JP4332952B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐水性、低誘電率および機械的強度に優れる等の特長を有する硬化物を与える新規な硬化性樹脂組成物に関する。該樹脂組成物は上記の特長を生かし、各種電気・電子材料、耐熱性成形品、複合材料、接着剤または耐熱性塗料等に使用されるものであるが、特に銅張積層板用硬化性樹脂組成物として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンに代表される、マレイミド骨格を2個以上有する化合物(以下、「ビスマレイミド化合物」と称する。)を硬化して得られる硬化物は耐熱性に優れる。しかしビスマレイミド化合物は融点が高く、各種溶剤にも溶け難い等、取り扱い性に難点があるため単独で使用することは困難であった。このためビスマレイミド化合物と反応することができる官能基を持った別の化合物を配合した組成物(以下、「ビスマレイミド系硬化性樹脂組成物」と称する。)が用いられている。
【0003】
ビスマレイミド化合物と反応する化合物としては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のアミン化合物;o,o’−ジアリルビスフェノールAまたはo,o’−ジメタリルビスフェノールA等のアリルフェノール化合物;或いはビスフェノールAジシアネート、テトラメチルビスフェノールAジシアネート等のシアネート化合物等が知られている。これらの化合物と4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン等のビスマレイミド化合物とを配合してなるビスマレイミド系硬化性樹脂組成物は、耐熱性接着剤、耐熱性塗料または複合材料用マトリックス樹脂として、航空機部品電気・電子分野で使用されている。
特に、近年プリント配線基板の多層化や表面実装技術の発展に伴い、銅張積層板を構成する絶縁材料として、耐熱性、信頼性の優れた物が要望されており、この要望に応える得る材料として前記ビスマレイミド系硬化性樹脂組成物が広く採用されている。
【0004】
一方、通信機器等の分野では信号の周波数領域がギガヘルツ帯に及ぶ機器が一般化してきており、この分野では特に誘電率、誘電正接の低い絶縁材料が求められている。さらにLSI等の集積回路のパッケージング分野においては、シリコンチップの発熱や多ピン化によるパッケージ用基板の高密度化等の点からは高耐熱性を有し、信号伝播速度の遅延を低減する点からは低誘電率、低誘電正接性の材料が求められているため、これらの分野では、両特性を兼ね備えた絶縁材料が強く求められている。
【0005】
しかしながら前記ビスマレイミド系硬化性樹脂組成物の硬化物(以下「樹脂硬化物」と称する。)は元々耐熱性に優れているものの、吸水率が高いため、水分との接触によりまたは大気中から水分を吸収して、耐熱性が低下したり、絶縁抵抗の低下、誘電率の増加等を引き起こし、初期の物性が低下し易いという欠点があった。このため前記ビスマレイミド系硬化性樹脂組成物は限られた用途にしか使用することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐熱性、機械的強度、低誘電率等の電気特性に優れ、かつ高い耐水性を併せ持つ樹脂硬化物を与えることができる新規な硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、式(ii)で表されるノルボルネン(X=CH2の場合。)またはその類似の骨格(X=OまたはSの場合。)(以下、これら骨格を「ノルボルネン等の双環骨格」と総称する。)を有する化合物とマレイミド骨格を2個以上有する化合物とからなる組成物を用いるか、或いはノルボルネン等の双環骨格を2個以上有する化合物とマレイミド骨格を有する化合物とからなる組成物を用いると、組成物中の両化合物が容易に共重合して上記課題を解消し得る良好な物性を発揮する樹脂硬化物を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記式(i)で表わされる基をn個有する化合物(A)と下記式(ii)で表わされる基をm個有する化合物(B)とを配合してなり、前記nまたはmの少なくとも一方が2以上である硬化性樹脂組成物である。
【0008】
【化4】
Figure 0004332952
但し、R1およびR2は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基またはハロゲン原子の何れかであり同じであっても違っていても良く、またR1およびR2が結合して縮合環を形成していても良い。
【0009】
【化5】
Figure 0004332952
但し、Xは、CH2、OまたはS。R3は、水素原子またはアルキル基。R4は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シアノ基、或いはカルボキシル基またはその誘導体の何れか。
【0010】
本発明に用いる化合物(A)は、前記式(i)で表わされる基を1分子中に個有する化合物で、当該式(i)において、R1およびR2は、水素原子、メチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、塩素等のハロゲン原子、或いは置換アルキル基または置換アリール基であり、同じでも違っていても良く、またR1およびR2が結合して縮合環を形成していても良いが、R1およびR2が水素原子であると硬化反応性が良好であり好ましい。
【0011】
化合物(A)のうち、n=1の化合物としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−2,5−ジエチルフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルフェニルマレイミド、N−o−トリルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−o−キシリルマレイミド、N−p−キシリルマレイミド、N−m−キシリルマレイミド等が挙げられる。
また、nが2以上の化合物としては、ビスマレイミドメタン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−エチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチル−5−エチル−フェニル)メタン、N,N’−{2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン}ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミドおよびN,N’−m−キシリレンジマレイミド等が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物には所望によりこれらを2種類以上併用してもよい。
【0012】
上記の化合物(A)の内、n=2、即ち2官能のマレイミド化合物は樹脂硬化物の機械物性が良好で好ましい。その中でもビスマレイミドジフェニルメタンは、その他の多官能性マレイミド化合物に比べて融点が低く、注型材料に用いる場合等において作業性を向上させることができるので好ましく、また、N,N’−{2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン}ジマレイミドは吸水率が低い樹脂硬化物を得ることができるため好ましい化合物である。
【0013】
化合物(B)は、前記一般式(ii)で表わされる基をm個有する化合物である。ここでXは、CH2、OまたはSから選択されるものであるが、樹脂硬化物の耐水性が優れていることから、X=CH2であるノルボルネン骨格を有する化合物が好ましい。
また、R3は水素原子またはアルキル基から選ばれた一種であるが、合成時のディールスアルダー反応が起こり易く、樹脂の硬化時に逆ディールスアルダー反応が起き難いため、硬化温度を広く設定することができるという理由から水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
4は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シアノ基、或いはカルボキシル基またはその誘導体の何れかであり、具体的には、−H、−CH3、−CH2OH、−CN、−CH2COOR'(R'は、アルキル基、アリール基等)および−COOR'(R'は、アルキル基、アリール基等)等が挙げられる。この内、水素原子またはアルキル基が耐水性良く、誘電率に優れるという理由から好ましい。
【0014】
化合物(B)のうちX=CH2のものは、不飽和二重結合を有する化合物とシクロペンタジエンとを反応させて得ることができる。なお、シクロペンタジエンはジシクロペンタジエンを加熱することにより容易に得ることができる。また、化合物(B)のうち、X=OまたはSの化合物は、シクロペンタジエンの代わりに、フランまたはチオフェンを用いると得ることができる。
【0015】
化合物(B)として特に好ましい種類は、前記一般式(iii)で表わされるノルボルネン等の双環骨格およびカルボニル基を有する基を有する化合物である。このうちX=CH2のものは、不飽和二重結合およびカルボニル基を有する化合物とシクロペンタジエンとを反応させて得ることができる。
不飽和二重結合およびカルボニル基を有する化合物としては、例えばアクリロイル基および/またはメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」と称する。)並びにカルボキシル基を有する化合物、イタコン酸およびそのエステル類等が挙げられる。特に(メタ)アクリロイル基およびカルボキシル基を有する化合物の場合は、シクロペンタジエンと容易にディールスアルダー反応が起こり、特に加熱等の処理をしなくても合成が可能であり好ましい。
【0016】
前記一般式(iii)で表わされるノルボルネン等の双環骨格およびカルボニル基を有する基を有する化合物は、化合物(A)と容易に共重合し、高い耐熱性を有する樹脂硬化物を得ることができるものである。
【0017】
化合物(B)の合成に不飽和二重結合を有する化合物を用いる場合、その不飽和二重結合の数により、得られる化合物(B)中のノルボルネン等の双環骨格の数(mの値)が決定される。
例えば(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物を用いると、得られる化合物(B)中のノルボルネン等の双環骨格の数は1(m=1)となり、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を用いると、得られる化合物(B)中のノルボルネン等の双環骨格の数は2個以上(m≧2)となる。
(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」と称する。)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の単官能アクリレートおよび/またはメタクリレート(以下、「(メタ)アクリレート」と称する。)、並びにジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらは2種以上を併用しても良い。
【0018】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば東亞合成(株)製、商品名アロニックスM210)、エチレンオキサイド変成ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート(例えば東亞合成(株)製、商品名アロニックスM208)、プロピレンオキサイド変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば共栄社化学(株)製、商品名ライトアクリレートBP−4PA)、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート(例えば共栄社化学(株)製、商品名ライトアクリレートDCP−A)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば共栄社化学(株)製、商品名ライトアクリレート1・6HX−A)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて製造されるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリヒドロキシエチルのトリ(メタ)アクリレート(例えば東亞合成(株)製、商品名アロニックスM315)等の3官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸を反応させて製造されるエポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの2種類以上を併用してもよい。
【0019】
前述の化合物(B)の原料として、不飽和二重結合とカルボニル基とを有する化合物を用いる場合、その好ましい種類は、得られる硬化性樹脂組成物の目的に応じて異なる。例えば樹脂硬化物に高い機械的強度、高い弾性率および高いガラス転移温度を望む場合は、ビスフェノール類、ジシクロペンタジエン、イソシアヌル酸等の環構造の残基を有する(メタ)アクリレートか、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好適である。また柔軟性のある樹脂硬化物を必要とする場合や硬化物の弾性率を下げるための添加剤等として使用する場合には1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等の柔軟な構造を有する化合物が好適に使用できる。
【0020】
本発明の硬化樹脂組成物は、化合物(A)および化合物(B)を配合してなるが、化合物(A)中の式(i)で表される基が2個以上(n≧2)か、または/および化合物(B)中の式(ii)で表される基が2個以上(m≧2)でなければならない。
nおよびmのいずれも1の場合は、本発明の目的とする耐熱性等に優れた樹脂硬化物を得ることは不可能である。また、前記nおよびmの双方が2以上の場合は、得られる樹脂硬化物の性能が良く特に好ましい。
なお、式(i)で表される基が2個以上の化合物(A)(即ち、ビスマレイミド化合物)および化合物(B)からなる組合わせの場合でも、得られる硬化性樹脂組成物をワニスとした場合の粘度を低下させるために、式(i)で表される基が1個の化合物(A)(即ち、単官能マレイミド化合物)を少量配合することができる。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物において化合物(A)と化合物(B)との配合割合は、化合物(A)の式(i)で表わされる基の中の環部分と化合物(B)の式(ii)で表わされる基の中の環部分の当量比で、1/0.3〜1/1.2の範囲が好ましく、さらに好ましくは1/0.4〜1/1である。この比が1/0.3より大きい組成物は溶融混合後や溶剤に溶解した樹脂ワニスの状態で化合物(A)が析出し樹脂硬化物が不均一になり易く、また溶融粘度が高くなるため取り扱い難くなり好ましくない。ノルボルネン等の双環骨格を有する基を持つ化合物は前述のとおり一般的に重合を起こし難い化合物であるが、本発明者等が検討した結果、化合物(B)は化合物(A)中の式(i)で表わされる基との共重合を容易に起こし、良好な物性を有する共重合物を得ることができることが分かった。したがって上記当量比が1/1.2よりも小さい場合は、得られる樹脂硬化物に未反応の化合物(B)が多く含まれ、機械的強度が低下したり、樹脂硬化物から未反応モノマーが経時的に外部に染み出す恐れがある等の不具合が生じ易いので好ましくない。
【0022】
本発明の硬化性樹脂組成物は、通常250℃程度の硬化温度が必要であるが、硬化温度を下げることを目的として、必要に応じてラジカル重合開始剤が添加併用される。好ましい開始剤はジアルキルパーオキサイドに属する過酸化物で、具体例はジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルD)、t−ブチルクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルC)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パークミルD)、ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日本油脂(株)製、商品名パーブチルP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25B)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン25B)、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン(化薬アクゾ(株)製、商品名カヤジン)等である。
【0023】
本発明の硬化性樹脂組成物には、銅箔等の金属への接着力の向上を目的として、必要に応じてシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤が添加併用される。これらのシランカップリング剤の中ではエポキシ基または炭素炭素二重結合を有するシランカップリング剤が組成物の保存安定性を損なうことがなく好ましいが、配合後直ちに使用する場合には、アミノ基、メルカプト基を有するものも使用することができる。
【0024】
本発明の硬化性樹脂組成物を注型用途等、溶剤無しで使用する場合は、化合物(A)と(B)とを140℃乃至200℃で加熱溶融してから、重合開始剤を加えて硬化することができる。溶融後、いったん冷却しておくと保存安定性が良く好ましい。また重合開始剤混合時はポットライフを長くする目的でそれぞれの重合開始剤の10時間半減期温度よりも低い温度まで溶融状態の樹脂混合物の温度を下げて混合するのが好ましい。
【0025】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗料またはプリプレグ用ワニスとして調整するには種々の方法が挙げられる。例えば化合物(A)および化合物(B)をそのまま有機溶剤に溶解させる方法、化合物(A)および化合物(B)を140乃至200℃で加熱溶融して得たプレポリマーを有機溶剤に溶解させる方法、化合物(A)および化合物(B)を有機溶剤中で加熱してプレポリマー溶液を得る方法等である。
【0026】
化合物(A)として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンのように結晶が析出し易い化合物を使用した本発明の硬化性樹脂組成物を、溶液状(ワニス)として保存するためには、結晶化を防止するために化合物(A)および化合物(B)をプレポリマー化しておくことが好ましい。
【0027】
ワニスにするための溶剤は特に限定されないが、化合物(A)が難溶性の化合物なので、高固形分のワニスを得るためには化合物(A)を比較的溶解し易い非プロトン性溶剤を溶剤の一部または全部に用いると良い。非プロトン性溶剤の具体例はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等である。
【0028】
低沸点溶剤はプリプレグ製造の際、生産速度を上げ、プリプレグ表面で硬化性成分が垂れて、筋状の痕跡や含浸量のむらの発生を低減する目的で併用することが好ましい。また塗料用途に用いる場合も乾燥を容易にするので好ましい。低沸点溶剤は、プレポリマー化の温度が100〜200℃と高温なので、高沸点溶剤を用いて製造されたプレポリマーを室温付近に冷却してから添加併用することが好ましい。併用に適する低沸点溶剤は、上述の非プロトン性溶剤等の良溶剤に相溶するものである。
【0029】
このようにして得られた組成物は、注型材料、塗料、積層板用のワニスとして好適に用いられるものであり、その際用途に応じてシリカ、セラミックス粉末、炭素繊維、ガラス繊維等の無機フィラー、ブタジエンゴム、NBR等の有機添加剤を添加しても良い。
【0030】
上述の方法によって得られたワニスまたは溶融混合物は、ガラス繊維布、アラミド繊維布、ポリエステル繊維布、セルロース紙等の基材に含浸させて、100℃乃至200℃の温度で加熱してBステージ状態のプリプレグとし、これを銅箔と共に加熱加圧して銅張積層板とすることができる。
【0031】
【作用】
本発明の硬化性樹脂組成物から得られる樹脂硬化物は、耐熱性、耐水性、機械的強度等に優れ、かつ低い誘電率などの優れた電気特性を合わせ持っている。これらの特性が得られる理由は化合物(B)に含まれる環部分、例えばノルボルネン骨格が嵩高く、高い疎水性を持ち、かつ極性が低いため電気特性、耐水性が向上するものと推察される。さらに化合物(B)に含まれる環部分は重合反応後も環骨格を保有することから結合が切断され難く、耐熱性にも優れるものと推察される。
【0032】
【実施例】
(合成例1)
温度計、ジムロート、攪拌器を備えた100mlの3口フラスコにビスフェノールAジ2(2ヒドロキシエトキシ)エチルエーテルのジアクリル酸エステル(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM210)25g(0.049mol)を仕込み、室温下で攪拌しながら、予めジシクロペンタジエンを150℃で分解して得られたシクロペンタジエン6.8g(0.1mol)を30分かけて滴下した。そのまま20時間攪拌後内容物を100mlナス型フラスコに移し替え反応せずに残ったシクロペンタジエンを減圧下で留去した。フラスコ内に残ったものをNMR(図1)で分析した。
【0033】
NMRの条件は、270MHzのプロトンNMRで、溶剤は重クロロホルム、測定温度は室温、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)とした。
原料が有していた5.8〜6.5ppm付近のアクリロイル基のC=Cに結合したプロトンH6個分のピークが消失して、新たに5.9〜6.2ppm付近にノルボルネンの二重結合部分のプロトンH4個分が出現し、また2.8〜3ppm付近にノルボルネンの橋頭位のプロトンH4個分が確認されたことから、原料が有する2個のアクリロイル基の何れもにシクロペンタジエンがディールスアルダー反応により付加しノルボルネン骨格になった、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジノルボルネンカルボキシレートであることを確認した。
【0034】
(実施例1)
化合物(A)として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(三井化学(株)製、商品名ビスマレイミド)を200g(0.56mol)、化合物(B)として合成例1で得られたビスノルボルネン化合物360g(0.56mol)を150℃で1時間加熱溶融し、一旦100℃まで冷却した後ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製:商品名パークミルD)6gを加えて攪拌し、この溶融混合物を各種測定用の形を形成したポリ4弗化エチレン樹脂製の型に流し込んだ。この樹脂を型ごと熱プレス成形機にはさみ、加圧しながら130℃で1時間保持した後、250℃まで昇温し5時間保持して冷却し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物について、吸水率、誘電率、曲げ強度試験、粘弾性、熱重量分析を行った結果を表1に示す。当該樹脂組成物は、極めて耐熱性が高く、低い吸水率、低い誘電率などの特長を有し、かつ強度的にも使用に十分耐えるものであることが分かった。
【0035】
(比較例1)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンを200g(0.56mol)およびジアミノジフェニルエタン55.6g(0.28mol)を150℃で1時間加熱溶融し、この溶融混合物を各種測定用の形を形成したポリ4弗化エチレン樹脂製の型に流し込んだ。この樹脂を型ごと熱プレス成形機にはさみ、加圧しながら180℃で1時間保持した後、250℃まで昇温し5時間保持して冷却し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物について、実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
【0036】
(実施例、比較例の組成物の評価)
(比誘電率)
Qメーター法により求めた。
(誘電正接)
Qメーター法により求めた。
(吸水率の測定)
50mm×50mm×2mmの試験片を100℃で24時間真空乾燥してから秤量し、乾燥状態の重量とした。この試験片を蒸留水中に浸し23℃±1℃の恒温室内に24時間放置してから取り出し、表面に付着した水分を拭き取って秤量し重量増加分を乾燥状態の重量で割って吸水率を求めた。
(曲げ強度、曲げ弾性率)
JIS K 6911に準じて測定を行った。
(粘弾性)
粘弾性測定機((株)セイコーインスツルメンツ製DMS6100)を用い、周波数1Hz、昇温速度4℃/minで0℃から350℃まで測定した。
(重量分析)
熱重量分析装置((株)セイコーインスツルメンツ製)を用い窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで30℃〜520℃まで分析を行った。
【0037】
【表1】
Figure 0004332952
【0038】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は耐熱性を損なうことなく、ビスマレイミド類の欠点である低い耐水性、高い誘電率を何れも改善することができ、電気電子材料をはじめとする様々な用途に応用することができ、特に銅張積層板用硬化性樹脂組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたエチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジノルボルネンカルボキシレートのH−NMRスペクトル図である。

Claims (2)

  1. 下記式(i)で表わされる基をn個有する化合物(A)と下記式(ii)で表わされる基をm個有する化合物(B)とを配合してなり、前記nまたはmの少なくとも一方が2以上である硬化性樹脂組成物。
    Figure 0004332952
    但し、R1およびR2は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基またはハロゲン原子の何れかであり同じであっても違っていても良く、またR1およびR2が結合して縮合環を形成していても良い。
    Figure 0004332952
    但し、Xは、CH2、OまたはS。R3は、水素原子またはアルキル基。R4は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シアノ基、或いはカルボキシル基またはその誘導体の何れか。
  2. 化合物(B)が下記式(iii)で表わされる基を有する化合物であることを特徴とする請求項1の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0004332952
    但し、Xは、CH2、OまたはS。R3は、水素原子またはアルキル基。R4は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シアノ基、或いはカルボキシル基またはその誘導体の何れか。
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