JP4331420B2 - 凹球面加工装置及び加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は球状工具を用いてレンズ等の被加工物を凹球面に加工する加工装置および加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11(a)及び(b)は、レンズ等の被加工物に凹球面を加工するために、特開平11−333702号公報に記載された従来の加工装置である。この装置は、加工工具として球状工具を用い、球状工具に超音波振動を伝達して凹球面を加工するものである。
【0003】
図11(a)に示すように、加工を行う側の工具軸部140が上方に、加工が施される側のワーク軸部141が下方に配置されている。加工軸部140は図示を省略した架台上部に取り付けたガイド121に沿って上下方向に移動可能になっているとともに、この移動が定位置で固定されるようになっている。
【0004】
加工軸部140はコントローラー120によって出力が制御された超音波発振器101と、超音波発振器101の下端部に一体に設けられた軸体102と、軸体102の下端部に固定されたホーン103とを備えており、ホーン103の下端部には、鋼球からなる球状工具104が取り付けられている。
【0005】
図11(b)はホーン103における工具104の取り付け部を示し、ホーン103の下端部には球状工具104と同じ形状及び曲率となっている窪み状の保持部103aが形成されており、この保持部103a内に工具104が挿入されて保持される。このホーン103は被加工物であるレンズ105に向かって先細りするテーパ状の外形に成形されている。従って、超音波発振器101からの超音波を増幅して球状工具104に伝達することができる。また、保持部103aが球状工具104と同じ形状及び曲率のため、球状工具104の曲率中心とホーン103の軸心とが一致し、精度の良い加工が可能となる。
【0006】
ワーク軸部141は被加工物であるレンズ105が接着により固定される載置台106と、載置台106を支持するシリンダ107とを有している。シリンダ107は球状工具104とレンズ105とが当接した状態の載置台106を上方に押圧して、工具軸部140方向へ荷重をかける加圧手段として作用するものである。
【0007】
載置台106の上面には、マイクローター108が当接しており、レンズ105への凹球面の創成に伴う載置台106の上下方向の変位量を測定する。このマイクロメーター108はレンズ105への凹球面105b(図12参照)の創成に伴って載置台106が変位する変位量を測定する。
【0008】
工具104とレンズ105との当接部位に、砥粒111としてのダイヤモンドパウダーを水112に分散させた加工液109を滴下して供給するディスペンサー110が設けられている。
【0009】
この加工装置では、シリンダ107によってレンズ105と球状工具104とを所定の荷重で当接させると共に、これらの当接部位にディスペンサー110から加工液109を供給する。この状態で、ホーン103を介して超音波発振器101からの超音波振動を球状工具104に伝達して加工を行う。
【0010】
加工が進行してレンズ105に凹球面105bが創成されるのに伴って、載置台106が上方に変位し、この変位をマイクロメーター108で検出し、所定の変位量となった時点で加工を終了する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した加工装置による加工では、以下のような問題点が生じている。
【0012】
図12に示すように、加工の進行に伴ってレンズ105の凹球面105bが深くなれば深くなるほど、レンズ105と球状工具104との当接部位に対する加工液109の供給及び排出が困難になる。特に、劣化した砥粒111を含む古い加工液109が凹球面105bの底部に溜まっていると、新しい加工液を供給しても古い加工液109が排出しにくいため、新しい加工液が凹球面105bの底部に到達することができず、劣化した加工液109による加工が継続される。そして、このように劣化した加工液109を使用し続けることにより、加工能率が低下したり、加工形状精度が劣化する等の不具合が生じる。
【0013】
また、加工中に球状工具104は超音波振動するが、その動きはごく僅かであり、場合によっては偏った動きをすることがある。これに伴い、球状工具104の偏摩耗が発生し、結果的に凹球面105bの形状精度の劣化や偏心の発生を促すことになる。
【0014】
さらに、超音波を使用しながら加工を行う際に、縦方向の振動波を使用すると、砥粒111を叩くようにして加工が進行する。これにより、球状工具104及びホーン103側にもレンズ105と同様の負荷がかかり、それが加工中継続することにより球状工具104やホーン103の摩耗が著しくなり、形状精度の劣化や球状工具104の寿命低下などが生じる。
【0015】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、深い凹球面を被加工物に加工する際、球状工具の偏摩耗や凹球面の偏心を抑えると共に、加工液の供給・排出を円滑に行うことにより、加工品質及び加工能率を向上させることが可能な凹球面加工装置及び加工方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の凹球面加工装置は、被加工物に凹球面を加工する球状工具と、球状工具と接触した状態で回転駆動源からの動力を球状工具に伝達して球状工具を少なくとも一の方向に転動させる動力伝達手段と、球状工具と被加工物とを所定の荷重で当接させる加圧手段と、球状工具が被加工物から離間した状態となるように保持すると共に当該保持の解除を行う保持手段と、砥粒が分散した加工液を球状工具の転動方向上流側から球状工具と被加工物との当接部位に対して供給する加工液供給手段と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
この装置では、保持手段の解除によって球状工具が被加工物に当接する。そして、加圧手段が球状工具と被加工物とを所定の荷重で当接させ、この状態で、球状工具に接触している動力伝達手段からの動力によって球状工具が一の方向に沿って転動すると共に、この転動に伴って加工液供給手段が球状工具の転動方向の上流側から加工液を供給して凹球面の加工が行われる。
【0018】
このような発明では、球状工具が一の方向に沿って転動するため、その方向に沿った流れが加工液に発生すると共に、加工液が球状工具の転動方向の上流側から供給されるため、古い加工液の排出及び新たな加工液の供給・補充を円滑に行うことができる。また、球状工具が転動して加工を行うため、球状工具の全面を加工に使用することができ、偏摩耗することがなくなる。これらによって、被加工物に深い凹球面を加工する場合であっても、凹球面の形状精度を向上させることができると共に、球状工具の形状劣化を抑制することができ、さらには、加工能率を向上させることができる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1記載の凹球面加工装置であって、前記動力伝達手段は、球状工具が被加工物と当接しながら転動するように球状工具に接触した状態で走行する少なくとも一の動力伝達ベルトであることを特徴とする。
【0020】
動力伝達ベルトが球状工具と接触しながら走行することにより、球状工具に回転力が作用し、球状工具が動力伝達ベルトの走行方向に沿って円滑に転動する。このため、加工液の交換や供給及び球状工具の全面での加工を確実に行うことができ、加工効率が向上する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1記載の凹球面加工装置であって、前記動力伝達手段は、球状工具が被加工物と当接しながら転動するように球状工具に接触した状態で走行する複数の動力伝達ベルトと、それぞれの動力伝達ベルトの走行速度及び/または走行方向を制御するベルト制御手段とを有していることを特徴とする。
【0022】
この発明では、複数の動力伝達ベルトが球状工具と接触することにより、それぞれの動力伝達ベルトから球状工具に回転力が作用する。そして、ベルト制御手段がそれぞれの動力伝達ベルトの走行速度及び/または走行方向を制御することにより、球状工具の転動を任意に変化させることができる。このため、球状工具の転動の自由度が増大し、回転方向が複合するように球状工具を転動させることが可能となる。これにより、加工液の供給、球状工具の偏摩耗、被加工物に加工される凹球面の偏心を抑制することができ、加工品質、加工能率を向上させることができる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1記載の凹球面加工装置であって、前記保持手段は、磁力によって球状工具を吸着して保持する電磁石と、電磁石への通電を制御する電磁石制御手段とを有していることを特徴とする。
【0024】
このように電磁石によって球状工具の保持及びその解放を行うことにより、球状工具を掴んだり、引っ掛ける等の機械的な保持を行う必要がなく、球状工具を傷付けることがなくなる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の凹球面加工装置であって、前記球状工具の外周面に溝が形成されていることを特徴とする。
【0026】
球状工具の外周面に溝を形成することにより、加工液が溝内に侵入して加工に有効に作用することができると共に、加工で発生した切り屑を溝を通して排出することができる。このため、加工効率を向上させることができる。
【0027】
請求項6の発明の凹球面加工方法は、砥粒が分散した加工液を被加工物と球状工具との当接部位に供給しながら被加工物と球状工具とを所定の荷重で当接させた状態で、球状工具に動力伝達手段を接触させて球状工具を少なくとも一の方向に転動させると共に、前記加工液を球状工具の転動方向上流側から供給することを特徴とする。
【0028】
このように、球状工具と被加工物とを所定の荷重で当接させ、加工液を供給しながら球状工具を転動させることにより、被加工物に凹球面を加工することができる。この発明では、球状工具の転動方向の上流側から加工液を供給するため、古い加工液の排出及び新たな加工液の供給・補充を円滑に行うことができる。また、球状工具が転動して加工を行うため、球状工具の全面を加工に使用することができ、偏摩耗することがなくなる。従って、被加工物に深い凹球面を加工する場合であっても、凹球面の形状精度を向上させることができると共に、球状工具の形状劣化を抑制することができ、さらには、加工能率を向上させることができる。
【0029】
請求項7の発明は、請求項6記載の凹球面加工方法であって、複数の動力伝達手段を球状工具に接触させると共に、それぞれの動力伝達手段から伝達される動力の大きさ及び/または方向が異なるように制御することを特徴とする。
【0030】
このように複数の動力伝達手段を用いると共に、それぞれの動力伝達手段殻の動力の大きさ及び/または方向を異ならせることにより、球状工具の転動の自由度が増大し、複合した回転方向に球状工具を転動させることができ、これにより、加工液の供給、球状工具の偏摩耗、被加工物に加工される凹球面の偏心を抑制することができ、加工品質、加工能率を向上させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態により具体的に説明する。なお、各実施の形態において、同一の部材は同一の符号を付して対応させてある。
【0032】
(実施の形態1)
図1〜図5は本発明の実施の形態1を示し、図1は加工装置全体の正面図、図2は加工前の状態を示す正面図、図3は加工状態を示す斜視図、図4は球状工具及び保持手段を示す正面図、図5は動力伝達手段の構成を示す断面図である。
【0033】
この実施の形態では、被加工物としてレンズ1を用い、レンズを加工する工具として球状工具2を用いるものである。
【0034】
レンズ1は接着等によって固定されることによりレンズ保持台10に保持されている。レンズ保持台10は加圧手段としての加圧シリンダ11に支持されており、加圧シリンダ11が作動することにより、レンズ1及び球状工具2を所定の荷重で当接させるようになっている。
【0035】
レンズ支持台10の上方には、上軸12が配置されている。上軸12はガイド13によって上下動自在に支持されており、その先端には球状工具2が転動自在に配置されている。球状工具2の材質は、鋼、鉄などの磁性体によって形成されており、磁気を帯びることにより、後述する保持手段によって保持されるようになっている。
【0036】
加工中は加工液供給装置(加工液供給手段)9から、遊離砥粒を含んだ加工液7がノズル8から球状工具2及びレンズ1の接触面に向けて供給される。加工液7は球状工具2の転動する方向の上流側から行われるものである。
【0037】
加工前において、レンズ1の加工面1aにはテーパ溝14が予め形成されている。テーパ溝14は三角形断面となっており、球状工具2によって球面加工を行う際に、加工初期の心ズレを抑えるように作用する。
【0038】
次に図3〜図5により、この実施の形態における保持手段及び動力伝達手段を説明する。
【0039】
保持手段は図4に示すように、上軸12の下端部分に配置された電磁石15及び電磁石15への通電を制御する電磁石制御手段16から構成されている。電磁石15はリング状となっており、上軸12の下端部分に嵌め込み、接着等によって取り付けられている。電磁石制御手段16は電磁石15への通電のON、OFFを切り換えるものであり、通電をONとすることにより、球状工具2が電磁石15に吸引される。これにより、上軸12が球状工具2を保持した状態となる。一方、電磁石15への通電をOFFとすることにより、球状工具2の保持が解放されて球状工具2は転動可能な自由状態となる。このように電磁石15によって球状工具2の保持及び解放を行う構造では、磁力による保持のため、掴んだり、引っ掛ける等の機械的な保持を行う必要がなく、球状工具2を傷付けることがなくなる。
【0040】
これに加えて、電磁石15の内側には、保持リング3が取り付けられている。保持リング3は合成ゴム、シリコンゴムなどのゴムやポリウレタン、四フッ化エチレン樹脂などの弾性体からなり、球状工具2よりも小さな径となっている。従って、球状工具2は保持リング3と接触した状態で転動するため、硬質の電磁石15や上軸12と接触することがなく、球状工具2の表面の傷付きを少なくすることができる。
【0041】
動力伝達手段は図3及び図4に示すように、動力伝達ベルト6を備えると共に、動力伝達ベルト6を走行させる上下一対の伝動用プーリ4及び駆動用プーリ5を備えて構成されている。動力伝達ベルト6は保持リング3と同様なゴム、樹脂等の弾性体によって無端状に形成されており、球状工具2と接触しながら走行することにより、球状工具2に回転力を作用させる。この実施の形態において、動力伝達ベルト6は平行となった2本が配置されており、それぞれが走行することにより球状工具2に回転力を作用させるようになっている。なお、動力伝達ベルト6及びプーリ4,5のセットは1セットあれば問題がないが、球状工具2を駆動するにあたり、滑り等が生じて動力伝達が良好にできない場合には、複数設置するのが望ましい。
【0042】
図5は動力伝達ベルト6の駆動系を示す。伝動用プーリ4はシャフト21により支持されており、シャフト21はベアリング22を介して伝動用プーリ固定枠17に回転自在に支承されている。駆動用プーリ5はモータシャフト20により支持されており、モータシャフト20はベアリング20を介して駆動用プーリ固定枠18に回転自在に支承されている。モータシャフト20はプーリ駆動用モータ23に接続されており、プーリ駆動用モータ23の回転駆動力がモータシャフト20を介して駆動用プーリ23に伝達される。プーリ駆動用モータ23はベルト制御手段としての回転数・正逆転制御装置24に接続されて、その駆動が制御されている。また、駆動用プーリ固定枠18は伝動用プーリ固定枠17の内側に配置されており、これらは張力調整ナット19により相対的位置が微調整可能となって、動力伝達ベルト6に適切な張力を付与している。
【0043】
上記の構成によりレンズ1に対して球面加工を行う場合、レンズ1と球状工具2とが当接した段階で、加工液供給装置9からノズル8を通して加工液7がその当接位置に供給される。その際、電磁石15により保持されていた球状工具2は、電磁石制御装置16が電磁石15の磁力をOFFにすることにより、転動自在の状態になる。この場合、球状工具2は保持リング3とレンズ1の間に挟持された状態となっているため、上下左右には転がることがない。
【0044】
次に、加圧シリンダ11によりレンズ1を球状工具2に押圧すると共に、プーリ駆動用モータ23を駆動して駆動用プーリ5を駆動する。駆動用プーリ5の回転により動力伝達ベルト6がプーリ5と同期して走行し、伝動用プーリ4に動力が伝達され同プーリ4が回転する。なお、プーリ駆動用モータ23の回転数及び回転方向は回転数・正逆転制御装置24によって任意に設定されるようになっている。
【0045】
動力伝達ベルト6は球状工具2に接触しており、動力伝達ベルト6の走行の動きが球状工具2に伝わる。これにより、球状工具2はX軸(図3参照)を回転軸として縦方向に回転運動する。従って、球状工具2とレンズ1の凹球面1bの間に遊離砥粒を含む加工液5が介在した状態で、球状工具2の回転運動、レンズ1側からの加圧の要素が加わりレンズ1の加工が進行する。
【0046】
また、図4に示すように、球状工具2がX軸を中心に反時計回りに回転するのに対し、加工液7はその回転方向の上流側である左方向から供給される。このため、加工液7が球状工具2の回転に追従して流れることができ、新しい加工液がレンズ1の凹球面1bの底部に円滑に供給されると共に、凹球面1bの底部にあった古い加工液は右方向に円滑に排出される。
【0047】
このような実施の形態によれば、古い加工液の排出及び新たな加工液の供給・補充を円滑に行うことができ、しかも、球状工具2が転動して加工を行うため、球状工具2の全面を加工に使用することができ、球状工具2の偏摩耗及び凹球面1bの偏心を防止することができる。これにより、深い凹球面1bの加工に際しても、加工品質及び加工能率を向上させることが可能となる。
【0048】
なお、駆動用プーリ5の回転数及び/また回転方向を変えて、球状工具2の回転数及び/または回転方向を変えることも可能であり、これにより加工品質、加工能率に応じて加工条件を調整することも容易となっている。
【0049】
(実施の形態2)
図6〜図9は本発明の実施の形態2を示し、図6は加工状態を示す斜視図であり、平行な2本の動力伝達ベルト6が駆動用プーリ5a、5bによってそれぞれ走行が制御されている。この実施の形態では、駆動用プーリ5a及び駆動用プーリ5bがそれぞれ異なる回転数で制御される。これに伴い、動力伝達ベルト6から球状工具2に伝達される回転駆動力が実施の形態1と異なっている。
【0050】
この実施の形態において、凹球面加工を行う場合、実施の形態1と同様にレンズ1と球状工具2が当接した段階で、加工液供給装置9からノズル8を通して加工液7をその当接位置に供給する。そして、加圧シリンダ11が上昇してレンズ1を球状工具2に押し付け、次に、プーリ駆動用モータ23を駆動して駆動用プーリ5を回転させることにより、動力伝達ベルト6を走行し、動力伝達ベルト6と接触している球状工具2を転動させて加工を進行させる。
【0051】
この実施の形態においても、回転数・正逆転制御装置24によって各駆動用プーリ5a、5bの回転数及び回転方向を任意に設定することが可能であり、このため、駆動用プーリ5aを駆動用プーリ5bより速い回転数で駆動する。これにより、球状工具2はX軸を回転軸として縦方向に回転するが、それと同時に、遅い回転数の駆動用プーリ5bから速い回転数の駆動用プーリ5aの方向に向かう回転力、すなわちX軸と直交する鉛直方向のZ軸を回転軸とした回転力も生じる(図7参照)。これにより、縦方向の回転と横方向の回転を同時に行うことが可能となる。このような回転制御を行うことにより、球状工具2の全面が均等に摩耗制御することができる。すなわち、実施の形態1においては、X軸と平行に近い部分から球状工具2が摩耗するため、図8の破線から実線で示すように外形が楕円になるのに対し、この実施の形態では、球状工具2が縦方向の回転・横方向の回転を複合的に行うため、均等に球状工具2が摩耗するものである。
【0052】
図9は駆動用プーリ5a、5bの別の制御方法を示している。図9において、駆動プーリ5aの回転速度が破線で示すVa、駆動用プーリ5bの回転速度が実線で示すVbであり、これらの回転速度を加工時間tに対して変化させて制御する場合を示している。
【0053】
図9に示すように、加工初期においては回転速度VaとVbを同じ値に設定しておき、あらかじめ設定しておいた加工時間に到達した段階で回転速度Vaの値を大きくする。その後、その状態を一定時間維持した後、再度Vaの値をVbと同じにする。その後、回転速度VaをVbより小さい値にする。このような制御を行うことにより、VaがVbと同じ値のときはX軸を回転軸として縦方向の回転のみを行い、VaがVbより大きい値の時は図7のようにZ軸を回転軸として時計方向への横回転が加わる。また、VaがVbより小さい場合は、これと逆で図7のZ軸を回転軸として反時計方向への横回転が加わる。
【0054】
このような制御以外にも回転数・正逆転制御装置24を用い、片方の駆動用プーリを逆回転させることにより、さらに横方向の回転を大きくすることも可能である。なお、回転速度VaがVbと同じ値で方向のみ逆の制御の場合は、縦方向の回転は生じない。
【0055】
このような実施の形態では、実施の形態1と同様に、球状工具2が常に動くことにより、深い凹球面の加工に対しても、劣化した加工波の排出及び新しい加工液の供給が円滑に行われると共に、球状工具2の偏摩耗や凹球面1bの偏心を抑えることができ、加工品質及び加工能率を向上させることが可能となる。
【0056】
これに加えて、この実施の形態では、球状工具2に対しX軸と直行する鉛直方向のZ軸を回転軸とした横方向の回転を加えることにより、球状工具2の形状精度の劣化を防止することができる。
【0057】
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3を示す。この実施の形態では、球状工具2の表面に溝25が形成されている。溝25は円周上に複数設けられており、この実施の形態では、それぞれ直交するように溝25が3本設けられている。
【0058】
この実施の形態においても、凹球面の加工を行う場合、レンズ1と球状工具2とが当接した段階で、加工液供給装置6からノズル9を通して加工液5がその当接位置に供給され、さらに、加圧シリンダ11が上昇してレンズ1を球状工具2に押し付け、次に、プーリ駆動用モータ23が駆動して駆動用プーリ5が回転し、動力伝達ベルト6が走行することにより、動力伝達ベルト6が接触している球状工具2が転動して加工が進行する。
【0059】
この実施の形態では、球状工具2には溝25が設けられているため、加工中に供治された加工液7が球面工具2の溝25の中にも浸透してレンズ1の加工に寄与する。また、加工中に発生する切り屑(スラッジ)も、球面工具2とレンズ1の凹球面との界面に滞留することなく、溝25を通して外部に円滑に排出される。
【0060】
従って、この実施の形態においても、実施の形態1及び2と同様な作用及び効果を有しているが、これに加えて、球状工具2に設けられている溝25により、レンズ1の凹球面の深い位置に加工液が到達し易くなるため、さらに加工能率を向上させることができる。また、加工中に発生するスラッジが排出され易いため、球状工具2の偏摩耗をさらに抑制することができ、従って、形状精度の高い加工を行うことが可能となる。
【0061】
なお、溝25の本数は1本以上あれば良く、本数を多くすることにより、溝を設けたことによる効果を発揮し易くなる。ただし、溝の本数が多すぎると球状工具2の表面積が相対的に減少するため、溝25はその総面積が球面工具2の表面積の20%程度を上限として設定するのが望ましい。また、溝の幅についても特に限定すべき点はないが、上記の上限値を目安として溝の本数と共に設定することが望ましい。溝の深さについても任意の設定で良いが、球状工具2の直径に対して10%程度を目安とするのが望ましい。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、古い加工液の排出及び新たな加工液の供給・補充を円滑に行うことができ、球状工具が転動して加工を行うことにより球状工具の全面を加工に使用することができるため、偏摩耗することがなくなり、これにより被加工物に深い凹球面を加工する場合であっても、凹球面の形状精度を向上させることができると共に、球状工具の形状劣化を抑制することができ、加工能率を向上させることができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果を有するのに加えて、球状工具が動力伝達ベルトの走行方向に沿って円滑に転動するため、加工液の交換や供給及び球状工具の全面での加工を確実に行うことができ、加工効率が向上する。
【0064】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果を有するのに加えて、球状工具の転動を任意に変化させることができるため、球状工具の転動の自由度が増大し、回転方向が複合するように球状工具を転動させることが可能となり、これにより、加工液の供給、球状工具の偏摩耗、被加工物に加工される凹球面の偏心を抑制することができ、加工品質、加工能率を向上させることができる。
【0065】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果を有するのに加えて、球状工具の保持及びその解放の際に、球状工具を必要以上に傷付けることがなくなる。
【0066】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果を有するのに加えて、溝内に侵入した加工液が加工に有効に作用すると共に、加工で発生した切り屑を溝を通して排出することができ、加工効率を向上させることができる。
【0067】
請求項6の発明によれば、古い加工液の排出及び新たな加工液の供給・補充を円滑に行うことができると共に、球状工具が転動して加工を行うため、球状工具の全面を加工に使用することができ、偏摩耗することがなくなり、被加工物に深い凹球面を加工する場合であっても、凹球面の形状精度を向上させることができると共に、球状工具の形状劣化を抑制することができ、加工能率を向上させることができる。
【0068】
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果を有するのに加えて、加工液の供給、球状工具の偏摩耗、被加工物に加工される凹球面の偏心を抑制することができ、加工品質、加工能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体正面図である。
【図2】加工前のレンズの正面図である。
【図3】実施の形態1における加工状態の斜視図である。
【図4】球状工具及び保持手段を示す正面図である。
【図5】動力伝達手段の構成を示す断面図である。
【図6】実施の形態2の加工状態の斜視図である。
【図7】実施の形態2の加工状態における球状工具の平面図である。
【図8】球状工具の摩耗を示す平面図である。
【図9】実施の形態の制御を説明する特性図である。
【図10】実施の形態3の球状工具の斜視図である。
【図11】従来の加工装置を示し、(a)は全体の正面図、(b)は加工部位の断面図である。
【図12】従来の加工における作用を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 球状工具
4 伝動用プーリ
5 駆動用プーリ
6 動力伝達ベルト
7 加工液
10 加工液供給装置
11 加圧シリンダ
12 上軸
15 電磁石
16 電磁石制御装置
24 回転数・正逆転制御装置
25 溝

Claims (7)

  1. 被加工物に凹球面を加工する球状工具と、
    球状工具と接触した状態で回転駆動源からの動力を球状工具に伝達して球状工具を少なくとも一の方向に転動させる動力伝達手段と、
    球状工具と被加工物とを所定の荷重で当接させる加圧手段と、
    球状工具が被加工物から離間した状態となるように保持すると共に当該保持の解除を行う保持手段と、
    砥粒が分散した加工液を球状工具の転動方向上流側から球状工具と被加工物との当接部位に対して供給する加工液供給手段と、を備えていることを特徴とする凹球面加工装置。
  2. 前記動力伝達手段は、球状工具が被加工物と当接しながら転動するように球状工具に接触した状態で走行する少なくとも一の動力伝達ベルトであることを特徴とする請求項1記載の凹球面加工装置。
  3. 前記動力伝達手段は、球状工具が被加工物と当接しながら転動するように球状工具に接触した状態で走行する複数の動力伝達ベルトと、それぞれの動力伝達ベルトの走行速度及び/または走行方向を制御するベルト制御手段とを有していることを特徴とする請求項1記載の凹球面加工装置。
  4. 前記保持手段は、磁力によって球状工具を吸着して保持する電磁石と、電磁石への通電を制御する電磁石制御手段とを有していることを特徴とする請求項1記載の凹球面加工装置。
  5. 前記球状工具の外周面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凹球面加工装置。
  6. 砥粒が分散した加工液を被加工物と球状工具との当接部位に供給しながら被加工物と球状工具とを所定の荷重で当接させた状態で、球状工具に動力伝達手段を接触させて球状工具を少なくとも一の方向に転動させると共に、前記加工液を球状工具の転動方向上流側から供給することを特徴とする凹球面加工方法。
  7. 複数の動力伝達手段を球状工具に接触させると共に、それぞれの動力伝達手段から伝達される動力の大きさ及び/または方向が異なるように制御することを特徴とする請求項6記載の凹球面加工方法。
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