JP4328563B2 - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物に関するものである。更に詳しくは、200nm以下の真空紫外光を使用して高精細化したパターンを形成し得るポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば64Mビットまでの集積度の半導体素子の製造には、現在まで高圧水銀灯のi線(365nm)が光源として使用されてきた。この光源に対応するポジ型レジストとしては、ノボラック樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物を含む組成物が、数多く開発され、0.3μm程度までの線幅の加工においては十分な成果をおさめてきた。また256Mビット以上の集積度の半導体素子の製造には、i線に代わりKrFエキシマレーザー光(248nm)が露光光源として採用されてきた。
更に1Gビット以上の集積度の半導体製造を目的として、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
KrFエキシマレーザー光による露光用のレジスト組成物として、248nm領域での吸収の小さいポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とし酸分解性基で保護した樹脂を主成分として用い、遠紫外光の照射で酸を発生する化合物(光酸発生剤)を組み合わせた組成物、所謂化学増幅型レジストが開発されてきた。
【0005】
また、ArFエキシマレーザー光(193nm)露光用のレジスト組成物として、193nmに吸収を持たない脂環式構造をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した酸分解性樹脂を使用した化学増幅型レジストが開発されてきている。
【0006】
F2エキシマレーザー光(157nm)に対しては、上記脂環型樹脂においても157nm領域の吸収が大きく、目的とする0.1μm以下のパターンを得るには不十分であることが判明し、これに対し、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が157nmに十分な透明性を有することが非特許文献1(Proc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999))にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造が、特許文献1(WO00/67072号)等に提案され、フッ素含有樹脂を含有するレジスト組成物の検討がなされてきている。
また、特許文献2(WO01/37037号)や特許文献3(特開2002−196495号)及び特許文献4(米国特許公開第2002/81524号)には、アクリロニトリルとノルボルネンを共重合したF2エキシマレーザー光露光用樹脂が開示されている。
【0007】
しかしながら、樹脂中にフッ素原子を導入した従来のレジスト組成物は、溶剤溶解性、ストリエーションの発生、塗布均一性、ラインエッジラフネス等に問題があり、これらの改良が望まれていた。
ストリエーションとは、ウエハ中心より放射状に筋状の模様が現れる現象をいい、塗布膜厚の薄い部分と厚い部分とが放射状の筋に交互に分布している現象である。塗布性の悪いレジストで観察され易い。
ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することを言う。このパターンを真上から観察するとエッジが凸凹(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凸凹は、エッチング工程により基板に転写されるため、凸凹が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させることになる。
【0008】
【非特許文献1】
プロス・エスピィアイイー(Proc. SPIE.)、1999年、第3678巻、第13頁
【特許文献1】
国際公開第00/67072号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第01/37047号パンフレット
【特許文献3】
特開2002−196495号公報
【特許文献4】
米国特許出願公開第2002/81524号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、200nm以下、特にF2エキシマレーザー光(157nm)の露光光源の使用に好適なポジ型レジスト組成物を提供することであり、具体的には157nmの光源使用時に十分な透過性を示し、且つ溶剤溶解性、ストリエーションの発生、塗布均一性、ラインエッジラフネス等の改良されたポジ型レジスト組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が以下の特定の組成物によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記構成である。
【0011】
(1)(A)下記一般式(A1)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0012】
【化5】
【0013】
一般式(A1)中、
R1及びR2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
Lは、単結合又はアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはこれらの基の2つ以上の組み合わせを表す。
R3は、水素原子、又は極性基もしくは酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。
【0014】
(2)R3が極性基を有する基であることを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)R3が酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基であることを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0015】
(4)(A)成分の樹脂が、更に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
一般式(I)〜(VIII)中、
X1〜X5及びRdは、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。
Ra、Rb、Rcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
ARは、脂環式炭化水素構造を表す。
Qは、水素原子又は水酸基を表す。
R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Rfは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Ra’、Rb’、Rc’、Rd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’、Rd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
naは、1〜5の整数を表す。
nbは、0又は1を表す。
ncは、1〜5の整数を表す。
【0020】
(5)(A)成分の樹脂が、更に、ビニルエーテルに由来する繰り返し単位を少なくとも1つ含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0021】
更に好ましい態様として、以下の構成を挙げることができる。
(6)(A)成分の樹脂が、重量平均分子量が2000〜30000で、且つ分散度が1.1〜1.6であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0022】
(7)(A)成分の樹脂が、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーをラジカル重合させている際に、更にモノマーを連続的若しくは断続的に加えることによって得られたものであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0023】
(8)(B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、活性光線又は放射線の照射により、有機スルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0024】
(9)(B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、更に、活性光線又は放射線の照射により、カルボン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする上記(8)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0025】
(10)更に、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸アルキル類との混合溶剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(11)更に、(X)非ポリマー型溶解抑止剤を含有することを特徴とする、前記(1)〜(10)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本発明は特許請求の範囲に記載の構成を有するものであるが、以下、その他についても参考のため記載した。
〔1〕(A)一般式(A1)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、前記一般式(A1)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂(「(A)成分の樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう)を含有する。
【0027】
樹脂(A)は、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂であり、一般式(A1)で表される繰り返し単位におけるR3が水素原子又は極性基を有する基であるとき、後述の一般式(I)のX1として述べるような酸の作用により分解して、アルカリ現像液に可溶化する基(酸分解性基)を有する基を有する繰り返し単位を含有する。尚、R3が、酸の作用により分解して、アルカリ現像液に可溶化する基(酸分解性基)を有する基であっても、酸分解性基を有する他の繰り返し単位を含有していてもい。
【0028】
一般式(A1)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。R3は、水素原子、又は極性基もしくは酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基(酸分解性基)を有する基を表す。
R2とR3は、連結基を介して連結していてもよい。
【0029】
R1及びR2のフルオロアルキル基とは、少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基をいい、炭素数1〜6個のものが好ましく、炭素数1〜3個のものが更に好ましい。フルオロアルキル基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基等を挙げることができる。特に好ましいものはトリフルオロメチル基である。
R1及びR2のフルオロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0030】
Lとしての2価の連結基は、好ましくは炭素数20以下であり、例えば、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、−S−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基(好ましくは炭素数5〜15)、またはこれらの基の2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
【0031】
Lのアルキレン基は、炭素数1〜8個のものが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、t−ブチレン基、アミレン基、i−アミレン基、t−アミレン基、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、2−エチルヘキシレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基である。シクロアルキレン基としては、炭素数5〜15個のものが好ましく、ヒドロキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、アルコキシ基、シアノ基等が置換していてもよい。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、ノルボルナン残基、アダマンタン残基、トリシクロデカン残基、テトラシクロドデカン残基を挙げることができる。
【0032】
R3の極性基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、アミノ基、エステル基、ラクトン基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸基等を挙げることができる。
【0033】
極性基を有する基は、好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜12である。
極性基を有する基の好ましい具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、5,6−ヒドロキシノルボルニル基、4−(ヘキサフルオロプロパン−2−オール)シクロヘキシル基、5−トリフルオロメチル−5−カルボキシノルボルニル基、5,6−ジシアノノルボルニル基、3,5−ヒドロキシアダマンチル基、7−オキシノルボルニル基、11,12−ジオキシテトラシクロドデシル基、5−ヒドロキシ−5−トリフルオロノルボルニル基、ノルボルニルラクトン基、ヘキサフルオロプロパノール基、デカフルオロペンタノール基、2−ヒドロキシエチルヘキサフルオロプロパノール基等が好ましく挙げられる。
【0034】
R3の酸分解性基を有する基としては、例えば、−C(CF3)2OC(R01)(R02)(OR50)、−C(CF3)2O−COO−C(R51)(R52)(R53)、−COO(R51)(R52)(R53)、−COO(R01)(R02)(OR50)等が挙げられる。
R50〜R53は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R01とR50及びR52とR53とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0035】
R50〜R53、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−ヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭化水素の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R50〜R53、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チエエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシアルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0036】
以下、R3が水素原子又は極性基である場合の、一般式(A1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーを挙げるが、これらに限定するものではない。
【0037】
【化9】
【0038】
以下に、R3が酸分解性基を有する基である場合の、一般式(A1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーを挙げるが、これらに限定するものではない。
【0039】
【化10】
【0040】
樹脂(A)は、更に、一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
【0041】
一般式(I)中、X1は、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくとも1つは水素原子ではない。nbは0又は1を表す。
【0042】
X1の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する基としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01、R02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0043】
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0044】
酸分解性基の好ましい具体例としては、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルオキシカルボニル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0045】
Ra、Rb、Rc、R21〜R26のフルオロアルキル基は、一般式(A1)に於けるR1のフルオロアルキル基と同様のものである。
【0046】
Rcは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0047】
ARの脂環式炭化水素構造は、単環でも、多環でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ等の脂環式炭化水素構造を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
ARの脂環式炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン、ノルアダマンタン、デカリン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等を挙げることができる。より好ましくは、アダマンタン、ノルボルナン、シクロヘキサンを挙げることができる。
ARの脂環式炭化水素構造は、更に、アルキル基、アルコキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0048】
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
一般式(II)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくともひとつは水素原子ではない。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくともひとつは水素原子ではない。X2は、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。nは0又は1を表す。nbは0又は1を表す。
【0052】
Ra、Rb及びRcは、一般式(I)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
X2は、一般式(I)におけるX1と同義である。
R11〜R16及びR21〜R26は、一般式(I)におけるR21〜R26と同義である。
【0053】
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
【化13】
【0055】
【化14】
【0056】
一般式(III)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X3は、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。mは0又は1を示す。
【0057】
R11〜R16は、一般式(I)に於けるR21〜R26と同様のものである。
X3の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基と同様である。
【0058】
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
【化15】
【0060】
一般式(IV)中、X4は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは0又は1を示す。
【0061】
X4の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基と同様である。
【0062】
以下、一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
【化16】
【0064】
一般式(V)中、Rdは、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。
【0065】
Rdの酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基と同様のものを挙げることができる。
【0066】
以下、一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
【化17】
【0068】
一般式(VI)中、R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X5は、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。naは、1〜5の整数を示す。naが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX5は、同じでも異なっていてもよい。
【0069】
R41〜R46は、一般式(I)に於けるR41〜R46と同様である。
X5の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基は、一般式(I)に於けるX1の酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基と同様のものを挙げることができる。
【0070】
以下、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
【化18】
【0072】
一般式(VII)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。Rfはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。ncは1〜5の整数を表す。
【0073】
Ra及びRbは、一般式(I)におけるRa及びRbと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
【0074】
以下、一般式(VII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
【化19】
【0076】
【化20】
【0077】
【化21】
【0078】
一般式(VIII)中、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
【0079】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’のフルオロアルキル基は、一般式(I)におけるR21〜R26としてのフルオロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0080】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、フッ素原子及びフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がより好ましい。
【0081】
以下、一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
【化22】
【0083】
樹脂(A)は、更に、ビニルエーテル化合物によって形成される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
ビニルエーテル化合物によって形成される繰り返し単位の好ましい具体例として、下記一般式(VE−I)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0084】
【化23】
【0085】
一般式(VE−I)中、Lvは、置換基を有していてもよい、直鎖、分岐、環状若しくは脂環のアルキル基、これらの基を更に結合した基又はこれらの基をエーテル基、エステル基、カーボネート基等を連結基として更に結合した基を表す。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、好ましくは水酸基、フッ素原子、トリフルオロメチル基である。
【0086】
ビニルエーテル化合物は、特に限定されないが、置換基(水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基が好ましい例として挙げられる)を有していてもよい、アルキル基や環状炭素構造を有するものが好ましい。また、酸の作用により分解して水酸基又はカルボン酸を発生する基を含む構造を有するものが好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜8個の直鎖状、分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
環状炭素構造としては、好ましくは炭素数3〜30個の脂環構造、芳香環構造等が挙げられる。具体的にはアダマンタン環、ノルアダマンタン環、デカリン残基、トリシクロデカン環、ノルボルナン環、セドロール環、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられるが、好ましくはアダマンタン環、ノルボルナン環、シクロヘキサン環等である。Lvをアルキル基又は環状炭素構造とすることにより、一般式(VE−I)で表される繰り返し単位にアルキル基、環状炭素構造をもたせることができる。
酸の作用により分解して水酸基又はカルボン酸を発生する基としては、例えば、一般式(II)に於ける−OX2基(但し、X2は、酸の作用により分解する基を表す)、一般式(III)に於ける−CO2X4基(但し、X4は、酸の作用により分解する基を表す)を挙げることができる。一般式(VE−I)に於いて、酸の作用により分解して水酸基又はカルボン酸を発生する基をLvの置換基とすることができる。
【0087】
以下、ビニルエーテル化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
【化24】
【0089】
【化25】
【0090】
樹脂(A)は、上記の繰り返し単位以外に、他の重合性モノマーを重合させてもよい。
併用することができる共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類、ノルボルネン類、無水マレイン酸、マレイミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、C(R101a)(R102a)=C(R103a)(R104a)(式中、R101a〜R104aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜10個)を表す)等を挙げることができ、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ノルボルネン類、無水マレイン酸、マレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−マレイミド、C(R101a)(R102a)=C(R103a)(R104a)が特に好ましい。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0091】
以下、樹脂(A)の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0092】
【化26】
【0093】
【化27】
【0094】
樹脂(A)に於いて、一般式(A1)で表される繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対し、10〜100モル%とすることが好ましく、50〜100モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)に於いて、一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対し、0〜90モル%とすることが好ましく、0〜50モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)に於いて、ビニルエーテル化合物に由来する繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対し、0〜60モル%とすることが好ましく、0〜40モル%とすることがより好ましい。
【0095】
樹脂(A)に於いて、酸分解性基を有する繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対し、5〜70モル%とすることが好ましく、10〜50モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)は、酸分解性基が酸の作用により分解してヒドロキシル基、カルボキシル基等の親水性基が形成されることにより、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する。
【0096】
樹脂(A)の分子量は、重量平均で1000〜50000が好ましく、さらに好ましくは2000〜30000である。分子量が低すぎるとレジストの耐熱性が低下し、高すぎると現像液への溶解性が悪くなり、感度、解像力の悪化をもたらす傾向がある。
樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0とすることが好ましく、さらに好ましくは1.1〜2.0であり、特に好ましくは1.1〜1.6である。分散度を下げる方法としては、通常のラジカル重合で得られたポリマーを、良溶剤に溶かしたのち、貧溶剤を添加して分子量の低い成分を除去する方法がある。
またパターンのラフネスが良化するという観点から、上記通常のラジカル重合法においては、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーをラジカル重合させている際に、さらにモノマーを連続的または断続的に加えることが好ましい。その際に、最初に反応容器に仕込むモノマーの種類および組成と、ラジカル重合進行中に後から添加するモノマーの種類および組成は同じであっても、異なっていても良い。また重合開始剤についても後から添加するモノマーとともに更に追加していく方法を利用すると、未反応で残存するモノマーを低減できるので好ましい。
【0097】
樹脂(A)の添加量は、組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%の範囲で使用される。
【0098】
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物に用いられる、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」と呼ぶ場合がある。)について以下に説明する。
本発明に於いて使用される酸発生剤としては、一般に酸発生剤として使用されている化合物の中から選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及びそれらの混合物から適宜選択して使用することができる。
【0099】
たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
【0100】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038 号、特開昭63-163452 号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0101】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0102】
上記使用可能な活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
【0103】
(1)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0104】
【化28】
【0105】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0106】
R203、R204、R205は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0107】
Z-は対アニオンを示し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0108】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0109】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート。
【0111】
トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロノナンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート。
【0112】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えば米国特許第2,807,648 号及び同4,247,473号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0113】
(2)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0114】
【化29】
【0115】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。
R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
ビス(トリル)ジスルホン、ビス(4−メトキシフェニル)ジスルホン、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ジスルホン、フェニル−4−イソプロピルフェニルジスルホン。
【0117】
【化30】
【0118】
(3)下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0119】
【化31】
【0120】
ここでRは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン。
【0122】
(4)また、酸発生剤(B)として、下記一般式(I)で表されるフェナシルスルホニウム誘導体も使用することができる。
【0123】
【化32】
【0124】
一般式(I)中、
R1〜R5は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R5のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
R6及びR7は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。
Y1及びY2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。
Y3は、単結合または2価の連結基を表す。
X-は、非求核性アニオンを表す。
R1からR5の少なくとも1つとY1又はY2の少なくとも一つが結合して環を形成してもよいし、R1からR5の少なくとも1つとR6又はR7の少なくとも1つが結合して環を形成してもよい。
R1からR7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、式(I)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0125】
以下に、上記式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
【化33】
【0127】
【化34】
【0128】
【化35】
【0129】
【化36】
【0130】
【化37】
【0131】
【化38】
【0132】
【化39】
【0133】
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する上記化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0134】
【化40】
【0135】
【化41】
【0136】
【化42】
【0137】
【化43】
【0138】
【化44】
【0139】
【化45】
【0140】
(B)成分の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0141】
(B)成分の化合物の本発明のポジ型レジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0142】
〔3〕有機塩基性化合物
本発明の組成物には、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、有機塩基性化合物を添加することが好ましい。有機塩基性化合物としては、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0143】
【化46】
【0144】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個のアミノアルキル基、炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0145】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、置換もしくは未置換のイミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0146】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0147】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0148】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0149】
〔4〕界面活性剤
本発明の組成物は、界面活性剤、特にフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明の組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。これらフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の添加は、現像欠陥の抑制及び塗布性の向上に効果を有する。
【0150】
これらのフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0151】
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有する
ようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0152】
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0153】
〔5〕溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
本発明に於いては、溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキル類とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。
【0154】
上記各成分を溶剤に溶解させた際の固形分濃度は、3〜15質量%とすることが好ましく、5〜10質量%とすることがより好ましい。
【0155】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明の組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0156】
本発明の組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%、pHは、通常10.0〜15.0である。
【0157】
〔6〕非ポリマー型溶解抑止剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、感度、コントラストの点から、更に溶解抑止剤を含有することが特に好ましい。ここで、非ポリマー型溶解抑止剤とは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する、少なくとも一つの酸分解性基を有する分子量5000以下の化合物、好ましくは分子量2000〜4000の化合物である。ここで酸分解性基としては、例えば樹脂(A)におけるもの挙げることができる。
F2エキシマレーザーへの透明性の点からは、母核(酸分解性基以外の部位)中にフッ素原子が置換しているのが好ましい。
添加量は、組成物中の樹脂に対して3〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは7〜30質量%である。
【0158】
非ポリマー型溶解抑止剤の具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
【0159】
【化47】
【0160】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0161】
〔モノマー(A1−1)の合成〕
一般式(A1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーとして前記したモノマー(A1−1)を下記のとおり合成した。
アクリロニトリル300gとホルムアルデヒド460g、及びテトラヒドロフラン500gを窒素雰囲気下、0℃にて攪拌しているところに、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン63.5gを加え、室温で5日間攪拌する。反応液を、濃縮し、減圧蒸留にて、モノマー(A1−1)50.7gを得た。
【0162】
〔樹脂(F−1)の合成〕
樹脂(A)の好ましい具体例として前記した樹脂(F−1)を下記のとおり合成した。
下記式(1)で示されるモノマー11.0gを窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)2.48gを添加し、そのまま65℃にて、30分間攪拌した。これとは別に、式(2)で示されるモノマー11.5g、モノマー(A1−1)1.7g及びアゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)4.96gを混合し、先の反応容器に2時間かけて滴下した。反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させたのち、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。 得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8700、分散度は1.4であった。
【0163】
【化48】
【0164】
〔比較樹脂(C−1)の合成〕
上記一般式(1)で示されるモノマー11.0gに、上記一般式(2)で示されるモノマー17.3gを窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)2.48gを添加し、そのまま65℃にて1時間攪拌して反応させた。反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させたのち、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8000、分散度は1.9であった。
【0165】
〔モノマー(A1−19)の合成〕
一般式(A1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーとして前記したモノマー(A1−19)を下記のとおり合成した。
アクリロニトリル300gとホルムアルデヒド460g、及びテトラヒドロフラン500gを窒素雰囲気下、0℃にて攪拌しているところに、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン63.5gを加え、室温で5日間攪拌する。反応液を、濃縮し、減圧蒸留にて、下記式(3)で示される化合物(3)50.7gを得た。
次に、化合物(3)を出発物とし、Tetorahedron, 29, 1996, pp.9759-9776 にしたがって、下記化合物(4)を合成した。下記化合物(5)70.1g(0.2mol)、乾燥テトラヒドロフラン100ml及びトリエチルアミン20.2g(0.2mol)を混合し、攪拌しながら、0度まで冷却する。化合物(4)29.4g(0.2mol)を混合液にゆっくりと滴下し、室温で3時間反応させた。反応液を酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記モノマー(A1−19)20.2gを得た。
【0166】
【化49】
【0167】
【化50】
【0168】
〔例示樹脂(F−9)の合成〕
樹脂(A)の好ましい具体例として前記した樹脂(F−9)を下記のとおり合成した。
下記式(6)で示されるモノマー11.0gを窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)2.48gを添加し、そのまま65℃にて1時間攪拌して反応させた。これとは別に、モノマー(A1−19)25.0g及びアゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)4.96gを混合し、先の反応容器に2時間かけて滴下した。
反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させたのち、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。 得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8000、分散度は1.5であった。
【0169】
【化51】
【0170】
〔比較樹脂(C−2)の合成〕
上記一般式(6)で示されるモノマー11.0gに、アクリロニトリル3.1gを窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)2.48gを添加し、そのまま65℃にて1時間攪拌して反応させた。反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させたのち、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は15000、分散度は1.2であった。
【0171】
樹脂(F−1)及び(F−9)の合成と同様にして、先に例示した樹脂(F−2)〜(F−12)を得た。繰り返し単位の比率、重量平均分子量、分散度を表1に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
実施例1〜14及び比較例1及び2
下記表2に示すとおり、樹脂:1.2g、酸発生剤:0.030g、界面活性剤:ポリマー溶液に対し100ppm、有機塩基性化合物:0.0012gを溶剤19.6gに溶解したポリマー溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターで濾過しポジ型レジスト液を調製した。尚、樹脂は上記表1、酸発生剤、溶解抑制剤は前記したものを使用した。
【0174】
【表2】
【0175】
表2における記号の内容は以下のとおりである。
N−1:ヘキサメチレンテトラミン
N−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
N−3:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0176】
上記のように調製したポジ型レジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV42-6 BrewerScience. Inc. 製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.1μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、ArFマイクロステッパーを用いラインアンドスペース用マスク(ライン幅150nm、ライン/スペース=1:1)を使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて30秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを下記の方法でレジスト性能を評価した。
【0177】
〔溶剤溶解性〕
溶剤への溶解性の評価は、全ての構成素材が、室温下で溶液が入った容器を振ることによって5分以内に溶解した場合を○、5分以内で溶解しなかった場合を△、難溶であった場合を×とした。
【0178】
上記のように調製したポジ型レジスト液をキャノン社製塗布機CDR−650を用いて6インチシリコンウエハー上に塗布し、真空吸着式ホットプレートにて120℃、90秒乾燥して膜厚0.100μmのレジスト膜を得、下記の方法で性能を評価した。
〔ストリエーション〕
このレジスト膜表面を光学顕微鏡によって観察し、濡れ残り及びストリエーションの発生を目視にて観察し、非常に顕著であった場合を×、若干観察された場合を△、観察されなかった場合を○とした。
〔基板面内の塗布均一性〕
レジストの膜厚値をアルファーステップ−100(TENVCOR社製)で10ポイントを測定した。その測定値のターゲットの膜厚に対する分散を塗布均一性の指標とした。
【0179】
上記のように調製したポジ型レジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV42−6 BrewerScience.Inc.製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.15μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザーステッパー(Canon社製FPA-3000EX5:NA0.60)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターンを露光し、露光後すぐに110℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上の0.15μmのパターンを下記の方法で性能評価した。
〔ラインエッジラフネス〕
ラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所製S−9220)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
性能評価結果を表3に示した。
【0180】
【表3】
【0181】
表3の結果より、本発明のポジ型レジスト組成物は、ストリエーションが発生し難く、溶剤溶解性、塗布均一性及びラインエッジラフネスが良好であることが判る。
【0182】
【発明の効果】
本発明により、200nm以下、特にF2エキシマレーザー光(157nm)の露光光源使用時に十分な透過性を示し、且つ溶剤溶解性、ストリエーションの発生、塗布均一性、ラインエッジラフネス等が改良されたポジ型レジスト組成物を提供することができる。
Claims (6)
- R3が極性基を有する基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- R3が酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- (A)成分の樹脂が、更に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
X1〜X5及びRdは、水素原子又は酸の作用により分解してアルカリ現像液に可溶化する基を有する基を表す。
Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
ARは、脂環式炭化水素構造を表す。
Qは、水素原子又は水酸基を表す。
R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Rfは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
naは、1〜5の整数を表す。
nbは、0又は1を表す。
ncは、1〜5の整数を表す。 - (A)成分の樹脂が、更に、ビニルエーテルに由来する繰り返し単位を少なくとも1つ含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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