JP4333172B2 - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性基板をコアとし、このコアの表面に要素膜を形成したチップ抵抗器などのチップ電子部品や、混成集積回路その他の電子部品を製造する際に適用するに好適なレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯端末をはじめとする電子機器にあっては軽薄短小化がますます進展し、これに実装される電子部品も小型・高集積度化に伴う微細加工、つまり微細な孔や溝を形成する加工の必要性が高くなってきている。そのため、従来、レーザ発振器から基本波を発振させ、この基本波を波長変換素子で必要回数だけ波長変換して所望の高調波(2倍波、3倍波、4倍波など)を出射させ、この高調波を被加工物(本明細書において、被加工物とは、レーザ加工によって電子部品となる前の板状物を意味する。)に照射して微細加工を行う手法が提案されていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−190088号公報
【特許文献2】
特開2002−224873号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これでは次のような不都合があった。
【0005】
第1に、波長変換素子を用いて基本波から所望の高調波を取り出すとき、低次の高調波や基本波が付随的に発生するにもかかわらず、これらは無駄に捨てられているため、エネルギーの利用効率が悪い。
【0006】
第2に、高調波が高次になればなるほど、その波長が短くなるため、先端曲率半径が小さくて細い孔や鋭角のV字溝を形成する微細加工を行える長所がある反面、基本波から取り出せる出力が低下する欠点を伴う。例えば、3倍波では基本波の20〜40%の出力となり、4倍波の出力は基本波の20%以下、5倍波になると出力がさらに少なくなる。したがって、被加工物に形成する孔や溝を所定の深さにするためには加工速度を落とさざるを得ず、いきおい生産性が低下してしまう。
【0007】
第3に、レーザ発振器が1台のみの場合、被加工物の表裏両面を加工しようとすると、片面ずつ順次加工しなければならないため、加工時間が長くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、エネルギーの利用効率を改善するとともに、加工速度を上げて生産性を高め、レーザ発振器が1台しかなくても被加工物の表裏両面の加工時間を短縮することが可能なレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
まず、請求項1に記載の本発明は、基本波を発振するレーザ発振器(5a)を備えるとともに、このレーザ発振器から発振された基本波を波長変換して高調波を出射する波長変換素子(5b)を必要個数だけ備えたレーザ発振装置(5)を有し、前記波長変換素子で波長変換して得た所望の高調波を板状の被加工物(4)の表面に導く第1の光路(P1)を形成し、前記波長変換素子による波長変換過程で付随的に発生する低次の高調波または前記レーザ発振器から発振された基本波を前記被加工物の裏面に導く第2の光路(P2)を形成して構成される。
【0010】
こうした構成を採用することにより、所望の高調波(例えば、4倍波)のみならず低次の高調波(例えば、2倍波)または基本波をも被加工物の加工に利用することができ、これによって高調波の高次化に伴う出力低下を補い、加工速度を落とすことなく微細加工を行うことが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の本発明は、第1および第2の光路(P1、P2)に光アイソレータ(6、7)を設置して構成される。さらに、請求項3に記載の本発明は、第1および第2の光路(P1、P2)の先端を互いにずらして構成される。
【0012】
これらの構成により、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置の損傷を避けることが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の本発明は、前記被加工物(4)の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える機構を設けて構成される。さらに、請求項5に記載の本発明は、前記被加工物(4)の反りに対応してレーザビームの焦点を当該被加工物上に合致させる機構を設けて構成される。
【0014】
一方、請求項6に記載の本発明は、レーザ発振器(5a)から発振された基本波を波長変換素子(5b)で必要回数だけ波長変換して所望の高調波を出射させ、この高調波を板状の被加工物(4)の表面に照射して加工するレーザ加工方法において、前記高調波を発生させる波長変換過程で付随的に発生する低次の高調波または前記基本波を前記被加工物の裏面に照射して加工するようにして構成される。ここで、被加工物の表裏各面に照射されるレーザの少なくとも一方はUVレーザ(例えば、Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4 の4倍波など)とすることが望ましい。
【0015】
また、請求項7に記載の本発明は、前記被加工物(4)の表裏両面の加工を同時に実施するようにして構成される。
【0016】
こうした構成を採用することにより、所望の高調波(例えば、4倍波)のみならず低次の高調波(例えば、2倍波)や基本波が被加工物の加工に利用されるとともに、これによって高調波の高次化に伴う出力低下が補われ、加工速度を落とすことなく微細加工が行われうるように作用する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るレーザ加工装置の第1の実施形態を示す概要図である。
【0018】
このレーザ加工装置1は、図1に示すように、制御装置2を有しており、制御装置2には自動ステージ3およびレーザ発振装置5が接続されている。この自動ステージ3は、その上に板状の被加工物4を搭載したまま水平面内の3軸方向(X軸方向、Y軸方向およびθ軸方向)に移動自在に支持されている。また、レーザ発振装置5にはレーザ発振器5aおよび必要個数(例えば、2個)の波長変換素子5bが内蔵されており、レーザ発振器5aは波長変換素子5bに向けて基本波(波長1064nm)を発振することができる。そして、レーザ発振装置5は、レーザ発振器5aから発振された基本波(波長1064nm)を波長変換素子5bで必要回数(例えば、2回)だけ波長変換して所望の高調波(例えば、Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4 の4倍波)を出射させることができるとともに、この波長変換過程で併発する低次の高調波(例えば、Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4 の2倍波)や基本波をも出射させることができる。なお、図1には波長変換素子5bを1個しか図示していないが、一般に1個の波長変換素子5bでは1回の波長変換(例えば、基本波から2倍波への波長変換)しか行えないので、所望の高調波の次数に応じた個数(詳しくは、所望の高調波の次数をnとしてn−1個)の波長変換素子5bを用意する必要がある。
【0019】
また、レーザ発振装置5からは自動ステージ3に向けて2本の光路、すなわち第1の光路P1および第2の光路P2が形成されている。ここで、第1の光路P1上には順に光アイソレータ6、反射ミラー9、エキスパンダー15、反射ミラー10および集光レンズ17などの光学素子が配置しており、第1の光路P1は、これらの光学素子を経て自動ステージ3上の被加工物4の表面に至る。他方、第2の光路P2上には順に反射ミラー11、12、光アイソレータ7、エキスパンダー16、反射ミラー13および集光レンズ18などの光学素子が配置しており、第2の光路P2は、これらの光学素子を経て自動ステージ3上の被加工物4の裏面に至る。
【0020】
レーザ加工装置1は以上のような構成を有するので、このレーザ加工装置1を用いて板状の被加工物4の表裏両面を加工する際には、この被加工物4を自動ステージ3上に搭載した後、穴あけ加工や溝切り加工など所望の両面加工を制御装置2に指令する。これを受けて制御装置2は、その加工内容に応じて自動ステージ3を被加工物4とともに3軸方向に適宜移動させつつ、レーザ発振装置5から第1の光路P1へ向けて4倍波(波長266nmまたは262nmのUV波)を出射させるとともに、レーザ発振装置5から第2の光路P2へ向けて2倍波(波長532nmまたは524nmのグリーン波)を出射させる。すると、4倍波が第1の光路P1上の光学素子(光アイソレータ6、反射ミラー9、エキスパンダー15、反射ミラー10および集光レンズ17など)を経由してから自動ステージ3上の被加工物4にその表面から照射されると同時に、2倍波が第2の光路P2上の光学素子(反射ミラー11、12、光アイソレータ7、エキスパンダー16、反射ミラー13および集光レンズ18など)を経由してから自動ステージ3上の被加工物4にその裏面から照射される。その結果、被加工物4の表裏両面に対して、4倍波と2倍波で所定のレーザ加工が同時に行われることになる。
【0021】
このとき、2本の光路P1、P2上には光アイソレータ6、7が設置されているので、これらの光路P1、P2の先端が同軸上で対向しても、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置5の損傷、つまり一方の光路(第1の光路P1または第2の光路P2)を前進したレーザビームが他方の光路(第2の光路P2または第1の光路P1)を逆行してからレーザ発振装置5内に侵入してレーザ発振装置5に損傷を与える事態を避けることができる。さらに、制御装置2は、予め双方の光路P1、P2と被加工物4との位置関係を把握しておき、被加工物4が光路P1、P2上にあるときのみレーザビームが被加工物4に照射されるように制御する。具体的には、被加工物4を載せた自動ステージ3の位置情報から予め指定した位置に来たとき信号を発し、この信号を合図にQスイッチ(Q-switch)を作動させてパルス発振を開始させる。これにより、自動ステージ3とともに移動する被加工物4の指定個所に加工を行うことができる。現実的には、さらに信号合図とパルス発振のタイミングに若干のずれが生じるため、このズレを補正するためのタイミング調整機構を設けるのが望ましい。なお、ここではレーザ発振装置5内のQスイッチで調整を行ったが、ガルバノミラーやAOM偏光器などのビーム偏光器(図示せず)をヘッド外部の光軸上に配置し、自動ステージ3からの合図でこのビーム偏光器を作動させることによって同様の効果を得ることもできる。この際、ガルバノミラーでは機械的動作のため速度に問題があるときには、機械的動作がないAOM偏光器が有利である。
【0022】
このように、被加工物4の加工には4倍波のみならず2倍波が有効に利用されるので、エネルギーの利用効率が良好となる。また、被加工物4の表面を加工する4倍波は基本波の20%以下の出力しか得られないため加工速度を低くせざるを得ないが、この低い加工速度は2倍波の併用によって補われるので、4倍波による先端曲率半径が小さくて細い孔や鋭角のV字溝を形成する微細加工を加工全体として比較的高速で行うことができる。さらに、被加工物4の加工はその表裏両面に対して同時に行われるので、レーザ発振器5が1台しかなくても加工時間を短縮することが可能となる。
【0023】
なお、ここでは被加工物4の表面を4倍波でレーザ加工すると同時に、被加工物4の裏面を2倍波でレーザ加工する場合について説明したが、被加工物4の表裏各面に照射して加工するレーザの種類を変更することにより、種々の加工を行うことができる。
【0024】
例えば、チップ抵抗器などのチップ電子部品を製造するに際して、絶縁性基板からなる被加工物4の表裏両面に溝切り加工を行うときには、図2(a)に示すように、被加工物4の表面に4倍波を照射して深くて鋭い溝4aを形成すると同時に、被加工物4の裏面に2倍波を照射して幅広い溝4bを形成した後、被加工物4を溝4a、4bに沿って精度よく容易に分割できるように、図2(b)に示すとおり、被加工物4の裏面にさらに4倍波を照射して深くて鋭い溝4cを幅広い溝4bの底部に追加して形成することもできる。このとき、被加工物4の表面の溝4aの深さを被加工物4の厚さの約2〜20%(望ましくは5〜10%)とし、被加工物4の裏面の溝4b、4cの深さを被加工物4の厚さの約10〜50%(望ましくは15〜20%)とし、溝4aの先端曲率半径に対する溝4b、4cの先端曲率半径の比率を約1〜10(望ましくは1〜2)とし、溝4aの幅に対する溝4b、4cの幅の比率を4以下(望ましくは1〜3)とすれば、被加工物4の分割時に溝4a、4c間に応力集中しやすくなるため、被加工物4の分割が高精度で容易なものとなる。
【0025】
また、被加工物4を溝4a、4bに沿って精度よく容易に分割できるように、図3に示すとおり、被加工物4の溝4bを局所的に深くする場合には、被加工物4の裏面に照射するレーザの繰り返し数を変えるか、送り速度を変化させればよい。
【0026】
さらに、図4に示すように、被加工物4の溝4bを局所的に細くする場合には、その箇所のみ2倍波ではなく4倍波を用いて加工するか、或いは被加工物4の裏面に照射するレーザの繰り返し数と送り速度を調整すればよい。
【0027】
ところで、被加工物4が反りやすい材質の場合、その反りがレーザビームの焦点深度を超えると加工量が減少する。そこで、被加工物4の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える機構を設けるか、或いは被加工物4の反りに応じて集光レンズ17、18を適宜昇降させて被加工物4上にレーザビームの焦点を合わせる機構を設ければ、被加工物4の反りに起因する加工量の減少を未然に防ぐことができる。
【0028】
ここで、前者の方法(被加工物4の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える機構を設ける方法)としては、いくつか考えられる。例えば、図5(a)に示すように、被加工物4の加工部位の近傍を2対のチャック21、22、23、24で挟み込むことにより、被加工物4の反りを矯正することもできる。このとき、加工の進捗に合わせて被加工物4を水平方向に順次送るには、図5(b)に示すように、1対のチャック21、23を開き、もう1対のチャック22、24を被加工物4とともに水平方向(図5では左向き)に規定量だけ移動させ、チャック21、23を閉じて被加工物4を挟み込んだ後、チャック22、24を逆方向(図5では右向き)に規定量だけ移動させてから閉じて被加工物4を挟み込むようにすればよい。
【0029】
また、図6(a)に示すように、被加工物4の加工部位の近傍を1対のチャック22、23で吸着することにより、被加工物4の反りを矯正することもできる。このとき、加工の進捗に合わせて被加工物4を水平方向に順次送るには、図6(b)に示すように、下位のチャック23を解除して若干量だけ下降させ、上位のチャック22を被加工物4とともに水平方向(図5では左向き)に規定量だけ移動させ、チャック23上昇させて被加工物4を吸着させた後、チャック22を逆方向(図5では右向き)に規定量だけ移動させてから被加工物4を吸着させるようにすればよい。
【0030】
一方、後者の方法(被加工物4の反りに対応してレーザビームの焦点を被加工物4上に合致させる機構を設ける方法)としては、集光レンズ17、18にオートフォーカス機能を付与する方法のほか、被加工物4の外周部を固定したまま被加工物4の座標軸を調整できる機構を付設する方法が考えられる。
【0031】
例えば、図7に示すように、被加工物4の外周部のうち両端部のみを2対の帯状の固定治具25、26、27、28で固定し、被加工物4の座標軸を調整できる機構を設ければ、被加工物4の加工位置精度を高めることができる。すなわち、図7(a)に示すように、被加工物4を固定治具25、26、27、28まで搬送して座標調整用吸着治具29で吸着し、被加工物4の形状またはマーカーを基準に画像処理で座標軸を合わせた後、被加工物4を固定治具25、26、27、28で挟み込んで固定し、固定治具25、26、27、28ごと加工位置に搬送する。そして、図7(b)に示すように、レーザ通過溝が形成された反り矯正用吸着治具30を被加工物4上に載置し、この反り矯正用吸着治具30で被加工物4を吸着するようにすれば、被加工物4の反りを矯正することも可能となる。このとき、被加工物4の表面に照射されるレーザビームは反り矯正用吸着治具30のレーザ通過溝を通過するので、被加工物4の加工に支障を来す不都合はない。
【0032】
また、被加工物4の反りを矯正する必要がない場合は、反り矯正用吸着治具30が不要となるので、図8に示すように、被加工物4の外周部を1対の枠状の固定治具31、32で固定し、被加工物4の座標軸を調整できる機構を設けることにより、被加工物4の加工位置精度を高めることができる。すなわち、図8(a)に示すように、被加工物4を固定治具31、32まで搬送して座標調整用吸着治具29で吸着し、被加工物4の形状またはマーカーを基準に画像処理で座標軸を合わせた後、被加工物4を固定治具31、32で挟み込んで固定し、固定治具31、32ごと加工位置に搬送する。このとき、被加工物4の表裏両面に照射されるレーザビームは枠状の固定治具31、32の中空部を通過するので、被加工物4の加工に支障を来す不都合はない。
【0033】
なお、上述の実施形態においては、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置5の損傷を避けるため、図1に示すように、それぞれの光路P1、P2上に光アイソレータ6、7を設置した場合について説明したが、2本の光路P1、P2の先端を互いにずらすことにより、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置5の損傷を避けつつ、2個の光アイソレータ6、7を不要としてレーザ加工装置1を簡素化することもできる。
【0034】
すなわち、このレーザ加工装置1は、図9に示すように、2本の光路P1、P2の先端が互いにずれていることと、光アイソレータ6、7が省かれていることを除き、図1に示すレーザ加工装置1と同様に構成されている。したがって、このレーザ加工装置1による被加工物4の両面加工においても、エネルギーの利用効率が良好となるとともに、微細加工を比較的高速で行うことができ、さらに、レーザ発振器5が1台しかなくても加工時間を短縮することができる。このとき、2本の光路P1、P2の先端が互いにずれているため、光路P1、P2上に光アイソレータ6、7がなくても、レーザ発振装置5に損傷を与える危険性はない。しかも、2個の光アイソレータ6、7の分だけ部品点数が減り、レーザ加工装置1が簡素化されることになる。
【0035】
また、上述の実施形態においては、図1および図2に示すように、1台の自動ステージ3上に被加工物4を搭載し、この被加工物4の表裏両面を同時にレーザ加工する場合について説明したが、1枚の被加工物4の表裏両面を同時に加工する必要はない。例えば、図10に示すように、2台の自動ステージ3A、3Bを独立に制御しうる形で並列に設置し、一方の自動ステージ3Aに被加工物4Aを表向きに搭載し、自動ステージ3Aを3軸方向に適宜移動させつつレーザ発振装置5から第1の光路P1へ向けて4倍波を出射させて被加工物4Aの表面に照射するとともに、他方の自動ステージ3Bに別の被加工物4Bを裏向きに搭載し、自動ステージ3Bを3軸方向に適宜移動させつつレーザ発振装置5から第2の光路P2へ向けて2倍波を出射させて被加工物4Bの裏面に照射するようにしても構わない。こうすれば、1枚の被加工物4の表裏両面を同時にレーザ加工する場合と異なり、2本の光路P1、P2の先端が同軸上で対向しないので、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置5の損傷を回避することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、所望の高調波(例えば、4倍波)のみならず低次の高調波(例えば、2倍波)または基本波をも被加工物の加工に利用することができ、これによって高調波の高次化に伴う出力低下を補い、加工速度を落とすことなく微細加工を行うことが可能となるので、エネルギーの利用効率を改善するとともに、加工速度を上げて生産性を高め、レーザ発振器が1台しかなくても被加工物の表裏両面の加工時間を短縮することが可能なレーザ加工装置を提供することができる。
【0037】
また、請求項2、3に記載の本発明によれば、レーザビームの逆行によるレーザ発振装置の損傷を避けることが可能となるため、レーザ加工装置の使用時の安全性を高めることができる。
【0038】
さらに、請求項4、5に記載の本発明によれば、被加工物が反りやすい材質であっても、被加工物の反りに起因する加工量の減少を未然に防ぐことができる。
【0039】
一方、請求項6、7に記載の本発明によれば、所望の高調波(例えば、4倍波)のみならず低次の高調波(例えば、2倍波)や基本波が被加工物の加工に利用されるとともに、これによって高調波の高次化に伴う出力低下が補われ、加工速度を落とすことなく微細加工が行われうることから、エネルギーの利用効率を改善するとともに、加工速度を上げて生産性を高め、レーザ発振器が1台しかなくても被加工物の表裏両面の加工時間を短縮することが可能なレーザ加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の第1の実施形態を示す概要図である。
【図2】被加工物の表裏両面を溝切り加工する第1の方法を示す端面図である。
【図3】被加工物の表裏両面を溝切り加工する第2の方法を示す斜視図である。
【図4】被加工物の表裏両面を溝切り加工する第3の方法を示す斜視図である。
【図5】被加工物の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える第1の方法を示す斜視図である。
【図6】被加工物の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える第2の方法を示す斜視図である。
【図7】被加工物の反りに対応してレーザビームの焦点を被加工物上に合致させる第1の方法を示す斜視図である。
【図8】被加工物の反りに対応してレーザビームの焦点を被加工物上に合致させる第2の方法を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るレーザ加工装置の第2の実施形態を示す概要図である。
【図10】本発明に係るレーザ加工装置の第3の実施形態を示す概要図である。
【符号の説明】
1……レーザ加工装置
4、4A、4B……被加工物
5……レーザ発振装置
5a……レーザ発振器
5b……波長変換素子
P1……第1の光路
P2……第2の光路

Claims (7)

  1. 基本波を発振するレーザ発振器(5a)を備えるとともに、このレーザ発振器から発振された基本波を波長変換して高調波を出射する波長変換素子(5b)を必要個数だけ備えたレーザ発振装置(5)を有し、
    前記波長変換素子で波長変換して得た所望の高調波を板状の被加工物(4)の表面に導く第1の光路(P1)を形成し、
    前記波長変換素子による波長変換過程で付随的に発生する低次の高調波または前記レーザ発振器から発振された基本波を前記被加工物の裏面に導く第2の光路(P2)を形成したことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 第1および第2の光路(P1、P2)に光アイソレータ(6、7)を設置したことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 第1および第2の光路(P1、P2)の先端を互いにずらしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記被加工物(4)の反りを矯正してレーザビームの焦点深度以内に抑える機構を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレーザ加工装置。
  5. 前記被加工物(4)の反りに対応してレーザビームの焦点を当該被加工物上に合致させる機構を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のレーザ加工装置。
  6. レーザ発振器(5a)から発振された基本波を波長変換素子(5b)で必要回数だけ波長変換して所望の高調波を出射させ、
    この高調波を板状の被加工物(4)の表面に照射して加工するレーザ加工方法において、
    前記高調波を発生させる波長変換過程で付随的に発生する低次の高調波または前記基本波を前記被加工物の裏面に照射して加工することを特徴とするレーザ加工方法。
  7. 前記被加工物(4)の表裏両面の加工を同時に実施することを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工方法。
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