JP4338861B2 - 紙製容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばミニトマト等を小売り用に収納する蓋付きの容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の容器として、図11に示すような塩化ビニルの成型品が使用されている。この容器では、カップ50と蓋51とが後端で繋ぎ片52を介して連結され、それぞれの周縁のフランジ53、54を弾性変形させつつ相互に嵌め合うことにより、蓋51が閉止される。フランジ53、54の両側には凹部55が、周縁コーナーの1つには摘み部56が設けられ、一方の摘み部56には他方の摘み部56に向けて突起57が設けられている。
【0003】
そして、この容器の開封に際しては、突起57により形成された隙間を利用して一方の摘み部56を摘むか、凹部55に指を入れてフランジ53、54を分離させ、蓋51を開ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような容器では、蓋の開閉に手間取るほか、塩化ビニルを素材としているため、焼却するとダイオキシン等の有害物質が発生する恐れもある。
【0005】
この発明は、上記問題に鑑み、焼却しても環境を汚染せず、リサイクルも可能な紙を素材として、蓋の開閉が容易な容器を製作しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明に係る容器は、紙を素材として、底板の周縁から一対の側板、前板及び後板を起立させ、後板の上縁から蓋を延出し、蓋の両側縁に設けた折込片と、側板の上縁に設けたフラップとを斜折線を介して連結し、蓋の閉止に伴い折込片と共にフラップを内側へ折り込み、蓋の先端から前被板を延出し、前板と前被板とを係合片により係合させ、その係合を係合片に繋がる操作片の起伏に伴い解除できる構成としたのである。
【0007】
この容器では、蓋を閉じるとフラップが自動的に折り込まれるので、パッケージング作業を能率よく行うことができる。
【0008】
また、操作片を起伏させて前被板と前板の係合を解除すると、蓋は反発して浮き上がるので、容易に開くことができる。
【0009】
なお、上記容器において、前被板の下部と前板の間に間隔を設け、係合片を前板の上縁から延出して前方外側へ折り返し、操作片を係合片から突出させ、前被板の裏側に係止片を貼り着け、その係合縁に係合片の係合縁を当接させる構成にしておくと、操作片を押すだけで係合縁が離れ、蓋が開く。
【0010】
また、上記容器において、前被板の先端部に操作片を設け、その基端を切り込んで係合片を形成し、前板に差込孔を設け、係合片を差込孔に差し込んだ構成にしておくと、操作片を摘み上げるだけで係合片が差込孔から抜け、蓋が開く。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の第1実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0012】
図1に示す板紙製のブランクにおいて、底板1の周縁には先端へ向けて幅広となる一対の側板2、前板3及び後板4が連設され、後板4の先端縁には蓋5が連設されている。前板3及び後板4の両側縁には貼着片6が連設され、側板2の先端縁にはフラップ7が連設されている。蓋5と貼着片6とは折込片8及び貼合片9を介して連結され、折込片8と貼合片9の境界には後板4の先端角へ向かう斜折線10が設けられている。斜折線10の基端部には、折込片8及び貼合片9の折り曲げを容易にする逃げ孔11が形成されている。
【0013】
蓋5の先端縁には前被板12が、両側縁先端部には側被片13がそれぞれ連設され、側被片13の先端から延びる係止片14の内側には切欠により係合縁15が形成されている。前板3の先端縁には係合片16が連設され、その中央部には操作片17が突設されている。係合片16の両肩部は係合縁18とされ、前被板12の先端縁には凹部19が設けられている。底板1と後板4及び蓋5にはセロファン等の透明フィルムが張られる窓20が形成され、側板2及び蓋5には通気孔21が設けられている。
【0014】
このブランクを組み立てるには、図2に示すように、底板1から側板2、前板3及び後板4を起立させ、貼着片6を側板2の内面に貼り着け、貼合片9をフラップ7の裏面に貼り合わせる。また、前被板12及び側被片13を蓋5の閉止時に下方へ向くように折り曲げ、係止片14を前被板12の裏面に貼り合わせる。
【0015】
この組立状態において、この容器は下窄まりの形状となるため、多数積み重ねて嵩張ることなく保管できる。
【0016】
そして、内容物を収納し、係合片16を前方外側へ折り返して、図3及び図4に示すように、蓋5を閉止すると、折込片8とフラップ7とが斜折線10沿いに内側へ折り込まれ、前被板12の裏側に位置する係合縁15と、係合片16の係合縁18とが当接して前板3と前被板12とが係合し、この係合状態が係合片16及び蓋5の反発により維持されて、蓋5はロックされる。
【0017】
このように、蓋5を閉じるとフラップ7が自動的に折り込まれるので、従来の塩化ビニル成型品のようにフランジを全周にわたって嵌め合わせる必要がなく、パッケージング作業を能率よく行うことができる。
【0018】
一方、蓋5を開けるには、図5に示すように、前被板12の凹部19において操作片17を押し、係合片16を前板3側へ揺動させ、係合縁15、18の係合を解除する。なお、この容器では、前被板12が蓋5から垂下し、前板3が下方へかけて後退しているので、前被板12の下部と前板3の間に間隔があり、操作片17を奥まで押し込んで係合縁15、18を離反させ、前板3と前被板12の係合を確実に解除することができる。そして、この解除に伴い、蓋5は反発して浮き上がるので、容易に開けることができる。
【0019】
また、前板3から突き出した前被板12の存在により、容器各周面のうち、どの面にロックが掛かっているかすぐに判別できるので、視覚に障害がある人でも簡単に開けることができる。
【0020】
また、板紙を素材としているので、廃棄後に焼却してもダイオキシン等の有毒物質が発生せず、環境汚染を防止できる。
【0021】
なお、ミニトマトのような水分を含有した内容物を収容する場合、素材となる板紙には耐水処理を施すが、紙のリサイクル性を確保するため、この耐水処理は軽いものに留めておく。また、窓20は必要なければ省略してもよい。
【0022】
次に、この発明の第2実施形態を図6乃至図10に基づいて説明する。なお、この例では、上記第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を使用し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0023】
この容器は、図6に示すブランクから成り、図7に示すような形状に組み立てられる。図示のように、この容器では、操作片17が前被板12の先端部に設けれており、その基端を切り込んで係合片16が形成されている。また、前板3には両端が切れ上がった差込孔22が形成され、側被片13及び係止片14は省略されている。
【0024】
そして、蓋5を閉じる際、図8及び図9に示すように、前被板12を引き下げて、係合片16を差込孔22に差し込み、係合片16と前板3とを係合させる。
【0025】
また、蓋5を開ける際には、図10に示すように、操作片17を摘み上げ、係合片16を内側へ起こして差込孔22から抜き、係合片16と前板3の係合を解除する。
【0026】
このように構成した容器は、糊付箇所が少ないので、機械で容易に組み立てることができる。
【0027】
なお、上述の各実施形態において、容器角部を糊付するのではなく、差込式にして形状を維持するようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る容器では、蓋を閉じるとフラップが自動的に折り込まれるので、パッケージング作業を能率よく行うことができる。
【0029】
また、操作片を起伏させて前被板と前板の係合を解除すると、蓋は反発して浮き上がるので、容易に開くことができる。
【0030】
また、紙を素材としているので、廃棄後に環境を汚染することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のブランクを示す図
【図2】同上の組立状態を示す斜視図
【図3】同上の蓋を閉めた状態を示す斜視図
【図4】同上の縦断側面図
【図5】同上の蓋を開く過程を示す斜視図
【図6】第2実施形態のブランクを示す図
【図7】同上の組立状態を示す斜視図
【図8】同上の蓋を閉めた状態を示す斜視図
【図9】同上の縦断側面図
【図10】同上の蓋を開く過程を示す斜視図
【図11】従来の容器を示す斜視図
【符号の説明】
1 底板
2 側板
3 前板
4 後板
5 蓋
7 フラップ
8 折込片
10 斜折線
12 前被板
14 係止片
15、18 係合縁
16 係合片
17 操作片
22 差込孔
Claims (3)
- 底板1の周縁から一対の側板2、2、前板3及び後板4を起立させ、後板4の上縁から蓋5を延出し、蓋5の両側縁に設けた折込片8と、側板2の上縁に設けたフラップ7とを斜折線10を介して連結し、蓋5の閉止に伴い折込片8と共にフラップ7を内側へ折り込み、蓋5の先端から前被板12を延出し、前板3と前被板12とを係合片16により係合させ、その係合を係合片16に繋がる操作片17の起伏に伴い解除できるようにした紙製容器。
- 前被板12の下部と前板3の間に間隔を設け、係合片16を前板3の上縁から延出して前方外側へ折り返し、操作片17を係合片16から突出させ、前被板12の裏側に係止片14を貼り着け、その係合縁15に係合片16の係合縁18を当接させたことを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
- 前被板12の先端部に操作片17を設け、その基端を切り込んで係合片16を形成し、前板3に差込孔22を設け、係合片16を差込孔22に差し込んだことを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
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