JP2018068764A - 立体網目型払拭体及び立体網目型清掃具 - Google Patents
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Abstract
Description
第1に、特開平11−267079号公報(特許文献1)に記載された「多層構造の清掃用物品」がある。本願の図18は特許文献1における払拭体及び清掃具を示している。払拭体は清掃用物品Sとして示され、開口部を持たない層102の両面を開口部を持つ層101、101で狭着した3層構造の清掃用物品Sが示されている。実施例では、開口部を持たない層102と開口部を持つ層101は共に不織布から構成され、開口部103はウォータージェット又はニードルパンチで開口される、と記載されている。塵埃は開口部3の内部に保持され、開口部を持たない層102で通過を遮断される構成となっている。
特許文献1の問題点は、不織布に開口部103をウォータージェットやニードルパンチで開口するから、[0016]にあるように開口部103の個数密度として10〜100個/cm2が限界であり、本願発明者の経験では、多数の開口部103の全開口面積の不織布全面積に対する比率、即ち表面開口率は50%が限界であると考えられる。また、[0014]にあるように開口部103を持つ層101の厚みは0.3〜2.0mm程度であり、2.0mmが限界と考えられる。従って、この清掃用物品Sを清掃プレート111に巻回した清掃用モップ110で床面を清掃しても、開口部103に保持できる塵埃量はかなり少なく、清掃性能が不十分と考えられる。
特許文献2の問題点として、表面開口率が5〜50%に過ぎず、しかも交絡不織布の厚さは、経験上2mm程度が限界であるという点が掲げられる。その結果、清掃用モップを作製して床面を清掃しても、開口部に保持できる塵埃量が少なく、清掃性能の不十分性が指摘できる。
特許文献3の問題点として、その請求項3に開孔部の最大径は1mm〜3mm以下と限定され、[0012]に「清掃用シート1としての塵取性能をより確実に確保するためには・・厚みが0.01〜3mmであるものが好ましい。」と記載されていることである。また、開孔部の個数については、[0024]に、「・・実施例1から8のいずれのスパンレース不織布についても、寸法が縦210mm×横310mm、厚さ0.8mm、開孔部の配列パターンと数が格子状で縦20個/1列×横40個/1列・・」と記載されている。つまり、不織布全面積=65100mm2、全開孔部面積=5652mm2であるから、表面開口率=5652/65100×100%=8.7%である。
即ち、どれだけ頑張っても、特許文献3では表面開口率は50%未満であり、厚みは3mm以下であるから、開口部に保持できる塵埃量が少な過ぎ、清掃性能の不十分性が顕著である。
立体布帛の文献として、下記の第4及び第5の特許文献を例示する。
しかし、特許文献4の立体編物積層体は、その[0001]に書かれているように、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー等の乗り物用のクッション材、事務用、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、家具、枕、座布団等のクッション材に使用されるものである。従って、本願が目的とする清掃具の払拭体への利用は全く意図されていない、ことが明らかである。
立体織編地502では、表層の編地503と裏層の編地504が多数の六角形の環状糸で周期的に配置された平面であり、表層と裏層の環状糸が多数の連結糸505で連結されて厚みを有するように構成されている。この立体織編地502がコンクリート506の上部に埋設され、その上面を熱可塑性樹脂シート501で被覆してコンクリート506を防食している。
しかし、特許文献5の立体織編地502は、その[0001]に書かれているように、下水道施設,厨房除害施設,汚水槽などの腐食性雰囲気、例えば、硫化水素雰囲気に曝されるコンクリート構造物を保護するコンクリート防食用ライニングシートとして使用されるものである。つまり、本願が目的とする清掃具の払拭体への利用は全く意図されていない、ことが明らかである。
本願発明では、立体編物や立体織物などと称される立体布帛から払拭体を構成するところに特徴点を有する。一般の織物、編物、不織布は厚さが薄いため、清掃用の払拭体に利用しても、払拭体の厚みの内部に塵埃を蓄積保持することは極めて難しい。これに対し、立体布帛では、厚みを厚薄自在に調整でき、その厚みの内部に捕集した塵埃を蓄積保持できる利点がある。立体布帛の従来利用技術では、特許文献4、5のように、立体布帛の厚みの弾縮性を利用することに集中していたが、本願発明は、厚みの中に塵埃を捕集し蓄積保持する特徴点に着眼したものであり、本願発明者は、上記新規特性に着目して本願発明を想到したものである。
前記立体布帛では、多数の網目を略周期的に平面状に配列した網目層が間隔層だけ離隔して2層積層されており、しかも前記2層の網目層は相互に同形の上側の網目と下側の網目が上下に連通するように配置されている特徴がある。網目の形状は、四角形や六角形や円などの種々の形状が繊維をリング状(下で云う環状糸)に織編みして形成されており、同形の上側の網目と下側の網目が上下に連通するように配置されている。従って、上側の網目から下側の網目を透視すると、途中には障害物が無く、この内部空間に塵埃を蓄積保持することができる。
上述したように、網目は繊維により環状に成形された環状糸から形成されており、上側の網目も下側の網目も同様である。従って、2個の環状糸が上下に離隔して配置されており、これら2個の環状糸を多数本の連結糸で上下に連結し、しかも多数本で周回状に連結している。つまり、上下に離隔した2個の環状糸の全周が多数の連結糸により連結され、多数の連結糸による連結糸側面が形成されることになる。例えば、環状糸が六角形であれば、六面の小側面が存在し、連結糸により小側面が連結糸小側面になり、六面の連結糸小側面により全側面である連結糸側面が形成されることになる。
前記連結糸側面は上側の網目層と下側の網目層の間に存在し、前記間隔層はこの連結糸側面を内部に含んで構成されることになる。即ち、間隔層は略周期的に配置される多数の連結糸側面を内部に含んで構成されることになる。
そして、上下に連通した上側の網目と下側の網目及び連結糸側面により立体網目が形成される点に特徴を有する。上側の網目と下側の網目とは上下の環状糸のことであり、上下の環状糸と連結糸側面により立体網目と称する筒状体が形成される。この立体網目では、上下の環状糸は開口面を形成し、連結糸側面は連結糸の太さだけ側面の一部に閉鎖が生じるが、連結糸と連結糸の間は開口されている。従って、連結糸の本数が多くなると、側面開口率が小さくなり、逆に連結糸の本数が少なくなると、側面開口率が大きくなる関係を有する。これらの場合に、多数の連結糸は略等間隔に側面に連結固定され、連結糸と連結糸の間にスリット状の微小側面開口部が形成され、これらの微小側面開口部が個数だけ足し合わされて側面開口部を形成する。側面の全面積に対する側面開口部の面積の比率が側面開口率を与える。
前述したように、前記立体網目では、上側の網目と下側の網目の環状糸以外の部分は開口面として開口されており、上側の網目又は下側の網目を被清掃面に接触させながら清掃すると、この開口面を介して塵埃を捕集することができる。また、環状糸は糸の太さだけの閉鎖率しか有しておらず、開口面による表面開口率は90%以上であり、大量の塵埃を誘導捕集することが可能である。
また、前記立体網目では内部空間を有し、この内部空間に塵埃を蓄積保持することができる。しかも、側面は多数の連結糸からなる連結糸側面となっており、連結糸の本数により、側面開口率が0%〜100%まで調整できる。即ち、多数の連結糸で側面を完全に閉鎖すれば、側面開口率は0%になる。また、連結糸を完全にゼロ本にすれば、側面開口率は100%になる。連結糸の本数を制御すれば、側面開口率は0%〜100%まで調整できるのである。側面開口率は連結糸の太さと本数の両者に依存する。
後述するように、本発明者の実験によれば、側面開口率が20%〜80%のときに、塵埃捕集量が実用に耐えることが分かった。また、塵埃捕集量が最大になるのは、上記実験では側面開口率が50%前後のときであったが、更に詳細研究により、最大塵埃捕集量の側面開口率は変動すると思われる。しかし、側面開口率が20%〜80%が有効であることは重要な結果を与え、且つ30%〜70%のときにはより効率的であることが分かった。
また、再度記すが、本発明では表面開口率を90%以上にすることは容易であり、特許文献1〜特許文献3の従来技術では、表面開口率が50%以下でしかないのと比較すると、本願発明が画期的な清掃具を提供していることが分かる。それに加えて、側面開口率が20%〜80%、より望ましくは30%〜70%のときに立体網目の内部空間に蓄積保持できる塵埃量が大きくなることが、本発明者の研究により初めて明らかになった。
上側の網目と下側の網目の両方が開口面を有する場合には、一方の開口面から捕集された塵埃が他方の開口面から逃散してゆくこともあり得る。その場合には、内部空間に蓄積保持される塵埃が減量することになる。そこで、本形態では、他方の開口面を閉鎖糸で閉鎖して閉鎖面とすれば、内部空間に蓄積された塵埃は閉鎖面から逃散することが無くなり、逆に塵埃の減量を防止して蓄積保持できる塵埃量の増大を図ることが可能になる。
開口面を閉鎖糸で閉鎖するには、一本の閉鎖糸を開口面の真中に配置するだけでもよいし、複数本の閉鎖糸で閉鎖してもよいし、多数の閉鎖糸により完全遮断してもよい等、種々の形態をとることができる。塵埃には砂のような粒子成分だけでなく、特に家庭ごみの多くは糸屑も多く、一本だけで遮断できる塵埃も多い。閉鎖糸の形態は状況に応じて可変である。
本形態では、立体布帛が網目層−間隔層−網目層−間隔層−網目層・・といった具合に構成されており、換言すれば3層以上の網目層と2層以上の間隔層からなる多重の立体布帛で構成された立体網目型払拭体が対象となる。立体編成や立体織成の装置では、連続的に積み上げながら多層に編織成できるから、全ての網目層が同じ太さで形成することができ、最上層と最下層と中間層の網目層の全てが同等の構造を有している。
他方、第1形態では、網目層−間隔層−網目層からなる最小単位の立体布帛が対象とされていた。この最小単位の立体布帛を2段以上重ねて本形態の多重の立体布帛を構成してもよい。この場合には、網目層−間隔層−網目層と網目層−間隔層−網目層を重ねるから、網目層−間隔層−網目層・網目層−間隔層−網目層・・となり、最下面と最上面の網目層を除いて、中間の網目層が網目層・網目層のように太くなる傾向を有する。
以上のように構成すれば、立体布帛の厚さを厚薄自在に調整でき、内部に貯蔵保持できる塵埃量の増大化を図ることができる。
しかも、上下に連通した上側の網目と下側の網目及び連結糸側面により立体網目が形成され、前記立体網目では内部空間を有し且つ上側の網目と下側の網目に開口面を有し、一つの間隔層では多数の前記立体網目が略周期的に配列して構成されており、内部空間に塵埃を保持する立体網目型払拭体が提供できる。
以上の構成は、第1形態で提供される立体網目型払拭体と同じ構成であるから、第1形態が有する作用・効果を当然に発現する者であり、第1形態での記載を参酌してここではその記載を省略する。
第1形態で説明した立体網目の2個以上が直上に積層されて、2個以上の立体網目の合成体である拡大立体網目が構成される。個々の立体網目は内部空間を有しているから、これらの内部空間が合成された拡大内部空間が拡大立体網目の内部に形成されることになる。障害物が存在しない内部空間の2個以上が連通状態で合成されて拡大内部空間が形成されているから、拡大内部空間の内部にも障害物は存在していない。
拡大内部空間の最上面の網目と最下面の網目にはそれぞれ開口面が存在するから、最上面の網目の開口面から最下面の網目の開口面を見ると、大きな拡大内部空間が透視できる。被清掃面に最上面の開口面又は最下面の開口面を接触させて清掃作業を行うと、前記開口面から塵埃を捕集して、拡大内部空間が一杯になるまで塵埃を蓄積保持することができる。従って、当該立体布帛を立体網目型払拭体として利用した清掃具では、前記清掃具で清掃すると前記拡大立体網目の開口面から塵埃を捕集して前記拡大立体網目の拡大内部空間に塵埃を大量に蓄積保持することができる立体網目型払拭体を実現することができた。
拡大連結糸側面では、連結糸の本数により、側面開口率が0%〜100%まで調整できる。即ち、多数の連結糸で側面を完全に閉鎖すれば、側面開口率は0%になる。また、連結糸を完全にゼロ本にすれば、側面開口率は100%になる。連結糸の本数を制御すれば、側面開口率は0%〜100%まで調整できるのである。側面開口率は連結糸の太さと本数の両者に依存する。
また、本発明の第3の形態においても、第1形態と同様に、拡大連結糸側面の側面開口率が20%〜80%のときに、本願発明の立体網目型払拭体を最適化でき、有効な清掃具を提供することができる。前述したように、本発明者の実験によれば、側面開口率が20%〜80%のときに、塵埃捕集量が実用に耐えることが分かった。また、塵埃捕集量が最大になるのは、上記実験では側面開口率が50%前後のときであった。しかし、この値は、更なる詳細研究により変動すると思われる。しかし、側面開口率が20%〜80%が有効であることは重要な結果を与え、且つ30%〜70%のときにはより効率的であることが分かった。
最後に、本発明では表面開口率を90%以上にすることは容易であり、特許文献1〜特許文献3の従来技術では、表面開口率が50%以下でしかないのと比較すると、本願発明が画期的な清掃具を提供していることが分かる。それに加えて、側面開口率が20%〜80%、より望ましくは30%〜70%のときに立体網目の内部空間に蓄積保持できる塵埃量が大きくなることが、本発明者の研究により初めて明らかになった。
拡大立体網目において、最上面の網目と最下面の網目の両方が開口面を有する場合には、一方の開口面から捕集された塵埃が他方の開口面から逃散してゆくこともあり得る。この場合には、拡大内部空間に蓄積保持される塵埃が減量することになる。そこで、本形態では、他方の開口面を閉鎖糸で閉鎖して閉鎖面とすれば、拡大内部空間に蓄積された塵埃は閉鎖面から逃散することが無くなり、逆に塵埃の減量を防止して蓄積保持できる塵埃量の増大を図ることが可能になる。
開口面を閉鎖糸で閉鎖するには、一本の閉鎖糸を開口面の真中に配置するだけでもよいし、複数本の閉鎖糸で閉鎖してもよいし、多数の閉鎖糸により完全遮断してもよい等、種々の形態をとることができる。塵埃には砂のような粒子成分だけでなく、特に家庭ごみの多くは糸屑も多く、一本だけで遮断できる塵埃も多い。閉鎖糸の形態は状況に応じて可変である。
前述したように、網目層は多数の網目が略周期的に平面状に配列して形成されており、網目は単一の網目形状の場合と、網目が2以上の網目形状を有する場合に分けられる。網目形状としては、三角、四角、六角、八角、円などが存在する。単一形状の場合とは、たった一つの網目形状が略周期性をもって平面配列することで、例えば六角形状が網目として略周期的に配列するケースである。また、2以上の複数網目形状の場合とは、六角形状と丸形状が単位となって略周期的に配列するケースである。これらは立体布帛の成形技術に依存しており、どの網目形状でも本発明形態に包含される。
一般には、立体布帛に何も含浸させないで払拭体とする場合と、立体布帛に吸着剤を含浸させて払拭体とする場合に分けられる。吸着剤を含浸させない場合には、立体布帛の繊維により塵埃を絡め取ることに主眼を置いた清掃になる。他方、吸着剤を立体布帛に含浸させると、立体布帛の繊維により塵埃を絡め取った後、吸着剤により塵埃を液膜で覆って塵埃を強固に付着保持することができる。従って、吸着剤のケースでは、塵埃の蓄積保持効果が優れる性能を有する。
吸着剤としては水性吸着剤と油性吸着剤に分けられる。水性吸着剤とは水溶液を主体とした吸着剤で、油性吸着剤とは油剤を主体とした吸着剤である。吸着剤を使い分けることによって、効率的に清掃を行うことができる。
一般に、塵埃はプラス又はマイナスに帯電して散在している。つまり塵埃同士は同電気のために反発し合って結合せず、団子状にならずに被清掃面に散在している。従って、立体布帛に静電気又は固定電荷を帯電させれば、塵埃を電気吸引して強力に捕集することができる。但し、静電気は動き回るので、安定して静止状態に固定することが難しい。そこで樹脂繊維などにイオンを高電界で打ち込めば、樹脂繊維に電気を固定させることができ、これを固定電荷と称する。
つまり、静電気又は固定電荷で立体布帛を帯電させれば、電気引力で塵埃を立体網目に捕集でき、内部空間や拡大内部空間に塵埃を蓄積保持することが可能になる。
本発明に使用される立体布帛型払拭体には、2種類存在する。第1は、立体布帛だけから形成された払拭体であり、立体布帛だけを所定の形状に成形して払拭体として使用するものである。第2は、立体布帛以外の清掃用払拭材を立体布帛に組み合わせた払拭体である。パイルを立体布帛に組み合わせたり、払拭紙を立体布帛に組み合わせたり、通常の布帛を立体布帛に組み合わせたり、またパイルと通常の布帛を立体布帛に組み合わせたりした複合形式を有する立体布帛型払拭体である。このような複合形式の立体布帛型払拭体は無数に存在し、被清掃場所や清掃方法に応じて種々の組み合わせ形態が存在する。
以上の如く、複合形式や組み合わせ形態を種々考案することによって、最適な立体布帛型払拭体を構成することができる。
本形態は、立体布帛から形成された立体網目型払拭体をハンドル部の先端に装着してモップとして利用した清掃具に関している。ハンドル部と把持部から構成され、把持部に立体網目型払拭体を装着して、被清掃面に立体網目型払拭体を接触させてハンドル操作すれば、開口面から塵埃を捕集し、捕集された塵埃は立体網目の内部空間又は拡大立体網目の拡大内部空間に蓄積保持される。また、ハンドル部を多少振っても、塵埃は落下せず、内部空間又は拡大内部空間に保存されている。
本形態は前記第8形態の中で把持部が基板に特化された特殊形態を限定したもので、基板からなる把持部に矩形状の立体網目型払拭体を巻回して固定した清掃具に関している。つまり、矩形状の立体網目型払拭体を床面に伸ばして配置し、その中央部に基板を置いて、立体網目型払拭体の両端を基板の表側面に固定すれば、清掃具として利用できる。把持部の清掃側面を被清掃面に押し付けて押し引き操作すれば、被清掃面から塵埃を開口面を通して捕集し、捕集された塵埃は立体網目の内部空間又は拡大立体網目の拡大内部空間に蓄積保持される。また、ハンドルを多少振っても、塵埃は落下せず、内部空間又は拡大内部空間に保存されている。
本形態は前記第8形態の中で把持部の下方に立体網目型払拭体を湾曲状に袋化した特殊形態を限定したものである。例えば、立体網目型払拭体をU字状に曲げれば湾曲部が形成され、その左右の端部を把持部と連結すれば、湾曲部の中に大きな空間部が形成された清掃具が完成される。湾曲部を被清掃面に押接しながら押し引きして清掃すると、また湾曲部で被清掃面を掃き掃除すると、被清掃面から塵埃を開口面を通して捕集し、捕集された塵埃は立体網目の内部空間又は拡大立体網目の拡大内部空間に蓄積保持される。ハンドルを多少振っても、塵埃は落下せず、内部空間又は拡大内部空間に保存されている。また、湾曲部の中の空間部に内部空間又は拡大内部空間から逃散した塵埃が落下して蓄積される利点も有する。
本形態は前記第10形態を更に具体化した従属形態である。立体網目型払拭体を湾曲させて湾曲部を形成し、その両端部を揃えて縫着や融着などで結合させて結合部を作る。この結合部と略平行に袋部を形成する。上記結合部の一部を開口して開放部を作り、この開放部から把持部を挿入させて袋部に把持部を内挿させる。このように構成すると、立体網目型払拭体の湾曲部で被清掃面を清掃すれば、被清掃面から塵埃を開口面を通して捕集し、捕集された塵埃は立体網目の内部空間又は拡大立体網目の拡大内部空間に蓄積保持され、大量の塵埃を保存することができる。
本形態は前記第10形態を更に具体化した従属形態である。例えば、把持部が2枚の長手材の重ね合わせで構成され、2枚の長手材はばねで通常は閉じており、指でつまむと開く構造を有している。そして指を放すとばねで閉じる構造を有しているとする。他方、立体網目型払拭体を湾曲させて湾曲部を形成し、その両端部を揃えて前記長手材を開いた状態で前記両端部に■み込ませると、立体網目型払拭体を把持部で把持することができる。
以上のように構成すると、立体網目型払拭体の湾曲部で被清掃面を清掃すれば、被清掃面から塵埃を開口面を通して捕集し、捕集された塵埃は立体網目の内部空間又は拡大立体網目の拡大内部空間に蓄積保持され、大量の塵埃を保存することができる。
大きく分けると、立体網目型清掃具1はハンドル部10と、その先端に設けられた把持部20と、この把持部20により支持される立体網目型払拭体30から構成されている。
捕集された塵埃62は立体網目32の内部に確実に蓄積して保持される。後述するように、立体網目32の側面には多数の連結糸45が存在し、立体網目32から側面側へ塵埃62が放出されることはない。また、立体網目32の奥が開口面43になっているときには、仮に塵埃62が排出されても、塵埃62は立体網目型払拭体30の内部の空間部37に保持されるから、被清掃面60に排出されることはない。更に、立体網目32の奥が閉鎖されている場合には、立体網目32から塵埃62が逃散ことができず、塵埃62の保持機能は最大効率に達する。
この実施例2では、ハンドル部10はハンドル本体10aとグリップ12からなり、把持部20は基板から構成されている。図示されていないが、把持部20の上面には一対の突板が突設され、この一対の突板の間にハンドル本体10aの先端が挿入され、ボタン軸14により突板に連結されて、ハンドル部10はボタン軸14の回りに回動自在に設けられている。
前述したように、立体網目型払拭体30は立体布帛31で成形されおり、立体布帛31の一部が立体布帛構造31aとして一点鎖線に囲繞されて図示されている。前述と同様、一点鎖線で囲繞された立体布帛構造31aが全面に広がって形成されたものが立体布帛31である。この立体布帛31は、厚さが大きくて厚さ方向に弾縮性能を有している。この立体布帛31は無数の立体網目32が略周期的に平面状に配列して構成され、立体網目32の特性に基づいて弾縮性能を発現する。その詳細な構造は後述する。
前述したように、立体網目32の開口面43の表面開口率、即ち、開口面43の全面積と立体網目32の表面の全面積との比率は90%以上と極めて大きいから、塵埃62の捕集効率が極めて大きい。この理由は、立体網目32では、網目を形成する網目糸以外の領域は全て開放されているから、網目糸の表面被覆率は10%以下とかなり小さく、その結果表面開口率が90%以上となるからである。従って、被清掃面60の塵埃62は、湾曲部38にある多数の立体網目32の表面の開口面43から高効率に捕集される。
捕集された塵埃は立体網目32の内部に確実に蓄積して保持される。後述するように、立体網目32の側面には多数の連結糸45が存在し、立体網目32から側面側へ塵埃が放出されることはない。また、立体網目32の奥は把持部20の表面で閉鎖されているから、塵埃62が立体網目32から逃散されることはない。従って、塵埃62を蓄積し保持する機能は最大効率に達する。
立体網目型払拭体30の立体布帛構造31aは、多数の網目41を略周期的に平面状に配列した網目層40が間隔層42を介して2層積層されており、前記2層の網目層40、40は相互に同形の上側の網目41aと下側の網目41bが上下に連通するように配置されている。上下に連通した上側の網目41aと下側の網目41bを形成する2個の環状糸44、44が複数本の連結糸45で相互に周回状に連結されて連結糸側面46が形成されている。前記間隔層42は前記連結糸側面46を内部に含んで構成されている。
上下に連通した上側の網目41aと下側の網目41b及び連結糸側面46により立体網目32が形成され、この立体網目32では内部空間47を有し且つ上側の網目41aと下側の網目41bに開口面43、43を有している。換言すれば、上側の環状糸44と下側の環状糸44を多数の連結糸45で連結して連結糸側面46を形成すると、上下の環状糸44と連結糸側面46から筒状体、つまり立体網目32が形成され、この筒状体が平面状に略周期的に並設されると、上下の環状糸44、44を除いた厚み層が間隔層42になるわけである。筒状体である立体網目32の内部は全くの空間で内部空間47になる。
また、立体網目32に捕集された塵埃62は、前記立体網目32の内部空間47に蓄積され、内部空間47から逃散することができない。その理由は、捕集された塵埃62は連結糸側面46から逃散しようとしても多数本の連結糸45に阻止されて逃散することができず、内部空間47に保持されることになる。
より詳細には、連結糸45の本数により、側面開口率を0%〜100%まで調整して試験すると、側面開口率が20%〜80%のときに、内部空間47での塵埃62の蓄積と保持が効率的になり、本願発明の立体網目型払拭体30を最適化でき、有効な清掃具を提供できることが分かった。塵埃捕集率が最大になるのは、後述の実験では側面開口率が約50%であったが、実際には条件により変動して40%〜60%であると考えられる。この塵埃捕集率の最大点の変動性を考慮すると、側面開口率が20%〜80%が有利であり、30%〜70%のときにはより効率的であると考えられる。
前記立体布帛構造31aでは、多数の網目41を略周期的に平面状に配列した網目層40を間隔層42を介して3層以上積層することにより前記間隔層42が2層以上積層状態で存在している。隣り合う2層の網目層40、40は相互に同形の上側の網目41aと下側の網目41bが上下に連通するように配置されている。
上下に連通した上側の網目41aと下側の網目41bを形成する2個の環状糸44、44が複数本の連結糸45で相互に周回状に連結されて連結糸側面46が形成される。前記間隔層42は前記連結糸側面46を内部に含んで構成されており、上下に連通した上側の網目41aと下側の網目41b及び連結糸側面46により立体網目32が形成されている。
前記立体網目32では内部空間47を有し、且つ上側の網目41aと下側の網目41bに開口面43を有している。
前記立体布帛31を多層に積層した立体網目型清掃具1で清掃すると、前記拡大立体網目50の開口面43から塵埃62を捕集して前記拡大立体網目50の拡大内部空間52に塵埃62を捕集し、蓄積して保持することができる。
また、拡大立体網目50に捕集された塵埃62は、前記拡大立体網目50の拡大内部空間52に大量に蓄積され、拡大内部空間52から逃散することができない。その理由は、捕集された塵埃62は連結糸側面46の多数本の連結糸45に阻止されて逃散することができず、拡大内部空間52に保持されることになる。
この多層式の立体網目型清掃具1においても、側面開口率が20%〜80%のときに、内部空間47での塵埃62の蓄積と保持が効率的になり、30%〜70%のときにより効率的であると考えられる。
この立体網目型払拭体30は図3と比較して連結糸45の長さが長いだけで、その他の特徴は全く同様である。つまり、間隔層42の厚さが厚いだけであり、図3の立体網目型払拭体30の構成と作用と効果はほぼ同様であると云える。
間隔層42を厚くするには、図4の如く多層式にしてもよいし、図5の如く連結糸45の長さを長くしてもよい。いずれの方式でも、作用効果は同様であり、茲ではそれ以上の説明を省略する。
(6A)では、六角形状の多数の網目41からなる立体布帛31が示されている。(6B)では、四角形状の多数の網目41からなる立体布帛31が示されている。(6C)では、小楕円と大楕円という2種の形状からなる多数の網目41から構成された立体布帛31が示されている。このように、立体布帛31としては、単一形状だけでなく、複数形状の網目41を略周期的に平面状に配列して、多種多様な立体布帛31を形成でき、これらの立体布帛31を本願発明に使用することができる。
立体網目払拭体30は、立体布帛構造31aを有する立体布帛31から形成されている。この立体布帛構造31aは、上側の網目層40と下側の網目層40を積層させ、上下の網目層40、40を多数の連結糸45で連結して立体的に構成されている。
詳細に述べると、上下の網目層40、40は同じ構造を有しており、織成や編成などにより縦方向と横方向の繊維から平面上に形成されており、多数の網目41が略周期的に平面配置されて構成されている。最小単位は網目41で環状糸44でリング状に区画され、上側の網目41aと下側の網目41bとも同形の環状糸44、44で構成される。
上下の網目41a、41bには邪魔のない開口面43、43が開口されている。上下の環状糸44、44と連結糸側面46は筒状体に形成されており、しかもその内部には空洞の内部空間47が存在する。この筒状体を立体網目32と称し、立体布帛構造31aとは立体網目32が略周期的に平面状に配列された構造である。
また、立体網目32の側面は連結糸45で部分的に閉鎖された連結糸側面46となっている。捕集により内部空間47に蓄積された塵埃62は、連結糸側面46から逃散しようとしても連結糸45に邪魔されて外部への放出が阻止される。側面の全面積から連結糸45の太さ面積を除いた面積が側面開口面積であり、本願明細書では、この側面開口面積の側面面積に対する比率を側面開口率と呼ぶ。内部空間47に蓄積保持される塵埃62の捕集質量の側面開口率に対する分布を塵埃捕集性能と呼ぶ。本願発明者の研究により、側面開口率が20%〜80%であれば塵埃捕集性能は実用に供することができ、また側面開口率が30%〜70%の範囲では塵埃捕集性能をより向上できることが明らかにされた。
本願の立体網目型清掃具1を用いて被清掃面60の塵埃62を清掃する。立体網目型払拭体30を被清掃面60に当接させて矢印X−X方向及び矢印Y−Y方向に押し引きすると、被清掃面60の塵埃62は、下側の網目41が被清掃面60から浮いた状態のタイミングで、矢印A方向に下側の網目41bの開口面43から内部空間47へと捕集される。内部空間47に入ると、塵埃62は連結糸側面46を形成する多数の連結糸45に絡み、また上下の環状糸44、44とも絡み合う。この絡みによって、塵埃62は内部空間47から外部へ逃散することができず、内部空間47に蓄積し保持されることになる。
(9A)は、出口側、即ち上側の網目41aを開口面43とした一個の立体網目32の概略斜視図である。勿論、下側の網目41bは矢印A方向から塵埃62を導入するために塵埃捕集用の開口面43になっていることは当然である。立体網目32は上下の環状糸44、44と連結糸側面46からなっているが、連結糸側面46の一部である手前側は見やすく透視できるように連結糸45を省略している。
(9B)は、出口側、即ち上側の網目41aを閉鎖糸48により閉鎖面49とした一個の立体網目32の概略斜視図である。出口側が閉鎖面49であることが(9A)との相違点であり、他の事項は(9A)と全く同一である。勿論、下側の網目41bは矢印A方向から塵埃62を導入するために塵埃捕集用の開口面43になっていることは当然である。立体網目32は上下の環状糸44、44と連結糸側面46からなっているが、連結糸側面46の一部である手前側は見やすく透視できるように連結糸45を省略している。
上側の立体網目32は上下の環状糸44、44を連結糸側面46で囲繞して内部に内部空間47を有するように形成され、同様に下側の立体網目32も上下の環状糸44、44を連結糸側面46で囲繞して内部に内部空間47を有するように形成されている。
これら二つの立体網目32、32が2層積層されて拡大立体網目50が構成され、その内側には二つの内部空間47、47が積層された拡大内部空間52が構成されている。上側の連結糸側面46と下側の連結糸側面46は共に上下に連結された多数の連結糸45が周回状に配置されて構成され、これら二つの連結糸側面46、46により拡大立体網目50の側面が構成される。
最下面の網目51bは矢印A方向から塵埃62を導入するために塵埃捕集用の開口面43になっていることは当然である。この図では、最上面の網目51aも開口面43になっており、捕集した塵埃62は拡大内部空間52に蓄積保持され、最上面の開口面43から逃散する塵埃62は比較的少ないことが分かっている。その理由は、拡大内部空間52に入った塵埃62は連結糸側面46の多数の連結糸45と絡み合い、拡大内部空間52の中に強力に保持される作用があるからである。
図10は出口側が開口面43であるのに対し、本図11では出口側が閉鎖糸48により閉鎖面49になっている。出口側が開口面43である図10の構造でも、塵埃62は出口側の開口面43から逃散し難いのであるが、図11のように出口側を閉鎖面49とすることにより、出口側からの塵埃62の逃散を完全に遮断することができる。
他の事項については、図10と図11は同一であり、既に図10で記載した事項については、それを引用してここに反復記載することは省略する。
実施例1とは図1に示された立体網目型清掃具1であり、実施例2とは図2に示された立体網目型清掃具1のことである。この試験では、塵埃捕集用の吸着剤を担持させていない実施例1のモップ、塵埃捕集用の吸着剤を担持させた実施例1及び実施例2のモップについて、除塵性能を比較した。塵埃として0.1mmの長さに切断されたカット綿5gを500μmメッシュ篩を用いて約0.32m2(W700mm×D450mm)の面積範囲の床面に散布した。これらの塵埃を上記3種類のモップにより、一回の前進拭き(ひと押し)した後の拭き筋残りを上段の写真で観察し、この観察の後、散布面全体を念入りに払拭して完全埃除去可能性について下段の写真で観察した。
写真の結果から判断すると、3種類のモップ共にひと押しの拭き筋残りは全く見られず、3種類のモップ共に塵埃をほぼ完全に押し引きできることが分かった。念入り払拭では、吸着剤無しの実施例1では塵埃が少量ながら残留し、吸着剤有りの実施例1及び吸着剤有りの実施例2では塵埃を完全に捕集できることが分かった。換言すれば、実施例1では吸着剤が無いことにより念入り払拭でも塵埃が少量ながら残留するが、吸着剤を担持させれば念入り払拭により塵埃を完全に捕集できる好結果を得たのである。以上の結果から、本願の立体網目型払拭体30に吸着剤を担持させた立体網目型清掃具1では、塵埃の押し引き清掃は良好であり、且つ念入り払拭により床面から塵埃をほぼ完全に捕集して塵埃をモップ内に保持できることが実証された。
図13の試験では、図12の試験と全く同じ試験が行われた。試験対象物は、本件出願人とは異なる他社が市場展開しているA社製モップ及びB社製モップ1・2の3種類の従来モップであり、全てに他社製の吸着剤を担持したモップである。図12と全く同様に、塵埃として0.1mmの長さに切断されたカット綿5gを500μmメッシュ篩を用いて約0.32m2(W700mm×D450mm)の面積範囲の床面に散布した。
写真の結果から判断すると、3種類の従来モップ共にひと押しの拭き筋残りは見られなかったから、3種類の従来モップ共に塵埃をほぼ完全に押し引きできることが分かった。しかし、念入り払拭で大きな違いが見られた。A社製モップでは塵埃が少量ながら残留し、B社製モップ2では塵埃が多少とも残り、B社製モップ1では塵埃が大量に残留することが分かった。
これらの事実から、従来型のモップでは、たとえ吸着剤を担持させて床面を念入り払拭した場合でも、塵埃が多くなると床面に多少とも塵埃が残留することが分かる。
それに対し、本願の立体網目型払拭体30によれば、吸着剤を担持させるとほぼ完全に塵埃を床面から捕集でき、本願の立体網目型払拭体30及び立体網目型清掃具1が画期的な作用効果を発現できることが分かったのである。
左上側の写真は、吸着剤有りの実施例1のモップを使って、床面から黒埃を立体網目型払拭体30に捕集した写真であり、立体網目型払拭体30の表面に黒埃が付着して黒ずんでいるのが確認される。払拭体の前に対面して存在する装置が立体網目型払拭体30から塵埃を吸引除去する塵埃吸引装置である。左下側の写真が、黒ずんでいた立体網目型払拭体30から黒埃を塵埃吸引装置で吸引除去した後の立体網目型払拭体30の写真であり、黒埃がほぼ完全に除去されているのが分かる。
右上側の写真は、吸着剤有りの実施例1のモップを使って、床面から白埃(0.1mmに切断されたカット綿)を立体網目型払拭体30に捕集した写真であり、立体網目型払拭体30の表面に白埃が付着して白くなっているのが確認される。右下側の写真が、白くなった立体網目型払拭体30から白埃を同じ塵埃吸引装置で吸引除去した後の立体網目型払拭体30の写真であり、白埃がほぼ完全に除去されているのが分かる。
以上から、立体網目型払拭体30に捕集された黒埃や白埃は塵埃吸引装置によりほぼ完全に除去でき、元の状態に清浄化できることが分かった。その理由は、塵埃が蓄積保持されている内部空間47や拡大内部空間52は空気が非常に流通しやすいため、塵埃が容易に吸引除去できるということである。
本願発明は立体網目と表示したもので、立体布帛(PA/PET製)を多重に巻回したものである。他の3種の払拭体の第1はベッド(寝具)のクッション材としてよく使われている立体ラーメン構造材(オレフィン系エラストマー製)であり、第2はネット(PET製)を多重に巻回したものであり、第3はスポンジ(ポリウレタン製)である。これら4種の払拭体に同一の吸着剤を担持させている。
中段の試験写真は、床面に散布された塵埃をひと押しした後、床面上の拭き筋残りの写真である。4種のうち、立体ラーメン構造材のみ多少拭き筋残りが見られるものの、他の3種は拭き筋残りが観察されず、同程度の押し引き性能があることを示している。ここで、塵埃として、0.1mmの長さに切断されたカット綿3gを500μmメッシュ篩を用いて約0.32m2(W700mm×D450mm)の面積範囲の床面に散布したものが使用されている。
下段の試験写真は、上記ひと押しした後、散布面全体を念入りに払拭して塵埃が完全に除去できるかどうかの写真である。本願の立体網目32だけが塵埃の完全除去性を示している。立体ラーメン構造では少し残留しているが、ネットやスポンジではかなりの残留が見られる。評価は、良(〇)、可(△)、不可(×)で示されている。
以上から、本願の立体網目型払拭体30だけが、ひと押しによる拭き筋残りが無く、綿粉3g保持性においても完全性を示していることが分かるであろう。
図16は、カット綿を塵埃として捕集する性能試験を行うために、本発明に係る立体網目型払拭体30の立体網目32を3Dプリンターで製作した模擬立体網目の写真図である。本願発明者は、立体網目32の模擬品としてサイズが10mm×5mm×5mmで内部が空洞の直方体を3Dプリンターで製作した。上下の開口面43を10mm×5mmにして完全に開放し、縦線で表示した側面に縦線で示す連結糸45を3Dプリンターで製作した。
実際に制作された2個の立体網目32の写真2枚が図示されている。側面は10mm×5mmと5mm×5mmの2面が存在し、連結糸45に相当する柱を側面に複数本だけ立設している。柱の太さは0.5mmである。10mm×5mmの側面では、全面積は50mm2であり、柱の本数をh本とすれば、当該側面の開口面積は50−(5mm×0.5mm×h)=50−2.5h(mm2)となる。従って、当該側面の開口率は、(50−2.5h)/50×100(%)=100−5h(%)で与えられる。h=0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20の11例が製作された。
また、同時に、5mm×5mmの側面では、全面積は25mm2であり、柱の本数をk本とすれば、当該側面の開口面積は25−(5mm×0.5mm×k)=25−2.5k(mm2)となる。従って、当該側面の開口率は、(25−2.5k)/25×100(%)=100−10k(%)で与えられる。k=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の11例が製作された。
一般的には、吸着剤有りの方が吸着剤無しよりも、吸着剤の吸着性能によりカット綿は吸着保持されやすいと考えられる。また、連結糸45の本数が多い方がカット綿との絡み効果により捕集質量が多いと考えられる。しかし、連結糸45の本数が多くなると、連結糸45と連結糸45の間の間隔が狭くなり、カット綿との絡み効果は低下し捕集質量は低減すると考えられる。これらの総合効果は実験で決定される必要がある。
黒四角で示される曲線は吸着剤有りの立体網目サンプルのグラフで、黒丸で示される曲線は吸着剤無しの立体網目サンプルのグラフである。どちらのグラフも50%をピークとし、吸着剤有りのグラフが吸着剤無しのグラフよりも上方に高くなっている。また、吸着剤有りのグラフの方が吸着剤無しのグラフよりも裾野が広がっている。これらの結果から判断すると、立体網目32に吸着剤を担持した方が塵埃捕集効果は優れていることと云える。
更に、捕集質量が10mg以上を有効と判断すると、サンプルの側面開口率は20%〜80%が好ましいことが分かる。更に好ましくは、捕集質量が15mg以上であり、サンプルの側面開口率は30%〜70%が良好であると云える。この場合の側面開口率の判断は、吸着剤が有っても無くても両方に対し良好である事を保証する。
10 ハンドル部
10a ハンドル本体
12 グリップ
13 ハンドル受
14 ボタン軸
20 把持部
21 把持部中央部
22 突板
23 把持部突出部
24 把持部突出部
25 清掃側面
26 非清掃側面
30 立体網目型払拭体
30a 払拭体中央部
31 立体布帛
31a 立体布帛構造
32 立体網目
33 開放部
34 端部結合部
34a 端部
35 分割部材
36 袋部
37 空間部
38 湾曲面
40 網目層
41 網目
41a 上側の網目
41b 下側の網目
42 間隔層
43 開口面
44 環状糸
45 連結糸
46 連結糸側面
47 内部空間
48 閉鎖糸
49 閉鎖面
50 拡大立体網目
51a 最上面の網目
51b 最下面の網目
52 拡大内部空間
60 被清掃面
62 塵埃
Claims (13)
- 清掃具に取着されて払拭清掃に使用される払拭体において、前記払拭体として立体布帛が使用され、前記立体布帛では、多数の網目を略周期的に平面状に配列した網目層が間隔層を介して2層積層されており、前記2層の網目層は相互に同形の上側の網目と下側の網目が上下に連通するように配置されており、上下に連通した上側の網目と下側の網目を形成する2個の環状糸が複数本の連結糸で相互に周回状に連結されて連結糸側面が形成され、前記間隔層は前記連結糸側面を内部に含んで構成されており、上下に連通した上側の網目と下側の網目及び連結糸側面により立体網目が形成され、前記立体網目では内部空間を有し且つ上側の網目と下側の網目に開口面を有し、前記清掃具で清掃すると前記網目の開口面から塵埃を捕集して前記立体網目の内部空間に塵埃を保持することを特徴とする立体網目型払拭体。
- 前記上側の網目の開口面及び前記下側の網目の開口面のいずれか一方を閉鎖糸で閉鎖面とし、他方を開口面のままとし、前記開口面から塵埃を捕集して内部空間に塵埃を保持し、前記内部空間に保持された塵埃が前記閉鎖面から放出され難くした請求項1に記載の立体網目型払拭体。
- 清掃具に取着されて払拭清掃に使用される払拭体において、前記払拭体として立体布帛が使用され、前記立体布帛では、多数の網目を略周期的に平面状に配列した網目層を間隔層を介して3層以上積層することにより前記間隔層が2層以上積層状態で存在し、隣り合う2層の網目層は相互に同形の上側の網目と下側の網目が上下に連通するように配置されており、上下に連通した上側の網目と下側の網目を形成する2個の環状糸が複数本の連結糸で相互に周回状に連結されて連結糸側面が形成され、前記間隔層は前記連結糸側面を内部に含んで構成されており、上下に連通した上側の網目と下側の網目及び連結糸側面により立体網目が形成され、前記立体網目では内部空間を有し且つ上側の網目と下側の網目に開口面を有し、一つの間隔層では多数の前記立体網目が略周期的に配列して構成されており、前記間隔層が2層以上積層されることにより、前記立体網目が直上に2個以上積層されて拡大立体網目が形成され、前記拡大立体網目では2個以上の前記内部空間が連通状に積層された拡大内部空間が形成され、しかも最上面の網目と最下面の網目に開口面を有し、多数の拡大立体網目が略周期的に配列して構成されており、前記清掃具で清掃すると前記拡大立体網目の開口面から塵埃を捕集して前記拡大立体網目の拡大内部空間に塵埃を保持することを特徴とする立体網目型払拭体。
- 前記最上面の網目の開口面及び前記最下面の網目の開口面のいずれか一方を閉鎖糸で閉鎖面とし、他方を開口面のままとし、前記開口面から塵埃を捕集して拡大内部空間に塵埃を保持し、前記拡大内部空間に保持された塵埃が前記閉鎖面から放出されないようにした請求項3に記載の立体網目型払拭体。
- 前記立体布帛において、1種又は2種以上の網目形状を有する請求項1〜4のいずれかに記載の立体網目型払拭体。
- 前記立体布帛には、塵埃を吸着保持する吸着剤が担持される請求項1〜5のいずれかに記載の立体網目型払拭体。
- 前記立体布帛は、固定電荷又は静電気で帯電される請求項1〜6のいずれかに記載の立体網目型払拭体。
- 前記払拭体として前記立体布帛に立体布帛以外の他の清掃用払拭材を組み合わせる請求項1〜7のいずれかに記載の立体網目型払拭体。
- 請求項1〜8のいずれかの立体網目型払拭体を使用し、前記立体網目型払拭体が装着される把持部と、前記把持部に連結されたハンドル部から構成され、前記立体網目型払拭体を被清掃面に接触させて清掃すると、被清掃面から塵埃が前記網目の開口面を通して捕集され、前記立体網目の内部空間又は前記拡大立体網目の拡大内部空間に塵埃を保持することを特徴とする立体網目型清掃具。
- 前記把持部が基板からなり、前記立体網目型払拭体の払拭体中央部を前記把持部の清掃側面に面接させて配置し、前記立体網目型払拭体の両端部を前記把持部に固定し、前記立体網目型払拭体を前記被清掃面に押接して清掃する請求項9に記載の立体網目型清掃具。
- 前記立体網目型払拭体は湾曲状に折り返された湾曲部を有し、その左右の端部は前記把持部と連結され、前記湾曲部の内部には空間部が形成され、前記湾曲部を被清掃面に押接して清掃する請求項9に記載の立体網目型清掃具。
- 左右の前記端部を相互に結合させて端部結合部を形成し、端部結合部の一部を開口して開放部を設け、端部結合部に連接して袋部を設け、開放部から前記把持部を挿入して袋部に挿着し、把持部を前記立体網目型払拭体と一体化する請求項11に記載の立体網目型清掃具。
- 前記把持部は二つの■合部が弾性的に開閉自在に構成され、前記立体網目型払拭体の左右の端部が前記噛合部により噛合されて前記把持部と一体化する請求項12に記載の立体網目型清掃具。
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