JP4331248B1 - 主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート - Google Patents

主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート Download PDF

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Abstract


【課題】 主として、医療現場や介護現場で衛生材料として用いられる防滑性に優れたシートを提供する。
【解決手段】 このシートは、不織布製又は紙製シート1、第一合成樹脂製フィルム2、第二合成樹脂製フィルム3の順で積層一体化されてなる。不織布製又は紙製シート1と第一合成樹脂製フィルム2とは貼合一体化されている。第一合成樹脂製フィルム2には第二合成樹脂製フィルム3が、部分的に貼合部4を有し残余が非貼合部5となった状態で貼合一体化されている。不織布製シート1としてはレーヨン不織布が用いられる。第一合成樹脂製フィルム2及び第二合成樹脂製フィルム3としてポリエチレンフィルムが用いられる。非貼合部5と貼合部4は、たとえば、非貼合部5が格子となっており、貼合部4が格子の目となっている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、医療や介護現場等で主に衛生材料として用いられる防滑性を有するシートに関し、特に病院内でベッドや床が体液や薬品等で汚れるのを防止するために、ベッド上や床上に敷設される防滑性を有するシートに関するものである。
従来より、医療現場や介護現場では、ベッドが体液等で汚れるのを防止するために、ベッド上に使い捨てシートを敷設することが行われている。また、手術時等に、床が体液や薬品等で汚れるのを防止するために、床上に使い捨てシートを敷設することが行われている。
このような使い捨てシートとしては、従来より、不織布又は紙と合成樹脂製フィルムとの貼合品が用いられている。たとえば、レーヨン不織布に、ポリエチレンフィルムを押し出しラミネートにより貼合したものが用いられている。このような使い捨てシートを、合成樹脂製フィルム側がベッドや床表面と当接するようにして敷設すると、体液や薬品等は不織布又は紙によって吸収されると共に、合成樹脂製フィルムによってベッドや床表面への体液や薬品等の透過を防止できるのである。
しかしながら、このような使い捨てシートは、ベッドや床表面に合成樹脂製フィルムが当接しているので、滑りやすいということがあった。たとえば、ベッド上に敷設している場合には、使い捨てシートが滑ってずれてしまい、ベッド表面が体液や薬品等で汚れるということがあった。また、床上に敷設している場合も同様であると共に、人が歩いたときに滑って危険であるということもあった。
使い捨てシートのこのような欠点を解決するためには、合成樹脂製フィルムとして、その表面の摩擦係数が高いものを採用すればよいと考えられる。たとえば、食器棚、押入れ、下駄箱等に用いる家庭用棚シートとして、不織布に特定のポリエチレンフィルムを積層一体化した防滑性シートが提案されている(特許文献1)。これは、特定のポリエチレンフィルムを使用したから、その表面の摩擦係数が高くなっており、防滑性に優れるというものである(特許文献1の[0019])。
特開平11−34255号公報(特許請求の範囲及び[0019])
本発明は、特許文献1記載の技術と同様に、防滑性に優れたシートを得ることを課題とするものである。しかしながら、シートに防滑性を与える手段の点で全く異なるものである。
本発明は、ベッドや床等に当接する合成樹脂製フィルムの構造を工夫することによって、シートに防滑性を付与したものである。すなわち、本発明は、不織布製又は紙製シート、第一合成樹脂製フィルム、第二合成樹脂製フィルムの順で積層一体化されてなり、前記不織布製又は紙製シートと前記第一合成樹脂製フィルムとは、全面的に当接されて貼合一体化されていると共に、前記第一合成樹脂製フィルムには前記第二合成樹脂製フィルムが、部分的に貼合部を有し残余が非貼合部となっているが該非貼合部においても前記第一合成樹脂製フィルムと前記第二合成樹脂製フィルムとが当接した状態で貼合一体化されていることを特徴とする主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシートに関するものである。
本発明に係るシートは、不織布製シート又は紙製シート1、第一合成樹脂製フィルム2、第二合成樹脂製フィルム3の順で積層一体化されてなるものである。
不織布製シート1としては、従来公知の不織布が用いられる。たとえば、バインダーボンド不織布、スパンレース不織布又はスパンボンド不織布等が用いられる。不織布を構成する繊維としても、従来公知の天然繊維、半合成繊維又は合成繊維等が単独で又は混合して用いられる。特に、構成繊維としては、体液を吸収しやすい綿繊維やレーヨン繊維等を用いるのが好ましので、不織布製シートとしては、コットン不織布やレーヨン不織布等を用いるのが好ましい。紙製シート1としても、従来公知の紙が用いられる。たとえば、吸液性の良い嵩高加工を施した嵩高紙や乾式法で得られた紙(乾式パルプ不織布ともいう。)等が用いられる。紙製シート1は、セルロースであるパルプからなるものであり、体液を吸収しやすいので、好ましいものである。
不織布製シート1又は紙製シート1の厚さや目付は任意である。たとえば、厚さについては0.1〜3.0mm程度で、目付については15〜100g/m2程度であるのが好ましい。
不織布製又は紙製シート1には、第一合成樹脂製フィルム2が貼合され一体化されている。不織布製又は紙シート1と第一合成樹脂製フィルム2とを貼合一体化するには、第一合成樹脂製フィルム2を押し出しながら、不織布製又は紙製シート1と貼合する、押し出しラミネート法により行うのが、一般的である。第一合成樹脂製フィルム2としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等の従来公知のものが使用される。本発明においては、安価で透明性に優れたポリエチレンフィルムを使用するのが好ましい。特に、ポリエチレンフィルムの中でも、柔軟性に優れた低密度ポリエチレンフィルムを使用するのが、最も好ましい。
第一合成樹脂製フィルム2には第二合成樹脂製フィルム3が、部分的に貼合部4を有し残余が非貼合部5となった状態で貼合一体化されている。このように、非貼合部5と貼合部4を有するようにして、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3とを貼合一体化するには、第一合成樹脂製フィルム2面に第二合成樹脂製フィルム3を積層した後、貼合部4に対応する箇所に熱と圧力を付与し、両フィルム2及び3を融着させて行うのが、一般的である。第二合成樹脂製フィルム3としても、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等の従来公知のものが使用される。本発明においては、第二合成樹脂製フィルム3も、安価で透明性に優れたポリエチレンフィルムを使用するのが好ましい。特に、ポリエチレンフィルムの中でも、柔軟性に優れた低密度ポリエチレンフィルムを使用するのが、最も好ましい。また、第二合成樹脂製フィルム3は、使用時において、ベッドや床表面に当接する面であるから、摩擦係数の高いポリエチレンフィルムを使用するのが好ましい。この観点から、第二合成樹脂製フィルム3としては、メタロセン触媒により重合されたポリエチレンを原料とするポリエチレンフィルムを使用するのが、最も好ましい。
第一合成樹脂製フィルム2及び第二合成樹脂製フィルム3の厚さは任意であるが、柔軟性を損なわないという観点から、5〜30μm程度であるのが好ましい。特に、後述するように、本発明では第二合成樹脂性フィルム3は非貼合部において変形することが重要であり、この観点からは、第二合成樹脂製フィルム3は強度低下を起こさない範囲で薄ければ薄いほど好ましく、10〜15μ程度とするのが最も好ましい。
非貼合部5と貼合部4の形状は任意である。一般的には、非貼合部5で生じた第二合成樹脂製フィルム3の変形が大きく伝播しないように、所定の間隔を置いて貼合部4を設ける。具体的な形状としては、図1及び図2に示したようなものが挙げられる。図1は、本発明の一例に係る現物のシートを、第二合成樹脂製フィルム3側から撮影した写真である。図2は、図1のシートを模式的に表したものであって、非貼合部4(図2の黒色部)が格子となっており、貼合部4(図2の白色部)が格子の目となっていることを明確化したものである。
非貼合部5や貼合部4の大きさ(面積)は任意であるが、たとえば、図1に示した例によれば、以下のとおりである。格子間の距離は約1.2cm、格子自体の幅は約0.5cm、格子の目の面積は約1cm2である。
本発明に係るシートは、第二合成樹脂製フィルム3面が、ベッド表面や床表面に当接するように敷設されて用いられる。そして、不織布製又は紙製シート1が上面となり、ここに体液や薬品等が流下乃至落下することになる。なお、以上は、本発明に係るシートが主として医療現場や介護現場で使用される場合について説明したが、本発明に係るシートは、美容院や家庭等のその他の場所においても、床表面等に敷設されて使用しうるものである。
[作用]
本発明に係るシートを床6表面等に敷設した場合、それが良好な防滑性を奏する作用は、以下のとおりであると考えられる。まず、図4の(a)は、本発明に係るシートを床6表面に敷設した状態を示した模式的断面図である。ここで、図4では、非貼合部5において、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3との間に空隙が生じているように示されているが、これは分かりやすいように図示したものであって、現実には、このような空隙は生じておらず、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3とは当接している。そして、このような状態でシートに矢印方向(右方向)にずれる外力が負荷されたとする。そうすると、非貼合部5は、図4の(b)のように、矢印方向と逆方向に変形する。この変形の際、非貼合部5において、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3とは当接しているだけであるので、両フィルム2と3間に摩擦が働く。したがって、本発明に係るシートにずれる外力が負荷された場合、床6表面と第二合成樹脂製フィルム3との間の摩擦と、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3との摩擦の両者が生じることになり、この両者の摩擦の和によって、ずれにくくなると考えられるのである。
たとえば、非貼合部5が存在せず、全体が貼合部4となっているシートであると、第一合成樹脂製フィルム2と第二合成樹脂製フィルム3の摩擦が関与しないため、本発明に係るシートに比べて、ずれやすくなる。また、第一合成樹脂製フィルム2を省略して貼合部と非貼合部を設けたシートにすると、非貼合部5は、不織布製又は紙製シート1と第二合成樹脂製フィルム3との間に存在することになる。不織布や紙とフィルムの間の摩擦係数は、フィルム間の摩擦係数よりも低くなっているため、不織布や紙とフィルムの間の摩擦が関与しても、本発明に係るシートに比べて、ずれやすくなるのである。
すなわち、本発明に係るシートは、不織布製又は紙製シートと、第一合成樹脂製フィルムと、第二合成樹脂製フィルムとを積層一体化すると共に、第一合成樹脂製フィルムと第二合成樹脂製フィルム間に非貼合部と貼合部を設けたことによって、非貼合部での第二合成樹脂製フィルムの変形と、この変形に伴う第一合成樹脂製フィルムと第二合成樹脂製フィルム間での摩擦が付加されて、ずれにくくなるという作用を奏するのである。
したがって、本発明に係るシートを、ベッドや床表面に敷設すれば、ずれにくく、良好な防滑性を発揮するという効果を奏する。
また、第一合成樹脂製フィルムと第二合成樹脂製フィルムとを積層して使用したので、仮に、両フィルムにいくつかのピンホールがあったとしても、積層することにより、全体としてピンホールが無くなる。このため、不織布や紙に吸収された体液や薬品等が、第一合成樹脂製フィルム及び第二合成樹脂製フィルムを透過して、ベッドや床表面を汚すことを防止しうるという予期せぬ効果も奏する。
実施例1
目付32g/m2のレーヨン不織布に、厚さ22μの低密度ポリエチレンフィルム(第一合成樹脂製フィルム)を押し出しラミネート法により貼合した。厚さ22μの低密度ポリエチレンフィルム面に、同一の低密度ポリエチレンフィルム(第二合成樹脂製フィルム)を積層した。そして、積層物を、フラットロールと格子状の凹凸を持つ凹凸ロール(凹部が格子となり、凸部が格子の目となっている凹凸ロール)とからなるエンボスロールに通して加熱及び加圧し、第一合成樹脂製フィルムと第二合成樹脂製フィルムを凹凸ロールの凸部が当接した区域(格子の目)で貼合し、図1に示した防滑性を有するシートを得た。凹凸ロールに設けられた格子状の凹凸は、格子間の距離が約1.2cm、格子自体の幅が約0.5cm、格子の目の面積(凸部表面の面積)が約1cm2である。
実施例2
第一合成樹脂製フィルムとして、厚さ20μの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、第二合成樹脂製フィルムとして、厚さ13μの低密度ポリエチレンフィルムを使用した他は、実施例1と同一の条件で、防滑性を有するシートを得た。
実施例3
第一合成樹脂製フィルムとして、厚さ23μの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、第二合成樹脂製フィルムとして、メタロセン触媒により重合されたポリエチレンを原料として製造されたポリエチレンフィルム(厚さ13μ)を使用した他は、実施例1と同一の条件で、防滑性を有するシートを得た。
比較例1
目付30g/m2のレーヨン不織布に、厚さ22μの低密度ポリエチレンフィルム及び厚さ8μの低密度ポリエチレンフィルムを押し出しラミネート法により貼合し、レーヨン不織布、厚さ22μの低密度ポリエチレンフィルム、厚さ8μの低密度ポリエチレンフィルムの順で積層一体化された三層積層シートを得た。なお、この三層積層シートは全面が貼合されているのであり、両低密度ポリエチレンフィルム間に非貼合部は存在しない。
比較例2
厚さ8μの低密度ポリエチレンフィルムに代えて、メタロセン触媒により重合されたポリエチレンを原料として製造されたポリエチレンフィルム(厚さ13μ)を使用した他は、比較例1と同一の条件で、防滑性を有するシートを得た。
比較例3
目付32g/m2のレーヨン不織布の片面に、厚さ22μの低密度ポリエチレンフィルムを積層した。そして、この二層積層物を、実施例1で用いたのと同一のエンボスロールに通して加熱及び加圧し、図1に示した格子柄を持つ二層積層シートを得た。
[防滑性試験]
実施例及び比較例に係る各シートについて、以下のような手順で、5回の防滑性試験を行った。
(1)まず、縦10cmで横3.6cmの試験片を採取した。ここで、縦は図1に示した上下方向を意味し、横は図1に示した左右方向を意味する。
(2)試験片の縦方向端から2cm内側の箇所をクリップで挟み、レーヨン不織布を上面としフィルムを下面として、表面が平滑なアクリル板(厚さ1cm)上に置いた。したがって、フィルムとアクリル板表面とが当接していることになる。
(3)クリップと対向する試験片の縦方向端部のレーヨン不織布上に、200gの分銅を載せた。
(4)クリップの孔に、バネ量りのフックを掛け、クリップがアクリル板に接触しないように少し持ち上げて、バネ量りを分銅が置かれた側と反対側にゆっくり引っ張った。
(5)分銅が動きだした時のバネ量りの目盛を読み取った。この読み取った目盛を防滑値と称し、単位をgで表すことにした。
なお、防滑性試験を行った際の室温は20℃で湿度は60%であった。また、バネ量りは500g用のものを使用した。
防滑性試験の結果は、以下のとおりであった。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
防滑値(g)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平 均
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 350 430 350 400 450 396
実施例2 440 400 430 380 460 422
実施例3 430 390 450 450 450 450
比較例1 170 165 150 170 140 259
比較例2 200 200 190 180 190 192
比較例3 220 250 200 250 220 228
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以上の結果から、実施例1〜3に係るシートは、比較例1〜3に係るシートに比べて、良好な防滑性を示すことが分かる。
本発明の一例に係るシートを、第二合成樹脂製フィルム側から見た平面写真である。 図1のシートを模式的に表した平面図である。 図1のシートの断面を模式的に表した断面図である。 (a)は、図1のシートに、矢印方向にずれの外力が働く前の模式的断面図であり、(b)は、図1のシートに、矢印方向にずれの外力が働いている時の模式的断面である。
符号の説明
1 不織布製シート又は紙製シート
2 第一合成樹脂製フィルム
3 第二合成樹脂製フィルム
4 非貼合部
5 貼合部

Claims (7)

  1. 不織布製又は紙製シート、第一合成樹脂製フィルム、第二合成樹脂製フィルムの順で積層一体化されてなり、
    前記不織布製又は紙製シートと前記第一合成樹脂製フィルムとは、全面的に当接されて貼合一体化されていると共に、前記第一合成樹脂製フィルムには前記第二合成樹脂製フィルムが、部分的に貼合部を有し残余が非貼合部となっているが該非貼合部においても前記第一合成樹脂製フィルムと前記第二合成樹脂製フィルムとが当接した状態で貼合一体化されていることを特徴とする主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  2. 不織布製シートがレーヨン不織布である請求項1記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  3. 第一合成樹脂製フィルム及び第二合成樹脂製フィルムがポリエチレンフィルムである請求項1又は2記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  4. 第一合成樹脂製フィルムが低密度ポリエチレンフィルムである請求項3記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  5. 第二合成樹脂製フィルムが低密度ポリエチレンフィルムである請求項4記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  6. 第二合成樹脂製フィルムが、メタロセン触媒により重合されたポリエチレンを原料として製造されたポリエチレンフィルムである請求項4記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
  7. 非貼合部が格子となっており、貼合部が格子の目となっている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の主として衛生材料に用いられる防滑性を有するシート。
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