JP4337023B2 - 接着剤用ポリエステル及びそれを用いた接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスへの接着性、耐熱性、耐湿性、シェルフライフ等に優れた接着剤用ポリエステルとそれを用いた接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な分野で接着剤は使用されているが使用目的の多様化により、従来使用されてきた接着剤よりも各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスへの接着性、耐熱性、耐湿性、シェルフライフ等、更なる高性能化が求められている。例えば、フレキシブルプリント配線基盤(以下FPCと略すことがある)を始めとする回路基板用の接着剤としては、エポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤等が使用されている。回路基板用接着剤として用いられる場合、ハンダ耐熱性や、高温雰囲気化での接着性が求められる。
【0003】
特に最近の鉛フリーハンダに対応する為、より高度な耐熱性を有する接着剤が求められている。また、接着剤を被着体に塗布・乾燥した後、巻き取り保存し、さらに時間が経過してから回路基板に接着させる工程を経るのが通常であるため回路基板を作成するまでの保管に際して、長い可使時間(いわゆるシェルフライフ)が必要とされる。従来のエポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤では、常温保存では可使時間が短いため、低温にて保管しなければならず、また、金属やプラスチックフィルムの接着性も十分ではなかった。またこれら従来の接着剤では、耐マイグレーション性が不十分であるため、長期使用時に回路のショートや銅の変色等が生じてしまい十分に満足できる接着剤が得られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はこれら従来の接着剤組成物が抱えている各問題点を改良するものであり、具体的には各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスへの接着性、耐熱性、耐湿性、シェルフライフ等に優れた接着剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスへの接着性、耐熱性、耐湿性、シェルフライフ等に優れた接着剤を得るべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に達した。すなわち、本発明は以下のポリエステルおよびそれを用いた接着剤組成物である。
【0006】
(1)ポリエステルの全酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100モル%としたとき、グリコール成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールを30モル%以上含有し、かつフェノール性水酸基を有する接着剤用ポリエステル。
【0007】
(2)ポリエステルがフェノール性水酸基を150当量/106g以上有し、数平均分子量が5000〜50000である事を特徴とする(1)に記載の接着剤用ポリエステル。
【0008】
(3)フェノール性水酸基を有するポリエステル、エポキシ化合物、硬化触媒を含有することを特徴とする接着剤組成物。
【0009】
(4)フェノール性水酸基を有するポリエステルとして(1)または(2)に記載のポリエステルを用いたことを特徴とする(3)記載の接着剤組成物。
【0010】
(5)さらにシリカを配合することを特徴とする(3)または(4)に記載の接着剤組成物。
【0011】
(6)さらにシランカップリング剤を配合することを特徴とする(3)〜(5)に記載の接着剤組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルはフェノール性水酸基を有することが必要である。フェノール性水酸基をポリエステル中に含有させる方法としては、フェノール性水酸基とエステル結合を形成しうる塩基酸や水酸基成分を有する化合物を共重合する方法が望ましい。
【0013】
このフェノール性水酸基とエステル結合を形成しうる塩基酸や水酸基成分を有する化合物としては、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニチルアルコール、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)バレリック酸等が挙げられる。これらのうち、目的とする分子量のポリエステルを得やすい等の理由から5−ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
【0014】
ポリエステルに含まれるフェノール性水酸基は、ポリエステル1t当たり150当量以上含まれることが好ましい(以下150当量/106g以上と記載する)。より好ましくは300当量/106g以上、さらに好ましくは500当量/106g以上である。150当量/106gより少ない場合は、後述するエポキシ化合物と反応するフェノール性水酸基の官能基数が少なくなるため十分な架橋密度が得られず、十分な耐熱性が得られないことがある。
【0015】
本発明のポリエステルの二塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸、無水トリメリット酸等の芳香族三塩基酸等が挙げられる。これらのうちポリエステルの全酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100モル%とすると、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を50〜95モル%共重合することが好ましい。より好ましい下限は60モル%、さらに好ましくは70モル%である。テレフタル酸及び/又はイソフタル酸の共重合量が50モル%未満になると加湿下の耐ハンダ性や高温下での剥離強度が低下する場合がある。
【0016】
本発明のポリエステルのグリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられるが、これらのうち2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールを30モル%以上含有するのものが好ましい。さらに好ましくは2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールを30モル%以上含有するのものである。含有量は、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、最も好ましくは100モルである。これらグリコールを30モル%以上含有することにより、特に接着剤として使用したときの耐ハンダ性が飛躍的に向上する。理由は明らかでないが、高温のハンダに接触したときの急激な加水分解を抑え、結果的に耐熱性を向上させているものと推測される。
【0017】
本発明のポリエステルの組成及び組成比を決定する方法としては例えばポリエステルを重クロロホルム等の溶媒に溶解して測定する1H−NMRや13C−NMR、ポリエステルのメタノリシス後に測定するガスクロマトグラフィーによる定量等が挙げられる。これらのうち、1H−NMRが簡便であり好ましい。
【0018】
本発明のポリエステルの数平均分子量は5000〜50000である事が好ましい。より好ましい下限は8000、さらに好ましくは10000である。一方より好ましい上限は30000,さらに好ましくは23000である。数平均分子量が5000より低いポリエステルであると、接着剤としての機械特性が不足してしまい十分な接着性、耐熱性が得られないことがある。数平均分子量が50000より高いと、本接着剤を溶剤に溶解して使用する場合に、溶液粘度が高くなりすぎて、実使用できない等の問題が生じることがある。
【0019】
本発明の接着剤組成物に使用するエポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルタイプ、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイド、あるいはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサノン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルm−キシレンジアミン等のグリシジルアミン系などが挙げられる。これらのうちビスフェノールAジグリシジルエーテルやノボラックグリシジルエーテルのグリシジルエーテルタイプが接着性及び耐熱性の点で好ましい。その際の配合量はポリエステル100重量部に対して5〜30重量部の配合量であることが好ましい。この範囲であればポリエステルとエポキシ化合物の反応点のバランスが合うため、強固な接着性能を得ることができる。
【0020】
本発明の接着剤組成物に使用するエポキシ硬化触媒としては特に限定されないが、例えば2−メチルイミダゾールや1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−フェニル−4−メチルイミダゾールや1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物やトリエチルアミンやトリエチレンジアミンやN’−メチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジンや1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5や6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の3級アミン類及びこれらの3級アミン類をフェノールやオクチル酸や4級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物、トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートやジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート等のカチオン触媒、トリフェニルフォスフィン等が挙げられる。これらのうちが1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5や6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の3級アミン類及びこれらの3級アミン類をフェノールやオクチル酸等や4級化テトラフェニルボレート塩でアミン塩にした化合物が熱硬化性及び耐熱性、金属への接着性、配合後の保存安定性の点で好ましい。その際の配合量はポリエステル100重量部に対して0.01〜1.0重量部の配合量であることが好ましい。この範囲であればポリエステルとエポキシ化合物の反応に対する効果が一段と増し、強固な接着性能を得ることができる。
【0021】
本発明のポリエステル接着剤組成物には必要に応じてシリカを配合しても良い。シリカを配合することにより耐熱性の特性が向上するため非常に好ましい。シリカとしては一般に疎水性シリカと親水性シリカが知られているが、ここでは耐湿性を付与する上でジメチルジクロロシランやヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン等で処理を行った疎水性シリカの方が良い。シリカの平均粒子径は3μm以下が好ましい。より好ましくは50nm以下である。平均粒子径が3μmより大きいと分散不良や接着不良を起こし、耐熱性や接着性が低下する場合がある。シリカの配合量はポリエステル100重量部に対して0.05〜20重量部の配合量であることが好ましい。0.05重量部未満であると耐熱性が不良となる場合がある。一方20重量部を越えるとシリカの分散不良が生じたり溶液粘度が高くなりすぎて作業性に不具合が生じたり或いは接着性が低下する場合がある。
【0022】
本発明のポリエステル接着剤組成物には必要に応じてシランカップリング剤を配合しても良い。シランカップリング剤を配合することにより金属への接着性や耐熱性の特性が向上するため非常に好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えばビニルトリス(βメトキシエトキシ)シランやビニルトリエトキシシランやビニルトリメトキシシランやシランγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランやβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランやN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランやN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのうち耐熱性の観点からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランやβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有したシランカップリング剤がさらに好ましくなる。シランカップリング剤の配合量はポリエステル100重量部に対して0.5〜20重量部の配合量であることが好ましい。0.5重量部未満であると耐熱性不良となる場合がある。一方20重量部を越えると耐熱性不良や接着性不良なる場合がある。
【0023】
本発明の接着剤組成物は溶剤に溶解して使用することが好ましい。使用する有機溶剤としてはトルエン、キシレン、ソルベッソなどの芳香族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、二塩基酸エステル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、n−ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブなどのエーテル類等が挙げられ、溶解性、蒸発速度等を考慮して選択される。これらのうち、乾燥性を考慮するとトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンの単独あるいは混合物であるものがより好ましい。
【0024】
本発明の接着剤組成物には必要に応じ、臭素系や水酸化金属化合物等の難燃剤、レベリング剤、顔料、染料等の添加剤を適宜配合することができる。
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に例示する。実施例中に単に部とあるのは重量部を示す。
【0025】
ポリエステルの合成例1
温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器にテレフタル酸84.7部、イソフタル酸141.1部、5−ヒドロキシイソフタル酸61.9部、1,5−ペンタンジオール353.6部、チタンテトラブトキシド0.12部を仕込み、4時間かけて230℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。続いてこれを30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、更に1mmHg以下で60分間後期重合を行いポリエステルを得た。この様にして得られたポリエステルの特性値を表1に示した。
各測定評価項目は以下の方法に従った。
【0026】
(1)樹脂組成
ポリエステルを重クロロホルムに溶解し、1H−NMR分析により、酸成分、アルコール成分のモル比を求めた。
【0027】
(2)還元粘度
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)混合溶媒25ccに溶かし、ウベローデ粘度計を用いて30℃にて測定した。
単位をdl/gで示す。
【0028】
(3)数平均分子量
テトラハイドロフランを溶媒として、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。
【0029】
(4)ガラス転移温度
示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定した。
(5)酸価
ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、樹脂106g当たりの当量(当量/106g)を求めた。
(6)フェノール性水酸基濃度
ポリエステル組成中に占めるフェノール化合物原料の割合とフェノール化合物原料のフェノール価を用いて計算により求めた。単位は当量/106gで表した。
【0030】
ポリエステル合成例2〜7、参考合成例1
合成例1と同様にして、表1に示す原料を用いて、ポリエステルを得た。この特性値を表1に示した。
【0031】
ポリエステル比較合成例1〜3
合成実施例1と同様にして、表1に示す原料を用いて、ポリエステルを得た。この特性値を表1に示した。比較合成例1〜3はフェノール性水酸基が含まれていないので特許請求の範囲外である。
【0032】
実施例1
合成例1で得られたポリエステルを100部、及びエポキシ化合物として、東都化成(株)製YDCN703(o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)18部を、メチルエチルケトンを用いて固形分濃度が40%となるように溶解し、この溶液に、エポキシ硬化剤として、四国ファインケミカルズ(株)製キュアゾール2E4MZを0.3部加えて十分に撹拌を行い目的とする接着剤溶液を得た。
【0033】
耐マイグレーション試験用FPCの作成及び試験を以下の通りに行った。
上記接着剤溶液を25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥した。この様にして得られた接着性フィルムを30μmの圧延銅箔と貼り合わせる際、圧延銅箔の酸処理面が接着剤と接する様にして、140℃で5kgf/cm2の加圧下に1分間プレスし、接着した。
得られた接着サンプルを140℃に4時間熱処理して硬化させた。この様にして銅貼り積層板を得た。この銅貼り積層板の銅箔面にフォトレジスト塗布、パターン露光、現像、銅箔パターンエッチング、フォトレジスト剥離行程をへて、銅線間が0.1mmとなる様にパターン基板を作成した。
【0034】
また、上記接着剤溶液を25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥した。このフィルムを140℃にて2時間熱処理し、フレキシブルプリント配線板用カバーフィルムを得た。このカバーフィルムと上記パターン基板を140℃で5kgf/cm2の加圧下にて1分間プレスし、接着した。このサンプルを170℃にて3時間の熱処理を行い目的のサンプルを得た。この様にして得られた耐マイグレーション試験用FPCの導電試験を行った。
【0035】
【0036】
耐ハンダ性、剥離強度試験用サンプルの作成及び試験を以下の様に行った。
上記接着剤溶液を25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥した。この様にして得られた接着性フィルムを30μmの圧延銅箔と貼り合わせる際、圧延銅箔の酸処理面が接着剤と接する様にして、140℃で5kgf/cm2の加圧下に1分間プレスし、接着した。
得られた接着サンプルを140℃に4時間熱処理して硬化させた。
【0037】
【0038】
シェルフライフ試験用サンプルの作成及び試験を以下の様に行った。
上記接着剤溶液を25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥した。この様にして得られた接着性フィルムを20℃雰囲気中に6ヶ月放置し、この接着フィルムを、耐マイグレーション試験用FPCの作成及び試験、耐ハンダ性、剥離強度試験用サンプルの作成及び試験方法と同様に評価を行った。
【0039】
(条件及び試験結果判定)
初期の評価結果と20℃6ヶ月放置後の評価結果とを比較し、
性能の低下なし:○
性能が低下した:×
で判定を行った。
この試験結果を表3に示す。
【0040】
実施例2〜11、参考例1
表1に示すポリエステルを用いて、表2に示す割合で配合を行い、実施例1と同様にサンプルを作成した。得られたサンプルの各評価を実施例1と同様に行った。この試験結果を表3に示す。
比較例1〜5
表1に示すポリエステルを用いて、表2に示す割合で配合を行い、実施例1と同様にサンプルを作成した。得られたサンプルの各評価を実施例1と同様に行った。この試験結果を表3に示す。
【0041】
比較例6
日本ゼオン(株)製Nipol1072J(ニトリルブチレンラバー)25部、日本化薬(株)製BREN−S(臭素化エポキシ)20部、東都化成(株)製YDB400(臭素化エポキシ)20部、東都化成(株)製YD014(エポキシ)30部、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 5部、新日本理化(株)製リカシッドTMTA−C(酸無水物化合物)4部、四国ファインケミカルズ(株)製2E4MZ(イミダゾール系触媒)1部、水酸化アルミニウム(難燃剤)30部をメチルエチルケトンで固形分濃度が40%となるように溶解し、接着剤溶液を得た。この様にして得られた接着剤溶液を用いて、実施例1と同様に試験を行った。この試験結果を表3に併せて示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
YDCN703:東都化成(株)製 o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
HP−7200:大日本インキ化学工業(株)製 ジシクロペンタンジエン型エポキシ樹脂
2E4MZ:四国ファインケミカル(株)製 2−エチル−4−メチルイミダゾール
2MZ−CN:四国ファインケミカル(株)製 1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール
UCAT5002:サンアプロ(株)製 1,8−ジアザビシキロ(5,4,0)−ウンデセン−7誘導体のテトラフェニルボレート塩
KBM303:信越シリコーン(株)製 β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
KBM403:信越シリコーン(株)製 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Coat O Sil 1770:日本ユニカー(株)製 β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン
R972:日本アエロジル(株)製 平均粒子系16nmの疎水性シリカ
【0044】
【表3】
【0045】
表3より明らかなように、比較例に対して実施例は耐マイグレーション性、耐ハンダ性、接着性、シェルフライフのいずれかの点で優れていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のポリエステルおよびそれを用いた接着剤組成物は、各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスへの接着性、耐熱性、耐湿性、シェルフライフ等に優れ、回路基板用の接着剤として用いた際には、耐ハンダ性、耐マイグレーション性に優れる接着剤である。
Claims (4)
- ポリエステルの全酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100モル%としたとき、グリコール成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールを30モル%以上含有し、かつ5−ヒドロキシイソフタル酸に由来するフェノール性水酸基を有するポリエステル、エポキシ化合物、硬化触媒を含有することを特徴とする接着剤組成物。
- ポリエステルがフェノール性水酸基を150当量/10 6 g以上有し、数平均分子量が5000〜50000である事を特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- さらにシリカを配合することを特徴とする請求項2に記載の接着剤組成物。
- さらにシランカップリング剤を配合することを特徴とする請求項2または3に記載の接着剤組成物。
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