JP4336411B2 - スペーサを備えた縁回し線の保護カバー - Google Patents

スペーサを備えた縁回し線の保護カバー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縁回し線が架設される電柱上部に鳥類が営巣することにより起る地絡事故を防止するスペーサを備えた縁回し線の保護カバーに関するものである。
【0002】
ここで、縁回し線とは、電線(本線)が架設される電柱において、該電柱の前後から来る2本の電線の端部をそれぞれ電柱に係留されるクランプに係止した後、両クランプ間に差し渡して相互に電線を接続するための引回し線をいい、縁回し線は一般的に腕金に立設したピン碍子にバインド線を使用して引留めるようにしている。前記各クランプにおける電線と縁回し線の接続部分は通常クランプカバーで覆われている。
【0003】
【従来の技術】
従来、このように縁回し線を架設した電柱上部にはしばしばカラスなどの鳥類が営巣することが有る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近時、前記営巣材料の中に針金のような金属材料が混入する場合が有り、この針金が縁回し線および、これらを接続する部分のカバー等に接触して地絡事故が多く発生している。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、縁回し線とこの縁回し線を引留めるピン碍子に装着したバインド線を被着することにより地絡事故を確実に防止するようにしたスペーサを備えた縁回し線の保護カバーを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明に係る縁回し線の保護カバーは、電柱上部の前後から来る2本の電線端部間に架設された縁回し線に被着する保護カバーであって、可撓性を有する合成樹脂により成形される筒状のカバー本体からなり、該カバー本体の外周面の一側に長手方向に沿って拡開自在に分割される切り込みを設け、縁回し線とカバー本体の内周面とはその間がスペーサにより所定間隔離れて保持されている構成とする。カバー本体は可撓性であって好ましくは難燃性の合成樹脂、例えば難燃性ポリエチレンが良い。このように可撓性の合成樹脂を用いることにより縁回し線が湾曲していてもその形状に良く馴じみ、しかも縁回し線とカバー本体の内周面とはカバー本体の外周面に営巣材料である針金が接触しても地絡しないようにその間が所定間隔離れて保持されているので、地絡事故が確実に防止される。
【0007】
前記スペーサは、前記縁回し線に取着され該縁回し線と前記保護カバーの内周面との間を該保護カバーの外周面に針金が接触しても地絡しないように所定の間隔離して保持するスペーサであって、合成樹脂により成形され前記カバー本体の内径より小さい外径を有し外周面の一側が分離されると共に内側へ弧状に湾曲する延長片部を延設した環状枠からなり、前記延長片部の先端に前記環状枠の中央に位置して前記縁周り線に嵌着する円弧状の把持部を一体に設け、前記環状枠における前記分離部に対し該環状枠の中央を挟んだ反対側の位置と前記延長片部との外側面に前記カバー本体の内周面に当接する支持片部を突設した構成とする。この際、一方の前記延長片部の先端に小径把持部が一体に設けられ、他方の前記延長片部の先端に大径把持部が一体に設けられるのが好ましい。
また、縁回し線を引留めるピン碍子に装着されたバインド線の保護カバーは、電柱上部の前後から来る2本の電線端部間に架設された縁回し線を引留めるピン碍子に被着する保護カバーであって、合成樹脂により成形され、ピン碍子のキャップ部と該キャップ部の下方に位置し縁回し線を係留するネック部とに被着する本体カバー部と、該本体カバー部の一側にこれと連通状に設けられ縁回し線が挿通される挿通部とからなり、該挿通部の両端側には請求項1記載の縁回し線の保護カバーが係合して連結される係合部を設けた構成とする。この保護カバーも難燃性の合成樹脂が好ましい。そして、この保護カバーをピン碍子に被着し、更には該ピン碍子前後の縁回し線に被着された保護カバーを挿通部の両端に係合して連結するようにすれば、ピン碍子を含めその前後の縁回り線をも全部覆うことができ、これにより地絡事故の防止がより完全なものとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスペーサを備えた縁回し線の保護カバーの実施の形態を図面と共に説明する。図1は縁回し線の保護カバーの斜視図、図2は図1のX−X線断面図である。図において、1は可撓性かつ難燃性を有する合成樹脂、例えば難燃性ポリエチレンであって、しかも耐候性を有した目立たない色により横長筒状に成形されるカバー本体であり、その外周壁は断面弧状の凹凸を繰り返して蛇腹状に成形され、自在に屈曲できるようになっている。該カバー本体1の両端面は蓋板部2により覆われ、各蓋板部2にそれぞれ円形の透孔3が開設される。4は各蓋板部2の上側であって各透孔3,3の外周縁に設けられる切欠状の係合凹部である。これら透孔3,3と係合凹部4は後記するピン碍子Cに連結するためのものである。
【0009】
また、前記カバー本体1の外周面の一側すなわち下端部に長手方向に沿って拡開自在に分割される切り込み5が設けられ、分割端縁の一方の内側に他方の内周面に上から重なる重合辺部6が延設される。前記各分割端縁には適宜間隔置きに下方へ伸びる突出片7,7が対向して突設され、該各突出片7,7に連通状に開設された係止孔8,8に結合ピン9を挿通して連結することにより切り込み5が無用に開かないようになる。
【0010】
更に、前記カバー本体1の内径は、後記する縁回し線Wに被着したとき、カバー本体1の外周面に営巣材料である針金が接触しても地絡しない範囲で選ばれ、縁回し線Wの被着部分の長さによってはカバー本体1を途中で切断して使用する。
【0011】
10は、縁回し線Wに取着して、該縁回し線Wに被着したカバー本体1の内周面と縁回し線Wとの間が所定間隔離れて保持されるようにするためのスペーサであり、合成樹脂により成形されている。該スペーサ10は、図3に示すように前記カバー本体1の内径より僅かに小さい外径を有した環状枠11からなり、該環状枠11における外周面の一側すなわち下端部は分離されると共に互いに内側へ弧状に湾曲する延長片部11a,11bが延設される。そして、一方の延長片部11aの先端に環状枠11のほぼ中央に位置して縁回し線Wに嵌着する円弧状の小径把持部12が一体に設けられ、また他方の延長片部11bの先端に同じくほぼ中央に位置して円弧状の大径把持部13が一体に設けられている。このように二種類の小径・大径把持部12,13を設けたのは太さの異なる縁回し線Wのいずれにも対応して使用できるようにするためである。また、環状枠11における前記分離部に対し該環状枠の中央を挟んだ反対側の位置すなわち上部中央と各延長片部11a,11bとの外側面にそれぞれ内周壁に当接してカバー本体1を支持する支持片部14が突設されている。11cは、環状枠11内側の隙間にほぼ同心円状に配設され、その隙間から鳥などの小動物が通過して中に入らないようにするための邪魔枠である。
【0012】
Bは、縁回し線Wが引留められるピン碍子Cに装着されているバインド線の保護カバーであり、前記と同様に難燃性の合成樹脂、例えば難燃性のポリエチレンであって耐候性を有した目立たない色により成形される。該ピン碍子の保護カバーBは、図4,図5に示されるようにピン碍子Cのキャップ部C1と該キャップ部C1の下方に位置し縁回し線Wを引留めるネック部C2とに被着する空胴状の本体カバー部15を有し、下端面は被着し得るように開口されている。また、本体カバー部15の一側にその内部空間16と連通し縁回し線Wが挿通される水平な挿通部17が一体に設けられる。
【0013】
前記挿通部17は両端が開口した円筒状をなし、その長手方向に沿った左・右半挿通部17a,17bとに2分割される。そして、各上端縁に、互いに接合する断面ヤジリ状の軸支片18a,18bが突設され、一方の軸支片18a内面の複数の係合突起19が他方の軸支片18b内面の複数の係合凹部20に係合して両軸支片18a,18bのずれを防止するようにしてる。更に、図9に示されるように両軸支片18a,18bを接合した状態で、その外側を包むようにして蝶着部材21が嵌着されている。これにより、ヒンジ部22が成形され、該ヒンジ部22を介して一方の左半挿通部17bの下側が自在に開閉される。
【0014】
前記挿通部17の外径は前記カバー本体1の透孔3の内径とほぼ合致するように設定され、挿通部17の両端外周縁に前記透孔3に係合する係合部としての雁首状の環状鍔部23が周設されている。なお、前記本体カバー部15と挿通部17との外側一側に、それぞれ左半挿通部17bを開いてピン碍子の保護カバーBをピン碍子Cに被着し易いうようにするための把持片24が突設されている。
【0015】
本発明は上記構成よりなり、縁回し線とこの縁回し線を引留めるピン碍子に装着されているバインド線の保護カバーの使用について説明する。図6に示されるように電柱Pには、通常その上部に腕金Rが固設されている。また、該腕金Rに取付金具Sが直交状に取着され、その両端に耐張碍子G及びクランプKを介して電柱Pの前後から来る2本の電線E,Eの端部が係留される。そして、前後のクランプK,K間に相互の電線を接続するための縁回し線Wが差し渡されている。該縁回し線Wはそのほぼ中央を前記腕金Rの上面に立設したピン碍子Cに引留めるようにしている。
【0016】
そこで、図7,図9に示されるように、まずピン碍子の保護カバーBを、両把持片24,24を指で摘んで挿通部17を開きつつ該挿通部17を縁回し線Wに被着すると共に本体カバー部15を下端開口からピン碍子Cに被着する。
次に、図8,図9に示されるようにピン碍子C前後の縁回し線Wに下端部を押し込み、小径把持部12を嵌着することにより複数のスペーサ10を取着する。縁回し線がこれより太い時は大径把持部13を使用する。そして、各スペーサ10を覆うようにしてカバー本体1を分割縁で拡開し縁回し線Wに縁回し線の保護カバーAを被着する。
【0017】
この際、両カバー本体1の向き合う透孔3,3を挿通部17の両端に環状鍔部23が内側にかつ各係合凹部4,4がヒンジ部22に位置するようにして嵌合し、各突出片7,7の係止孔8,8に結合ピン9を挿通して結合する。これにより図9に示されるように各スペーサ10の上または下の支持片部14が各カバー本体1の内周壁を支持して、該各カバー本体1が縁回し線Wとその内周面との間に所定間隔を離して保持される。
【0018】
また、ピン碍子の保護カバーBの前後に縁回し線の保護カバーA,Aが連結されるので、ピン碍子C及びその前後の縁回し線W,W全体が一連に被覆され、営巣材料である針金が接触して起る地絡事故が広い範囲で確実に防止できる。仮にピン碍子Cがない場合は、前記縁回し線の保護カバーA単独でも使用できること勿論であり、地絡事故の防止機能を充分に発揮することができる。
【0019】
なお、本実施の形態にあっては縁回し線の保護カバーAをスペーサ10を介して縁回し線Wに被覆するようにしているが、該スペーサ10の替りに同じ機能を持つ支持部材をカバー本体1と一体に成形するようにしても良く、これにより成形が簡単で、取付作業も迅速かつ容易に行なえるようになる。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るスペーサを備えた縁回し線の保護カバーは、電柱上部に架設された縁回し線に被着する保護カバーであって、可撓性の合成樹脂により筒状に成形されるので、湾曲する縁回し線であっても良く馴じむ。しかも、縁回し線とカバー本体の内周面とはその間がスペーサにより所定間隔離れて保持される構成としたので、営巣材料である針金が保護カバーに触れても縁回し線との距離が充分に保たれ、地絡事故が確実に防止される。
【0021】
また、ピン碍子の保護カバーを使用し、該保護カバーをピン碍子に被着すると共にその前後に縁回し線の保護カバーを連結するようにすれば、ピン碍子を含めその前後の縁回り線をも全部覆うことができ、これによっても地絡事故が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 縁回し線の保護カバーの斜視図。
【図2】 図1のX−X線断面図。
【図3】 スペーサの斜視図。
【図4】 ピン碍子の保護カバーの斜視図。
【図5】 同裏面から見た斜視図。
【図6】 両保護カバーの使用状態の斜視図。
【図7】 同要部拡大正面断面図。
【図8】 図7のY−Y線断面図。
【図9】 図7のZ−Z線断面図。
【符号の説明】
1 カバー本体
5 切り込み
10 スペーサ
11 環状枠
11a 延長片部
11b 延長片部
12 小径把持部
13 大径把持部
14 支持片部
15 本体カバー部
17 挿通部
22 ヒンジ部
23 係合部(環状鍔部)
A 縁回し線の保護カバー
B ピン碍子の保護カバー
C ピン碍子
C1 キャップ部
C2 ネック部
E 電線
P 電柱
W 縁回し線

Claims (2)

  1. 電柱上部の前後から来る2本の電線端部間に架設された縁回し線に被着する保護カバーであって、可撓性を有する合成樹脂により成形される筒状のカバー本体からなり、該カバー本体の外周面の一側に長手方向に沿って拡開自在に分割される切り込みを設けた縁回し線の保護カバーと、
    前記縁回し線に取着され該縁回し線と前記保護カバーの内周面との間を該保護カバーの外周面に針金が接触しても地絡しないように所定の間隔離して保持するスペーサであって、合成樹脂により成形され前記カバー本体の内径より小さい外径を有し外周面の一側が分離されると共に内側へ弧状に湾曲する延長片部を延設した環状枠からなり、前記延長片部の先端に前記環状枠の中央に位置して前記縁周り線に嵌着する円弧状の把持部を一体に設け、前記環状枠における前記分離部に対し該環状枠の中央を挟んだ反対側の位置と前記延長片部との外側面に前記カバー本体の内周面に当接する支持片部を突設したスペーサと、
    から構成されるスペーサを備えた縁回し線の保護カバー
  2. 前記スペーサは、一方の前記延長片部の先端に小径把持部が一体に設けられ、他方の前記延長片部の先端に大径把持部が一体に設けられる請求項1記載のスペーサを備えた縁回し線の保護カバー。
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