる。
上記ヒドラジン化合物としては、たとえば、特開平1−234416号公報の10頁に記載の化合物を挙げることができ、その市販品としては、たとえば、三菱油化バーディシュ株社製の「アクロナール2741D」等を挙げることができる。
【0027】
上記硬化促進剤の配合割合については、特に限定はないが、水系接着剤100重量部中、好ましくは10〜30重量部である。硬化促進剤の配合割合が10重量部未満であると、硬化促進効果が得られにくなるおそれがある。他方、硬化促進剤の配合割合が30重量部を超えると、水系接着剤の安定性が低下するおそれがある。
製本用接着剤
本発明にかかる製本用接着剤は、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤と水系接着剤とを組み合わせた、いわゆる、ハネムーン型接着剤であり、貼り合わせた直後の接着性が高く、高速生産性に優れる。
【0028】
ウレタン系反応型ホットメルト接着剤と水系接着剤との配合比率については、特に限定はなく、適宜設定される。
本発明の製本用接着剤は、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤および/または水系接着剤中に、溶剤、可塑剤、樹脂、充填剤、顔料、硬化剤、防腐剤、防カビ剤、増粘剤、消泡剤、接着増強剤等を適宜含むものでもよい。
【0029】
本発明の製本用接着剤は、以下に詳述する製本方法で好ましく用いられるが、他の製本方法で用いられても良い。
〔製本方法〕
本発明にかかる製本方法は、上記製本用接着剤のウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤のうちのいずれか一方を前記複数の紙葉の貼り合わせ面に塗布するとともに、他方を表紙の貼り合わせ面に塗布し、紙葉と表紙とを貼り合わせて製本する方法である。
【0030】
以下、この製本方法を図1および図2を参照しながら、詳しく説明する。
図1は製本方法の各工程を模式的に示し、図2は、紙葉と表紙とを貼り合わせる工程を拡大して示す。図2において、製本用接着剤5は、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3と水系接着剤4との2液型であり、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3は、本文(重ね合わせた複数の紙葉)1の背部に塗布され、水系接着剤4は表紙における本文の背部に当たる部分の表面に塗布されている。ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3は、図1に見るように、タンク8に溜められており、ローラ7,7で塗布されるようになっている。水系接着剤4は、スプレー用ノズル(図示省略)により塗布されるようになっている。もっとも、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3および水系接着剤4の塗布方法については、上記方法に限定されない。
【0031】
図1に見るように、本文1が順次供給されるのと並行して、表紙2が順次供給されている。本文1には、必要に応じて、接着剤塗布に先立ち、背けずりが行われる。本文1が折り丁である場合には、折り丁の背に刃物でスリットを開けるようにしてもよい。接着剤塗布工程では、本文1の貼り合わせ面(ここでは背部)11に製本用接着剤5のウレタン系反応型ホットメルト接着剤3が塗布される(a)。他方、これとは別に、表紙2の貼り合わせ面(ここでは背となる部分の内側)21に、製本用接着剤5の水系接着剤4が塗布される(b)。そして、図1の(c)および図2に見るように、本文1の塗布面と表紙2の塗布面とが合わさるようにして、複数の紙葉1と表紙2とを圧着する。これにより、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3の硬化反応が促進され、本文1と表紙2とが製本用接着剤5を介して、直ちに、しかも、強く接着される。次に、プレス手段9において背固めを行う(d)。背固めを終えた本6は、そのままで仕上りとなるが、または、必要に応じて、水系接着剤4を塗布した表紙2の貼り合わせ面21を遠赤外線ヒーター等で半乾燥させる等の所望の処理を施して仕上げられる(e)。
【0032】
上記説明では、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3を本文1の貼り合わせ面11に塗布し、水系接着剤4を表紙2の貼り合わせ面21に塗布していたが、逆に、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3を表紙2の貼り合わせ面21に塗布し、水系接着剤4を本文1の貼り合わせ面11に塗布してもよい。
なお、本発明の製本用接着剤および製本方法は、無線綴じに利用するときにも有用であるが、他の綴じ方、たとえば、糸綴じ等にも通用できるものである。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。以下で、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
−実施例1−
複数の紙葉(本文)1(縦120mm×横100mmのアート紙を厚さ14mmに重ねたもの)と表紙2とを用意した。図1に示した操作を行って、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤3(粘度:3000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.30%、硬化促進剤としての第3級アミン含有、新田ゼラチン社製のARX−1233A)を、スペーサー(厚み0.8mm)を用いて表紙2の貼り合わせ面21に塗布した(塗布面積15×120mm)。EVA系エマルション接着剤(スミカフレックス400、住友化学工業社製)と硬化促進剤(オキサゾリン基含有化合物、日本触媒社製のエポクロスWS−500)とを配合した水系接着剤4(EVA系エマルション接着剤:硬化促進剤=100:10)を複数の紙葉1の貼り合わせ面11に塗布した。次いで、貼り合わせ面11および21を貼り合わせて、製本物(1)を得た。
【0034】
貼り合わせてから1分後に、この製本物の縦が95mmになるように上部および下部を裁断し、本文のばらけの有無を観察した。また、貼り合わせてから、5、15、30、60分後および2日後に、複数の紙葉のうち、3または4枚の任意のページについて、引き抜き強度(kgf/9cm)を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0035】
−実施例2〜6−
実施例1において、水系接着剤を表1に示す組成に変更する以外は、実施例1と同様にして、製本物(2)〜(6)を得た。得られた製本物(2)〜(6)について、実施例1と同様にして、裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0036】
−比較例1−
実施例1において、水系接着剤を用いない以外は、実施例1と同様にして、比較製本物(1)を得た。得られた比較製本物(1)について、実施例1と同様にして、裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0037】
−比較例2−
実施例1において、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤として用いたARX−1233Aを新田ゼラチン社製のARX−1233(粘度:3000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.3%、第3級アミンを含有しない)に変更し、水系接着剤を用いない以外は、実施例1と同様にして、比較製本物(2)を得た。得られた比較製本物(2)について、実施例1と同様にして、裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
*1 粘度:3000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.30%、硬化促進剤としての第3級アミン含有、新田ゼラチン社製。
*2 粘度:3000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.30%、第3級アミンを含有しない、新田ゼラチン株式会社製。
*3 EVA系エマルション接着剤、住友化学工業社製。
【0040】
*4 オキサゾリン基含有化合物、日本触媒社製。
*5 カルボジイミド基含有化合物、日清紡社製。
*6 ポリエチレンイミン、日本触媒社製。
*7 EVA系エマルション接着剤と硬化促進剤との配合割合を示した。なお、比較例1〜2では、水系接着剤は使用しない。
【0041】
表1にみるように、実施例1〜6では、貼り合わせ1分後に裁断しても本文がばらけず、高速生産性が高いが、比較例1〜2では、貼り合わせ1分後に裁断すると本文がばらけてしまい、高速生産性が低い。同様に、実施例1〜6では、貼り合わせ5分後の引き抜き強度は大きいが、比較例1〜2では、引き抜き強度は小さい。
【0042】
また、実施例1〜6では、反応型ホットメルト接着剤を用いているため、接着性に優れ、耐熱性、耐水性等の耐久性が高い。
−実施例7〜15−
実施例1において、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤や水系接着剤を表1に示す組成に変更する以外は、実施例1と同様にして、製本物(7)〜(15)を得た。なお、実施例7〜10および13〜15では、硬化促進剤としてのアミン化合物を含む水系接着剤として、ヒドラジン化合物を含有する三菱油化バーディッシュ社製のアクロナール2741Dを用いた。実施例8、10および14では、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤として用いたARX−1233Aを新田ゼラチン社製のARX−1239E2(粘度:12000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.35%、硬化促進剤としての第3級アミンを含有する。)に変更した。実施例11〜13では、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤として用いたARX−1233Aを新田ゼラチン社製のARX−1239E1(粘度:12000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.35%、第3級アミンを含有しない。)に変更した。
【0043】
得られた製本物(7)〜(15)について、上記と同様に裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表2に示す。
−比較例3−
実施例11において、水系接着剤を用いない以外は、実施例11と同様にして、比較製本物(3)を得た。得られた比較製本物(3)について、実施例11と同様にして、裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0044】
−比較例4−
実施例8において、水系接着剤を用いない以外は、実施例8と同様にして、比較製本物(4)を得た。得られた比較製本物(4)について、実施例8と同様にして、裁断時のばらけの有無および引き抜き強度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
*1 粘度:3000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.30%、硬化促進剤としての第3級アミン含有、新田ゼラチン社製。
*2 粘度:12000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.35%、硬化促進剤としての第3級アミンを含有、新田ゼラチン株式会社製。
*3 粘度:12000mPa・s/120℃、イソシアネート含有量:2.35%、第3級アミンを含有しない、新田ゼラチン株式会社製。
【0047】
*4 EVA系エマルション接着剤、住友化学工業社製。
*5 ヒドラジン化合物含有水系接着剤、三菱油化バーディッシュ社製。
*6 オキサゾリン基含有化合物、日本触媒社製。
*7 水系接着剤の配合割合を示した。なお、比較例3〜4では、水系接着剤は使用しない。
【0048】
表2にみるように、実施例7〜15では、貼り合わせ5分後の引き抜き強度は大きいが、比較例3〜4では、引き抜き強度は小さい。また、実施例7〜15では、反応型ホットメルト接着剤を用いているため、接着性に優れ、耐熱性、耐水性等の耐久性が高い。
【0049】
【発明の効果】
本発明にかかる製本用接着剤は、接着性に優れ、耐熱性、耐水性等の耐久性が高いのみならず、高速生産性にも優れる。
本発明にかかる製本方法は、製本後、すぐに次の裁断等の工程を行うことができるため、高速生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製本方法の1実施例の各工程を示す模式図である。
【図2】紙葉と表紙とを貼り合わせる工程の拡大図である。
【符号の説明】
1 本文(複数の紙葉)
2 表紙
3 ウレタン系反応型ホットメルト接着剤
4 水系接着剤
5 製本用接着剤
6 本
7 ローラ
8 タンク
9 プレス手段
11 複数の紙葉の貼り合わせ面
21 表紙の紙葉の貼り合わせ面
Claims (6)
- 重ね合わせた複数の紙葉と表紙とを貼り合わせて製本するにあたり、製本用接着剤がウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤の組み合わせからなり、これらウレタン系反応型ホットメルト接着剤および水系接着剤のうちのいずれか一方を前記複数の紙葉の貼り合わせ面に塗布するとともに、他方を前記表紙の貼り合わせ面に塗布することを特徴とする、製本方法。
- 前記ウレタン系反応型ホットメルト接着剤が硬化促進剤を含有している、請求項1に記載の製本方法。
- 前記水系接着剤が、前記ホットメルト接着剤の硬化促進剤を含有している、請求項1または2に記載の製本方法。
- 前記硬化促進剤が含窒素化合物である、請求項2または3に記載の製本方法。
- 前記ホットメルト接着剤が、主剤として、ポリオールとポリイソシアネートとの反応で得られたウレタンプレポリマーを含有している、請求項1から4までのいずれかに記載の製本方法。
- 前記水系接着剤が、アクリル系エマルション接着剤、EVA系エマルション接着剤および酢酸ビニル系エマルション接着剤から選ばれた少なくとも1種である、請求項1から5までのいずれかに記載の製本方法。
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