JP7285614B2 - β-1,3-グルカンの水分散性を向上させる方法 - Google Patents
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Description
カードランは加熱のみでゲル(カードランゲル)を形成する点で他の多くのゲル化剤と異なり、さらに無味、無臭、無色であるという優れた性質も有する。
(1)β-1,3-グルカンと酸性多糖類との複合体。
(2)複合体におけるβ-1,3-グルカンと酸性多糖類との重量比が、β-1,3-グルカン100重量部に対して酸性多糖類5~100重量部である、上記(1)の複合体。
(3)β-1,3-グルカンが、カードランである、上記(1)~(3)いずれか1つの複合体。
(5)以下の(a)~(c)記載の工程を有する、β-1,3-グルカンと酸性多糖類との複合体の製造方法。
(a)β-1,3-グルカン100重量部に対し、少なくとも10重量部の酸性多糖類を水性媒体中で共存させる工程、
(b)(a)工程で得られた水性媒体にアルコールを添加して沈殿を生成させる工程、
(c)(b)工程で得られた沈殿を回収する工程
例えば、キサンタンガム、カラギーナン、寒天、ファーセレラン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アラビアガム、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等のムコ多糖類があげられる。また、さらに化学的に酸性基が導入された多糖類、例えばカルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化澱粉、カルボキシメチル化グア、硫酸化セルロース、硫酸化澱粉、硫酸化寒天、リン酸化セルロース、リン酸化澱粉をあげることができ、特にキサンタンガムおよびカラギーナンが好ましくあげられる。
本発明に用いられるカラギーナンとしては、硫酸根の多いものが好ましい。したがって、カラギーナンとしては、硫酸根の多い順である、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、κ-カラギーナンの順に好ましい。
本発明のβ-1,3-グルカンの水分散性を向上させる方法(以下、本発明の方法ともいう)としては、β-1,3-グルカンと酸性多糖類との複合体を形成させる方法があげられる。
β-1,3-グルカンと酸性多糖類を水溶液中で共存させる方法としては、例えば、水性媒体、好ましくは水にβ-1,3-グルカンおよび酸性多糖類を溶解させる方法があげられる。
アルカリ性に調整するために使用するアルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびジメチルスルホキシド等が挙げられる。pHはβ-1,3-グルカンの種類および量により適宜調整すればよいが、β-1,3-グルカンがカードランである場合、pH11以上となるように調整することが好ましい。
β-1,3-グルカンと酸性多糖類とは、水性媒体に溶解させることができれば別々に添加しても、あらかじめβ-1,3-グルカンと酸性多糖類との混合物として調製し、然る後に水性媒体に添加してもよい。
また、水性媒体中でβ-1,3-グルカンと共存させる酸性多糖類の量は、β-1,3-グルカン100重量部に対して、好ましくは10~200重量部、より好ましくは20~100、さらに好ましくは25~100重量部である。
アルコールとしては、いずれのアルコールであってもよいが、、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1~4の1価のアルコールが好ましくあげられる。
アルコール添加後の冷却は、必要に応じて行えばよいが、30℃以下、好ましくは20℃以下となるように冷却することが好ましい。
例えば、混合物と複合体をアルコールに分散させ、β-1,3-グルカン様物質またはβ-1,4-グルカン様物質と錯体を形成する物質であるアニリンブルーで染色処理を行い、アルコールで洗浄を繰り返すと、混合物ではアニリンブルーで染色されない酸性多糖類部分が観察されるのに対し、複合体では一様に染色される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)複合体の調製
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製。平均粒子径100μm以上。以下、同じ。)87重量部およびキサンタンガム(オルガノフードテック社製。商品名:オルノーX1)13重量部を混合して混合物を得た。該混合物を、撹拌中の水に少しずつ添加して分散させた。得られたカードランの分散液に水酸化ナトリウムを少量ずつ撹拌しつつ添加し、カードランおよびキサンタンガムをそれぞれ完全に溶解させた。該溶液の入った容器を60℃の水層に入れ、溶液を20分間撹拌した。
また、上記キサンタンガム複合体の調製において、キサンタンガムの代わりに塩基性多糖類であるキトサン(キミカ社製)を用いる以外は同様の操作を行って、カードランとキトサンとの複合体[以下、単にキトサン複合体(87:13)という。]を調製した。
(2)分散性の確認
該値を、以下の式にそれぞれ代入して、各増粘多糖類の分散性(便宜上、百分率で表示する)として算出した。たとえば、静置60分間後でも完全に分散していれば分散性の指標は100%であり、完全に沈降していれば、分散性の指標は約2%である。
また、分散性の低いものの例を図1に、分散性の高いものの例を図2に示す。
なお、カードランとキサンタンガムとを混合した場合[キサンタンガム混合体(87:13)]も、カードランの水分散性が向上したが、後述の試験(3)で示すとおり、キサンタンガム混合体(87:13)は、ゲル強度において、カードランとの複合体より劣っていた(表2参照)。
(3)ゲル化能の確認
また、図3に一部がゲル形成しているものの例を示し、図4に全体的にゲル形成しているものの例を示す。
(実施例2)食品への応用例
第3表に、加熱処理後もゲルが維持されているものを耐熱性「高」として示し、ゲルが維持されなかったものを耐熱性「低」で示した。
(実施例3)複合体の分散性
静置後、各ケーシングチューブをフリーザーにて冷凍し、24時間、流水解凍した。静置後、実施例1記載の方法に準じて、各ゲルの形成/保水性について調べた。
結果を第4表に示す。
また、解凍後のゲル形成/保水性についても、カードランとι-カラギーナンとの複合体を用いて得られたゲルは、いずれもカードランと同等以上のゲル形成/保水性を示した。
(実施例4)複合体の調製
実施例1記載のキサンタンガム複合体(87:13)の調製において、乾燥方法として凍結乾燥法を用いる代わりに80℃での熱風乾燥法を用いる以外は同様の操作を行って複合体を得た。該複合体の分散性およびゲル化能を実施例1記載の方法に準じて調べたところ、凍結乾燥法による複合体と同程度の分散性およびゲル化能を有していた。
(実施例5)食品への応用例
実施例2記載の方法において、カードランとしてカードラン微粉砕品を用い、増粘多糖類としてキサンタンガム混合体(87:13)およびキサンタンガム複合体(87:13)を用い、ほうれん草ペーストのかわりにニンジンペーストまたはカボチャペーストを用いる以外は同様の操作を行って、それぞれニンジンゲルおよびカボチャゲルを調製した。
いずれの場合も、ゲルが形成されたが、キサンタンガム複合体(87:13)を用いて得たゲルは離水が最も少なかった。
Claims (1)
- カードラン100重量部および少なくとも5重量部のキサンタンガムまたはカラギーナンを水性媒体中で分散させ、アルコールを添加して沈殿として複合体を形成させることを特徴とする、カードランの水分散性を向上する方法。
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