JP4330185B2 - 高粘弾性化剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高粘弾性化物およびその製造方法に関する。かかる高粘弾性化物は、主に食品分野で用いられるが、工業用分野として化粧品分野、医薬品分野または繊維処理分野、皮革処理分野等において、水溶液等に添加され、高い粘度や高いゲル強度を与えるために、安定剤、分散剤、添加剤として用いられる。
【0002】
【従来の技術】
様々な応用分野で多糖類が増粘剤やゲル化剤として用いられている。例えば、ガラクトマンナン類、キサンタンガムを数重量%の水溶液とすると、高い粘性液体を作ることが知られている。また両者を適当な重量比で混合し水溶液を作る場合、その相乗作用で結着の強い熱可塑性ゲルができることが知られている。キサンタンガムはらせん構造を有しているが、網状にはなっていないため、単体では増粘しても強いゲルを作ることはない。一方ガラクトマンナン類の場合はいわゆる棒状の巨大分子であり、やはり単体では増粘してもゲルを作ることはない。この両者を併用すると、キサンタンガムのらせん構造の部分がガラクトマンナン類の規則的で置換基を持たない部分と結びつき、立体的な網目構造が発現する。このため、ゲル構造が形成されると言われている。
ガラクトマンナン類とは、D−マンノース主鎖にD−ガラクトース側鎖を持つ多糖類で、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、カシアガム等が知られている。例えば、ガラクトマンナン類の製造方法としては、キャロブの実から外皮を取り除き、粉砕したものを高温の水で抽出し、ろ過、イソプロピルアルコールなどのアルコール類による沈殿を経て、そのアルコールを取り除き、乾燥、粉砕する方法などが知られている。
一方、キサンタンガムは、微生物キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)により、澱粉、グルコース、ショ糖等の炭水化物からつくられる微生物多糖類の一種である。キサンタンガムの構造は主としてD−グルコース、D−マンノース及びD−グルクロン酸のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩からなり、主鎖はD−グルコースのβ−1,4結合からなる。キサンタンガムの製造方法として、発酵工程の後、微生物を殺菌するために熱処理され、発酵液からイソプロピルアルコール等のアルコールでキサンタンガムを沈澱させ、そのアルコールを取り除き、乾燥、粉砕する方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガラクトマンナン類とキサンタンガムおよびそれらの混合物は、粘度特性および弾性特性、即ち粘弾性特性に関し、十分な機能を有するものではない。すなわち、一定の濃度で、この両者の組み合わせによる粘弾性特性を変えようとした場合、その最適な配合比率である重量比1:1をもってしても十分でない。一般には、多糖類の濃度を上げることにより粘弾性特性は増大するが、それに伴い溶解性が悪化するために2%濃度でもかなり均一に溶解させることは難しい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムを含む高粘弾性化剤であり、前記ガラクトマンナン類の0.1重量%以上が水分50%以下で加熱処理をされたものであることを特徴とする高粘弾性化剤を用いることで、従来にはない高い高粘弾性が得られることを見いだし、本発明を完成した。加熱処理されたものが多糖類の0.1重量%未満である場合には、粘弾性特性に効果が見られない。即ち、かかる本発明は、ガラクトマンナン類を含む多糖類から選ばれる一種以上を配合し、配合成分の一定量以上を加熱処理したことを特徴とする高粘弾性化剤である。本発明の高粘弾性化剤は、一般に、ガラクトマンナン類に必要に応じてキサンタンガム、多価アルコールおよび塩類を配合し、配合成分の一部もしくは全部を、固形分中の水分を50%以下にして55〜100℃で5分〜200時間、もしくは100〜150℃で1分〜50時間で加熱処理することによって得ることができる。
【0005】
未加熱のガラクトマンナン類は55℃付近に吸熱エンタルピーを持つが、加熱品では吸熱エンタルピーは減少する。従って、吸熱エンタルピーが加熱処理ガラクトマンナン類の特徴になるとともに、加熱処理条件が55℃以上である必要性が生じる。ガラクトマンナン類とキサンタンガムの配合比は、キサンタンガムの配合がない場合を含めて、1:0〜0.001:1が効果的であり、加熱処理は粉末を混合し加熱することもできるが、多糖類別に温度条件を変えて加熱することが好ましい。さらに、好ましい方法は、配合成分を水へ溶解し、均一溶液とし、水分除去した後に加熱することでも好ましい結果が得られる。
【0006】
これらの加熱処理において、加熱は配合される多糖類全てに行われる必要はなく、例えば、ガラクトマンナン類の一部分だけを加熱しても一定の効果を得ることができる。さらに、従来の高粘弾性化剤は、粘弾性が低いため水溶液に塩類を配合した場合、系の安定性を十分に保つことができず、処方上の制約を有していた。それに対し、本発明で使用する高粘弾性化剤は、少量でも高い粘弾性を示し、系の安定性を良好に保つことができるという利点を有している。また、これらの系において多価アルコールや塩類と相乗作用が認められ、粘弾性が向上している。特にガラクトマンナン類に多価アルコールを配合すると系の安定化と粘弾性の向上がみられる。さらに、キサンタンガムが配合されている系では、塩添加で粘弾性の向上がみられる。従って、処方上の必要性および粘弾性をさらに向上させるために、上述した高粘弾性化剤に塩類を配合することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。上述のごとく、本発明の高粘弾性化剤は、一般に、ガラクトマンナン類に必要に応じてキサンタンガムを配合する。このとき、配合成分の一部もしくは全部を、固形分中の水分を50%以下にして55〜150℃で加熱処理することによって得ることができる。適当な粘弾性を得るためにガラクトマンナン類とキサンタンガムの配合比は1:0〜0.001:1が好ましく、また同時にこれらの成分のいずれかまたは両者の合計が、0.1重量%以上が加熱処理されたものであることが望ましい。配合比率を変えることで、好みの粘弾性を設定することができる。この配合比率以外では、加熱による効果が十分でなく、また加熱処理されたものが0.1重量%未満では粘弾性特性の効果は見られない。本発明の高粘弾性化剤を製造するのに使用する原料ガラクトマンナン類は、天然物もしくは発酵で生産されるD−マンノース主鎖にD−ガラクトース側鎖を持つ多糖類を用いることができ、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムがあげられる。また、形状は粉末状、顆粒状のものを用いることができる。ガラクトマンナン類成分中の加熱処理ガラクトマンナン類の割合は、0.1〜100重量%であることが望ましい。0.1重量%未満であると、やはり粘弾性の効果が現れない。
【0008】
一方、原料キサンタンガムとしてはまず市販の粉末状、顆粒状などのキサンタンガムを用いることができる。かかる原料キサンタンガムとしてはまた、トウモロコシ澱粉やグルコースなどを炭素源として、キサントモナス・カンペリトスを液体培養して得られる培養液から低級アルカノールで分別沈殿させるキサンタンガムの製造法において、分別沈殿後の乾燥品を用いることができる。
なお、粘弾性を向上させるために加熱処理時には、多糖類配合品が乾燥減量が50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である必要がある。原料多糖類の乾燥減量が50重量%より多いとガラクトマンナン類の品温が十分に上がらず効果がない。
本発明の高粘弾性化剤を製造するために、かかる原料多糖類を加熱するが、加熱は本発明の高粘弾性化剤は、一般に、ガラクトマンナン類に必要に応じてキサンタンガム、多価アルコール類および塩類を配合し、配合成分の一部もしくは全部を、固形分中の水分を50%以下にして55〜100℃で5分〜200時間、もしくは100〜150℃で1分〜50時間で加熱処理することが好ましい。
加熱処理されたガラクトマンナン類の特徴として、粉末をDSC(示差走査熱量計)で測定したときに、55(40〜70)℃付近の吸熱エンタルピーが、0.8mJ/mg(ガラクトマンナン類1mgあたり0.8ミリジュール)以下である点があげられる。未加熱のガラクトマンナン類は、55(40〜70)℃付近に1〜2mJ/mgの吸熱エンタルピーを持つので、加熱処理条件が55℃以上である必要性が生じる。
【0009】
なお、高粘弾性化剤に配合されるガラクトマンナン類およびキサンタンガムは、全てが、加熱処理されている必要はない。例えば、ガラクトマンナン類の一部分だけを加熱しても一定の効果を得ることができる。この場合、加熱した多糖類が0.1重量%以上ないと粘弾性の向上効果がない。
また、加熱条件の異なる多糖類を用いることができる。この場合、多糖類の種類毎に最適な加熱条件で加熱し、配合するのが望ましい。最適な加熱条件としては、ガラクトマンナン類の場合は好ましくは55〜100℃で5分〜3時間もしくは100〜150℃で1分〜2時間、さらに好ましくは80〜150℃で5分〜2時間である。キサンタンガムの場合は、好ましくは55〜150℃で1時間〜50時間、さらに好ましくは80〜150℃で1時間〜10時間である。
これらの条件中においても、高温側では比較的短時間加熱、低温側では比較的長時間加熱が好ましい。加熱温度が55℃未満であると高粘弾性化能の改善が十分でなく、150℃を超えると一般に着色する可能性が大きくなる。
上記加熱は気体中でも液体中でも行うことができる。気体中で行う場合、空気中等酸素の存在下で行うと着色する恐れがあるので、ガラクトマンナン類およびキサンタンガムと反応しない不活性ガス中で行うのが良い。不活性ガスとしては窒素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガス、水蒸気等を挙げることができる。また、気体中での加熱を減圧下で行うことによっても着色を回避できる。この場合の気体としては上記不活性ガスを用いることができるのは勿論であるが、減圧の程度によっては空気も着色を生じることなく用いることができる。減圧の程度は、特に制限ないが、200〜0.01mmHgが適当である。
【0010】
液体中で加熱を行う場合、ガラクトマンナン類およびキサンタンガムを溶解しない不活性溶剤中にガラクトマンナン類およびキサンタンガムを分散させた状態で加熱する。液体中で加熱を行う場合も着色は起こらない。不活性溶剤としてはガラクトマンナン類およびキサンタンガムを溶解せず、ガラクトマンナン類およびキサンタンガムと反応しないものであれば特に制限はない。不活性溶剤の例としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール等の炭素数1〜6のアルカノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルカンジオール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)等のエチレングリコールのモノもしくはジ低級アルキル(C=1〜4、特に1〜2)エーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールのモノもしくはジ低級アルキル(C=1〜4、特に1〜2)エーテル等の他、植物油脂、動物油脂、脂肪酸、脂肪酸とグリセリン等のモノ、ジ、トリエステル等の各種油脂類を挙げることができる。不活性溶剤中での反応は場合により加圧下で、例えばオートクレーブ中で行うことができる。加熱処理後に不活性溶媒を除去するが、高粘弾性化剤の剤型のために残存させてもかまわない。なお、不活性溶媒の除去は、例えば加熱処理液を濾過し、ケーキを必要に応じエタノール等の低沸点溶剤で洗浄し、ついで真空乾燥することによって行うことができる。
【0011】
上記の如く、加熱処理を行うが、水溶液中でガラクトマンナン類およびキサンタンガムを混合させ、再度、乾燥固化させた後に加熱処理を行うと良好な結果が得られる。具体的にはガラクトマンナン類およびキサンタンガムを水へ分散させ、水分を除去し、水分が0〜90重量%となった後に加熱処理を行う。このときの水への分散方法は、特に限定するものではないが、10〜100℃までの水へ10分以上、攪拌で分散させる。最も簡便な方法は50〜80℃で20分以上、攪拌で分散させる方法が良好である。通常、攪拌による分散時間は3時間で十分である。また、水溶液中のガラクトマンナン類およびキサンタンガムの濃度は特に限定するものではないが、0.1〜20重量%が操作性の点で望ましい。さらに、水溶液の系内に有機溶媒等が含有されていてもよいが、低級アルコール類が20重量%以上含まれるとガラクトマンナン類やキサンタンガムが凝集して好ましくない。
本発明では、多価アルコールおよび塩を添加した条件では相乗効果が発揮される。特に、ガラクトマンナン類に炭素数2〜8で水酸基を2〜6個有する多価アルコールおよびその重合物が系の安定化向上や粘弾性向上で効果的である。重合物としては、水酸基を最低2個以上残存している必要がある。これら多価アルコールとしては1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ネオペンチルアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ポリグリセリン等があげられるが、これに限定するものではない。ガラクトマンナン類およびキサンタンガムの加熱処理系内に塩を添加することで粘弾性向上の効果がある。塩としては各種ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩があげられるが、特に2価のアルカリ金属塩が効果的である。これらの塩類は特に限定されるものではないが塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、リン酸三ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、L−アスコルビル−リン酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0012】
上記方法によって製造される本発明の高粘弾性化剤は、その高い粘弾性組成物形成性において従来のキサンタンガム並びにガラクトマンナン類とは異なる。すなわち、ローカストビーンガムとキサンタンガムの配合系でゲル強度が最も高いといわれている重量比1:1の水溶液のゲル強度を比較したところ、本発明品は、従来品に比して倍以上の機能アップがみられた。即ち、105℃で1時間加熱処理したローカストビーンガムと120℃で3時間加熱処理したキサンタンガム(ローカストビーンガムとキサンタンガムの重量比1:1、多糖類濃度1重量%、1,3−ブチレングリコール 20重量%含有)を配合して試作したゲルのゲル強度は350g/cm2以上を示す。加熱処理を施す前のローカストビーンガムおよびキサンタンガムを同様に配合して試作したゲルの場合、そのゲル強度は159.8g/cm2を示しており、明らかに本発明の効果が実証されている。
さらに、ローカストビーンガムとキサンタンガムの各加熱処理品を重量比1:9で配合し、多糖類濃度1重量%、1,3−ブチレングリコール含有のゲルを作成するとき、ゲル強度は200g/cm2以上を示す。未加熱品の混合ゲルでは、この値を引き出すことはできない。
【0013】
本発明の高粘弾性化剤は従来品と同様な用途に用いることができる。このとき従来品よりも少ない用量で従来と同等以上の粘性体もしくはゲルを作成することが可能となるが、一方では、従来にない高いゲル強度を持つゲルを作成することができる。すなわち、分散性の問題から従来は2%以上の濃度で溶解させることが困難であり、これに見合うだけの粘弾性しか引き出せなかったが、本発明品では1%濃度の場合でも上述したかなり高い粘弾性を引き出している。またこれを2%濃度とすれば従来の2倍以上の強度を持たせることは可能であり、さらには本発明品では「ままこ」になりにくい特性も併せ持っているために、さらなる高濃度の粘弾性体を作成することも可能である。したがって、食品、化粧品、医薬品などの分野を始め、石油産業を含む一般工業用分野で安定剤、分散剤、添加剤として用いることができる。
本発明を以下実施例、比較例および参考例によって具体的に説明するが、これらは本発明を例証するためのものであって、本発明を何等限定するものではない。
【0016】
<比較例および実施例2>
タラガムを80℃および120℃の高温槽で加熱し、高粘弾性化剤を得た。
タラガムおよび高粘弾性化剤を各1重量%となるようにプロピレングリコール水溶液に添加し、80〜90℃で均一に混合した。室温まで放冷し、さらに24時間放置した後の粘度を測定した(B型粘度計 25℃ 6rpm ローターNo.3または4)。結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
<参考例>カラヤガムを120℃の高温槽で加熱し、高粘弾性化剤を得た。カラヤガムおよび高粘弾性化剤を各1重量%となるように水またはグリセリン水溶液に添加し、80〜90℃で均一に混合した。室温まで放冷し、さらに24時間放置した後の粘度を測定した(B型粘度計 25℃ 6rpm ローターNo.3または4)。結果を表3に示す。
【0019】
【表3】
【0022】
<比較例および実施例5>
タラガムを120℃の恒温槽で3時間加熱し、等重量のキサンタンガムを添加し、高粘弾性化剤を得た。未加熱品および高粘弾性化剤を各1重量%となるように水または1,3−ブチレングリコール水溶液に添加し、80〜90℃で均一に混合し、室温まで放冷した。結果を表5に示す。
【0023】
【表5】
【0024】
<参考例>カラヤガムを120℃の恒温槽で3時間加熱し、キサンタンガム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを添加し、高粘弾性化剤を得た。未加熱品および高粘弾性化剤を各1重量%となるように水または1,3−ブチレングリコール水溶液に添加し、80〜90℃で均一に混合した。室温まで放冷し粘度を測定した(B型粘度計 25℃ 6rpm ローターNo.3または4)。結果を表6に示す。
【0025】
【表6】
【0026】
<比較例および実施例7>
ローカストビーンガム1重量部を1,3−ブチレングリコール4重量部に分散させ、105℃で1時間加熱し分散液Aを得た。一方、キサンタンガム1重量部を1,3−ブチレングリコール4重量部に分散させ、115℃で3時間加熱し分散液Bを得た。ローカストビーンガム、キサンタンガム、分散液A、分散液Bを多糖類の重量比が表6〜8になるように混合し、濾過した。ろ過ケーキをエタノール40gで洗浄し、真空乾燥でエタノールを除去して、高粘弾性化剤を得た。
得られた高粘弾性化剤を多糖類0.5もしくは1重量部に対して、1,3−ブチレングリコールを20重量部添加した。攪拌しながら、水を79.5もしくは79重量部加え、80〜90℃で均一に混合した。室温まで放冷し、さらに24時間放置した後の粘度(B型粘度計 25℃ 6rpm ローターNo.3または4)またはゲル強度(レオメーター 20℃ 円柱プランジャー10mmφ テストスピード30cm/min)を測定した。結果を表7〜9に示す。
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】
【表9】
【0030】
<比較例および実施例8>
ローカストビーンガム1重量部、キサンタンガム1重量部、塩化カルシウム0.2重量部を水50重量部に溶解させた。水を除去し恒温槽で105℃で1時間加熱し、高粘弾性化剤を得た。本発明品は、高いゲル強度を有する高粘弾性剤であった。
【0031】
<参考例>
ガラクトマンナン類を加熱処理をした。未加熱品、100℃、2時間加熱品および90℃、6時間加熱品をDSC(セイコー電子工業製 示差走査熱量計DSC220C)にて熱測定を行った。結果を表10に示す。
【0032】
【表10】
【0033】
【発明の効果】
本発明の高粘弾性化剤は従来の増粘剤やゲル化剤より優れた粘性物やゲルを作成することができる。このため少ない添加量で従来品と同様の効果をあげることが可能であるばかりでなく、「ままこ」になりにくいことからより高濃度の溶液を調整することが可能となり、従来品では到底到達し得なかった粘性物やゲル強度をもつゲルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ローカストビーンガムのDSCを表す図である。
【図2】 加熱したローカストビーンガムのDSCを表す図である。
Claims (10)
- ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムを含む高粘弾性化剤であり、前記ガラクトマンナン類の0.1重量%以上が固形分中の水分50%以下で加熱処理をされたものであることを特徴とする高粘弾性化剤。
- ガラクトマンナン類にガラクトマンナン類とキサンタンガムの重量比が1:0.001〜0.001:1となるようにキサンタンガムを配合し、かつこれら成分の0.1重量%以上が加熱処理をされたものであることを特徴とする請求項1記載の高粘弾性化剤。
- ガラクトマンナン類中の加熱処理ガラクトマンナン類の割合が、1〜100重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の高粘弾性化剤。
- 前記キサンタンガムの一部または全部が、固形分中の水分50%以下で加熱処理をされたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の高粘弾性化剤。
- 加熱処理したガラクトマンナン類が、40〜70℃の吸熱エンタルピーが0.8mJ/mg以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の高粘弾性化剤。
- さらに炭素数2〜8で水酸基を2〜6個有する多価アルコールおよびその重合物、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩から選ばれる少なくとも1種以上の成分を配合する請求項1〜5のいずれか1項記載の高粘弾性化剤。
- 加熱処理が、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムを、固形分中の水分50%以下で55〜100℃、5分〜200時間で加熱処理することを特徴とする高粘弾性化剤の製造法。
- 加熱処理が、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムを、固形分中の水分50%以下で100〜150℃、1分〜50時間で加熱処理することを特徴とする高粘弾性化剤の製造法。
- ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムを水溶液に溶かした後、乾燥し、加熱処理することを特徴とする請求項7または8記載の高粘弾性化剤の製造法。
- ローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上、またはローカストビーンガム、タラガム、カシアガムから選ばれるガラクトマンナン類の1種または2種以上とキサンタンガムの0.1重量%以上を加熱し、その後に他の配合成分を混合することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の高粘弾性化剤の製造法。
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