JP2008104363A - 苗移植機 - Google Patents

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Seiji Sakai
誠二 酒井
Hidehiro Okada
英博 岡田
Shiro Katsuno
勝野  志郎
Yoshihiko Okubo
大久保  嘉彦
Nobuhiro Yamane
暢宏 山根
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Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】圃場を耕耘や整地や畝の形成を行わないで、苗の移植作業が適切に行なえる苗移植機を得ることを課題とする。
【解決手段】前輪7と左右駆動後輪6とを設けた機体に苗植付け具4と左右覆土装置57を装備した苗植機において、苗植付け具4の前方位置で、且つ、機体側面視で前輪7と左右駆動後輪6との間に作溝具37を配置して機体に設け、この作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態と前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態とに変更する変更操作具Aを設けると共に、作溝具37を機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状とし、且つ、作溝具37の前面37aを下方に湾曲した曲面とした苗移植機。
【選択図】図1

Description

本発明は、畑用の苗移植機の技術分野に属する。
従来、圃場に苗を移植する作業としては、圃場を耕耘して整地して畝を形成した後に、畝に苗の移植作業をするのが慣用的に行われている作業形態であった。
特開2004−24097号公報
ところが、水稲の栽培を行って収穫し、その後で、圃場を耕耘や整地や畝を形成しないで、苗の移植作業をすることが、耕耘及び整地及び畝形成作業工数を減らして全体の作業効率を良くする作業形態として考えられるようになった。然しながら、水稲収穫後の圃場は、乾いて硬くなっており、圃場表面にはひび割れも発生していて、苗の移植作業を従来の機械で行なうことはできなかった。そこで、本発明は、圃場を耕耘や整地や畝の形成を行わないで、苗の移植作業が適切に行なえる苗移植機を得ることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
請求項1に記載の発明は、前輪7と左右駆動後輪6とを設けた機体に苗植付け具4と左右覆土装置57を装備した苗植機において、苗植付け具4の前方位置で、且つ、機体側面視で前輪7と左右駆動後輪6との間に作溝具37を配置して機体に設け、この作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態と前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態とに変更する変更操作具Aを設けると共に、作溝具37を機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状とし、且つ、作溝具37の前面37aを下方に湾曲した曲面としたことを特徴とする苗移植機とした。
従って、請求項1に記載の苗移植機は、変更操作具Aを操作し、作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態にすることによって、作溝具37が圃場や路面に当たるようなことがなく機体を移動させることができる。そして、変更操作具Aを操作し、作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態にすることによって、作溝具37は畝を形成していない平坦な圃場に入り込んで溝を形成する状態になる。
そして、左右後輪6,6を駆動回転させて機体を前進させると共に苗植付け具4を作動させると、作溝具37は、苗植付け具4が苗を植付ける位置の前方で圃場に入り込んでいるので、機体の前進に伴って圃場に苗植付け用の溝を形成する。この時、作溝具37の形状が、機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状となっており、且つ、作溝具37の前面37aは下方に湾曲した曲面となっているので、機体の前進に伴って、作溝具37の前面37aの曲面に沿って圃場の土が上方に案内されて移動し、適切に溝を形成していく。また、圃場が耕耘及び整地していない状態であっても、作溝具37は、機体側面視で前輪7と後輪6との間に配置されているので、非常に安定した状態で作溝具37は圃場に溝を形成することができ、苗植付け具4はこの適切に圃場に形成された溝内に良好に苗を植付けることができる。
また、作溝具37が圃場に溝を形成する際に、作溝具37の前面37aの曲面に沿って圃場の土が上方に案内されて圃場表面の作溝具37の左右両側に移動するが、苗植付け具4が苗を植付けた後で、この作溝具37の左右両側に移動した土を左右覆土装置57が植付けた苗の左右両側から溝を埋め戻すように覆土するので、作溝具37が圃場に形成した溝は適切に左右覆土装置57によって埋め戻されて苗は圃場に良好に植付けられる。
請求項1に記載の発明により、圃場を耕耘や整地や畝の形成を行わないで、苗の移植作業が適切に行なえる苗移植機を得ることができて、課題を適切に解決することができる。
この発明の一実施形態としての苗移植機を以下に説明する。尚、以下の図示例についての説明で前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン5を配置した側を前という。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側が左としている。
苗移植機は、走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に、リンク機構3により駆動されて昇降動作する苗植付け具4を設け、該苗植付け具4の下部を二分割して開閉する構成としている。走行装置1は、図示例では、エンジン5と、該エンジン5の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪6,6と、該後輪6,6の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪7,7とを備えたものとしている。
エンジン5の後部には、ミッションケース8を配置し、そのミッションケース8は、その左側部からエンジン5の左側方に延びるケース部分8aを有し、これがエンジン5の左側部と連結している。このケース部分8aにエンジン5の出力軸が入り込んでミッションケース8内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
ミッションケース8の左右両側部に伝動ケース9,9を回動自在に取り付け、この伝動ケース9,9の回動中心にミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース9,9内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース9,9内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端部側方に突出する車軸10,10に伝動し、後輪6,6が駆動回転するようになっている。
また、伝動ケース9,9のミッションケース8への取付部には、上方に延びるアーム11,11を一体的に取り付けていて、これがミッションケース8に固定された昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆13の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド14で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ15で連結している。
昇降用油圧シリンダ12が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム11,11は後方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ12のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム11,11は前方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ12は、機体に対する圃場面高さを検出するセンサーSの検出結果に基づいて油圧バルブVが切替えられて機体を圃場面高さに対して設定高さになるよう作動する構成となっている。また、操縦ハンドル2近傍に配置した変更操作具としての後輪上下動操作具Aの人為操作によって油圧バルブVを手動で切替えて、左右後輪6,6を下動或いは上動させて、機体を上昇或は下降させる構成としている。即ち、後輪上下動操作具Aの人為操作によって左右後輪6,6を下動させて機体を上昇させた時には、作溝具37は圃場面から上方に離れた位置(前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線Gよりも上方位置)となり、後輪上下動操作具Aによって左右後輪6,6を上動させて機体を下降させてセンサーSを接地させ、センサーSの検出結果に基づいて油圧バルブVが切替えられて機体が圃場面高さに対して設定高さになるよう作動する苗植付け状態にした時には、作溝具37は前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線よりも下方位置となって圃場に入り込んで溝を形成する状態になる。
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ15が伸縮作動すると、前記天秤杆13が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース9,9を互いに逆方向に上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ15は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動する構成としている。
前記左右前輪7,7は、エンジン5下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム16の左右両側部の下方に延びるアーム部分の下端部側方に固定した車軸17,17に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪7,7は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
前記操縦ハンドル2は、ミッションケース8の後端部にボルトにて固定された横フレーム8bに前端部を固定した機体フレーム2bの後端部に取り付けている。機体フレーム2bは、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム2bの後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
次に、リンク機構3及び苗植付け具4について説明する。
リンク機構3は、ミッションケース8内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース18に装着している。図例のように植付け伝動ケース18は、その前部がミッションケース8の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部18aと、この第一ケース部18aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部18bと、その第二ケース部18bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部18cと、その第三ケース部18cの下端部外側部に固定され左側方に延びる第四ケース部18dと、その第四ケース部18dの左端部に固定され後方水平状に延びる第五ケース部18eを有するものとしている。これら第一ケース部18a〜第五ケース部18e内にリンク機構3を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。なお、第一ケース部18a内に内装した伝動機構には、リンク機構3及び苗植付け具4をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、リンク機構3及び苗植付け具4の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によって苗植付け具4による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
そして、リンク機構3は、苗植付け具4の前側の開閉支点となる軸19の左右中間部に回動自在に連結する第一昇降アーム20と、苗植付け具4の後側の開閉支点となる軸21の左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム22とを備える。そして、第一昇降アーム20の後端部は、第三ケース部18cの上部側後部に突出する取付部に揺動自在に取り付けた第一揺動アーム23の下端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の後端部は、第五ケース部18eの上部に突出する取付部に揺動自在に取り付けた第二揺動アーム24の下端部と回動自在に連結する。また、第一昇降アーム20の中間部は、第三ケース部18cの下部右側部から突出し駆動回転する第一駆動軸25に固定されて駆動回転する第一駆動アーム26の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の中間部は、第五ケース部18cの後部右側部から突出し駆動回転する第二駆動軸27に固定されて駆動回転する第二駆動アーム28の先端部と回動自在に連結する。従って、第一駆動アーム26と第二駆動アーム28とが植付け伝動ケース18内の伝動機構によって動力が伝達されて駆動回転すると、第一昇降アーム20と第二昇降アーム22とが揺動しながら昇降動し、その結果、苗植付け具4の下端部が側面視で上下に長い略楕円形状の軌跡Tで昇降動する。また、第一駆動アーム26と第二駆動アーム28とは、共に、左側方から見て反時計回りに回転して苗植付け具4の下端部が左側方から見て反時計回りに略楕円形状の軌跡Tで昇降回動する。従って、作業走行しながら苗植付け具4が上記回転方向で前記軌跡Tを描くように昇降回動すると、軌跡Tの下端部で苗植付け具4の下端部が圃場の土壌中に付き刺さったとき、苗植付け具4が前後に大きくずれないようになり、前後に大きく植え跡を残さずに適確な姿勢で苗を植付けることができる。なお、苗植付け具4は、その昇降動最下位まで下降すると前後に開いて苗植付け具4内の苗を土壌に放出する。
苗植付け具4は、下方に向かって細くなるように延びるくちばし状に形成したもので前後に開閉可能に構成している。このくちばし状部の前側部分である前側部4Fは、その上部側が後方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け具4の後側の開閉支点となる軸21に回動自在に連結し、くちばし状部の後側部分である後側部4Bは、その上部側が前方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け具4の前側の開閉支点となる軸19に回動自在に連結する。尚、前記前側部4Fと後側部4Bとで内部に苗収容部分が構成され、該前側部4Fと後側部4Bとの上端部分により苗植付け具4の上端開口部4aが構成されている。そして、前側部4F上部の後方にのびるアーム状部と後側部4B上部の前方にのびるアーム状部とは、それぞれ前側の軸19と後側の軸21との前後中央位置に設けた長孔に横軸方向の軸部を有するナット29を嵌めて連結し、前側部4Fと後側部4Bの一方側は他方側の動作に連動して回動し両者が前後に開閉動作するようになっている。また、前側部4Fと後側部4Bとはスプリング30にて苗植付け具4を閉じる方向に互いに連結している。更に、第二昇降アーム22と第二揺動アーム24とが互いに連結する軸部分に、苗植付け具4を開閉動作させるための開閉アーム31を回動自在に連結し、その開閉アーム31の先端部と後側部4Bの上部後部側とを連結ロッド32で連結している。開閉アーム31の中間部には、回転自在なローラ33を取付けていて、このローラ33が、苗植付け具4がその昇降動最下位まで下降したときに、第二昇降アーム22を回動自在に連結している第二駆動アーム28の先端部に固定の軸28aに固定したカム34の作用によって上方に押上げられて開閉アーム31が上方に回動し、後側部4Bを前側の回動支点である軸19周りに上方回動し、これとともに前側部4Fを後側の回動支点である軸21周りに上方回動して、苗植付け具4が開く。そして、苗植付け具4が上昇途中でカム34の開き作用から開放され苗植付け具4が閉じる。なお、上記のカム34、開閉アーム31、連結ロッド32等は、苗植付け具4の開閉機構を構成するが、公知の別の開閉機構を採用してもよい。
苗植付け具4の上部には、苗植付け具4内に苗を案内する筒状の案内体35を取り付けている。この案内体35の取付構成について説明すると、前記前側の回動支点である軸19及び後側の回動支点である軸21の中途部に該軸19,21に対して回動自在に取付プレート41を各々取り付ける一方、案内体35の外周面から一体で前側に延びる前側プレート42と後側に延びる後側プレート43とを設け、前記取付プレート41と前側プレート42並びに後側プレート43とをボルト44及びナット45で固着し、苗植付け具4に案内体35を取り付けた構成となっている。この案内体35は、リンク機構3により苗植付け具4とともに昇降し、苗植付け具4の開閉支点となる軸19,21より上方に突出させて設けるとともに、案内体35の上端開口部35aが苗植付け具4が最上位に位置するときに操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aの上下位置と同じ上下位置或はその近傍に位置するように設けて、作業者が該案内体35の上端開口部35a内に苗を直接投入して苗植付け具4に苗を供給する構成としている。前記案内体35の上端開口部35aは、弾性体であるゴム材で構成されており、その上端の上面が上側へいくほど大きく外側方へ広がるラッパ状に構成されるとともに下側へ向けて湾曲している。従って、仮に苗を投入する作業者の手が案内体35の上端開口部35aに上側から触れることがあっても、作業者が手を負傷するようなことが防止できる。尚、上端開口部35aより下側の部分は、鉄製である。
また、筒状の案内体35の上端開口部35aを下端開口部35bより広く設けるとともに、案内体35の下端開口部35bを、苗植付け具4の上端開口部4aに入り込ませて該上端開口部4aより広く設けている。更に、案内体35の上端開口部35aが機体平面視で案内体35の下部外周近傍に配置した苗植付け具4と前記リンク機構3との連結部(図例では、苗植付け具4の前側の開閉支点となる軸19と第一昇降アーム20との連結部、及び苗植付け具4の後側の開閉支点となる軸21と第二昇降アーム22との連結部)の上方に重なるように設けている。また、苗植付け具4の開閉機構を構成する動作部材(図例では、カム34、開閉アーム31、連結ロッド32等)の上方にも重なるように設けている。案内体35の下部は、苗植付け具4の開閉支点となる軸19,21の前後間を上下に位置するように設けていて、ここで、該軸19,21に取り付けた支持部材にて該案内体35の下部を支持している。
更に、苗植付け具4が最上位に位置するとき苗植付け具4とリンク機構3との連結部の少なくとも側方を覆うガード体36を設け、該ガード体36の上端部より前記案内体35が上方に突出するように設けている。尚、ガード体36は、図例では、苗植付け具4が最上位に位置するとき苗植付け具4とリンク機構3との連結部の側方だけでなく後方も覆うように構成している。
次に、苗植付け具4が圃場に苗を植付ける部分に苗植付け用の溝を形成する作溝具37について説明する。
ミッションケース8の後端部に固定された横フレーム8bの左右両側に左右取付け用板46,46の上部をボルト47にて固定している。そして、該左右取付け用板46,46の下部には、前後方向に間隔を空けて孔48,48が設けられており、該左右取付け用板46,46の孔48,48にボルト49,49を通してナット50,50にて固定している。この時、左右取付け用板46,46間のボルト49,49部に作溝具37の上部に設けた孔51,51を通し、且つ、該作溝具37の左右に鉄製の左右管52,52を通した状態で、ナット50,50を締め付けて固定している。
従って、作溝具37は、ミッションケース8の後方の機体左右方向の中央位置に配置されて、機体に固定された構成となっている。
そして、作溝具37は、左右方向の厚みが12mmの鋼板にて形成され、機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状となっており、且つ、作溝具37の前面37aは下方に湾曲した曲面となっている。(作溝具37の厚みを4.5mm、6mm、8mm、10mmと変更すれば、溝幅が変更できて圃場の条件に応じた溝が形成できる。)
また、作溝具37は、機体側面視で前輪7と後輪6との間の中央位置で,且つ、作溝具37の先端部37bがミッションケース8の下方位置になるように配置されている。
更に、作溝具37は、苗植付け具4が圃場に苗を植付ける位置の前方で、且つ、前記機体に対する圃場面高さを検出するセンサーSの前方位置に配置されている。
尚、横フレーム8bの左右両側に左右取付け用板46,46の上部をボルト47にて固定している構成を更に詳しく説明すると、左右取付け用板46,46の上部には前後方向に設けた上取付け用孔53,53と中取付け用孔54,54と下取付け用孔55,55が設けられており、図面では、左右取付け用板46,46の上取付け用孔53,53にボルト47を通して横フレーム8bの左右両側に固定した例を示している。このように、左右取付け用板46,46の上取付け用孔53,53にボルト47を通して横フレーム8bの左右両側に固定した時が、作溝具37が最も機体から下方に突出した位置で機体に取付けられた状態となり、左右取付け用板46,46の中取付け用孔54,54にボルト47を通して横フレーム8bの左右両側に固定した時は、作溝具37が少し機体に対して上動した位置で機体に取付けられた状態となり、左右取付け用板46,46の下取付け用孔55,55にボルト47を通して横フレーム8bの左右両側に固定した時は、作溝具37が機体に対して最も上動した位置で機体に取付けられた状態となる。
従って、作溝具37は機体に対して下方への突出量が変更できる構成となっており、圃場に作溝具37が入り込んで溝を形成する際の溝深さを調節できる構成となっている。
また、作溝具37の上部に設けた孔51は、等間隔で3つ設けられており、図に示すように前2つの孔51,51にボルト49,49を通して作溝具37を取付けた時には、作溝具37は後方位置に機体に取付けられた状態となり、後2つの孔51,51にボルト49,49を通して作溝具37を取付けた時には、作溝具37は前方位置に機体に取付けられた状態となる。従って、機体に対して、作溝具37を前後位置調節できる構成となっている。
よって、圃場の硬軟状態や植付ける苗の種類及び成育状態に応じて、作溝具37を機体に対して上下調節及び前後位置調節して、適切な植付け用の溝を圃場に形成することができる。
一方、操縦ハンドル2近傍に配置した後輪上下動操作具Aの人為操作によって油圧バルブVを手動で切替えて、左右後輪6,6を下動或いは上動させて機体を上昇或は下降させる構成としているので、後輪上下動操作具Aの人為操作によって左右後輪6,6を下動させて機体を上昇させた時には、作溝具37は圃場面から上方に離れた位置(前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線Gよりも上方位置)となり、作溝具37が圃場面や路面に接当することなく機体を移動させることができる。また、後輪上下動操作具Aによって左右後輪6,6を上動させて機体を下降させてセンサーSを接地させ、センサーSの検出結果に基づいて油圧バルブVが切替えられて機体が圃場面高さに対して設定高さになるよう作動する苗植付け状態にした時には、作溝具37は前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線よりも下方位置となって圃場に入り込んで溝を形成する状態になる。
次に、水稲を栽培して収穫した後の耕耘及び整地していない状態の圃場で、上記の苗移植機を用いた菜種の苗の移植作業を説明する。
先ず、エンジン5を始動して、後輪上下動操作具Aを操作し、左右後輪6,6が最も下降した位置にして苗移植機の機体を上昇させ、作溝具37を前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線Gよりも上方位置となるようにし、左右後輪6,6を駆動回転させて機体を移動させ圃場の植付け開始位置まで機体を移動させる。次に、後輪上下動操作具Aによって左右後輪6,6を上動させて機体を下降させてセンサーSを接地させ、センサーSの検出結果に基づいて油圧バルブVが切替えられて機体が圃場面高さに対して設定高さになるよう作動する苗植付け状態にすると、作溝具37は前輪7下端と後輪6下端とを結ぶ線よりも下方位置となって圃場に入り込んで溝を形成する状態になる。
そこで、左右後輪6,6を駆動回転させて機体を前進させると共に、苗植付け具4を作動させる。
すると、機体は、圃場表面に接地しているセンサーSの検出結果に基づいて油圧バルブVが切替えられて圃場面高さに対して設定高さに維持された状態で前進する。作溝具37は、苗植付け具4が苗を植付ける位置の前方で圃場に入り込んでいるので、機体の前進に伴って圃場に苗植付け用の溝を形成する。この時、作溝具37の形状が、機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状となっており、且つ、作溝具37の前面37aは下方に湾曲した曲面となっているので、機体の前進に伴って、作溝具37の前面37aの曲面に沿って圃場の土が上方に案内されて移動し、適切に溝を形成していく。また、圃場が耕耘及び整地していない状態であっても、作溝具37は、機体側面視で前輪7と後輪6との間の中央位置で,且つ、作溝具37の先端部37bがミッションケース8の下方位置になるように配置されているので、非常に安定した状態で作溝具37は圃場に溝を形成することができ、苗植付け具4はこの適切に圃場に形成された溝内に良好に菜種の苗を植付けることができる。
また、作溝具37が圃場に溝を形成する際に、作溝具37の前面37aの曲面に沿って圃場の土が上方に案内されて圃場表面の作溝具37の左右両側に移動するが、苗植付け具4が苗を植付けた後で、この作溝具37の左右両側に移動した土を後述の覆土装置としての左右覆土輪57が植付けた苗の左右両側から溝を埋め戻すように覆土するので、作溝具37が圃場に形成した溝は適切に左右覆土輪57によって埋め戻されて苗は圃場に良好に植付けられる。
次に、苗植付け具4の苗を植付ける作用を説明する。
各部を駆動させて機体を前進させると、下部を二分割して開閉する苗植付け具4が昇降駆動するリンク機構3によって昇降動作して苗植付け具4内に供給された苗を圃場に植付けていく。苗植付け具4内への苗の供給は、苗植付け具4の上部に設けた筒状の案内体35の上端開口部35a内に作業者が苗を直接投入し、その投入された苗が案内体35により案内されて苗植付け具4内に落下していって、苗植付け具4内に苗が供給される。
そして、案内体35が、苗植付け具4の開閉支点19,21より上方に突出し、しかも、苗植付け具4が最上位に位置するとき、案内体35の上端開口部35aが操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aの上下位置近傍に位置する。また、筒状の案内体35の上端開口部35aが、下端開口部35bより広く、且つ、機体平面視で案内体35の下部外周近傍に配置した苗植付け具4とリンク機構3との連結部の上方に重なる。
更に、ガード体36が、苗植付け具4が最上位に位置するとき苗植付け具4とリンク機構3との連結部の少なくとも側方を覆う。しかし、案内体35は、ガード体36の上端部より上方に突出する。従って、作業者は苗植付け具4の上部に設けた筒状の案内体35の上端開口部35a内に苗を直接投入して苗植付け具4に苗を供給するものとなり、よって、茎葉部が長い苗や重量が軽い裸苗の場合でも、従来のように苗が引っかかって苗植付け具に適確に落下しないというようなことは生じにくくなり、苗の種類や形状、大きさ等が相違しても適確に移植できるものとなる。しかも、案内体35の上端開口部35aが苗植付け具4が最上位に位置するときに操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aの上下位置近傍に位置するので、作業者が案内体に苗を投入するとき案内体の上端開口部が適当な高さに位置することになって、苗の投入が容易且つ適確に行なえ作業が能率よく行える。
更に、筒状の案内体35の上端開口部35aが、下端開口部35bより広く、且つ、機体平面視で案内体35の下部外周近傍に配置した苗植付け具4とリンク機構3との連結部の上方に重なるので、案内体35の上端開口部35a内への苗の投入が容易に行え、また、苗を案内体35内に投入するときに、昇降動する苗植付け具4及びリンク機構3に手などが上方から接触してしまうことが生じにくくなり作業が安全に行える。
また、歩行しながら苗供給作業を行う作業者は機体側方位置することになるが、苗植付け具4が最上位に位置するとき苗植付け具4とリンク機構3との連結部の少なくとも側方を覆うガード体36を設けているので、苗を案内体35内に投入するときに、昇降動する苗植付け具4及びリンク機構3に手などが側方から接触してしまうことが生じにくくなり作業が安全に行え、しかも、案内体35はガード体36の上端部より上方に突出するので、ガード体36を設けながらも苗を案内体35内に投入する作業は容易に行えるものとなる。
そして、56は苗を予備的に置いておくための苗台であり、57は苗植付け具4によって圃場に植付けられた苗に対し左右から覆土し鎮圧する転動自在な覆土装置としての左右覆土輪である(左右覆土輪57は、苗植付け具4の後方位置の機体に設けられている)。この左右の覆土輪57の内側には該覆土輪57を支持する覆土輪フレーム58に固着した左右各々の苗巻き込み防止板59を設けている。該苗巻き込み防止板59は、ゴム製であり、苗植付け具4によって植え付けた苗が覆土輪57に干渉して巻き込まれるようなことを防止している。また、60は機体の上面に支持された苗載フレームであって、この苗載フレーム60上にコンテナ(箱)61を載置して、コンテナ61内に移植する苗を収納しておく。作業者は、苗植付け作業時にコンテナ61内から必要数の苗を苗台56上に出しておき、苗台56上の苗を一本づつ苗植付け具4の案内体35内に入れて苗の移植作業をする。
尚、本形態では苗植付け具4が前後に開いて苗を植え付ける構成について説明したが、左右に開いて苗を植え付ける苗植付け具を採用してもよい。
次に、図8に基づいて他の作溝具37の例を説明する。
前記の例では、作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態と前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態とに変更する変更操作具を後輪上下動操作具Aにて構成して、左右後輪6,6を上下動させることにより、作溝具37を前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態と前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態とに変更している。
図8に示す例は、作溝具37を機体に平行リンク機構62にて支持し、この平行リンク機構62の上部リンク62aを後方上方に延設して、その後端に操作部63を設け、且つ、操作部63を操作ガイド板64に係合固定させる構成としている。即ち、操作ガイド板64には、操作部63を2箇所で係合固定する上係合溝65と下係合溝66とを設けてあり、図8に示すように操作具63を上係合溝65に係合固定させた状態では、作溝具37は下動した前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも下方に位置する状態となる。また、操作具63を上係合溝65から離して下方に操作して下係合溝66に係合固定させた状態では、作溝具37は上動した前輪7の下端と左右駆動後輪6の下端とを結ぶ線Gよりも上方に位置する状態となる。
このように、本発明の変更操作具Aは、作溝具37を上下位置に変更操作する構成としても良い。
苗移植機の側面図。 苗移植機の平面図。 苗移植機の要部の側面図。 苗移植機の要部の平面図。 苗植付け具が開いた状態を示す側面図。 作溝具の取付け状態を示す要部側面図。 作溝具の取付け状態を示す要部背面図。 他の例を示す苗植機の側面図。
符号の説明
4 苗植付け具
6 駆動後輪
7 前輪
37 作溝具
37a 作溝具の前面
57 覆土装置(覆土輪)
A 変更操作具(後輪上下動操作具)

Claims (1)

  1. 前輪(7)と左右駆動後輪(6)とを設けた機体に苗植付け具(4)と左右覆土装置(57)を装備した苗植機において、苗植付け具(4)の前方位置で、且つ、機体側面視で前輪(7)と左右駆動後輪(6)との間に作溝具(37)を配置して機体に設け、この作溝具(37)を前輪(7)の下端と左右駆動後輪(6)の下端とを結ぶ線(G)よりも上方に位置する状態と前輪(7)の下端と左右駆動後輪(6)の下端とを結ぶ線(G)よりも下方に位置する状態とに変更する変更操作具(A)を設けると共に、作溝具(37)を機体側面視で前側下方に向けて傾斜した形状とし、且つ、作溝具(37)の前面(37a)を下方に湾曲した曲面としたことを特徴とする苗移植機。
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