しかしながら、上述のケアマップによれば、近時の複雑高度化した医療の現場では、主治医等の医療計画及び記録者と、実際に医療行為を行う者(副担当医師、検査医師や検査技師、薬剤師、看護師、看護婦、リハビリテーション技師、給食係等)とが同一でない場合も多く、更に両者間ではコンピュータによる公知のオーダシステム(医療行為の実行命令をコンピュータネットワークを介して行うシステム)等によって間接的に連絡が取られている場合も多い。このため、ケアマップ上で計画した各医療行為について、単純に計画段階或いは待機段階に有るのか否か、既にオーダが発せられたのか否か、近日中に或いは早急に実行すべき時期に至っているのか否か、必要に応じて実行すればよいのか否か、既に予定通りに実行されたのか否か、実行により検査結果データ等の何らかの結果データが存在しているのか否か、予定に反して実行されなかったのか否か、予定通りではなくともとにかく実行済みであるのか否か、継続的に行われるべき医療行為が規則的に行われているのか否か等の各医療行為の実行状況について、医師等の医療計画及び記録者が把握することは困難であるという問題点がある。即ち、このような各種状況を表上で即時に認識したり、このような各種状況を示す情報を表上で見ながら同一表上で計画を立てたりすることができないという問題点がある。
しかも、このような早急に行うべき時期に至っているのか否かや予定通りに実行されたか否か等の各種状況は、何らの行為が行われなくても、時間が経過することにより変化する性質を持つので、このような各種状況を示す情報の入力作業(例えば、どのような状況にあるかを計画及び記録者が手動入力する作業)は、煩雑で多大の労力を要してしまう。特に医療計画が例えば食事制限、薬剤投与、精密検査、診断、手術、リハビリ等の多種多様の医療行為を含む場合には、一層煩雑で多大の労力を要する。加えて、それらの多種多様な医療行為が、一定の相前関係(例えば、一の医療行為を行うためには、その実行前に他の医療行為が実行済みでなければならなかったり、一の医療行為を実行したことにより他の医療行為を早急に実行しなければならない等の相互関係)を持つため、単純に時間により定まることのない、このような各種状況を示す情報の入力作業は、一層困難となってしまうのである。
しかも例えば、交通事故による緊急患者を受け入れたり、医師の都合が付かなくなったりした場合に、当該医療計画表に係る患者に対する実行間近の医療行為が未実行に終わったり、この際一つの項目の日程を変更するだけで、或いは、薬剤の種類など医療行為の内容を若干変更するだけで、他の多数の項目についての計画変更も余儀なくされる場合も現実には多いため、この問題は非常に重大である。特に、重病や緊急を要する多数の患者を扱うような病院では、このような計画及び記録を作成する作業が迅速に行われないのでは、人命に関わる重大事に発展しかねないため、ベテランの医師等が、この計画変更の作業自体に多大な労力を費やす必要があり、結局その分だけ貴重な医療資源が不足してしまうのである。
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、医師等の医療計画及び記録者が適切な医療計画及び記録を容易且つ迅速に作成することを支援する医療計画及び記録支援システム並びにコンピュータをそのような医療計画及び記録支援システムとして機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体を提供することを課題とする。
本発明の一の医療計画及び記録支援システムは上述の課題を解決するために、予め設定された複数種類の医療行為のうちのいずれかを示す医療行為データを各医療行為の実行時期を示す実行時期データに対応付けて夫々格納する複数のファイル手段と、現在日時を計測する日時計測手段と、前記複数のファイル手段に夫々格納された前記医療行為データ及び前記実行時期データに基づいて、一の患者に関する一連の医療計画をなす前記医療行為データを日付け別且つ種類別に並べた医療計画表のフォーマットで表示するための主表示データを生成し、前記計測された現在日時と前記各医療行為の実行時期との関係に応じて予め設定された複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定して該選定した状況表示マークを前記医療計画表中の対応する前記医療行為データに重ねて又は隣接して表示するための第1副表示データを生成し、前記医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における前記計測された現在日時に対応する前記医療計画表中の現在日時位置を算出して該算出した現在日時位置に予め設定された現在日時マークを表示するための第2副表示データを生成する表示制御手段と、前記主表示データ、前記第1副表示データ及び前記第2副表示データに基づいて、前記状況表示マーク及び前記現在日時マークと共に前記医療行為データを前記医療計画表のフォーマットで表示する表示手段とを備え、前記複数のファイル手段は夫々、前記医療行為データ及び前記実行時期データを格納すると共に前記表示制御手段に前記複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定させて前記第1副表示データを生成させる第1手順情報、並びに前記各医療行為が既に実行されたか否かを示す実績情報を格納する第1オブジェクトファイル手段と、前記表示制御手段に前記現在日時位置を算出させて前記第2副表示データを生成させる第2手順情報を格納する第2オブジェクトファイル手段とを含んでなると共に、前記表示制御手段は、前記第1及び第2手順情報に基づいて、前記各医療行為の実行時期から前記現在日時までの期間が予め設定した期間よりも長い場合には一の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成し、前記各医療行為の実行時期から前記現在日時までの期間が前記予め設定した期間よりも短い場合には他の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成し、前記現在日時が前記各医療行為の実行時期を過ぎた場合には更に他の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成すると共に、前記実績情報に応じて異なる種類の状況表示マークを選定し、前記表示制御手段は、前記各医療行為が所定期間に亘って継続的に行われる場合には該所定期間に対応して前記日付け欄の並びに沿って伸びる状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成し、前記表示制御手段は、前記現在日時マークとして前記医療計画表中の同一日付けに対応する複数のセルに跨るライン状のマークを表示するための前記第2副表示データを生成することを特徴とする。
本発明の医療計画及び記録支援システムによれば、ファイル手段は、複数種類の医療行為のうちのいずれかを示す医療行為データを各医療行為の実行時期を示す実行時期データに対応付けて格納している。ここに本発明における“医療行為データ”とは、例えば、当該医療計画及び記録者により計画されただけの状況にある医療行為、計画された医療行為に係るオーダが発行された状況にある医療行為、早急に実行すべき時期に至っている状況にある医療行為、既に実行された医療行為、継続的に実行する状況にある医療行為、所定期間に断続的に実行する状況にある医療行為、計画倒れ(未実行)に終わった状況にある医療行為、必要に応じて実行すべき状況にある医療行為など、各種実行状況にある医療行為を示すデータである。他方、本発明における“実行時期データ”とは、特定の時点又は期間における、1回、複数回、周期的、継続的、断続的、必要に応じて実行等の実行時期を示すデータである。このような実行時期の種類については任意であるが、少なくとも後述の状況表示マークを定義するために最低限必要な種類に分けるようにする。また、このような実行時期データとしては、各種状況にある医療行為が実際に実行された時期(実績ベースの実行時期)、実行される予定の時期(予定或いは計画ベースの実行時期)などを示す、過去、現在、将来におけるいずれかの時点や期間を示すデータを含む意である。
このようにファイル手段に格納された医療行為データ及び実行時期データに基づいて、表示制御手段により、一の患者に関する一連の医療計画をなす医療行為データを、日付け別且つ種類別に並べた医療計画表のフォーマットで表示するための主表示データが生成され、医療計画表が表示手段により表示される。ここに、本発明における“複数種類の医療行為”は、大分類及び各大分類に属する小分類(通常は、各医療行為の名称自体に相当するもの)からなる階層的な分類体系により分類された医療行為であってもよいし、階層構造を持たない分類体系により分類された医療行為であってもよい。従って、医療計画表における医療行為の種類を区切る線は、大分類毎に区切る線でもよい。この場合には、医療計画表中において、同一日に実行される複数の(即ち、複数の小分類の)医療行為データのうち、同一大分類に属するものが複数存在する場合には、これらを同一セル内に配列させる。この際、配列順序は任意であるが、複数の日付けに跨る同一大分類に対応するセル内では、同一の配列順序に維持する方が全体として見易い。尚、本発明における“セル”とは、前述した従来の技術の場合と同様に、医療計画表中において、日付けを区切る線と種類を区切る線とにより囲まれた個々の領域をいう。
他方、現在日時と各医療行為の実行時期(実績ベース及び計画ベース双方の過去、現在、将来におけるいずれかの時点や期間)との関係に応じて、複数種類の状況表示マークが予め設定されている。ここに本発明における“複数種類の状況表示マーク”としては、例えば、当該医療計画及び記録者により計画されただけであることを示すマーク、計画された医療行為に係るオーダが発行されたことを示すマーク、早急に又は現在実行すべき時期に至っていることを示すマーク、既に実行されたことを示すマーク、継続的に実行することを示すマーク、所定期間に断続的に実行することを示すマーク、計画倒れに終わったことを示すマーク、必要に応じて実行すべきことを示すマーク等があり、夫々異なる形状のマークや夫々異なる色のマークやこれらを組み合わせたマークや、更には継続期間に対応する長さのライン状マーク、チェックボックス式のマーク、網掛けマーク、下線や波線マークなど様々なマークが考えられる。このような状況表示マークの種類は、各種状況を分類できれば任意であるが、なるべく視覚的に相互に識別しやすいものが望まれる。
ここで医療計画及び記録システムの動作中に、日時計測手段により現在日時が計測されると、CPU等の表示制御手段により、計測された現在日時と各医療行為の実行時期との関係に応じて、上述の如き複数種類の状況表示マークのうちの一つが選定される。例えば、現在日時が計画された実行時期とが重なっている又は極近い場合には、活動中マークが選定される。或いは、現在日時が計画された実行時期を過ぎてしまった場合には、未実行マークが選定される。そして、このように選定された状況表示マークが、医療計画表中の対応する医療行為データに重ねて又は隣接して表示するための第1副表示データが表示制御手段により生成され、表示手段により状況表示マークが医療計画表中に表示される。ここに、状況表示マークを“重ねて表示する”とは、テキスト表示等される医療行為データに対して半透明な或いは極細い表示形態で、状況表示マークをスーパーインポーズしてもよいし、該医療行為データの下地側に状況表示マークを表示してもよく、要は、医療行為データの表示領域と状況表示マークの表示領域とが若干なりとも重なっている意である。これにより、どの状況表示マークがどの医療行為データに対応しているかは一目瞭然となる。また、状況表示マークを“隣接して表示する”とは、複数表示される医療行為データのうち、対応していない他の医療行為データよりも対応する医療行為データの上下或いは左右の近くに(どの状況表示マークがどの医療行為データに対応しているかが分かる程度に近くに)配置されていれば足りる意である。
他方、このように日時計測手段により現在日時が計測されると、医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における計測された現在日時に対応する医療計画表中の現在日時位置が表示制御手段により算出される。そして、この算出された現在日時位置に、予め設定された現在日時マークを表示するための第2副表示データが表示制御手段により生成され、表示手段により現在日時マークが医療計画表中に表示される。本発明における“現在日時マーク”としては、計測日時の精度や頻度に応じて秒単位で移動するマークを表示するように第2副表示データを生成してもよいし、分単位で移動するマークを表示するように第2副表示データを生成してもよいし、1時間単位や複数時間単位で移動するマークを表示するように第2副表示データを生成してもよい。また、このような現在日時マークの形状としては、同一日付けに係る複数のセルに跨って伸びる一本のライン状マークであってもよく、この場合のライン状マークは、医療行為データに重ねて表示してもよい。この際特に、該医療行為データが視認可能なように、現在日時マークを半透明状や点線状に重ねて表示したり又は極細い線幅で重ねて表示したり、或いはテキスト表示される医療行為データの下地側に重ねて表示するのが好ましい。或いは、ライン状マークではなく矢印等の島状マークを医療計画表中の現在日時位置に一又は複数個表示するようにしてもよい。
以上の結果、本発明の医療計画及び記録支援システムによれば、医療計画表を表示しつつ、この中に表示された各医療行為データがどのような実行状況にあるのかを状況表示マーク及び現在日時マークにより容易且つ迅速に認識することが可能となり、しかも係る状況表示マークは、時間の経過と共に自動的に変更されるので、面倒な状況情報の再設定操作を行わないで済むため大変便利である。特に、時間の進行に伴って早急に実行すべき状況に至ったことを医療計画表上で状況表示マーク及び現在日時マークにより瞬時に認識できるので、この医療行為を確実に実行することが可能となる。また、予定に反して未実行であった医療行為についても、医療計画表上で状況表示マーク及び現在日時マークにより瞬時に認識できる。
また、前記ファイル手段は夫々、前記医療行為データ及び前記実行時期データを格納すると共に前記表示制御手段に前記複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定させて前記第1副表示データを生成させる手順情報を更に格納する第1オブジェクトファイル手段からなる。
第一オブジェクトファイル手段によれば、第1オブジェクトファイルから医療行為データ及び実行時期データが取り出されて、表示制御手段により、主表示データが生成される。更に、第1オブジェクトファイル手段から手順情報が取り出されて、表示制御手段により、この手順情報に従って現在日時が参照され、複数種類の状況表示マークのうちの一つが選定され、第1副表示データが生成される。従って、第1オブジェクトファイル手段に格納された実行時期データ及び手順情報を用いて、オブジェクト指向により効率的に第1副表示データを生成できる。
本発明の医療計画及び記録支援システムは、前記表示制御手段に前記現在日時位置を算出させて前記第2副表示データを生成させる手順情報を格納する第2オブジェクトファイル手段を更に備える。
第2オブジェクトファイル手段によれば、第2オブジェクトファイルから手順情報が取り出されて、表示制御手段により、この手順情報に従って現在日時が参照され、現在日時位置が算出され、第2副表示データが生成される。例えば、第2オブジェクトファイル手段に格納された手順情報に従って、医療計画表中における日付け欄を規定する座標情報が読み出されて、これを基準に、医療計画表中における現在日時に対応する現在日時位置を示す座標が算出される。従って、第2オブジェクトファイル手段に格納された手順情報を用いて、オブジェクト指向により効率的に第2副表示データを生成できる。
本発明における前記表示制御手段は、前記各医療行為が所定期間に亘って継続的に行われる場合には該所定期間に対応して前記日付け欄の並びに沿って伸びる状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成する。
本発明の表示制御手段によれば、例えば、人工呼吸器の使用など、各医療行為が所定期間に亘って継続的に行われる場合には、表示制御手段により、該所定期間に対応して日付け欄の並びに沿って伸びる状況表示マーク(例えば、所定期間に対応する長さのライン状マーク)を表示するための第1副表示データが生成される。従って、継続的に行われる状況を視覚的に表現した状況表示マークを医療計画表中に現在日時マークと共に表示できるので大変便利である。ここで、“所定期間”とは、実行時期データにより示されるものであり、実行時期データ毎に個別に(即ち、例えば第1オブジェクトファイル手段毎などのファイル手段毎に)登録可能である。
本発明における前記表示制御手段は、前記各医療行為が既に実行されたか否かを示す情報に応じて異なる種類の状況表示マークを選定する。
ここでは、各医療行為が既に実行されたか否かを示す情報に応じて異なる種類の状況表示マークが、表示制御手段により選定され、現在日時マークと共に医療計画表中に表示される。このように既に実行されたか否かは、実行された場合を1(又は0)で示し、実行されていない場合を0(又は1)で示すフラグ情報を参照して定めることができる。尚、このようなフラグ情報は、当該医療計画及び記録支援システムに備えられた入力手段から入力したり、コンピュータネットワークを介して当該実行に係る部署にある他のコンピュータや端末から入力すればよい。更に、このようなフラグ情報は、ファイル手段(或いは第1オブジェクトファイル手段毎に)個別に登録可能であってもよい。
また、前記表示制御手段は、前記現在日時マークとして前記医療計画表中の同一日付けに対応する複数のセルに跨るライン状のマークを表示するための前記第2副表示データを生成する。
つまり、医療計画表中の同一日付けに対応する複数のセルに跨るライン状の現在日時マークを表示するための第2副表示データが、表示制御手段により生成される。この結果、表示手段により表示される医療計画表上では、一日に対応する複数のセル内に、ライン状の現在日時マークが表示され、しかもこのライン状の現在日時マークが時間の経過にしたがって(表示制御手段が日時計測手段を参照する度に)、医療計画表中を移動する。従って、一日に対応する複数のセル内において夫々、例えば、状況表示マークが現在日時マークのどちら側にあるかで対応する各医療行為を実行する時刻が現在時刻よりも時間的に前か後かを更に現在日時まで近いか遠いかなどを容易に視認できるので大変便利である。
本発明の医療計画及び記録支援システムの一の態様では、前記表示制御手段は、前記医療行為データに対応しない前記医療計画表中の医療行為の種類欄については、前記医療計画表中から間引くように前記主表示データを生成する。
この態様によれば、医療計画表中の医療行為の種類欄に、医療行為データに対応しないものがある場合、そのまま表示すると当該種類欄に対応して空のセルが横(又は縦)に並ぶことになるが、表示制御手段により、この種類欄については、医療計画表中から間引くように主表示データが生成される。従って、空のセルが並ぶことにより医療計画表全体が表示上小さくなって見難くなる事態を未然防止できる。
この態様では、前記第1オブジェクトファイル手段は夫々、前記表示制御手段に、前記医療計画表中の対応する各欄に前記医療行為データを表示させるための手順情報を更に格納するように構成してもよい。
このように構成すれば、第1オブジェクトファイルから医療行為データ及び実行時期データ並びに手順情報が取り出されて、表示制御手段により、この手順情報に従って医療計画表のフォーマットで医療行為データを表示するための主表示データが生成される。従って、第1オブジェクトファイル手段に格納された医療行為データ及び実行時期データ並びに手順情報を用いて、オブジェクト指向により効率的に主表示データを生成できる。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記表示制御手段は、前記各医療行為の実行時期から前記現在日時までの期間が予め設定した期間よりも長い場合には一の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成し、前記各医療行為の実行時期から前記現在日時までの期間が前記予め設定した期間よりも短い場合には他の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成し、前記現在日時が前記各医療行為の実行時期を過ぎた場合には更に他の種類の状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成する。
この態様によれば、各医療行為の実行時期から実際に計測された現在日時までの期間が、予め設定した期間(例えば、1日や2日)よりも長い場合には、表示制御手段により、一の種類の状況表示マーク(例えば、待機を示す○マーク)を表示するための第1副表示データが生成される。各医療行為の実行時期から実際に計測された現在日時までの期間が、この予め設定した期間よりも短い場合には、表示制御手段により、他の種類の状況表示マーク(例えば、活動中を示す◎マーク)を表示するための第1副表示データが生成される。或いは、実際に計測された現在日時が各医療行為の実行時期を過ぎた場合には、表示制御手段により、更に他の種類の状況表示マーク(例えば、未実行を示す×マーク)を表示するための第1副表示データが生成される。従って、例えば、待機、活動中、未実行といった現在時刻との関係で変化する状況変化を自動的に且つ遅延無く反映した状況表示マークを医療計画表中に現在日時マークと共に表示できるので大変便利である。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記表示制御手段は、前記各医療行為に対するオーダが既に発行されたか否かを示す情報に応じて異なる種類の状況表示マークを選定する。
この態様によれば、各医療行為に対するオーダが既に発行されたか否かを示す情報に応じて異なる種類の状況表示マークが、表示制御手段により選定され、現在日時マークと共に医療計画表中に表示される。このように既にオーダ発行されたか否かは、オーダ発行された場合を1(又は0)で示し、オーダ発行されていない場合を0(又は1)で示すフラグ情報を参照して定めることができる。尚、このようなフラグ情報は、当該医療計画及び記録支援システムに備えられた入力手段から入力したり、コンピュータネットワークを介して当該オーダに係る部署にある他のコンピュータや端末から入力すればよく、或いは、オーダシステムと当該医療計画及び記録支援システムをリンクさせることにより、オーダを発行する際に自動的入力されるようにしてもよい。更に、このようなフラグ情報は、ファイル手段(或いは第1オブジェクトファイル手段毎に)個別に登録可能であってもよい。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記表示制御手段は、前記医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における、前記各医療行為の実行時期が対応する前記医療計画表中の位置に前記状況表示マークを表示するための前記第1副表示データを生成する。
この態様によれば、医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における、各医療行為の実行時期(日時)が対応する医療計画表中の位置が表示制御手段により求められ、この位置において対応する医療行為データに重ねて又は隣接して状況表示マークを表示するための第1副表示データが生成される。この結果、現在日時マーク及び状況表示マークが、医療計画表中の各セル内において、現在日時位置及び実行時期(日時)に対応する位置に夫々表示された医療計画表が表示されるので、状況表示マークが現在日時マークと比較してどちら側にあるかで、各医療行為の実行時期が現在日時よりも時間的に前か後か、現在日時まで近いか遠いかなどを容易に視識できるので大変便利である。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療行為データ及び前記実行時期データを前記ファイル手段に入力可能な入力手段を更に備えており、前記表示制御手段は、前記入力手段による入力がある毎に、前記主表示データを生成し且つ前記計測された現在日時を参照して前記第1副表示データ及び前記第2副表示データを生成する。
この態様によれば、入力手段により、医療行為データ及び実行時期データが入力(データの新規入力や既存データの内容変更等)されると、主表示データが生成され且つその毎に計測された現在日時が参照されて第1副表示データ及び第2副表示データが生成される。従って、医療行為データ及び実行時期データの新規入力や内容変更等があっても、最新の医療行為データ及び実行時期データが反映された医療計画表並びに状況表示データ及び現在日時データを表示することが可能となる。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記表示制御手段は、定期的に前記計測された現在日時を参照して前記第1副表示データ及び前記第2副表示データを生成する。
この態様によれば、表示制御手段により、現在日時が定期的(例えば、10秒毎、30秒毎、1分毎、15分毎、30分毎、1時間毎など)に参照されて、新たな現在日時に基づいて現在日時位置が新たに算出される。また、新たな現在日時と各実行時期との関係に応じて状況表示マークが更新される。そして、第1副表示データ及び第2副表示データが生成され、最新の現在日時に基づく現在日時マーク及び状況表示マークが医療計画表中に表示される。従って、実際の時刻や最新の状況が的確に反映された状況表示マーク及び現在日時マークを医療計画表中に表示することが可能となる。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療計画表のフォーマットは、絶対的な日付け欄に並行して所望の基準日を基準とする相対的な日付け欄を有しており、前記表示制御手段は、前記相対的な日付け欄の中で前記計測された現在日時に対応する日付け部分をハイライト表示させる。
この態様によれば、表示手段により表示される医療計画表は、絶対的な日付け欄に並行して、所望の基準日を基準とする相対的な日付け欄を有する。ここに、“絶対的な日付け欄”とは、何年何月何日を示す日付け欄であり、“相対的な日付け欄”とは、例えば手術日や入院日などの基準日に対して何日前であるか又は何日後であるかを示す欄である。そして、このように表示される相対的な日付け欄の中で、計測された現在日時に対応する日付け部分が、ハイライト表示されるので、本日が、例えば手術日や入院日などを基準にして何日目(前又は後)であるかが瞬時に分かり、非常に便利である。しかも、このようなハイライト表示される本日に対応する相対的な日付け部分は、時間の計画に伴って自動的に移動するので、基準日を指定する以外の特別な入力処理等は不要である。尚、“ハイライト表示”とは、表示輝度、明度、彩度、表示方法、フォント等を局所的に変化させて視覚上目立つように表示することをいう。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療計画表のフォーマットは、絶対的な日付け欄に並行して前記一の患者に対する一連の治療期間を所定カテゴリ別に区切ったフェーズ欄を有しており、前記表示制御手段は、前記フェーズ欄の中で前記計測された現在日時に対応するフェーズ部分をハイライト表示させる。
この態様によれば、表示手段により表示される医療計画表は、絶対的な日付け欄に並行して、一の患者に対する一連の治療期間を所定カテゴリ別に区切ったフェーズ欄を有する。ここに、“フェーズ”とは、入院前、通院中、入院中、集中治療中、リハビリテーション中、退院後、…など、一連の治療期間を所定カテゴリ別に区切った1日から複数日からなる期間をいう。そして、このように表示されるフェーズ欄の中で、計測された現在日時に対応するフェーズ部分(例えば、入院中というフェーズ部分)が、ハイライト表示されるので、本日が、いかなるフェーズ内にあるのかが瞬時に分かり、非常に便利である。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療計画表のフォーマットは、前記医療行為の大分類毎に各セルが規定され、各大分類に属する複数の小分類の医療行為データが同一セル内に配列されたフォーマットであり、前記表示制御手段は、同一小分類の医療行為データを、同一大分類に対応する複数のセルに跨って一列に並んで表示するように前記主表示データを生成する。
この態様によれば、医療計画表中の医療行為の種類欄は、大分類毎に区切られて各セルが規定される。そして、同一日に実行される複数の小分類の医療行為データのうち同一大分類に属するものが複数存在する場合には、これらは同一セル内に配列される。この際、同一小分類の医療行為データは、同一大分類に対応する複数のセルに跨って一列に並べられる。このため、全体として同一小分類の医療行為の日付毎の有無を非常に視認し易くなる。
或いは本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療計画表のフォーマットは、前記医療行為の大分類毎に各セルが規定され、各大分類に属する複数の小分類の医療行為データが同一セル内に配列されたフォーマットであり、前記表示制御手段は、前記日付け欄の幅が所定幅よりも狭い場合には、各セル内に同一小分類に属する医療行為データを並列に並べて表示し、前記日付け欄の幅が前記所定幅よりも広い場合には、各セル内に同一小分類に属する医療行為データを直列に並べて表示するように前記主表示データを生成する。
この態様によれば、医療行為データは、大分類毎に各セルが規定された医療計画表のフォーマットで表示される。この際、日付け欄の幅が所定幅よりも狭い場合には、各セル内に同一小分類に属する医療行為データを並列に並べて表示し、日付け欄の幅が所定幅よりも広い場合には、各セル内に同一小分類に属する医療行為データを直列に並べて表示するように主表示データが生成される。従って、同一セル内に配置される2つの同一小分類の医療行為データが、日付け欄の幅が狭い結果として重なりの度合いが強くて見え難いという事態を未然防止できる。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記医療計画表中における所望の日付け欄の幅を外部指定可能な指定手段を更に備えており、前記表示制御手段は、前記指定手段により前記日付け欄の幅が変更されると再度、前記計測された現在日時を参照して前記第1副表示データ及び前記第2副表示データを生成する。
この態様によれば、指定手段により医療計画表中の日付け欄の幅が変更されると、表示制御手段により再度、現在日時が参照され、第1副表示データ及び第2副表示データが生成される。従って、日付け欄の幅を変更しても、適切な現在日時位置に現在日時マークが表示され、且つ適切な位置に状況表示マークが表示される。
この態様では、前記表示制御手段は、前記指定手段により前記日付け欄の幅が指定されると、該指定された幅に応じた情報量分だけ前記各医療行為データのうちの少なくとも一部を表示するように前記主表示データを生成してもよい。
このように構成すれば、指定手段により日付け欄の幅が指定される都度に、その指定された幅に応じた情報量分だけ各医療行為データのうちの少なくとも一部が表示される。例えば、日付け欄の幅やセルのサイズが小さく設定された場合には、医療行為データの例えば、先頭側の所定文字数分のみやイニシャル或いは略式記号のみが表示され、日付け欄の幅やセルのサイズが大きく設定された場合には、医療行為データが全て表示され、更に、各セル内のスペースに余裕があると判定された場合には、医療行為データのより詳細を示すデータが該医療行為データと共に表示される。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記ファイル手段は夫々、前記医療行為データを前記医療計画表中の一又は複数の医療行為の種類に優先順位付きで対応付けるマルチプル関連情報を更に格納しており、前記表示制御手段は、該マルチプル関連情報に従って前記医療行為データが属する前記医療計画表中の種類欄を一つ選択して前記医療行為データを該選択した種類欄に対応するセル内に表示されるように前記主表示データを生成する。
この態様によれば、医療行為データを、医療計画表中の一又は複数の医療行為の種類に優先順位付きで対応付けるマルチプル関連情報がファイル手段に格納されている。そして動作時には、表示制御手段により、マルチプル関連情報に従って医療行為データが属する医療計画表中の種類欄が一つ選択され、該選択された種類欄に対応するセル内に医療行為データを表示するように主表示データが生成される。従って、医療行為データの種類と医療計画表中の種類欄とが、単純に一対一対応しない場合にも、マルチプル関連情報に従って、医療行為データが属する種類欄として妥当な種類欄に当該医療行為データが属するものとして扱うことが可能となる。この結果、医療計画表の種類欄を適当に設定しても、医療行為データの種類にそのまま対応する種類欄、比較的類似している種類欄、その他の種類欄などに医療行為データを自動的に割り振ることができるので、医療計画表における種類欄を設定する際の自由度及び容易性を高めることが可能となり実用上便利である。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記表示制御手段は、前記実行時期データに対応しない前記医療計画表中の日付け欄については、前記医療計画表中から間引くように前記主表示データを生成する。
この態様によれば、医療計画表中の日付け欄に、医療行為データに対応しないものがある場合、そのまま表示すると当該日付け欄に対応して空のセルが縦(又は横)に並ぶことになるが、表示制御手段により、この日付け欄については、医療計画表中から間引くように主表示データが生成される。従って、空のセルが並ぶことにより医療計画表全体が表示上小さくなって見難くなる事態を未然防止できる。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、当該医療計画及び記録支援システムは、通信回線を介して結ばれた二つのユニットを含み、前記複数のファイル手段は、一方のユニットに備えられており、前記表示手段は、他方のユニットに備えられる。
この態様によれば、一方のユニットに備えらた複数のファイル手段と、他方のユニットに備えられた表示手段とは、有線、無線、専用回線、一般回線、電話回線等の通信回線を介して結ばれている。従って、一方のユニットをセンタ装置として、該一方のユニットに設けられた大規模な記憶装置に複数のファイル手段を備えておき、他方のユニットを端末装置として、該他方のユニットを一又は複数配備する構成を採ることにより、複数の端末で同じデータを共用することも可能となる。尚、前述の表示制御手段についても、表示手段と同様に他方のユニットに備えるようにしてもよいし、日時計測手段については、一方のユニット及び他方のユニットのどちらに備えて構成してもよい。
本発明の医療計画及び記録支援システムの他の態様では、前記ファイル手段は、前記医療行為データ及び前記実行時期データと共に、前記一連の医療計画をなす複数の医療行為の各々について少なくとも相対的な実行時期を設定するための設定手順情報を更に夫々格納し、前記表示制御手段は、前記一連の医療計画をなす複数の医療行為が指定された場合に、該指定された複数の医療行為を示す複数の医療行為データを含む前記複数のファイル手段に夫々含まれる前記設定手順情報に従って、前記指定された複数の医療行為の実行時期を設定して、前記実行時期データを更新する。
この態様によれば、表示制御手段により、ファイル手段に夫々含まれる設定手順情報に従って、指定された複数の医療行為の少なくとも相対的な実行時期が設定される。そして、このように実行時期が設定されると、実行時期データが更新され、更新後の実行時期データに基づいて医療計画表のフォーマットにより医療行為データの表示が行われる。従って、医師等の医療計画及び記録者が、実行時期データの指定抜きに、一連の医療計画をなす複数の医療行為の指定のための操作を行えば、各ファイル手段に含まれる設定手順情報に従って、それらの少なくとも相対的な実行時期が自動的に設定され、これに基づき医療計画表が表示される。このため、相互に複雑に関連する複数或いは多数の医療行為が一連の医療計画をなすような場合でも、複数の医療行為間の前後関係や時期的な関係が適切に規定された医療計画が作成される。また、一旦作成された一連の医療計画をなす複数の医療行為に対して、例えば医療行為を追加、変更或いは削除することにより複数の医療行為を新たに指定する場合等にも、ファイル手段に含まれる設定手順情報に従って、各医療行為の実行時期が自動的に設定されるので大変便利である。
本発明の他の医療計画及び記録支援システムは上記課題を解決するために、予め設定された複数種類の医療行為のうちのいずれかを示す医療行為データを各医療行為の実行時期を示す実行時期データに対応付けて夫々格納する複数のファイル手段と、現在日時を計測する日時計測手段と、前記複数のファイル手段に夫々格納された前記医療行為データ及び前記実行時期データに基づいて、一の患者に関する一連の医療計画をなす前記医療行為データを日付け別且つ種類別に並べた医療計画表のフォーマットで表示するための主表示データを生成し、前記計測された現在日時と前記各医療行為の実行時期との関係に応じて予め設定された複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定して該選定した状況表示マークを前記医療計画表中の対応する前記医療行為データに重ねて又は隣接して且つ前記医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における前記各医療行為の実行時期が対応する前記医療計画表中の位置に表示するための第1副表示データを生成する表示制御手段と、前記主表示データ及び前記第1副表示データに基づいて、前記状況表示マークと共に前記医療行為データを前記医療計画表のフォーマットで表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の他の医療計画及び記録支援システムによれば、上述した本発明の一の医療計画及び記録支援システムの場合と同様に、主表示データ及び第1副表示データが生成され、この際特に、医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における、各医療行為の実行時期(日時)が対応する医療計画表中の位置が表示制御手段により求められ、この位置において対応する医療行為データに重ねて又は隣接して状況表示マークを表示するための第1副表示データが生成される。この結果、医療計画表を表示しつつ、この中に表示された各医療行為データがどのような実行状況にあるのかを状況表示マークにより容易且つ迅速に認識することが可能となり、しかも係る状況表示マークは、時間の経過と共に自動的に変更されるので、面倒な状況情報の再設定操作を行わないで済むため大変便利である。特に、状況表示マークが、医療計画表中の各セル内において、実行時期(日時)に対応する位置に夫々表示された医療計画表が表示されるので、状況表示マークが日付け欄と比較してどこにあるかで、各医療行為の実行時期が任意の日付けよりも時間的に前か後か、本日まで近いか遠いか、各医療行為が一日のうちどの時刻付近に実行されたか或いはされる予定かなどを容易に視識できるので大変便利である。
尚、当該本発明の他の医療計画及び記録支援システムには、前述した本発明の一の医療計画及び記録支援システムにおける主表示データ及び第1副表示データの生成並びに医療計画表及び状況表示マークの表示に関する各種の態様のいずれをも単独で又は組み合わせて適用可能である。
本発明のプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体は上記課題を解決するために、コンピュータを上述した本発明の医療計画及び記録支援システム(更に、上述したその各種態様)として機能させるプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体である。
本発明のプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体によれば、コンピュータを前述した本発明の医療計画及び記録支援システム(更に、前述したその各種態様)として機能させることができる。
以上詳細に説明したように、本発明の医療計画及び記録支援システムによれば、
医療計画表を表示しつつ、この中に表示された各医療行為データがどのような実行状況にあるのかを状況表示マークにより容易且つ迅速に認識することが可能となり、しかも係る状況表示マークは、時間の経過と共に自動的に変更されるので、面倒な状況情報の再設定操作を行わないで済むため大変便利である。
また、本発明のプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体によれば、汎用或いは専用コンピュータを上述の如き本発明の医療計画及び記録支援システムとして機能させることができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態としての医療計画及び記録支援システムのブロック図である。
図1において、医療計画及び記録支援システム1は、ハードウエア資源としては、公知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、中型コンピュータ、大型コンピュータ、モバイルコンピュータ(携帯型情報端末)、電子手帳等のコンピュータからなり、記憶装置2、入力装置3、処理部4、表示装置5、印刷装置6、通信部7、読取装置8及びシステム時計9を備えて構成されている。
記憶装置2は、ハードディスク装置、IC(Integrated Circuit)メモリ、磁気ディスク装置、光磁気ディスク装置、光ディスク装置等のランダムアクセス可能な周知の記憶装置から構成されている。
記憶装置2には、予め設定された複数種類の医療行為のうちのいずれかを示す医療行為データを各医療行為の実行時期を示す実行時期データに対応付けて夫々格納する複数の第1オブジェクトファイル21が論理的に構築されている。第1オブジェクトファイル21は、これら医療行為データ及び実行時期データの他に、後述のように処理部4に複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定させ、状況表示マークを表示するための第1副表示データを生成させる手順情報を更に格納している。記憶装置2には更に、後述のように処理部4に、システム時計9の現在日時を参照させ、医療計画表中における現在日時位置を算出させ、現在日時マークを表示するための第2副表示データを生成させる手順情報を格納する第2オブジェクトファイル手段31が論理的に構築されている。このように本実施形態では、第1オブジェクトファイル21及び第2オブジェクトファイル31に格納された各種の手順情報を用いて、オブジェクト指向により効率的に、第1副表示データ及び第2副表示データを生成できる。
但し、第1オブジェクトファイル21や第2オブジェクトファイル31を用いること無く、このような手順情報を、医療行為データや実行時期データとは別に設けられたプログラムファイル内に格納しておき、これを適宜実行するように構成してもよい。また、医療計画表を表示するための主表示データのうち医療計画表の枠組みを規定するファーマット情報については、第1オブジェクトファイル21とは別にフォーマット情報用ファイルに格納してこれを適宜読み出し、枠組みにより囲まれた何れのセル内に各医療行為データを表示するかを定める手順情報については第1オブジェクトファイル21に格納するように構成してもよい。
入力装置3は、キーボード、テンキースイッチ、マウス、トラックボール、入力ペン、入力タブレット等からなり、医療行為データ及び実行時期データ、その他各種のデータやコマンドを入力可能であり、更に表示装置5に表示された画像の任意の位置を指定可能に構成されている。
処理部4は、表示制御手段の一例としてCPU(Central Processing
Unit)から構成されており、第1オブジェクトファイル21に格納された医療行為データ及び実行時期データに基づいて一の患者に関する一連の医療計画をなす医療行為データを日付け別且つ種類別に並べた医療計画表のフォーマットで表示するための主表示データを生成し、更に第1オブジェクトファイル21に格納された手順情報に従って、システム時計9により計測された現在日時と各医療行為の実行時期との関係に応じて予め設定された複数種類の状況表示マークのうちの一つを選定して、該選定した状況表示マークを医療計画表中の対応する医療行為データに重ねて又は隣接して表示するための第1副表示データを生成する。そして、第2オブジェクトファイル31に格納された手順情報に従って、医療計画表中の一日の幅を24時間に換算した場合における、システム時計9により計測された現在日時に対応する医療計画表中の現在日時位置を算出して、該算出した現在日時位置に予め設定された現在日時マークを表示するための第2副表示データを生成するように構成されている。
表示装置5は、CRT(Cathode Ray Tube)装置、LCD(液晶表示装置)等の周知の表示装置であり、処理部4により生成された主表示データ、第1副表示データ及び第2副表示データに基づいて、状況表示マーク及び現在日時マークと共に医療行為データを医療計画表のフォーマットで表示する。また特に入力装置3により画面上の任意の位置を指定可能に構成されている。
印刷装置6は、レーザビームプリンタ、インクジェットプリンタ等の周知の印刷装置であり、カラー又はモノクロタイプでよい。印刷装置6は、所定の印刷命令を入力装置3から入力することにより、表示装置5に表示される任意の画面(即ち、医療計画表等)を印刷可能に構成されている。
通信部7は、例えば、第1オブジェクトファイル21を含む各種のファイルやデータを他のコンピュータ等とやり取りするためのモデム等を含む。通信部7は、例えば、有線、無線、専用回線、一般回線、電話回線等の通信回線を介して他の大型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ(携帯型情報端末)、電子手帳等と結ばれている。
読取装置8は、例えば、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、FD(フロッピーディスク)ドライブ等からなり、CD−ROM、DVD−ROM、FD等の記録媒体8aに記録されているコンピュータプログラムを読み取る。このように機械読み取りされたコンピュータプログラムは、医療計画及び記録支援システム1のハードウエア資源たるコンピュータを、当該医療計画及び記録支援システムとして機能させる。尚、記憶装置2内に構築される第1オブジェクトファイル21や第2オブジェクトファイル31の一部又は全部を記録媒体2aに記録しておき、必要に応じて読み出すようにしてもよい。特に、特定患者に対する個別的な医療計画に用いられる前段階における、標準的な医療計画に用いられる第1オブジェクトファイル21や、後に個別的な医療計画用に修正変更する際の基礎となる標準的な第1オブジェクトファイル21については、コンピュータプログラム作成時に作成可能であると共に汎用性も高いので、コンピュータプログラムと共に記録媒体8aに予め格納しておくと後々便利である。
システム時計9は、カレンダ機能付きであり、医療計画及び記録支援システム1の主電源のオンオフによらずに、現在日時を常に計測しており、処理部4は、一定の周期又は医療計画表における現在日時マーク及び状況表示マークを更新する際に、このシステム時計9で計測された日時を参照する。尚、このようなシステム時計9に代えて、現在日時を示す所定フォーマットの信号を一定周期で出力するシステム外部にある時計装置を参照して、この信号に基づいて処理部4で現在日時を得るように構成しても良い。
次に、本実施形態において、処理部4により生成される表示データに基づいて、表示装置5が表示する医療計画表の一例を図2に示す。
図2に示すように、医療行為データは、日付けを横軸12にとると共に医療行為の種類を縦軸11にとる医療計画表10のフォーマットで表示装置5上に表示されている。この場合、医療計画表10を本実施の形態により表示しつつ、各医療行為の実行状況を示す状況表示マーク201を表示すると共に日付け欄(横軸12)の一日の幅を24時間換算した場合における現在日時位置を示す現在日時マーク202を表示する。状況表示マーク201は、その形状及び色により、各状況表示マークが重ねて又は隣接してテキスト表示された各医療行為データについての実行状況を示す。
本実施形態において、図2に示した医療計画表10中に主にテキスト表示される“複数種類の医療行為”は、大分類及び各大分類に属する小分類からなる階層的な分類体系により分類された医療行為である。例えば、大分類として、“医師や看護の記録”、“処置”、“注射”、“検査”、“対診”、“評価”、“投薬”、“食事”、“活動制限”、“観察”、“リハビリテーション”、“コーディネーション”、“入退院”、“患者家族の教育”、“観察・モニター”、“検査”、“内服・外用”、“処置”等があり、例えば、一の大分類“検査”に属する小分類として、“胸部X線(写真撮影)”、“頭部MRI(写真撮影)”、“心電図(測定)”、“体温(測定)”、“血液検査”、“尿検査”等がある。
図2に示すように、医療計画表10における医療行為の種類を区切る線は、前述のように“検査”、“記録”等の大分類毎に区切る線とされており、医療計画表10中において、同一日に実行される複数の(即ち、複数の小分類の)医療行為データのうち、同一大分類に属するものが複数存在する場合には、これらは同一セル10a内に配列されている。このように医療計画表10の縦軸11にどのような大分類による種類の欄を設定するかは、固定してもよいし、医師等の計画及び記録作成者が、各患者毎の医療計画に見合った医療計画表10が表示されるように、所望の欄を設定可能なようにしてもよい。
また本実施形態において図2に示した医療計画表10中に主にテキスト表示される“医療行為データ”は例えば、当該医療計画及び記録者により計画されただけの状況(例えば、一連の医療計画をなす他の医療行為との関係や、他の患者との関係でまだ計画検討中であり、当該医療行為のために入力以上の行動を実行していない状況)にある医療行為、計画された医療行為に係るオーダが発行された状況(例えば、オーダシステムを介して薬剤部、検査部等の他の部署のコンピュータに対して薬剤配布や特定検査予約を指示するオーダが既に発行された状況)にある医療行為、早急に実行すべき時期に至っている状況(例えば、計画した実行時期が今日又は明日に迫っている状況)にある医療行為、既に実行された医療行為、継続的に実行する状況(例えば、人工呼吸器などで継続的に治療を実行する状況)にある医療行為、所定期間に断続的に実行する状況(例えば、一日に6回の薬剤投与を3日間続けて行う状況)にある医療行為、計画倒れ(未実行)に終わった状況にある医療行為、必要に応じて実行すべき状況(例えば、発作を起こしたり特定バイタルサインが危険値を超えた場合に特殊処理を実行すべき状況)にある医療行為など、各種実行状況にある医療行為を示すデータである。
このような医療行為データは、例えばキーボード、マウス等の入力装置3により一連の医療計画をなす各医療行為毎に一つずつ入力され、第1オブジェクトファイル21が新規に登録されたり内容変更されたりするが、特に医療計画表10を表示装置5により表示した状態においてウィンドウ表示された医療行為データの入力用画面を介して入力されてもよいし、当該医療計画及び記録システム1に通信部7を介してコンピュータネットワークで接続された他のシステムから入力されてもよい。或いは、ハードディスク、フロッピーディスク等の読取装置8を介しての入力により、患者名(患者コード)、疾病名(疾病コード)、患者属性(患者属性コード)等に対応して一連の医療計画をなす複数の医療行為に係る医療行為データが一挙に指定されてもよい。
そして、このような医療行為データにより示される各医療行為の実行時期を示す“実行時期データ”は例えば、特定の時点又は期間における、1回、複数回、周期的、継続的、断続的、必要に応じて実行等の各実行時期(即ち、過去、現在又は未来における実績ベース又は計画ベースの実行時期)を示すデータである。このような実行時期データは、上述した医療行為データの入力操作と同様に、入力装置3等を用いて特定の日時や時期を直接入力することも可能であるが、本実施形態では一歩進んで、後述のように第1オブジェクトファイル21に格納された設定手順情報に従って、一連の医療計画をなす複数の医療行為の各実行時期を、適当な基準日を用いて且つ複数の医療行為間の相互関係を考慮した上で自動設定して、実行時期データを第1オブジェクトファイル21に登録するように構成されている。
ここで、図2に示した医療計画表10の各セル10a内に表示される医療行為データ、状況表示マーク201及び現在日時マーク202の具体例を、図3(a)、(b)及び(c)に夫々示す。尚、図3(a)、(b)及び(c)は夫々、図2に示した医療計画表10の一つのセル10aに係る部分を拡大して示す図である。
図3(a)に示す医療計画表10を表示する場合には、処理部4により、表示装置5に表示される医療計画表10中の一日の幅を24時間に換算した場合における、各医療行為203の実行時期(日時)が対応する医療計画表10中の位置が求められる。より具体的には、医療計画表10の日付け欄を規定するフォーマット情報から日付け欄の座標(特定日の0時と24時に対応する座標)を示す情報を得て、これを24等分したものが各時刻に対応するものとして、表示すべき状況表示マーク201に係る実行時期データにより示される実行時期(日時)が対応する位置を算出する。このような算出位置の解像度としては、例えば1分、15分、1時間、複数時間等でよい。そして、この算出位置において、対応する医療行為データ203に重ねて又は隣接して状況表示マーク201を表示するための第1副表示データを生成する。この結果、現在日時マーク202及び状況表示マーク201が、医療計画表10中の各セル10a内において、現在日時位置及び実行時期(日時)に対応する位置に夫々表示された医療計画表10が表示される。このため、状況表示マーク201が現在日時マーク202と比較して左右どちら側にあるかや、どれだけ左右に距離を隔てて表示されているかで、各医療行為の実行時期が現在日時よりも時間的に前か後か、更に現在日時まで近いか遠いか、各医療行為が一日のうちどの時刻付近に実行されたか或いは実行される予定かなどを容易に視識できるので大変便利である。
図3(b)に示すように、図3(a)で示した場合における状況表示マーク201の配置方式と同様に、各医療行為データ203の表示位置を状況表示マーク201と共に実行時刻に応じて各セル10a内にてずらすようにしてもよい。
或いは、図3(c)に示すように、医療計画表10中で各セル10a内において、各状況表示マーク201及び各医療行為データ203の表示位置を、同一日付けであれば時刻と無関係としてもよい。
但し、図3(a)の如く、各状況表示マーク201を各セル10a内で実行時期(時刻)に応じてずらすと共に各医療行為データ203をセル10a内でずらさない方式は、一般にテキストデータや数値からなるために表示用に比較的大きなスペースを必要とする各医療行為データ203用の表示スペースを十分確保する上で有利である(これに対し、各状況表示マーク201については、例えば、一文字分のスペースが有れば足りるので、これを表示するためのスペースは特に問題とならないため、その表示位置自体を実行時期を示す一つの情報として用いる方が有利である)。更に、このような実行日時中の時刻の情報としての価値が低くなる、過去における(即ち、現在日時マーク202よりも左側に表示されている)状況表示マーク201については、図3(c)の如く実行時刻とは無関係に医療行為データ201の先頭(或いは後ろ)の所定位置に配置することにより、医療行為データ203の見易さを優先させるようにしてもよい。
図2及び図3に示すように、状況表示マーク201としては、例えば、当該医療計画及び記録者により計画されただけであることを示すマーク、計画された医療行為に係るオーダが発行されたことを示すマーク、早急に又は現在実行すべき時期に至っていることを示すマーク、既に実行されたことを示すマーク、継続的に実行することを示すマーク、所定期間に断続的に実行することを示すマーク、計画倒れ(未実行)に終わったことを示すマーク、必要に応じて実行すべきことを示すマーク等があり、夫々異なる形状(○、◎、□、△、☆、×等)のマーク、夫々異なる色(赤、青、黄、黒、明、暗等)のマーク、これらの形状と色とを組み合わせたマークや、更には継続期間に対応する長さの(日付け軸に沿って伸びる)ライン状マーク、チェックボックス式のマーク、網掛けマーク、下線や波線マークなど様々なマークがある。このような状況表示マーク201の種類は、各種状況を分類できれば任意であるが、なるべく視覚的に相互に識別しやすいものが望まれ、特に早急に実行すべきことを示すマークについては、その重要度に鑑み、赤、オレンジなどの目立つ色や、ハイライト表示などの目立つ態様或いは目立つ形状のマークを割り当てるのが好ましい。
図4に示すように、現在日時マーク202は、時間の経過により、計測日時の精度や頻度に応じて秒単位、分単位又は時間単位で図中右に向って移動する、縦に伸びるライン状のマークである。即ち、この例では、現在日時マーク202は、時間の経過に伴って、処理部4による第2副表示データの生成が繰り返される結果、図4(a)に示す約午前0時に対応する現在日時位置から、図4(b)に示す約午前3時に対応する現在日時位置を経て、図4(c)に示す約午後4時に対応する現在日時位置まで右に移動する。このようなライン状の現在日時マーク202は、医療行為データ203に重ねて表示されるが、医療行為データ203が視認可能なように、現在日時マーク202を半透明状や点線状に重ねて表示したり又は極細い線幅で重ねて表示したり、或いは医療行為データ203の下地側に重ねて表示するのが好ましい。尚、現在日時マーク202としては、ライン状マークではなく矢印(↓)等の島状マークを医療計画表10中に一又は複数個表示するようにしてもよい。
本実施形態では特に、図5(a)に示すように、各医療行為の実行時期から現在日時までの期間が予め設定した期間(例えば、12時間、1日、2日等)よりも長い場合には、この場合に処理部4により生成される第1副表示データに基づいて、表示装置5により表示される医療計画表10中には、状況表示マーク201として、例えば“待機中”であることを示すグリーン色の◎マーク201aが表示される。これに対して、時間が経過したことにより図5(b)に示すように、各医療行為の実行時期から現在日時までの期間が、この予め設定した期間よりも短くなると、この場合に処理部4により生成される第1副表示データに基づいて、表示装置5により表示される医療計画表10中には、状況表示マーク201として、例えば“活動中”であることを示すオレンジ色の◎マーク201bが(図5(a)におけるグリーン色の◎マーク201aに代えて)表示される。他方、図5(b)に示すように、システム時計9に計測された現在日時が各医療行為の実行時期を過ぎた状況表示マーク201については、表示装置5により表示される医療計画表10中には、例えば“未実行”であることを示すパープル色の◎マーク201cが表示される。これに対して、図5(c)に示すように、医師等の医療計画及び記録作成者が、医療計画表10上で未実行であるとされた医療行為について、後述の如く実行済みである旨の実績情報を入力することにより、“実行済み”であることを示すブラウン色の○マーク201dが(図5(b)におけるパープル色の◎マーク201cに代えて)表示される。
図5に示したように、待機中、活動中、未実行といった現在時刻との関係で変化する状況変化を、システム時計9を参照して自動的に且つ遅延無く反映した状況表示マーク201を医療計画表10中に表示できる。尚、このように活動中であるか待機中であるかの判定基準となる“予め設定した期間(例えば、1日や2日)”は、各第1オブジェクトファイル21毎に(即ち、医療行為毎に)登録可能であってもよいし、医療行為の種類毎に設定可能であってもよいし、全ての医療行為について共通に設定してもよい。
図2から図4において、例えば人工呼吸器の使用など各医療行為が所定期間に亘って継続的に行われる場合には、状況表示マーク201として、該所定期間に対応して日付け欄の並びに沿って左右に伸びるライン状の状況表示マークが表示される。この場合の“所定期間”は、実行時期データにより示されるものであり、第1オブジェクトファイル21毎に登録可能である。同様に、医療行為を所定期間に断続的に実行する場合(例えば、一日に6回の薬剤投与を3日間続けて行う場合)には、図2から図4に示すように、該所定期間をライン状の状況表示マーク201hで示すと共に、断続的に実行される実行済みタイミングや実行予定タイミングを、ライン状の状況表示マーク201h上における各実行時点に対応する点マーク201iで示してもよい。この点マーク201iの色は、現在日時マーク202との関係(即ち現在日時との関係)で変化させられている。
本実施形態では特に、後述の如く各第1オブジェクトファイル21に格納される各医療行為が既に実行されたか否かを示す実績情報に応じて、異なる種類の状況表示マーク201が医療計画表10中に表示される(図5(c)参照)が、同様に、後述の如く各第1オブジェクトファイル21に格納される各医療行為に対するオーダが既に発行されたか否かを示すオーダ情報に応じて、異なる種類の状況表示マーク201が医療計画表10中に表示される。より具体的には、例えば、オーダ発行済みでなければ、ブルー色のマークが表示され、オーダ発行済みであれば、ライトブルー色のマークが表示されるという具合である。本実施形態では、オーダシステムと当該医療計画及び記録支援システム1とをリンクして、当該医療計画表10を表示した状態で、マルチタスクにより、オーダシステムを呼び出して、医療計画表10中で入力装置3により指定した医療行為についてのオーダを発行するように構成することも可能である。このように構成すれば、オーダを発行する際に、該発行したオーダに対応するオーダ情報を自動的に対応する第1オブジェクトファイル21に入力することもできる。
尚、上述のように図2のフォーマットで医療行為データを処理部4及び表示装置5により表示するためのフォーマット情報及び表示用プログラムは、図1に示した記録媒体8aに予め格納されたコンピュータプログラムに含まれている。医療計画及び記録システム1は、これらフォーマット情報及び表示用プログラムと次に詳述する第1オブジェクトファイル21及び第2オブジェクトファイル31に格納された手順情報に従って、図2のフォーマットで医療計画表10を表示するように構成されている。
次に、記憶装置2内に論理的に構築される各第1オブジェクトファイル21の具体的な論理構成について図6を参照して説明する。
図6に示すように、第1オブジェクトファイル21は、前述の医療行為データ211を含む基本情報210と設定手順情報220とを含む。
先ず、基本情報210について説明する。
図6において、基本情報210は、予め設定された複数種類の医療行為のうちのいずれかを示す医療行為データ211を含む。各第1オブジェクトファイル21の医療行為データ211は、例えば、その大分類及び大分類に属する小分類(通常、医療計画表10中に医療行為データとしてテキスト表示される医療行為の名称にそのまま一致する分類)が、予め設定された複数桁の所定の分類コードを用いて示される。このような分類コードとしては、現在世界的に或いは我が国内で用いられている公知の分類コード(例えば、IDCコード、診療報酬点数コードなど)を採用してもよいし、本願発明独自の分類コードを用いてもよい。要は、現在の実際の医療現場における医療計画に相応しい程度の分類で医療行為を分類すれば、本願発明の課題は達成されるものであり、分類方式自体は任意である。
基本情報210は、医療行為データ211に加えて、医療行為データにより示される医療行為の詳細を医療計画及び記録者に対して解説するための短い単語や文章を示したり、医療行為データ211により示される医療行為についての患者向け説明のための短い単語や文章を示すテキストデータ212を含む。更に、基本情報210は、当該各第1オブジェクトファイル21が特定の患者或いは特定の疾病や症状を持つ仮想の患者に対する医療計画の一部として用いられる場合に、この特定或いは仮想の患者のID番号を示す患者ID番号データ213と、当該各第1オブジェクトファイル21に係る医療行為データに関連する参照情報データ214とを備える。参照情報データ214は、各第1オブジェクトファイル21に対応する医療行為データにより示される医療行為に付随する詳細な医療データであり、例えば、日毎に測定された体温データ、血圧データ、血液中の所定成分濃度データなど、所定の医療行為に関連する数値データなどである。
次に、設定手順情報220について説明する。設定手順情報220は、一連の医療計画をなす複数の医療行為の各々について少なくとも相対的な実行時期を設定するための情報である。ここに、“相対的な実行時期”とは、他の医療行為を行う時期に対する各医療行為を行う時期を示し、より具体的には、例えば他の医療行為を行う時期よりも前であるか後であるかや、何日間又は何時間前であるか若しくは何日間又は何時間後であるか、更に何日に一回行うかなどを示す。
図6において、設定手順情報220は、他の第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ210により示される医療行為の終了又は開始を基準に、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ210により示される医療行為の行われる時期の少なくとも相対的な前後関係を夫々規定する前後関係規定データ221を含む。このため、本実施の形態では、この前後関係規定データ221に従って、各医療行為データ211により示される医療行為の行われる実行時期が、処理部4により必要に応じて設定される。
設定手順情報220は、このような前後関係規定データ211に加えて、他の第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ211により示される医療行為の終了又は開始を基準に、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ211により示される医療行為の実行可能な時間範囲を夫々規定する時間範囲規定データ222を含む。このため、本実施の形態では、この時間範囲規定データ222に従って、各医療行為データ211により示される医療行為の行われる実行時期が、必要に応じて処理部4により設定される。更に、設定手順情報220は、このような前後関係規定データ221及び時間範囲規定データ222に加えて、各医療行為211の実行頻度を夫々規定する実行頻度規定データ223を含む。このため、本実施の形態では、この実行頻度規定データ240に従って、各医療行為データ211により示される医療行為の行われる実行時期(例えば、何日に一回行うかなど)が、必要に応じて処理部4により設定される。
図6において、本実施の形態では特に、第1オブジェクトファイル21は、実績情報230を含む。この実績情報230は、医療計画表中の一の医療行為を示す第1オブジェクトファイル21を、実際にその一の医療行為が実行された後に、実績ベースの医療行為データ211を含む実績データファイルとして機能させるためのものである。より具体的には、実績情報230は、当該各第1オブジェクトファイル21に対応する医療行為が予定ベースであるのか実績ベースであるのかを示す1ビットの実績状況データ231と、実際に行われた場合にその開始時刻及び終息時刻を夫々示す開始時期データ232及び終息時期データ233と、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる患者向説明データによる説明を患者に対して既に行った回数を示す説明表示回数データ234とを含む。
図6において、本実施の形態では特に、第1オブジェクトファイル21は、オーダ情報240を含む。オーダ情報240は、当該医療計画及び記録支援システムを後述のように従来公知のオーダーリングシステムとリンク可能とするためのオーダデータ241を含む。このオーダデータ241を各第1オブジェクトファイル21に記述しておけば、各第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ211により示される医療行為に連動して、検査予約、入院予約、手術の予約などのオーダを行うことが出来る。更に、オーダ情報240は、実際にオーダが行われた事実を示すオーダ実績データ242を含む。
複数の第1オブジェクトファイル21には夫々、各第1オブジェクトファイル21に固有の所定桁数のID番号データ250が付与され、図1において処理部4はID番号データ250により任意の第1オブジェクトファイル21をサーチすることができる。更に新規な第1オブジェクトファイル21が作成された場合には、新規なID番号データ250を付与するように構成されている。
複数の第1オブジェクトファイル21は夫々、実行時期データ260を更に含む。この実行時期データ260は、一連の医療計画をなす医療行為が指定され、或いは医療計画に変更が加えられた結果として設定手順情報220に従って処理部4により各実行時期が設定された際に、この設定された実行時期を示すデータとして、処理部4により生成され、当該第1オブジェクトファイル212に格納されるものである。従って、実行時期の設定に未だ関わらない第1オブジェクトファイル21の場合には、この実行時期データ260は存在しないか或いは所定のデフォールト値が記述されている。逆に、一旦実行時期が設定或いは再設定された場合には、当該第1オブジェクトファイル21を用いて医療行為データを表示する際には、その実行時期については、実行時期データ260に従えばよく、同じ設定動作を繰り返し行う必要はない。
図6において、第1オブジェクトファイル21は更に、状況選定手順情報271、状況表示マークデータ272及び状況表示位置データ273を含む。状況選定手順情報271は、処理部4に、定期的に或いは第1オブジェクトファイル21が更新される度にシステム時計9を参照させ、システム時計により計測された現在日時と実行時期データ260の示す実行時期との関係で、予め設定された複数種類の状況表示マーク201のうちの一つを選定させると共に医療計画表10内における実行時期の対応する表示座標を算出させる手順を示す情報である。このように状況選定手順情報271に従って選定された最新の状況表示マーク201の種類及び医療計画表10中の表示座標が、状況表示マークデータ272及び状況表示位置データ273として夫々第1オブジェクトファイル21に格納される。
次に、以上のように各種のデータを含む第1オブジェクトファイル21の参照、新規作成及び内容変更について、図6と共に図7を参照して説明する。図7は、各第1オブジェクトファイル21の参照、新規作成及び内容変更の際に、表示装置5に表示される入力画面600を示す。この入力画面600の各欄に表示されるテキストデータ、数値データ、コード等は、例えば、図2に示した医療計画表10中で特定の医療行為をカーソルで指定しての所定コマンドの実行により、この医療行為に対応する第1オブジェクトファイル21が含む基本情報210、設定手順情報220、実績情報230及びオーダ情報240(図6参照)に基づいて作成される。
本実施の形態では特に、図7に示す入力画面600で各欄に表示される各種のデータは、入力装置3(図1参照)を介して、新規入力、削除を含めて変更可能に構成されている。
基本情報210の一部をなすと共に所定のコードに分類された各医療行為データ211(図6参照)が示す医療行為は、例えば、このコードの変換用に記憶装置2内に予め格納されたマスターファイルが参照されて、図7において単語や短い文章を示すテキストデータとして“タイトル”の欄601に表示される。その右側にある“解説”の欄602には、タイトルだけでは各医療行為を特定できない場合に、基本情報210の一部をなすテキストデータ212(図6参照)に基づいて、その内容をより詳細に解説する単語や短い文章を示すテキストデータが表示される。“カテゴリ”の欄603には、医療行為のカテゴリがリストアップされており、そのうち“タイトル”の欄601に表示された医療行為に対応するカテゴリがハイライト表示されている。特に、“カテゴリ”の欄603では、入力装置3を用いたカーソル移動等により、階層的に用意された各種の医療行為を指定可能とされており、任意の医療行為を各第1オブジェクトファイル21に対して迅速に定義することができる。“患者番号”の欄604には、実際に特定の患者に対して或いは特定の疾病を有する仮想的な患者に対して医療計画を作成する際に当該各第1オブジェクトファイル21が用いられる場合に、基本情報210の一部をなす患者ID番号データ213(図6参照)に基づいて、この特定又は仮想の患者の患者ID番号が表示される。更に、“患者向説明”の欄605には、基本情報210の一部をなすテキストデータ212(図6参照)に基づいて、その内容を患者に分かり易く説明する単語や短い文章を示すテキストデータが表示される。“参照情報”の欄606には、基本情報210の一部をなす参照情報データ214(図6参照)に基づいて、当該各第1オブジェクトファイル21が実際の医療計画の一部として用いられる際に参照可能な詳細な情報の存在が、タイトル或いはID番号等により表示される。
従って、医師等の医療計画及び記録者は、これらの基本情報210に含まれる各種のデータ(図6参照)に基づく各欄601〜606を用いて、簡単に医療行為データ、患者ID番号データ等を参照、新規入力或いは変更することが出来、それに対応するテキストデータについても簡単に参照、新規作成或いは変更できる。
図7において、“予定”の欄607には、設定手順情報220をなす前後関係規定データ221、時間範囲規定データ222及び実行頻度規定データ223(図6参照)並びに実行時期データ260に基づいて、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データ211により示される医療行為の開始時刻、開始のきっかけ(他の関連する医療行為、開始指示など)、終息(終了)時刻、終息のきっかけ(他の関連する医療行為、終息指示など)及び経過時間が表示される。“期間中の活動”の欄608には、設定手順情報220をなす前後関係規定データ221、時間範囲規定データ222及び実行頻度規定データ223(図6参照)に基づいて、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる設定手順情報220に基づく処理部4による実行時期の設定処理が、医療行為の開始直後に行われるか、終息時に行われるか、後述の所定ファーマットの医療計画の表示画面上における所定項目のクリック時に行われるか、又は定期的に行われるかが黒丸マークにより表示される。
従って、医師等の医療計画及び記録者は、これらの設定手順情報220に含まれる各種のデータ(図6参照)に基づく各欄607及び608を用いて、簡単に前後関係規定データ221、時間範囲規定データ222及び実行頻度規定データ223を参照、新規作成或いは変更可能である。そして、このように各第1オブジェクトファイル21に含まれる設定手順情報220が変更されると、その後は、変更後の設定手順情報220に従って、処理部4により実行時期が設定されるようになる。このため、医療計画及び記録者は、処理部4による設定手順自体に対し、自らの経験や好みに応じて修正を加えることが可能となる。例えば、特定の手術後に特定の薬剤を投与する時期などに対し修正を加えることも可能となる。尚、実行時期が設定或いは再設定されると、その設定或いは再設定された実行時期を示す最新の実行時期データ260が、第1オブジェクトファイル21に格納され、更に、この最新の実行時期データ260に従って、入力画面600における医療行為の開始時刻及び終息時刻等も更新される。
図7において、“状況実績”の欄609には、実績情報230の一部をなす状況実績データ231(図6参照)に基づいて、当該各第1オブジェクトファイル21に対応する医療行為が既に実行されたか否かが示される。既に医療行為が実行された場合には、開始時期データ232に基づいて、“開始時刻”の欄610にその開始時刻(日付けを含んでもよい)が表示され、終息時期データ233に基づいて、“終息時刻”の欄611にその終息時刻(日付けを含んでもよい)が表示される。
従って、医師等の医療計画及び記録者は、第1オブジェクトファイル21を用いた医療計画において、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる医療行為データにより示される医療行為が実行された際に、各欄609〜611を用いて、簡単に実績情報を入力可能であり、後にこれらの情報を容易に参照できる。
“説明表示回数”の欄612には、実績情報230の一部をなす説明表示回数データ234(図6参照)に基づいて、当該第1オブジェクトファイル21に含まれる患者向説明データによる説明を患者に対して既に行った回数が示される。
従って、医師等の医療計画及び記録者は、患者に対して説明を行う度にそれが何回目であるかを入力しておけば、後に“説明表示回数”の欄612を参照するだけで、同一の医療行為について患者に既に説明したか否か或いは十分に説明したか否かを医師は、瞬時に理解できる。このため、インフォームドコンセプトの観点から便利であり、更に事後的に説明されたか否かの論議に対する事実を示す証拠としても便利である。
また、“オーダ”の欄613には、オーダ情報240の一部をなすオーダデータ241に基いて、オーダを行うか否かが黒丸マークにより表示され、且つオーダを行う場合におけるオーダする項目が表示される。更に、“オーダの実績”の欄614には、オーダ実績データ242に基いて、実際に実行されたオーダの名称、各オーダが依頼された日時及びオーダが実行された日時等が表示される。
従って、医師等の医療計画及び記録者は、この“オーダ”の欄613を利用して、瞬時に院内の各部門の端末装置に情報を送って薬の手配、会計等の作業開始を早める従来公知のオーダーリングシステムの機能を当該医療計画及び記録支援システムに果たさせることが可能となる。更に、“オーダの実績”の欄614を参照することにより、各オーダが確かに行われたか否かを簡単に確認できる。
尚、以上図7を参照して、第1オブジェクトファイル21に含まれる基本情報210、設定手順情報220等の入力画面600上における新規入力及び変更について説明したが、これらの情報のうちの少なくとも一部の情報は、入力画面600上に限らず、図2に示したフォーマットの医療計画を示す画面内で、新規入力及び変更可能としてもよく、図2に示したフォーマットの医療計画を示す画面内に別に入力変更用のメニュー画面等をウインドウ表示して、新規入力及び変更可能としてもよい。このように入力画面600上以外で、基本情報210、設定手順情報220等を新規入力又は変更した場合にも、第1オブジェクトファイル21の格納内容は更新され、その後に入力画面600を表示すると、この更新された第1オブジェクトファイル21の格納内容に応じた最新の各種データが表示されることになる。
次に、記憶装置2内に論理的に構築される第2オブジェクトファイル31の具体的な論理構成について図8を参照して説明する。
図8に示すように、第2オブジェクトファイル31は、日時位置算出手順情報311及び現在日時マークデータ312を含む。日時位置算出手順情報311は、処理部4に、定期的に或いは第1オブジェクトファイル21が更新される度にシステム時計9を参照させ、システム時計により計測された現在日時と医療計画表10の日付け欄中の対応する日付の表示座標との関係で、医療計画表10内における現在日時位置の表示座標を算出させる手順を示す情報である。他方、現在日時マークデータ312は、医療計画表10中における現在日時マーク202の形状を規定するデータであり、複数種類の現在日時マークを表示可能なように、現在日時マークデータを書き換え可能に構成してもよいし、複数の現在日時マークの形状を示すデータを複数登録しておき何れか一つをアクティブ状態にするように構成してもよいし、或いは、現在日時マーク202の種類については簡単のため固定してもよい。
次に、以上のように構成された医療計画及び記録支援システム1における、医療計画表10の表示動作について図9のフローチャートを参照して説明する。
図9において、医療計画及び記録システム1における医療計画表10の表示機能が起動されると、先ず表示しようとする医療計画表10に係る一の患者コードが入力装置3で指定される(ステップS1)。このように特定患者に係る医療計画表10を呼び出す際の画面としては患者一覧リスト、当該患者についての電子カルテなど各種の呼び出し画面が考えられる。すると、この指定された患者コードに対応する一連の医療計画をなす複数の医療行為の夫々について、第1オブジェクトファイル21が処理部4に取り込まれ、第2オブジェクトファイル31も処理部4に取り込まれる(ステップS2)。次に、第1オブジェクトファイル21に格納された医療行為データ211及び実行時期データ260(図6参照)に基づいて、フォーマット情報により日付け欄及び医療行為の種類欄並びにその枠組みが規定される医療計画表10の各セル10a内に、医療行為データ211を表示するための主表示データが処理部4により生成される(ステップS3)。更に、第1オブジェクトファイル21に格納された状況選定手順情報271(図6参照)に従って、処理部4によりシステム時計9が参照され(ステップS4)、システム時計9により計測された現在日時と第1オブジェクトファイル21に格納された実行時期データ260(図6参照)により示される実行時期との関係に応じて、複数種類の状況表示マーク201のうちの一つが選定される(ステップS5)。例えば、現在日時が計画された実行時期とが重なっている又は極近い場合には、活動中マーク(早急に又は現在実行されることを示すマーク)が選定され、現在日時が計画された実行時期を過ぎてしまった場合には、未実行マーク(計画したのに実行されなかったことを示すマーク)が選定される(図5(b)参照)。そして、このように選定された状況表示マーク201が、医療計画表10中の対応する医療行為データ211に重ねて又は隣接して表示するための第1副表示データが処理部4により生成される。この際、医療計画表10の日付け欄の座標に基づいて状況表示マーク201が図2、図3(a)、図4及び図5に示したようなセル10a内で表示されるべき表示座標も算出される(ステップS6)。そして、選定された状況表示マーク201は、最新の状況表示マーク201であるとして第1オブジェクトファイル21に状況表示マークデータ272(図6参照)として登録され、算出された表示座標は、第1オブジェクトファイル21に状況表示位置データ273(図6参照)として登録される。
他方で、処理部4によりシステム時計9が参照されると(ステップS4)、上述のステップS5及びステップS6と平行して、第2オブジェクトファイル31に格納された日時位置算出手順情報311(図8参照)に従って、第2医療計画表10中の一日の幅を24時間に換算した場合における計測された現在日時に対応する医療計画表10中の現在日時位置が、処理部4により算出される(ステップS7)。そして、第2オブジェクトファイル31に格納された現在日時マークデータ312(図8参照)に従って、この算出された現在日時位置に、図2から図5に示したような現在日時マーク202を表示するための第2副表示データが処理部4により生成される(ステップS8)。
次に、表示装置5により、主表示データに第1副表示データ及び第2副表示データが重ねられてなる表示データに基づき、図2から図5に示したような状況表示マーク201及び現在位置マーク202が付けられた医療計画表10が表示される(ステップS9)。
次に、予め設定された現在日時マーク202の更新周期が経過したか否かタイマにより随時モニタされる(ステップS10)。同時に、新たな医療行為データ211が入力されたり、表示中の医療計画表10に対して何らかの変更(日付け欄のサイズの変更、表示されている医療行為データ211の内容変更)が行われたり、強制的に現在日時マーク202や状況表示マーク201の更新命令が入力されるたりなどにより、現在表示中の医療計画表10の基準となる現在日時を更新すべきか否かがモニタされる(ステップS11)。ステップS10で更新周期が経過した場合(ステップS10:YES)には、ステップS4にもどり、上述の各ステップS4からステップS9が繰り返されて、第1副表示データ及び第2副表示データが更新される。ステップS11で更新すべきと判定された場合には(ステップS11:YES)には、ステップS3にもどり、上述の各ステップS3からステップS9が繰り返されて、主表示データ、第1副表示データ及び第2副表示データが更新される。他方、ステップS10及びステップS11のモニタ中に(ステップS10:NO且つステップS11:NO)、当該医療計画表10の表示を終了する命令が入力されたか否かが判定され(ステップS12)、終了する命令が入力された場合には(ステップS12:YES)、一連の医療計画表の表示処理を終了する。
この結果、時間が経過することを除いて状況に変化がない場合にも、自動的に現在日時マーク202及び状況表示マーク201が更新される。更に、入力装置3により、医療行為データ211や実行時期データ260が入力(データの新規入力や既存データの内容変更等)される場合などには、現在日時マーク202及び状況表示マーク201と共に医療行為データ211も更新される。以上のように本実施形態によれば、最新の医療行為データ211及び実行時期データ260が反映された医療計画表10並びに状況表示データ201及び現在日時データ202を表示できる。尚、このようなシステム時計9により計測される現在日時としては、実際の現在日時でも良いし、ビデオテープの早送り再生の如く時間の経過速度が早められた、或いは不連続的に経過する、教育用や研究用のシミュレーションを行うための仮想の現在日時でも良い。
本実施形態では特に、上述したように第1オブジェクトファイル21は、一連の医療計画をなす複数の医療行為の各々について少なくとも相対的な実行時期を設定するための設定手順情報220を格納しており(図6参照)、これに従って、医療行為の実行時期が設定される。従って、相互に複雑に関連する複数或いは多数の医療行為が一連の医療計画をなすような場合に、医師等の医療計画及び記録者が、実行時期データ260を直接指定しなくても、複数の医療行為間の前後関係や時期的な関係が適切に規定された医療計画が作成されるので便利である。また、一旦作成された一連の医療計画をなす複数の医療行為に対して、例えば医療行為を追加、変更或いは削除することにより複数の医療行為を新たに指定する場合等にも、各医療行為の実行時期が自動的に設定されるので大変便利である。
また、本実施形態では、一連の医療計画をなす複数の医療行為を示す複数の医療行為データ211を含む複数の第1オブジェクトファイル21を一組とするデータセットを、個々の患者に割り当てられる患者コード(例えば、所定桁の数値コード)に対応付けて記憶装置2に格納してもよい。或いは、各データセットを、予め設定された複数種類の疾病(例えば、心筋梗塞、肺炎、胃癌、脳梗塞等)のうちの個々の疾病に割り当てられる疾病コード(例えば、所定桁の数値コード)に対応付けて記憶装置2に格納してもよい。或いは、各データセットを、少なくとも主訴を含む予め設定された複数種類の患者属性(例えば、性別、年齢、体質、主訴等)のうちの個々の患者属性に割り当てられる患者属性コード(例えば、所定桁の数値コード)に対応付けて記憶装置2に格納してもよい。このようにすれば、その後に、入力装置3により患者コード、疾病コード又は患者属性コードを指定することで、その指定されたコードに対応するデータセットを指定できるので便利である。特に、任意の患者について一旦医療計画を作成しておけば、患者コードの指定により、その後は当該患者に対する医療計画を記憶装置2から呼び出して簡単且つ迅速に表示でき、その変更作業についても迅速に行うことが可能となる。また、任意の疾病について一旦医療計画を作成しておけば、疾病コードの指定により、その後は当該疾病に対する医療計画を記憶装置2から呼び出して簡単且つ迅速に表示でき、その変更作業についても迅速に行うことが可能となる。更にまた、任意の患者属性について一旦医療計画を作成しておけば、患者属性コードの指定により、その後は当該患者属性に対する医療計画を記憶装置2から呼び出して簡単且つ迅速に表示でき、その変更作業についても迅速に行うことが可能となる。特に各疾病(疾病コード)に応じた標準的な医療計画や患者属性(患者属性コード)に応じた標準的な医療計画は、特定の患者の医療計画を作成する際の元としての汎用性が高い。このため、主な各疾病(疾病コード)に応じた標準的な医療計画や主な患者属性(患者属性コード)に応じた標準的な医療計画を示すデータセットについては、コンピュータプログラムと共に記録媒体8aに予め格納しておき、コンピュータプログラムをロードする際に一緒にロードするように構成してもよい。或いは、ほぼ全ての疾病(疾病コード)に応じた標準的な医療計画やほぼ全ての患者属性(患者属性コード)に応じた標準的な医療計画を示すデータセットについては、大型記憶装置に予め格納しておき、この大型記憶装置及び通信装置を有するコンピュータから、各医療計画及び記録支援システム1が通信部7(図1参照)を介して、所望の疾病コードや患者属性コードに対応するデータセットをダウンロードするように構成してもよい。
尚、本実施形態では好ましくは、医療計画表10が表示された状態において、入力装置3を介して医療計画表10中における所望の日付け欄の幅を外部指定可能であり、処理部4は、入力装置3により日付け欄の幅が変更されると、主表示データ、第1副表示データ及び第2副表示データを更新する(即ち、日付け欄の幅が変更されると図9のステップS9において更新すべき場合となり、ステップS3からステップS9の処理が再度行われる)ように構成されている。この様に構成すれば、日付け欄の幅を変更しても、適切な現在日時位置に現在日時マーク202が表示され、且つ適切な位置に状況表示マーク201が表示される。このような日付け欄の幅は、所望の一日(例えば、本日)における日付け欄の幅のみを局所的に変更する(例えば、広げる)場合と、医療計画表全体に渡って一律に日付け欄の幅を変更する場合とがある(但し、これらの場合には、同時に表示される医療計画表の部分が変わる)。
以上詳細に説明したように第1実施形態の医療計画及び記録支援システム1によれば、医療計画表10を表示しつつ、この中に表示された各医療行為データ203がどのような実行状況にあるのかを状況表示マーク201及び現在日時マーク202により容易且つ迅速に認識することが可能となり、しかも係る状況表示マーク201は、時間の経過と共に自動的に変更されるので、面倒な状況情報の再設定操作を行わないで済むため大変便利である。更に、時間の進行に伴って早急に実行すべき状況に至ったことを医療計画表10上で状況表示マーク201及び現在日時マーク202により瞬時に認識できるので、この医療行為を確実に実行することが可能となる。また、予定に反して未実行であった医療行為についても、医療計画表10上で状況表示マーク201及び現在日時マーク202により瞬時に認識できる。例えば、医療行為を実行し忘れた場合にも、後で確実に計画を立て直して実行できるので便利である。更に、緊急患者の出現等により計画された全ての患者について全ての医療行為を行うことが物理的に不可能である場合などに、医療計画表10を見ることで、重要度の低い医療行為については敢えて計画倒れ(即ち未実行)として重要度の高い医療行為については確実に実行することも可能となり、最悪の事態を回避しつつ計画倒れに終わった医療行為については後で確実に計画を立て直して実行できるので大変便利である。
(医療計画表の変形例)
図10に、第1実施形態において表示装置5及び印刷装置6により、出力可能な医療計画表の他の例を示す。この例では、医療計画表20の各セル20a中で、各医療行為データ211は、設定された時刻毎に縦に(更に一部については適すと表示された実行時刻データ260と共に)並べられて出力される。そして、各医療行為データ211に隣接して状況表示マーク201が表示されており、↓状の現在日時マーク202が表示されている。現在日時マーク202に隣接して現在日時(実測中の現在時刻又は当該医療計画表20が更新された最新時刻)もデジタル表示されている。
図11に、第1実施形態において表示装置5及び印刷装置6により、出力可能な医療計画表の他の例を示す。この例では、医療計画表30の少なくとも一部の医療行為データ211については、日付け毎に並べるだけでなく、該所定時間毎に並べられて出力される。より具体的には、例えば、6時間毎の医療行為211を一つのセル30a内にまとめて、6時間毎に並べた医療計画表30が出力される。6時間の他に、1、2、3、4、8又は12時間といった24時間を区分しやすい時間を単位とするのが好ましいが、昼を長くし夜を短くするなど任意の長さの時間に区分することが可能である。そして、各セル30a中で、各医療行為データ211は、設定された時刻毎に縦に実行時期データ260と共に並べられて出力される。各医療行為データ211に隣接して(実行時刻データ260に重ねられて)状況表示マーク201が表示されており、ライン状の現在日時マーク202が表示されている。現在日時マーク202が位置する所定時間及び本日部分(ハッチング領域)202’は、ハイライト表示されている。
図12に、第1実施形態において表示装置5及び印刷装置6により、出力可能な医療計画表の他の例を示す。この例では、少なくとも一部の医療行為データ211については日付け毎に並べる代わりに、医療行為データ211を連続した複数日単位にまとめて該複数日毎に並べた表形式のフォーマットにより出力される。より具体的には、例えば、1箇月毎の医療行為を一つのセル40a内にまとめて、1箇月毎に並べた医療計画表40が出力される。1箇月の他に、3日、1週間、1年又は10年といった分かりやすい期間を単位とするのが好ましいが、入院の間は単位となる期間を短くし通院の間は期間を長くするなど任意の長さの期間に区分することが可能である。そして、各セル40a中で、実行時刻データ260(但し、月日を示す部分のみ)及び医療行為データ211に隣接して状況表示マーク201が表示されており、ライン状の現在日時マーク202が表示されている。現在日時マーク202に隣接して現在日時(実測中の現在日時又は当該医療計画表20が更新された最新日時)もデジタル表示されている。
図13に、本実施の形態において表示装置5及び印刷装置6により、出力可能な医療計画表の他の例を示す。この例では、医療行為データ211には、複数の日付けについて記録された所定の医療行為に関連する数値データ(例えば、日毎に測定された体温データ、血圧データ、血液中の所定成分濃度データなど)などの詳細を示す参照情報データ214(図6参照)が紐付けられている。そして、表示装置5の画面51の一部分に表52が表示されると共に数値データが画面51の他の部分に表52の日付けの並びに対応した軸を持つグラフとして表示される。即ち、図13に示すように、表示画面51の下部には、表52が表示され、この上部余白には、A項目(例えば、体温)についての数値データを示す折れ線グラフ53及びB項目(例えば、血圧)についての数値データを示す折れ線グラフ54が表52の日付けを時間軸として表示される。そして、各セル52a中で、各医療行為データ211に隣接して又は重ねて状況表示マーク201が表示されており、ライン状の現在日時マーク202が表示されている。現在日時マーク202が位置する本日部分(ハッチング領域)202’は、ハイライト表示されている。
尚、図10から図13を参照して説明した医療計画表の各変形例は、第1実施形態に適用できるばかりでなく、以下に説明する他の実施形態に対しても適用可能である。
(第2実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第2実施形態を図1、図2、図3、図4及び図9を参照して説明する。
第1実施形態は、図1、図2及び図9に示したように医療計画表10中に状況表示マーク201及び現在日時マーク202を表示するように構成されている。これに対し、第2実施形態では、図3(a)、図3(b)及び図4に示したように日付の欄を24時間換算した場合における各医療行為の実行時期の対応する位置に状況表示マーク201を表示するが、現在日時マーク202を表示しない。即ち、第2実施形態の医療計画及び記録システムは、図1に示したハードウエア構成において、第2オブジェクトファイル31が省略されており、且つ図9に示したソフトウエア構成において、現在日時マーク202を表示するためのプロセス(ステップS7及びステップS8)が省略されている。その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。
このように構成すれば、第1実施形態と比べて現在日時マーク202を見ることができない分だけ不便であるが、ハードウエア及びソフトウエア構成の簡略化を図りつつ現在日時との関係で異なる実行状況(時間の経過に伴って自動的に更新される実行状況)を表示する状況表示マーク201を医療計画表10上で見ることができる利点は維持される。
尚、現在日時マーク202を表示しないまでも、日付け欄における本日に対応する部分を、図11及び図13に示した変形例の如く、ハイライト表示して本日が医療計画表10上でどこに位置するのかが表示上明確となるように構成してもよい。
(第3実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第3実施形態を図1、図2及び図9を参照して説明する。
第1実施形態は、図1、図2及び図9に示したように医療計画表10が表示された状態において、基準となる現在日時を更新すべきと判定した場合に、処理部4が主表示データ、第1副表示データ及び第2副表示データを更新するように構成されている(図9のステップS11等参照)。これに対し、第3実施形態では、入力装置3により日付け欄の幅が指定(変更や初期設定)されると、該指定された幅に応じた情報量分だけ医療行為データ211のうちの少なくとも一部を表示するように主表示データを生成する。例えば、日付け欄の幅やセル10aのサイズが小さく設定された場合には、医療行為データ211の例えば、先頭側の所定文字数分のみやイニシャル或いは略式記号のみが表示され、日付け欄の幅やセル10aのサイズが大きく設定された場合には、医療行為データ211が全て表示され、更に、各セル10a内のスペースに余裕があると判定された場合には、医療行為データ211のより詳細を示すデータが該医療行為データ211と共に表示する。更に、日付け欄の幅を予め設定された幅以上に広げると、医療行為データ211に関する詳細項目(例えば、図6に示した参照情報データ214など)が自動的に出現するように構成してもよい。即ち、第3実施形態の医療計画及び記録システムは、図1に示したハードウエア構成を有しており、且つ図9に示したソフトウエア構成において、主表示データを生成するプロセス(ステップS3)で各セル10aの幅に応じた情報量だけ医療行為データ211を表示するように主表示データを生成する(例えば、各セル10aの幅を基準幅と比較して、比較結果に応じて表示する情報量を決定した上で主表示データを生成する)点が異なる。その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。
日付け欄の幅やセル10aのサイズの変更に対しては、基本的に表示される医療行為データ211のフォントの大きさを調整すれば足りるが、第3実施形態のように、日付け欄の幅やセル10aのサイズの変更に対して、表示すべき情報量を調整することにより、一定範囲のサイズのフォントを用いて医療行為データ211を各セル10a内に表示できるので、表の見易さを確保するためには、セル10a内に表示する医療行為データ211の情報量を調整することは有利である。
(第4実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第4実施形態を図1、図2及び図9並びに図14を参照して説明する。尚、図14は、第4実施形態の医療計画及び記録システムにより表示される医療計画表10の一つのセル10aに係る部分を拡大して示す概念図である。
第1実施形態は、図1、図2及び図9に示したように、医療行為の大分類毎に各セル10aが規定され且つ各大分類に属する複数の小分類の医療行為データ211が同一セル10a内に配列されたフォーマットで医療計画表10を表示するように構成されている。これに対し、図14に示すように、第4実施形態では、日付け欄の幅Wdが所定幅よりも狭い場合には(図14の右側参照)、各セル10a内に同一小分類(同一名称)の医療行為データ211を並列に並べて表示し、日付け欄の幅Wdが所定幅よりも広い場合には(図14の左側参照)、各セル10a内に同一小分類(同一名称)の医療行為データ211を直列に並べて表示するように主表示データを生成するように構成されている。即ち、第4実施形態の医療計画及び記録システムは、図1に示したハードウエア構成を有しており、且つ図9に示したソフトウエア構成において、主表示データを生成するプロセス(ステップS3)で各セル10aの幅Wdに応じて同一セル10a内にて同一小分類の医療行為データ211を並列に並べて表示するか直列に並べて表示するかを判定した上で主表示データを生成する(例えば、各セル10aの幅Wdを基準幅Wrefと比較して、比較結果に応じて表示する並列か直列かを判定した上で主表示データを生成する)点が異なる。そして、各セル10aの高さWkについても、同一小分類の医療行為データ211を並列に並べてもセル10a内に入るように変更を加える。更に、変更後のセル10aの幅Wdを基準として状況表示マーク201及び現在日時マーク202の位置の算出が行われる。その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。
従って、第4実施形態によれば、同一セル10a内に配置される2つの同一小分類の医療行為データ211が、日付け欄の幅Wdが狭い結果として重なりの度合いが強くて見え難いという事態を未然防止できる。しかも、同一セル10a内に配置される2つの同一小分類の医療行為データ211が、日付け欄の幅Wdが広いのに並列に並べて表示されてセル10a内のスペースを無駄使いする事態を未然防止できる。
尚、上述した第1から第4実施形態においては好ましくは、同一小分類の医療行為データを、同一大分類に対応する複数のセル10aに跨って一列に並べるフォーマットで医療行為データを生成する。言い換えれば、たとえ同一セル10a内に複数の小分類の医療行為データが無くても日付けを異にして隣接する複数のセル10a内に或いは同一医療計画表中のいずれかの日付けのセル10a内に、同一大分類に属する複数の小分類の医療行為データがある場合には、各セル10a内における各小分類の医療行為データの位置が一定に維持される(例えば、複数のセル10aに跨って一つの行が一つの小分類に専用的に割り当てられている)。このように構成すれば、全体として同一小分類の医療行為の日付毎の有無を非常に視認し易くなる。但し、殆ど医療行為データが存在しない小分類に対応する行については専用行を間引く処理(即ち、その小分類の医療行為データについては例外的に他の類似の小分類の行やその付近の行に含めてしまう処理)処理を行うようにしてもよい。
また、上述した第1から第4実施形態では、各セル10a内にある同一小分類に属する医療行為データを、各医療行為の実行時期の相異に対応する長さだけずらしつつ直列(即ち同一行)に重ねて並べて表示してもよい。このように構成すれば、医療計画表における各セル10aの幅が該各セル10a内に表示される同一小分類に属する2以上の医療行為データの表示幅に比べて小さければ、これらの医療行為データは、相互に重なりの度合いが比較的強くなり、逆に医療計画表における各セル10aの幅が該各セル10a内に表示される同一小分類に属する2以上の医療行為データの表示幅に比べて大きければ、これらの医療行為データは、相互に重なりの度合いが比較的弱くなる。よって、これらの医療行為データを見易くするためには、これらの実行時間の近さに依存する重なりの度合いに応じて、入力装置3を用いて適宜各セル10aの幅を広げて表示すればよい。
(第5実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第5実施形態を図15及び図16を参照して説明する。尚、図15は、第5実施形態の医療計画及び記録システムの一動作を示す概念図であり、図16は、第5実施形態の医療計画及び記録システムの他の動作を示す概念図である。
上述の第1から第4実施形態では、医療行為の種類を分ける(言い換えれば、各医療行為を医療計画表の種類欄のいずれかに割り振る)のが困難な場合もある。即ち、一の医療行為は、医療行為の種類A(医療計画表の種類欄A)及び種類B(医療計画表の種類欄B)のどちらに分類されても良いこともある。更に、デフォールト設定されたか若しくは医療計画及び記録者により選択又は修正された医療計画表を構成する種類欄に応じて、一の医療行為が、種類Aに分類されても良く且つこの種類Aに含まれる又はこの種類Aを含む種類A’に分類されても良いこともある。
そこで、第5実施形態では、図15の上側部分に示すように、第1オブジェクトファイル21a、21b、21c、21d、…は夫々、マルチプル関連情報301a、301b、301c、301d、…を有する。そして、図2に示した医療計画表10中に存在する種類欄に応じて、第1オブジェクトファイル21a、21b、21c、21d、…は夫々、各マルチプル関連情報301に含まれる対応分類データ及び優先順位データを参照して、各オブジェクトファイル自身がどの種類欄に対応するのかを探し出す。例えば、図20の上側部分に示されているように、第1オブジェクトファイル21aのマルチプル関連情報301aは、第1オブジェクトファイル21aが、最高優先順位(優先順位第1位)で“内服”という種類に属するべき、第2優先順位(優先順位第2位)で“投薬”という種類に属するべき、第3優先順位(優先順位第3位)で“処置”という種類に属するべき、…を示す対応分類データ及び優先順位データを持つ。第2オブジェクトファイル21bのマルチプル関連情報301bは、第2オブジェクトファイル21bが、最高優先順位で“注射”という種類に属するべき、第2優先順位で“投薬”という種類に属するべき、第3優先順位で“処置”という種類に属するべき、…を示す対応分類データ及び優先順位データを持つ。第3オブジェクトファイル21cのマルチプル関連情報301cは、第3オブジェクトファイル21cが、最高優先順位で“精密検査”という種類に属するべき、第2優先順位で“検査”という種類に属するべき、第3優先順位で“診察”という種類に属するべきこと、…を示す対応分類データ及び優先順位データを持つ。第4オブジェクトファイル21dのマルチプル関連情報301dは、第4オブジェクトファイル21dが、最高優先順位で“定期検査”という種類に属するべき、第2優先順位で“検査”という種類に属するべき、第3優先順位で“検診”という種類に属するべき、…を示す対応分類データ及び優先順位データを持つ。
従って、図20の左下部分に示した医療計画表10が現在表示されている場合には、即ち、医療計画表10の種類欄に“内服”、“注射”、“検査”という種類が存在している場合には、第1オブジェクトファイル21aは、そのマルチプル関連情報301a(最高優先順位が、“内服”に与えられている)の優先順位データに従って“内服”に対応付けられる。この場合、第2オブジェクトファイル21bは、そのマルチプル関連情報301b(最高優先順位が、“注射”に与えられている)の優先順位データに従って“注射”に対応付けられる。この場合、第3オブジェクトファイル21cのマルチプル関連情報301cにより最高優先順位が与えられている“精密検査”が医療計画表10の種類欄に存在しない一方で、第3オブジェクトファイル21cは、そのマルチプル関連情報301c(第2優先順位が、“検査”に与えられている)の優先順位データに従って“検査”に対応付けられる。更にこの場合、第4オブジェクトファイル21dのマルチプル関連情報301cにより最高優先順位が与えられている“定期検査”が医療計画表10の種類欄に存在しない一方で、第4オブジェクトファイル21dは、そのマルチプル関連情報301d(第2優先順位が、“検査”に与えられている)の優先順位データに従って“検査”に対応付けられる。
他方、図20の右下部分に示した医療計画表10’が現在表示されている場合には、即ち、医療計画表10’の種類欄に“投薬”、“精密検査”、“定期検査”という種類が存在している場合には、第1オブジェクトファイル21aは、そのマルチプル関連情報301aの優先順位データに従って“投薬”に対応付けられる。この場合、第2オブジェクトファイル21bは、そのマルチプル関連情報301bの優先順位データに従って“投薬”に対応付けられる。この場合、第3オブジェクトファイル21cは、そのマルチプル関連情報301cの優先順位データに従って“精密検査”に対応付けられる。更にこの場合、第4オブジェクトファイル21dは、そのマルチプル関連情報301dの優先順位データに従って“定期検査”に対応付けられる。
このように、第5実施形態によれば、医療計画表中に存在する種類欄が、固定されておらず医師等の医療計画及び記録者の好みに応じて各種形態に変えられる場合にも、マルチプル関連情報301a、301b、301c、301d、…に基づいて、第1オブジェクトファイル21a、21b、21c、21d、…を夫々、適切な種類欄に対応付けることが可能である。
加えて、各第1オブジェクトファイル自身が属する種類欄を探し出すことができない当該第1オブジェクトファイルが存在する場合には、その旨を示すエラーメッセージが出力されてもよい。或いは、本実施形態は、第1オブジェクトファイルのマルチプル関連情報に従って、現在表示されている医療計画表中に当該第1オブジェクトファイル用の空間(即ち、新しい種類欄)を作るように自動的に医療計画表をフォーマットし直す動作が行われるように構成されてもよい。
更にまた、本実施形態は、第1オブジェクトファイルのマルチプル関連情報301(図15参照)又は医療行為データ211(図6参照)に従って、現在表示されている医療計画表中にいずれの第1オブジェクトファイルにも対応付けられない種類欄を間引くように、自動的に医療計画表をフォーマットし直す動作が行われるように構成されてもよい。
即ち、図16の上側部分に示すように、医療計画表10中に空の行が存在する(即ち、“注射”の行及び“リハビリテーション”の行は夫々空の行である)場合には、空の行は、第1オブジェクトファイル21に従って、自動リフォーマッティング動作により間引かれ、図16の下側部分に示すように空の行が存在しない医療計画表10’が表示されてもよい。従って、表示装置における限られた表示領域内で医療計画表10’を効率的に見ることが可能となる。
同様に、医療計画表10に空の列が存在する場合には、空の列は、第1オブジェクトファイル21に従って、自動リフォーマッティング動作により間引かれ、この結果、空の列が存在しない医療計画表が表示されてもよい。
(第6実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第6実施形態を図1、図2、図9及び図17を参照して説明する。
第1実施形態は、図2に示したように医療計画表10中の横軸12に日付け欄(即ち、X年Y月Z日を示す絶対的な日付け欄)を表示するように構成されている。これに対し、第6実施形態では、図17に示すように、絶対的な日付け欄に並行して所望の基準日(この例では、“手術日”)を基準とする相対的な日付け欄12’を有している。そして、現在日時マーク202が付けられた本日に対応する相対的な日付け部分(この例では、“術後14日目”)202aをハイライト表示する。即ち、第6実施形態の医療計画及び記録システムは、図1に示したハードウエア構成を有しており、且つ図9に示したソフトウエア構成において、主表示データを生成するプロセス(ステップS3)で、フォーマット情報に従って絶対的な日付と並行して相対的な日付け欄を表示するように主表示データを生成する点が異なる。そして、現在日時位置を算出した後に(ステップS7)第2副表示データを生成する際に(ステップS8)、本日に対応する相対的な日付け部分に対して、表示輝度、明度、彩度、表示方法、フォント等を局所的に変化させる処理を行う。その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。
(第7実施形態)
本発明の医療計画及び記録支援システムの第7実施形態を図1、図2、図9及び図18を参照して説明する。
第1実施形態は、図2に示したように医療計画表10中の横軸12に日付け欄(即ち、X年Y月Z日を示す絶対的な日付け欄)を表示するように構成されている。これに対し、第7実施形態では、図18に示すように、絶対的な日付け欄に並行して当該医療計画表に係る一の患者に対する一連の治療期間を所定カテゴリ別に区切ったフェーズ欄12”を有している。そして、現在日時マーク202が付けられた本日に対応するフェーズ部分202b(この例では、“入院中”)をハイライト表示する。即ち、第7実施形態の医療計画及び記録システムは、図1に示したハードウエア構成を有しており、且つ図9に示したソフトウエア構成において、主表示データを生成するプロセス(ステップS3)で、フォーマット情報に従って絶対的な日付と並行してフェーズ欄12”を表示するように主表示データを生成する点が異なる。そして、現在日時位置を算出した後に(ステップS7)第2副表示データを生成する際に(ステップS8)、本日に対応するフェーズ部分202bに対して、表示輝度、明度、彩度、表示方法、フォント等を局所的に変化させる処理を行う。尚、フェーズ欄12”の区切りについては、第1オブジェクトファイル21中の実行時期データ260及び医療行為データ211が参照されて(図6参照)又は入力装置5を介しての外部指定により決定される。その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態を図19を参照して説明する。
図19において、第8実施形態の医療計画及び記録支援システムは、通信回線を介して結ばれた複数のユニットを含み、複数の第1オブジェクトファイル21は、一方のユニットの一例であるセンター装置1a側に備えられており、入力装置3、処理部4b、表示装置5及び通信部7bは、他方のユニットの一例である端末装置1b側に夫々備えられている。センター装置1aは、大型コンピュータ、ホストコンピュータ、サーバ等からなり、第1オブジェクトファイル21を格納する大規模の記憶装置2aを有する。端末装置1bは、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、モバイルコンピュータ(携帯型情報端末)、電子手帳等からなる。そして、例えば、センター装置1aの記憶装置2aに格納された複数の第1オブジェクトファイル21と、端末装置1bに備えられた入力装置3、処理部4b及び表示装置5とは、有線、無線、専用回線、一般回線、電話回線等の通信回線を介して結ばれている。従って、センタ装置1aに設けられた大規模な記憶装置2aに複数の第1オブジェクトファイル21を備えておき、端末装置1bを複数配備する構成を採ることにより、複数の端末装置1bで同じデータを共用することも可能となる。処理部4については、処理部4a及び4bのように、センタ装置1a及び端末装置1bのどちらに備えて構成してもよい。尚、こ実施形態では、センタ装置1aの記憶装置2aに格納された多数の第1オブジェクトファイル21やデータセットを複数の端末装置1bで共有できるので且つ各端末装置1bには多数の第1オブジェクトファイル21を格納するだけの大規模の記憶装置が不要となるので実践上有利である。
最後に、以上実施形態において用いられた医療計画及び記録支援システムの機能を図20に概念的に示す。
図20に示すように、医療計画及び記録支援システム1の機能は、図1に示した表示装置5、入力装置3等により実現される画面操作機能13、表示装置5等により実現される表示機能14並びに通信部7、処理部4等により実現される各システムのインタフェース機能15を統合するものである。画面操作機能13は、新規入力機能13a、追加・変更入力機能13b及び削除機能13cを統合するものである。また、表示機能14は、医療行為データを所定フォーマット(図2、図3及び図15参照)を表示する機能14a、詳細医療データを用いて結果を表示する結果表示機能14b、詳細医療データを用いてグラフを表示するグラフ機能14c及び表示装置5の画面倍率を変更するための画面倍率変更表示機能14dを統合するものである。
更に、各システムインターフェース機能15は、各種オーダー機能15a、電子カルテ機能15b及び医事会計システム15cを統合するものである。尚、ここに、各種オーダー機能15aは、各システムインターフェースから通信部を介して受信される、例えば診療部門からの薬剤オーダー等を受けて薬剤リストを画像出力可能に構成された薬剤用装置等で用いられる。本実施の形態では特に、前述のように各オブジェクトファイルが含むオーダ情報(図6参照)に基づいて、各医療行為に対応するオーダを迅速に発することが可能に構成されている。
電子カルテ機能15bは、各システムインターフェースから通信部を介して送受信される各種データを用いて診療簿を画像出力可能に構成された診療用装置で用いられる。また、医事会計システム15は、各システムインターフェースから通信部を介して送受信される各種データを用いて医事会計用の演算を行うと共に該演算結果に基づいて医療会計簿を画像出力可能に構成された会計用装置で用いられる。
このように、機能が階層構造で統合されているので、当該医療計画及び記録支援システム1により、各機能を効率良く呼び出せると共に相互の機能を有機的に組み合わせて実行することもでき便利である。
以上詳細に説明したように本発明の各実施形態によれば、医師等の医療計画及び記録者が適切な医療計画を容易且つ迅速に作成することを支援する医療計画及び記録支援システムが実現される。
本発明は、上述した各実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう医療計画及び記録システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。尚、本発明の医療計画及び記録システムが対象とする医療とは、病院医療のみならず、看護医療や在宅医療をも含むことは言うまでもない。