JP4331028B2 - ビタミン飲料の異臭抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高含有したカロチノイド類とビタミンの呈味や匂いを改善した飲料に関する。
昨今の、食生活をはじめとした生活環境の変化の中、先進国を中心として健康の維持に人々の関心が高まっている。その健康維持手段の一つとして、不足しがちな栄養成分を含有した栄養補助食品などを摂取することが日本でも一般的になってきており、生体機能調節に欠かせないビタミンや抗酸化機能を有する機能成分が人々の関心を集めている。
栄養補助の機能を有しながら、より手軽においしく摂取できる食品として、ビタミンなど多数の栄養成分を配合した栄養ドリンクと称される飲料があり、肉体疲労時の滋養強壮を主な目的として愛飲されてきた。しかし、飲料にビタミンなどの成分を配合する場合、ビタミン自体が苦味や不快な強い臭気を有し、成分としての安定性も低いため、おいしく飲みやすく、安定性に優れた飲料にするためにさまざまな開発研究が行われてきた。
β‐カロチンを含有した飲料として特許文献1(特開平8−120187号公報)には、「保存安定性に優れたカロチノイド含有水性組成物及びカロチノイド含有飲料」があり、特許文献2(特開2002−119265号公報)には「β‐カロチンと青色色素、さらにアスコルビン酸を含有した緑色飲料」等があり、ビタミンを含有した飲料として特許文献3(特開2000−189125号公報)「ビタミンB1とアスコルビン酸又はその塩を含有する酸性飲用液組成物」、特許文献4(特開平11−12159号公報)「ビタミンC、ビタミンB1、糖アルコールとトロピカル系香料を配合した内服液剤」等がある。
しかし、高含有したカロチノイド類と多数のビタミン類、特に飲料にした場合の味や匂いが課題となるビタミンB類とビタミンEをカロチノイド類と同時に含有しながらも、おいしく飲みやすい飲料は未だない。
特開平8−120187号公報 特開2002−119265号公報 特開2000−189125号公報 特開平11−12159号公報
カロチノイド類やビタミン類はその油っぽい味や油臭、異臭のために、飲料として少量摂取するだけで栄養所要量を満たせるほどに高い配合量で飲料中に配合することはできなかった。
第6改訂日本人の栄養所要量による成人の各種ビタミン類の所要量は、年齢よる増減、
妊婦、授妊婦による増減があるが、
ビタミンA:男性2000IU、女性1800IU、
ビタミンD:100IU、
ビタミンE:α−トコフェロール当量で男性10mg、女性8mg、
ビタミンK:男性65μg、女性55μg、
ビタミンB1:男性1.1mg、女性0.8mg、
ビタミンB2:男性1.2mg、女性1.0mg、
ナイアシン:男性17mg、女性13mg、
ビタミンB6:1.6mg、1.2mg、
葉酸:200μg、
ビタミンB12:2.4μg、
ビオチン:30μg、
パントテン酸:5mg、
ビタミンC:100mg
である。
成人の許容上限摂取量は、
ビタミンA:5000IU、
ビタミンD:2000IU、
ビタミンE:α−トコフェロール当量で600mg、
ビタミンK:30000mg、
ナイアシン:30mg、
ビタミンB6:100mg、
葉酸:1000mg
とされている。
また、栄養機能食品のビタミンの(上限値、下限値、摂取目安量(6歳以上))は、
ビタミンA(600μg(2000IU)、180μg(600IU)、540μg(1800IU))、
β−カロテン(3600μg(2000IU)、1080μg(600IU)、3240μg(1800IU))、
ビタミンD(5.0μg(200IU)、0.9μg(35IU)、2.5μg(100IU))、
ビタミンE(150mg、3mg、10mg)、
ビタミンB1(25mg、0.3mg、1mg)、
ビタミンB2(12mg、0.4mg、1.1mg)、
ナイアシン(15mg、5mg、15mg)、
ビタミンB6(10mg、0.5mg、1.5mg)、
葉酸(200μg、70μg、200μg)、
ビタミンB12(60μg、0.8μg、2.4μg)、
ビオチン(500μg、10μg、30μg)、
パントテン酸(30mg、2mg、5mg)、
ビタミンC(1000mg、35mg、100mg)
である。
これらのビタミン類を飲料中に栄養機能食品の摂取目安量に相当する量で配合すると、ビタミン類の油臭、異臭、油っぽい味、が相乗的に強調され、非常に飲み難くなる。さらに、経時的に風味が悪くなる問題も生じる。
特にカロチノイド類、ビタミンE、ビタミンB類は異臭並びに経時的な異臭の増加が顕著である。その臭いの特徴は、カロチノイド類はニンジン臭のような独特の油臭さがあり、ビタミンEは溶剤臭く、カロチノイド類とビタミンEをともに配合すると異臭が混合され、相乗的に匂いが悪化する。また、経時的な異臭の増大も単独で配合した場合と比べて顕著である。
ビタミンB1には、含硫化合物臭があり、また、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンアミドには、ドブ臭い臭いがあり、経時的な臭いの増大が顕著である。特に、それらを同時に配合することにより異臭が一層顕著となる。一方、味に関しては、カロチノイド類、ビタミンEの油っぽい味が顕著であり、まずくて飲みにくい。ビタミンB類自体は苦味を有するが、カロチノイド類、ビタミンEとビタミンB類を同時に配合すると、カロチノイド類、ビタミンEの油っぽい味が強調される。
飲料に栄養機能食品として定められている量のビタミン類を配合する場合、飲料の容量を約30ml〜約200mlと想定すると、
カロチノイド類の配合量は、0.0005%以上が好ましく、0.0016%以上がさらに好ましい。しかしながら、0.0005%以上のカロチノイド類を配合すると、油っぽい味や、ニンジン臭のような独特の油臭が問題となる。0.0016%以上配合するとさらに油っぽい味や油臭が顕著となる問題がある。
ビタミンEの配合量は0.001%以上が好ましく、0.005%以上がさらに好ましい。しかしながら、0.001%以上のビタミンEを配合すると溶剤臭さや油っぽい味が問題となる。0.005%以上配合するとさらに溶剤臭さや油っぽい味が顕著となる問題がある。
ビタミンB1の配合量は0.0001%以上が好ましく、0.0005%以上さらに好ましい。しかしながら、0.0001%以上のビタミンB1を配合すると含硫化合物臭並びにその経時的な増大が問題となる。0.0005%以上配合するとさらに異臭の発生が顕著となる。
ビタミンB2の配合量は0.0002%以上が好ましく、0.0005%以上がさらに好ましい。しかしながら、0.0002%以上のビタミンB2を配合するとドブ臭さ並びにその経時的な増大が問題となる。
ナイアシンの配合量は0.002%以上が好ましく、0.007%以上がさらに好ましい。しかしながら、0.002%以上のナイアシンを配合するとドブ臭さ並びにその経時的な増大が問題となる。
ビタミンB6の配合量は0.0002%以上が好ましく、0.0007%以上がさらに好ましい。しかしながら、0.0002%以上のビタミンB6を配合するとドブ臭さ並びにその経時的な増大が問題となる。
いずれのビタミンも栄養所要量配合することが望ましいが、複数のビタミンを配合することにより、味、匂いが悪くなる。特に、含硫化合物臭が発生するビタミンB1とドブ臭いビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンアミドを同時に配合すること、さらには溶剤臭いビタミンEを同時に配合することにより、強烈に味や匂いが悪くなる問題がある。そして、味の悪さ、匂いの悪さの経時的な増大を解決することは非常に困難であった。
本発明は、カロチノイド類とビタミンEとビタミンB類を高含有しながらも、おいしく飲みやすい飲料を提供することを目的とする。
異臭をマスキングするためには香料が、また、味のマスキングには酸味料、甘味料が通常用いられる。しかしながら、ビタミン類を高配合した飲料においては、香料、酸味料、甘味料によるマスキングが不十分であり、経時的に油臭さ、溶剤臭さが増大し、風味が悪化する問題を確認した。
本発明者は、複数を組み合わせた果汁がビタミン類を高配合した飲料の異臭、味のマスキングに優れ、特に、マスキング効果が経時的に安定していることを見出し、本発明を完成させた。
(1)カロチノイド類、複数種類のビタミン類と複数種類の果汁を含有する飲料の異臭の抑制方法であって、
ベータカロチンを0.0016%以上、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンアミドからなるビタミンB群を合わせて0.0116%以上含有する飲料において、
乳清蛋白質を含有させずバレンシアオレンジ、ライチ、りんごの混合果汁を配合することにより、
ベータカロチンとビタミンB群に由来する異臭の発生を抑制するとともに、香料を使用せずに経時変化による異臭の増強を抑制する方法。
(2)さらに、ビタミンEを配合することを特徴とする請求項1記載のベータカロチンとビタミンB群に由来する異臭の発生を抑制するとともに、香料を使用せずに経時変化による異臭の増強を抑制する方法。
作用効果は次のとおりである。
(1)果汁を配合することによって、カロチノイド類とビタミン類の油っぽい味や匂いを改善した飲料である。
(2)ビタミン類の中でも特に異臭の強いビタミンB類に、果汁を配合することによって、呈味と匂いの改善したおいしい飲料が提供できる。
(3)カロチノイド類0.0005%以上含有させることができる飲料の提供。
(4)複数の果汁配合することによって、多様なビタミン類を含有させることができ、栄養所要量をおいしく手軽に摂取することができる。
(5)経時安定性、温度変化安定性に優れたカロチノイド類と複数のビタミン類を組み合わせた飲料を実現できた。
飲料に栄養機能食品として定められている量のビタミン類を配合する場合、飲料の容量を約30ml〜約200mlと想定すると、
飲料中のビタミンAの濃度は0.0001〜0.002%が好ましく、0.0004〜0.002%がさらに好ましい。
同様にカロチノイド類の配合量は、0.0005〜0.012%が好ましく、0.0016〜0.011%がさらに好ましい。第6改訂日本人の栄養所要量によるビタミンAの成人の許容上限摂取量を考慮すると、カロチノイド類の配合量は0.03%以下が良い。
同様にビタミンDの配合量は0.0000005〜0.00002%が好ましく、0.000001〜0.00001%がさらに好ましい。
同様にビタミンEの配合量は0.001〜0.5%が好ましく、0.005〜0.03%がさらに好ましい。
同様にビタミンB1の配合量は0.0001〜0.1%が好ましく、0.0005〜0.003%がさらに好ましい。
同様にビタミンB2の配合量は0.0002〜0.04%が好ましく、0.0005〜0.004%がさらに好ましい。
同様にナイアシンの配合量は0.002〜0.05%が好ましく、0.007〜0.05%がさらに好ましい。
同様にビタミンB6の配合量は0.0002〜0.03%が好ましく、0.0007〜0.005%がさらに好ましい。
同様に葉酸の配合量は0.00003〜0.0007%が好ましく、0.0001〜0.0007%がさらに好ましい。
同様にビタミンB12の配合量は0.0000004〜0.0002%が好ましく、0.000001〜0.00001%がさらに好ましい。
同様にビオチンの配合量は0.000005〜0.002%が好ましく、0.00001〜0.0001%がさらに好ましい。
同様にパントテン酸の配合量は0.001〜0.1%が好ましく、0.002〜0.02%がさらに好ましい。
同様にビタミンCの配合量は0.01〜3.5%が好ましく、0.05〜0.5%がさらに好ましい。
本願発明に配合されるカロチノイド類としては、β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、リコペンなどが挙げられ、特に限定されるものではない。これらのカロチノイド類のうち1種類又は2種類以上を用いることができる。
本願発明に配合されるビタミンB1誘導体としては、チアミン塩酸塩、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、ビスベンチアミンなどが挙げられ、特に限定されるものではない。これらのビタミンB1誘導体のうち1種類又は2種類以上を用いることができる。
本願発明に配合されるアスコルビン酸又はその塩あるいはアスコルビン酸の誘導体としては、アスコルビン酸の無機塩(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム)、アスコルビン酸の有機塩、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸グルコシド)などが挙げられ、特に限定されるものではない。これらのアスコルビン酸又はその塩のうち1種類又は2種類以上を用いることができる。
本願発明にはビタミンB1とアスコルビン酸以外のビタミン類として、ビタミンB1以外のビタミンB群、ビタミンD群、ビタミンE群を配合することができ、その他に、ビタミンK類やビタミンP類などを配合してもよい。
ビタミンB1以外のビタミンB群としては、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ニコチン酸(ナイアシン)及びその塩、パントテン酸及びその塩類、葉酸及びその塩類、カルニチン塩類、ビオチン類などが挙げられる。
ビタミンD群としては、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ジヒドロカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、アルファカルシドール、カルシトリオールなどが挙げられる。
ビタミンE群としては、α‐トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールなどが挙げられる。
その他のビタミン類としても誘導体や塩類を用いることができる。
本願発明に配合される果汁は、特に限定されるものではなく、さまざまな果物由来の果汁を用いることができる。中でも本願発明の効果に最も適切な組み合わせは、柑橘系果汁、リンゴ果汁、トロピカル系果汁(ライチ果汁)であり、これらの果汁を10%以上配合することによりカロチノイド類及びビタミン類の味、匂い及びその経時変化をマスキングする効果が得られる。さらに果汁の濃度は20%以上にすることが好ましく、40%以上にすると特に好ましい。濃縮ジュースを用いた場合、フレッシュジュースに換算した成分比は、限りなく100%に近くする事ができる。
図4に実施例1の処方例と比較例、対象例を表1として示す。
ビタミン類を含有する飲料の味・匂いをマスキングするために(a)果汁+酸味料+糖(実施例1)、(b)酸味料+糖(比較例1)、(c)香料+酸味料+糖(比較例2)を添加し、そのマスキング効果を比較した。
表1に示した飲料を調製し、5℃及び50℃に24時間保管した。50℃保管品は経時安定性を調べるための加速試験品である。機器測定並びに官能評価により、味・匂いのマスキング効果及びその経時変化を調べた。
<匂い識別センサーによるマスキング効果の測定>
実験装置はAlphaMOS社製「FOX4000」を用いた。10mLバイアルに1mLの検体を入れ、ヘッドスペースサンプラーHS100にセットして攪拌しながら40℃で10分間保持し、ヘッドスペースガスをシリンジで1mL採取して、ガス流量150mL/分の乾燥空気でヘッドスペースガスを「FOX4000」の検出部に導入した。11種類の金属酸化物センサーによる揮発性物質に対する応答強度を測定した。測定値は主成分分析により解析され、第1主成分、第2主成分を2次元グラフに展開した。各試料4点ずつ測定し、各試料の測定値の重心間のユークリッド距離を解析した。測定結果を図1に示す。
実施例1、比較例1、比較例2から、それぞれビタミン類を除いた対照例A,B,Cまでの距離(実施例1−対照例A)、(比較例1−対照例B)、(比較例2−対照例C)をグラフに示した。(実施例1−対照例A)は(比較例1−対照例B)、(比較例2−対照例C)と比べて小さく、果汁+酸味料+糖類でマスキングした飲料は、ビタミン類の有無による臭いの変化が小さいことが示された。また、50℃保管品と5℃保管品の差が小さく、経時安定性に優れる(加速試験における臭いの変化が少ない)ことが示された。
一方、酸味料+糖類のみ添加し、臭いのマスキング剤を含まない(比較例1−対照例B)は(実施例1−対照例A)と比べて値が大きかった。また、50℃保管品の方が、5℃保管品よりも値が大きくなっていることがより顕著に認められた。果汁で臭いをマスキングした実施例1と比べて臭いのマスキングをしていない比較例1は、ビタミン類の配合による臭いの発生が強く、経時的に臭いが強くなる傾向が認められた。
香料+酸味料+糖類でマスキングした(比較例2−対照例C)の値は際立って大きい。これは、ビタミン類の配合により、香料の匂いが変質したためと判断する。さらに、50℃保管品の値は5℃保管品の値よりも顕著に大きく、香料による臭いのマスキング効果は経時的に大きく劣化することが分かった。
<液体&味識別センサーによるマスキング効果の測定>
実験装置はAlphaMOS社製「αAstree」を用いた。6種類の電気化学センサーによる化学物質、イオン物質に対する応答強度を比較した。測定値は主成分分析により解析され、第1主成分、第2主成分を2次元グラフに展開した。各試料4点ずつ測定し、各試料の測定値の重心間のユークリッド距離を解析した。測定結果を図2、3に示す。
図2には実施例1、比較例1,2からそれぞれからビタミン類を除いた対照例A,B,Cまでの距離(実施例1−対照例A)、(比較例1−対照例B)、(比較例2−対照例C)を示す。
果汁+酸味料+糖類でマスキングした実施例1からビタミン類を除いた対照例Aまでの距離は、酸味料+糖類のみ添加した(比較例1−対照例B)、香料+酸味料+糖類を添加した(比較例2−対照例C)よりも明らかに小さく、果汁がビタミン類の味のマスキングに優れることが示された。図2において、5℃保管品と50℃保管品における距離の変化は殆ど認められないが、これは、ビタミン類の有無による味の違いが顕著なためである。
そこで、保管温度条件の違いによる味の変化を解析するために、同一試料の5℃保管品と50℃保管品間のユークリッド距離を求め、図3に示した。
その結果、実施例1は比較例1,2と比べて値が小さく、50℃で保管(経時安定性の加速試験)しても味の変化が少ないことが分かる。さらに、それぞれの対照例と比較すると実施例1は対照例Aと殆ど変わらない(1.16倍)値を示すのに対して、比較例1は対照例Bの2.65倍、比較例2は対照例Cの1.73倍になっている。これは、果汁でマスキングした実施例1の場合、保管温度条件による味の変化がビタミン類に依存しないのに対して、比較例1、比較例2の場合はビタミン類に依存した味の変化が顕著に発現していることを示す。このことから、果汁がビタミン類の味の経時変化を有効にマスキングすることが示された。
<マスキング効果の官能評価>
実施例1、比較例1,2、対照例A,B,Cの臭い、味を官能試験で評価した。
臭いは「油臭」、「含硫化合物臭」、「コゲ臭」、「良い匂い」の4項目で、味は「油っぽい味」、「良い味」の2項目で評価した。
評価基準は、
「油臭」、「含硫化合物臭」、「コゲ臭」に関しては
臭いなし 3点
やや臭い 2点
臭い 1点
非常に臭い 0点
「良い匂い」に関しては
良い匂い 3点
やや良い匂い・無臭 2点
匂いが悪い 1点
匂いが非常に悪い 0点
「油っぽい味」に関しては
油の味がしない 3点
やや油の味がする 2点
油の味がする 1点
非常に油の味がする 0点
「良い味」に関しては
良い味 3点
やや良い味 2点
味が悪い 1点
非常に味が悪い 0点
とした。
3名の専門官能評価員により、上記評価基準にて評価し、その平均値に基づく下記判定を図5に表2として示した。
評価結果の平均値に基づく判定は次のとおり。
○ 優れる 平均値が2.5以上
△ やや優れる 平均値が1.5以上2.5未満
× 劣る 平均値が0.5以上1.5未満
×× 非常に劣る 平均値が0.5未満
ビタミン類の臭い・味を果汁+酸味料+糖類でマスキングした実施例1は5℃保管品、50℃保管品ともに臭い・味のマスキングに優れていた。
臭いのマスキングをしておらず、酸味料と糖類のみで味のマスキングをしている比較例1に関しては、5℃保管品の「油臭」が劣っており、50℃保管品の「油臭」、「含硫化合物臭」が非常に劣る。経時的な臭いの悪化が顕著であり、特に含硫化合物臭は経時的に発生する傾向が強い。「良い匂い」の評価項目に関しては、ビタミン類の異臭が直接感じられるため、5℃保管品は劣っており、50℃保管品は非常に劣ると判定された。味に関しては、酸味料と糖類ではビタミン類の「油っぽい味」を十分にマスキングすることができず、5℃保管品で劣る、50℃保管品で非常に劣ると判定された。
ビタミン類の臭い・味を香料+酸味料+糖類でマスキングした比較例2に関しては5℃保管品において、油臭を抑える効果がやや認められるが、香料の匂いがビタミン類によって変質しており、「良い匂い」に関して劣ると判定された。50℃保管品では「油臭」、「含硫化合物臭」が認められ、香料の変質臭と相俟って「コゲ臭」が発生し、劣ると判定された。50℃保管品の「良い匂い」に関しては、香料の匂いが変質しており非常に劣ると判定された。味に関しても「油っぽい味」を十分にマスキングすることができず、5℃保管品で劣る、50℃保管品で非常に劣ると判定された。
図6に実施例2及び実施例3の処方を表3として示す。
モニター20〜60代の54人(女性52名、男性2名)による官能試験を行った。
結果は、80%の人が「おいしい」「飲みやすい」「すっきり・さっぱりしている」という味になっていると感想している。「おいしくて飲みやすい」「飽きのこない続けられそうな味」「適度な酸味と甘み」「体に良さそうな味わい」との理由にあげて、継続して飲用の希望を示しており、おいしく飲めて効果も感じられる味である点が高く評価された。
匂い識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図 液体&味識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図 液体&味識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図 実施例1、比較例1、2、対象例ABCの処方を表1として示す図 マスキング官能評価を表2として示す図 実施例2、実施例3の処方を表3として示す図

Claims (2)

  1. カロチノイド類、複数種類のビタミン類と複数種類の果汁を含有する飲料の異臭の抑制方法であって、
    ベータカロチンを0.0016%以上、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンアミドからなるビタミンB群を合わせて0.0116%以上含有する飲料において、
    乳清蛋白質を含有させずバレンシアオレンジ、ライチ、りんごの混合果汁を配合することにより、
    ベータカロチンとビタミンB群に由来する異臭の発生を抑制するとともに、香料を使用せずに経時変化による異臭の増強を抑制する方法。
  2. さらに、ビタミンEを0.001〜0.5%含有することを特徴とする請求項1記載のベータカロチンとビタミンB群に由来する異臭の発生を抑制するとともに、香料を使用せずに経時変化による異臭の増強を抑制する方法。
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