JP4333072B2 - エステル化合物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエステル化合物及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
特開昭54−9269号公報において、ある種のエステル化合物が殺虫、殺ダニ剤の有効成分として記載されている。しかし、該化合物は有害生物防除効力の点で有害生物防除剤の有効成分として必ずしも十分とは言えない場合がある。
本発明は、優れた有害生物防除効力を有する化合物を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は優れた有害生物防除効力を有する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、後記一般式(1)で示されるエステル化合物が優れた有害生物防除効力を有することを発見し、本発明を完成した。
【0004】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【化2】
(式中、RはC1−C3アルキル基を表す。)
で示される2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル 2,2−ジメチル−3−(アルケニル)シクロプロパンカルボキシレ−ト化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除剤および本発明化合物を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明化合物において、Rで示されるC1−C3アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
本発明化合物には、シクロプロパン環上に存在する2個の不斉炭素原子に由来する異性体及び二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明にはその各々及びそれらの混合物が含まれる。
【0006】
本発明化合物の形態としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化3】
一般式(1)においてシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がシス配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環3位の置換基に存在する二重結合の相対配置がZ配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がシス配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置であり、シクロプロパン環3位の置換基に存在する二重結合の相対配置がZ配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がシス配置であり、シクロプロパン環3位の置換基に存在する二重結合の相対配置がZ配置である化合物;一般式(1)においてシクロプロパン環3位の置換基に存在する二重結合の相対配置がZ配置であるものが80%以上の割合である化合物。
【0007】
本発明化合物中、有害生物防除効力の点からはシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置である化合物又はシクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置である化合物に富む異性体混合物が好ましく、またRがメチル基又はエチル基である化合物が好ましい。
【0008】
本発明化合物は例えば以下に示す製造法により製造することができる。
(製造法1)
式(2)
【化4】
で示されるアルコール化合物と、一般式(3)
【化5】
(式中、RはC1−C3アルキル基を示す。)
で示されるカルボン酸化合物とを反応させる方法
該反応は、通常、縮合剤の存在下又は酸触媒の存在下、通常、溶媒中で行われる。
反応に用いられる縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロリドが挙げられ、酸触媒としては例えば硫酸等の無機酸、及びパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
反応に用いられる溶媒は、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばトルエン、ヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応時間の範囲は、通常瞬時〜72時間の範囲である。
反応温度の範囲は、通常-20〜100℃(溶媒の沸点が100℃以下のときは反応に供する溶媒の沸点)の範囲である。
反応に用いられる式(2)で示されるアルコール化合物の量は、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して1モルで目的を達しうるが、通常、0.5〜1.5モルの範囲で変化することができる。
該反応を縮合剤の存在下に行う場合、反応に用いられる縮合剤の量は、通常一般式(3)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して1モルでよいが、反応の状況に応じて変化することができる。また、該反応を酸触媒の存在下に行う場合、反応に用いられる酸触媒は反応の状況に応じて任意の量を用いることができる。反応後は、反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を濃縮する等の通常の後処理を行い、必要であれば更にクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより本発明化合物を単離することができる。
【0009】
(製造法2)
式(2)で示されるアルコール化合物と式(3)で示されるカルボン酸化合物の反応性誘導体(酸ハロゲン化物、酸無水物等)とを反応させる方法
該反応は、通常塩基の存在下、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N-ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
反応に用いられる溶媒は、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばトルエン、ヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応時間の範囲は、通常瞬時〜72時間の範囲である。
反応温度の範囲は、通常-20〜100℃(溶媒の沸点が100℃以下のときは反応に供する溶媒の沸点)の範囲である。
反応に用いられる式(2)で示されるアルコール化合物の量は、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物の反応性誘導体1モルに対して1モルで目的を達することができるが、反応の状況に応じて変化することができる。
また、反応に用いられる塩基の量は、一般式(3)で示されるカルボン酸の反応性誘導体1モルに対して1モルで目的を達することができるが、反応の状況に応じて変化することができる。
反応後は、反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を濃縮する等の通常の後処理を行い、必要であれば更にクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより本発明化合物を単離することができる。
【0010】
式(2)で示されるアルコール化合物は例えば特開平5−255271号公報に記載の方法で製造することができる。
また、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物及びその反応性誘導体は、例えば、以下の(スキーム1)及び(スキーム2)にしたがって製造することができる。
【0011】
(スキーム1)
【化6】
【0012】
化合物(B)の製造法
化合物(B)は例えば化合物(A)をオゾン分解反応に付することにより製造することができる。
該反応は通常メタノール等の溶媒中、オゾンを吹き込み、次いで、ジメチルスルフィド等の還元剤を加えることにより達成される。該反応の反応温度は、オゾンを吹き込む際には通常−100〜−50℃程度であり、ジメチルスルフィド等の還元剤を加えた後は−100〜50℃程度である。反応後は、反応液を濃縮し、必要であればクロマトグラフィー等で精製することにより化合物(B)を単離することができる。
【0013】
化合物(C)の製造法
化合物(C)は化合物(B)に対応するホスホラン化合物を反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類等の溶媒中で行われる。反応温度の範囲は通常−10〜50℃程度である。反応後は、反応液を有機溶媒抽出、乾燥、濃縮等の通常の後処理をして、必要であればクロマトグラフィー等で精製することにより化合物(C)を単離することができる。
また、該反応に用いられるホスホラン化合物はエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド等の対応するホスホニウム塩化合物とナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド等の塩基を反応させることにより得ることができる。
【0014】
化合物(D)の製造法
化合物(D)は化合物(C)を加水分解反応に付することにより製造することができる。該反応は通常、水中で、水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で行われる。反応温度の範囲は通常0〜100℃である。反応終了後は、例えば反応液を中和し、有機溶媒抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理を行うことにより化合物(D)を単離することができる。
【0015】
化合物(E)の製造法
化合物(E)は例えば化合物(D)と塩化チオニルとを反応させることにより製造することができる。該反応は溶媒の存在下又は不存在下で行われる。反応温度の範囲は通常20〜100℃である。反応後は、反応液を濃縮することにより化合物(E)を単離することができる。また、該反応にはピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物を触媒量共存させることもできる。
【0016】
(スキーム2)
シクロプロパン環1位の置換基と3位の置換基の相対立体配置がシスである化合物(H)の製造法
【化7】
【0017】
化合物(G)の製造法
化合物(G)は化合物(F)に対応するホスホラン化合物を反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類等の溶媒中で行われる。反応温度の範囲は通常−10〜50℃程度である。反応後は、反応液を有機溶媒抽出、乾燥、濃縮等の通常の後処理をして、必要であればクロマトグラフィー等で精製することにより化合物(G)を単離することができる。
また、該反応に用いられるホスホラン化合物はエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド等の対応するホスホニウム塩化合物とナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド等の塩基を反応させることにより得ることができる。
【0018】
化合物(H)の製造法
化合物(H)は前記化合物(E)の製造法と同様にして製造することとができる。
【0019】
本発明化合物が対象とする害虫としては、例えば以下の害虫が挙げられる。
鱗翅目害虫
ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫 (Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫 (Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫 (Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
【0020】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等
【0021】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
【0022】
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
【0023】
隠翅目害虫
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等
【0024】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等
【0025】
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
【0026】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
【0027】
鞘翅目害虫
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
【0028】
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
【0029】
直翅目害虫
ケラ、バッタ等
【0030】
ダニ類
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類
【0031】
本発明化合物を有害生物防除剤の有効成分として用いる場合には、本発明化合物をそのまま用いてもよいが、通常は本発明化合物を製剤化して使用する。
その製剤としては、例えば油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、粉剤、粒剤、エアゾール剤、加熱蒸散剤(殺虫線香、電気殺虫マット、吸液芯型加熱蒸散殺虫剤等)、加熱燻煙剤(自己燃焼型燻煙剤、化学反応型燻煙剤、多孔セラミック板燻煙剤等)、非加熱蒸散剤(樹脂蒸散剤、含浸紙蒸散剤等)、煙霧剤(フォッキング等)、ULV剤及び毒餌があげられる。
製剤化の方法としては、例えば以下の方法をあげることができる。
(1)本発明化合物を固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合し、必要があれば界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加・加工する方法。
(2)本発明化合物を有効成分を含有していない基材に含浸する方法。
(3)本発明化合物と基材を混合した後に成形加工する方法。
これらの製剤には、本発明化合物を、製剤形態にもよるが、通常、重量比で0.001〜95%含有する。
【0032】
製剤化の際に用いられる担体としては、例えば固体担体{粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ、モンモリロナイト等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等}、液体担体{水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン、フェニルキシリルエタン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、植物油(大豆油、綿実油等)等}、ガス状担体{フロンガス、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、炭酸ガス等}があげられ、
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、及び糖アルコール誘導体があげられ、
【0033】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(デンプン、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸等、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)があげられる。
【0034】
殺虫線香の基材としては、例えば木粉、粕粉等の植物性粉末とタブ粉、スターチ、グルテイン等の結合剤との混合物があげられる。
【0035】
電気殺虫マットの基材としては、例えばコットンリンターを板状に固めたもの、コットンリンターとパルプとの混合物のフィリブルとの混合物を板状に固めたものがあげられる。
【0036】
自己燃焼型燻煙剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦デンプン等の支燃剤、珪藻土等の増量剤及び合成糊料等の結合剤があげられる。
【0037】
化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、含水塩、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土などの触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤があげられる。
【0038】
非加熱蒸散剤の基材としては、例えば、熱可塑性樹脂、紙(濾紙、和紙等)があげられる。
【0039】
毒餌の基材としては、例えば、穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアセチック酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末等の子どもやペットによる誤食防止剤、及びチーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料があげられる。
【0040】
本発明の有害生物防除方法は、有害生物または有害生物の生息場所に通常、本発明の有害生物防除剤を施用することにより行われる。
【0041】
本発明の有害生物防除剤の製剤の施用方法としては、例えば、以下の方法が挙げられ、製剤の剤型、使用場所等に応じて適宜選択できる。
(1)製剤をそのまま害虫又は害虫の生息場所に処理する方法。
(2)製造を水等の溶媒で希釈した後に、害虫又は害虫の生息場所に処理する方法。
この場合には、通常、乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等を本発明化合物の濃度が0.1〜10000ppmとなるように希釈する。
(3)製剤を害虫の生息場所で加熱して有効成分を揮散させる方法。
この場合、本発明化合物の施用量、施用濃度はいずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、有害生物の種類、被害状況等に応じて適宜定めることができる。
【0042】
本発明化合物を有害生物防除剤として用いる場合には、他の殺虫剤、殺線虫剤、土壌害虫防除剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、忌避剤、共力剤、肥料、土壌改良材と混用または併用することもできる。
【0043】
かかる殺虫剤、殺ダニ剤の有効成分としては、例えば、フェニトロチオン〔O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエ−ト〕、フェンチオン〔O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエ−ト〕、ダイアジノン〔O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエ−ト〕、クロルピリホス〔O,O−ジエチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエ−ト〕、アセフェ−ト〔O,S−ジメチルアセチルホスホラミドチオエ−ト〕、メチダチオン〔S−2,3−ジヒドロ−5−メトキシ−2−オキソ−1,3,4−チアジアゾ−ル−3−イルメチル O,O−ジメチルホスホロジチオエ−ト〕、ジスルホトン〔O,O−ジエチル S−2−エチルチオエチルホスホロジチオエ−ト〕、DDVP〔2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェ−ト〕、スルプロホス〔O−エチル O−4−(メチルチオ)フェニル S−プロピルホスホロジチオエ−ト〕、シアノホス〔O−4−シアノフェニル O,O−ジメチルホスホロチオエ−ト〕、ジオキサベンゾホス〔2−メトキシ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−2−スルフィド〕、ジメトエ−ト〔O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェ−ト〕、フェントエ−ト〔エチル 2−ジメトキシホスフィノチオイルチオ(フェニル)アセテ−ト〕、マラチオン〔ジエチル(ジメトキシホスフィノチオイルチオ)サクシネ−ト〕、トリクロルホン〔ジメチル 2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチルホスホネ−ト〕、アジンホスメチル〔S−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イルメチル O,O−ジメチルホスホロジチオエ−ト〕、モノクロトホス〔ジメチル(E)−1−メチル−2−(メチルカルバモイル)ビニルホスフェ−ト〕、エチオン〔O,O,O′,O′−テトラエチル S,S′−メチレンビス(ホスホロジチオエ−ト)〕等の有機リン系化合物、
【0044】
BPMC(2−sec−ブチルフェニルメチルカ−バメ−ト〕、ベンフラカルブ〔エチル N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニネ−ト〕、プロポキスル〔2−イソプロポキシフェニル N−メチルカ−バメ−ト〕、カルボスルファン〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカ−バメ−ト〕、カルバリル〔1−ナフチル−N−メチルカ−バメ−ト〕、メソミル〔S−メチル−N−〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミデ−ト〕、エチオフェンカルブ〔2−(エチルチオメチル)フェニルメチルカ−バメ−ト〕、アルジカルブ〔2−メチル−2−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド O−メチルカルバモイルオキシム〕、オキサミル〔N,N−ジメチル−2−メチルカルバモイルオキシイミノ−2−(メチルチオ)アセタミド〕、フェノチオカルブ〔S−4−フェノキシブチル)−N,N−ジメチルチオカ−バメ−ト〕等のカ−バメ−ト系化合物、
【0045】
エトフェンプロックス〔2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエ−テル〕、フェンバレレ−ト〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレ−ト〕、エスフェンバレレ−ト〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレ−ト〕、フェンプロパトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、シペルメトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、ペルメトリン〔3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、シハロトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、デルタメトリン〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、シクロプロトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレ−ト〕、フルバリネ−ト(α−シアノ−3−フェノキシベンジル N−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネ−ト)、ビフェンスリン(2−メチルビフェニル−3−イルメチル)(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3−フェノキシベンジル)エ−テル、トラロメトリン〔(1R−シス)3{(1RS)(1,2,2,2−テトラブロモエチル)}−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジルエステル〕、シラフルオフェン〔4−エトキシフェニル{3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン〕、d−フェノトリン〔3−フェノキシベンジル (1R−シス,トランス)−クリサンテマ−ト〕、シフェノトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−シス,トランス)−クリサンテマ−ト〕、d−レスメトリン〔5−ベンジル−3−フリルメチル(1R−シス,トランス)−クリサンテマ−ト〕、アクリナスリン〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−シス(Z))−(2,2−ジメチル−3−{3−オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル}シクロプロパンカルボキシレ−ト)、シフルトリン〔(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、テフルトリン〔2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (1RS−シス(Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、トランスフルスリン〔2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R−トランス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト〕、テトラメトリン〔3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1RS)−シス,トランス−クリサンテマ−ト〕、アレスリン〔(RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペント−2−エニル(1RS)−シス,トランス−クリサンテマ−ト〕、d−フラメトリン〔5−(2−プロピニル)フルフリル(1R)−シス,トランス−クリサンテマ−ト〕、プラレトリン〔(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペント−2−エニル(1R)−シス,トランス−クリサンテマ−ト〕、エンペントリン〔(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル (1R)−シス,トランス−クリサンテマ−ト〕、5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレ−ト等のピレスロイド化合物、
【0046】
ニトロイミダゾリジン誘導体、N−シアノ−N’−メチル−N’−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン等のN−シアノアミジン誘導体、エンドスルファン〔6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピンオキサイド〕、γ−BHC〔1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン〕、1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル等の塩素化炭化水素化合物、クロルフルアズロン〔1−(3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕、テフルベンズロン〔1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕、フルフェノクスロン〔1−(4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−フルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、フェニルピラゾール系化合物、メトキサジアゾン〔5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2−(3H)−オン〕、ブロモプロピレ−ト〔イソプロピル 4,4′−ジブロモベンジレ−ト〕、テトラジホン〔4−クロロフェニル 2,4,5−トリクロロフェニルスルホン〕、キノメチオネ−ト〔S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカルボネ−ト〕、ピリダベン〔2−tert−ブチル−5−(4−tert−ブチルベンジルチオ)−4−クロロピリダジン−3(2H)−オン〕、フェンピロキシメ−ト〔tert−ブチル(E)−4−〔(1,3−ジメチル−5−フェノキシピラゾ−ル−4−イル)メチレンアミノオキシメチル〕ベンゾエ−ト〕、ジアフェンチウロン〔N−(2,6−ジイソプロピル−4−フェノキシフェニル)−N′−tert−ブチルカルボジイミド〕、デブフェンピラド〔N−4−tert−ブチルベンジル〕−4−クロロ−3−エチル−1−メチル−5−ピラゾ−ルカルボキサミド〕、ポリナクチンコンプレックス〔テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン〕、ピリミジフェン〔5−クロロ−N−〔2−{4−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルフェノキシ}エチル〕−6−エチルピリミジン−4−アミン、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン等があげられる。
【0047】
忌避剤としては、例えば、3,4−カランジオール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1−メチルプロピル 2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、p−メンタン−3,8−ジオール、ヒソップ油などの植物精油等があげられる。
【0048】
共力剤としては、例えば、ビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エーテル(S−421)、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(MGK−264)、α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(ピペロニルブトキシド)等があげられる。
【0049】
【実施例】
以下、製造例、製剤例及び試験例等により本発明さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0050】
まず、本発明化合物の製造例を示す。
【0051】
製造例1
テトラヒドロフラン65mlに式(2)
【化8】
で示される化合物4.0g及びピリジン2.1gを溶解し、氷冷下で、後記参考製造例1により製造した(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸塩化物4.1gを加えた後、室温で8時間攪拌した。その後、反応液を濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル150mlを加え、氷水約50mlに注加し、分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレ−ト(本発明化合物1)4.72g(収率65%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS内部標準)δ値(ppm):1.14(s、3H)、1.28(s、3H)、1.44(d、1H)、1.70(d、3H)、2.28(m、1H)、2.36(t、1H)、4.06(s、2H)、4.27(d、2H)、
5.10(m、1H)、5.55(dd、2H)、5.60(m、1H)
【0052】
製造例2
テトラヒドロフラン10mlに式(2)で示される化合物1.0g及びピリジン0.52gを溶解し、氷冷下で、後記参考製造例2により製造した(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボン酸塩化物1.17gを加えた後、室温で8時間攪拌した。その後、反応液を氷水約30mlに注加し、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボキシレート(本発明化合物2)1.23g(収率65%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS内部標準)δ値(ppm):0.97(t、3H)、1.12(s、3H)、1.27(s、3H)、1.44(d、1H)、2.14(m、2H+1H)、2.37(t、1H)、4.05(s、2H)、4.27(d、2H)、
5.03(m、1H)、5.54(m、2H+1H)
【0053】
製造例3
テトラヒドロフラン10mlに式(2)で示される化合物0.84g及びピリジン0.44gを溶解し、氷冷下で(1R)−シス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸塩化物0.91gを加えた後、室温で8時間攪拌した。その後、反応液を氷水約30mlに注加し、酢酸エチル40mlで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−シス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレ−ト(本発明化合物3)0.98g(収率64%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS内部標準)δ値(ppm):1.20(s、3H)、1.25(s、3H)、1.70(brd、3H+1H)、2.05(t、1H)、2.42(t、1H)、4.05(s、2H)、4.27(d、2H)、5.48(dd、2H)、5.65(m、2H)
【0054】
参考製造例1
メタノ−ル430g、ピリジン265gの混合溶液に、氷冷下、3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸クロリド{立体異性体の比率(1R)−トランス体:(1R)−シス体:(1S)−トランス体:(1S)−シス体=93.9:2.5:3.5:0.1}501.9gを約2.5時間かけて加え、加え終わった後、さらに室温で4時間攪拌した。その後、反応液を約半分まで減圧濃縮してから、3.5%塩酸500ml中に滴下し、メチル−t−ブチルエ−テル200mlで3回抽出した。得られた残渣を減圧蒸留(84〜89℃/7mmHg)し、3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル426gを得た。
【0055】
メタノール1000mlに3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル150gを溶解し、−50〜−60℃で、オゾンを吹き込んだ。ガスクロマトグラフィ−で原料の消失を確認した後、オゾンの吹き込みを停止し、ジメチルスルフィド170gを滴下した。その後、室温まで昇温し、一晩静置した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣にメチル−t−ブチルエ−テル500ml、10%塩酸1000mlを加え、攪拌し、室温で2時間中静置後、分液した。水層をさらにメチル−t−ブチルエ−テル500mlで抽出した。有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留(84〜103℃/7mmHg)し、2,2−ジメチル−3−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル88.9gを得た。
【0056】
窒素雰囲気下、500ml四つ口フラスコ(攪拌翼;テフロン(登録商標)製半月板)中で、ナトリウムメトキシド20.3gをテトラヒドロフラン138.8gに懸濁し、0℃に冷却した。ここに、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド111.5gを5分間かけて加えた。0〜5℃で1時間攪拌した後、同温で2,2−ジメチル−3−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルのトルエン溶液73.3g(2,2−ジメチル−3−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルエステル純分39.1g)を5.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、0〜5℃で1.5時間攪拌した後、10%塩酸42.0gを滴下して水層のpHを6.85にした。
反応混合物に水198.9gを加え、内温74〜82℃に加熱し、トルエンとテトラヒドロフランを130ml留出させた。
さらに、この残渣に水192.8gを加え内温84.6〜102.1℃(バス温109〜131℃)で蒸留した。この間、内温が93℃に達した時点から水391gを4.5時間かけて滴下した。
留出液を分液して、411.7gの水層と、73.4gの有機層とを得た。得られた有機層には2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルエステルが53.7重量%含有されていた(ガスクロマトグラフィーを用いた内部標準法による。)。
得られた有機層のうち72.3gを減圧下濃縮して2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルンボン酸メチル38.7gを得た(収率91.9%)。単離された2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルンボン酸メチルエステルは、下記割合の異性体の混合物であった。
2,2−ジメチル−3−((E)−1−プロペニル)シクロプロパンカルンボン酸メチルと2,2−ジメチル−3−((Z)−1−プロペニル)シクロプロパンカルンボン酸メチルの割合は約1:9であった。
【0057】
2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸メチル491.1gをトルエン307.5g、メタノ−ル98.4gに溶解し、60℃に保温した。そこへ、40%水酸化ナトリウム水溶液526.4gを約1.5時間かけて加え、加え終わった後、さらに1時間攪拌を続けた。
反応液を30℃まで冷却後、反応液に水394.8gを加え、静置後、分液した。水層に20%塩酸1152.8gを加え、トルエン451gで5回抽出した。有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸464.7gを得た。
【0058】
2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸464.7g、ヘキサン464.7g、ピリジン0.17gの混合溶液に、50℃にて、塩化チオニル430.2gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、(1R)トランス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸クロリド472.3gを得た。
【0059】
参考製造例2
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン200mlにn−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド109gを懸濁し、0℃でカリウム−t−ブトキシド31.6gを5分間かけて加えた。0〜5℃で1時間攪拌した後、同温で、前記参考製造例1に記載の方法で製造した2,2−ジメチル−3−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル40.0gをテトラヒドロフラン40mlに溶解した溶液を約30分間かけて滴下した。滴下終了後0〜5℃で3時間攪拌した。その後、反応混合物に50%水酸化ナトリウム水溶液24.6g、メタノール40mlを加え、60℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン150ml、氷水100mlに注加し、分液した。水層に20%塩酸100mlを加え、トルエン300mlで2回抽出した。有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボン酸35gを得た。単離した2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボン酸の1−ブテニル基の(Z)体と(E)体の比率は約8:1であった。
【0060】
2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボン酸50g、ヘキサン350ml及びN,N−ジメチルホルムアミド0.6gを混合し、50℃で塩化チオニル39gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。その後、反応液を減圧下濃縮し、2,2−ジメチル−3−(1−ブテニル)シクロプロパンカルボン酸塩化物48gを得た。
【0061】
次に製剤例を示す。なお、部は重量部を示す。
製剤例1
本発明化合物1〜3 20部をキシレン65部に溶解し、ソルポール3005X(東邦化学登録商標)15部を加え、よく攪拌混合して、乳剤を得る。
【0062】
製剤例2
本発明化合物1〜3 40部にソルポール3005X5部を加え、良く混合してカープレックス#80(合成含水酸化珪素、塩野義製薬登録商標)32部、300メッシュ珪藻土23部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合して、水和剤を得る。
製剤例3 粒剤
本発明化合物1〜3 1.5部およびAGSORBLVM−MS24/48(OIL DRI社製モンモリロナイトの焼成品、粒径24〜48メッシュの粒状担体)98.5部を加えてよく混合し、押し出し造粒機で造粒し、乾燥して、1.5%粒剤を得る。
【0063】
製剤例4
本発明化合物1〜3 10部、フェニルキシリルエタン10部およびスミジュールL−75(トリレンジイソシアネート、住友バイエルウレタン社製)0.5部を混合した後、アラビアガムの10%水溶液20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径20μmのエマルジョンを得る。次にこれにエチレングリコール2部を加え、さらに60℃の温浴中で24時間攪拌してマイクロカプセルスラリーを得る。一方、ザンサンガム0.2部、ビーガムR(アルミニウムマグネシウムシリケート、三洋化成製)1.0部をイオン交換水56.3部に分散させて増粘剤溶液を得る。上記マイクロカプセルスラリー42.5部および増粘剤溶液57.5部を混合して、マイクロカプセル剤を得る。
製剤例5
本発明化合物1〜3 10部とフェニルキシリルエタン10部とを混合した後、ポリエチレングリコールの10%水溶液20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径3μmのエマルジョンを得る。一方、ザンサンガム0.2部、ビーガムR(アルミニウムマグネシウムシリケート、三洋化成製)1.0部をイオン交換水58.8部に分散させて増粘剤溶液を得る。上記エマルジョン溶液40部及び増粘剤溶液60部を混合してフロアブル剤を得る。
【0064】
製剤例6
本発明化合物1〜3 5部をカープレックス#80(合成含水酸化珪素微粉末、塩野義製薬登録商標)3部、PAP(モノ、ジイソプロピルホスフェート混合物)0.3部及びタルク(300メッシュ)91.7部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合し、粉剤を得る。
製剤例7
本発明化合物1〜3 0.1部をジクロロメタン10部に溶解し、これを脱臭灯油89.9部に混合して、油剤を得る。
【0065】
製剤例8
本発明化合物1〜3 1部、ジクロロメタン5部及び脱臭灯油34部を混合溶解し、エアゾール容器に充填し、バルブ部分を取付けた後、該バルブ部分を通じ手噴射剤(液化石油ガス)60部を加圧充填して、油性エアゾールを得る。
製剤例9
本発明化合物1〜3 0.6部、キシレン5部、脱臭灯油3.4部及びアトモス300(乳化剤、アトラスケミカル社登録商標)1部を混合溶解したものと、水50部とをエアゾール容器に充填し、バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を加圧充填して、水性エアゾールを得る。
【0066】
製剤例10
本発明化合物1〜3 0.3gをアセトン20mlに溶解し、線香用基材(タブ粉:粕粉:木粉=4:3:3の割合で混合したもの)99.7gと均一に攪拌混合した後、水100mlを加え、十分練り合わせたものを成型乾燥し、殺虫線香を得る。
製剤例11
本発明化合物1〜3 0.8g、ピペロニルブトキサイド0.4gにアセトンを加えて溶解し、全部で10mlとする。この溶液0.5mlを2.5cm×1.5cm、厚さ0.3cmの電気殺虫マット用基材(コットンリンターとパルプの混合物のフィリブルを板状に固めたもの)に均一に含浸させて、電気殺虫マット剤を得る。
【0067】
製剤例12
本発明化合物1〜3 3部を脱臭灯油97部に溶解して液剤を得、これを塩化ビニル製容器に入れ上部をヒーターで加熱できるようにした吸液芯(無機粉体をバインダーで固め、焼結したもの)を挿入することにより、吸液芯型加熱蒸散装置に用いるパーツを得る。
製剤例13
本発明化合物1〜3 100mgを適量のアセトンに溶解し、4.0cm×4.0cm、厚さ1.2cmの多孔セラミック板に含浸させて、加熱燻煙剤を得る。
【0068】
製剤例14
本発明化合物1〜3 100μgを適量のアセトンに溶解し、2cm×2cm、厚さ0.3mmの濾紙に均一に塗布した後、アセトンを風乾して、常温揮散剤を得る。
【0069】
次に、本発明化合物が有害生物防除剤の有効成分として有効であることを試験例により示す。なお、部は重量部を示す。
【0070】
試験例1
本発明化合物1 0.025部をジクロロメタン10部に溶解し、これを脱臭灯油89.9975部に混合して、0.025%油剤を調製した。
イエバエ成虫(雄雌各5頭)を一辺70cmの立方体チャンバー内に放ち、前記本発明化合物1の0.025%油剤0.7mlを該チャンバー側面の小窓からスプレーガンを用いて8.8×104Paの圧力でチャンバー内に散布した。その後10分後まで経時的にノックダウンした虫数をカウントした。得られた結果から供試虫の半数がノックダウンするのに要する時間(KT50)を求めた。
結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
試験例2
本発明化合物1 0.1部をジクロロメタン10部に溶解し、これを脱臭灯油89.9混合して、0.1%油剤を調製した。
650ml容のプラスチックカップにイエバエ成虫10頭(雄雌各5頭)を入れ、上面をナイロンメッシュで覆い、これを46cm×46cm×70cmの金属製チャンバーの底部に設置した金網の上に置いた。ここに上記本発明化合物1の0.1%油剤0.5mlを該プラスチックカップ上部30cmの高さからスプレーガンを用いて8.8×104Paの圧力で供試虫にめがけて散布した。散布して10秒後にノックダウンしている虫の数を数えた。
結果を表2に示す(各2反復)。
【0073】
【表2】
【0074】
試験例3
本発明化合物1及び本発明化合物3の各々0.00625部をジクロロメタン10部に溶解し、これを脱臭灯油89.99375部と混合して、0.00625%油剤を調製した。
アカイエカ雌成虫10頭を一辺70cmの立方体チャンバー内に放し、前記油剤0.7mlを該チャンバー側面の小窓からスプレーガンを用いて8.8×104Paの圧力でチャンバー内に散布した。その後、10分後まで経時的にノックダウンした虫数をカウントした。得られた結果から供試虫の半数がノックダウンするのに要する時間(KT50)を求めた。
結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】
本発明化合物は優れた有害生物防除効力を有し、有害生物防除剤の有効成分として有用である。
Claims (6)
- 一般式(1)においてシクロプロパン環1位の置換基と、シクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がシス配置であることを特徴とする請求項1記載のエステル化合物。
- 一般式(1)においてシクロプロパン環1位の置換基と、シクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置であることを特徴とする請求項1記載のエステル化合物。
- 一般式(1)においてシクロプロパン環3位の置換基に存在する二重結合の相対配置がZ配置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のエステル化合物。
- 請求項1〜4のいずれか記載のエステル化合物を有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除剤。
- 請求項1〜4のいずれか記載のエステル化合物を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
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