JP4329979B2 - ミスト発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば工作機械の加工点に噴射するためのミストを発生するミスト発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工作機械によりワークを加工する際には、潤滑又は冷却のための大量のオイルを加工点に噴射する必要がある。この際に、オイルはスピンドルスルー方式、つまり工作機械のスピンドルの内部を通して噴射するか、スピンドルの内部を通すことなく直接噴射するようになっている。
【0003】
ところが、オイルは加工点の周囲にも飛散するため、環境を汚染する上に人体に悪影響を及ぼすことが多い。また、オイルは循環させて使用するため、オイルを冷却するための手段が必要となる。更に、オイルを冷却してもオイルにバクテリアが発生することがあり、オイルが腐敗することがある。
【0004】
このような弊害を克服するため、近年は「オイルを可能な限り使用しない加工」、又は「オイルを全く使用しない加工」が実施に移されている。特に、前者の「オイルを可能な限り使用しない加工」は、微量のオイルをミスト化して噴射する方式、所謂微量潤滑(MQL:ミニマム・クウォンティティ・ルブリケーション)方式を採用し、大きい粒子と小さい粒子が混在したミストをミスト発生装置から加工点に噴射する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種のミスト発生装置が発生するミストには、大きい粒子と小さい粒子が混在するため、大きい粒子による弊害が生じている。
【0006】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、細かい粒子のミストが効率的に得られるミスト発生装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るミスト発生装置は、圧力空気とオイルからオイルミストを発生するノズルを天壁に有し、発生したミストを収容する内部タンクの内部を内部ミスト室とし、該内部タンクの外周に配置した外部タンクの内部を外部ミスト室とし、該外部ミスト室の下部にオイル室を設け、前記内部ミスト室、外部ミスト室のそれぞれの底部に、これらのミスト室内で液化したオイルを前記オイル室内に落下させるオイル排出部を設け、前記内部ミスト室内のミストを前記外部ミスト室内に搬送する第1のミスト搬送路を設け、前記外部ミスト室内のミスト取出口を前記外部タンクの天壁に設け、前記ミスト取出口に噴射位置にミストを搬送する第2のミスト搬送路を接続したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は実施の形態の断面図、図2は正面図であり、外部タンク1の内部は仕切板2により仕切られ、仕切板2にはオイル孔2aと空気孔2bが形成されている。仕切板2の下部はオイル3を収容するオイル室4とされ、仕切板2の上部には内部タンク5が外部タンク1の天壁から吊設されている。内部タンク5の内部は内部ミスト室6とされ、内部タンク5の外部は外部ミスト室7とされている。
【0009】
内部タンク5の底壁にはオイル孔5aが形成され、内部タンク5の天壁には噴霧ノズル8が設けられている。内部タンク5の外周面には螺旋状のミスト路9が設けられ、ミスト路9の内部開口9aは内部タンク5の接続ブロック5bに接続され、外部開口9bは外部ミスト室7の下部に開放されている。
【0010】
外部タンク1の底壁の外面には、オイル3を噴霧ノズル8に圧送するためのポンプ10が取り付けられ、このポンプ10にはドレンコック11とタイマ12が接続されている。外部タンク1の側壁には、オイル3を外部からオイル室4に補給するための補給ブロック1aが設けられ、補給ブロック1aにはキャップ13が着脱自在とされている。また、外部タンク1の側壁には、オイル3の表面位置を表示する液面計14と、外部ミスト室7の圧力を表示する圧力計15とが設けられている。そして、外部タンク1の天壁には、ミストを外部ミスト室7から外部に取り出すためのミスト取出口16が形成されている。なお、キャップ13等には空気通孔を設け、ミストを外部ミスト室7からミスト取出口16に円滑に流通させることが好ましい。
【0011】
図3のブロック図に示すように、オイル室4とポンプ10は逆止弁21を備えたオイル路22を介して接続され、ポンプ10の吐出口10aは逆止弁23を備えたオイル路24を介して噴霧ノズル8のオイル流入口8aに接続されている。そして、圧力空気源25は空気フィルタ26を備えた空気路27を介して噴霧ノズル8の空気流入口8bに接続され、空気路27は空気路27aを介してタイマ12に接続されている。
【0012】
ここで、外部タンク1のミスト取出口16の近傍には、大きい粒子のミストを捕捉する手段としての邪魔板28が設置され、この邪魔板28に衝突した大きい粒子のミストがそこに付着して液化し、オイル室4に戻る。この邪魔板28に代えてフィルタとしても、同様な作用を得ることができる。ミスト取出口16の出口には、エジェクタ等のミスト排出手段29が設置されている。このミスト排出手段29には、空気フィルタ26を通った圧力空気が空気導入路30を介して導入され、圧力空気とミストの混合体がミスト搬送路31に排出されるようになっている。そして、空気導入路30には圧力レギュレータ32と圧力計33が設けられ、ミスト搬送路31の圧力はフィードバック路34を介して圧力レギュレータ32にフィードバックされている。
【0013】
ミスト排出手段29には、空気導入路30から圧力空気が流入する空気路29aと、ミスト取出口16からミストが流入するミスト路29bと、空気とミストの混合体がミスト搬送路31に流出する混合体路29cとが形成されている。このミスト排出手段29では、空気路29aの出口で噴射した圧力空気の流れに伴って、ミスト排出手段29に流入する空気圧力によって負圧が発生するようになっており、その負圧はミスト路29b、ミスト取出口16及び外部ミスト室7を介して内部ミスト室6に導入されている。
【0014】
圧力空気源25からの圧力P0 の圧力空気は、圧力P0 のまま噴霧ノズル8に流入すると共に、圧力レギュレータ32により圧力PF に減圧されてミスト排出手段29に流入し、ミスト排出手段29で負圧を発生しながらミスト搬送路31に圧力PM となって流出する。同時に、ポンプ10の作用により定量のオイル3が噴霧ノズル8に流入する。これにより、空気とオイル3の混合による一次ミストが、噴霧ノズル8から内部ミスト室6内に噴出する。このとき、内部ミスト室6内の圧力PT はミスト排出手段29の作用により低くなっているので、圧力PT 、PM 、PF の間には不等式PT <PM <PF が成立し、噴霧ノズル8はミストを効率良く安定して発生する。
【0015】
噴霧ノズル8から噴出した一次ミストは内部ミスト室6に充満し、この間に一次ミスト中の大きい粒子が内部タンク5の下部に降下すると共にその内壁に付着し、内部ミスト室6の上部には小さい粒子から成る二次ミストのみが残る。そして、内部タンク5に付着した大きい粒子は、液化して内部タンク5のオイル孔5aと仕切板2のオイル孔2aを通ってオイル室4に落下する。
【0016】
続いて、二次ミストは接続ブロック5bからミスト路9を通って外部開口9bから外部ミスト室7の下部に噴出する。このとき、ミストは螺旋状の細い管の中を通過するので、ミストの速度が速くなり、ミスト路9の内壁に衝突する速度も大きくなり、大きい粒子が内壁に付着し易くなる。更に、螺旋のミスト路9を通ることによる遠心力を受け、二次ミストの中の大きい粒子がミスト路9の内壁に付着し、小さい粒子からのみ成る三次ミストが外部ミスト室7に噴出する。そして、ミスト路9の内壁に付着した大きい粒子は、内壁を伝わって外部ミスト室7内に滴下する。
【0017】
外部ミスト室7内に入った三次ミストは下部から上部に向かって上昇し、この間に三次ミストの中の大きい粒子が外部タンク1の下部に降下すると共にその内壁に付着し、小さい粒子のみから成る四次ミストがミスト取出口16を介してミスト排出手段29に流入する。そして、四次ミストはミスト排出手段29内で圧力空気源25からの圧力空気と混合し、ミスト搬送路31を通って例えば工具の先端に噴出する。
【0018】
このように実施の形態では、ミスト排出手段29が負圧を発生するので、内部ミスト室6の圧力PT が低減し、噴霧ノズル8の入口の圧力と出口の圧力との差が拡大し、ミストの発生効率を向上させることができる。また、ミスト排出手段29が発生する負圧により外部ミスト室7内のミストをミスト搬送路31に排出できる。更に、圧力空気をミスト搬送路31に噴射するので、ミストをミスト搬送路31から高い圧力で噴射できる。
【0019】
なお、上述の実施の形態ではオイル3をミスト化することについて説明したが、薬液、塗料等の液体に適用可能であることは云うまでもない。
【0020】
図4は他の実施の形態の要部断面図であり、空気導入路41の出口41aと、ミスト搬送路42の入口42aと、第1の実施の形態のミスト排出手段29とは異なる構造のミスト排出手段43とが外部ミスト室7内に構成されている。図5の拡大図に示すように、ミスト排出手段43には空気路43a、ミスト路43b及び混合体路43cが設けられ、ミスト路43bは複数のミスト導入管44から構成されている。
【0021】
ミスト排出手段43の空気路43aから噴射した圧力空気は負圧を発生し、外部ミスト室7内のミストをミスト導入管44を介してミスト搬送路42に排出する。この第2の実施の形態はミスト導入管44によりミストを更に細分化できる。
【0022】
図6は更に他の実施の形態の要部断面図であり、空気導入路45はミスト搬送路46よりも小径とされている。また、空気導入路45の出口45aは外部ミスト室7に導入され、ミスト搬送路46はミスト取出口16に接続されている。そして、空気導入路45の出口45aは、ミスト搬送路46の入口46aの下流に隙間47をおいて配置されている。
【0023】
空気導入路45の出口45aから噴射した圧力空気は負圧を発生し、外部ミスト室7内のミストを隙間47を介してミスト搬送路46に排出する。
【0024】
図7は更に他の実施の形態の要部断面図であり、空気導入路48はミスト搬送路49よりも若干小径とされ、空気導入路48の出口48aとミスト搬送路49の入口49aが外部ミスト室7に導入されている。そして、空気導入路48の出口48aとミスト搬送路49の入口49aの間に隙間50が形成されていると共に、空気導入路48の出口48aとミスト搬送路49の入口49aには、ミストをミスト搬送路49に案内する案内面が形成されている。
【0025】
空気導入路48の出口48aから噴射した圧力空気は負圧を発生し、外部ミスト室7内のミストを隙間50を介してミスト搬送路49に排出する。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るミスト発生装置は、2つのミスト室を設けているので、ミストの粒子は段階的に選別され、より細かな粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の断面図である。
【図2】正面図である。
【図3】ブロック図である。
【図4】他の実施の形態の要部断面図である。
【図5】部分拡大図である。
【図6】更に他の実施の形態の要部断面図である。
【図7】更に他の実施の形態の要部断面図である。
【符号の説明】
1 外部タンク
3 オイル
8 噴霧ノズル
25 圧力空気源
28 邪魔板
29 ミスト排出手段
30、41、45、48 空気導入路
31、42、46、49 ミスト搬送路
32 圧力レギュレータ
Claims (3)
- 圧力空気とオイルからオイルミストを発生するノズルを天壁に有し、発生したミストを収容する内部タンクの内部を内部ミスト室とし、該内部タンクの外周に配置した外部タンクの内部を外部ミスト室とし、該外部ミスト室の下部にオイル室を設け、前記内部ミスト室、外部ミスト室のそれぞれの底部に、これらのミスト室内で液化したオイルを前記オイル室内に落下させるオイル排出部を設け、前記内部ミスト室内のミストを前記外部ミスト室内に搬送する第1のミスト搬送路を設け、前記外部ミスト室内のミスト取出口を前記外部タンクの天壁に設け、前記ミスト取出口に噴射位置にミストを搬送する第2のミスト搬送路を接続したことを特徴とするミスト発生装置。
- 前記第1のミスト搬送路は前記内部タンクの周囲を巻回する螺旋管とした請求項1に記載のミスト発生装置。
- 前記ミスト取出口の入口に、大きな粒子のミストを捕捉し前記外部ミスト室内に戻す手段を設けた請求項1に記載のミスト発生装置。
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