JP4329814B2 - 難燃性の改良された樹脂組成物、電子部品および難燃性の改良方法 - Google Patents

難燃性の改良された樹脂組成物、電子部品および難燃性の改良方法 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性に優れた樹脂製品を製造するための樹脂組成物、該樹脂組成物からなる電子部品および難燃性の改良方法に関する。本発明は特に、高周波用途に適し、誘電率が高く、耐環境性および難燃性に優れた電子部品を製造するための樹脂組成物に関する。
最近では、樹脂製品の難燃に対する要求が高まってきており、樹脂製品を構成する樹脂組成物に難燃性が求められている。特に、アンテナ部品や配線基板等の樹脂製電子部品では短絡等によって発火することがあるため、それらの部品を構成する樹脂組成物には難燃性が求められている。微小肉厚の部品は比較的容易に発火するため、難燃性の要求は一層高い。
一方、アンテナ部品等の電子部品に適した樹脂組成物として、誘電率および誘電損失が低く、かつ温度や湿度などの環境変化に対して誘電率および誘電損失の変化が小さい材料が求められている。
例えば、合成樹脂と誘電性セラミックスの複合材料であって、特定の誘電特性を示す射出成形が可能な材料により構成された樹脂製誘電体アンテナが報告されている(特許文献1)。しかしながら、環境変化に対する誘電特性の変化が十分に小さいアンテナは得ることはできず、高温高湿環境下において特に誘電損失が増大した。誘電損失が増大すると、電波が伝送され難くなり、アンテナ部品としての使用が難しい。しかも、当該アンテナは所望の難燃性が得られない。
また例えば、合成樹脂マトリックス中に特定のチタン酸アルカリ土類金属塩の繊維状物を含有させてなる樹脂組成物であって、特定の誘電特性を示す高周波通信機のアンテナ基板材料成形用樹脂組成物が報告されている(特許文献2)。しかしながら、環境変化に対する誘電特性の変化が十分に小さいアンテナ基板はやはり得ることは難しく、高温高湿環境下において特に誘電損失が増大する傾向にある。しかも得られたアンテナ基板が誘電異方性を有するため、設計の制約が発生し、カットアンドトライによる設計期間の増大、更に量産時においてアンテナ特性にバラツキが生じる傾向にある。さらに当該樹脂組成物を用いても、所望の難燃性は得られない。
また例えば、マトリックス樹脂中に、無機充填剤と、エラストマー部材が微分散されてなる耐衝撃性樹脂組成物が報告されている(特許文献3)。しかしながら、環境変化に対する誘電特性の変化が十分に小さい成形物はやはり得ることはできず、高温高湿環境下において特に誘電損失が増大する傾向にある。しかも、当該樹脂組成物を用いても、所望の難燃性は得られない。
特開2005−94068号公報 特許第2873541号 特開2003−147211号公報
本発明は、難燃性に優れた樹脂製品を製造するための難燃性の改良された樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、環境変化に対する誘電特性の変化を十分に抑制し、誘電特性を等方的に有し、更には、難燃性に優れた電子部品(例えば、アンテナ部品)、および該電子部品を製造するための難燃性の改良された樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、樹脂製品、特に電子部品の難燃性を改良する方法を提供することを目的とする。
本発明は、重量平均分子量55000以下のポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含むことを特徴とする難燃性の改良された樹脂組成物、および該樹脂組成物からなる電子部品、特にアンテナ部品に関する。
本発明はまた、ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含む樹脂製品の難燃性を改良する方法であって、ポリブチレンテレフタレートの重量平均分子量を55,000以下に調整することを特徴とする難燃性の改良方法に関する。
本発明の樹脂組成物からなる樹脂製品は難燃性に優れている。
また本発明の樹脂組成物からなる樹脂製品、特に電子部品は、環境変化に対する誘電特性の変化を十分に抑制し、特に高温高湿環境下における誘電損失の経時的な増大を有効に抑制でき、しかも難燃性にも優れている。特に電子部品は、高温高湿環境下で長時間保管したときであっても、誘電正接を0.01以下に確保できる。その結果、電子部品、特にアンテナ部品内での電波の伝送損失を長期にわたって有効に抑えることができる。
また本発明において電子部品は射出成形法等によって製造可能であり、しかも誘電特性を等方的に有するので、電子部品設計の自由度確保や量産性に優れている。
また本発明の難燃性の改良方法によると、樹脂製品に対して難燃性を有効に付与できる。特に電子部品に対しては、環境変化に対する優れた誘電特性を維持しながら、難燃性を有効に付与できる。
本発明に係る難燃性の改良された樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という)は少なくともマトリックス樹脂、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含有するものである。
本発明の樹脂組成物を構成するマトリックス樹脂はポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」という)であって、重量平均分子量が55000以下、好ましくは50000以下のものである。PBTの分子量を上記範囲内に調整することによって、優れた難燃性が得られる。分子量が55000を越える場合、流動性が悪くなり成形性や難燃性が低下する。PBTの重量平均分子量は下限値を特に制限されるものではないが、成形性の観点から、好ましくは40000以上、より好ましくは45000以上である。
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されたポリスチレン換算値を用いている。
PBTのメルトボリュームフローレート(MVR)は5〜60cm/10min.、特に20cm〜/10min.が好適である。
MVRはISO1133に従って温度250℃、荷重2.16kgにて測定された値を用いている。
PBTの含有量は特に制限されないが、特に、樹脂組成物を電子部品用として使用する場合は、誘電率8以上の実現の為に、樹脂組成物全量に対して70体積%以下、特に45〜63体積%が好ましく、47〜59体積%がより好ましい。
臭素系難燃剤はプラスチックの分野で難燃性を付与する為の臭素原子含有有機系化合物が使用される。具体例として、例えば、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタンなどが挙げられる。本明細書中、TBAはテトラブロモビスフェノールAの略記である。
臭素系難燃剤の中でもエポキシ基を含有する臭素化エポキシ系難燃剤が好ましく使用され、具体的にはTBAエポキシオリゴマーが好ましい。TBAエポキシオリゴマーはTBAとエポキシ化TBAとの重縮合物である。
アンチモン系難燃助剤はプラスチックの分野で難燃剤の難燃作用を助長さるアンチモン原子含有無機系化合物が使用される。具体例として、例えば、3酸化アンチモン、5酸化アンチモンなどが挙げられる。特に3酸化アンチモンが好ましい。
臭素系難燃剤の含有量は通常、マトリックス樹脂に対して5〜20重量%、好ましくは8〜18重量%である。アンチモン系難燃助剤の含有量は通常、マトリックス樹脂に対して1〜8重量%、好ましくは3〜6重量%である。臭素系難燃剤またはアンチモン系難燃助剤の含有量が少なすぎると、難燃性の確保が困難になり、多すぎると、流動性や機械的特性が阻害される。臭素系難燃剤以外の難燃剤を用いたり、またはアンチモン系難燃助剤以外の難燃助剤を用いたりした場合、所望の難燃性や誘電特性が得られない。例えば、難燃剤の一つである赤燐を使用した場合、高温高湿評価時に誘電特性が大きく変動し使用に耐えない。
本発明の樹脂組成物には、他の難燃剤および難燃助剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤、滑剤、強化剤(ガラス繊維、ウォラストナイト、ゾノライト、セピオライト、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、層状ケイ酸塩、有機化処理ベントナイト)等の添加剤が含有されてもよい。
本発明の樹脂組成物を、特に電子部品用として使用する場合は、チタン酸系無機化合物が含有される。
チタン酸系無機化合物はチタン酸金属塩であれば特に制限されず、入手容易性および入手コストの観点から、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の無機化合物が好ましく使用される。より好ましくは少なくともチタン酸ストロンチウムが使用され、最も好ましくはチタン酸ストロンチウムが単独で使用される。チタン酸ストロンチウムは、環境変化に対する誘電特性の変化をより有効に抑制でき、誘電率を含有量によってより効率よく制御できるためである。チタン酸系無機化合物の代わりに他の無機化合物、例えば、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を使用すると、誘電特性が環境変化に対して顕著に変化するので、電子部品としての使用に耐えない。
チタン酸系無機化合物は表面処理されたものであることが好ましい。表面処理されたチタン酸系無機化合物を含有させることによって、吸水の抑制により環境変化に対する誘電特性の変化をより有効に抑制できる。チタン酸系無機化合物表面には水分子が存在するが、表面処理によって水分子を除去できるので、電子部品において当該無機化合物とマトリックス樹脂との界面に残存する水分子を有効に低減できる。その結果、当該無機化合物とマトリックス樹脂との間の密着が一層促進されるので、それらの間からの水分子の侵入を防止でき、環境変化に対する誘電特性の変化をより有効に抑制できるものと考えられる。表面処理は、チタン酸系無機化合物と表面処理剤とを混合しながら加温することによって達成される。表面処理剤は電子部品に含有される無機化合物の分野で公知のものが使用され、例えば、いわゆるシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、脂肪酸等が挙げられる。好ましくはチタネート系カップリング剤が使用される。表面処理剤の使用量は特に制限されるものではなく、通常はチタン酸系無機化合物に対して0.1〜2重量%が好適である。
チタン酸系無機化合物は通常、粒子の形態を有するものを用いる。
チタン酸系無機化合物の平均粒径は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は0.01〜10μmであり、特に0.1〜3μmが好ましい。
本明細書中、平均粒径はLA−920(堀場製作所(株)社製)によって測定された値を用いている。
チタン酸系無機化合物のアスペクト比は、誘電特性の等方性のさらなる向上の観点から、1〜3、特に1〜2であることが好ましい。
アスペクト比とはチタン酸系無機化合物の断面における最大長に対する最小長の割合(最大長/最小長)であり、1に近いほど球形であることを意味する。
アスペクト比はチタン酸系無機化合物の電子顕微鏡写真(倍率約1000〜2000倍)を撮影し、当該写真より任意の50〜100個の粒子のアスペクト比を算出し、平均することによって得ることができる。
チタン酸系無機化合物は市販品として容易に入手可能である。特に、表面処理されていないチタン酸系無機化合物の市販品の具体例として、例えば、BT、CT、ST(共立マテリアル(株)製)、BT、ST、BTZ(富士化学(株)製)等が挙げられる。
チタン酸系無機化合物の含有量は、誘電率の観点から、樹脂組成物全量に対して22体積%以上、特に30〜45体積%が好ましく、35〜40体積%がより好ましい。チタン酸系無機化合物の含有量を調整することによって、電子部品の誘電率を制御できる。例えば、含有量を増量すると、誘電率は増加し、一方で減量すると、誘電率は低減する。具体的には、チタン酸系無機化合物含有量を上記範囲内とすることによって、誘電率を8〜12、特に10〜12とすることができる。電子部品、特に高周波用途のものでは、誘電率は大きいほど、波長短縮効果によりアンテナ等の電子製品の小型化に有利である。
本発明の樹脂組成物は、分子量が前記範囲よりも大きいPBTを用いる場合、当該PBTおよびその他成分を含む混合物を熱処理することによって、PBTの分子量を前記範囲内に調整しながら得ることができる。熱処理によって、PBT分子が適度に切断され、所定範囲の分子量が達成される。熱処理方法はPBT分子量の調整が達成される限り、特に制限されず、通常は溶融・混練する方法を用いる。
混合物の熱処理温度および熱処理時間によってPBTの分子量を制御できる。すなわち、熱処理温度を高くすると、PBT分子量は比較的小さい値に調整され、熱処理温度を低くすると、PBT分子量は比較的大きい値に調整される。また熱処理時間を長くすると、PBT分子量は比較的小さい値に調整され、熱処理温度を短くすると、PBT分子量は比較的大きい値に調整される。例えば、重量平均分子量62000程度のPBTを含む混合物の場合、熱処理温度を約260℃に、熱処理時間を約5分間に設定すると、当該分子量は約49000〜52000の範囲で調整できる。なお、同様の分子量のPBT単独の場合は、熱処理時間を約15分間とすること以外、上記と同様の処理条件で同様の調整が可能である。
本発明の樹脂組成物は通常、押出機等による溶融・混練によって、分子量調整しながら、ペレット形状として得ることができる。当該ペレットは、射出成形法、押出成形法、トランスファ成形法等によって所定の形状に成形され、電子部品等の樹脂製品を得ることができる。本発明の樹脂組成物は、一旦ペレット形状とすることなく、成形機等による溶融・混練によって、分子量調整しながら、直接的に成形を行って、電子部品等の樹脂製品を得てもよい。
熱処理によって調整されたPBTの分子量は、熱処理後の樹脂組成物、例えば上記ペレットまたは成形品をGPCに供して得られるPBTの分子量分布から簡便に測定可能である。
分子量が前記範囲内のPBTを用いる場合、本発明の樹脂組成物は、当該PBTおよびその他成分を単に混合したり、またはそれらの混合物を溶融・混練することによって得ることができる。その後は、公知の成形法等によって所定の形状に成形され、電子部品等の樹脂製品を得ることができる。
PBTは分子量が前記範囲より大きくても、上記のように熱処理によって分子量を前記範囲内に調整できるので市販のものが使用可能である。例えば、ノバデュラン5010N5,5010N6,5010R3,5010R5,5010R5L,5010CR2(以上、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)、ジュラネックス2000、2002、2016、CN7000、CRN7000(以上、ウィンテックポリマー(株)社製)等が使用可能である。特に環境変化に対する優れた誘電特性の観点から、5010N5、5010N6、CRN7000などが好適である。これらのグレードは、予め臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤が含有されているので、特に有用である。
本発明の樹脂組成物は、難燃性の観点から、260℃におけるせん断速度121s−1での溶融粘度が1500Pa・S以下に調整されていることが好ましく、難燃性をさらに向上させる観点からは1000Pa・S以下に調整されていることがより好ましい。樹脂組成物の溶融粘度は下限値を特に制限されるものではないが、成形性の観点から、好ましくは400Pa・S以上、より好ましくは500Pa・S以上である。
樹脂組成物の溶融粘度は、PBT分子量と同様に、熱処理によって上記範囲内に調整でき、詳しくは熱処理温度および熱処理時間によって制御できる。特に、樹脂組成物がチタン酸系無機化合物を含有する場合は、チタン酸系無機化合物の含有量によっても有効に溶融粘度を制御できる。すなわち、熱処理温度を高くしたり、または熱処理時間を長くすると、溶融粘度は比較的小さい値に調整され、熱処理温度を低くしたり、または熱処理時間を短くすると、溶融粘度は比較的大きい値に調整される。またチタン酸系無機化合物の含有量を少なくすると、溶融粘度は比較的小さい値に調整され、チタン酸系無機化合物の含有量を多くすると、溶融粘度は比較的大きい値に調整される。例えば、重量平均分子量62000程度のPBTを用いる場合、熱処理温度を約260℃に、熱処理時間を約3〜10分間、チタン酸系無機化合物の含有量を前記範囲内に設定すると、溶融粘度は約700〜1500の範囲で調整できる。
本発明の難燃性の改良方法は、PBT、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含む樹脂製品(例えば電子部品)の難燃性を改良するものであり、PBTの重量平均分子量を、本発明の樹脂組成物と同様の範囲に調整する。PBTの分子量は、上記したように、熱処理によって調整されればよく、例えば、樹脂製品の中間体として製造されるペレットの製造過程において溶融・混練によって調整されてもよいし、または樹脂製品の成形時において溶融・混練によって調整されてもよい。前記範囲内のPBTを予め使用することによって調整されてもよい。
(チタン酸系無機化合物A)
チタン酸ストロンチウム(共立マテリアル(株)製;ST)および当該チタン酸ストロンチウムに対して1.5重量%のチタネート系カップリング剤(味の素ファインテック(株)製;KR)を、加温可能なヘンシェルミキサーに投入し、加温させながら混合して表面処理を行い、チタン酸系無機化合物Aを得た。
(実施例1)
120℃8時間熱風乾燥した難燃性非強化ポリブチレンテレフタレート(PBT:三菱エンジニアリングプラスチック(株)製;ノバデュラン5010N6)を樹脂組成物全体に対し62体積%と、チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し38体積%とを、スクリュー径30mmのベント付き2軸押出し機を用いて真空に引きながらシリンダー温度260℃、回転数200rpm、吐出量25Kg/hにて溶融混練した。熱処理時間は5分であった。ダイスから吐出したストランドを冷却水に通し、切断して樹脂組成物のペレットを作成した。
「ノバデュラン5010N6」はPBT約85重量%(約90体積%)、TBBAエポキシオリゴマー約10重量%(約8体積%)、3酸化アンチモン約5重量%(約2体積%)からなる混合物である。
(実施例2)
チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し39体積%用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
(実施例3)
チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し41体積%用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
(実施例4)
チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し42体積%用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例1)
チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し38体積%用いたこと、およびシリンダー温度を230℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例2)
チタン酸系無機化合物Aを樹脂組成物全体に対し38体積%用いたこと、およびシリンダー温度を200℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
(評価)
実施例/比較例で得られた各ペレットを用いて評価を行った。
・誘電率および誘電正接の変化
ペレットから、型締め力40tの成形機を用いて樹脂温度245℃にて約89mm×89mm×厚さ2mmの平板を成形した。この平板を任意の方向で切削加工し、85mm長×1.7mm×1.7mmの試験片を作成した。試験片の3GHz時の誘電率及び誘電正接を、空洞共振器摂動法誘電率測定装置(関東電子(株)社製)及びネットワークアナライザ(8722ES;アジレント・テクノロジーズ社製)を用いて測定し、初期値とした。次に、JIS D 570に定められる吸水率試験に基づいて、恒温恒湿槽内に温度85℃湿度85%の条件で200時間保管した後で、再度3GHz時の誘電率及び誘電正接を測定した。誘電率の変化は0.3以内が良好である。誘電正接の変化は0.002以内が良好である。
・粘度
ペレットを用いて、キャピロレオメーター(キャピログラフ;東洋精機(株)社製)により260℃、せん断速度121s−1での粘度測定を行った。滞留時間を約1分に設定し評価を行った。
・難燃性
UL94規格に乗っ取り評価を行った。以下、難燃性の評価方法を簡単に説明する。まず、平板および試験片の寸法を変えたこと以外、誘電率および誘電正接の変化の評価方法と同様の方法により、125mm長×13.0mm幅×0.5mm厚の試験片および125mm長×13.0mm幅×1.0mm厚の試験片を作成した。試験片を垂直にセッティングし、試験片の下端をバーナーで10±0.5秒間接炎した。1回目の離炎後の燃焼時間(t1)を測定した。炎が消えたらすぐに再び10±0.5秒間接炎した。2回目の離炎後の燃焼時間(t2)および火種時間(t3)を測定した。このときの「t2+t3」が30秒間以下のとき難燃性が良好であり、「V−0」と評価した。「t2+t3」が30秒間を越え60秒間以下のとき難燃性は実用上問題のない範囲であり、「V−1」と評価した。「t2+t3」が60秒間を越えると、実用上問題となる。「−」は、1回目の接炎で試験片が全焼し、評価できなかったことを示す。上記評価は厚み0.5mmの試験片と、1.0mmの試験片とで別々に評価した。
・分子量
高速液体クロマトグラフ(島津製作所社製)を用いて、ペレットから重量平均分子量を測定した。
・誘電異方性
誘電率および誘電正接の変化の評価方法と同様の方法により、ペレットから平板を成形した。この平板を、図1に示すように、射出成形時の流動方向(MD方向)および該流動方向に対して垂直方向(TD方向)に沿って切削加工し、それぞれの方向について4本ずつの試験片(85mm長×1.7mm×1.7mm)を作成した。全ての試験片の3GHz時の誘電率を、空洞共振器摂動法誘電率測定装置(関東電子(株)社製)及びネットワークアナライザ(8722ES;アジレント・テクノロジーズ社製)を用いて測定し、誘電異方性指数「MD方向に沿って得られた試験片の誘電率平均値/TD方向に沿って得られた試験片の誘電率平均値」を求めた。
誘電異方性指数は0.9〜1.1が実用上問題のない範囲であり、好ましくは0.95〜1.05、最も好ましくは0.97〜1.03である。
Figure 0004329814
実施例1〜4と比較例1,2とを比較すると、分子量が比較的小さい場合、難燃性が良好であることが明らかである。
実施例1,2と実施例3,4とを比較すると、実施例1,2は、260℃せん断速度121−1の粘度が1000以下の場合、難燃性が0.5mmV−0相当と非常に良好である。
実施例3,4と比較例1,2とを比較すると、実施3,4は、260℃せん断速度121−1の粘度が1500以下の場合、難燃性が1.0mmV−1相当と良好である。
比較例1,2のように260℃・121s-1における樹脂粘度が1500Pa・Sを超える場合、UL燃焼試験時のドリップ(溶融滴下)を起こし難く、特に火種時間(t3)が長くなることから難燃性が阻害される傾向となる。一方、実施例4〜1のように260℃・121s-1における樹脂粘度が1500Pa・S以下の場合、溶融粘度が減少するに従い、UL燃焼試験時のドリップ性が向上し、特に火種時間(t3)が減少することで難燃性が向上すると考えられる。
誘電異方性は電場の印加方向の違いにより誘電特性に違いが発生する現象であり、この異方性が大きいと、シミュレーション結果と実際のアンテナ特性結果の乖離などの発生や成形時の樹脂流動の影響で成形品の流動ばらつきによりアンテナ特性がばらつくなどの懸念がある。
実施例1〜4の樹脂組成物は誘電異方性指数がほぼ1であって、等方的な誘電特性を有しており、非常に良好な誘電特性を示している。
本発明の樹脂組成物からなる樹脂製品は難燃性に優れているので、本発明は、難燃性が要求される電子部品(特にアンテナ部品)、配線基板、センサ、エンクロージャの機能を併せ持った前記電子部品等の樹脂製品への適用に有用である。
本発明の電子部品は、難燃性だけでなく、環境変化に対して安定な誘電特性が要求される用途への適用が有効である。特に誘電特性の変化が性能を左右するコイル、フィルタ、SAWフィルタ、センサ、アンテナ等の高周波領域で用いる電子部品で優れた性能を発揮する。
特に、本発明のアンテナ部品は、種々の型のアンテナにおける樹脂製部材であれば、いかなる部材としても有用である。本発明のアンテナ部品用樹脂組成物およびアンテナ部品が適用可能なアンテナの具体例として、例えば、モノコニカルアンテナ、レンズアンテナ、ホーンアンテナ、ループアンテナ等が挙げられる。
本発明のアンテナ部品は、特に、水による悪影響が大きい高周波用途への適用が最も有効である。アンテナ部品は高周波領域で吸水による伝送損失が顕著であり、伝送特性が大きく低下するが、本発明のアンテナ部品は環境変化に対する誘電特性の変化を有効に抑制できるので、そのような高周波領域においても優れた伝送特性を有効に発揮できるためである。
実施例において作成した評価用試験片を説明するための概略図を示す。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量55000以下のポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤アンチモン系難燃助剤およびチタン酸系無機化合物を含み、チタン酸系無機化合物の含有量が22体積%以上であって、チタン酸系無機化合物がチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸マグネシウムなどからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする難燃性の改良された樹脂組成物。
  2. ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含む混合物の熱処理によって、ポリブチレンテレフタレートの重量平均分子量が55000以下に調整されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性の改良された樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物に対するポリブチレンテレフタレートの含有量が45〜63体積%であり、チタン酸系無機化合物の含有量が30〜45体積%であり、チタン酸系無機化合物がチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項に記載の難燃性の改良された樹脂組成物。
  4. 260℃におけるせん断速度121s−1での溶融粘度が1500Pa・S以下に調整されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性の改良された樹脂組成物。
  5. 260℃におけるせん断速度121s−1での溶融粘度が1000Pa・S以下に調整されていることを特徴とする請求項に記載の難燃性の改良された樹脂組成物。
  6. 請求項1に記載の樹脂組成物からなる電子部品。
  7. ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤を含む樹脂製品の難燃性を改良する方法であって、ポリブチレンテレフタレートの重量平均分子量を55000以下に調整することを特徴とする難燃性の改良方法。
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