JP4330891B2 - 畦塗り機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形する整畦体を、水平方向に回動し、あるいはオフセット量を調節可能とした畦塗り機に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行機体の後部に本体フレームが装着され、該本体フレームに、整畦体及び前処理体を左右オフセット状態に設け、上記整畦体及び前処理体を、本体フレームに対して左右方向に回動可能に支持し、整畦体及び前処理体を、機体の進行方向に対してオフセットされた通常作業位置から直角旋回位置及び180度旋回作業位置に固定、固定解除可能に支持した畦塗り機が、本出願人により提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−4706号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術の畦塗り機においては、前処理体及び整畦体の伝動、オフセット回動支持構造が複雑であり、また、水平方向の回動、切り換え操作が面倒なものであった。さらに、前処理体及び整畦体自体を、後進して作業を行うために水平方向に180度回転させることはできなかった。本発明は、このような問題点を解決することを目的になされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、
A.走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備えた前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、
前記前処理体及び整畦体に動力を伝達する1つのフレーム構造である1つの伝動フレームが先端部において前記前処理体及び整畦体を支持した畦塗り機において、
上記走行機体の前進、旋回中に、上記伝動フレームの基端部を回動中心として前処理体及び整畦体を水平方向に回動調節可能とすると共に、該伝動フレームの基部側の、本体側フレームに対する水平方向のオフセット量を平行リンクを介して調節可能に支持したことを特徴としている。
【0006】
B.上記伝動フレームの基端部に伝動フレーム側枢支部及び本体フレーム側枢支部により枢着されたリンク体を設け、
このリンク体は一端において前記伝動フレームを回動させる回動用シリンダに連結され、他端において前記伝動フレーム側枢支部に枢着されると共に、中間部において前記本体フレーム側枢支部に枢着され、
前記伝動フレーム側枢支部は前記伝動フレームに形成されている長孔内を摺動自在であり、
前記リンク体の前記本体フレーム側枢支部回りの回動に伴い、前記前処理体及び整畦体が回動することを特徴としている。
C.前記リンク体は前記回動用シリンダの伸縮により作動することを特徴としている。
【0007】
【作用】
上記の構成により本発明の畦塗り機は、以下の作用を行う。
上記A.の構成により、伝動フレームを回動中心として前処理体及び整畦体が水平方向に180度回動することで、走行機体及び畦塗り機をバックさせながら作業して畦際までの畦整形作業が行われる。また、前処理体及び整畦体の水平方向のオフセット量が自在に調節され、トラクタの幅に合った適切な位置で作業が行われる。
上記B.C.の構成により、作業者はトラクタに乗ったまま、前処理体及び整畦体の水平方向の回動、及びオフセット量の調節操作が容易に行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1及び図2において、符号1は図示しないトラクタの後部に設けられたトップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構に連結されて、整畦作業を行う畦塗り機である。この畦塗り機1は、伝動フレームを兼ねる本体フレーム2を、機体の進行方向と直交するようにして設けている。この本体フレーム2には、前端部から前方に向け突出し、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント及び伝動軸を介して動力を受ける図示しない入力軸が設けられ、また、上方に突出するトップリンク連結部3を設けると共に、下部左右両側にロアリンク連結部4,4を設け、トラクタの三点リンク連結機構に連結するようにしている。
【0009】
本体フレーム2の後部に前端が枢着された左右一対の平行リンク5,6の後端部に支持・伝動フレーム7が枢着され、左右方向に移動(オフセット)可能になっている。この支持・伝動フレーム7の左右中央位置に、入力軸から入力された動力が伝動機構8を介して伝達され、ベベルギヤ9,10により変速して後述する前処理体19及び整畦体20に動力伝達する変速ギヤボックス11を設けている。
この変速ギヤボックス11の下側に伝動フレーム12の基端部がベアリング13を介して水平方向に回動自在に軸支されている。伝動フレーム12の基端部にはベアリング14,14を介して伝動軸15が軸支され、その上端部は変速ギヤボックス11内に突出していて、ここに上記ベベルギヤ10が固設されている。伝動フレーム12は1つのフレーム構造のもので、伝動軸15に固設されているスプロケットホイール16に巻装されたチェーン17を介して先端側に動力伝達するようにしている。
【0010】
伝動フレーム12の先端部には、元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タ18を備えた前処理体19、及びこの前処理体19により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形する多角円錐ドラムからなる整畦体20を支持している。前処理体19及び整畦体20には、伝動フレーム12の先端部に水平方向に回動自在に枢着された伝動ケース21からそれぞれ動力伝達される。そして、前処理体19及び整畦体20は、伝動フレーム12の基端部(変速ギヤボックス11の位置)及び伝動フレーム12の伝動ケース21への枢着部を回動中心として水平方向に180度回動可能である。
【0011】
上記平行リンク5,6の一方のリンク5の支持・伝動フレーム7との枢支位置と、他方のリンク6の中間部との間に、オフセット量調節用電動シリンダ22が介装され、この電動シリンダ22の伸縮作動により前処理体19及び整畦体20の左右のオフセット量が無段階に調節可能である。そして、前処理体19及び整畦体20を右側にオフセットした図1及び図2の状態から、図4の前処理体19及び整畦体20を機体中央側に寄せた状態、図5の前処理体19及び整畦体20を180度回転させて左側にオフセットした状態、図6の前処理体19及び整畦体20を180度回転させて機体中央側に寄せた状態まで、無段階に調節可能である。
【0012】
伝動フレーム12の基端部には、図3に示すように、伝動フレーム側枢支部23及び本体フレーム側枢支部24により枢着されたリンク体25が設けられ、このリンク体25の先端部と支持・伝動フレーム7との間に電動シリンダ26が介装されている。そして、この電動シリンダ26を伸縮作動させると、リンク体25が本体フレーム側枢支部24を中心に回動し、伝動フレーム12は伝動フレーム側枢支部23により基端部を中心に回動して、前処理体19及び整畦体20を、図1の位置から図5及び図6の位置まで、無段階に180度の範囲内で回転移動させる。
【0013】
前処理体19及び整畦体20の上側は、前処理体カバー19a及び整畦体カバー20aにより覆われている。このうちの前処理体カバー19aは、左右スライド調節ハンドル27により左右方向にスライドして耕耘土壌の放出方向を調節するようにしている。また、前処理体19は上下調節(耕耘深さ調節)も可能である。一方、整畦体20の近傍には整畦体上下調整装置28が設けられ、整畦体20の上下調節が行われる。また、伝動ケース21の端部には、三角ディスク状のゲージホイール29が上下調節ハンドル30により上下調節され、前処理体19及び整畦体20の全体が上下調節される。
【0014】
このような構成の畦塗り機1においては、トラクタの三点リンク連結機構に畦塗り機1のトップリンク連結部3及びロアリンク連結部4,4を連結し、トラクタのPTO軸から入力軸に動力を伝達し、この動力を伝動機構8を介して変速ギヤボックス7に伝達し、ここでベベルギヤ9,10により変速し、伝動フレーム12、伝動ケース21を介して前処理体19及び整畦体20に伝達して駆動回転させ、それぞれの作業が行われる。
【0015】
前処理体19では、耕耘ロ−タ18により元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦に対して畦状に盛り上げ、その耕耘された土壌を、整畦体20の多角円錐状ドラムの多角の稜線と平面部が回転して畦法面を叩いて畦に成形する。また、多角円錐状ドラムと一体的に設けた水平筒状体20bが、畦の頂部に回転しながら接して畦の頂部を均平にする。
【0016】
この実施例の畦塗り機1は、通常は前処理体19及び整畦体20を図1及び図2の状態に機体の右側セットされて前進方向に移動しながら圃場を左回りし、畦塗り機1の右側に畦を形成していく。圃場の角部などにおいて畦を精度良く形成しようとするときは、一旦前処理体19及び整畦体20の駆動回転を停止し、トラクタの三点リンク連結機構により畦塗り機1を持ち上げ、電動シリンダ26を伸長させる。
すると、リンク体25を介して伝動フレーム12は基端部を中心に水平方向に回動し、前処理体19及び整畦体20は、図1の位置から図5の位置まで180度回転移動する。このとき、電動シリンダ26及びリンク体25は、図3(a)〜(c)のように順に作動する。そして、畦塗り機1が図5または図6の状態で前処理体19及び整畦体20を駆動させ、トラクタを畦を形成しようとする側に後退させて畦塗り機1を矢印方向に移動させながら作業を行うことで、畦際まで精度の高い畦形成が行われる。
【0017】
畦塗り機1を装着するトラクタの大きさ(幅)や圃場の状態や土質等により畦塗り機1のオフセット量を調節するときは、オフセット量調節用電動シリンダ22を伸縮させることによって、平行リンク5,6が左右方向に回動して畦塗り機1を水平方向に移動させ、オフセット量を任意に調節して適切な整畦作業を行うことができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の畦塗り機によれば、以下の効果を奏することができる。
【0019】
伝動フレームを回動中心として前処理体及び整畦体を伝動フレームの基部に設けたリンク体を介して水平方向に180度回動可能とすると共に、伝動フレームの基部側を本体側フレームに対して平行リンクを介して水平方向のオフセット量を調節可能に支持したので、通常の整畦作業のほか、伝動フレームを回動中心として前処理体及び整畦体を水平方向に180度回動することで、走行機体及び畦塗り機をバックさせながら作業して畦際までの畦整形作業を行うことができる。また、前処理体及び整畦体の水平方向のオフセット量が自在に調節されることで、トラクタの幅に合った適切な位置で整畦作業を行うことができる。
【0020】
本体側フレームとリンク体との間、及び平行リンクの一方のリンク枢支部と他方のリンクの中間部との間にシリンダ機構を介装し、これらシリンダ機構の伸縮作動により前処理体及び整畦体を水平方向に回動し、あるいは水平方向のオフセット量を調節可能としたので、作業者はトラクタに乗ったまま、前処理体及び整畦体の水平方向の回動、及びオフセット量の調節操作を容易に行ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による畦塗り機の前処理体及び整畦体を右側にオフセットした状態の平面図である。
【図2】 同カバー類及びシリンダ機構を取り外した状態の平面図(a)、伝動フレームの回動部分の断面図(b)である。
【図3】 リンク体、シリンダ機構の作動状態の底面図で、(a)は通常作業時、(b)は90度回動状態、(c)は180度回動状態(バック作業時)を示す。
【図4】 前処理体及び整畦体を機体中央側に移動させた状態の平面図である。
【図5】 前処理体及び整畦体を180度回動し、左側にオフセットした状態の平面図である。
【図6】 前処理体及び整畦体を180度回動し、機体中央側に移動させた状態の平面図である。
【符号の説明】
1 畦塗り機
2 本体フレーム
3 トップリンク連結部
4 ロアリンク連結部
5,6 平行リンク
7 支持・伝動フレーム
8 伝動機構
9,10 ベベルギヤ
11 変速ギヤボックス
12 伝動フレーム
13,14 ベアリング
15 伝動軸
16 スプロケットホイール
17 チェーン
18 耕耘ロ−タ
19 前処理体 19a カバー
20 整畦体 20a カバー 20b 水平筒状体
21 伝動ケース
22,26 電動シリンダ
23 伝動フレーム側枢支部
24 本体フレーム側枢支部
25 リンク体
27 左右スライド調節ハンドル
28 整畦体上下調整装置
29 ゲージホイール
30 上下調節ハンドル
Claims (3)
- 走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備えた前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、
前記前処理体及び整畦体に動力を伝達する1つのフレーム構造である1つの伝動フレームが先端部において前記前処理体及び整畦体を支持した畦塗り機において、
上記走行機体の前進、旋回中に、上記伝動フレームの基端部を回動中心として前処理体及び整畦体を水平方向に回動調節可能とすると共に、該伝動フレームの基部側の、本体側フレームに対する水平方向のオフセット量を平行リンクを介して調節可能に支持したことを特徴とする畦塗り機。 - 上記伝動フレームの基端部に伝動フレーム側枢支部及び本体フレーム側枢支部により枢着されたリンク体を設け、
このリンク体は一端において前記伝動フレームを回動させる回動用シリンダに連結され、他端において前記伝動フレーム側枢支部に枢着されると共に、中間部において前記本体フレーム側枢支部に枢着され、
前記伝動フレーム側枢支部は前記伝動フレームに形成されている長孔内を摺動自在であり、
前記リンク体の前記本体フレーム側枢支部回りの回動に伴い、前記前処理体及び整畦体が回動することを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。 - 前記リンク体は前記回動用シリンダの伸縮により作動することを特徴とする請求項2記載の畦塗り機。
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