JP6353220B2 - 清掃具 - Google Patents

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Description

本発明は、水や洗剤を含浸させて硬質表面などの清掃対象面を清掃するために特に好適に用いられる清掃具に関する。
従来、この種の清掃具としては例えば特許文献1に記載のものが知られている。同文献に記載の清掃具は、基材層とスポンジ様材料からなる清掃具本体を有している。スポンジ様材料は、弾力性があり洗浄剤を泡立たせることができ、あるいは保水性を有し液剤を保持できる材料である発泡樹脂から構成される。基材層は、目が粗く液切れのよい(保水性が低い)多孔性材料から構成される。
特開2008−279021号公報
ところで、水や洗剤を含浸させて硬質表面を清掃するための清掃具は、上述した特許文献1に記載の技術を含めスポンジ様材料を有していることが多い。この種の清掃具には、洗剤の泡立ち性と水切れ性の双方が要求されるところ、泡立ち性を良好にするためには、スポンジ様材料は目が細かいことが有利である。一方、水切れ性を良好にするためには、スポンジ様材料は目が粗いことが有利である。このように、泡立ち性と水切れ性とでは、スポンジ様材料に要求される構造が相反するものとなる。
上述した特許文献1に記載の清掃具では、洗浄剤を泡立たせることができるスポンジ様材料と、目が粗く液切れのよい基材層とを組み合わせて用いているところ、これら両者を組み合わせても、泡立ち性と水切れ性とを高いレベルで両立させるためには未だ十分とは言えない。
したがって本発明の課題は、清掃具の泡立ち性及び水切れ性の一層の向上にある。
本発明は、可撓性を有する多孔質材料の第1層と、立体繊維構造体の第2層との積層部位を有し、
前記立体繊維構造体は、前記第2層の一方の面をなす第1網目状組織と、他方の面をなす第2網目状組織と、前記第1網目状組織の線状部材と前記第2網目状組織の線状部材とを前記第2層の厚み方向に沿って連結する連結糸とを有する清掃具を提供するものである。
本発明によれば、洗剤の泡立ち性と水切れ性とが高いレベルで両立した清掃具が提供される。
図1は、本発明の清掃具の一実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示す清掃具の分解斜視図である。 図3(a)は、図1に示す清掃具における立体繊維構造体の要部を拡大して示す斜視図であり、図3(a)は、該立体繊維構造体の要部を拡大して示す平面図である。 図4は、本発明の清掃具の別の一実施形態を示す斜視図である。 図5は、本発明の清掃具の更に別の一実施形態を示す分解斜視図である。 図6は、本発明の清掃具のまた更に別の一実施形態を示す分解斜視図である。 図7は、本発明の清掃具のまた更に別の一実施形態を示す分解斜視図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2に示す実施形態の清掃具10は、長手方向X及びそれと直交する幅方向Yを有する縦長の形状をしている。また清掃具10は、長手方向及び幅方向の双方と直交する厚み方向Zを有している。清掃具10は、平面視して略長円形をしている。平面視での清掃具10は、長手方向Xに沿う両側縁の中央域が、幅方向Yの内方へ向けて湾曲したくびれ形状となっている。
清掃具10は、2つの第1層11a,11b及び第2層12を含む積層構造体から構成されている。第1層11a,11bは、第2層12の各面にそれぞれ配置されている。平面視での第1層11a,11b及び第2層12の形状は同一になっている。第1層11a,11bと第2層12の厚みは同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。また2つの第1層11a,11bの厚みも同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。
第1層11aと第2層12、及び第1層11bと第2層12とは直接に隣接しており、両者間に他の層は介在していない。第1層11a,11bと第2層12とは適切な接合手段によってそれらの対向面の全域において接合している。例えば両層11a,11b,12を接着剤による接着によって接合することができる。この場合、接着剤を両層11a,11b,12の対向面の全域に連続して塗布することもでき、あるいはスパイラル状の塗布パターンやΩ字状の塗布パターンのような間欠塗布をすることもできる。
清掃具10においては、第1層11aにおいて外方を向く表面111aが清掃主作業面として用いられる。また、第1層11bにおいて外方を向く表面111bも主作業面として用いられる。表面111a,111bはいずれもX−Y平面内に位置する平坦面になっている。清掃主作業面は、清掃具10を用いて清掃対象面を清掃するときに、該清掃対象面に主として当接する面のことである。
清掃具10において第1層11a,11b及び第2層12は、それぞれ異なる機能が付与されている。詳細には、第1層11a,11bには、主として水切れ性を高める機能が付与されている。これに対して第2層12には、主として洗剤の泡立ち性を高める機能が付与されている。これらの機能が個別に各層11a,11b,12に付与されていることによって、清掃具10は泡立ち性と水切れ性とが高いレベルで両立したものとなる。すなわち清掃具10の使用時においては、該清掃具10に洗剤を含ませた状態下に該清掃具10を手等を使って揉むことで、多量の細かい泡を容易に発生させることができる。また、清掃時に余分な水を保持しないので、軽い力で清掃作業を行うことができる。更に、清掃作業が終了した後、乾燥させて保存するときの水切れを素早く行うことができる。
以上の効果を一層顕著なものとする観点から、本実施形態においては第1層11a,11bとして可撓性を有する多孔質材料を用いている。また第2層12として、立体繊維構造を用いている。以下、これらの材料についてそれぞれ説明する。
第1層11a,11bの多孔質材料は可撓性を有するものである。可撓性とは外力の作用によって外形が変形し得る性質のことである。可撓性材料は、外力の作用によって変形した後、その変形状態が維持されてもよく、あるいは変形前の状態若しくは変形前の状態に近い状態まで復元する性質を有していてもよい。多孔質材料は好ましくは弾性を有し、外力の作用によって変形し、かつ外力を解除すると元の状態に復元することが、清掃作業性の点から有利である。特に多孔質材料は、小さな外力で容易に変形することが、清掃具10を手で持って清掃作業するときの操作性の容易さの点から好ましい。
多孔質材料は、液体を透過させ得る多数の微孔を有する構造体である。多孔質構造体の例としては、繊維を交絡させたり織ったり編んだりした材料である不織布、フェルト、編み物、織物などが挙げられる。また合成樹脂の発泡体を用いることもできる。合成樹脂の発泡体を多孔質材料として用いる場合、該発泡体に形成されている微孔は、連通型の微孔(オープンセル)であることが好ましい。
多孔質材料内に形成されている微孔の大きさや、微孔の形成密度は、第1層11a,11bの水切れ性と関係する。多孔質材料の通気性に関しては、圧力損失が0.75mmHO以上、特に1.0mmHO以上であることが好ましく、3.0mmHO以下、特に1.5mmHO以下であることが好ましい。例えば多孔質材料の圧力損失は0.75mmHO以上3.0mmHO以下であることが好ましく、1.0mmHO以上1.5mmHO以下であることが更に好ましい。
多孔質材料の圧力損失は差圧計を用いる方法で測定することができる。具体的には、ダクト内中央部に厚み10mmの多孔質材料を流路を塞ぐように固定し、該ダクト内に2m/secの流速で空気を流し、多孔質材料の上流側及び下流側の差圧を計測することで、多孔質材料の圧力損失を測定することができる。
多孔質材料内に形成されている微孔の形成密度に関しては、8個/25mm以上、特に11個/25mm以上であることが好ましく、20個/25mm以下、特に16個/25mm以下であることが好ましい。例えば微孔の形成密度は、8個/25mm以上20個/25mm以下であることが好ましく、11個/25mm以上16個/25mm以下であることが更に好ましい。
多孔質材料内に形成されている微孔の形成密度(個/25mm)はJIS K6400−1に基づく方法に準拠し、マイクロスコープで拡大した画像を観察することで測定することができる。
多孔質材料の圧力損失及び多孔質材料内の微孔の形成密度を上述の好ましい範囲とすることで、第1層11a,11bの水切れ性を高めることが可能になる。したがって、清掃具10の使用後、例えばこれを吊り下げて乾燥させるときに、乾燥を素早く行うことができるという利点がある。
多孔質材料からなる第1層11a,11bは、その厚みが5mm以上、特に8mm以上であることが好ましく、15mm以下、特に12mm以下であることが好ましい。例えば第1層11の厚みは5mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上12mm以下であることが更に好ましい。第1層11の厚みをこの範囲に設定することで、清掃性と水切り性とがバランスした清掃具10となすことができる。2つの第1層11a,11bの厚みは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。第1層11a,11bの厚みは、金属製の直尺やノギスにより測定することができる。
第2層12の立体繊維構造体は、図3(a)及び(b)に示すとおり、第2層12の一方の面をなす第1網目状組織121と、他方の面をなす第2網目状組織122とを有している。両組織121,122は、第1網目状組織121の線状部材と、第2網目状組織122の線状部材とを、第2層12の厚み方向Zに沿って連結する連結糸123によって連結されている。
第1網目状組織121及び第2網目状組織122は、線状部材によって区画された所定形状の1つの閉区画を反復単位とし、この反復単位が一方向、又は互いに異なる二方向以上(例えば互いに直交する二方向)に繰り返されることで網目状を形成している。図3(a)及び(b)においては、六角形状の閉区画の反復単位が示されている。しかし、反復単位の形状はこれに限られない。例えば六角形以外の多角形を反復単位としてもよく、あるいは多角形以外の幾何学的形状、例えば円形や楕円形であってもよい。また、反復単位は1つの閉区画に限られず、隣接する2つ以上の異なる形状の閉区画を反復単位としてもよい。また、第1網目状組織121と第2網目状組織122とは、それらに画成されている網目の形状が同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
細かい泡を多量に生じさせる観点から、第1網目状組織121及び第2網目状組織122における1つの閉区画の平面視での面積は1mm以上、特に2mm以上であることが好ましく、6mm以下、特に5mm以下であることが好ましい。例えば1つの閉区画の平面視での面積は1mm以上6mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることが更に好ましい。
第1網目状組織121及び第2網目状組織122の線状部材は、それらのうちの少なくとも一方を、例えばスクリムのような熱可塑性樹脂の押出成形体から構成することができる。あるいはそれらのうちの少なくとも一方を、編み地から構成することもできる。多様な網目状組織を形成し得る点、及びそのことに起因して細かい泡を発生し得る点からは、編み地を用いることが好ましい。
第1網目状組織121及び/又は第2網目状組織122が編み地から構成されている場合、編み地を構成する原糸はモノフィラメント及びマルチフィラメントの双方を用いることができる。特にマルチフィラメントを用いることが、柔軟な風合いを付与し得る点から好ましい。このマルチフィラメントに捲縮が施されていると、柔軟さが一層向上するので好ましい。同様の理由によって、原糸の単糸繊度は、10dtex以上、特に20dtex以上であることが好ましく、40dtex以下、特に30dtex以下であることが好ましい。例えば単糸繊度は10dtex以上40dtex以下であることが好ましく、20dtex以上30dtex以下であることが更に好ましい。単糸繊度がこの範囲である原糸を用いたマルチフィラメントの繊度は、20dtex以上、特に40dtex以上であることが好ましく、80dtex以下、特に60dtex以下であることが好ましい。例えばマルチフィラメントの繊度は20dtex以上80dtex以下であることが好ましく、40dtex以上60dtex以下であることが更に好ましい。
第1網目状組織121と第2網目状組織122とを連結糸123によって連結する手段としては、従来公知の手段を適宜に採用することができる。例えば接着剤を用いて連結糸123の各端部を、第1網目状組織121及び第2網目状組織122にそれぞれ結合することができる。あるいは連結糸123を経編することによって、第1網目状組織121と第2網目状組織122とを連結糸123によって連結することができる。両網目状組織121,122を連結するときの容易さや自由度の高さの点、及び泡立ち性の調整の容易さの点等からは、連結糸123を経編することによって両網目状組織121,122を連結することが好ましい。
連結糸123を経編する方法としては、例えば種々の経編機を用いる方法が挙げられる。具体的な経編の方法としては、トリコット編、ラッセル編、ミラニーズ編などが挙げられる。トリコット編及びラッセル編に関しては、針床がシングルタイプであるシングルトリコット編及びシングルラッセル編、並びに針床がダブルタイプであるダブルトリコット編及びダブルラッセル編を用いることができる。
以上のとおり、連結糸123を経編する場合には、上述した第1網目状組織121及び第2網目状組織122として編み地を用い、これら網目状組織121,122及び連結糸123をすべて編み地から構成することが、第2層12の製造の容易さの点から好ましい。つまり立体繊維構造体からなる第2層12はその全体が編み地からなることが好ましい。
清掃具10の泡立ち性を高めたり、適度な圧縮抵抗を付与したりする観点から、連結糸123の原糸としてはモノフィラメントを用いることが好ましい。このモノフィラメントの繊度は例えば10dtex以上、特に20dtex以上であることが好ましく、40dtex以下、特に30dtex以下であることが好ましい。例えば単糸繊度は10dtex以上40dtex以下であることが好ましく、20dtex以上30dtex以下であることが更に好ましい。
連結糸123は、第2層12の各面を構成する第1網目状組織121と第2網目状組織122との間を一定間隔に保ち、第2層12を立体構造にするものである。そして、両網目状組織121,122の間隔が大きいほど第2層12に嵩高感を付与することができる。清掃具10の泡立ち性や圧縮抵抗、及び編機の性能等も考慮すると、両網目状組織121,122の間隔は、3mm以上、特に5mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に8mm以下であることが好ましい。例えば両網目状組織121,122の間隔は、3mm以上10mm以下であることが好ましく、5mm以上8mm以下であることが更に好ましい。両網目状組織121,122の間隔は、金属製の直尺やノギスによって測定することができる。
清掃具10を手で揉んだときに使用者に与える柔軟性は、第2層12における連結糸123の本数と関係する。清掃具10に適度な柔軟性を付与する観点からは、平面視での第2層12の単位面積内に存在する連結糸123の本数は、900本/cm以上、特に1600本/cm以上であることが好ましく、3600本/cm以下、特に2500本/cm以下であることが好ましい。例えば平面視での第2層12の単位面積内に存在する連結糸123の本数は、900本/cm以上3600本/cm以下であることが好ましく、1600本/cm以上2500本/cm以下であることが更に好ましい。なお、ここで言う連結糸123の本数は、連結糸123が、第1網目状組織121又は第2網目状組織122から立ち上がる位置で測定する。
第2層12を構成する第1網目状組織121及び第2網目状組織122の材料、並びに連結糸123の材料としては、柔軟で、かつ弾性回復性に優れた樹脂であるポリアミド;ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また清掃具10に付加的な性能を付与する観点から、これらの合成樹脂を、麻、綿、羊毛、シュロなどの天然素材と組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の清掃具10は、第2層12の各面に第1層11a,11bをそれぞれ配置している。すなわち、第2層12が第1層11a,11bに挟まれた構造になっている。この構造により、洗剤が第1層11aと第1層11bとを行き来することで、第2層12を通過する洗剤の量が増加し、泡立ち性が向上する。
図4及び図5には、本発明の清掃具の別の実施形態が示されている。図4に示す実施形態の清掃具10Aは、これまでに説明してきた清掃具10と異なり、1つの第1層11と1つの第2層12とを有する2層構造のものである。したがってこの清掃具10Aにおいては、第1層11の外面111が清掃主作業面として用いられ、また第2層12の外面121が清掃主作業面として用いられる。
図5に示す実施形態の清掃具10Bは、第2層を複数積層した積層構造12’の各面に第1層11a,11bをそれぞれ配置し、第1層11a,11bの外面111a,111bを清掃主作業面として用いるものである。図示する第2層の積層構造12’は、2つの第2層12a,12bから構成されている。積層構造12’における第2層の積層数を適宜調整することで、清掃具10Bの泡立ちをコントロールすることができる。この場合、積層構造12’を構成する複数の第2層としては、同一のものを用いてもよく、あるいは異なるものを用いてもよい。
図6に示す実施形態の清掃具10Cは、3層積層部位101と2層積層部位102とを、清掃具10Cの長手方向Xに沿って配置したものである。2層積層部位102は、長手方向Xの中央域に位置している。3層積層部位103は、2層積層部位102に対して長手方向Xの前後方向に位置している。2層積層部位102は、第1層11bと第2層12dとから構成されている。3層積層部位103は、第1層11bと、第2層12cと、第1層11aとから構成されている。第1層11bは、長手方向Xの全域にわたって存在している。第1層11a及び第2層12cは、第2層12dを挟んで長手方向Xの前後域にのみ存在している。第2層12dは、長手方向Xの中央域にのみ存在している。第2層12dと、2つの第2層12cとは一体的に形成されている。第2層12dは、その厚みが、第1層11a及び第2層12cの厚みの和と同じになっている。
以上の構造を有する清掃具10Cにおいては、その下面が第1層11bの外面のみからなる。つまり、清掃具10Cにおける下面の清掃主作業面は、第1層11bの外面からなる。これとは対照的に清掃具10Cの上面は、2つの第1層11aの外面と、第2層12dとの外面で構成されている。したがって清掃具10Cにおける上面の清掃主作業面には、2つの第1層11aの外面111a及び第2層12dの外面121dの双方が存在する。このように、清掃主作業面に第1層111aの外面及び第2層の外面121dの双方が存在することで、汚れの種類と付着量や清掃する硬質表面の材質により清掃主作業面を選択することができるという有利な効果が奏される。
図7は図6に示す実施形態の変形例である。図7に示す清掃具10Dは、長手方向Xの中央域に第2層12fのみからなる単層構造部位103を有している。そして、長手方向Xの前後方向に2つの3層積層部位101,101を有している。各3層積層部位101は、第2層12eの各面に第1層11c,11dを配置した構造になっている。単層構造部位103を構成する第2層12fの厚みは、3層積層部位101を構成する第1層11c,第2層12e及び第1層11dの厚みの総和と同じになっている。第2層12fと、2つの第2層12eとは一体的に形成されている。
本実施形態の清掃具10Dは、その上面及び下面の清掃主作業面が、いずれも2つの第1層11c,11dの外面と、第2層12fとの外面で構成されている。この清掃具10Dによれば、先に説明した図6に示す実施形態の清掃具10Cと同様の効果が奏される。
以上の各実施形態に係る清掃具は、これに水や洗剤を含浸させた状態で、硬質表面の清掃に用いることができる。硬質表面としては、例えば浴室の壁、浴室の床、浴槽、水栓、湯桶、シャワーホース、洗面台、鏡、キッチンシンクなどの水回りでの硬質表面が代表的なものとして挙げられる。これらの硬質表面を清掃対象とし、洗剤等を含浸させた清掃具を手で揉んで泡立たせ、該清掃具を手で持った状態で、硬質表面を擦って清掃を行う。場合によっては、清掃具に柄等の把持具を取り付け、把持具を手でもって硬質表面を清掃してもよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本実施形態は前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態に係る清掃具はいずれも平面視での形状が、長手方向Xの中央域が幅方向Yの内方に向けて湾曲した略長円形をしていたが、これに代えて、清掃具の平面視での形状を矩形とすることもできる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の清掃具を開示する。
<1>
可撓性を有する多孔質材料の第1層と、立体繊維構造体の第2層との積層部位を有し、
前記立体繊維構造体は、前記第2層の一方の面をなす第1網目状組織と、他方の面をなす第2網目状組織と、前記第1網目状組織の線状部材と前記第2網目状組織の線状部材とを前記第2層の厚み方向に沿って連結する連結糸とを有する清掃具。
<2>
前記連結糸が経編されたものである前記<1>に記載の清掃具。
<3>
前記第1網目状組織及び前記第2網目状組織は、前記線状部材によって区画された所定形状の1つの閉区画を反復単位とし、この反復単位が一方向、又は互いに異なる二方向以上(例えば互いに直交する二方向)に繰り返されて構成されている前記<1>又は<2>に記載の清掃具。
<4>
前記第1網目状組織及び前記第2網目状組織における1つの閉区画の平面視での面積は1mm以上、特に2mm以上であることが好ましく、6mm以下、特に5mm以下であることが好ましく、
前記閉区画の平面視での面積は1mm以上6mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の清掃具。
<5>
前記第1網目状組織の前記線状部材及び前記第2網目状組織の前記線状部材のうちの少なくとも一方が編み地からなる前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の清掃具。
<6>
前記編み地を構成する原糸がマルチフィラメントである前記<5>に記載の清掃具。
<7>
前記編み地を構成する原糸の単糸繊度は、10dtex以上、特に20dtex以上であることが好ましく、40dtex以下、特に30dtex以下であることが好ましく、
前記単糸繊度は10dtex以上40dtex以下であることが好ましく、20dtex以上30dtex以下であることが更に好ましい前記<5>又は<6>に記載の清掃具。
<7>
前記単糸繊度を有する原糸を用いたマルチフィラメントの繊度が、20dtex以上、特に40dtex以上であることが好ましく、80dtex以下、特に60dtex以下であることが好ましく、
前記マルチフィラメントの繊度は20dtex以上80dtex以下であることが好ましく、40dtex以上60dtex以下であることが更に好ましい前記<6>に記載の清掃具。
<8>
前記立体繊維構造体全体が編み地からなる前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の清掃具。
<9>
2つの前記第1層を有し、前記第2層の各面に前記第1層をそれぞれ配置し、前記第1層の各外面を清掃主作業面として用いる前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の清掃具。
<10>
2つの前記第1層を有し、前記第2層を複数積層した積層構造の各面に前記第1層をそれぞれ配置し、前記第1層の各外面を清掃主作業面として用いる前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の清掃具。
<11>
一つの清掃主作業面に、前記第1層の外面及び前記第2層の外面の双方が存在する前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の清掃具。
<12>
前記第1層、前記第2層、前記第1層の順で構成される3層積層部位と、前記第1層と前記第2層の順で構成される2層積層部位とを清掃具の長手方向に沿って配置し、
前記2層積層部位は、長手方向の中央域に位置しており、前記3層積層部位は、前記2層積層部位に対して長手方向の前後方向に位置している前記<11>に記載の清掃具。
<13>
前記第1層、前記第2層、前記第1層の順で構成される3層積層部位と、前記第2層のみからなる単層構造部位を有し、
長手方向の中央域に前記単層構造部位を有し、長手方向の前後方向に2つの前記3層積層部位を有している前記<11>に記載の清掃具。
<14>
前記多孔質材料は、圧力損失が0.75mmHO以上、特に1.0mmHO以上であることが好ましく、3.0mmHO以下、特に1.5mmHO以下であることが好ましく、
前記多孔質材料の圧力損失は0.75mmHO以上3.0mmHO以下であることが好ましく、1.0mmHO以上1.5mmHO以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載の清掃具。
<15>
前記多孔質材料内に形成されている微孔の形成密度が、8個/25mm以上、特に11個/25mm以上であることが好ましく、20個/25mm以下、特に16個/25mm以下であることが好ましく、
前記微孔の形成密度は、8個/25mm以上20個/25mm以下であることが好ましく、11個/25mm以上16個/25mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の清掃具。
<16>
前記多孔質材料からなる第1層は、その厚みが5mm以上、特に8mm以上であることが好ましく、15mm以下、特に12mm以下であることが好ましく、
前記第1層11の厚みは5mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上12mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載の清掃具。
<17>
前記連結糸の原糸としてモノフィラメントを用いる前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の清掃具。
<18>
前記モノフィラメントの繊度は10dtex以上、特に20dtex以上であることが好ましく、40dtex以下、特に30dtex以下であることが好ましく、
前記単糸繊度は10dtex以上40dtex以下であることが好ましく、20dtex以上30dtex以下であることが更に好ましい前記<17>に記載の清掃具。
<19>
平面視での前記第2層の単位面積内に存在する前記連結糸の本数は、900本/cm以上、特に1600本/cm以上であることが好ましく、3600本/cm以下、特に2500本/cm以下であることが好ましく、
前記連結糸の本数は、900本/cm以上3600本/cm以下であることが好ましく、1600本/cm以上2500本/cm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載の清掃具。
<20>
両網目状組織の間隔は、3mm以上、特に5mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に8mm以下であることが好ましく、
両網目状組織の間隔は、3mm以上10mm以下であることが好ましく、5mm以上8mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載の清掃具。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図5に示す構造の清掃具10Bを製造した。第1層11a,11bとして、株式会社イノアックコーポレーション製のオープンセル構造を有するポリウレタン発泡体であるMF−13(商品名)を用いた。このポリウレタン発泡体は厚み10mm、セル数13個/25mmであった。第2層12としては、ダブルラッセル編の立体繊維構造体を用いた。第2層における第1網目状組織121及び第2網目状組織122には、ポリエステル樹脂のマルチフィラメントを用いた、網目の反復単位は六角形をしており、その面積は2.2mmであった。マルチフィラメントの単糸繊度は20dtexであり、マルチフィラメントの繊度は40dtexであった。連結糸123としてはポリエステル樹脂のモノフィラメントを用いた。単位面積当たりの連結糸123の本数は2400本/cm2であった。第1網目状組織121と第2網目状組織122との間隔は6mmであった。第1層11a,11bと第2層12とはホットメルトによって接合した。清掃具全体の厚みは30mm、長手方向160mm、幅方向80mmの形状であった。
〔比較例1〕
特許文献1に記載の清掃具を製造した。比較例1の清掃具は、3層で構成されている。詳細には、清掃主作業面側から第1層、中間層が第2層、清掃主作業面と反対側の第3層である。第1層に、日本バイリーン株式会社製のスポンジ様の不織布を用い、第2層と第3層に、合成樹脂を発泡させた多孔性材料を用いた清掃具を製造した。各層の接合は、ホットメルトにより行った。また、清掃主作業面には、開口する凹部にブラシ体を設け、このブラシ体を清掃具本体の清掃主作業面に並置し、ブラシ体の先端と清掃主作業面とがともに被清掃面に接触可能とした。清掃具の長手方向X及びそれと直交する幅方向Yの大きさは実施例1と同じ大きさにした。また、長手方向X及び幅方向Yの双方と直交する厚み方向Zの大きさも実施例1と同じ大きさにした。第1層のスポンジ様の不織布の繊維径と配合比率は、27μmのナイロン20%と、50μmのナイロン30%と、25μmのPET20%と、55μmのPET30%であった。また、スポンジ様の不織布の目付と厚さは、目付が275g/mで厚さが4.5mmであった。第2層及び第3層には、株式会社イノアックコーポレーション製の合成樹脂を発泡させた多孔質性材料を用いた。第2層には密度13kg/mのEZQ−S(商品名)を用い、第3層には密度22kg/mのEGT−C(商品名)を用いた。また、厚さは第2層が10mm、第3層が15mmであった。清掃具全体の厚みは30mm、長手方向160mm、幅方向80mmの形状であった。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた清掃具について泡立ち量及び水残り量を以下の方法で測定した。結果を以下の表1に示す。
〔泡立ち量〕
清掃具を水で濡らし、手で軽く絞って水気を切る。清掃具の清掃主作業面に、花王株式会社製の洗剤であるバスマジックリン(登録商標)を5回スプレーする。清掃具を平らな板の上に載置し、これを手の平で30回押圧して洗剤を泡立てる。生じた泡を集めてその容積をメスシリンダーで測定する。測定は3回行い、それらの平均値をもって泡立ち量の値とする。
〔水残り性〕
水の入った容器に清掃具を入れて、清掃具を手で揉み内部までしっかり水で濡らす。清掃具を取り出した後で水滴が垂れ落ちなくなった時の清掃具が保持している水分の質量を測定する。水分の質量は、試験開始から20時間後まで測定を行う。清掃具は、長手方向Xを上下方向にした状態で室温保管する。
Figure 0006353220
表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1の清掃具は、泡立ち量が多く泡立ち性に優れ、かつ水残り量が少なく水切れ性に優れていることが判る。これに対して比較例1の清掃具は、泡立ち量が少なく泡立ち性にやや劣り、かつ水残り量が多く水切れ性が劣っていることが判る。水切れ性が劣るので、清掃翌日の時点でも清掃具には水分が多く保持されており、不衛生な状態となってしまった。
10 清掃具
11 第1層
12 第2層
121 第1網目状組織
122 第2網目状組織
123 連結糸

Claims (4)

  1. 可撓性を有する多孔質材料の2つの第1層と、立体繊維構造体の第2層とを備え、該第2層の各面に該第1層をそれぞれ配置した積層部位を有し、
    前記立体繊維構造体は、前記第2層の一方の面をなす第1網目状組織と、他方の面をなす第2網目状組織と、前記第1網目状組織の線状部材と前記第2網目状組織の線状部材とを前記第2層の厚み方向に沿って連結する連結糸とを有しており、
    前記多孔質材料の圧力損失は0.75mmHO以上3.0mmHO以下であり、
    前記第1網目状組織及び前記第2網目状組織における1つの閉区画の平面視での面積が1mm以上6mm以下であり、
    前記第1層の各外面を清掃主作業面として用いる清掃具であって
    前記積層部位が前記清掃具の長手方向の中央域に対して前後方向にのみ位置しており、
    少なくとも一方の前記清掃主作業面に、前記第1層の外面及び前記第2層の外面の双方が存在し、該清掃主作業面においては、該第2層の外面が、前記清掃具の長手方向の中央域にのみ存在し、且つ該第1層の外面が、該第2層の外面を挟んで長手方向の前後方向にのみ存在している、清掃具。
  2. 前記連結糸が経編されたものである請求項1に記載の清掃具。
  3. 前記第1網目状組織の前記線状部材及び前記第2網目状組織の前記線状部材のうちの少なくとも一方が編み地からなる請求項1又は2に記載の清掃具。
  4. 前記立体繊維構造体全体が編み地からなる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の清掃具。
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