JP2004271630A - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】200nm以下、特にF2エキシマレーザー光(157nm)の露光光源の使用に好適なポジ型レジスト組成物を提供することであり、具体的には157nmの光源使用時に十分な透過性を示し、且つラインエッジラフネス、現像欠陥及びスカムが少ないポジ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定のビニルエーテルに由来する繰り返し単位と特定のアクリルアミドに由来する繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)特定のビニルエーテルに由来する繰り返し単位と特定のアクリルアミドに由来する繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物に関するものである。更に詳しくは、160nm以下の真空紫外光をを使用して高精細化したパターンを形成し得るポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば64Mビットまでの集積度の半導体素子の製造には、現在まで高圧水銀灯のi線(365nm)が光源として使用されてきた。この光源に対応するポジ型レジストとしては、ノボラック樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物を含む組成物が、数多く開発され、0.3μm程度までの線幅の加工においては十分な成果をおさめてきた。また256Mビット以上集積度の半導体素子の製造には、i線に代わりKrFエキシマレーザー光(248nm)が露光光源として採用されてきた。
更に1Gビット以上の集積度の半導体製造を目的として、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
KrFエキシマレーザー光による露光用のレジスト組成物として、248nm領域での吸収の小さいポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とし酸分解基で保護した樹脂を主成分として用い、遠紫外光の照射で酸を発生する化合物(光酸発生剤)を組み合わせた組成物、所謂化学増幅型レジストが開発されてきた。
【0005】
また、ArFエキシマレーザー光(193nm)露光用のレジスト組成物として、193nmに吸収を持たない脂環式構造をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した酸分解性樹脂を使用した化学増幅型レジストが開発されてきている。
【0006】
F2エキシマレーザー光(157nm)に対しては、上記脂環型樹脂においても157nm領域の吸収が大きく、目的とする0.1μm以下のパターンを得るには不十分であることが判明し、これに対し、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が157nmに十分な透明性を有することが非特許文献1(Proc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999))にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造が、特許文献1(US2002/102490A1)、特許文献2(特開2002−244300号)等に提案され、フッ素含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
特許文献3(特開2002−293840号)は、200nm以下の波長における優れた感度及びプラズマエッチング耐性を有するレジスト材料を提供すべく、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位及びビニルエーテルに由来する繰り返し単位を含有する樹脂の使用を提案している。特許文献4(US2002/146638A1)及び特許文献5(US2002/146639A1)は、リソグラフィー組成物において、250nm以下の波長の光に対する透明性が良好なポリマーとして特定のフッ素化ビニルポリマーの使用を提案している。
【0007】
しかしながら、フッ素樹脂を含有するレジスト組成物は、ラインエッジラフネス、現像欠陥、現像残渣(スカム)などの点の解決が望まれていた。
ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することを言う。このパターンを真上から観察するとエッジが凸凹(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凸凹は、エッチング工程により基板に転写されるため、凸凹が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させる可能性がある。
【0008】
【非特許文献1】
「プロス・エスピィアイイー」(Proc. SPIE.)、1999年、第3678巻、第13頁
【特許文献1】
米国特許出願公開第2002/102490号明細書
【特許文献2】
特開2002−244300号公報
【特許文献3】
特許2002−293840号公報
【特許文献4】
米国特許出願公開第2002/146638号明細書
【特許文献5】
米国特許出願公開第2002/146639号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、200nm以下、特にF2エキシマレーザー光(157nm)の光源使用時に十分な透過性を示し、且つラインエッジラフネス、現像欠陥及びスカムが少ないポジ型レジスト組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が以下の特定の組成物によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記構成である。
【0011】
(1)(A)下記一般式(A1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0012】
【化5】
【0013】
一般式(A1)及び(A2)中、
R1〜R3及びR5〜R7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
R4は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A3)で表される基を表す。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A4)で表される基を表す。
R2とR4、及びR8とR9は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(A3)及び(A4)中、
X及びYは、各々独立に、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基、アルカリ現像液に可溶性の基又は極性基を表す。
L1及びL2は、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
【0014】
(2)少なくとも一般式(A1)においてR4が一般式(A3)で表される基であるか、一般式(A2)においてR8及びR9の少なくとも一方が一般式(A4)で表される基であるかであり、L1及びL2の少なくとも一方がシクロアルキレン基であることを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)(A)成分の樹脂が、更に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
一般式(I)〜(VIII)中、
X1〜X5及びRdは、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
Ra、Rb、Rcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
ARは、脂環式炭化水素構造を表す。
Qは、水素原子又は水酸基を表す。
R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Rfは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Ra’、Rb’、Rc’、Rd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’、Rd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
naは、1〜5の整数を表す。
nbは、0又は1を表す。
ncは、1〜5の整数を表す。
【0019】
更に好ましい態様として、以下の構成を挙げることができる。
(4) (A)成分の樹脂が、重量平均分子量が2000〜30000で、且つ分散度が1.1〜1.5であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0020】
(5) (A)成分の樹脂が、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーを重合させている際に、更にモノマーを連続的若しくは断続的に加えることによって得られたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0021】
(6) (B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、(B1)活性光線又は放射線の照射により、有機スルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0022】
(7) (B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、更に、(B2)活性光線又は放射線の照射により、カルボン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする(6)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0023】
(8) プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸アルキル類とを混合した混合溶剤を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔1〕(A)一般式(A1)で表される繰り返し単位及び一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、一般式(A1)で表される繰り返し単位及び一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)を含有する。
【0025】
一般式(A1)及び(A2)中、R1〜R3及びR5〜R7は、各々独立に水素原子、アルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R4は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A3)で表される基を表す。R8及びR9は、各々独立に水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A4)で表される基を表す。
一般式(A1)においてR4が一般式(A3)で表される基であり、一般式(A2)においてR8及びR9の少なくとも一方が一般式(A4)で表される基であり、一般式(A3)及び(A4)中のX又はYのいずれか一方は、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基を表し、もう一方はアルカリ現像液に可溶な基又は極性基を有する基を表す場合が好ましい。
【0026】
R1〜R9としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を表す。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜20個のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、オクチル基等を挙げることができる。環状アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭化水素の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0027】
R1〜R9としてのフルオロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基をいい、置換基を有していてもいなくてもよい。炭素数1〜6個のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜3個のものが更に好ましい。フルオロアルキル基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を挙げることができる。特に好ましいものは、トリフルオロメチル基である。
【0028】
R1〜R9としてのアルキル基及びフルオロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、一般式(A3)における−L1−Xで表される基、一般式(A4)における−L2−Yで表される基等を挙げることができる。
【0029】
尚、R3及びR7は、トリフルオロメチル基が好ましい。
R2とR4、及びR8とR9は、互いに連結して環を形成してもよい。その場合形成される環は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、好ましくは炭素数5以下であり、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、水酸基、シアノ基などが挙げられる。
【0030】
X又はYの酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基としては、例えば、−C(CF3)2OC(R01)(R02)(OR50)、−C(CF3)2O−COO−C(R51)(R52)(R53)、−COO(R51)(R52)(R53)、−COO(R01)(R02)(OR50)等が挙げられる。
R50〜R53は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R01とR50及びR52とR53とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0031】
R50〜R53、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−ヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭化水素の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R50〜R53、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チエエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシアルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0032】
X又はYのアルカリ現像液に可溶な基(以下、「アルカリ可溶性基」ともいう)としては、例えば、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホン酸基、デカフルオロペンタノール基等を挙げることができる。特に好ましい基は、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール基である。
【0033】
X又はYの極性基としては、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子を含む基又はハロゲン原子であり、例えば、水酸基、メルカプト基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、アミノ基、エステル基、ラクトン基、エポキシ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子、アシル基、アシロキシ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0034】
L1及びL2の2価の連結基は、好ましくは炭素数20以下であり、例えば、−O−、−CO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、−S−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基(好ましくは炭素数5〜15)、またはこれらの基の2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜8個のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、t−ブチレン基、アミル基、i−アミル基,t−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、特に好ましくはメチレン基、エチレン基である。
シクロアルキレン基としては、炭素数5〜15のものが好ましく、例えば、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、ノルボルナン残基、アダマンタン残基、トリシクロデカン残基、テトラシクロドデカン残基を挙げることができる。
【0035】
シクロアルキレン基は、ヒドロキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、アルコキシ基、シアノ基等の置換基を有してもよい。
L1及びL2としての2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、アルコキシ基、シアノ基、X又はYで表される基等が挙げられる。L1及びL2としての2価の連結基は、各々、X及びYで表される基を置換基として有し、結果的に一般式(A3)及び(A4)で表される基が、複数のX及びYで表される基を有していてもよい。
【0036】
L1及びL2は、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、エチレン基又は1,1−ジ(トリフルオロメチル)メチレン基が好ましい。
【0037】
以下、一般式(A1)で表される繰り返し単位及び(A2)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
樹脂(A)は、更に、一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
【0042】
一般式(I)中、X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくとも1つは水素原子ではない。nbは0又は1を表す。
【0043】
X1の酸の作用により分解する基(以下、「酸分解性基」ともいう)としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01、R02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0044】
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0045】
酸分解性基の好ましい具体例としては、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルオキシカルボニル基、メトキシエトキシメチル基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0046】
Ra、Rb、Rc、R21〜R26のフルオロアルキル基は、一般式(A1)に於けるR1〜R7のフルオロアルキル基と同様のものである。
【0047】
Rcは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0048】
ARの脂環式炭化水素構造は、単環でも、多環でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ等の脂環式炭化水素構造を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
ARの脂環式炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン、ノルアダマンタン、デカリン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等を挙げることができる。より好ましくは、アダマンタン、ノルボルナン、シクロヘキサンを挙げることができる。
ARの脂環式炭化水素構造は、更に、アルキル基、アルコキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0049】
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
一般式(II)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくともひとつは水素原子ではない。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくともひとつは水素原子ではない。X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。nは0又は1を表す。nbは0又は1を表す。
【0054】
Ra、Rb及びRcは、一般式(I)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
X2は、一般式(I)におけるX1と同義である。
R11〜R16及びR21〜R26は、一般式(I)におけるR21〜R26と同義である。
【0055】
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】
【0058】
一般式(III)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X3は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは0又は1を示す。
【0059】
R11〜R16は、一般式(I)に於けるR21〜R26と同様のものである。
X3の酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様である。
【0060】
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
【化17】
【0062】
一般式(IV)中、X4は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは0又は1を示す。
【0063】
X4の酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様である。
【0064】
以下、一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化18】
【0066】
一般式(V)中、Rdは、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
【0067】
Rdの酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0068】
以下、一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
【化19】
【0070】
一般式(VI)中、R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X5は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。naは、1〜5の整数を示す。naが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX5は、同じでも異なっていてもよい。
【0071】
R41〜R46は、一般式(I)に於けるR41〜R46と同様である。
X5の酸の作用により分解する基は、一般式(I)に於けるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0072】
以下、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
【化20】
【0074】
一般式(VII)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。Rfはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。ncは1〜5の整数を表す。
【0075】
Ra及びRbは、一般式(I)におけるRa及びRbと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
【0076】
以下、一般式(VII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
【化21】
【0078】
【化22】
【0079】
【化23】
【0080】
一般式(VIII)中、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
【0081】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’のフルオロアルキル基は、一般式(I)におけるR21〜R26としてのフルオロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0082】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、フッ素原子及びフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がより好ましい。
【0083】
以下、一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
【化24】
【0085】
(A)成分の樹脂は、上記の繰り返し単位以外に、他の重合性モノマーを重合させてもよい。
併用することができる共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジアルキル類、マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等を挙げることができる。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0086】
以下、樹脂(A)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
【化25】
【0088】
【化26】
【0089】
樹脂(A)において、一般式(A1)及び(A2)で表される繰り返し単位の含量は、総量として、全繰り返し単位に対して、20〜100モル%とすることが好ましく、50〜90モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(A1)で表される繰り返し単位の含量は、全繰り返し単位に対して、10〜60モル%とすることが好ましく、20〜40モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(A2)で表される繰り返し単位の含量は、全繰り返し単位に対して、10〜70モル%とすることが好ましく、20〜60モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(I)〜(VIII)のいずれかで表される繰り返し単位の含量は、総量として、全繰り返し単位に対して、0〜60モル%とすることが好ましく、0〜40モル%とすることがより好ましい。
【0090】
樹脂(A)は、酸の作用により、酸の作用により分解する基が分解してヒドロキシル基、カルボキシル基等の親水性基が形成され、これにより酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する。
樹脂(A)において、酸の作用により分解する基を有する繰り返し単位の含量は、15〜50モル%とすることが好ましく、20〜40モル%とすることがより好ましい。
【0091】
樹脂(A)の分子量は、重量平均で2000〜50000が好ましく、さらに好ましくは2000〜30000である。分子量が低すぎるとレジストの耐熱性が低下し、高すぎると現像液への溶解性が悪くなり、感度、解像力の悪化をもたらす。
樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0とすることが好ましく、さらに好ましくは1.1〜2.0であり、特に好ましくは1.1〜1.5である。分散度を下げる方法としては、通常のラジカル重合で得られたポリマーを、良溶剤に溶かしたのち、貧溶剤を添加して分子量の低い成分を除去する方法、あるいはリビングラジカル重合法などのリビング重合法による方法があり、いずれも好適に使用できる。
リビングラジカル重合法としてはジョージらのニトロキシドを用いる方法、金属錯体を用いる澤本やマチャウフスキーらの方法など、いずれも用いることができる。
またパターンのラフネスが良化するという観点から、上記通常のラジカル重合法においては、滴下重合法(ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーをラジカル重合させている際に、さらにモノマーを連続的または断続的に加えるラジカル重合の方法)の適用が好ましい。
滴下重合法においては、最初に反応容器に仕込むモノマーの種類および組成と、ラジカル重合進行中に後から添加するモノマーの種類および組成は同じであっても、異なっていても良い。
また重合開始剤についても後から添加するモノマーとともに更に追加していく方法を利用すると、未反応で残存するモノマーを低減できるので好ましい。
【0092】
樹脂(A)の添加量は、組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%の範囲で使用される。
【0093】
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、パターン形成において使用する活性光線又は放射線(特に、200nm以下の波長の光、例えば、ArFエキシマレーザー光、特にF2エキシマレーザー光)の照射により、酸を発生する化合物を含有する。
【0094】
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物としては、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)として使用されている化合物の中から選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物から適宜選択して使用することができる。
【0095】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514 号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc, Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、 P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774 号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0096】
本発明に於いては、活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)が好ましい。
活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)としては、活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物(B1a)と、活性光線又は放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物(B1b)とを挙げることができる。
【0097】
本発明に於いては、活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)と共に、活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸を発生する化合物(B2)を使用することが好ましい。
活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸を発生する化合物(B2)としては、活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物(B2a)と、活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物(B2b)とを挙げることができる。
【0098】
(B1a)活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩を挙げることができる。
【0099】
【化27】
【0100】
式中、Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。
Z−は、少なくとも1つのフッ素原子を有するスルホン酸アニオンを示す。
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0101】
Ar1、Ar2、R203、R204、R205としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びフェニルチオ基であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜14のアリール基、炭素数6〜15のアリールカルボニル基、カルボキシル基及びハロゲン原子を挙げることができる。
【0102】
Z−のスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素及び炭素数5〜20の芳香族炭化水素を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜10のフッ素置換していてもよいアルコキシ基、炭素数2〜11のフッ素置換していてもよいアルコキシカルボニル基、フェニルアミノ基、フェニルカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基を挙げることができる。芳香族炭化水素に対しては、さらに炭素数1〜15のアルキル基を挙げることができる。
尚、脂肪族スルホン酸アニオンについては、特に、フッ素原子をスルホン酸のα炭素原子上に有するアニオンは、酸強度が高い。また、パーフルオロ脂肪族スルホン酸は更に酸強度が高い。
【0103】
以下に具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
【化28】
【0105】
【化29】
【0106】
【化30】
【0107】
【化31】
【0108】
【化32】
【0109】
【化33】
【0110】
【化34】
【0111】
【化35】
【0112】
【化36】
【0113】
(B1b)活性光線または放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物
活性光線または放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、先の一般式(PAG3)及び(PAG4)において、Z−がフッ素原子を有しないスルホン酸アニオンであるヨードニウム塩及びスルホニウム塩を挙げることができる。
【0114】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
【化37】
【0116】
【化38】
【0117】
【化39】
【0118】
【化40】
【0119】
【化41】
【0120】
【化42】
【0121】
【化43】
【0122】
【化44】
【0123】
また、下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0124】
【化45】
【0125】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
【0126】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
【化46】
【0128】
【化47】
【0129】
【化48】
【0130】
【化49】
【0131】
また、下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0132】
【化50】
【0133】
式中、Rは、直鎖、分岐又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
【0134】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
【化51】
【0136】
上記(B1a)及び(B1b)の化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するスルホン酸に塩交換することにより合成可能である。
また、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてスルホン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるスルホン酸あるいはスルホン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のスルホン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0137】
(B2a)活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物
フッ素含有カルボン酸としては、フッ素置換された脂肪族カルボン酸と、フッ素置換された芳香族カルボン酸を挙げることができる。
【0138】
フッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸等の脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。これらは、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、その脂肪族鎖の中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基などの連結基を含んでいるものが好ましい。
好ましいフッ素置換された脂肪族カルボン酸として、下記の一般式で表されるものを挙げることができる。
L−(CH2)p(CF2)q(CH2)r−COOH
一般式中、Lは、水素原子又はフッ素原子を表す。p及びrは、各々独立に0〜15の整数、qは1〜15の整数を表す。この一般式におけるアルキル鎖の水素原子又はフッ素原子は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、または、水酸基で置換されていてもよい。
上記フッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、好ましくはその炭素数が2〜20、より好ましくは4〜20である飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。この炭素数を4個以上とすることで、発生するカルボン酸分解性の拡散性が低下し、露光から後加熱までの経時による線幅変化をより抑制できる。なかでも、炭素数4〜18個の直鎖又は分岐飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が好ましい。
【0139】
フッ素置換された芳香族族カルボン酸としては、炭素数が7〜20、より好ましくは7〜15であり、更に好ましくは7〜11である芳香族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。具体的には、安息香酸、置換安息香酸、ナフトエ酸、置換ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、置換アントラセンカルボン酸(ここで、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる)等の芳香族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。なかでも、安息香酸、置換安息香酸のフッ素置換物が好ましい。
【0140】
これらフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸は、カルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたものであり、特に好ましくはカルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子すべてがフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸(パーフルオロ飽和脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸)である。これにより、感度が一層優れるようになる。
尚、脂肪族カルボン酸アニオンについては、特に、フッ素原子をカルボン酸のα炭素原子上に有するアニオンは、酸強度が高い。また、パーフルオロ脂肪族カルボン酸は更に酸強度が高い。
【0141】
活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物としては、上記のようなフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸のアニオンをカウンターアニオンとして有するオニウム塩化合物(スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、カルボン酸エステル基を有するイミドカルボキシレート化合物或いはニトロベンジルエステル化合物等が挙げられる。
より好ましくは下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が挙げられる。これにより、感度、解像力、露光マージンが一層優れるようになる。この化合物は、活性光線又は放射線の照射により分解して一般式(I)〜(III)のX−に相当する少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族或いは芳香族のカルボン酸を発生する。
【0142】
【化52】
【0143】
(上記式中、R1 〜R37は、各々独立に、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R38基を表す。ここでR38は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。X−は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンである。)
X−は、好ましくはパーフルオロ脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸のアニオンであり、特に好ましくは炭素数4個以上のフッ素置換アルキルカルボン酸のアニオンである。
【0144】
一般式(I)〜(III)における、R1〜R38の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R1〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0145】
本発明で使用される一般式(I)〜(III)で表されるヨードニウム化合物あるいはスルホニウム化合物は、その対アニオンX−として、少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンを有する。これらのアニオンは、該カルボン酸(−COOH)の水素原子が離脱したアニオン(−COO−)である。
【0146】
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物の具体例:
【0147】
【化53】
【0148】
一般式(II)で表される化合物の具体例:
【0149】
【化54】
【0150】
【化55】
【0151】
【化56】
【0152】
【化57】
【0153】
【化58】
【0154】
【化59】
【0155】
一般式(III)で表される化合物の具体例:
【0156】
【化60】
【0157】
その他の化合物の具体例:
【0158】
【化61】
【0159】
上記一般式(I)で表される化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するカルボン酸に塩交換することにより合成可能である。
一般式(II)、一般式(III)で表される化合物は、例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するカルボン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてカルボン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるカルボン酸あるいはカルボン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のカルボン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0160】
アニオン部分としてのフッ素置換されたカルボン酸は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものを用いたものも好ましい。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E. Pavlath, American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、沃化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。テロマー法による合成においては炭素鎖長の異なる複数の化合物の混合物が得られるが、これを混合物のまま使用してもよいし、精製して用いてもよい。
【0161】
(B2b)活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物としては、例えば、下記一般式(AI)〜(AV)で示される化合物を挙げることができる。
【0162】
【化62】
【0163】
上記式において、R301 〜R337は、各々独立に水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R0基を表す。R0は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。
Ra、Rbは、各々独立に水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルコキシ基を表す。Rc、Rdは、各々独立にハロゲン原子、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。RcとRdとが結合して芳香環、単環あるいは多環の環状炭化水素(これらの環内には酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)を形成してもよい。Y1、Y2は、炭素原子を表し、Y1−Y2結合は、単結合でも2重結合でもよい。上記X−は、下記式で示されるカルボン酸化合物がアニオンになったものを表す。X1、X2は、各々独立に、下記式で示されるカルボン酸化合物がカルボキシル基部分でエステル基となったものを表す。
【0164】
【化63】
【0165】
【化64】
【0166】
上記式中、R338は、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基(ここで、アルキル基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキニル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルコキシル基、前記アルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、前記アルケニル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、あるいは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基を示す。ここで、アリール基の置換基としてはアルキル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0167】
R339は、単結合あるいは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキレン基(ここで、アルキレン基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニレン基、前記アルキレン基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、前記アルケニレン基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された基、あるいは炭素数2〜20のアルコキアルキレン基を示し、複数存在するR338、R339は相互に同一でも異なってもよい。
【0168】
R340は水酸基またはハロゲン原子を示し、複数存在するR340は相互に同一でも異なってもよい。m、n、pおよびqは各々独立に、0〜3の整数で、m+n≦5、p+q≦5である。zは0または1である。
【0169】
前記一般式(AI)〜(AV)における、R301〜R337、Ra、Rb、Rc、Rd、R0における直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R301〜R337、Ra、Rbのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R301〜R337、Ra、Rb、Rc、Rdのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R0、Rc、Rdのアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基のような置換基を有してもよい炭素数6〜14個のものが挙げられる。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0170】
RcとRdとが結合して形成する、芳香環、単環あるいは多環の環状炭化水素(これらの環内には酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)としては、ベンゼン構造、ナフタレン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルネン構造、オキサビシクロ構造等が挙げられる。
【0171】
本発明で使用される一般式(AI)〜(AIII)で表されるスルホニウム、ヨードニウム化合物は、その対アニオンX−として、上記式(C1)〜(C10)で示されるカルボン酸化合物のうち少なくとも1種の化合物のカルボキシル基(−COOH)がアニオン(−COO−)となったものを含む。
本発明で使用される一般式(AIV)〜(AV)で表される化合物は、置換基X1、X2として、上記式(C1)〜(C10)で示されるカルボン酸化合物のうち少なくとも1種の化合物のカルボキシル基(−COOH)がエステル基(−COO−)となった置換基を含む。
【0172】
R338における、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基(ここで、アルキル基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ドデシル、1−エトキシエチル、アダマンチル等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、シクロヘキセン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキニル基としては、アセチレン、プロペニレン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソブトキシ、ドデシルオキシ等が挙げられる。
炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられる。
アリール基の置換基としてはアルキル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0173】
R339における、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキレン基(ここで、アルキレン基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、エトキシエチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニレン基としては、ビニレン、アリレン等が挙げられる。
【0174】
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0175】
【化65】
【0176】
【化66】
【0177】
【化67】
【0178】
【化68】
【0179】
【化69】
【0180】
【化70】
【0181】
一般式(AI)、一般式(AII)、一般式(AIII)で表される化合物は、米国特許第3,734,928号明細書に記載の方法、Macromolecules, vol. 10, 1307(1977), Journal of Organic Chemistry, vol. 55, 4222(1990), J. Radiat. Curing, vol. 5(1), 2(1978) に記載の方法などを用い、更にカウンターアニオンを交換することにより合成できる。一般式(AIV)、一般式(AV)で表される化合物は、N−ヒドロキシイミド化合物とカルボン酸クロリドを塩基性条件で反応させる、あるいはニトロベンジルアルコールとカルボン酸クロリドを塩基性条件下反応させることにより得られる。
【0182】
本発明に於いては、(B1)成分と(B2)成分とを併用することにより、活性光線又は放射線の照射部/非照射部の界面(低エネルギー量照射部域)近傍に於ける活性光線又は放射線の照射により発生した強酸の濃度分布のコントラストを高めることができる。
【0183】
(B1)成分と(B2)成分の添加量の質量比は、通常100/100〜100/0、好ましくは100/100〜100/10、特に好ましくは100/50〜100/20である。
(B1)成分と(B2)成分の合計量は、組成物全固形分に対し、通常0.5〜20質量%、好ましくは0.75〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲である。
(B1)成分及び(B2)成分は各々複数種含有してもよい。
【0184】
〔3〕有機塩基性化合物
本発明の組成物には、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、有機塩基性化合物を添加することが好ましい。有機塩基性化合物としては、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0185】
【化71】
【0186】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0187】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0188】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0189】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0190】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0191】
〔4〕界面活性剤
本発明の組成物は、界面活性剤、特にフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明の組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。これらフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の添加は、現像欠陥の抑制及び塗布性の向上に効果を有する。
【0192】
これらのフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0193】
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0194】
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0195】
〔5〕溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
本発明に於いては、溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキル類とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。
【0196】
上記各成分を溶剤に溶解させた際の固形分濃度は、3〜15質量%とすることが好ましく、5〜10質量%とすることがより好ましい。
【0197】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明の組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0198】
本発明の組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%、pHは、通常10.0〜14.0である。
【0199】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明がこれにより限定されるものではない。
【0200】
<モノマーの合成>
合成例1(繰り返し単位(A1−1)に相当するモノマー(M1)の合成)
下記化合物(D)124.9g(0.3mol)、エチルビニルエーテル432.6g(6.0mol)、酢酸パラジウム2.03g(0.009mol)、1,10−フェナンスロリン17.84g(0.09mol)を反応容器に添加し、10時間攪拌した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記モノマー(M1)を63.7g得た(収率48%)。
【0201】
【化72】
【0202】
合成例2(繰り返し単位(A2−1)に相当するモノマー(M2)の合成)
1−アダマンチルアミン30.3g(0.2mol)を乾燥テトラヒドロフラン100mlに溶かし、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)を滴下後、攪拌しながら、0度まで冷却する。2−(トリフルオロメチル)アクリル酸クロリドを、文献(J. Fluorine Chem., 87, 1998, 209−214)に従って合成し、31.7g(0.2mol)を混合液にゆっくりと滴下した。室温で3時間攪拌後、反応液を濾過した。濾液を酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濃縮して、下記モノマー(M2)33.8gを得た(収率62%)。
【0203】
【化73】
【0204】
合成例3(繰り返し単位(A2−2)に相当するモノマー(M3)の合成)
下記化合物(E)を出発物とし、文献(J. Am. Chem. Soc. 108, 1986, 6761−6764)にしたがって、下記化合物(F)を合成した。化合物(F)58.2g(0.2mol)、乾燥テトラヒドロフラン100ml及びトリエチルアミン20.2g(0.2mol)を混合し、攪拌しながら、0度まで冷却する。2−(トリフルオロメチル)アクリル酸クロリド31.7g(0.2mol)を混合液にゆっくりと滴下し、室温で3時間反応させた。反応液を酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記モノマー(M3)28.9gを得た(収率35%)。
【0205】
【化74】
【0206】
<樹脂(A)の合成>
合成例1(樹脂(R−1)の合成)
モノマー(M1)24.5g(0.08mol)を窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−59(和光純薬工業(株)製)3.8gを添加し、80℃にて加熱した。これとは別に、モノマー(M3)49.5g(0.12mol)及び開始剤V−59 3.8gをジメチルアセトアミド18gに溶解させたものを準備しておき、これを開始剤投入から30分後、反応液に2時間かけて滴下し、そのまま6時間攪拌した。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、29.5gの樹脂(R−1)を得た(収率51%)。得られた樹脂(R−1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は5100、分散度は1.2であった。
【0207】
合成例2(樹脂(R−3)の合成)
モノマー(M1)24.5g(0.08mol)及び下記構造式を有するモノマー(M4)8.3g(0.04mol)を窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−59(和光純薬工業(株)製)3.8gを添加し、80℃にて加熱した。30分後、下記構造式を有するモノマー(M5)21.5g(0.04mol)を2時間かけて滴下し、そのまま6時間攪拌した。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、34.7gの樹脂(R−3)を得た(収率64%)。得られた樹脂(R−3)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は7900、分散度は1.4であった。
【0208】
【化75】
【0209】
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(R−2)、(R−4)〜(R−11)を得た。
【0210】
下記表1に、樹脂(R−1)〜(R−11)のモル組成比、重量平均分子量、分散度を示す。
【0211】
【表1】
【0212】
<比較樹脂の合成>
合成例1(比較樹脂(C−1)の合成)
p−(t−ブトキシ)スチレン35.2g(0.2mol)及び上記化合物(M4)41.8g(0.2mol)を窒素雰囲気下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)1.49g(0.006mol%)を添加し、そのまま70℃にて8時間攪拌して反応させた。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥して、比較樹脂(C−1)を得た。得られた比較樹脂(C−1)をGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8900、分散度は1.2であった。
【0213】
合成例2(比較樹脂(C−2)の合成)
合成例1と同様方法で下記繰り返し単位を有する樹脂(C−2)を合成した。樹脂(C−2)の重量平均分子量は、10100、分散度は1.4であった。
【0214】
【化76】
【0215】
実施例1〜11及び比較例1及び2
下記表2に示す樹脂:1.2g、酸発生剤:0.030g、界面活性剤:樹脂溶液に対し100ppm、有機塩基性化合物:0.0012gを溶剤19.6gに溶解した樹脂溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターで濾過しポジ型レジスト液を調製した。
【0216】
【表2】
【0217】
表2における記号の内容は以下のとおりである。
N−1:ヘキサメチレンテトラミン
N−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
N−3:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0218】
上記のように調製したポジ型レジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV30J BrewerScience. Inc. 製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.1μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、ArFマイクロステッパーを用いラインアンドスペース用マスク(ライン幅150nm、ライン/スペース=1:1)を使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて30秒間現像し、30秒間純粋にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを下記の方法でレジスト性能を評価した。
【0219】
〔ラインエッジラフネス〕
ラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所製S−8840)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0220】
〔現像欠陥評価試験〕
上記の様にして得られたレジストパターンについて、ケーエルエー・テンコール社製のKLA−2112機により現像欠陥数を測定し、得られた1次データ値を測定結果とした。
【0221】
〔スカムの発生〕
線幅0.15ミクロンのレジストパターンにおける現像残さ(スカム)の残り具合で評価し、残さが観察されなかったものをA、かなり観察されたものをC、その中間をBとして評価した。
性能評価結果を表3に示した。
【0222】
【表3】
【0223】
表3より、本発明のポジ型レジスト組成物は、ラインエッジラフネス及び現像性能が良好であることが判る。
【0224】
【発明の効果】
本発明により、ラインエッジラフネス、現像欠陥、スカムが改善されたポジ型レジスト組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物に関するものである。更に詳しくは、160nm以下の真空紫外光をを使用して高精細化したパターンを形成し得るポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば64Mビットまでの集積度の半導体素子の製造には、現在まで高圧水銀灯のi線(365nm)が光源として使用されてきた。この光源に対応するポジ型レジストとしては、ノボラック樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物を含む組成物が、数多く開発され、0.3μm程度までの線幅の加工においては十分な成果をおさめてきた。また256Mビット以上集積度の半導体素子の製造には、i線に代わりKrFエキシマレーザー光(248nm)が露光光源として採用されてきた。
更に1Gビット以上の集積度の半導体製造を目的として、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
KrFエキシマレーザー光による露光用のレジスト組成物として、248nm領域での吸収の小さいポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とし酸分解基で保護した樹脂を主成分として用い、遠紫外光の照射で酸を発生する化合物(光酸発生剤)を組み合わせた組成物、所謂化学増幅型レジストが開発されてきた。
【0005】
また、ArFエキシマレーザー光(193nm)露光用のレジスト組成物として、193nmに吸収を持たない脂環式構造をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した酸分解性樹脂を使用した化学増幅型レジストが開発されてきている。
【0006】
F2エキシマレーザー光(157nm)に対しては、上記脂環型樹脂においても157nm領域の吸収が大きく、目的とする0.1μm以下のパターンを得るには不十分であることが判明し、これに対し、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が157nmに十分な透明性を有することが非特許文献1(Proc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999))にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造が、特許文献1(US2002/102490A1)、特許文献2(特開2002−244300号)等に提案され、フッ素含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
特許文献3(特開2002−293840号)は、200nm以下の波長における優れた感度及びプラズマエッチング耐性を有するレジスト材料を提供すべく、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位及びビニルエーテルに由来する繰り返し単位を含有する樹脂の使用を提案している。特許文献4(US2002/146638A1)及び特許文献5(US2002/146639A1)は、リソグラフィー組成物において、250nm以下の波長の光に対する透明性が良好なポリマーとして特定のフッ素化ビニルポリマーの使用を提案している。
【0007】
しかしながら、フッ素樹脂を含有するレジスト組成物は、ラインエッジラフネス、現像欠陥、現像残渣(スカム)などの点の解決が望まれていた。
ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することを言う。このパターンを真上から観察するとエッジが凸凹(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凸凹は、エッチング工程により基板に転写されるため、凸凹が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させる可能性がある。
【0008】
【非特許文献1】
「プロス・エスピィアイイー」(Proc. SPIE.)、1999年、第3678巻、第13頁
【特許文献1】
米国特許出願公開第2002/102490号明細書
【特許文献2】
特開2002−244300号公報
【特許文献3】
特許2002−293840号公報
【特許文献4】
米国特許出願公開第2002/146638号明細書
【特許文献5】
米国特許出願公開第2002/146639号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、200nm以下、特にF2エキシマレーザー光(157nm)の光源使用時に十分な透過性を示し、且つラインエッジラフネス、現像欠陥及びスカムが少ないポジ型レジスト組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が以下の特定の組成物によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記構成である。
【0011】
(1)(A)下記一般式(A1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0012】
【化5】
【0013】
一般式(A1)及び(A2)中、
R1〜R3及びR5〜R7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
R4は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A3)で表される基を表す。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A4)で表される基を表す。
R2とR4、及びR8とR9は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(A3)及び(A4)中、
X及びYは、各々独立に、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基、アルカリ現像液に可溶性の基又は極性基を表す。
L1及びL2は、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
【0014】
(2)少なくとも一般式(A1)においてR4が一般式(A3)で表される基であるか、一般式(A2)においてR8及びR9の少なくとも一方が一般式(A4)で表される基であるかであり、L1及びL2の少なくとも一方がシクロアルキレン基であることを特徴とする上記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)(A)成分の樹脂が、更に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
一般式(I)〜(VIII)中、
X1〜X5及びRdは、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
Ra、Rb、Rcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
ARは、脂環式炭化水素構造を表す。
Qは、水素原子又は水酸基を表す。
R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Rfは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Ra’、Rb’、Rc’、Rd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’、Rd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
naは、1〜5の整数を表す。
nbは、0又は1を表す。
ncは、1〜5の整数を表す。
【0019】
更に好ましい態様として、以下の構成を挙げることができる。
(4) (A)成分の樹脂が、重量平均分子量が2000〜30000で、且つ分散度が1.1〜1.5であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0020】
(5) (A)成分の樹脂が、ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーを重合させている際に、更にモノマーを連続的若しくは断続的に加えることによって得られたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0021】
(6) (B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、(B1)活性光線又は放射線の照射により、有機スルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0022】
(7) (B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、更に、(B2)活性光線又は放射線の照射により、カルボン酸を発生する化合物を含有することを特徴とする(6)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0023】
(8) プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸アルキル類とを混合した混合溶剤を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔1〕(A)一般式(A1)で表される繰り返し単位及び一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物は、一般式(A1)で表される繰り返し単位及び一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)を含有する。
【0025】
一般式(A1)及び(A2)中、R1〜R3及びR5〜R7は、各々独立に水素原子、アルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R4は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A3)で表される基を表す。R8及びR9は、各々独立に水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A4)で表される基を表す。
一般式(A1)においてR4が一般式(A3)で表される基であり、一般式(A2)においてR8及びR9の少なくとも一方が一般式(A4)で表される基であり、一般式(A3)及び(A4)中のX又はYのいずれか一方は、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基を表し、もう一方はアルカリ現像液に可溶な基又は極性基を有する基を表す場合が好ましい。
【0026】
R1〜R9としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を表す。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜20個のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、オクチル基等を挙げることができる。環状アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭化水素の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0027】
R1〜R9としてのフルオロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基をいい、置換基を有していてもいなくてもよい。炭素数1〜6個のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜3個のものが更に好ましい。フルオロアルキル基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を挙げることができる。特に好ましいものは、トリフルオロメチル基である。
【0028】
R1〜R9としてのアルキル基及びフルオロアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、一般式(A3)における−L1−Xで表される基、一般式(A4)における−L2−Yで表される基等を挙げることができる。
【0029】
尚、R3及びR7は、トリフルオロメチル基が好ましい。
R2とR4、及びR8とR9は、互いに連結して環を形成してもよい。その場合形成される環は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、好ましくは炭素数5以下であり、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基、水酸基、シアノ基などが挙げられる。
【0030】
X又はYの酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基としては、例えば、−C(CF3)2OC(R01)(R02)(OR50)、−C(CF3)2O−COO−C(R51)(R52)(R53)、−COO(R51)(R52)(R53)、−COO(R01)(R02)(OR50)等が挙げられる。
R50〜R53は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R01とR50及びR52とR53とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0031】
R50〜R53、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、2−ヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭化水素の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R50〜R53、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R50〜R53、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チエエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシアルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0032】
X又はYのアルカリ現像液に可溶な基(以下、「アルカリ可溶性基」ともいう)としては、例えば、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホン酸基、デカフルオロペンタノール基等を挙げることができる。特に好ましい基は、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール基である。
【0033】
X又はYの極性基としては、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子を含む基又はハロゲン原子であり、例えば、水酸基、メルカプト基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、アミノ基、エステル基、ラクトン基、エポキシ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子、アシル基、アシロキシ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0034】
L1及びL2の2価の連結基は、好ましくは炭素数20以下であり、例えば、−O−、−CO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、−S−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基(好ましくは炭素数5〜15)、またはこれらの基の2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜8個のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、t−ブチレン基、アミル基、i−アミル基,t−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、特に好ましくはメチレン基、エチレン基である。
シクロアルキレン基としては、炭素数5〜15のものが好ましく、例えば、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、ノルボルナン残基、アダマンタン残基、トリシクロデカン残基、テトラシクロドデカン残基を挙げることができる。
【0035】
シクロアルキレン基は、ヒドロキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、アルコキシ基、シアノ基等の置換基を有してもよい。
L1及びL2としての2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、アルコキシ基、シアノ基、X又はYで表される基等が挙げられる。L1及びL2としての2価の連結基は、各々、X及びYで表される基を置換基として有し、結果的に一般式(A3)及び(A4)で表される基が、複数のX及びYで表される基を有していてもよい。
【0036】
L1及びL2は、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、エチレン基又は1,1−ジ(トリフルオロメチル)メチレン基が好ましい。
【0037】
以下、一般式(A1)で表される繰り返し単位及び(A2)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
樹脂(A)は、更に、一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
【0042】
一般式(I)中、X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくとも1つは水素原子ではない。nbは0又は1を表す。
【0043】
X1の酸の作用により分解する基(以下、「酸分解性基」ともいう)としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01、R02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0044】
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0045】
酸分解性基の好ましい具体例としては、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルオキシカルボニル基、メトキシエトキシメチル基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0046】
Ra、Rb、Rc、R21〜R26のフルオロアルキル基は、一般式(A1)に於けるR1〜R7のフルオロアルキル基と同様のものである。
【0047】
Rcは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0048】
ARの脂環式炭化水素構造は、単環でも、多環でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ等の脂環式炭化水素構造を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
ARの脂環式炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン、ノルアダマンタン、デカリン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等を挙げることができる。より好ましくは、アダマンタン、ノルボルナン、シクロヘキサンを挙げることができる。
ARの脂環式炭化水素構造は、更に、アルキル基、アルコキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0049】
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
一般式(II)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくともひとつは水素原子ではない。R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の少なくともひとつは水素原子ではない。X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。Qは水素原子又は水酸基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。nは0又は1を表す。nbは0又は1を表す。
【0054】
Ra、Rb及びRcは、一般式(I)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
X2は、一般式(I)におけるX1と同義である。
R11〜R16及びR21〜R26は、一般式(I)におけるR21〜R26と同義である。
【0055】
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】
【0058】
一般式(III)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X3は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは0又は1を示す。
【0059】
R11〜R16は、一般式(I)に於けるR21〜R26と同様のものである。
X3の酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様である。
【0060】
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
【化17】
【0062】
一般式(IV)中、X4は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは0又は1を示す。
【0063】
X4の酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様である。
【0064】
以下、一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化18】
【0066】
一般式(V)中、Rdは、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
【0067】
Rdの酸の作用により分解する基は、一般式(I)におけるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0068】
以下、一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
【化19】
【0070】
一般式(VI)中、R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。X5は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。naは、1〜5の整数を示す。naが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX5は、同じでも異なっていてもよい。
【0071】
R41〜R46は、一般式(I)に於けるR41〜R46と同様である。
X5の酸の作用により分解する基は、一般式(I)に於けるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0072】
以下、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
【化20】
【0074】
一般式(VII)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。Rfはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。ARは脂環式炭化水素構造を表す。ncは1〜5の整数を表す。
【0075】
Ra及びRbは、一般式(I)におけるRa及びRbと同義である。
ARは、一般式(I)におけるARと同義である。
【0076】
以下、一般式(VII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
【化21】
【0078】
【化22】
【0079】
【化23】
【0080】
一般式(VIII)中、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
【0081】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’のフルオロアルキル基は、一般式(I)におけるR21〜R26としてのフルオロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0082】
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、フッ素原子及びフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がより好ましい。
【0083】
以下、一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
【化24】
【0085】
(A)成分の樹脂は、上記の繰り返し単位以外に、他の重合性モノマーを重合させてもよい。
併用することができる共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジアルキル類、マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等を挙げることができる。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0086】
以下、樹脂(A)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
【化25】
【0088】
【化26】
【0089】
樹脂(A)において、一般式(A1)及び(A2)で表される繰り返し単位の含量は、総量として、全繰り返し単位に対して、20〜100モル%とすることが好ましく、50〜90モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(A1)で表される繰り返し単位の含量は、全繰り返し単位に対して、10〜60モル%とすることが好ましく、20〜40モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(A2)で表される繰り返し単位の含量は、全繰り返し単位に対して、10〜70モル%とすることが好ましく、20〜60モル%とすることがより好ましい。
樹脂(A)において、一般式(I)〜(VIII)のいずれかで表される繰り返し単位の含量は、総量として、全繰り返し単位に対して、0〜60モル%とすることが好ましく、0〜40モル%とすることがより好ましい。
【0090】
樹脂(A)は、酸の作用により、酸の作用により分解する基が分解してヒドロキシル基、カルボキシル基等の親水性基が形成され、これにより酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する。
樹脂(A)において、酸の作用により分解する基を有する繰り返し単位の含量は、15〜50モル%とすることが好ましく、20〜40モル%とすることがより好ましい。
【0091】
樹脂(A)の分子量は、重量平均で2000〜50000が好ましく、さらに好ましくは2000〜30000である。分子量が低すぎるとレジストの耐熱性が低下し、高すぎると現像液への溶解性が悪くなり、感度、解像力の悪化をもたらす。
樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0とすることが好ましく、さらに好ましくは1.1〜2.0であり、特に好ましくは1.1〜1.5である。分散度を下げる方法としては、通常のラジカル重合で得られたポリマーを、良溶剤に溶かしたのち、貧溶剤を添加して分子量の低い成分を除去する方法、あるいはリビングラジカル重合法などのリビング重合法による方法があり、いずれも好適に使用できる。
リビングラジカル重合法としてはジョージらのニトロキシドを用いる方法、金属錯体を用いる澤本やマチャウフスキーらの方法など、いずれも用いることができる。
またパターンのラフネスが良化するという観点から、上記通常のラジカル重合法においては、滴下重合法(ラジカル重合開始剤の存在下でモノマーをラジカル重合させている際に、さらにモノマーを連続的または断続的に加えるラジカル重合の方法)の適用が好ましい。
滴下重合法においては、最初に反応容器に仕込むモノマーの種類および組成と、ラジカル重合進行中に後から添加するモノマーの種類および組成は同じであっても、異なっていても良い。
また重合開始剤についても後から添加するモノマーとともに更に追加していく方法を利用すると、未反応で残存するモノマーを低減できるので好ましい。
【0092】
樹脂(A)の添加量は、組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%の範囲で使用される。
【0093】
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、パターン形成において使用する活性光線又は放射線(特に、200nm以下の波長の光、例えば、ArFエキシマレーザー光、特にF2エキシマレーザー光)の照射により、酸を発生する化合物を含有する。
【0094】
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物としては、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)として使用されている化合物の中から選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物から適宜選択して使用することができる。
【0095】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514 号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc, Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、 P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774 号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0096】
本発明に於いては、活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物として、活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)が好ましい。
活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)としては、活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物(B1a)と、活性光線又は放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物(B1b)とを挙げることができる。
【0097】
本発明に於いては、活性光線又は放射線の照射により有機スルホン酸を発生する化合物(B1)と共に、活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸を発生する化合物(B2)を使用することが好ましい。
活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸を発生する化合物(B2)としては、活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物(B2a)と、活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物(B2b)とを挙げることができる。
【0098】
(B1a)活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射によりフッ素含有スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩を挙げることができる。
【0099】
【化27】
【0100】
式中、Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。
Z−は、少なくとも1つのフッ素原子を有するスルホン酸アニオンを示す。
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0101】
Ar1、Ar2、R203、R204、R205としてのアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及びフェニルチオ基であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜14のアリール基、炭素数6〜15のアリールカルボニル基、カルボキシル基及びハロゲン原子を挙げることができる。
【0102】
Z−のスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素及び炭素数5〜20の芳香族炭化水素を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜10のフッ素置換していてもよいアルコキシ基、炭素数2〜11のフッ素置換していてもよいアルコキシカルボニル基、フェニルアミノ基、フェニルカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基を挙げることができる。芳香族炭化水素に対しては、さらに炭素数1〜15のアルキル基を挙げることができる。
尚、脂肪族スルホン酸アニオンについては、特に、フッ素原子をスルホン酸のα炭素原子上に有するアニオンは、酸強度が高い。また、パーフルオロ脂肪族スルホン酸は更に酸強度が高い。
【0103】
以下に具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
【化28】
【0105】
【化29】
【0106】
【化30】
【0107】
【化31】
【0108】
【化32】
【0109】
【化33】
【0110】
【化34】
【0111】
【化35】
【0112】
【化36】
【0113】
(B1b)活性光線または放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物
活性光線または放射線の照射によりフッ素非含有スルホン酸を発生する化合物としては、例えば、先の一般式(PAG3)及び(PAG4)において、Z−がフッ素原子を有しないスルホン酸アニオンであるヨードニウム塩及びスルホニウム塩を挙げることができる。
【0114】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
【化37】
【0116】
【化38】
【0117】
【化39】
【0118】
【化40】
【0119】
【化41】
【0120】
【化42】
【0121】
【化43】
【0122】
【化44】
【0123】
また、下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0124】
【化45】
【0125】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
【0126】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
【化46】
【0128】
【化47】
【0129】
【化48】
【0130】
【化49】
【0131】
また、下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0132】
【化50】
【0133】
式中、Rは、直鎖、分岐又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
【0134】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
【化51】
【0136】
上記(B1a)及び(B1b)の化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するスルホン酸に塩交換することにより合成可能である。
また、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてスルホン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるスルホン酸あるいはスルホン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のスルホン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0137】
(B2a)活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物
フッ素含有カルボン酸としては、フッ素置換された脂肪族カルボン酸と、フッ素置換された芳香族カルボン酸を挙げることができる。
【0138】
フッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸等の脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。これらは、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、その脂肪族鎖の中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基などの連結基を含んでいるものが好ましい。
好ましいフッ素置換された脂肪族カルボン酸として、下記の一般式で表されるものを挙げることができる。
L−(CH2)p(CF2)q(CH2)r−COOH
一般式中、Lは、水素原子又はフッ素原子を表す。p及びrは、各々独立に0〜15の整数、qは1〜15の整数を表す。この一般式におけるアルキル鎖の水素原子又はフッ素原子は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、または、水酸基で置換されていてもよい。
上記フッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、好ましくはその炭素数が2〜20、より好ましくは4〜20である飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。この炭素数を4個以上とすることで、発生するカルボン酸分解性の拡散性が低下し、露光から後加熱までの経時による線幅変化をより抑制できる。なかでも、炭素数4〜18個の直鎖又は分岐飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が好ましい。
【0139】
フッ素置換された芳香族族カルボン酸としては、炭素数が7〜20、より好ましくは7〜15であり、更に好ましくは7〜11である芳香族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。具体的には、安息香酸、置換安息香酸、ナフトエ酸、置換ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、置換アントラセンカルボン酸(ここで、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる)等の芳香族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。なかでも、安息香酸、置換安息香酸のフッ素置換物が好ましい。
【0140】
これらフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸は、カルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたものであり、特に好ましくはカルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子すべてがフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸(パーフルオロ飽和脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸)である。これにより、感度が一層優れるようになる。
尚、脂肪族カルボン酸アニオンについては、特に、フッ素原子をカルボン酸のα炭素原子上に有するアニオンは、酸強度が高い。また、パーフルオロ脂肪族カルボン酸は更に酸強度が高い。
【0141】
活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素含有カルボン酸を発生する化合物としては、上記のようなフッ素原子で置換された脂肪族或いは芳香族のカルボン酸のアニオンをカウンターアニオンとして有するオニウム塩化合物(スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、カルボン酸エステル基を有するイミドカルボキシレート化合物或いはニトロベンジルエステル化合物等が挙げられる。
より好ましくは下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が挙げられる。これにより、感度、解像力、露光マージンが一層優れるようになる。この化合物は、活性光線又は放射線の照射により分解して一般式(I)〜(III)のX−に相当する少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族或いは芳香族のカルボン酸を発生する。
【0142】
【化52】
【0143】
(上記式中、R1 〜R37は、各々独立に、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R38基を表す。ここでR38は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。X−は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンである。)
X−は、好ましくはパーフルオロ脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸のアニオンであり、特に好ましくは炭素数4個以上のフッ素置換アルキルカルボン酸のアニオンである。
【0144】
一般式(I)〜(III)における、R1〜R38の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R1〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0145】
本発明で使用される一般式(I)〜(III)で表されるヨードニウム化合物あるいはスルホニウム化合物は、その対アニオンX−として、少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンを有する。これらのアニオンは、該カルボン酸(−COOH)の水素原子が離脱したアニオン(−COO−)である。
【0146】
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物の具体例:
【0147】
【化53】
【0148】
一般式(II)で表される化合物の具体例:
【0149】
【化54】
【0150】
【化55】
【0151】
【化56】
【0152】
【化57】
【0153】
【化58】
【0154】
【化59】
【0155】
一般式(III)で表される化合物の具体例:
【0156】
【化60】
【0157】
その他の化合物の具体例:
【0158】
【化61】
【0159】
上記一般式(I)で表される化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するカルボン酸に塩交換することにより合成可能である。
一般式(II)、一般式(III)で表される化合物は、例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するカルボン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてカルボン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるカルボン酸あるいはカルボン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のカルボン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0160】
アニオン部分としてのフッ素置換されたカルボン酸は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものを用いたものも好ましい。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E. Pavlath, American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、沃化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。テロマー法による合成においては炭素鎖長の異なる複数の化合物の混合物が得られるが、これを混合物のまま使用してもよいし、精製して用いてもよい。
【0161】
(B2b)活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により分解してフッ素非含有カルボン酸を発生する化合物としては、例えば、下記一般式(AI)〜(AV)で示される化合物を挙げることができる。
【0162】
【化62】
【0163】
上記式において、R301 〜R337は、各々独立に水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R0基を表す。R0は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。
Ra、Rbは、各々独立に水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルコキシ基を表す。Rc、Rdは、各々独立にハロゲン原子、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。RcとRdとが結合して芳香環、単環あるいは多環の環状炭化水素(これらの環内には酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)を形成してもよい。Y1、Y2は、炭素原子を表し、Y1−Y2結合は、単結合でも2重結合でもよい。上記X−は、下記式で示されるカルボン酸化合物がアニオンになったものを表す。X1、X2は、各々独立に、下記式で示されるカルボン酸化合物がカルボキシル基部分でエステル基となったものを表す。
【0164】
【化63】
【0165】
【化64】
【0166】
上記式中、R338は、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基(ここで、アルキル基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキニル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルコキシル基、前記アルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、前記アルケニル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、あるいは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基を示す。ここで、アリール基の置換基としてはアルキル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0167】
R339は、単結合あるいは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキレン基(ここで、アルキレン基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニレン基、前記アルキレン基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子および/または水酸基で置換された基、前記アルケニレン基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された基、あるいは炭素数2〜20のアルコキアルキレン基を示し、複数存在するR338、R339は相互に同一でも異なってもよい。
【0168】
R340は水酸基またはハロゲン原子を示し、複数存在するR340は相互に同一でも異なってもよい。m、n、pおよびqは各々独立に、0〜3の整数で、m+n≦5、p+q≦5である。zは0または1である。
【0169】
前記一般式(AI)〜(AV)における、R301〜R337、Ra、Rb、Rc、Rd、R0における直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R301〜R337、Ra、Rbのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R301〜R337、Ra、Rb、Rc、Rdのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R0、Rc、Rdのアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基のような置換基を有してもよい炭素数6〜14個のものが挙げられる。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0170】
RcとRdとが結合して形成する、芳香環、単環あるいは多環の環状炭化水素(これらの環内には酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)としては、ベンゼン構造、ナフタレン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルネン構造、オキサビシクロ構造等が挙げられる。
【0171】
本発明で使用される一般式(AI)〜(AIII)で表されるスルホニウム、ヨードニウム化合物は、その対アニオンX−として、上記式(C1)〜(C10)で示されるカルボン酸化合物のうち少なくとも1種の化合物のカルボキシル基(−COOH)がアニオン(−COO−)となったものを含む。
本発明で使用される一般式(AIV)〜(AV)で表される化合物は、置換基X1、X2として、上記式(C1)〜(C10)で示されるカルボン酸化合物のうち少なくとも1種の化合物のカルボキシル基(−COOH)がエステル基(−COO−)となった置換基を含む。
【0172】
R338における、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基(ここで、アルキル基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ドデシル、1−エトキシエチル、アダマンチル等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、シクロヘキセン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキニル基としては、アセチレン、プロペニレン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソブトキシ、ドデシルオキシ等が挙げられる。
炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられる。
アリール基の置換基としてはアルキル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0173】
R339における、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキレン基(ここで、アルキレン基の鎖中に酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい)、としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、エトキシエチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニレン基としては、ビニレン、アリレン等が挙げられる。
【0174】
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0175】
【化65】
【0176】
【化66】
【0177】
【化67】
【0178】
【化68】
【0179】
【化69】
【0180】
【化70】
【0181】
一般式(AI)、一般式(AII)、一般式(AIII)で表される化合物は、米国特許第3,734,928号明細書に記載の方法、Macromolecules, vol. 10, 1307(1977), Journal of Organic Chemistry, vol. 55, 4222(1990), J. Radiat. Curing, vol. 5(1), 2(1978) に記載の方法などを用い、更にカウンターアニオンを交換することにより合成できる。一般式(AIV)、一般式(AV)で表される化合物は、N−ヒドロキシイミド化合物とカルボン酸クロリドを塩基性条件で反応させる、あるいはニトロベンジルアルコールとカルボン酸クロリドを塩基性条件下反応させることにより得られる。
【0182】
本発明に於いては、(B1)成分と(B2)成分とを併用することにより、活性光線又は放射線の照射部/非照射部の界面(低エネルギー量照射部域)近傍に於ける活性光線又は放射線の照射により発生した強酸の濃度分布のコントラストを高めることができる。
【0183】
(B1)成分と(B2)成分の添加量の質量比は、通常100/100〜100/0、好ましくは100/100〜100/10、特に好ましくは100/50〜100/20である。
(B1)成分と(B2)成分の合計量は、組成物全固形分に対し、通常0.5〜20質量%、好ましくは0.75〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲である。
(B1)成分及び(B2)成分は各々複数種含有してもよい。
【0184】
〔3〕有機塩基性化合物
本発明の組成物には、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、有機塩基性化合物を添加することが好ましい。有機塩基性化合物としては、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0185】
【化71】
【0186】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0187】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0188】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0189】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0190】
酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0191】
〔4〕界面活性剤
本発明の組成物は、界面活性剤、特にフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明の組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。これらフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の添加は、現像欠陥の抑制及び塗布性の向上に効果を有する。
【0192】
これらのフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0193】
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0194】
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0195】
〔5〕溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
本発明に於いては、溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類又は乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキル類とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。
【0196】
上記各成分を溶剤に溶解させた際の固形分濃度は、3〜15質量%とすることが好ましく、5〜10質量%とすることがより好ましい。
【0197】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明の組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0198】
本発明の組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%、pHは、通常10.0〜14.0である。
【0199】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明がこれにより限定されるものではない。
【0200】
<モノマーの合成>
合成例1(繰り返し単位(A1−1)に相当するモノマー(M1)の合成)
下記化合物(D)124.9g(0.3mol)、エチルビニルエーテル432.6g(6.0mol)、酢酸パラジウム2.03g(0.009mol)、1,10−フェナンスロリン17.84g(0.09mol)を反応容器に添加し、10時間攪拌した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記モノマー(M1)を63.7g得た(収率48%)。
【0201】
【化72】
【0202】
合成例2(繰り返し単位(A2−1)に相当するモノマー(M2)の合成)
1−アダマンチルアミン30.3g(0.2mol)を乾燥テトラヒドロフラン100mlに溶かし、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)を滴下後、攪拌しながら、0度まで冷却する。2−(トリフルオロメチル)アクリル酸クロリドを、文献(J. Fluorine Chem., 87, 1998, 209−214)に従って合成し、31.7g(0.2mol)を混合液にゆっくりと滴下した。室温で3時間攪拌後、反応液を濾過した。濾液を酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濃縮して、下記モノマー(M2)33.8gを得た(収率62%)。
【0203】
【化73】
【0204】
合成例3(繰り返し単位(A2−2)に相当するモノマー(M3)の合成)
下記化合物(E)を出発物とし、文献(J. Am. Chem. Soc. 108, 1986, 6761−6764)にしたがって、下記化合物(F)を合成した。化合物(F)58.2g(0.2mol)、乾燥テトラヒドロフラン100ml及びトリエチルアミン20.2g(0.2mol)を混合し、攪拌しながら、0度まで冷却する。2−(トリフルオロメチル)アクリル酸クロリド31.7g(0.2mol)を混合液にゆっくりと滴下し、室温で3時間反応させた。反応液を酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記モノマー(M3)28.9gを得た(収率35%)。
【0205】
【化74】
【0206】
<樹脂(A)の合成>
合成例1(樹脂(R−1)の合成)
モノマー(M1)24.5g(0.08mol)を窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−59(和光純薬工業(株)製)3.8gを添加し、80℃にて加熱した。これとは別に、モノマー(M3)49.5g(0.12mol)及び開始剤V−59 3.8gをジメチルアセトアミド18gに溶解させたものを準備しておき、これを開始剤投入から30分後、反応液に2時間かけて滴下し、そのまま6時間攪拌した。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、29.5gの樹脂(R−1)を得た(収率51%)。得られた樹脂(R−1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は5100、分散度は1.2であった。
【0207】
合成例2(樹脂(R−3)の合成)
モノマー(M1)24.5g(0.08mol)及び下記構造式を有するモノマー(M4)8.3g(0.04mol)を窒素下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−59(和光純薬工業(株)製)3.8gを添加し、80℃にて加熱した。30分後、下記構造式を有するモノマー(M5)21.5g(0.04mol)を2時間かけて滴下し、そのまま6時間攪拌した。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥し、34.7gの樹脂(R−3)を得た(収率64%)。得られた樹脂(R−3)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は7900、分散度は1.4であった。
【0208】
【化75】
【0209】
加えるモノマーを変更する以外は同様の方法で、樹脂(R−2)、(R−4)〜(R−11)を得た。
【0210】
下記表1に、樹脂(R−1)〜(R−11)のモル組成比、重量平均分子量、分散度を示す。
【0211】
【表1】
【0212】
<比較樹脂の合成>
合成例1(比較樹脂(C−1)の合成)
p−(t−ブトキシ)スチレン35.2g(0.2mol)及び上記化合物(M4)41.8g(0.2mol)を窒素雰囲気下で攪拌しているところに、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)1.49g(0.006mol%)を添加し、そのまま70℃にて8時間攪拌して反応させた。
反応液に500mlヘキサンを加えてポリマーを沈殿させたのち、濾過により粉体を取り出して100℃で減圧乾燥して、比較樹脂(C−1)を得た。得られた比較樹脂(C−1)をGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8900、分散度は1.2であった。
【0213】
合成例2(比較樹脂(C−2)の合成)
合成例1と同様方法で下記繰り返し単位を有する樹脂(C−2)を合成した。樹脂(C−2)の重量平均分子量は、10100、分散度は1.4であった。
【0214】
【化76】
【0215】
実施例1〜11及び比較例1及び2
下記表2に示す樹脂:1.2g、酸発生剤:0.030g、界面活性剤:樹脂溶液に対し100ppm、有機塩基性化合物:0.0012gを溶剤19.6gに溶解した樹脂溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターで濾過しポジ型レジスト液を調製した。
【0216】
【表2】
【0217】
表2における記号の内容は以下のとおりである。
N−1:ヘキサメチレンテトラミン
N−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
N−3:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0218】
上記のように調製したポジ型レジスト液をスピンコータを利用して反射防止膜(DUV30J BrewerScience. Inc. 製)を塗布したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.1μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、ArFマイクロステッパーを用いラインアンドスペース用マスク(ライン幅150nm、ライン/スペース=1:1)を使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて30秒間現像し、30秒間純粋にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを下記の方法でレジスト性能を評価した。
【0219】
〔ラインエッジラフネス〕
ラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所製S−8840)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0220】
〔現像欠陥評価試験〕
上記の様にして得られたレジストパターンについて、ケーエルエー・テンコール社製のKLA−2112機により現像欠陥数を測定し、得られた1次データ値を測定結果とした。
【0221】
〔スカムの発生〕
線幅0.15ミクロンのレジストパターンにおける現像残さ(スカム)の残り具合で評価し、残さが観察されなかったものをA、かなり観察されたものをC、その中間をBとして評価した。
性能評価結果を表3に示した。
【0222】
【表3】
【0223】
表3より、本発明のポジ型レジスト組成物は、ラインエッジラフネス及び現像性能が良好であることが判る。
【0224】
【発明の効果】
本発明により、ラインエッジラフネス、現像欠陥、スカムが改善されたポジ型レジスト組成物を提供することができる。
Claims (3)
- (A)下記一般式(A1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(A2)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
R1〜R3及びR5〜R7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
R4は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A3)で表される基を表す。
R8及びR9は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基又は一般式(A4)で表される基を表す。
R2とR4、及びR8とR9は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(A3)及び(A4)中、
X及びYは、各々独立に、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する基、アルカリ現像液に可溶性の基又は極性基を表す。
L1及びL2は、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。 - 少なくとも一般式(A1)においてR4が一般式(A3)で表される基であるか、一般式(A2)においてR8及びR9の少なくとも一方が一般式(A4)で表される基であるかであり、L1及びL2の少なくとも一方がシクロアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- (A)成分の樹脂が、更に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される繰り返し単位の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型レジスト組成物。
X1〜X5及びRdは、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
Ra、Rb及びRcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。
ARは、脂環式炭化水素構造を表す。
Qは、水素原子又は水酸基を表す。
R21〜R26は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R21〜R26の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、R41〜R46の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
R1aは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
Rfは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Ra’、Rb’、Rc’及びRd’は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。但し、Ra’、Rb’、Rc’及びRd’の内の少なくとも1つは水素原子ではない。
mは、0又は1を表す。
nは、0又は1を表す。
naは、1〜5の整数を表す。
nbは、0又は1を表す。
ncは、1〜5の整数を表す。
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2003
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