JP4334726B2 - トリインドール誘導体からなるポリマー及び光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なトリインドール誘導体からなる新規なポリマー及びこのポリマーを有する光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルバゾールは、光導電性材料として古くから注目されている分子である。特に、このカルバゾールを含む高分子であるポリビニルカルバゾールは、有機材料として広く利用されている。
【0003】
例えば、ポリビニルカルバゾールにピリリウム塩を加えたものは、複写機のドラム感光体として実用化されている。また、このポリビニルカルバゾールにアクセプターとしてフラーレンをドープしたものは、無機結晶を凌駕するほどのフォトリフラクティブ特性を示すことが明らかとなっている。カルバゾールはこのように光導電性材料として利用されているが、更に優れた特性を有する材料の研究が活発に行われているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、このカルバゾールを骨格に含み、平面性の三回対称構造を有するトリインドールに着目した。これまでトリインドール骨格を有する化合物は、生物系の分野において、下記構造式におけるRが、H、CH3、又はCH2CH2N(CH2CH2)2Oであるものしか合成されていない。しかも、これらの化合物からなるポリマーについての開示はなく、材料、物性(例えば、光導電性等)の観点からの報告例はなされていない。
【0005】
本発明者等は、上記トリインドール骨格を有する化合物とメチルカルバゾールのドナー性について、MOPACを用いた分子軌道計算及び表面分析装置(AC−1、理研機器株式会社)によって見積もった。分子軌道計算の結果を図1に示す。ここで簡単のため、上記構造式におけるRはメチル基として計算を行った。得られたメチルカルバゾールのHOMOは−8.2eVであるのに対し、トリメチルインドールのHOMOは−7.9eVであり、ドナー性の向上が確認された。また、表面分析装置AC−1を使ってイオン化ポテンシャルを測定した結果、オクタデシルカルバゾール(R=C18H37)のイオン化ポテンシャルが5.9eVであるのに対し、トリメチルインドールでは5.3eVであった。以上の結果から、トリインドール骨格を有する化合物は、ドナー性材料として非常に有用であることが予想される。
【0006】
ところが、これまで合成されている上記3種のトリインドール骨格を有する化合物は、副生成物として合成された例はあるが,実際の生物系の分野においては有用性は確認されておらず、また、材料として使用する場合には、アモルファス性がでないために、薄膜化ができないという問題があった。
そこで、本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、本発明は、上記のような問題点を克服し得、ドナー性材料として非常に有用である新規なトリインドール誘導体からなるポリマーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カルバゾールを骨格に含み、高いドナー性と、導電性の獲得に有利な広い平面性を有するトリインドール骨格を有する化合物(以下、「トリインドール誘導体」と呼ぶ。)からなるポリマーが、安定してアモルファス性を発現させ、薄膜化することができ、例えば、光導電性材料、非線形光学材料、フォトリフラクティブ(PR)材料、エレクトロルミネッセンス(EL)材料等のドナー性材料として非常に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするトリインドール誘導体からなるポリマーである。
【0009】
【化2】
〈前記一般式(1)において、 R1は炭素数1〜14の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は炭素数2〜14の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、nは5〜15を表す。)
<2> 前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は炭素数4〜10の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、nは8〜12を表すことを特徴とする前記<1>に記載のトリインドール誘導体からなるポリマーである。
<3> 前記<1>または前記<2>に記載のトリインドール誘導体からなるポリマーを含むことを特徴とする光学素子である。
【0010】
本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーは、高分子分布を持つため、容易にアモルファス性を獲得でき、これによって薄膜性が向上し、光学材料として用いることが可能となる。このため、トリインドールを架橋する分子に機能性置換基を組み込むことによって機能性置換基が分子中に容易に導入でき、トリインドールと架橋性分子との相互作用を利用したデバイスの構築が可能となり、例えば、光導電性材料、非線形光学材料、フォトリフラクティブ(PR)材料、エレクトロルミネッセンス(EL)材料等に好適に使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーは、下記の一般式(1)で表される。
【0012】
【化3】
【0013】
前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜14の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
R1は好ましくは炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜2の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
前記一般式(1)におけるR1が、炭素数15以上のアルキル基であると、得られるポリマーは、機能性部位の密度が小さくなってしまうため、光学材料としての機能が低下してしまう。
【0014】
前記一般式(1)において、R2は炭素数2〜14の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、好ましくは炭素数4〜10直鎖又は分岐のアルキル基、さらに好ましくは炭素数6〜8のアルキル基を表す。
前記一般式(1)におけるR2が、炭素数15以上のアルキル基であると、得られるポリマーは、機能性部位の密度が小さくなってしまうため、光学材料としての機能が低下してしまい、炭素数が1のとき,アモルファス性がなくなってしまう。
【0015】
一般式(1)におけるnは5〜15を表し、好ましくは8〜12である。nが4未満では、アモルファス性が低下する。
また、一般式(1)において、CN基を有する構成基は、オルト位(o位)では、立体障害等の問題から合成が困難であるので、メタ位(m位)またはパラ位(p位)が好ましい。CN基を有する構成基は、いずれもメタ位(m位)であってもよく、また、いずれもパラ位(p位)であってもよく、さらに一方がメタ位(m位)で他方がパラ位(p位)であってもよい。
【0016】
特に本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーとして好ましいポリマーは、下記の一般式(2)からなるポリマーである。R1、R2は一般式(1)の場合と同じである。
【0017】
【化4】
【0018】
次に本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーの製造方法の好ましい実施の形態を示す。
まず、下記に示すように、第1の工程(スキーム1)として、オキシンドールのアルキル化を行う。オキシンドールとハロゲン化アルキルの他に、溶媒としてテトラヒドロフラン、塩基として炭酸カリウム、触媒として18−クラウン−6−エーテルを用いる。これらを窒素雰囲気下で24時間以上還流する。このとき、オキシンドール、ハロゲン化アルキル、炭酸カリウムの混合比は、モル比で1:2:2が好ましい。また、18−クラウン−6−エーテルは触媒量加える。還流した後、反応溶液を濾過し、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーによって精製する。
第2の工程(スキーム2)として、得られたアルキルオキシンドールの環化を行う。このとき反応溶媒、兼脱水剤としてオキシ塩化リンを用いる。オキシ塩化リンは、アルキルオキシンドールの10倍当量程度が好ましい。反応温度は100℃、反応時間は12時間程度が好ましい。反応生成物はカラムクロマトグラフィーによって精製する。以上により、前記一般式(3)で表されるトリインドール誘導体を好適に製造することができる。
【0019】
【化5】
【0020】
次に下記に示すように、一般式(3)で表されるトリインドール誘導体に対し、Vilsmeier(フィルスマイヤー)反応によるホルミル基の導入を行うことによって一般式(4)で表されるトリインドール誘導体を製造することができる。まず、ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとを反応させてフィルスマイヤー錯体をつくる。反応温度は0℃で窒素雰囲気下30分反応させる。この反応溶液に、1,2−ジクロロエタンに溶かした上、一般式(3)で表されるトリインドール誘導体を加えホルミル化を行う。反応温度は70℃で、反応時間は12時間以上が好ましい。生成物に水を加え加水分解した後、カラムクロマトグラフィーによって精製する。以上により、前記一般式(4)で表されるトリインドール誘導体を好適に製造することができる。
【0021】
【化6】
【0022】
一般式(4)で表されるトリインドール誘導体は、具体的には、下記の化合物が挙げられる。
【化7】
【0023】
次に、一般式(4)で表されるトリインドール誘導体からトリインドール誘体からなるポリマーの一般式的な合成スキームを下記に示す。[化7]において、特にホルミル基がいずれもパラ位(p位)の場合を例に説明する。
【0024】
【化8】
【0025】
トリインドールの二置換ホルミル体と架橋分子NCCH2COOR2OCOCH2CNとクノーベナゲル縮合により高分子化を行なう。トリインドールの二置換ホルミル体と架橋分子NCCH2COOR2OCOCH2CN、塩基としてジメチルアミノピリジンをモル比1:1:2でテトラヒドロフラン溶液中、窒素雰囲気中50℃、1時間で反応させる。この反応溶液からエバポレーターを用いて溶媒を留去する。テトラヒドロフランを少量加え、生成物を溶かした後、エバポレーターを用いて溶媒を留去する。この操作を5回繰り返す。これによって重合度が大きくなる。最後にテトラヒドロフランとメタノールで再沈して目的のポリマーを精製することができる。
【0026】
本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーは、フォトリフラクティブ特性を有する。フォトリフラクティブ効果とは、干渉縞のような空間的に一様でない光の照射により物質内部の空間電荷分布が変化し、これにより生じた空間電界によってポッケルス効果などを介して屈折率が空間的に変調する現象のことをいう。この現象を利用してコヒーレント画像の増幅、光リミッター、ノベルティーフィルター、自己励起型位相共役系などの応用が現在提案されている。フォトリフラクティブ効果の発現には、光励起によるキャリアの発生、キャリアの輸送、キャリアの捕獲(空間電界の形成)、電気光学効果の存在が要求される。有機フォトリフラクティブ材料では、光導電性材料と二次非線形光学材料を組み合わせることで、上記の素過程の機能を実現している。
【0027】
有機フォトリフラクティブ材料としては、二次非線形材料にホール輸送剤や光キャリア発生の増感剤をドープした多成分高分子材料が一般的であるが、本発明の化合物は単一成分でありながら比較的大きなフォトリフラクティブ特性を示す。多成分系においてはこれまで高い性能を示す材料が数多く見つかっているものの、高濃度ドープによる相分離や結晶化といった様々な問題を含んでいる。従って、実用を考えた場合、単一成分フォトリフラクティブ材料のポリマーは、薄膜製作の容易さ、再現性、材料の安定性に優れている。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[前記一般式(3)で表されるトリインドール誘導体]
−オクチルオキシンドールの合成−
オキシンドール25g、1−ヨードオクタン100g、炭酸カリウム150g、及び18−クラウン−6−エーテル1.5gを窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン溶媒中で一晩還流した。反応溶液を濾過し、濾液から溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ジクロロメタン)で精製することによりオクチルオキシンドールを得た(18.1g;収率39%)。得られたオクチルオキシンドールのNMRの結果を示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3,TMS):0.81−0.89(m,3H,CH3),1.14−1.33(m,10H,CH2),1.67(quint.,J=7.5Hz,2H,CH2),3.51(s,2H,CH2),3.69(t,J=7.2Hz,2H,NCH2),6.82(d,J=8.1Hz,1H,CHarom),7.02(t,J=8.1Hz,1H,CHarom),7.22−7.28(m,2H,CHarom).
【0029】
−トリオクチルインドールの合成−
得られたオクチルオキシンドール18.1gを、オキシ塩化リン100mlを溶媒として空気中、100℃で一晩撹拌した。反応溶液を氷の中にゆっくり注ぎ込みオキシ塩化リンをつぶした後、溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。この溶液からクロロホルムで化合物を抽出した後、硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。濾過で硫酸マグネシウムを取り除いた後、濾液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ジクロロメタン−ヘキサン(1:9))で精製することにより、トリオクチルインドール(前記一般式(1)で表されるトリインドール誘導体)を得た(4.8g;収率10%)。得られたトリオクチルインドールのNMRの結果を示す。
【0030】
1H NMR(300MHz,CDCl3,TMS):0.82(t,J=7.8Hz,9H,CH3),1.18−1.27(m,30H,CH2),1.99(br,6H,CH2),4.92(t,J=9.0Hz,6H,NCH2),7.33(t,J=8.7Hz,3H,CHarom),7.45(t,J=9.0Hz,3H,CHarom),7.63(d,J=9.0Hz,3H,CHarom),8.28(d,J=9.0Hz,3H,CHarom):m/z(FAB−MS)682(MH+).Elemental analysis calcd for C48H63N3(%):C84.53,H9.31,N6.16;found:C84.44,H9.37,N6.13.
【0031】
[前記一般式(4)で表されるトリインドール誘導体]
得られたトリオクチルインドールをホルミル化することによって、前記一般式(4)で表されるトリインドール誘導体を製造した。
窒素雰囲気下、0℃で脱水したジメチルホルムアミド25mlとオキシ塩化リン7mlとを反応させた。30分撹拌後、ジクロロエタン50mlに溶かした上記トリオクチルインドール4.8gを反応溶液にゆっくり滴下した。この溶液を70℃で一晩撹拌後、水を加え加水分解した後、クロロホルムで抽出した。硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた後、濾過し、濾液から溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ジクロロメタン)で精製することにより、下記に示すトリオクチルインドールの二置換ホルミル体3a(0.83g;収率16%)、3b(0.95g;収率18%)、3c(1.20g;収率23%)、及び3d(0.55g;収率11%)を得た。このとき同時に副生成物として、下記に示すトリオクチルインドールの一置換ホルミル体2a及び2bを得たが、これらはカラムクロマトグラフィーによって分離精製することができなかった。
【0032】
【化9】
【0033】
得られたトリオクチルインドールの二置換ホルミル体3dのNMRの結果を示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3,TMS):0.79−0.95(m,9H,CH3),1.22−1.40(m,30H,CH2),1.99(br,6H,CH2),4.84−4.97(m,6H,NCH2),7.29(t,J=7.2Hz,1H,CHarom),7.42(t,J=7.2Hz,1H,CHarom),7.52−7.56(m,2H,CHarom),7.73(d,J=8.1Hz,1H,CHarom),7.86(d,J=8.4Hz,1H,CHarom),7.95(s,1H,CHarom),8.11(d,J=7.8Hz,1H,CHarom),8.17(d,J=8.4Hz,1H,CHarom),8.56(s,1H,CHarom),10.03(s,1H,CHO),10.08(s,1H,CHO):m/z(FAB−MS)738(MH+).
【0034】
〈架橋分子の生成)
脱水剤であるEDC−HCl(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジジイミド塩酸塩(17.8g)を窒素雰囲気下、100mlのジクロロメタンに溶かした。これにトリエチルアミン〈18.82g)を加え、攪拌した。この溶液にシアノ酢酸(7.90g)とヘキサメチレングリコール(2.74g)を加え、一晩還流した。反応溶液を吸い、希塩酸水溶液、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。得られた生成物はアセトン/ヘキサンで再結晶を2回行なって架橋分子NCCH2COO(CH2)6OCOCH2CNを得た。
【0035】
(ポリマーの生成)
トリインドール誘導体の二置換ホルミル体(500mg)と上記のNCCH2COO(CH2)6OCOCH2CN、ジメチルアミノピリジンをテトラヒドロフラン溶媒中、50℃で一時間反応させ、溶媒を留去した。トラヒドロフランを少量加え、生成物を溶かした後、エバポレータを用いて溶媒を留去した。この操作を5回繰り返す。最後にテトラヒドロフランとメタノールで再沈して目的のポリマーを精製した。得られたポリマーの重合度をGPCによって決定した。平均分子量約10000(n=10)
【0036】
得られたポリマーの吸収スペクトクルを図2に示す。図2中,比較のためのトリインドールを点線で示し、ポリマーを実線で示す。サンプルは、それぞれクロロホルム中に10-5mol/l溶解した。トリインドールは、320nm付近に分子内π−π*吸収が観測された。それに対し、ポリマーでは、分子内π−π*吸収と共に435nmにトリインドールから架橋分子のアクセプター部位への電荷移動吸収に起因する大きな吸収が観測された。
【0037】
次に得られたポリマーのフォトリフラクティブを測定した。
図3と図4が2光波結合法を用いて測定した結果である。光源として波長532nmのNd:YAGレーザーを用いた。レーザービームをビームスプリッターで2つに分け、サンプル上でビームを交差角10.8°で交差させそれぞれの透過光をフォトダイオードで測定した結果が図3である。フォトリフラクティブ材料に2光波を照射すると、2光波の干渉縞から屈折率の回折格子(グレーティング)が形成される。フォトリフラクティブ効果では、光照射と同時進行で屈折率グレーティングが形成されるため、書き込み光自身の回折が起こり、光の進行に伴って2つの入射光の振幅が変化する。
【0038】
図3の0秒の所で入射する事によって、時間の経過と共にグレーティングが形成され、フォトリフラクティブ効果特有の非対称なエネルギー結合が生じていることを示している。こうした位相シフトによるパワーの移動は一方の光波でもう一方を増幅していると見なすことができ、この大きさは増幅ゲインΓとして定義される。このトリインドールポリマーにおいて求められた増幅ゲインΓは約100cm-1である。トリインドールの部分をカルバゾールに置換した高分子の増幅ゲインΓは31cm-1であるので、トリインドールの高分子はカルバゾールを含む高分子の約3倍の増幅効果を示していることになる。また、応答速度はカルバゾールを含む高分子が14 分であるのに対し、トリインドールを含む高分子は約5分であり、応答速度の増大も観測された。この増幅ゲインΓと応答速度の増大は、トリインドールのドナー性の増大と平面性の増大によるホール輸送能の向上が原因であると考えられる。
【0039】
また、図4はピエゾ素子によってサンプルを動かした時の光強度の変化を観測したものである。フォトリフラクティブ媒質に2つのビームで回折格子を書き込んだ後、ピエゾ台でサンプルの位置を高速で動かて故意に入射光と回折格子に位相シフトを設けた。その時の回折格子の透過光(フリンジパターン)を観測した。図4から位相シフトが90°であり、この化合物においてはカルバゾールを骨格に含む高分子同様にキャリアの拡散過程が支配的なフォトリフラクティブ効果であることがわかった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、安定してアモルファス性を発現させ、薄膜化することができ、例えば、光導電性材料、非線形光学材料、フォトリフラクティブ(PR)材料、エレクトロルミネッセンス(EL)材料用に有用なポリマーを提供することができる。
また、本発明の光学素子によれば、前記特性を有するポリマーにより優れた光学特性を有する光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トリメチルインドール及びメチルカルバゾールのMOPACを用いた分子軌道計算の結果である。
【図2】 本発明のトリインドール誘導体からなるポリマーの吸収スペクトルを示す図である。
【図3】 本発明のサンプル上でビームを交差角10.8°で交差させそれぞれの透過光をフォトダイオードで測定した図である。
【図4】 ピエゾ素子によって本発明のサンプルを動かした時の光強度の変化を示す図である。
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